『オズのカリフ王』
第三幕 ポリクロームの来訪
夜も楽しく過ごして朝明るくなるとです。
皆で朝ご飯を食べました、今日の朝ご飯はそれぞれのテーブル掛けからトーストやオートミールにです。
オムレツやスクランブルエッグ、ハムや焼いたソーセージにベーコンそれにトマトや苺、オレンジに林檎といったものにです。
ヨーグルトにチーズ、そして牛乳が出されました。ノーム王は牛乳をとても美味しそうに飲んでから言いました。
「よいのう」
「全くだ」
ドワーフ王も今は牛乳を飲みつつ応えます。
「皆で食べる朝飯はな」
「実にいい」
「しかも畏まらずにな」
「砕けて食べるとな」
「これ以上いいものはないな」
「全くだ」
「堅苦しいお食事はね」
トロットも言います、トロットはトーストにマーガリンをたっぷりと塗ってそのうえで食べています。
「私もね」
「苦手か」
「確かにオズの国の王女だけれど」
このことはオズマそれにドロシー、ベッツイと同じです。
「私元々は外の世界で普通のお遺で暮らしていたから」
「そうであったな」
ノーム王はベーコンをフォークとナイフで切りつつ応えました。
「ドロシー王女もベッツイ王女も」
「王宮にいるとどうしてもね」
「堅苦しいな」
「お食事だけでなくてね」
「どうしてもそうなるな」
「そうだけれど」
それがというのです。
「元々の生まれがね」
「王女ではないからか」
「だからね」
「儀礼だの何だのとだな」
「堅苦しいことはね」
そうしたことはというのです。
「あまり得意じゃないのよ」
「そうであるか、それは我等も同じでね」
「堅苦しいものよりなのね」
「元々ラゲドー王に仕えていた立場だからな」
そうだったからだというのです。
「王としての堅苦しい儀礼はな」
「得意じゃないのね」
「うむ」
そうだというのです。
「わしもな」
「そうなのね」
「ドワーフは元々堅苦しい種族ではなかった」
ドワーフ王はソーセージをフォークに刺して言いました。
「そうだからな」
「儀礼的になのね」
「王宮の堅苦しいことはな」
どうしてもというのです。
「苦手でな」
「それでなのね」
「こうした砕けた食事がな」
「いいのね」
「そうなのだよ」
笑顔で食べながらお話をします。
「皆と同じだ」
「全くです」
「我等はこれがいいです」
「砕けた場で明るく楽しく」
「そうして食べることが」
ドワーフの人達もお話します、そしてです。
ドワーフ王と一緒に飲んで食べてです、さらに言いました。
「王と共にです」
「沢山食べる」
「そして飲む」
「実に最高です」
「まさに」
こう言って賑やかに笑顔で朝食を楽しんでいます、それはノームの人達も同じで。
「美味しいな」
「全くだ」
「お肉もお野菜も果物も」
「そして卵料理も」
「どれもいい」
「全くだな」
「ははは、皆で楽しんで食べよう」
カリフ王はそのノームの人達に言いました。
「飛行船にいる間はな」
「はい、それでは」
「歌や踊りも楽しみ」
「そしてですね」
「お食事もですね」
「そうしていこうぞ」
こう言ってです。
ノーム王は今度はオムレツを食べました、その上で言いました。
「こちらも美味いのう」
「ノームの人達も卵食べられる様になって」
それでと言うジョージでした。オムレツを食べながら。
「よかったですよね」
「卵って美味しいんですよね」
神宝はにこりとしてオムレツを前に言いました。
「どんなお料理にも出来ますから」
「こうしてオムレツやスクランブルエッグにしてもよくて」
カルロスはスクランブルエッグを食べつつ言います。
「目玉焼きにしてもいいですね」
「茹で卵もいいですね」
ナターシャはスクランブルエッグにケチャップをたっぷりとかけています。
「そちらも」
「他にも色々お料理があって」
恵梨香はスクランブルエッグにお醤油をかけています。
「卵っていいですよね」
「うむ、触ると死ななくなって」
