『オズのカリフ王』




               第十二幕  最後の歴訪国

 天女の国でもでした。
 ノーム王と皆は素晴らしいまでの楽しいおもてないを受けました。そのうえでこの国も後にしましたが。
 飛行船の中で、です。つぎはぎ娘はノーム王に尋ねました。
「後はもう帰るだけよね」
「いや、実は先程国の留守の者達と電話で話をしたが」  
 ノーム王はつぎはぎ娘に答えました。
「これがな」
「どうなったの?」
「もう一国歴訪先が増えた」 
 こう言うのでした。
「これがな」
「それはどの国なの?」
「エメラルドの都じゃ」
 ノーム王はつぎはぎ娘に笑顔で告げました。
「あちらの国じゃ」
「あら、あたし達の国じゃない」
「他ならぬな、飛行船を貸してもらってな」
 そうしてというのです。
「よくしてもらったお礼をしたいとな」
「そうしたお話になったのね」
「わしから言ってな」
 ノームの国の留守の人達にというのです。
「そして訪問させてもらってな」
「お礼をするのね」
「そうじゃ」 
 まさにというのです。
「そうさせてもらうということでな」
「お話が決まったのね」
「左様じゃ、もうお礼の品はある」
 エメラルドの都に贈るそれはというのです。
「それもふんだんにな」
「それは何なの?」
 ビリーナが尋ねました。
「一体」
「宝石じゃ」
 ノーム王はビリーナにも答えました。
「実は各国の歴訪の際な」
「それぞれのお国になのね」
「贈りものとしてな」
 それでというのです。
「持って来ておったのじゃ」
「宝石をなの」
「色々な宝石をな、それで実はな」
「まだあるのね」
「そうなのじゃよ、それでな」
 ノーム王はさらにお話しました。
「エメラルドの都にもな」
「贈るのね」
「その為にな」
「これからエメラルドの都を訪問して」
「そしてな」 
 そのうえでというのです。
「お礼の宝石達を贈らせてもらうぞ」
「わし等もじゃ」
 ドワーフ王も言ってきました。
「わし等も歴訪先の国々に宝石達を贈らせてもらっていたが」
「そうだったのね」
 ドワーフ王にはポリクロームが応えました。
「貴方達も」
「それでノーム王と同じ理由でな」
「エメラルドの都を訪問するのね」
「そしてな」
 そのうえでというのです。
「お礼をな」
「させてもらうのね」
「そうする、わし等の贈りものもな」
 ドワーフ王は今度はそちらのお話をしました。
「宝石じゃ」
「そちらね」
「勿論エメラルドもある」
 エメラルドの都で最も大事にされているこの宝石もというのです。
「そちらもあるからな」
「贈らせてもらうのね」
「是非な」
「それでなのね」
「これからな」
「お二人で」
「エメラルドの都に向かおうぞ」
「元々歴訪が終わったら都に戻る予定だった」
 このことはキャプテンビルが言いました。
「だからな」
「ええ、進路はこのままね」 
 トロットが応えました。
「そうね」
「そうしてだよ」
 キャプテンはトロットに笑顔で応えました。
「都に戻って」
「そこで最後の歴訪ね」
「お二人のそれぞれの国のね」
「そうなるわね」
「是非共。それともう都の方にも連絡はいっているかな」
「ちょっと待ってね」 
 キャプテンのお話を受けてでした。
 トロットは自分の携帯を出してそのうえでオズマに電話をしました、そして彼女とお話をしてから言いました。
「ええ、もうね」
「連絡はいっているんだね」
「ええ」
 笑顔での返事でした。
「よかったわ」
「それは何よりだね、それじゃあ」
「今からね」
「普通に戻ればいいよ」
 エメラルドの都にというのです。
「このままね」
「何の心配もいらないわね、おもてなしの用意もね」
「出来ているんだね」
「都の方でね」
「そこは流石だね」
「オズマだからね」
「しっかりしているね」
「オズのお国の名士の皆も集まって」
 そうなってというのです。
