『オズのカリフ王』




               第六幕  竜騎士達の城

 ポリクロームは飛行船の中でノーム王に尋ねました。
「最初に歴訪する国は何処なの?」
「うむ、竜騎士団じゃ」
 ノーム王はポリクロームに答えました。
「そちらをな」
「最初に訪問するのね」
「そうなっておる」 
 笑顔での返答でした。
「わしはな」
「そうなのね」
「そういえばな」
 ここでドワーフ王が言いました。
「竜騎士さん達は郵便局員でもあるのう」
「ええ、オズの国には他にも郵便局員さんがおられるけれど」
 トロットが答えます。
「竜騎士さん達もね」
「オズの国のじゃな」
「郵便局員さんよ」
「そうだったのう」
「ワイバーンに乗ってね」
 そうしてというのです。
「それでよ」
「お空を飛んでじゃな」
「お手紙や郵便物を配達しているのよ」
「そうであるな」
「お空を飛ぶから」
 だからだというのです。
「物凄くね」
「速いのう」
「ワイバーンの飛ぶ速さは凄いから」
 それ故にというのです。
「もうね」
「あっという間にか」
「オズの国のお空を飛んで」
 そうしてというのです。
「配達してくれるのよ」
「凄い人達じゃな」
「ええ、その人達の国になのね」
「今から訪問するぞ」
 ノーム王はドロットにも答えました。
「それでよいか」
「わかったわ、それじゃあね」
「航路はそちらにしよう」
 キャプテンは飛行船のそちらの話をしました。
「これより」
「ええ、そうしてよね」
「竜騎士団のお城に行こう」
「それじゃあね」
「そういえばね」
 ここで、です。つぎはぎ娘が言ってきました。
「竜騎士団の人達もお城に住んでいたわね」
「そうよ、浮島のね」
「天空のお城ね」
「天空城は天使さん達のお城で」
「竜騎士団の人達のお城はまた別だったわね」
「ええ、これがね」
「そうだったわね」
「それでこれから行くのはね」 
 そちらはといいますと。
「竜騎士団さん達のお城よ」
「同じ天空のお城でもなのね」
「また違うのよ」
「そうなのね」
「だからね」
 それでというのです。
「その違いは覚えておいてね」
「よくわかったわ」
 つぎはぎ娘も頷きました。
「あたしはわかってるけれど」
「オズの国の人だからね」
「それで色々なお国巡ってるし」
 それでというのです。
「わかってるわ」
「そうよね」
「じゃあ竜騎士さん達のお城にね」
「行きましょう」
 こうしたお話をしてでした。
 飛行船を竜騎士団のお城に向かいました、そしてです。
 そのお城のある浮島に着きますと。
 浮島は真ん中に白い見事な塔がある西洋のお城に様々な建物があってです。
 平原や湖、森に川があります。そこに牛や羊、山羊達がいてお世話をする人達がいて見事な畑もあります。
 その浮島に接舷して降り立ってでした。
 ノームの人達もドワーフの人達もこう言いました。
「最初に来た公園もよかったけれど」
「この浮島もいいね」
「これが竜騎士さん達の国か」
「いい国だね」
「のどかで平和で」
「実にオズの国らしいよ」
「そうでしょ、お空にもよ」 
 ビリーナが彼等に応えました。
「こうした国や場所が沢山あるのがよ」
「オズの国だね」
「そうだね」
「地上にも地下にもあって」
「お空にもあって」
「海にもあってね」
 それでというのです。
「何処にもあるのよ」
「そうなんだね」
「いや、聞いてはいても」
「それでもね」
「そのことを実感しているよ」
「今ここにいて」
「全くだ、では訪問しよう」
 ノーム王が皆の先頭に立ってでした。
 そのうえで前に進みます、すると黒い甲冑に全身を包んだお顔の下半分を赤いお髭で覆ったお髭と同じ色の髪の毛を短く刈った中年の男の人が来てです。
 一行に明るい笑顔でこう言いました。
「ようこそ我が国に」
「はじめまして」
 ノーム王も初対面の人の挨拶で応えました。
「ノームの国から来ました」
「よく来られました」
「ではこれよりですな」
「はい、案内致しますので」 
 赤髭の人は笑顔で言いました。
「こちらに」
