『新オズのリキティンク』
第一幕 オズの国のお笑い
ナターシャは恵梨香達四人と一緒にオズの国に来てです、エメラルドの都で一日楽しく遊んで晩ご飯の後で思いました。
「お笑いを見たいわね」
「あら、どういったお笑いかしら」
一緒に湯舟緑の大理石の床と壁そしてエメラルドで飾られた大きなお風呂場の中にあるそのうちの一つに入っているドロシーが応えました。
「一体」
「はい、日本の落語や漫才やコントや新喜劇です」
「観たいのね」
「ふと思いました」
「それならね」
ドロシーはナターシャの考えを聞いて言いました。
「オズの国の日本街の一つにね」
「お笑いの街がありますか」
「お笑いと食べもののね」
その二つのといううのです。
「とても賑やかで楽しいね」
「そうした街がありますか」
「そこに行ってみたらどうかしら」
こう提案するのでした。
「そうしたらね」
「そうしたものが観られますか」
「ええ、貴女達は一度行ってるわよ」
「あっ、あの街ですね」
ナターシャは言われて気付きました。
「黒と黄色の縦縞が多い」
「大きな蟹や河豚の看板のお店もあるわね」
「紅白の眼鏡のおじさんのお人形も」
「あの街に行けばね」
それでというのです。
「もう好きなだけね」
「笑えますね」
「オズの国でお笑いといったら」
それこそというのです。
「あの街よ」
「何といってもですね」
「だからね」
それ故にというのです。
「行けばいいわ」
「わかりました、じゃあ明日皆でお話をして」
「そうしてね」
「あの街に行くかどうか決めましょう」
「そうしたらいいわ」
まずお風呂場の中でこんなお話をしました、そしてです。
朝日の出と一緒に起きてでした。
茹で卵にサラダ、焼いたベーコンにソーセージそれに甘いジャムをたっぷりと入れたヨーグルドに様々なフルーツが用意された朝食をです。
トーストと牛乳をメインに食べつつナターシャは皆に提案しました。
「黒と黄色の縦縞のお笑いの街に行かない?」
「あの街ね」
ナターシャの言葉を聞いてです、恵梨香はソーセージをフォー九を使って食べつつ明るい笑顔で応えました。
「あそこに行くのね」
「昨日ここに来たばかりでどうしようか考えてなくて」
神宝は茹で卵を食べつつ応えました。
「まずは都の宮殿でドロシーさんと遊んだけれど」
「何処かに行くか何しようかとか」
ジョージは分厚くてこんがりと焼かれたベーコンを食べながら言いました。
「まだ考えてなかったけれどね」
「冒険に出てね」
カルロスはイタリアンドレッシングをたっぷりとかけたサラダを食べながら言いました、緑のレタスに胡瓜、トマトにセロリにラディッシュがあります。
「それでお笑いの街に行くのもいいね」
「うん、いいと思うよ」
皆と一緒にいる魔法使いも笑顔で応えました。
「あの街に行くのもね。実はね」
「実は?どうしたの?」
「いや、私も最近あの街に行ってね」
そうしてとです、魔法使いはドロシーに牛乳を飲んでから答えました。
「そうしてね」
「お笑いを観たいのね」
「それであそこの美味しいものもだよ」
こちらもというのです。
「楽しみたいと思っていたんだ」
「そうだったのね」
「蟹に河豚にたこ焼きにハリハリ鍋に」
魔法使いは笑顔で言っていきます。
「お好み焼きに串カツに」
「あの街は美味しいもの一杯あるのよね」
「ホルモンもいいしきつねうどんもね」
「あのおうどん美味しいわね」
「立って食べる豚骨ラーメンもいいしカレーだってね」
「そうそう、あの街のカレーはとても面白いわ」
ドロシーは笑顔で応えました。
「最初からご飯とルーが混ざってあって」
「あれが美味しいんだよね」
「そうなのよね」
「二つ出て来る善哉もいいし」
魔法使いはさらに言いました。
「ご飯の中に鰻がある鰻丼もあるし」
「あれも美味しいわね」
「関東煮というおでんもあって」
「私焼きそばも好きよ」
「あれもいいね、じゃあね」
「あの街に行くことになったら」
「私も行きたいよ、そういえばね」
ここで魔法使いはこうも言いました。
「私は最近ナターシャ嬢達と一緒に冒険に出ていないね」
「そうでしたね」
