『オズのヘンリーおじさん』
第六幕 シーフードカレーを食べて
一行は港に降りるとすぐにホテルに向かいました、ホテルは海沿いにある西欧の宮殿の様な外観で十階建てでした。
そのホテルに入ると見事なロビーがあって奇麗な青い制服と帽子姿のホテルの従業員の人が来てでした。
一礼してです、こう言ってきました。
「ようこそ」
「ええ、今からね」
「お泊りになられますね」
「お話していた通りにね」
「ロイヤルスイートでしたね」
「そちらでね」
「皆様が来られると聞いて」
若いアジア系の女性の従業員の人は笑顔で言いました、黒く後ろで束ねた長い髪の毛と切れ長の目で青いタイトスカートは膝までです。
「何と言っていいか」
「嬉しいのね」
「はい、オズマ姫にです」
まずは彼女を見て言いました。
「オズの国家元首であられる」
「やっぱりオズマよね」
「何と言いましても」
「国家元首でね」
「しかもとてもお奇麗でお優しいですから」
オズマがそうした人だからだというのです。
「尚更です」
「そうなのね」
「それに貴女もです」
ドロシーにも言うのでした。
「来られたのですから」
「私もなの」
「オズの国といえばです」
それこそというのです。
「オズマ姫とです」
「私なのね」
「そのお二方が共に来られて」
そしてというのです。
「多くの名士の方々が来られたのですから」
「嬉しいのね」
「思う存分楽しんで下さい」
是非にというのでした。
「このホテルを」
「それじゃあね」
ドロシーも笑顔で頷いて応えました。
「泊まらせてもらうわ」
「では案内させて頂きます」
こうしてでした。
一行はホテルの最上階のロイヤルスイートに案内されましたが。
ドロシーとオズマそれにトトとエリカ、ベッツイにトロットにキャプテンとハンク、恵梨香達五人にです。
ヘンリーおじさんとエマおばさんお二人にそれぞれ部屋が用意されました、お二人は自分達のお部屋マンチキンの青で統一されたその中で驚きの声をあげました。
「何と、これは凄い」
「まるで宮殿じゃない」
仰天して言うのでした。
「カーテンはシルクだぞ」
「それも上等の」
「絨毯はペルシャ絨毯かい?」
「ベッドは天幕で」
「お風呂は大浴場じゃないか」
「サファイアと青い大理石で造られた」
目を見開いて言うのでした。
「ソファーはふかふかで」
「テーブルは青い黒檀で」
「彫刻や絵まで飾られて」
「しかも広いぞ」
「お部屋も幾つもあるわ」
「だからロイヤルスイートなのよ」
ドロシーはそのお二人に笑顔で答えました。
「だからなのよ」
「こんなに豪華なのか」
「宮殿みたいに」
「この街で一番のホテルでね」
それでというのです。
「しかもね」
「そうなんだな」
「これだけ豪華なのね」
「そう、そしてね」
それにというのです。
「皆も」
「それぞれかい」
「こうしたお部屋なのね」
「そうなんだ、僕はドロシーと一緒だけれど」
トトもお二人に言いました。
「こうしたね」
「立派なお部屋か」
「そうなのね」
「そうだよ」
青い天幕のベッドを見ながらお話します。
「僕達皆ね」
「そうなんだな」
「皆なのね」
「ここで休んでね」
さらに言うトトでした。
「そしてね」
「ああ、街を食べ歩いてな」
「遊ぶのね」
「そうするんだよ」
これからというのです。
「お二人もね」
「だからね」
ドロシーはまたお二人に言いました。
「そんなに驚かないでね」
「落ち着いてか」
「休むのね」
「そうしてね、私達もこうしたお部屋だから」
皆同じだからだというのです。
「本当にね」
「気にしなくていいか」
「そうなのね」
「そうよ、じゃあ一服してからね」
「街に出てか」
「楽しむのね」
「そうしましょう」
お二人に笑顔で言ってでした。
実際に皆一服してからです、ホテルを出て街に出ました。西欧の港町みたいな街並みはマンチキンの青でとても奇麗です。
その奇麗な街を歩きながらです、キャプテンが言いました。
「そういえばお二人は船に乗っている時に」