「そしてね」
「楽しくだね」
「おもてなしをすることになっているわ」
「そのことも嬉しいね」
「そうよね、戻ってきたらね」
 その時はというのです。
「もうね」
「パーティーとかもあって」
「凄く楽しいわ」
「ではこのまま戻ろう」
「そうしましょう」 
 笑顔でお話してでした。
 飛行船は航路をそのままにエメラルドの都に戻っていきます、皆はその中で歌とダンスそれにお茶をです。
 楽しみます、今トロットは皆にお抹茶とです。
 和風のティーセットを出しましたがそのお抹茶を飲みまして。
 ノーム王は笑顔で、です。こう言いました。
「この日本のお茶もな」
「いいんですよね」 
 ジョージも飲みつつ応えます。
「茶道にも使ってますけれど」
「お菓子とも合って」
 ナターシャは三色団子を食べて言います。
「とても美味しいです」
「最初飲んだ時は苦くて」
 カルロスはその時のことをお饅頭を食べつつ言いました。
「何これってなったんですが」
「今は楽しめてます」 
 恵梨香は羊羹を食べています、上段はお団子中段はお饅頭そして下段がこの羊羹となって置かれています。
「本当に」
「お茶を飲んでお菓子を楽しんで」
 神宝もお茶を飲んでいます。
「素敵ですよね」
「あれじゃ、茶道のな」
 それのと言うノーム王でした。
「あの詫び寂びの趣もいいのう」
「まさに文化じゃ」
 ドワーフ王もお茶を口にして言います。
「こうしてお茶を飲むのも」
「ただお茶を飲んでな」
「お菓子を楽しむのかというとな」
「これが違う」
「うむ、文化でもある」
「これが至ってな」
「いいものじゃ」
 こうノーム王に言いました。
「まことに」
「左様じゃな」
「日本の茶道もよいのう」
「文化を楽しむことの何とよいことか」
「今はティータイムだけれど」
 テーブル掛けから出したトロットも言います。
「こうしたものもいいでしょ」
「うむ、ただ本来はな」
 ノーム王はそのトロットに言いました。
「茶道のお部屋で茶器を使ってな」
「そう、そうして煎れてね」
「飲むものもであるな」
「お菓子も食べてね」
「そうであったな」
「それが茶道なのよ」
 この文化だというのです。
「日本のね」
「うむ、正座すると聞いたが」
「本来はね」
 見れば今正座しているのは日本人の恵梨香だけです、他の皆はそれぞれの姿勢で座って飲んでいます。
「けれど無理をしないこともね」
「よいか」
「無理をして楽しむものじゃないから」
 茶道はというのです。
「だからね」
「正座でなくともよいか」
「そうよ、それでね」 
 そのうえでというのです。
「楽しめばいいのよ」
「そうしたものじゃな」
「そうなのよ、あとグリーンティーはね」
 トロットはこのお茶のお話もしました。
「お抹茶を冷やして甘くしたものだけれど」
「まあこのお茶と思っていいな」
「そう、だからね」
「あちらも美味いのう」
「そうなのよね」
 笑顔で言うのでした。
「あちらも」
「そうであるな」
「お抹茶は苦いから」
「それに慣れんとな」
「飲んでも辛いのよね」
「しかしグリーンティーはな」
「甘くしてあって」 
 冷やしたうえでというのです。
「あちらはあちらでね」
「美味しいからのう」
「楽しめるわ」
「では今度飲もう」
 ノーム王は笑顔で言いました。
「そうするぞ」
「そちらもいいでしょ」
「ではそういえばグリーンティーとなれば」
 ここでまた言ったノーム王でした。
「エメラルドの都の緑とな」
「同じでしょ、だから都でもね」
「よく飲むか」
「そうなのよ」
 トロットはこのこともお話しました。
「緑の紅茶もあるし今私達が飲んでいるお抹茶もね」
「あって」
「そしてね」
「グリーンティーもあるか」
「だから都を歴訪したら」 
 そお時はというのです。
「楽しくね」
「飲めるか」
「そうなるわ」
 こう言ってでした。
