『オズのカリフ王』




                第五幕  お空を見て

 夕方になってです。
 ノーム王は赤くなってきた世界の中で言いました。
「うむ、よいな」
「全くだな」
 ドワーフ王も応えます。
「青空から夕方になる」
「これがよいのじゃ」
「地上もそうじゃが」
「空はな」
「ずっと地下におるとな」
「こうしたことがないからな」
 二人でお話するのでした。
「これが見られるのだから」
「実によい」
「最近はわし等も動画や空を見られる透けた部屋ももうけておるが」
「やはりこの目で見ることだな」
「これが一番いい」
「何と言ってもな」
 食べ終わって後片付けもしてからお話するのでした。
「空はよい」
「最高じゃ」
 こうお話してでした。
 王様達はノームそれにドワーフの人達と一緒に夕方を見て楽しみます、その王様達を見てそうしてでした。
 ビリーナは考えるお顔になってです、こんなことを言いました。
「普段見られないものを見られるってね」
「そのことは嬉しいことね」
「そういうことね」
「そうよね」 
 ポリクロームはビリーナの言葉に頷きました。
「私達だって地下の世界に行ったら」
「その景色を楽しむわね」
「土の世界を」
「それにヒカリゴケで照らされた中をね」
「そしてノームやドワーフの人達は」
「お空を普段見られないから」
「お空が好きなのよね」
 こうビリーナに言いました。
「見て心から楽しめる」
「そういうことね」
「要するにね」
 二人でお話しました、そしてです。
 皆で夕方のお空それに周りを見てでした。
 そこから赤から徐々に紫になっていってです。
 濃紫の世界になってお月様、三日月とお星様達を見てでした。ノーム王もドワーフ王も心から楽しんで、です。
 歌って踊る様になりました、そこにつぎはぎ娘も入りますが。
 ノーム王は喜びの歌と踊りの後で言いました。
「実に奇麗じゃ」
「この夜空がなのね」
「こんな奇麗なものはない」
「それで歌って踊ったのね」
「うむ、しかしな」
「しかし?」
「もうすぐ寝ないといけないのう」
 ノーム王はこのことを残念そうに言いました。
「遅くとも十時にはのう」
「あたしは違うけれどね」 
 つぎはぎ娘は自分の身体のことからお話しました。
「寝ないといけないわよ」
「そうであるな」
「寝ないと普通の身体の人達はね」
「身体に悪いのう」
「凄くね、だから皆よ」
 オズの国ではです。
「夜は寝るのよ」
「そして日の出と共に起きるな」
「そうしてるのよ」
 こうノーム王にお話します。
「だからあんた達もね」
「今から少ししたらな」
「寝ることよ」
 こう言うのでした。
「いいわね」
「そうするしかないか」
「明日また見ればいいのよ」
 トロットは残念そうなノーム王にお話しました、他のノームの人達もドワーフ王もドワーフの人達もそうなっています。
「そうでしょ」
「今日見てか」
「そう、また明日ね」
 笑顔でお話します。
「そうすればいいのよ」
「そうか、明日があるか」
「そう、あるのよ」 
 こう言うのでした。
「だからね」
「寝ることか」
「寝ることが嫌いなの?」
 トロットはノーム王に尋ねました。
「ノーム王さんは」
「まさか」
 それはとです、ノーム王はすぐに答えました。
「そんな筈がない」
「そうよね」
「寝ることは大好きだ」
 このこと自体はというのです。
「実にな」
「だったらね」
「それならか」
「夜はね」
「夜空を見た後でか」
「ぐっすりとね」
 その様にというのです。
「寝ればいいのよ」
「そしてまた明日か」
「日の出と共に起きて」
 そうしてというのです。
「遊んで飲んで食べて」
「楽しく過ごしてか」
「そしてね」
「最後はじゃな」
「夜空を見て」 
 今楽しんでいるこのことをしてというのです。
「そしてね」
「そのうえでか」
「寝てよ」
「また明日か」
「そうすればいいのよ」
「そうか、ではな」
「ええ、夜空の後でね」
 見て楽しんでからはというのです。