ノーム王は五人に応えて言いました。
「食べられる様になってよかった」
「全くですね」
「お肉やお魚もいいですが」
「卵もいいです」
「こちらも美味しく食べられます」
「そうした食べものですから」
「食べられる様になってよかった」
実にというのです。
「それだけでも幸せじゃよ」
「飲む時にも茹で卵かオムレツがあれば」
キャプテンは今はオートミールを食べながら言いました。
「それだけで違うからな」
「おつまみになるのよね」
「そうだよ」
バターコーンを食べているビリーナに応えました。
「それだけで」
「だからいいのね」
「うん、わしは最近な」
キャプテンはさらに言いました。
「卵焼きやかにたまもな」
「好きになっていてなのね」
「お酒を飲む時におつまみにしている」
実際にというのです。
「そうしているのだよ」
「そうなのね」
「だからな」
それでというのです。
「わしも卵はな」
「好きなのね」
「家鴨や駝鳥の卵もあるしな」
「ああ、鶏だけじゃなくて」
ビリーナも応えます。
「卵はね」
「色々な鳥が産んでくれるな」
「そうなのよね」
「それでそうした鳥の卵もじゃ」
「食べる様になったのね」
「最近はな」
そうなったというのです。
「ピータンだのな」
「家鴨の卵を茹でたものね」
「それに駝鳥の卵のオムレツもな」
「好きなのね」
「そうしたものを食べながら」
さらにというのです。
「ビールやワインを飲むのがな」
「好きなのね」
「そうなっているな」
「成程ね」
「実にいい」
「キャプテンさんも卵が好きってことね」
ビリーナはここまで聞いてしみじみとした口調になって言いました。
「そういうことね」
「要するにな」
「そうじゃ、それで今はな」
今度はオムレツを食べて言いました。
「牛乳と一緒にな」
「楽しむのね」
「牛乳も好きだからな」
それでというのです。
「こちらも飲むぞ」
「朝は牛乳よね」
トロットはその牛乳を飲みながら応えました。
「やっぱり」
「何と言っても」
「そうよね、それじゃあ」
「楽しくね」
「朝ご飯を食べよう」
「そうしましょう」
こうしたお話もしてでした。
皆で朝ご飯を飲んで食べてです。
その後は暫く昨日と同じく三百六十度球形にお空の景色を楽しみますがノーム王はその中で言いました。
「ここはお風呂もよいのう」
「うむ、見事な大浴場でな」
ドワーフ王も応えます。
「サウナも湯舟も水風呂もな」
「全て楽しませてもらったな」
「全くだ」
こう言うのでした。
「堪能させてもらった」
「風呂はいいのう」
「地下の風呂もよいがな」
「地熱がいい具合でな」
「温泉が多くてな」
「しかしな」
「ここの風呂もいい」
飛行船の中のというのです。
「実にな」
「全くだな」
「宮殿の皆がお風呂好きだからね」
トロットが笑顔で言ってきました。
「それでなのよ」
「お風呂もか」
「この飛行船は充実しているか」
「そうなのよ」
こうお話するのでした。
「サウナもあってね」
「サウナは大好きだ」
ノーム王は笑顔で言いました。
「あそこで汗をかいてな」
「すっきりするのよね」
「水風呂も入ってな」
そうもしてというのだ。
「それでだ」
「また入るのね」
「湯舟もな」
こちらもというのです。
「そちらもな」
「ははは、身体も心も奇麗になるからな」
ドワーフ王はお口を大きく開けて笑って言いました。
「お風呂は最高だ」
「ノームもドワーフも皆風呂好きだからな」
「毎日入っているな」
「誰もが楽しんでな」
「そうしているからな」
「お風呂を楽しめるなら」
それならと言うつぎはぎ娘でした。
「それも幸せね、あたしもね」
「お前さんは確か」
「そう、あたしのお風呂はお洗濯よ」
「そうだな」
「洗濯機に入ってね」
そうしてというのです。
「お水と洗剤を入れて」
「洗うな」
「それで後は乾燥させれば」
「終わりだな」
「それが大好きでね」