「ああ、出店見てね」
エリカが応えます。
「たこ焼きとかいか焼き食べたいってね」
「言われてたね」
「そうだったわね」
「うん、そうだよ」
実際にです、おじさんは答えました。
「たこ焼きなんて食べたことがないからね」
「それでだね」
「いか焼きもないし」
そちらもとキャプテンに答えます。
「出来ればどちらもね」
「食べたいんだね」
「まずはね」
「私もよ」
おばさんも言ってきました。
「ここはね」
「そうしたいね」
「そうよね」
「それじゃあね」
ドロシーもお二人のお話を聞いて頷きました。
「まずはね」
「たこ焼きやいか焼きをか」
「食べるのね」
「そうしましょう」
こう言ってでした。
ドロシーは皆を船の中から見たあの出店に案内しました、そこでは今もたこ焼きそしてお隣のお店ではいか焼きも売られていてです。
いい匂いを出していました、そしてです。
注文して食べるとでした。
「これはまた」
「物凄く美味しいわ」
おじさんもおばさんも丸いおソースを塗って青海苔や鰹節をかけたたこ焼きそして小さく切った烏賊を卵や小麦粉を練ったものに入れて焼いたいか焼きを食べて言いました。
「たこ焼きもいか焼きもね」
「どちらもな」
「こんなに美味しいなんて」
「思わなかったよ」
「そうね」
「これはいいな、蛸も烏賊もな」
どちらもと言うおじさんでした。
「食べるなんてな」
「私達は思わなかったけれど」
「こうして食べるとな」
「とんでもなく美味しいわ」
「たこ焼きやいか焼きでこんなに感激するなんて」
ベッツイはそのお二人を見て自分もたこ焼きを食べつつ言います。
「凄いわね」
「そうね」
トロットはいか焼きを食べながら応えました。
「こんなになんて」
「お二人はこうしたもの食べたものなかったのね」
「そうみたいね」
「なかったよ」
おじさんは実際にと答えました。
「これまでね」
「だからですか」
「はじめて召し上がられてですか」
「感激しているんだ」
こう言います。
「わしもね」
「そうなんですね」
「そこまでなんですね」
「そうだよ、あまりにも美味しくて」
それでというのです。
「頬っぺたが落ちそうだよ」
「そこまでなんだ」
ハンクもお話を聞いて驚きました。
「たこ焼きが美味しいんだ」
「そうだよ」
おじさんはハンクにも笑顔で答えました。
「そう思うよ」
「ううん、ヘンリーさんもエマさんもね」
「本当に質素なの」
ドロシーはハンクにお話しました。
「食生活もね」
「ずっとそこにあるものばかり食べて」
「そうした状況でね」
「オズの国でもだね」
「昔の名残がある食生活で」
それでというのです。
「それでよ」
「たこ焼きもいか焼きもなんだね」
「食べたことがなくて」
「魚介類自体が」
「それでよ」
「成程ね」
「そうだから」
それでというのです。
「それで今回の旅も」
「その魚介類を食べてもらう為だし」
「こうして感激してもらって」
「嬉しいよ」
おじさんは笑顔で言ってきました。
「ドロシーの気持ちもね」
「そう言ってくれるのね」
「そうだよ、たこ焼きもいか焼きも美味しくて」
「私の気持ちもなの」
「嬉しいよ、だから尚更ね」
それこそというのです。
「美味しいよ」
「そうなのね」
「じゃあこれからもだね」
「色々と食べてね」
ドロシーは笑顔で言いました、そして皆で食後街の大聖堂や市場に港に塔といった街の名所を歩いて観てです。
オズマの提案で洋食屋さんに入りましたが。
「シーフードカレーね」
「それを注文するのね」
「このお店の名物はそれよね」
オズマは皆で席に着いたうえでドロシーに言いました。
「そうよね」
「海老フライとね」
「海老フライも食べるけれど」
それと共にというのです。
「メインはね」
「シーフードカレーね」
「そちらにしましょう」
「それじゃあね」
ドロシーはオズマの提案に頷いてでした。
お店の人にシーフードカレーと海老フライを注文しました、それぞれの人数分注文するとすぐにでした。