「楽しめばいいのよ」
「寝てじゃな」
「そうよ、そうしましょう」
「そうしようぞ」
 ノーム王は笑顔で頷きました、そしてです。
 実際に夜空を見た後ノーム王はテントの中に入って皆でぐっすりと寝ました、そして日の出と共に起きてです。
 お空の雲の上から出て来たお日様を見てです、ドワーフ王と一緒に言いました。
「日の出もな」
「見られるのがよいのう」
「地下ではな」
「こちらもないからな」
「夜空と共にな」
「こちらもよい」
「実にな」
 二人でお話します、そしてです。
 そのお話をしながらです、ふとでした。
 ノーム王にです、ジョージ達五人が言ってきました。
「一日の移り変わりがなんですね」
「凄くいいんですね」
「日の出から朝になって」
「お昼になって夕方になる」
「それで夜になるのが」
「そうじゃ、色も変わるであろう」 
 ノーム王は五人に明るい笑顔で答えました。
「一日のうちにな」
「はい、日の出の時は白いです」
 ジョージが応えました。
「まずは」
「それが青くなっていきます」
 次に神宝が言います。
「早朝から朝になっていって」
「それで青空ですね」
 カルロスはその今は白いお空を見て言いました。
「朝からお昼は」
「夕方になると赤くなりますね」
 こう言ったのは恵梨香です。
「日が落ちていって」
「そして徐々に紫になって」 
 ナターシャは夜のお話をしました。
「濃い紫になりますね」
「その中でお日様とお月様それにお星様達を見るのじゃ」
 だからだとです、ノーム王は応えました。
「それの何といいことじゃ」
「地下では味わえぬ」 
 ドワーフ王も言います。
「これ以上はない最高のものじゃよ」
「いや、お空に出てな」
「その世界を見るだけでも素晴らしいが」
「一日の移り変わりもじゃ」
「実によい」
「最高と言っていいのう」
 ノーム王はしみじみとして述べました。
「これが」
「そうじゃな、ではな」
「今から朝ご飯じゃ」
「それを食べようぞ」
「そうしましょう、食べたらね」 
 それからのこともです、トロットは王様達に応えました。
「出発よ」
「そうするな」
「また旅をするな」
「そうしましょう」 
 笑顔でお話してでした。
 皆で朝ご飯を食べました、今朝の朝ご飯は茶卵にザーサイにお饅頭でした。中華のそれを食べてです。
 飛行船が停まっているところまで戻って出発します、その頃にはです。
 もうお日様は高くなっています、ノーム王はそのお日様も見て言いました。
「眩しいのう」
「はい、とても」
「しかも暖かいです」
「お日様もいいものですね」
「お月様にお星様もいいですが」
「こちらも」
「全くじゃ」 
 ノームの人達に応えて言います。
「お日様の何といいことか」
「全くです」
「ではですね」
「これからもですね」
「見ていきますね」
「そうしていきますね」
「落ちるまでな」
 そのお日様がというのです。
「そうしていこうぞ」
「夜も日の出の時も楽しんで」
 ドワーフ王も言います。
「朝も昼もじゃ」
「そうですね」
「いつも楽しいです」
「この一日の移り変わりを見るだけで」
「実にいいです」
「夕方もそうで」
「夜もまた」
 ドワーフの人達も言います。
「そうしたものです」
「では今はですね」
「青空を見て楽しみますね」
「お日様も」
「そうしますね」
「そうしようぞ、ではじゃ」
 笑顔で、です。ドワーフ王は言いました。
「今から嬉しいからな」
「歌って踊ろうぞ」
 ノーム王が応えました。
「そうしようぞ」
「是非な」
「そしてじゃ」
「もっと楽しもうぞ」
「それがよいぞ」 
 こうお話してです。
 ノームとドワーフの人達は飛行船の中で歌って踊りました、そして楽しく汗をかきましたがこの時もです。
 つぎはぎ娘も一緒でした、その歌と踊りが終わりますと。
 ジョージ達五人はつぎはぎ娘に言いました。
「つぎはぎ娘って歌と踊りが好きだね」
「本当にそうだね」
「そのことがわかるわ」
「一緒にいたら」