「それでは」
「この人がですね」 
 ジョージは赤髭の人を見てキャプテンに尋ねました。
「竜騎士団の団長さんですね」
「そうだよ」
 キャプテンはその通りだと答えました。
「この人がね」
「そうですね」
「いや、恰好いいですね」
 ナターシャは団長さんそれに他の騎士の人達も見て言いました。
「甲冑姿が」
「マントも背中にあって」
 神宝はそちらも見ています、どの騎士の人達も甲冑にマント姿です。
「いいですね」
「まさに騎士ですね」
 恵梨香の目はきらきらしています。
「兜もお顔全体を覆っていて」
「これでワイバーンに乗るなんて」
 カルロスは憧れる目です。
「恰好良過ぎますね」
「だから皆の憧れなのよ」
 トロットは五人に笑顔でお話しました。
「竜騎士の人達はね」
「そうなんですね」
「恰好いいから」
「それで、ですね」
「まさに騎士だから」
「そうした人達だからこそ」
「オズの国は円卓の騎士さん達もおられるけれど」
 この人達もというのです。
「竜騎士さん達もね」
「いて、ですね」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「これからですね」
「この国も巡っていきますね」
「そうよ、ただ剣と槍を持っているけれど」 
 見ればどの騎士さん達も武装しています、腰にはちゃんと剣があって手には大きなランスがあります。
「戦うことはないのよ」
「あっ、郵便でしたね」
「竜騎士さん達のお仕事は」
「他の郵便局員さんと同じで」
「それで、ですね」
「戦うことはないですね」
「武器は鍛錬の時に使って」
 その時にというのです。
「誰かに向けることはないわ」
「そうなんですね」
「戦うことはない」
「ただ自分を鍛える為に武器を使う」
「自分自身を高める為に」
「その為に」
「武器は自分を守ってね」
 そうしてというのです。
「身体を鍛えてそこからね」
「心も鍛える」
「心身共ですね」
「その為にありますね」
「そうしたものですね」
「オズの国の武器は」
「そうよ、だから安心してね」
 竜騎士の人達が立派な武器を持っていてもです。
「このことは」
「わかりました」
 五人で笑顔で応えてでした。
 竜騎士の国を案内されつつ巡ります、お城の中は立派な聖堂を思わせる奇麗で清潔なもので見ていて気持ちがいいものでした。
 ワイバーン達の牧場もあります、ワイバーン達は普段は大人しいですが。
 お仕事があると竜騎士の人を乗せてでした。
 雄々しく羽ばたいて飛んでいきます、ジョージ達はそのワイバーン達を見て目を丸くして言いました。
「竜騎士さん達も恰好いいけれど」
「ワイバーンも恰好いいね」
「竜騎士さんがワイバーンに乗って旅立つと」
「余計に恰好いいわ」
「絵になるよ」
「うむ、まるで絵だ」
 ノーム王も唸って言います。
「この姿たるや」
「そうですね」
「よく写真にも撮られてです」
「オズの国に出回っていますが」
「恰好よ過ぎますね」
「幻想的ですよ」
「飛竜に乗って空を飛ぶ騎士」
 ノーム王は真顔で言いました。
「これ程絵になるものがあるか」
「そうはないですね」
「オズの国でも」
「本当にそうですね」
「絵になり過ぎてです」
「不思議な位です」
「全くじゃ、訪問してよかった」
 ノーム王は心から言いました。
「この国にな」
「全くですよ」
「前に天空城にお邪魔したことありますが」
「その時も素晴らしいもの見られましたけど」
「今回もです」
「物凄いもの見せてもらっています」
「ううむ、わしもじゃ」
 ドワーフ王も唸って言いました。
「乗ってみたいのう」
「あっ、ワイバーンにですか」
「ドワーフ王もですか」
「乗ってみたいですか」
「竜騎士さん達みたいに」
「そうしてみたいですか」
「そう思った」
 ジョージ達に真剣なお顔で答えました、目はきらきらとしています。
「今な」
「いいですよ」 
 騎士団長さんが笑顔で答えてくれました。
「何でしたら」
「よいのか」
「はい、乗られたいなら」
「そうなのか」
「しかしじゃ」  