お料理が来ました、おじさんはそのカレーを見て言いました。
「カツカレーにも驚いたが」
「このカレーにもなのね」
「驚いたよ」
こうドロシーに言いました。
「わしはな」
「そうなのね」
「いや、これは」
さらに言うのでした。
「豪華だな」
「いかに海老に蟹に貝に白身魚が入っていて」
おばさんはルーを見て言いました。
「こんなカレーがあるのね」
「うん、話は聞いていたけれどな」
「これはまたね」
「凄いな」
「そうよね」
「私達今度はこのカレーを食べるのね」
「海老フライもな」
こちらもというのです。
「食べるんだな」
「それじゃあね」
「今からな」
「いただきましょう」
こうお話してです。
皆で今度はシーフードカレーそれに海老フライを食べます、おじさんはカレーを食べてすぐに言いました。
「このカレーも美味しいな」
「そうですね」
恵梨香も食べて言います。
「具もよくて」
「海老の美味しいこと」
神宝はそれを食べています。
「これはまた」
「蟹も殻から出していて」
それでと言うジョージでした。
「凄く食べやすいし」
「貝だっていいわ」
ナターシャは貝をお口の中に入れて言いました。
「こちらもね」
「このお魚は鱈だけれど」
カルロスは思わず唸っています。
「癖がなくていいよ」
「このカレーにも烏賊が入っているけれど」
恵梨香はまた言いました。
「こちらもいいわ」
「いや、こんなカレーがあるなんて」
まさにと言うおじさんでした。
「いいね」
「海の幸を使うとね」
ドロシーもカレーを食べつつお話します。
「こうしたね」
「カレーになるんだね」
「そうなの」
実際にというのです。
「こうしてね」
「そうなんだな」
「ええ、たこ焼きやいか焼きも美味しくてね」
「こうしたカレーもだね」
「美味しいのよ」
「ドロシーの言う通りだな」
おじさんはしみじみとした口調で頷きました。
「本当にな」
「美味しいわね」
「そう思うよ」
心から言うのでした。
「本当に」
「それじゃあね」
「うん、このカレーもだね」
「楽しんでね、それで海老フライもね」
こちらもというのです。
「食べてね」
「それじゃあな」
おじさんはドロシーの言葉に頷いてです。
実際に海老フライも食べました、そうして言いました。
「ああ、こちらも」
「美味しいでしょ」
「かなりな」
「こうしたものもね」
「美味しいんだな」
「そうなの」
「いや、何でも美味しいよ」
おじさんは笑顔で言いました。
「カレーも海老フライも」
「満足してくれているのね」
「うん」
心から答えました。
「凄くな、しかしな」
「しかし?」
「いや、ドロシーはいつもこうしたものを食べてるんだな」
「ええ、海の幸のものもね」
ドロシーは正直に答えました。
「よく食べていてね」
「それでなんだな」
「シーフードカレーもね」
今食べているそちらもというのです。
「それで海老フライもよ」
「そうなんだな」
「だからね」
それでというのです。
「おじさんもおばさんもね」
「食べるんだな」
「この街で」
「そうしてね」
自分も食べながらお話します。
「心ゆくまでね」
「それじゃあな、しかし」
おじさんは海老フライを食べてです。
そしてカレーも食べてです、また言いました。
「フライとカレーは合うんだな」
「だからカツカレーもよ」
「あるんだな」
「そうよ」
まさにといのです。
「ああしてね」
「そうなんだな」
「海老フライカレーもよ」
「あるんだな」
「そうよ」
「それも美味しそうだな」
おじさんはお話を聞いて言いました。
「海老フライカレーも」
「そう思うでしょ」
「それならな」
「ええ、今度ね」
「食べたらいいな」
「カレーは朝に食べてもいいから」
ドロシーは笑顔でお話しました。
「外の世界だと毎朝カレーを食べてた人がいたそうだし」
「イチローさんですね」
恵梨香が応えました。
「野球選手の」
「あの人のことは凄く有名でね」
「オズの国にも伝わっていますか」