「歌と踊りになったらいつも参加してるからね」
「ええ、あたしの食べものと飲みものはね」
 つぎはぎ娘は五人に答えました。
「皆の笑顔とね」
「歌と踊り」
「この二つだね」
「何と言っても」
「そうだからなのね」
「いつも参加するのね」
「それで誰もやっていなくても」
 その時もというのです。
「こうしてよ」
「歌って踊るね」
「自分からも」
「それで楽しんで」
「栄養にする」
「そうしてるのね」
「そうよ、あたしの食べものと飲みもので」 
 歌と踊りがというのです。
「生きがいでもあるわ」
「もう歌と踊りがないとか」
「あたしは退屈で仕方ないわ」 
 ノーム王にも答えます。
「だから動画にも撮ってね」
「皆にも視てもらってるのう」
「そうもしてね」
 そしてというのです。
「一日の間に何十曲もよ」
「歌って踊っておるか」
「もうどんなジャンルの曲でも」
「そうしておるか」
「そうよ」
 実際にというのです。
「あたしはね」
「ううむ、わし等も歌と踊りが好きだが」
「あたし程じゃないのね」
「お前さんは別格だ」 
 まさにというのです。
「生きがいで一日ずっと踊っておるからのう」
「何十曲もね」
「だからな」
 それでもというのです。
「別格じゃ」
「そうなのね、じゃあまたね」
「踊るか」
「褒めてもらって嬉しくなったから」
 それでというのです。
「また踊るわ」
「ではのう」
 ノーム王も頷きます、そうしてでした。
 つぎはぎ娘の歌と踊りを見ます、つぎはぎ娘は今回もぴょんぴょんと跳びはねて明るく楽しく踊ります。
 そして歌も明るくて、です。
 それが終わってから皆拍手ですが。
「また嬉しくなったわ」
「拍手を受けてか」
「そうなったわ」
「ではまた踊るか」
「いえ、今はいいわ」
 ノーム王に笑って答えました。
「今は満足したから」
「それでか」
「ええ、また後でね」
「歌って踊るのじゃな」
「そうするわ」
 こう言うのでした。
「そうしたくなったらね」
「そうか、ではな」
「ええ、またね」
「見させてもらうぞ」
「それじゃあね」
 こうしたお話をしてでした。
 皆今も楽しく過ごします、そうしたお話をしているとです。
 ポリクロームもくるくるとです。
 お空を舞ったりしながら歌って踊りますがノーム王は彼女を見て今度はこんなことを言ったのでした。
「お前さんは動き自体がな」
「ええ、踊る感じでしょ」
「普通に歩いていてもな」
 その時もというのです。
「くるくると回ってな」
「それが私の動きだから」
「リズムを取ってか」
「踊る様なの」
「そうなのじゃな」
「ええ、それでお空もね」
 こちらもというのです。
「飛べるしね」
「それでじゃな」
「こうしてね」
 踊りながら言うのでした。
「出来るからね」
「ふむ、お前さんにしてもな」 
 ノーム王はここまで聞いて言いました。
「よいのう」
「そうした身体だから」
「そうじゃ、実にな」
「羨ましくはないわよね」
「それはそれじゃ、羨むことはオズの国にはないのう」
「誰もね」
「わし等はわし等でわし等しか出来んことがあってな」
 そうしてというのです。
「楽しめることがある」
「そうよね、貴方達もね」
「例えばな」
 ノーム王は笑って言いました。
「土の中に何があるかをな」
「わかるのね」
「わし等は土にずっとおる種族だからな」
 それでというのです。
「よくじゃ」
「土の中にあるものがわかるわね」
「そうであるからな」
「そして見付けたものを細工出来る」
 ドワーフ王も言ってきました。
「わし等はな」
「ドワーフの人達の工芸品って有名よね」
「ははは、そうであろう」
「それでなのね」
「これはわし等の楽しみじゃ」
「いや、土の中を巡るのもまたよい」
 またノーム王が言います。
「何処に何があって何がおるかわかるからのう」
「それが楽しいのね」
「もう金や銀を見付けるのが楽で」
 それでというのです。
「生きものを見付けるのもな」
「楽しいのね」
「モグラなぞな」 