 ノーム王がここでドワーフ王に言いました。
「わし等は馬には乗れるが」
「地下におるな」
「しかしワイバーンはな」
「乗れぬな」
「自転車や車に乗れてもな」 
 それでもというのです。
「しかしな」
「馬に乗るのともな」
「ワイバーンに乗るのは違うぞ」
「空を飛ぶからのう」
「簡単ではないぞ」
 こう言うのでした。
「やはりな」
「そうじゃな、では無理か」
 ドワーフ王はノーム王のお話を受けて残念そうに言いました。
「ワイバーンに乗るのは」
「いえ、落ちたりしないですから」
 団長さんは残念そうなお顔になったドワーフ王に微笑んで答えました。
「ただ乗ってお空を飛ぶ位ならです」
「大丈夫か」
「ワイバーンの方で安全に飛んでくれるので」
 だからだというのです。
「そこは馬と同じで」
「安心してよいか」
「鞍に跨り」
 そうしてというのです。
「手綱を握って足場もしっかりしていますと」
「馬と同じか」
「オズの国の馬具は着けているとです」
 それならというのです。
「魔法の力でしっかり守ってくれますね」
「落馬することはない」
「それはワイバーンのものも同じです」
「馬具ではなく竜具になるか」
「はい、そちらはです」
 完全にというのです。
「安心してです」
「乗ってよいか」
「速く飛ぶと流石に馬術ではなく」
「竜術じゃな」
「乗馬ではなく乗竜なので」
 そうなるからだというのです。
「そちらのです」
「技が必要か」
「落ちることはなくても」
 竜具の力でというのです。
「しかしです」
「そうした場合はか」
「ですが普通に乗って飛ぶ位なら」
 それならというのです。
「これといった竜術のテクニックもです」
「いらんか」
「はい、ですから」
「乗ってよいか」
「そうして下さい」
「それならな」 
 ノーム王は団長さんの言葉を受けて笑顔で頷きました、そしてです。
 実際に乗ってみました、それは他のドワーフの人達にです。
 ノーム王にノームの人達、トロット達にジョージ達もでした。皆ワイバーンに乗って浮島の上空を飛びます。
 そうしてです、ドワーフ王は満面の笑顔で言いました。
「楽しいのう」
「全くじゃ」
 別のワイバーンに乗るノーム王が応えます。
「こうしてワイバーンにも乗れてな」
「実によい」
「お空を飛ぶ」
「それが出来るとはな」
「このこともよいわ」
「最高にな」 
 まさにというのです。
「こんないいことはないぞ」
「生きていてよかったのう」
「全く以てな」
「本当にね」
「こうしてワイバーンに乗ってお空を飛ぶと」
 ポリクロームもワイバーンに乗っています、そのうえで言うのでした。
「自分でお空を飛ぶのとね」
「また違うか」
「ええ」
 ノーム王に微笑んで答えました。
「またね」
「あれか、馬に乗るのとか」 
 ノーム王はポリクロームのお話を聞いて言いました。
「普通に歩くのでまた違うが」
「そう、それと同じだと思うわ」
「何かに乗って動くとな」
「自分で歩くのとまた違うわね」
「速く行けてな」
 そしてというのです。
「そのうえでな」
「何かに乗る楽しみがあるわね」
「うむ、それもあるぞ」
「それと同じでね」
「自分で空を飛べてもか」
「こうして何かに乗って飛んでもね」
「楽しいか」
「そうよ」
 まさにというのです。
「これはこれでね」
「成程のう」
「だから私もね」
 ポリクロームはさらに言いました。
「今凄くね」
「楽しんでおるか」
「そうなの」 
 実際にというのです。
「本当にね」
「左様か、その話を聞くとな」
「わかってくれたかしら」
「よくな、ではな」
「ええ、今はね」
「ワイバーンに乗ってな」
「楽しみましょう」
「心からな」
 ポリクロームともお話をしてでした。
 ノーム王は他の人達と一緒にワイバーンに乗ってお空を飛んで楽しみました。そして地面に降り立つとです。
 ワイバーンから降りて乗っていた彼の首を撫でてお礼を言いました。
「楽しませてもらったぞ」
「それはどうもです」
「ああ、お主も喋ることが出来るか」