「そうなの」
こうお話しました。
「それで私もね」
「ご存知なんですね」
「それで試しにね」
「朝にカレーを食べるとですか」
「調子よかったわ」
恵梨香に笑顔でお話しました。
「実際にね」
「そうだったんですね」
「だからね」
「ヘンリーさんとエマさんにですか」
「ホテルにお話して」
それでというのです。
「朝にね」
「カレーですね」
「海老フライカレーをね」
まさにそれをというのです。
「食べてもらいましょう」
「それでお二人にもですね」
「食べてもらいましょう」
「わかりました」
「それとね」
ドロシーは恵梨香にさらに言いました。
「オズの国では鯨も食べるから」
「そうですよね、こちらでは」
「日本と同じでね」
「そうしてますね」
「だからおじさんとおばさんにはね」
「鯨もですね」
「食べてもらうわ」
こちらもというのです。
「是非ね」
「鯨かい」
おじさんはこの生きものと聞いておや、となって言いました。
「オズの国では食べると聞いたけれど」
「おじさんとおばさんはね」
「鯨油は使っていたよ」
こちらはというのです。
「そうだったよ、けれど」
「それでもよね」
「食べるなんてな」
「なかったわね」
「オズの国に来るまで食べられること自体が」
それこそというのです。
「考えられなかったよ」
「そうだったわね」
「それでかい」
「鯨もね」
「食べるんだな」
「そうしましょう」
「これが美味しいの」
オズマもにこりと笑って言います。
「鯨もね」
「オズマ姫も言われるなら」
「それならね」
「鯨もいただこう」
「そうしましょう」
お二人でシーフードカレーを食べながら笑顔でお話します、そうしたお話をしてでした。
食べ終わってお店を出た時にです、ドロシーは言いました。
「鯨料理というと」
「やっぱり和食だよね」
「そうよね」
トトの言葉に頷きます。
「何といっても」
「何でも外の世界では北欧でも食べるらしいわね」
「アメリカでもアラスカでね」
「けれどね」
「鯨料理となると」
「和食ね」
「そうだよね」
トトは笑顔でお話しました。
「まずは」
「それじゃあ夜はね」
「日本料理店に行こうね」
「日本料理っていうと」
おじさんはそう聞いて言いました。
「お寿司だけじゃないね」
「ええ、お刺身もあって」
ドロシーはおじさんに答えました。
「天麩羅もあってね」
「鯨料理もあるんだね」
「日本料理は凄く奥が深くて」
そしてというのです。
「種類もね」
「多いんだね」
「それでね」
その為にというのです。
「鯨料理もあるのよ」
「成程な」
「それで今夜はね」
是非にというのです。
「鯨料理をね」
「わし等はご馳走になるのか」
「これがまたいいのよ、ただね」
ここでドロシーは首を傾げさせてお話しました。
「外の世界じゃ最近まで」
「はい、鯨を食べることに何かとありまして」
恵梨香が答えました。
「難しかったんです」
「日本ではそうで」
それでと言うジョージでした。
「最近まであまり食べられませんでした」
「制限がかかってたんですね」
カルロスはこう表現しました。
「どうも」
「僕達は別に食べていいと思うんですが」
それでもと言う神宝です。
「食べたらいけないって人もいまして」
「そうした風で」
ナターシャは五人の意見をまとめました。
「日本ではあまり食べられなかったんです」
「おかしなお話ね、特に何を食べてもいいでしょ」
ドロシーは首を傾げさせて言いました。
「鯨でもね」
「私達もそう思うんですが」
「それが違いまして」
「そうしたことを言う人達がいて」
「それで、です」
「あまり食べられなかったんです」
「何でもね」
キャプテンが言ってきました。
「鯨は人間の次に頭がいいから」
「食べたらいけなかったのね」
「そう言っている人がいたらしいよ」
「だったら牛がそうだったら」
「言うかな、けれど牛はね」
こちらの生きものはというのです。
「アメリカじゃ殆どの人が食べるね」