 土の中を動き回るこの生きものはといいますと。
「もう簡単にじゃ」
「見付けられるのね」
「気配でもな」
「それは凄いわね」
「土の中はわし等じゃ」
 何と言ってもというのです。
「そこのことならわかって掘るのもな」
「得意ね」
「わし等もドワーフ達もな」
 どの種族もというのです。
「左様じゃ」
「それが貴方達の出来ることで」
「楽しいことでもあるしな」
「貴方達は貴方達で楽しんでいるから」
「羨ましくはない、もう誰かを羨んだり妬んだりな」
 そうしたというのです。
「悪い感情は忘れてしまったわ」
「今の貴方達はそうなったのね」
「昔はな」
「ラゲドーさんが王様だった頃は」
「思えばあの頃わし等はまだだ」
 ノーム王は悲しそうに言いました。
「オズの国の者ではなかった」
「それで誰かを羨んだりして」
「憎んでな」 
 そうしてというのです。
「いい気持ちではな」
「いなかったのね」
「悪いことを思うとな」 
 どうしてもというのです。
「幸せになれん」
「それだけで」
「そうじゃ」
「気持ちが大きいってことね」
「そう思う」
 ポリクロームに答えました。
「今はな」
「そう考えが変わったのね」
「その通りじゃ、自分が幸せでな」
 そしてというのです。
「自分が出来ること、それを満喫してな」
「そのうえでなのね」
「満足することじゃな」
「それがオズの国ね」
「そして出来ないことがあれば」
 その時はといいますと。
「魔法は使用許可が必要であるが」
「オズの国ではね」 
 基本オズマ、グリンダ、魔法使いの三人しか研究出来ず生み出して使用することが出来ません。ですが許可を得ればこの人達の監督下で研究も開発も使用も可能になります。
「そうなのよね」
「科学もな、しかしな」
「そうしたものも使うことね」
「何なら仙術も陰陽道もあるしじゃ」
 こうした術のお話もしました。
「錬金術も超能力もある」
「オズの国の技術も増えたわ」
「そのあらゆる技術を用いてな」
「実現すればいいわね」
「現にわし等は今空におる」
 この場所にというのです。
「ノームやドワーフのわし等もな」
「地下にいる人達でもね」
「オズマ姫に助けてもらってであるが」
 飛行船を貸してもらってです。
「そしてな」
「そのうえでよね」
「ここにおる」
「そう思うと」
「そうじゃ、出来なくともな」
「努力すれば」
「それでじゃ」
 そうすればというのです。
「出来る、それならな」
「羨んだり妬んだり」
「することはない、そんな暇があれば」
 羨んだり妬んだりするよりもというのです。
「そうなる様にじゃ」
「努力することね」
「そうじゃ、そしてわし等はな」
「今こちらにいて」
「そしてな」
 そのうえでというのです。
「出来ることもな」
「あるから」
「得意なこともじゃ」
「今はノームの人達もなのね」
「そうした感情はないのじゃ」 
 羨んだり妬んだりすることはというのです。
「全くな」
「そうなっているのね」
「うむ、そして羨んだり妬んだりして心がそうしたものに支配されるとな」
 そうなると、といいますと。
「憎む様になる」
「誰かを、何かを」
「前王はそればかりになってな」
 憎しみに心を囚われてというのです。
「あの様な性格になっておった」
「そうだったのね」
「そしてわし等もな」
 他のノームの人達もというのです。
「今思えばそれはな」
「とてもいけないことだったわね」
「うむ」
 まさにというのです。
「そうした意味で当時はな」
「貴方達はオズの国の人達でなかったのね」
「そうであった」
 まさにというのです。
「今思うとな」
「それが今では」
「なることが出来ておるな」
「はい、本当に」
 ジョージが答えました。
「ノームの皆さんもです」
「今は立派なオズの国の人達です」
 恵梨香も言ってきました。
「紛れもなく」
「陽気で明るくて前向きな」
 神宝も言いました。
「素敵な人達です」
「僕達も昔のことは知っていますが」