言われてみればとです、ナターシャも応えました。
「ここ暫くは」
「だからね」
「若しあの街に行くなら」
「私が同行していいかな」
「宜しくお願いします」
ナターシャも他の四人も笑顔で応えました。
「その時は」
「こちらこそね、ではこれから本当に行くかどうか」
「そのことをですね」
「決めようね」
「お話してですね」
「そうしよう」
笑顔でお話してでした、皆で実際に行くかどうか朝ご飯を食べつつお話をはじめました。その中で、でした。
オズマがです、自分の席からトーストにバターをたっぷりと塗ってとても美味しそうに食べながら言いました。
「実はアン王女とカエルマン氏とクッキー嬢がもう少ししたらこちらに来てくれるの」
「そうなの」
「ええ、親善にね。けれどね」
それでもというのです。
「私への挨拶が終わったら自由時間だから」
「それでなのね」
「ええ、あの娘達にもね」
こうドロシーにお話するのでした。
「あの街を紹介する意味も込めて」
「一緒になのね」
「行ったらどうかしら」
「そうね、私とオズマはね」
「今回は手を離せないお仕事があるわ」
「だからね」
それでというのです。
「残念だけれど」
「冒険には行けないわ」
「そうよね」
「けれどね」
「魔法使いさんが一緒だとね」
「安心出来るわ、では皆でね」
アン王女達が都に来てからというのです。
「彼等も誘って」
「そのうえでね」
「行くといいわね」
「そうしたらね」
「確か今朝だったね」
モジャボロは大好きな林檎のジャムを入れたヨーグルトを楽しんでいます、そのうえで言うのでした。
「彼等が来るのは」
「ええ、それで私に謁見してね」
「それからは自由だね」
「彼女達もね」
「ならね」
「王女達もよ」
是非にというのです。
「今回はね」
「縦縞の街にだね」
「行ってもらいましょう」
「それがいいね、しかしね」
「しかし?」
「いや、あの街のお笑い私も好きなのよ」
オズマは少し残念そうな苦笑いを浮かべて言いました。
「実はね」
「そうだったんだ」
「ええ、だからね」
それでというのです。
「少しね」
「今回あの街に行けないことはだね」
「残念よ」
「また機会があるわ」
ドロシーはバナナを食べつつオズマに彼女の横の席から言いました。
「だからね」
「特になのね」
「ええ、また行けるから」
「残念に思わないで」
「そうしてね」
それでというのです。
「その時を楽しみに待てばいいのよ」
「他の楽しみを満喫しながらよね」
「そうよ、そうしたらいいわ」
「そうね」
オズマも言われて頷きました。
「それじゃあね」
「そうするわね」
「ドロシーの言う通りにね」
「それではね」
笑顔で、でした。
オズマは頷きその機会を他の楽しみを満喫することにしました、そうしてです。
皆で楽しく朝ご飯を食べた後でアン=アンヤコレヤ王女とカエルマンそれにクッキーの来訪を受けました。
そうして彼等のオズマへの謁見が終わるとです。
オズマはナターシャ達とお話したことを彼等にもお話しました、するとカエルマンは目を輝かせて言いました。
「いいね、実は私はあの街の野球チームが大好きなのだよ」
「あら、そうだったの」
「あんな絵になるチームはないよ」
オズマにその目でお話します。
「何があってもそうだし華があってね」
「素敵なチームだからなのね」
「大好きなんだ、愛していると言ってもいいよ」
こうまで言うのでした。
「お笑いに美味しいものもいいけれど」
「あの野球チームがなのね」
「大好きだよ、あのチームの試合を観られるなら」
それならというのです。
「私も是非だよ」
「あの街に行きたいのね」
「うん、喜んでね」
「あの街の飲みもので素敵なものがありますよね」
クッキーは謙虚な物腰で言ってきました。
「みっくちゅじゅーちゅが」
「あのジュースね」
「はい、私は最近あのジュースが好きでして」
「だからなのね」
「私も行けるなら」
それならというのです。
「是非」
「では貴女もね」
「あの街の賑やかさは何とも言えないから」
それでとです、アン王女も言ってきました。