「そうよね」
「だからね」
「そうは言わないのね」
「わしはそうなっていると思うよ」
「それは違うでしょ」
エリカはきっぱりと言いました。
「その論理だと牛が人間の次に頭がいいならね」
「牛は食べたら駄目ね」
「豚や羊や鶏がそうなら食べないの?」
「そうはならないでしょうね」
「そうでしょ、アメリカじゃ鯨は食べないし」
「殆どの国でそうみたいね」
「外の世界ではね、自分達が食べないから」
それでというのです。
「そうした理由があってもね」
「食べたら駄目っていうのは」
「おかしな論理よ」
「そうよね」
ドロシーもそれはと頷きます。
「やっぱり」
「そうよ、そんなこと言うなら」
それならというのです。
「わたしそんな人がいたらね」
「おかしいって言うわね」
「はっきりとね」
エリカは胸を張って言いました。
「絶対にね」
「そうよね」
「そんなおかしなお話はオズの国じゃないから」
トロットが言ってきました。
「安心していいわ」
「ええ、誰もそんなおかしなことは言わないわ」
「法律でもよ」
「そんなものはないわね」
「何でそんなこと言うのか」
首を傾げさせてです、トロットは言いました。
「私全くよ」
「理解出来ないわね」
「ドロシーもでしょ」
「ええ」
その通りとです、ドロシーも答えます。
「全くね」
「そうよ、本当にね」
「意味不明ね」
「そんなお話よ」
「そうね」
まさにというのでした。
「どう考えても」
「私は鯨好きよ」
ベッツイははっきりと言いました。
「和食のそれがね」
「貴女はそうよね」
「食べられるものは何でもね」
「食べるべきよね」
「オズの国の神々と主に感謝して」
そうしてというのです。
「食べるべきよ」
「鯨だってね」
「そうよ、じゃあね」
「今夜はね」
「鯨料理をね」
「楽しむわね」
「そうしましょう」
こうお話してからでした。
皆はまた観光をしてそれからスーパー銭湯に入ってサウナやワイン風呂を満喫してそれからでした。
鯨料理店に入りましたがおじさんもおばさんもお店の座布団に着席してから満面の笑顔で言いました。
「いや、スーパー銭湯もな」
「いいわね」
「サウナで汗をかいて」
「ワイン風呂や露天風呂も入って」
「普通の湯舟もな」
「水風呂に入りながらね」
「ああした場所もいいな」
おじさんはすっきりとしたお顔で隣にいるおばさんに言いました。
「本当に」
「そうね、それにね」
おばさんも言います。
「今こうして座布団の上に座っているけれど」
「椅子じゃなくてな」
「畳と障子のお部屋で」
「これも独特だな」
「そうよね」
こうお話するのでした。
「本当に」
「全くだよ」
「これが日本なのね」
「そう、あの国はこうしたお家の造り方で」
ドロシーがお話します。
「お店もね」
「こうなんだな」
「木造で畳や座布団があって」
「靴を脱いでお部屋に入って」
「そうして楽しむのね」
「そうなの」
まさにというのです。
「日本ではね」
「成程な」
「独特な国って聞いてたけれど」
「こんな国もあるんだな」
「オズの国には」
「今のオズの国には日本文化も入ってきていて」
それでというのです。
「日系人の人もいてね」
「こうしたお店もあってか」
「鯨も食べられるのね」
「そうなの、お寿司も天麩羅もあって」
そしてというのです。
「今晩はね」
「鯨か」
「鯨料理を頂くのね」
「これからね。色々と出るからね」
にこりと笑って言うドロシーでした、そしてです。
程なくして皆がいるお座敷のお部屋にお料理が運ばれてきました、そのメニューはどんなものかといいますと。
「ハリハリ鍋に鯨のお刺身に」
「ステーキにカツにね」
「さらし鯨にベーコンね」
「それでデザートは和菓子ね」
ドロシーはオズマとお話しました。
「そうなっているわ」
「それで日本酒も出て」
「そちらも楽しめるわ」
「豪勢ね。それじゃあね」
「ええ、今からね」
「鯨料理いただきましょう」
「そうしましょう」
こうお話してでした。