それでというのです。
「あたしはね」
「大好きなのだな」
「そうよ」
こうノーム王にお話します。
「あたしもね」
「それがお前さんの入浴でだな」
「時間があればね」
「入っておるか」
「それで乾燥させているわ」
「だからいつも奇麗なのだな」
「そうよ、ちなみにあたしはそのまま洗濯しているけれど」
お身体全体をというのです。
「かかしさんだとね」
「中の藁を取ってな」
「それで洗濯機に入ってるわ」
「そうであるな」
「それで乾燥させて」
「また藁を入れるな」
「そうなっているわ、ちなみに樵さんはお風呂じゃなくて」
それに入らずというのです。
「油を塗って磨いて」
「それで奇麗にしているな」
「そうなのよ、チクタクとガラスの猫もね」
「油を塗って磨いてな」
「奇麗にしていて」
そしてというのです。
「ジャックは服は洗濯してカボチャを交換して」
「油を塗って磨くな」
「ハンクと同じ木に使う油を使ってね」
「それぞれ違うのう」
「休んだり食べたりする必要のない身体でも」
それを持つ人達でもというのです。
「そこはね」
「それぞれ違うな」
「そうよ、あとラベンダー熊達はぬいぐるみだから」
「お前さんと同じな」
「あたしと同じよ」
「洗濯して乾燥させるな」
「そうなっているわ」
こうお話します。
「それであたしもよ」
「お風呂が好きだな」
「そうなのよ、あたしの入り方でね」
「よくわかった」
「ええ、それとね」
「それと?」
「奇麗になったらね」
お洗濯をしてというのです。
「気分がよくなるからね」
「それでか」
「踊りも弾むわ」
「歌もだな」
「そうなのよ、それで昨晩も奇麗にしたから」
お洗濯をしてというのです。
「今から気分よくね」
「歌って踊るか」
「そうするわね」
「そうか、ではわし等も」
「一緒になのね」
「昨日と同じくな、景色も楽しんで」
それと共にというのです。
「歌って踊って」
「楽しみましょう」
「そうしよう」
つぎはぎ娘に笑顔で応えてでした。
早速彼女と共に歌と踊りを楽しみます、そこに他の皆も入って楽しい汗をかきました。その後休憩をしていますと。
お外には沢山の色々なお魚や鳥が泳いでいてです。
ドワーフ王はしみじみとなってそれで言いました。
「オズの国では空も魚が泳ぐと聞いていたが」
「まことであったな」
ノーム王も見て言います。
「鳥が飛んでな」
「魚も泳ぐ」
「そうした空だな」
「見るのだ」
ドワーフ王は親友であるノーム王にお空のある場所を指差して言いました。
「あちらに鯨がいるぞ」
「おお、ザトウクジラだな」
ノーム王も見て言います。
「空を泳いでいるな」
「楽しそうにな」
「まるで地下の湖や川の中にいる様だ」
「そこを潜水艇で進んでいる様だな」
「ウミヘビもいるしな」
「実に面白い」
「全くだ」
他のノームやドワーフの人達も見て大喜びです、王様達はその様子も見て笑顔になってお話しました。
「皆も喜んでおる」
「それは何よりだ」
「では我等もな」
「共に楽しもうぞ」
「鳥やお魚だけじゃないわよ」
トロットが大喜びの王様達に言ってきました。
「見て、天使も龍騎士の人達もいて」
「そうだな」
「色々な人も飛んでいるな」
「ドラゴンも龍もいる」
「キマイラやスフィンクスもいるな」
「仙人も雲に乗って飛んでいる」
「飛行機もあるしな」
「お伽の国のお空はね」
まさにというのです。
「こうしてね」
「色々なものが飛んでいてか」
「ただ景色がいいだけではない」
「賑やかな場所か」
「そうなのよ」
これがというのです。
「だから見ていて飽きないのよ」
「あの、それでなんですが」
ここでジョージがノーム王に尋ねました。
「さっき地中の湖や川のお話をされましたが」
「地底湖や地下の川の話は知っておろう」
ノーム王はそこから答えました。
「当然そこにはな」
「色々な生きものがいて」
「鯨もな」
「いるんですね」