「よかったら私もね」
「ええ、それではね」
「ご一緒させてもらうわ」
「それではね」
「あのーーです」
これまで黙っていたチクタクが言ってきました。
「私ーー最近ーー落語がーー好きーーで」
「それでなのね」
「ご一緒ーーしたいーーです」
「では貴方もね」
「有り難うーーございーーます」
「さて、明日かかし君と樵君が来てくれて」
モジャボロは笑顔で言いました。
「オズマ姫とドロシー嬢を補佐してくれるから」
「それでだね」
魔法使いがモジャボロに応えました。
「私から申し継ぎを受けて」
「そうしてだね」
「うん、それからね」
まさにというのです。
「出発すればいいよ」
「そうだね、あとあの街まで列車で行けるから」
「オズの国のね」
「すぐに行けばいいよ」
その列車を使ってというのです。
「そうしたらね」
「そうだね、それじゃあね」
「一緒にね」
「行く様にしよう」
「あの街にね」
こうもお話します、ですが。
ここで、です。ドロシーはふとこんなことを言いました。
「そう言えば今あの街にリンキティンク王がいるそうよ」
「あの人がですか」
「ええ、あの人もお笑い好きでしょ」
「無類の笑い上戸で」
「それでね」
ナターシャにお話します。
「落語や漫才や新喜劇もね」
「お好きですか」
「あの街にはかつて日本で活躍したお笑いの人もよ」
「大勢おられるんですね」
「そうした街だから」
それでというのです。
「あの人もよく来てね」
「楽しまれてるんですね」
「当然ボボ王子も一緒よ」
リンキティンク王の無二の友人であるこの人もというのです。
「あの人もお笑いが好きになったの」
「リンキティンク王の影響を受けて」
「そうよ、それじゃあね」
「ええ、この度はですね」
「あの人ともね」
「あの街のお笑いを楽しめばいいですね」
「そうしてきたらいいわ」
ドロシーはオズマににこりと笑ってお話しました。
「是非ね」
「わかりました」
「じゃああの人とも一緒に楽しんできます」
「あの街のお笑いを」
「野球も美味しいものも楽しんで」
「満喫してきます」
ナターシャだけでなく五人全員で笑顔で応えました、そうしてです。
アン王女達も加えての旅への出発の準備に入りました、そして翌日かかしと樵が宮殿に来て魔法使いからお仕事の申し継ぎを受けるとでした。
皆列車に乗りに駅に行きます、すぐに線路がお空に出ました。
駅からお空につながるそれを見てでした、かかしは樵に言いました。
「お空を飛ぶ列車というものもね」
「いいよね」
樵はかかしに笑顔で応えました。
「まさにオズの国ならでは」
「そんな感じでね」
「科学と魔法が合わさった」
「実に魅力的なものだよ」
「そうでしょ、オズの国の列車は陸地も進めてね」
開発と施設の中心者の一人でもあるオズマが応えました。
「空中それに水上にね」
「水中もだね」
「進めるね」
「地中もね、線路が行き先に自然に出て」
そうしてというのです。
「そのうえでね」
「先に進めるね」
「目的地までね」
「そうなの、では皆その列車に乗って」
車両の前に集まっているナターシャ達にも言います。
「あの街に行ってね」
「そうしてだね」
「楽しい時間を過ごしてね」
「そうさせてもらうね」
魔法使いも笑顔で応えます、そうしてです。
一行は列車に乗って動きはじめるとオズマ達と車窓越しに笑顔で手を振り合って一時のお別れの挨拶をしてでした。
そのうえで出発します、列車は空を飛んで街に向かいます。
その中で席に向かい合って座った状況でチクタクは言いました。
「こうしたーー鉄道のーー旅もーーです」
「いいものだよね」
「そうですーーよね」
チクタクは向かい側の席に座るカエルマンに笑顔で応えまsた。
「まことーーに」
「歩いたり船の旅もいいけれど」
「鉄道のーーものもーーですーーね」
「うん、だからね」
それでというのです。
「まずはね」
「今をーーですーーね」
「楽しもう」
「そうしまーーしょう」
チクタクは銅のそのお顔をにこにことさせています、そうしてです。
まずは皆で車窓から景色を観たりして楽しみました、その中で。