 カルロスはかつてのノームの人達のお話をしました。
「今も皆さんも知っています」
「皆さんは紛れもなくオズの国の人達です」
 ナターシャは笑顔で言葉の太鼓判を押しました。
「何処から何処まで」
「そうなれてよかった」 
 ノーム王は心から笑顔になってです、五人に応えました。
「わしもな」
「そうですよね」
「侵略するよりもですよね」
「その中に入る方がいいですよね」
「オズの国に」
「そうする方がずっといいですよね」
「侵略して支配してもな」
 ラゲドー氏が考えていた様にです。
「何かいいことがあるか」
「ないですよね」
「落ち着いて考えますと」
「何が手に入るか」
「何も手に入らないですよね」
「どう考えても」
「そのこともわかった、もうわし等は好きなものを食べられて飲めてな」
 そうしてというのです。
「地下に好きなだけ豪邸を築いていい服も着られる」
「贅沢ですね」
「そちらも楽しめますね」
「充分に」
「他のオズの人達と同じで」
「それが出来ていますね」
「それでじゃ」
 そのうえでというのです。
「家具もあるし金も銀も宝石も好きなだけ掘り出せてな」
「手に入りますよね」
「ノームの人達は」
「そうなってますね」
「ドワーフの人達もですが」
「幾らでも財産を手に入れられますね」
「今では畑からもな」
 こちらからもというのです。
「地下のな」
「果樹園もあるぞ」
 ドワーフ王も言ってきました。
「そこから野菜や果物だけでなくな」
「金や銀も作っておるしな」
「ノームの畑の金や銀や最高じゃ」
「宝石もじゃな」
「鉄や銅もな」
 こうノーム王に言うのでした。
「わし等も畑でそうしたものを作っておるが」
「作るのはわし等じゃな」
「そして細工はわし等じゃ」
「お互い得意分野があるのう」
「全くだ」
「そんな凄いことが出来るならね」
 ビリーナも言ってきました。
「別にね」
「侵略してな」
「支配する必要もないわね」
「それにじゃ」 
 ビリーナにさらに言いました。
「考えてみればこうした生活でな」
「満足しているわね」
「得意分野も活かせてな」
「出来ないなら努力すればいいし」
「出来る様にな」
「それならね」
「もうな」
 それこそというのです。
「誰かを、何かを羨んで妬んで」
「憎んでね」
「そうなる必要はな」
「ないわね」
「一切な」
 まさにというのです。
「そのことがわかったのじゃ」
「それであんた達も今ではオズの国の人達になって」
「それでじゃ」 
「幸せに暮らしているのね」
「そうなっておる」
 ビリーナに笑顔で答えました。
「毎日が楽しくて仕方ない」
「それは何よりね」
「わし等もそう思っておる」
「そういうことね」
「だから今もな」
「一日の移り変わりをなのね」
「空の旅と共にな」
 併せてというのです。
「満喫しておる」
「それは何よりね」
「実にいい、しかもお前さんともじゃ」
 ビリーナ本人にも言うのでした。
「また言うが卵も怖くなくなってな」
「食べられる様になって」
「それでじゃ」
 そうなってというのです。
「このこともな」
「いいのね」
「実にな、また卵料理を食したいのう」
「それならね」
 トロットはノーム王の今のお話を受けて言いました。
「今日のお昼は卵焼きがいいかしら」
「日本の卵料理じゃな」
「それとお握りにお味噌汁かしらね」
「おお、お握りか」
 キャプテンはお握りと聞いて笑顔になりました。
「実はわしもそろそろ」
「お握り食べたいと思っていたのね」
「そうだったんだよ」
 こうトロットにお話します。
「実は」
「それなら都合がいいわね」
 トロットも笑顔で応えました。
「キャプテンさんもっていうなら」
「勿論卵焼きもお味噌汁もだよ」 
 こうしたお料理もというのだ。
「好きだしね」
「あとお漬けものも出すつもりよ」
「そちらもだね」
「それでね」
 そのうえでというのです。
「皆でね」
「食べるんだね」
「そうしましょう」
「わし等もそれを出すぞ」
 ノーム王は自分達もと言いました。