「普通にな、鰐等もおるぞ」
「地底湖とかに」
「恐竜もおる」
この生きものもというのです。
「地底湖等にな」
「ううん、それもお伽の国だから」
「外の世界とは違ってな」
それでというのです。
「そうした生きものもな」
「地底のお水の中にいるんですね」
「そして楽しく暮らしておる」
「そうですか」
「灯かりはヒカリゴケがあるからな」
「それで明るく照らされてますね」
ジョージも言いました。
「地底でも」
「ノームの国もドワーフの国もな」
どちらもというのです。
「そうなっておる」
「そうですか」
「だからな」
「よく見えますね」
「そこはお前さん達も知っておるな」
「地中も冒険したことがあります」
ジョージはそれはと答えました。
「ですから」
「あの時も楽しかったわね」
「とてもね」
「ビリーナと一緒だったわ」
「楽しかったよ」
恵梨香達四人も言います。
「あの時もね」
「色々な人に出会えて」
「色々な場所に行けて」
「楽しかったわ」
「そうだったね」
ジョージも言いました。
「あの時も」
「ならわかるな」
ノーム王は笑顔で応えました。
「地下にもじゃ」
「色々な生きものがいますね」
「それも沢山な」
「オズの国では」
「だからな」
お空の鳥や魚達を見てです。
「地下の湖や川を思い出したのじゃ」
「そういうことですね」
「うむ、それでな」
「それで、ですか」
「面白く楽しく思っておる」
「お空も」
「そうじゃ、これから歴訪もするが」
お空の各国をというのです。
「果たしてどんな国があるか」
「楽しみですね」
「全くじゃ」
こうしたお話をしてでした。
ノーム王は皆と一緒にお空の生きもの達も見て楽しみます、そうしていますと飛行船の方にでした。
一人の虹色に輝く丈の長いワンピースを着た女の子が来ました、ジョージ達五人はその女の子を見て言いました。
「あっ、ポリクローム」
「そうだね」
「あの人だね」
「そういえば最近お会いしていなかったわ」
「あの人がこっちに来てるわ」
「どうしたのかしら」
トロットも彼女を見て言いました。
「一体」
「こちらに来ているのなら」
キャプテンも言います。
「飛行船の中に入れてあげてね」
「お話を聞くのね」
「そうしよう」
こう言うのでした。
「ここは」
「そうね、それじゃあね」
「中に入れてあげよう」
「それではね」
こうお話してでした。
飛行船の扉を開けてです、そこからもう目の前まで来ていたポリクロームに挨拶をしてから尋ねました。
「お久し振り、どうしたの?」
「お久し振り、実は貴方達と一緒にいなさいって言われたの」
ポリクロームはトロットに答えました。
「お父様とお母様達からね」
「虹の妖精の国々の」
「そう、それでね」
そのうえでというのです。
「よかったら中に入れてくれるかしら」
「いいわよ、そのつもりで扉を開けたし」
「そう、それじゃあね」
「入って」
「そうさせてもらうわ」
こうお話してでした。
ポリクロームは飛行船の中に入りました、そうしてです。
皆にです、車座になって座ったところでお話しました。
「ノーム王とドワーフ王が来られると聞いて」
「それでか」
「ええ、案内役としてね」
それでとです、ノーム王に答えます。
「言ってくれってね」
「言われてか」
「こちらに来たの」
「そうだったのか」
「それでだけれど」
ポリクロームはあらためて言いました、尋ねる様に。
「一緒にいていいかしら」
「勿論だとも」
「それは有り難い」
ノーム王だけでなくドワーフ王も答えました。
「それではな」
「宜しく頼むぞ」
「よかったわ、では案内役をね」
「してくれるか」
「これから」
「是非ね」
「わし等もこちらのことは知っているが」
キャプテンも言ってきました。
「やはり住んでいる人が案内だとね」
「助かるわ」
つぎはぎ娘も言います。
「だから嬉しいわ」
「全くよね」