「オズの国の生きものなので」
 それでとです、ワイバーンは笑顔で答えました。
「出来ます」
「そうなのじゃな」
「はい、ですから」
 それでというのです。
「こうしてです」
「話も出来るか」
「そうなんです」
 こうノーム王に言うのでした。
「僕も。あとです」
「あと?」
「外の世界ではワイバーンは怖いと言われてるそうですが」
「ああ、そうみたいじゃな」
「ここはオズの国ですから」
「お主達もじゃな」
「こうしてです」
 まさにというのです。
「穏やかです」
「そうなのじゃな」
「そのことも安心して下さい」
「そうか、何かじゃ」
 ノーム王はワイバーンの言葉を受けて笑顔で言いました。
「こうしておるとな」
「それならですか」
「馬に乗ってな」
 そうしてというのです。
「その後で楽しく話す」
「そうした風ですか」
「そう思った」
 こう言うのでした。
「まことにな」
「そうですか」
「そういえばこの国には馬もあるか」
「はい、浮島の上を移動する為にです」
 若い竜騎士の人が答えてくれました。
「私達は馬にもです」
「乗るのか」
「そうしています」
「そうなのか」
「それで馬術にもです」 
 そちらにもというのです。
「自信があります」
「そうであるか」
「いつも乗ってです」
 馬にもというのです。
「そちらの鍛錬もしています」
「馬もか」
「はい」 
 ノーム王に答えました。
「私もです、ただ」
「ただ、か」
「自動車や飛行機にも乗れまして」
「操縦出来るのか」
「そうしたものに乗ってです」
 そのうえでというのです。
「移動もです」
「出来るか」
「そうなのです」
「そうであるか」
「今はオズの国でもです」
 この国でもというのです。
「科学が発達していますね」
「魔法や他の技術と共にな」
「ですから」
 それでというのです。
「私達もです」
「ワイバーンや馬だけでなくか」
「文明の利器にもです」
「乗れるのじゃな」
「そうです」
「成程のう、時代は変わったな」
「ですが郵便の際はです」 
 お仕事の時はというのです。
「やはりです」
「ワイバーンに乗ってか」
「行っています」
「やはりそうなるか」
「はい、お仕事ですので」
 だからだというのです。
「そちらで、です」
「務めておるか、わしもじゃ」
 ノーム王は竜騎士の人にお話しました。
「飛行機やヘリで来てくれるのもよいが」
「ワイバーンで、ですね」
「来てくれる方がな」
「いいですか」
「恰好いいからな」
「そう言われますし私共も言ってもらって嬉しいので」
 だからだとです、竜騎士さんはノーム王に笑顔でお話しました。
「そうしています」
「恰好いいと言ってもらってか」
「嬉しいので」
「実際恰好いいしのう、やはりな」
「空を飛ぶ騎士はですか」
「飛竜に乗ってな」 
 そのうえでというのです。
「武装して空を駆ってるとな」
「恰好いいですか」
「最高にな、だからわしもな」
「これからもですか」
「そうして欲しいぞ」
「そのお言葉嬉しく思います」
 竜騎士さんは笑顔で一礼してでした。
 ノーム王に応えました、そうしたお話をしてです。
 夜は晩餐会となりましたが銀の食器やグラスにレタスや胡瓜、トマトにセロリ、ラディッシュ、キャロット等が入ったサラダにです。
 海老や烏賊や貝のスープ、白身魚のフライに南瓜や茄子を焼いたものにです。
 鴨のローストに白い食パンそれにチョコレートケーキといったお料理を前にしてです、ノーム王は言いました。
「これはまたな」
「豪勢であるな」
「全くじゃ」 
 ドワーフ王とお話しました。
「これはな」
「実によい」
「そう言って頂いて何よりです」
 団長さんは向かい側に座る王様達に笑顔で言いました、長方形の席の右側に団長さんをはじめとした騎士団の人達がいてです。
 左側に歴訪する一行がいます、その中心にノーム王とドワーフ王がいます。
「ではこれよりです」
「飲んで食べてじゃな」
「楽しむのじゃな」
「そうしましょう、お酒はワインでいいでしょうか」
 団長さんは銀のグラスの中にある深紅の飲みものを前に尋ねました。