 今は皆で日本のティータイムを楽しみました、そして二日後の朝にです。
 飛行船は都に着きました、着いたのは宮殿の傍の広場でそこに降り立つとです。
 もうオズマが皆と一緒に待っていました、そして。
 そこで、です。皆を迎えてから言ってきました。
「いらっしゃい、そしてね」
「お帰りなさいか」
「ええ、そうよ」
 ノーム王に笑顔で応えました。
「待っていたわ」
「そうか、では飛行船はな」
「返してくれるのね」
「お世話になった、有り難う」
「まことに楽しい旅であった」
 ノーム王だけでなくドワーフ王も言ってきました。
「お陰でな」
「そう言ってくれて嬉しいわ」
 オズマはドワーフ王にも笑顔で応えました。
「それではね」
「これからであるな」
「おもてなしをさせてもらうわ」
「それではな」
 ノーム王も応えてでした。
 そのうえで宮殿に案内してもらってそこで、でした。
 オズマと皆のおもてなしを受けますがまずはでした。
 魔法使いが魔法を披露しますがノーム王はシルクハットから九匹の子豚を出して実験でお花を生み出したのを見て言いました。
「まさにな」
「魔法であるな」
 ドワーフ王も見て言いました。
「紛れもなく」
「魔法使いさんのそれはな」
「手品や実験を応用しているが」
「それがまたな」 
 実にというのです。
「見事にじゃ」
「魔法に合っておってな」
「素晴らしいものになっておる」
「全くじゃ」
「わし等も手品は知っておるが」
「実験もな」
「魔法と合わせるとな」
 そうすると、というのです。魔法使いの様に。
「見事なものじゃ」
「魔法使いさん独特の魔法になる」
「実にな」
「魔法使いさんは発明もしているんだ」 
 ここでドロシーの足下にいるトトが言ってきました。
「実はね」
「ではその発明にもじゃな」
「魔法が使われておるな」
「そうなんだ、それでね」
 そうなっていてというのです。
「凄いものになっているんだよ」
「それでオズの国の発展にも貢献しているのよ」
 猫のエリカも言ってきました。
「魔法使いさんは」
「発明と言うとエジソンさんであるが」
 ノーム王はこの人のお名前も出しました。
「魔法使いさんはか」
「そのエジソンさんともお話してね」
「発明したものにか」
「ご自身の発明したものもで」
 それでというのです。
「エジソンさんが発明したものにもね」
「魔法を加えてか」
「より凄いものにしているのよ」
「それはまた凄い」
「オズの国は魔法と科学が一つになる国だから」
 トトはこうも言いました。
「色々と不思議なものも生まれて」
「魔法使いさんもじゃな」
「そうしたものを生み出してくれるな」
「そうなんだ」 
 こうノーム王とドワーフ王にお話しました。
「あの人はね」
「まさに偉大な魔法使い」
「そう言うしかないのう」
「うん、僕もそう思うよ」
 トトもなのでした。
「本当にね」
「思えば魔法使いさんと出会えてよかったよ」
「そうだね」
 かかしと樵も言ってきました。
「僕達の最初の旅で出会って」
「エメラルドの都でね」
「それからオズの国に戻って来て」
「今じゃオズの国に欠かせない人の一人だよ」
「発明もしてくれて」
「素敵な魔法も披露してくれるしね」
「ははは、最近は仙術や陰陽道も学んでいてね」 
 魔法使いは笑って言ってきました。
「雲の上に乗ることも出来るよ」
「おお、それでは孫悟空さんと同じじゃな」
 ノーム王は魔法使いのお話を聞いて言いました。
「それは面白い」
「いや、仙人さんの仙術もね」
「よくてか」
「そしてな」
 それにというのです。
「陰陽道もな」
「日本のであるな」
「面白いよ、魔法にね」
 こちらに加えてというのです。
「科学、仙術に陰陽道」
「そうしたものを合わせるとか」
「もっと凄いものが出来るんだよ」
「そうであるな」
「あと錬金術もね」 
 こちらもというのです。
「素晴らしいしね」
「ああ、あちらもよいな」