ビリーナはつぎはぎ娘の言葉に頷きました。
「何かと頼らせてもらうわ」
「それではね。それとね」
ポリクロームはつぎはぎ娘達の言葉も受けて笑顔で言いました。
「私のお食事はね」
「わかってるわ、露だけね」
「もうそれだけで充分だから」
トロットに答えました。
「安心してね」
「テーブル掛けに出さなくても」
「少しお外に出て」
そうしてというのです。
「ちょっと雲にでも行けばね」
「手に入るわね」
「それでいいから」
「いえ、やっぱり皆で一緒によ」
トロットはそう言ったポリクロームに答えました。
「飲んで食べるのがいいから」
「それでなの」
「そう、貴女の分も出すから」
お食事をというのです。
「だからね」
「出してくれるのね」
「そうさせてもらうわ」
「それではね」
ポリクロームもそれならと応えました。
「お願いするわ」
「それではね」
「いや、虹は見られるが」
またノーム王が言ってきました。
「ポリクローム嬢は格別じゃな」
「うむ、可愛いのう」
ドワーフ王は明るく笑って続きました。
「トロット嬢に恵梨香嬢にナターシャ嬢」
「可愛い娘がまた増えたわ」
「あら、あたしはどうなの?」
つぎはぎ娘は王様達の今のお話に突っ込みを入れました。
「可愛くないの」
「人間や妖精の可愛さということじゃ」
ノーム王はつぎはぎ娘にこう答えました。
「お前さんはぬいぐるみだからな」
「ぬいぐるみの可愛さなの」
「そちらになる」
こう言うのでした。
「どうかと言うとな」
「可愛いって言うと」
「そうなのね」
「私は鶏として可愛いと言われるわよ」
ビリーナは平然と言ってきました。
「それで鶏の間では美女と言われてるわ」
「あんたはそうなの」
「そうよ、とびきりの美人だってね」
つぎはぎ娘に胸を張って答えました。
「言われてるのよ」
「鶏の間ではなのね」
「そうなのよ」
「何かよくわからないわね」
つぎはぎ娘はビリーナの言葉に首を傾げさせました。
「鶏の間ではって」
「鶏同士ならわかるのよ」
「美人かどうか」
「そうなのよ」
「ううん、それってね」
つぎはぎ娘は考えつつ言いました。
「それぞれの生きものでってこと?」
「そう、見分けがついてね」
「美形かどうかもなのね」
「わかるのよ」
「そうなのね」
「現にあんたかかしさんや樵さんからとびきりの美人って言われるでしょ」
「ジャックからもね」
彼からもというのです。
「いつも言われるわ」
「ぬいぐるみやブリキとかね」
「そうした身体同士だとなのね」
「わかるのよ、あんたから見てね」
ビリーナはつぎはぎ娘に尋ねました。
「かかしさんや樵さんは美形かしら」
「お二人共とびきりのハンサムよ」
これがつぎはぎ娘の返事でした。
「ジャックは抜群の美少年でね」
「それがわかるでしょ」
「チクタクは面白い外見って言われるけれど」
彼はといいますと。
「立派な紳士よ」
「そうした外見ね」
「そうよ、あたしから見るとね」
「そういうことよ、同じか似た様な生きもの同士でこそね」
「美形かどうかがわかるのね」
「それでノーム王さん達から見れば」
ポリクローム達をというのです。
「美形なのよ」
「そうなのね」
「そう、だから」
それでというのです。
「あんたは今みたいに言われたのよ」
「ぬいぐるみとして可愛いって」
「美人さんじゃなくてね」
「そういうことね」
「そう言われたら納得したでしょ」
「したわ」
ビリーナに笑って答えました。
「あたしもね」
「ならそういうことでね」
「よしとすべきね」
「本当にね」
まさにというのです。
「あんたもね」
「それならね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「あんたのそのぴょんぴょん跳ねられて」
そうしてというのです。
「どんな動きも出来る身体はいいと思う時があるわ」
「そうなの」
「だってどんな無茶もね」