「こちらで」
「願ったり適ったりじゃ」
「何故文句を言う必要がある」
「そうですか、それでは」
「今よりじゃな」
「楽しむのじゃな」
「そうしましょう、乾杯です」
 こう言ってです。
 お互いに向かい合っている大きなテーブルとは別にです。
 座っているお供の人達や他の騎士の人達と一緒に晩餐会をはじめました。
 そのお料理を食べてトロットは言いました。
「とても美味しいわ」
「そうだね」
 キャプテンも頷きました。
「サラダもスープも」
「フライも」
「焼いたお野菜も」
「ローストもね」
「そうなのね、私としてはね」
 ビリーナは麦を食べつつ言いました。
「この麦の一粒一粒がね」
「美味しいのね」
「とてもね」
「このお露とてもいいわ」
 ポリクロームは銀のグラスの中のそれを飲んでいます。
「すっきりしていて」
「貴女も楽しんでいるわね」
「とてもね」
 笑顔の返事でした。
「こうしてね」
「それは何より、しかし」
 団長さんはトロット達の言葉を聞いて笑顔になりましたが。
 楽しそうなつぎはぎ娘にはこう言いました。
「貴女に笑顔を提供で来ていたら」
「出来ているわよ」
 これがつぎはぎ娘の返事でした。
「楽しそうにしてるでしょ」
「それがですか」
「答えよ、皆が笑顔ならね」
 それならというのです。
「あたしはいいわ、ただね」
「ただとは」
「後で歌って踊りたいけれどいいかしら」
「はい、そう言われるなら」
 是非にという返事でした。
「この晩餐会の後の宴の場で」
「そうしていいのね」
「入浴はもう済ませられましたね」
「ええ、皆ね」 
 それはとです、つぎはぎ娘は答えました。
「あたしも洗濯して乾燥してもらってよ」
「清められましたか」
「そうなったしね」
「では晩餐会の後はすぐにです」
「宴ね」
「それに移りますので」
 だからだというのです。
「その時にね」
「歌って踊って下さい、我々もです」
「ダンスをしてくれるの?」
「いえ、我々の余興は武芸の披露とです」
 それにというのです。
「合唱です」
「皆で歌うのね」
「そちらになります」
「そうなので」
「そういったものを披露します」
「ではそちらをね」
 是非にと言うのでした。
「楽しませてもらうわ」
「それではね」
「はい、つぎはぎ娘さんもです」
「歌って踊るわね」
「そうされて下さい」
 笑顔でお話してでした。
 まずは皆で楽しい晩餐会を過ごしました、その後で。
 宴となりますがつぎはぎ娘もノームとドワーフの人達もです。
 皆で楽しく歌って踊ってそちらを披露しました、その後で。
 騎士団の人達が団長さんを筆頭として剣や槍の武芸にです。
 合唱を披露します、ノーム王はその合唱を前にして驚きました。
「これはよい」
「全くじゃ」
 ドワーフ王も驚いています。
「まさに大勢の声が一つになってな」
「最高の調和を見せておる」
「ただ上手なだけではない」
「迫力もある」
「一体感も感じるぞ」
「この様な合唱があるとはな」
 まさにというのです。
「思わなかった」
「全くじゃ」
「そういえば」
 ジョージはここで言いました。
「ノームやドワーフの人達は」
「皆で歌って踊りますが」
 カルロスも言います。
「合唱はあまり」
「今回の歴訪で飛行船の中でいつも歌って踊ってますけれど」
 ナターシャは首をやや右に傾げさせています。
「それでも合唱は、ですね」
「ノームの人達もドワーフの人達も歌や踊りがお好きですが」 
 それでもと言う恵梨香でした。
「合唱については」
「今回僕達聞いていませんが」
 神宝も言いました。
「若しかして」
「うむ、こうした合唱をすることはな」
 ノーム王が答えました。
「わし等はな」
「ないですか」
「そうですか」
「ノームの人達は」
「それにドワーフの人達も」
「あまりないんですか」
「ダークエルフの諸君もな」
 こちらの地下に住んでいる人達もというのです。
「そういえばホビットの諸君もか」
「皆陽気だがな」
 ドワーフ王も言います。
「こうした謹厳な」