皆で鯨料理をいただきます、おじさんとおばさんも鯨をいただきますが。
「これが鯨のお刺身か」
「お魚とはまた違った味がするわね」
「美味いな、これも」
「そうね」
まずはお刺身に舌鼓を打ちました。
「こんな食べものもあるのね」
「海にはな」
「そうなの、ベーコンも美味しいから」
ドロシーはそちらのお話をしました。
「食べてみて」
「ああ、これもな」
「いいわね」
お二人はベーコンも食べて目を輝かせました。
「豚のベーコンとは全然違って」
「お肉と脂身のどちらも美味しくてな」
「楽しく食べられるわ」
「そうだな、それにだ」
おじさんはさらし鯨も食べて言いました。
「さらし鯨もいいぞ」
「あら、確かに」
おばさんもさらし鯨を食べて言いました。
「こちらも美味しいわね」
「こちらはあっさりしていてな」
「いいわね」
「どちらも弾力があって」
「噛み応えもあるわ」
「私こちらも好きなのよね」
ベッツイはステーキを食べて笑顔になっています。
「ステーキ自体が好きだけれど」
「鯨のステーキもよね」
「好きで」
ドロシーに食べつつ応えます。
「それでね」
「今食べているわね」
「この通りね」
まさにというのです。
「頂いているわ」
「そうよね」
「最初鯨のステーキなんて想像もしなかったけれど」
「いざ食べてみるとね」
「美味しいのよね」
「そうなのよね」
ドロシーもそれはと応えます、そしてです。
トロットはカツを食べてそれで言いました。
「フライじゃないのよね」
「また違うわ」
「そうよね、けれどね」
「鯨のカツもいいでしょ」
「ええ」
食べつつドロシーの言葉に頷きました。
「やっぱり噛み応えがあって」
「味もね」
「いいわ」
「そうよね、しかもお酒にね」
ドロシーはアルコールの入っていないそれをおちょこで飲んで言いました。
「合うのよね」
「そうよね」
トロットも飲んで頷きました。
「こちらとも」
「だから尚更いいのよ」
「こんな美味しいものを食べないなんて」
それはと言うオズマでした、オズマはお刺身を食べています。
「外の世界はわからないわ」
「そうよね」
「私達も長い間食べなかったけれど」
「今は食べてね」
「凄く幸せになってるわ」
「そうなっているわね」
「食べられるものは何でも食べて」
そしてというのです。
「誰が何を食べても言わない」
「それが大事よね」
「私達が牛肉を食べても」
「それで好きでもね」
「ヒンズー教徒の人達はね」
この人達はというのです。
「食べないから」
「そのことを忘れたらいけないわね」
「そうよ」
まさにというのです。
「他の人の文化や考えとかもね」
「注意することね」
「お互いにね」
「それが大事よね」
「そうしないと」
さもないと、というのです。
「駄目よ」
「そうよね」
「ううん、日本酒も飲んでみると」
おじさんはお酒も飲みます、大人なのでアルコールが入っているものを飲んでそのうえで言います。
「これもまた」
「美味しいわね」
「いや、お酒っていうと」
おじさんは一緒に飲んでいるおばさんにお話しました。
「ビールやワインや」
「ウイスキーとかね」
「バーボンなんだがな」
「あなたよくバーボン飲むわね」
「ああ、しかしな」
それがというのです。
「日本酒もだよ」
「飲むといいわね」
「美味しいよ」
「そうよね」
「これなら」
さらに飲んで言うのでした。
「どんどんだよ」
「飲めるわね」
「お米で造ったお酒もな」
「あってね」
「それがまた美味い」
「いいことを知ったわね」
「お米もいいのよ」
ドロシーも言ってきました。
「そして日本酒もね」
「いいな」
「美味しいわね」
「それがあることが」
このこと自体がというのです。
「やっぱりね」
「いいことだな」
「そうよね」
「そうよ、それでね」
そのうえでというのです。
「お酒も楽しんでね」
「そうするな」
「是非ね」
「それでお鍋もね」
ハリハリ鍋も忘れていません。
「楽しみましょう」