それこそというのです。
「出来るでしょ」
「だからなの」
「どれだけ跳ねても曲がっても」
「あたしは何ともないわ」
「自由自在な身体の動きが出来るから」
「いいってなのね」
「思う時があるわ」
こう言うのでした。
「本当にね」
「つぎはぎ娘って骨も筋肉もないからね」
ジョージも言ってきました。
「本当に自由な動きが出来るからね」
「どんな方向にも身体が曲がるし」
恵梨香が言ってきました。
「好きなだけ跳ねられるし」
「凄い身体よね」
ナターシャも思うことでした。
「とても柔らかいし」
「しかも疲れないから」
カルロスはこのことを思いました。
「幾らでも動けるしね」
「しかも軽いからくるくる動けるよ」
神宝も言います。
「こんな身体外の世界では絶対にないからね」
「この身体で悪い思いしたことはないわ」
つぎはぎ娘自身もでした。
「本当にね」
「それわかるよ」
「そんな有り難い身体だとね」
「誰も不満に思わないわ」
「それこそね」
「誰だってね」
「そうよね、この身体に感謝しながら」
そうしてというのです。
「これからも楽しんでいくわ、食べる必要も飲む必要も寝る必要もないしね」
「その三つはね」
「僕達は楽しんでいるからね」
「どれも凄くいいから」
「そこは違うわね」
「出来てよかったと思うわ」
「そうなのね、楽しんでいるならいいわ」
他の皆がというのです。
「あたしはその時の笑顔を見て楽しんでるしね」
「食べることはなくても」
それでもと言うトロットでした。
「その時の皆の笑顔はね」
「最高のご馳走よ」
「そうよね」
「だからね」
それでというのです。
「食べることはなくても」
「食べることは好きね」
「そうなのよ」
実際にというのです。
「あたし達食べることのない人達はね」
「それを見ることが」
「そうなのよ」
「成程ね」
「それでお昼は何を食べるのかしら」
つぎはぎ娘はトロットに尋ねました。
「一体」
「まだ考えてなかったわ」
「そうなの」
「ポリクロームは露だけれど」
「ええ、私はね」
ポリクロームも応えました。
「それだけを口にするから」
「それでなのね」
「だからね」
それでというのです。
「私のことはね」
「それでいいわね」
「私は今日は稗ね」
ビリーナはこちらをリクエストしました。
「それをお願いね」
「わかったわ」
「わし等はアイスバインにするか」
ドワーフ王は腕を組んで考えるお顔で言いました。
「それとザワークラフトか」
「ジャガイモも欠かせないですね」
「それですと」
「何と言ってもビールです」
「お願いします」
「それではな」
笑顔で、でした。
ドワーフの人達は決まりました、それを見てトロットは思いました。
「ドイツ料理のメニューね」
「ドワーフの人達はね」
キャプテンが応えました。
「決まったわね」
「そうだね」
「ドワーフ王がそう来るなら」
ノーム王はそこから考えました。
「わし等はどうすべきか」
「どうしますか?」
「我々のお昼は」
「ドワーフ王達がアイスバインやビールなら」
「我々は」
「うむ、そうだな」
少し考えてからでした。
ノームの人達にです、こう言いました。
「わし等はハンバーグがいいか」
「いいですね、では上に目玉焼きを乗せましょう」
「それとザワークラフトは欠かせなくて」
「ビールもで」
「それに黒パンですね」
「そうしよう、同じドイツ料理でもな」
それでもというのです。
「いいな」
「そうですね」
「ではそちらにしましょう」
「我々は」
「ハンバーグとパンにしましょう」
「ではな」
こうお話しました、そしてです。
そうしたお話を聞いてです、トロットは皆に尋ねました。
「皆は何がいいかしら」
「ううん、アイスバインとかハンバーグとか」
「素敵ですね」
「どちらもいいですね」
「本当に」
「それなら私達もね」
「そうね、私達も同じものを出しましょう」
ジョージ達五人に答えました。