「そうした雰囲気で以てな」
「重厚な合唱を歌うことはな」
「あまりないのう」
「それよりも皆で歌って踊る」
「陽気にな」
「その方が多いのう」 
 そうだというのです。
「地下の人々は」
「そうじゃな」
「特にお酒が入るとな」
「そうなんですね、やっぱり」
 ジョージは王様達の言葉を聞いて頷きました。
「珍しそうにご覧ですから」
「実際に珍しいぞ」 
 ノーム王はジョージに答えました。
「こうした合唱はな」
「やっぱりそうですか」
「どうもわし等の文化にな」
「こうした合唱はないんですね」
「うむ、しかしこれもまたよい」
 重厚な合唱もというのです。
「だからな」
「それで、ですか」
「今度わし等もしてみるか」
「よいと思ったらな」
 ドワーフ王も言います。
「何でもな」
「してみることじゃ」
「取り入れてな」
「そうするとな」
「どんどんよくなる」
「そうであるからな」
「この合唱もな」
 今素晴らしいと思っているそちらもというのです。
「国に帰ったらな」
「皆に教えようぞ」
「詳しくな」
「もう動画に撮って送っておるしな」
「わしもじゃ」
 お二人共そうしたこともしています。
「ではな」
「そうしようぞ」
「こうした合唱もしてみようぞ」
「わし等もな」
「私達もこうした合唱をする時があるけれど」
 トロットも言ってきました。
「騎士団の人達は特別にね」
「上手か」
「ええ」
 ノーム王に微笑んでお話しました。
「そうよ」
「そうなのか」
「元々こうした合唱は聖堂や騎士団から出たもので」
「得意分野か」
「絶対のね」
 そう言っていいまでのというのです。
「そうなのよ」
「そうであるか」
「だから特別にね」
「上手であるか」
「ええ、ただ私達も楽しみたいなら」
 それならとです、トロットはノーム王にお話しました。
「やったらいいのよ」
「いいと思ったらじゃな」
「何でもね」 
 それこそというのです。
「やったらいいのよ」
「最初は出来ずともな」
「何度もしていたらね」
「出来る様になるな」
「それでね」 
 そのうえでというのです。
「上手にもなるわ」
「そうであるな」
「最初は誰でも出来ないもよ」
「それこそな」
「けれど何度もやっていったら」
 それならというのです。
「出来る様になるから」
「それでじゃな」
「是非ね」
 ノーム王にお顔を向けてお話します。
「やっていくことよ」
「そうであるな」
「そうしていって」
「上手になっていくものじゃ」
「だからいいのよ」
「まずはじゃな」
「何でもね」
 いいと思えばというのです。
「やってみるのよ」
「そうであるな」
「ええ、それでね」 
 トロットはさらにお話しました。
「貴方達も帰ったら」
「国にな」
「是非ね」
「そうするぞ」
「それではね」
「いいと思うのならやってみよ」
 ノーム王は強い声で言いました。
「その信念じゃ」
「そうよ、それで必死に努力したら」
「必ずじゃな」
「何時かはね」
「結果は出るな」
「すぐでなくてもね」
「まあすぐに結果だ結果だと言うならな」
 それならといいますと。
「自分はどうじゃ」
「そうなるでしょ」
「いや、実はかつての前王はな」
 ラゲドー氏はといいますと。
「すぐにじゃ」
「結果を言ったのね」
「そうであった」
「そうね、言われるとね」 
 それならとです、トロットも頷きました。
「あの人はね」
「そうした人じゃな」
「ええ」
 まさにというのです。
「そんな風よ」
「それでじゃ」 
 ノーム王はさらに言いました。
「人が努力をしてもな」
「必死にね」
「結果だけを見てな」
「努力を見なかったのね」
「すると全くじゃ」
 それこそというのです。
「皆結果だけを求めてな」
「努力をしなくなったのね」
「そうなった」
「それはとても悪いことね」
「結果を出せば何をしてもいい」
「その途中で」
「どんなズルも手抜きもな」
 それこそというのです。
「する様になった、また前王はあれこれ文句ばかり言ってな」
「駄目出しね」
「結果を出してもな」