 今度はドワーフ王が応えました。
「魔法や科学と似ている部分があってな」
「仙術ともね」
「そちらともか」
「仙術はお薬も作るからね」
 だからだとです、魔法使いはドワーフ王にお話しました。
「それでだよ」
「錬金術と似ている部分もあるか」
「錬金術ではなくて錬丹術といって」
 そうしてというのです。
「お薬を作るんだよ」
「仙術にはそんなものもあるか」
「外の世界では不老不死のお薬を作ることが目的だったんだ」
「けれどオズの国じゃ皆最初からなんだよね」
「そうそう」
 臆病ライオンと腹ペコタイガーが言ってきました。
「不老不死だよ」
「誰も歳老いたり死なないよ」
「自分が望む年齢になれて」
「そして絶対に死なないからね」
「だから不老不死のお薬はないけれど」
 最初から皆そうだからです、それではそうしたものが生み出される筈がありません。
「けれどね」
「それでもであるな」
「他のお薬をね」
「生み出しておるか」
「例えばより元気に動けたり」
 そうなったりというのです。
「飲むと効果がある間仙術を使える」
「自分もか」
「そうしたお薬をね」
「生み出しておるか」
「そうなんだ」
「そんなものもあるのじゃな」
 ノーム王もお話を聞いて言いました。
「お主が作って」
「ただ仙術も魔法とね」
 魔法使いが応えました。
「見てわかると思うけれど」
「似ておるな」
「かなりね、これは錬金術も陰陽道もで」
「オズの国で魔法はな」
 ノーム王も言いました。
「使用が制限されておる」
「そう、最近は魔法は免許制になって」
「使える者はな」
「外のお医者さんの資格みたいにね」
 その様にというのです。
「厳しいチェックを受けて試験もね」
「受けてじゃな」
「そのうえでだよ」
「使える様になるな」
「以前はオズマ姫とグリンダさんと私の三人だけが使えたけれど」 
 そうした状況だったこともお話しました。
「今ではね」
「免許制であるな」
「それで仙術等もだよ」
「使うにはじゃな」
「免許制になったんだ」
「そうなのじゃな」
「だから悟空さん達もね」 
 この人達もというのです。
「免許をね」
「持っておるからか」
「仙術を使えるんだ」
「そうなのじゃな」
「悟空さん達の仙術は凄いのよね」 
 ドロシーも唸って言います。
「筋斗雲に乗って如意棒の大きさを変えられて分身して」
「あの仙術でかつては中国の天界を大暴れしたのじゃったな」
 ドワーフ王はこのことをお話に出しました。
「そうであったな」
「そうなの、それでお釈迦様に懲らしめられたのよ」
「それで石に入れられてな」
「三蔵法師さんにお会いするまでそのままだったのよ」
「凄いお仕置きであるが」
「兎に角悟空さんの術はね」
「痛快なまでに凄いわ」
 ドワーフ王も言いました。
「実にな」
「そうなのよね」
「けれどそんなに凄い術ならだよ」
「やっぱり悪戯に使われると怖いよね」 
 臆病ライオンと腹ペコタイガーが言いました。
「どうにも」
「実際孫悟空さん大暴れしてね」
「普通の神様じゃ手がつけられなくて」
「それでお釈迦様が出て来たし」
「あんな凄い方がね」
「だからオズマも考えたの」
 ドロシーはまた言いました、見れば皆と一緒にパーティーの場で出されているサンドイッチやハンバーガー、点心、お寿司といったものを食べています。
「オズの国の人が増えてね」
「魔法を使える人も三人だけだと足りなくなって」
「僕達と会議をしてどうしようかってなったんだよね」 
 かかしと樵は何も食べずにお話します。
「増やすべきかどうか」
「魔法を使う人をね」
「それで増やそうってなって」
「そこから免許制にしようってなって」
「仙術や陰陽道にも適用して」
「錬金術や超能力にもなんだよね」
「そうなのよね」
 ドロシーは臆病ライオンと腹ペコタイガーにもハンバーガーや点心をお皿に入れてあげながらかかしと樵にお話しました。