「そうしましょう」
「わかりました」
「それではです」
「アイスバインとハンバーグ」
「ザワークラフトにですね」
「ジャガイモとパンですね」
「それでいきましょう」
こう言うのでした。
「キャプテンさんにはビールも出して」
「嬉しいね、ただジャガイモはどう料理するのかな」
キャプテンはこのことが気になりました。
「一体」
「そうね、潰した」
「マッシュポテトかな」
「それでどうかしら」
「ドイツ料理ならだね」
「ジャガイモはね」
この食べものはというのです。
「やっぱりね」
「潰すね」
「そうして食べるから」
だからだというのです。
「ここはね」
「マッシュポテトだね」
「それにしましょう」
「それではね」
「うむ、ジャガイモはアイスバイン等と一緒の時は潰す」
ドワーフ王もこう言ってきました。
「まさに」
「それが一番美味いな」
「そうだな」
ノーム王にも応えます。
「ビールにも合う」
「ではな」
「お昼にしよう」
「これよりな」
皆でお料理を出して食べはじめます、そうしますと。
キャプテンにノームやドワーフの人達はビールも楽しみます、すると王様達は肩を組み合ってジョッキ片手にお話しました。
「楽しいのう」
「全くだ」
「お空を旅して」
「その景色を楽しめてな」
「共に飲める」
「何という嬉しさだ」
「生きていて嬉しいぞ」
ノーム王はこうも言いました。
「わしはな」
「わしもだ、ではこれからもな」
「嬉しく楽しくな」
「生きていこうぞ」
「何か」
ジョージはアイスバインを食べつつ思いました。
「ノームの人達って」
「そうよね」
「悪い印象ないよね」
「こうしてお話して」
「傍にいてもね」
恵梨香達四人も思うことでした。
「意地悪でも陰気でもなくて」
「邪悪でなくて」
「むしろ明るく裏表がなくて」
「いい人達よ」
「そうだね、ラゲドーさんが王様だった頃は」
その頃はといいますと。
「もう何かとね」
「オズの国を攻めようとして」
「よからぬことばかり考えて」
「悪い人達だったけれど」
「完全に変わったね」
「いや、わし等も悪事をして嫌われるより」
ノーム王は今もドワーフ王と肩を組みつつお話します。
「いいことをして好かれる方がな」
「よくなったんですね」
「意地悪とか侵略とかしないで」
「明るく楽しく暮らす」
「そうした方がずっといい」
「そのことに気付いたんですね」
「前王ですら変わったんじゃ」
あのラゲドー氏もというのです。
「あの方は魔法の力であったが」
「他のノームの人達はですね」
「考えが変わった」
「それで、ですね」
「今みたいになった」
「そうなんですね」
「そうじゃ、悪事ばかりしておると」
そうしていますと。
「嫌われて報いも受ける」
「それが皆わかっておるからな」
ドワーフ王も言ってきました。
「わし等もノーム達もな」
「今はな」
「こうしてな」
「明るく楽しくな」
「いいことをしようとな」
「常に心掛けておる」
「そういうことじゃ」
こう言うのでした。
「そしてそれがな」
「随分よいのう」
「幸せになれてな」
「いつも楽しい気分になれる」
「いいこと尽しじゃ」
「いいことをしようと考えてな」
そうしてとです、ノーム王は言いました。
「するとな」
「いい人生にもなる」
「そういうことじゃ」
「そうなのよね」
ポリクロームは王様達の言葉に頷きました。
「いいことを考えてね」
「いいことをしているとな」
「いい人になれて」
「幸せにもなれるな」
「そうなのよね」
ノーム王に答えました。
「本当に」913
「そのことがわかったからな」
「貴方達もなのね」
「今は他のオズの人達と同じくな」
「いい人達になったのね」
「そういうことじゃよ」
ポリクロームに笑顔で答えます、そうしてでした。
虹の妖精である彼女も加えてそのうえでさらに旅を続けるのでした、歴訪の旅はさらに楽しいものになりました。