「そうだったのね」
「だから皆やる気もな」
「失っていって」
「国の生産性なぞじゃ」 
 それこそというのです。
「結果は出ている様でな」
「実はだったのね」
「中身は空洞になり」
「落ちていっていたのね」
「ものは出来るが質は非常に悪い」
「そんなものだったの」
「だから必死にオズの国に攻めようとしておったが」
 それでもというのです。
「皆やる気がないしな」
「ものも全部駄目で」
「絶対に失敗しておった」
 今思うと、というのです。
「まことにな」
「そうだったのね」
「そうであった、あれではな」
「結果だけを求めていたら」
「努力を見ずにな」
 それではというのです。
「尚且つ何をしてもな」
「文句ばかりで」
「こきおろしてばかりだとな」
「皆やる気を失うわね」
「そしてそんなことばかりの者を誰が好きになる」
 ノーム王はその頃のラゲドー氏のことを思いつつ述べました。
「一体」
「だからあの人は人望もなかったのね」
「オズマ姫と真逆だったからのう」
「ええ、オズマはね」
 それこそとです、トロットも答えました。
「結果はね」
「よいな」
「努力を見て」
 皆のそれをというのです。
「それでよ」
「いつも励ましてくれるのう」
「そうしているわ」
「だからオズの国は皆頑張るな」
「ええ、それでオズマもね」
 彼女自身もというのです。
「とてもね」
「頑張ってくれるのじゃな」
「そうよ」
 まさにというのです。
「オズの国ではね」
「それでものもじゃな」
「質がいいのよ」
「よいのう、それでわしもな」
 ノーム王もというのです。
「その様にな」
「しているのね」
「そうじゃ」 
 まさにというのです。
「オズマ姫をお手本にしてな」
「わしもじゃ」
 ドワーフ王も言ってきました。
「まさにな」
「オズマ姫がお手本じゃな」
「王、君主としてな」
「そうであるな」
「そしてな」
 そのうえでというのです。
「少しでもじゃ」
「オズマ姫の様になってな」
「よい国にしてな」
「皆が幸せに暮らせる様にな」
「励んでおる」
「左様じゃ」
 まさにというのです。
「共にな」
「そうね、オズマは本当にいいお手本よ」 
 トロットも言いました。
「あの人みたいにしていけば」
「君主としてな」
「実によいな」
「私も王女でね」
 オズの国のその立場でというのです。
「責任ある立場だしね」
「オズマ姫を助けておるな」
「ええ」
 ノーム王に微笑んで答えました。
「そうよ」
「それでオズマ姫をじゃな」
「いつもお手本にして」
 そしてというのです。
「何でもやっていっておるわ」
「オズの国の王女としてか」
「ドロシーそれにベッツイと一緒にね」
 他の王女の人達と、というのです。
「そうしていっているわ」
「オズの国の四人の王女達はか」
「言うならオズマは一番上のお姉さんよ」
 そうなるというのです。
「ドロシーが二番目でね」
「そしてベッツイ王女が三番目か」
「それで私が末っ子でね」
「四人でか」
「三人で一番上のオズマをお手本にして」
 そしてというのです。
「そのうえでね」
「王女としてじゃな」
 ノーム王は尋ねました。
「やっていっておるか」
「そうよ」
 まさにというのです。
「私もね」
「そうか、やはりそうでないとな」
「駄目よね」
「うむ」 
 その通りと答えました、
「わしも思う」
「そうでしょ、だからね」
「お主もか」
「そうしていってるのよ」
「そうなのじゃな」
「ええ、じゃあこれからもお互いにね」
「オズマ姫をお手本にしてな」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「自分を磨いてね」
「立派な王様そしてな」
「立派な人になっていきましょう」
「是非共な」
 二人でこうしたお話もしてでした。
 竜騎士の国で楽しい時間を過ごしました、最初の歴訪から最高のものとなったのでした。








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