「これが」
「そうであるな、魔法等を使える者も必要であるが」 
 ノーム王は海老蒸し餃子それに蟹焼売を食べてでした。
 今は担々麺をすすりつつです、ドロシーに応えました。
「しかしな」
「それでもよね」
「うむ、使う者が悪用すればな」
「問題でしょ」
「悟空さんも悪戯で大変なことになったし」
「貴方はよくわかるわよね」
「前王はな」
 ラゲドー氏はというのです。
「実際にな」
「困ったことになったでしょ」
「何度もな」
「だから魔法とかはね」
「多くの人が使うにしても」
「免許制にしたのよ」
「誰でも好きな様にではないな」
 こうドロシーに言いました。
「そうであるな」
「そうなのよ」
「ちなみにあたし魔法使えないわよ」
 つぎはぎ娘が言ってきました。
「使おうって思ったことないしね」
「あんたはそうよね」 
 ガラスの猫が応えました。
「魔法を使うことに興味ないわね」
「全くね」
「それで何に興味があるか」
「もう決まってるわ」
 それこそというのです。
「歌とダンスよ」
「やっぱりそうよね」
「その二つにね」
 そちらにというのです。
「興味があってね」
「魔法にはよね」
「いいものと思っても」
 それでもというのです。
「自分が使おうとはね」
「思わないわね」
「全くね」
「まあ魔法を使えずともな」
 ノーム王は今度はスペアリブを食べて大好きなビールを飲んで言いました。
「やっていけるしのう」
「そうでしょ、普通にね」
「だからお主はじゃな」
「魔法を使うことにはよ」
「興味がないな」
「そうなのよ」
 こうノーム王に答えました。
「これがね」
「そうなのじゃな」
「だから今も歌とダンスにね」
「夢中じゃな」
「そうよ」
「さて、次は僕が舞台に上がるよ」
 ジャックが言ってきました。
「アコーディオン奏でるよ」
「私はクラリネットだよ」
「私はバイオリンだよ」 
 モジャボロとムシノスケ教授もでした。
「これから三人で演奏して」
「音楽を楽しんでもらうよ」
「そうするからね」
「ええ、お願いね」 
 今丁度宮殿にいてそうするという三人にです、トロットは笑顔で応えました。
「今から」
「うん、じゃあ聴いてね」
「飲んで食べながら」
「そうしてくれ給え」
 三人も応えてでした。
 演奏をしました、その演奏も素晴らしいもので皆拍手を贈りました、その後はキャプテンがトロットを漫才をしましたが。
 その漫才を見てです、ノーム王は言いました。
「コントとはまたな」
「うむ、違うな」 
 ドワーフ王も言いました。
「これは」
「漫才はな」
「コメディーとも違ってな」
「また面白いのう」
「そうであるな」
「じゃあ今度は私よ」
 ベッツイがハンクと一緒に笑顔で出て来ました。
「これから中国の演舞するから」
「ベッツイ最近そっちに凝ってるんだ」 
 ハンクも言ってきました。
「それで今回はね」
「それを出すわね」
「そうか、ではな」
 ノーム王はまた言いました。
「宜しく頼むぞ」
「ええ、それじゃあ舞台に行くわね」
 こう言って実際にでした。
 ベッツイは中国の楽器での演奏に合わせてそのうえで中国の服を着て見事な演舞を披露しました、漫才もこちらも拍手を受けて。
 ノーム王はいよいよという感じで言いました。
「ではな」
「お主もか」
「芸を披露したくなった」
 こうドワーフ王に言いました。
「どうもな」
「そうなったか」
「それでじゃ」
 ドワーフ王にさらに言います。
「これよりであるが」
「出しものを披露するか」
「それで出すものはな」
 それはといいますと。
「歌とな」
「踊りじゃな」
「それにする」
「やはりそうじゃな、ではわし等もな」 
 ドワーフ王はお供の人達も見て言いました。
「出しものをしよう」
「お主達もか」
「そうじゃ、ノームの歌とダンスの後はな」
「ドワーフの歌とダンスじゃな」