「鯨の肉に硬い青菜が入っているな」
「日本のだしの中にね」
「これも食べるか」
「そうするのね」
「そうよ」
まさにというのです。
「こちらもね」
「これまた美味しそうだ」
おじさんはハリハリ鍋を見て言いました。
「鯨はお鍋にもなるんだな」
「そうなの、色々なお料理にね」
「なるんだな」
「だからね」
それでというのです。
「こちらもね」
「食べるといいな」
「そう、だから皆でね」
是非にというのです。
「他のものを食べたら」
「いただくんだな」
「そうしましょう」
笑顔で言ってでした。
皆で実際にです、お刺身とかを食べてです。
ハリハリ鍋も食べます、おじさんはお鍋と青菜を一緒に食べて今度も目を輝かせてそのうえで言いました。
「こちらもまた」
「美味しいですよね」
「ハリハリ鍋も」
「だしで煮られた鯨肉が」
「青菜とも合っていて」
「病みつきになりそうですね」
「全くだ、こんなお料理にも出来るなんて」
おじさんは恵梨香達五人にも応えて言いました。
「全く以てな」
「素敵ですよね」
「鯨肉は」
「他の色々なお料理にも出来て」
「ハリハリ鍋にもですから」
「最高のお肉ですね」
「牛肉にも負けていないんじゃないか」
おじさんはこうまで言いました。
「これは」
「そうね」
ドロシーも鯨肉と青菜を食べつつ頷きます。
「鯨はそう言っていいわね」
「そうだな」
「どの部分も無駄なくね」
「食べられるんだな」
「そうなの」
鯨はというのです。
「そうしたものなの。あとね」
「あと?どうしたんだい?」
「オズの国じゃ誰も死なないわね」
このことについても言うドロシーでした。
「人間だけじゃなくてね」
「ああ、皆不老不死だな」
「そうしたお国ね」
おじさんだけでなくおばさんも言います。
「だから食べても」
「それでもよね」
「魂は不滅でね」
それでというのだ。
「身体もすぐにね」
「復活するな」
「そうなるわね」
「だから鯨もね」
この生きものもというのです。
「食べてもね」
「復活するんだな」
「そうなるのね」
「何度もね、北欧神話の神様でトール様がおられるけれど」
この神様のお話もするのでした。
「あの神様には二匹の山羊がいるわね」
「ああ、あの山羊達か」
「戦車を曳いている」
「あの山羊達も食べてもね」
そうしてもというのです。
「ちゃんとね」
「復活するな」
「そうなるわね」
「だからね」
それでというのです。
「他の生きもの達もね」
「復活するな」
「オズの国だと」
「ええ、お伽の国だから」
それ故にというのです。
「誰も死ななくて」
「食べられてもか」
「復活するのね」
「そうよ、例え崖から落ちても」
そうなってもというのです。
「死なないしね」
「それで、ですね」
恵梨香もハリハリ鍋を食べています、そうしつつドロシーに言いました。
「ドロシーさんが最初にオズの国に来られた時に」
「カリダに襲われてね」
「あのカリダは崖に落ちたわね」
「あのカリダもですね」
「死んでないわよ」
「そうですよね」
「それで元気に過ごしているわ」
今もというのです。
「そうしているわ」
「そうなんですね」
「他の皆もね」
「そうですか」
「だから安心してね」
「死なないということについては」
「そうしてね」
恵梨香に笑顔でお話します。
「そのことは」
「わかりました」
恵梨香も微笑んで頷いて答えました。
「そのことは」
「それじゃあね」
「鯨もそうして食べてますね」
「そうよ、じゃあハリハリ鍋もね」
「食べますね」
「そうしましょう、デザートは和菓子だから」
このこともです、ドロシーはお話しました。
「そちらもね」
「楽しめばいいですね」
「そうよ、そして明日もね」
「この街のお料理をですね」
「楽しんでいきましょう」
ドロシーは満面の笑顔で言いました。
「当然おじさんもおばさんもね」
「そうさせてもらうよ」
「本当に美味しいから」
お二人も笑顔で応えました、そうしてその夜は鯨料理を満喫するのでした。