「卵焼きにな」
「お握りですね」
「そしてお味噌汁」
「それにお漬けものですね」
「今日のお昼は」
「そうじゃ」
 ノーム王はお供のノームの人達に笑顔で答えました。
「それにするぞ」
「いいですね」
「如何にも和風って感じで」
「日本のお料理もいいですよね」
「卵焼きもいいですが」
「他の食べものも」
「そうじゃ、お握りじゃ」
 ドワーフ王も言ってきました。
「今日のお昼は何がいいかと思っておったが」
「手頃ですよね」
「手軽に食べられて」
「しかも美味しい」
「素敵な食べものですよね」
「うむ、それを食べてな」 
 ドワーフ王もご自身のお供の人達に言います。
「他のものもそうしてな」
「楽しみますね」
「今日のお昼は和食ですね」
「お握りにしてもそうで」
「他のものも」
「そうするとしよう」
 笑顔で言ってでした。
 実際に皆このお昼はそうしたメニューを食べて楽しみました、その間も食べてからもお空の旅を楽しみますが。
 つぎはぎ娘は踊りつつノーム王に尋ねました、見ればノーム王は大広間からノームの人達と何処かに行こうとしています。
「何処に行くの?」
「ちょっと風呂に入って来る」
 ノーム王はつぎはぎ娘に笑って答えました。
「供の者達と一緒にな」
「夜に入らないの?」
「いや、今日はお昼にな」
「入るの」
「青空を観つつな」
 そうしながらというのです。
「露天風呂をな」
「楽しむの」
「そうしたいからな」
「そういえば地下だとね」
「確かにお風呂、温泉は豊富にあるが」
「露天風呂はね」
「ないからのう」
 どうしてもというのです。
「それでじゃ」
「今からなのね」
「折角飛行船から外が見られてな」
「露天風呂になっているから」
「それでじゃ」
「そちらを楽しむのね」
「そうするのじゃ、お主もどうじゃ」
 ノーム王はドワーフ王にも声をかけました。
「これよりな」
「よいのう、では上がったらな」
 ドワーフ王はノーム王の申し出に笑顔で応えました。
「一杯やるか」
「ビールか」
「それじゃ」
 まさにというのです。
「どうじゃ」
「それもよいのう」
 ノーム王は笑顔で返事をしました。
「お風呂の後はな」
「やはり一杯じゃな」
「それがビールだとな」
 それならというのです。
「特にじゃ」
「よいな」
「大好物じゃ」
 まさにというのです。
「では露天風呂を楽しんでな」
「湯舟にサウナをな」
「身体も洗ってな」
「奇麗にして」
「その後でじゃ」
「一杯じゃ」
「そうしようぞ」 
 お互いに笑顔になってお話します。
「共にな」
「全て心まで楽しもうぞ」
「何て言うか」
 ここまで聞いてです、つぎはぎ娘は言いました。
「皆活き活きとしておるわね」
「普通にお風呂とビールも好きであるが」
 ノーム王は再びつぎはぎ娘に答えました。
「それで地下でもいつもな」
「楽しんでいたの」
「そうであったが」
「ここでもなのね」
「むしろ露天風呂を楽しんでな」
 そうもしてというのです。
「そうするからな」
「尚更なのね」
「うむ、楽しみだ」
「元々お風呂好きで」
「ビールも好きでな」
「そこに露天風呂も入るから」
「尚更じゃ」
 まさにという返事でした。
「楽しみで仕方がない」
「そういうことね」
「そういうことじゃ、では今からな」
「一緒になのね」
「満喫してくるぞ」 
 こう言ってでした。
 ノーム王はドワーフ王それにそれぞれのお供の人達と一緒にでした。
 露天風呂、飛行船から見えるお空の景色に湯舟とサウナそれにム図風呂も楽しんででした。そのうえで。
 お風呂上がりのビールも楽しみました、それから言うのでした。
「生きていてよいのう」
「全くじゃ」
 ドワーフ王も言います。
「風呂もよいが」
「その後のビールもな」
「実によい」
「全くじゃ」
「それではな」
「さらに飲もうぞ」
「そうしようぞ」
 こう言ってお互いに飲みます、見れば他のノームやドワーフの人達もです。
 ビールをとても美味しそうに飲んでいます、そして。