「それを披露しよう」
「そうか、しかし今思ったが」
 ノーム王は考えるお顔で言ってきました。
「少しな」
「どうしたのじゃ」
「いや、歌とダンスを出す者が結構おるな」
「うむ、この度のパーティーではな」
「だからな」 
 それでというのです。
「他のものを披露するか」
「わし等はか」
「そうじゃな」
 少し考えてです、ノーム王は言いました。
「わし等は劇を披露するか」
「それをか」
「そうじゃ、ノームの喜劇をな」
「そうするか、ではわし等はコントにするか」
「それか」
「お主達が着劇ならな」
 それならというのです。
「それならばな」
「お主達はコントか」
「それをしよう」
「そうか、ではな」
「それぞれしようぞ」 
 こうお話してでした。
 お互いに喜劇とコントを出しました、するとどちらもです。
 拍手喝采でした、それでノーム王もドワーフ王も満面の笑顔で言い合いました。
「好評の様じゃな」
「お互いな」
「それは何よりじゃ」
「全くであるな」
「やはり楽しんでもらえるとな」
「何よりじゃ」
「はい、どちらも面白かったです」
 ジョージも笑顔で言ってきました、見ればハンバーガーを食べています。
「本当に」
「楽しませてもらいました」
 神宝は韮餅を食べています。
「どちらも」
「何度も何度も笑って」
 ナターシャの手にはサンドイッチがあります。
「苦しくなりそうでした」
「歌もダンスもよくて」 
 カルロスはチキンナゲットを持っています。
「お笑いもあるんですね」
「そのこともわかってです」
 恵梨香はお握りを食べています。
「よかったです」
「それは何より、ではな」
 ノーム王は五人のお話を聞いて笑顔で応えました。
「また機会があればな」
「その時にですね」
「披露してくれますね」
「喜劇もコントも」
「そうしてくれますね」
「どちらも」
「そうさせてもらうぞ」
 ノーム王は笑顔で約束してくれました。
「是非な」
「わしもじゃ」
 ドワーフ王も言いました。
「喜んで披露しよう」
「お願いします」
「その時がありましたら」
「楽しみにしてますんで」
「その時が来れば」
「是非共」
「ではな、しかしまさか最後の歴訪国でもこうした思いをするとは」
 それはと言うノーム王でした。
「思わなかったわ」
「いや、そう思ってくれたらね」 
 オズマが言ってきました。
「嬉しいわ」
「オズマ姫としてもか」
「ええ、本当にね」
 実際にというのです。
「思わぬいい思いをしてくれたらね」
「それならか」
「嬉しいわ、それでね」
「それで?」
「今度は私もよ」 
 オズマもというのでした。
「出しものをさせてもらうわ」
「オズマ姫もか」
「私は落語よ」
 この言葉と共にでした。
 オズマは右から左にくるりと一回転しました、すると。
 きらきらとしたエメラルドグリーンのドレスからです、落語家の着物になりました。その格好になって言うのでした。
「今から披露させてもらうわ」
「オズマ姫が落語か」
「意外かしら」
「いや、お笑いでな」
 それをしてというのです。
「しかもな」
「それが落語でなのね」
「意外も意外でな」
 それでというのです。
「不思議にじゃ」
「思ったのね」
「うむ」
 実際にというのです。
「どうもぴんと来なかったが」
「そうでしょ。よく言われるわ」
「やはりそうか」
「それでも最近興味を持って」
「それでか」
「時間があると稽古をしてね」
 落語のそれをというのです。
「やっていっているのよ」
「何でもやってみるじゃな」
「やりたいと思ってね」
「やってみるとじゃな」
「いいのよ、それじゃあね」
「今からじゃな」
「やらせてもらうわ」
 こう言ってでした。
 オズマも落語を披露しました、それは上方落語で皆聞きながら笑ってでした。正座をしてお話を終えたオズマにです。
 拍手喝采です、ノーム王も言いました。
「ううむ、落語もな」
「よいな」
「日本の文化であったな」
「そうであるぞ、ただな」
 ここでドワーフ王はこう言いました。
「お話の中には元々は中国のお話もな」
「あるか」
「それがじゃ」
 中国のお話がというのです。
「日本でアレンジされてな」
「語られているものもあるか」
「そうらしいぞ」
 スマートフォンを片手にお話します。
「今わしが調べるとな」
「そうであるか」
「あとオズマ姫は上方落語であるが」
 落語でもというのです。
「それは大坂でじゃ」
「オズの国で言うと秀吉さんの街か」
「そこでな」
 そちらでというのです。
「主に行われておるものじゃ」
「そういえばあの街は落語も盛んであるのう」
「オズマ姫もそちらで学んだらしいが」
 それがというのです。
「もう一つ江戸のじゃ」
「そちらでもか」
「落語があるらしい」
「そうなのか」
「うむ、落語と言ってもな」
 一口にです。
「色々とな」
「あるのじゃな」
「その様じゃな」
「成程のう」
「いや、そうしたことを調べてもな」
 ドワーフ王は笑ってお話しました。
「実にじゃ」
「面白いのう」
「全くであるな」
「何でもな」
 それこそというのです。
「面白いいのう」
「そうであるな、ふと見れば」
「それでな」
「面白いものがあるな」
「オズの国はな」
「ではこれからもじゃ」
「うむ、面白いものを楽しんでいこう」 
 ノーム王も応えました。
「そうしていこうぞ」
「是非な、共にな」
「ノームもドワーフもな」
「そうしていこうぞ」
「まことにのう」
「そうしてくれると嬉しいわ」
 落語を終えたオズマが来て言いました、もう落語家の着物から奇麗なエメラルドグリーンのドレスに戻っています。
「私もね」
「オズの国の国家元首として」
「そうであられるか」
「ええ、それで幸せになってくれるなら」
 それならというのです。
「本当にね」
「嬉しいか」
「そうであるか」
「皆ずっとね」
 それこそというのです。
「心から幸せである、そうなってくれることがね」
「望みであるな」
「オズマ姫の」
「オズの国の国家元首としてね」
 こう二人の王様に言うのでした。
「そうなのよ」
「よし、ではわしもじゃ」
 ノーム王はオズマのお話を受けて言いました。
「是非な」
「ノームの国をそうした国にしていくのね」
「これまでもそうなる様に務めてきたが」 
 それをというのです。
「今以上にな」
「そうなる様にしていくわね」
「そうするぞ」
「わしもじゃ」
 ドワーフ王も言ってきました。
「そうなる様にじゃ」
「するのう」
「今以上に皺背に満ちた」
 そうしたというのだ。
「素敵な国にするぞ」
「そうであるな、ではな」
「うむ、これからもな」
「いい国になる様に」
「していこうぞ」
「共にな」
「そうしてね、オズの国はいつも何処も幸せに満ちた」
 オズマはにこりとして言いました。
「明るくて笑顔ばかりのね」
「国にせねばな」
「誰もが」
「私達も皆もそうなる様にすれば」
 その様に努力すればというのです。
「必ずね」
「そうした国になるな」
「そうであるな」
「そうよ」
 そうなるというのです。
「必ずね」
「そうであるな、ではな」
「わし等もやるぞ」
「これからもな」
「皆と共にな」
「記念写真を撮ろう」
 お二人が決意したところで、です。魔法使いがカメラを手にして言ってきました。
「そうしよう」
「ええ、わかったわ」
「それではな」
 トロットにノーム王も応えてでした。
 皆で記念写真も撮りました、ノーム王はその中でドワーフ王と共にこれからも楽しく過ごそうとお話しました。ドワーフ王はそのお話に勿論だと応えました。


オズのノーム王   完


              2023・3・11








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