 そのうえで、です。茹でたソーセージや焼いたベーコンモ出して食べます。ノーム王はそうしたものも食べて言いました。
「ビールを飲むとな」
「こうしたものも食いたくなるな」
「全くじゃ」
 ドワーフ王に大きなジョッキを片手に応えます。
「こうしたものがじゃ」
「ビールにはよく合うからのう」
「そうじゃ、だからな」
「ビールがよく進むな」
「こうしてな」
「何処までも飲めるな」
「そうなるな」
 今も飲みながら言います。
「これは楽しいぞ」
「全く以てな」
「お酒も楽しめるならね」
 つぎはぎ娘はそんなノーム王達を見て思いました。
「不満はないわね」
「不満なぞ忘れてしまったわ」
 これがノーム王の返事でした。
「最早な」
「そうなったのね」
「昔は持っておったが」
「ノームの人達も」
「今ではな」
 すっかりというのです。
「羨やみも妬みも憎しみも忘れ」
「不満もなのね」
「忘れたぞ」
 笑顔でまたビールを飲みつつ言います。
「すっかりな」
「それで幸せなのね」
「この通りな」
「幸せなのはいいけれど」
 ここで言ってきたのはトロットでした。
「もう夕方で」
「おお、晩ご飯の時間じゃな」
「そうなってるけれど」
「そういえば二時半位から入ってのう」
「一時間半は楽しんでね」
 お風呂をというのです。
「それでね」
「今は四時半か」
「オズの国ではね」
「晩ご飯の時間じゃな」
「そうなっているから」
 だからだというのです。
「私達もいただくわ」
「そうするか」
「今日はホイコーローにね」 
 このお料理にというのです。
「海老と烏賊とレタスの炒飯に中華風の茸とお野菜のスープよ」
「そういったものか」
「それでね」
 そのうえでというのです。
「デザートはごま団子よ」
「そちらも中国じゃな」
「そういったものを食べるわ」
「ではな」
「ええ、今から出してね」
 そうしてというのです。
「楽しむわ」
「それではな」
「メニューは違ってこちらは後になるけれど」
「お互いにな」
「楽しみましょう」
「そうしようぞ」
 見ればノーム王達はです。
 ソーセージやベーコンだけでなくジャガイモ料理も出して盛大に飲むだけでなく食べはじめてもいます、そうしつつ言うのでした。
「陽気にな」
「ええ、是非ね」
「しかしビールは美味い」
 今も飲みつつ言います。
「実は餃子や焼きそばやお好み焼きもな」
「おつまみにしているのね」
「そしてな」
 そのうえでというのです。
「串カツなりな」
「そうしたものもなのね」
「おつまみにしておる」
「枝豆に冷奴もよいのう」
 ドワーフ王も言ってきました。
「ビールには」
「唐揚げもじゃな」
「おお、それもよいな」
 ノーム王のお言葉に笑顔で応えました。
「ビールには」
「お主もそう思うか」
「思わぬ筈がない」
 それこそというのです。
「一度食べてな」
「これはよいと思ったな」
「色々な食べものが味わえる様になってな」
 そうしてというのです。
「実にな」
「よいのう」
「全くじゃ」
「オズの国に美味いものが増えた」
「実によい」
「ではこの歴訪の間もな」
「そちらも楽しんでいこう」
 是非にというのでした。
 そしてです、ビールもソーセージも楽しみ。
 夜には夜空を見てまた言いました。
「飲んで気持ちよくなってな」
「そのうえで見る夜空の何といいことか」
「実に奇麗じゃ」
「お月様もお星様もな」
「金色に優しく輝くお月様にじゃ」
「色々な色に輝くお星様」
「実にいいのう」
 肩を組み合ってお話します。
「そのうえで寝る」
「まだ国々を訪問しておらんが」
「それでもな」
「今で充分楽しいな」
「全くだ」
「このまま楽しもうぞ」
「今は夜空をな」
 とても仲良くお話してでした。
 ノーム王はドワーフ王と一緒に皆と仲良く夜空も楽しみました、そのうえで最初に訪問する国に向かうのでした。








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