アンはナターシャにです、こんなことを言いました。
「オズの国はお笑いもね」
「沢山ありますね」
「ええ、アメリカのものがメインでね」
「外の世界の他の国のお笑いもですね」
「あるわよ」
そうなっているというのです。
「オズの国はアメリカが反映されて」
「そのアメリカに世界中から人が来るからですね」
「だからね」
そうしたお国だからというのです。
「それでよ」
「外の世界のあらゆるお笑いがですね」
「揃ってるのよ」
そうだというのです。
「オズの国は」
「そのこともいいですね」
「それあの街はね」
黒と黄色の縦縞の街はというのです。
「日本のお笑いでね」
「満ちていますね」
「そしてオズの国で一番ね」
「お笑いが盛んな街ですね」
「美味しいものとね」
そしてというのです。
「お笑いの街なのよ」
「楽しい街ですね」
「そうなのよ」
「あの街は評判なのよ」
クッキーもナターシャに言ってきました。
「お笑いと美味しいもので」
「その二つで」
「それで野球でもね」
「外の世界にもある」
ナターシャは思わずこう言ってしまいました。
「虎のチームですね」
「そう、あのチームでもね」
「有名ですね」
「だからね」
それでというのです。
「何かとね」
「楽しめる街ですね」
「そうなのよ」
まさにというのです。
「これがね」
「野球でもですね」
「外の世界で活躍した」
そうしたというのです。
「人達もね」
「オズの国に来られて」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「またあのチームでなのよ」
「野球をされてるんですね」
「そうよ」
こうナターシャにお話します。
「楽しくね」
「あのユニフォームを着られて」
「背番号もね」
こちらもというのです。
「同じなのよ」
「それはいいですね」
「特に素敵な人達はね」
魔法使いは目を温かいものにさせてお話しました。
「十番、十一番の人達だね」
「藤村さんと村山さんね」
「そうだね」
「あの人達も来られてるんだ」
「そして阪神で野球をされてるんだ」
「素晴らしいことね」
ナターシャ達五人は魔法使いの今のお話に目を輝かせてそのうえで五人の間でお話をしました。それで言うのでした。
「どちらの人達も永久欠番で」
「阪神に物凄く活躍をした人達で」
「阪神を支えた」
「そうした方々で」
「今はオズの国におられるのね」
「そうだよ、阪神は夢のチームだからね」
それ故にというのです。
「外の世界で最も華があって絵になるチームだから」
「それで、ですね」
「オズの国にもあるんですね」
「そして外の世界で活躍した人達が集まって」
「それで野球をされてるんですね」
「オズの国でもそうされてるんですね」
「そうだよ、監督さんだってね」
この立場におられた人もというのです。
「おられるしね」
「監督さんは誰ですか?」
ナターシャは魔法使いに尋ねました。
「一体」
「藤本さんだよ」
「あの巨人の監督もされて」
「そして阪神の監督にもなったね」
その経歴を持っている、というのです。
「レジェンド中のレジェンドのね」
「名監督ですね」
「その藤本さんがね」
「阪神の監督ですか」
「オズの国のね」
「それは凄いですね」
「他にもチームはあるけれど」
それでもというのです。
「あのチームはあの街で一番人気だね」
「そうなっているんですね」
「うん、勝っても負けても絵になって」
そうしてというのです。
「華があるからね」
「応援して実に気持ちがよく楽しいんだよ」
カエルマンは笑って言いました。
「僕は景浦さんが大好きでね」
「えっ、景浦さんって」
「あの景浦さん!?」
「戦争前の名選手だった」
「お名前が漫画の主人公の名前にもなったっていう」
「沢村栄治さんのライバルだった」
「そうだよ、あの人が打ったら」
カエルマンはアターシャ達五人にお話します。
「僕は幸せなんだ」
「オズの国ではずっと野球が出来るから」
アン王女は五人ににこりと笑ってお話しました。
「老いることも怪我をすることもないからね」
「オズの国ならではですね」
「そうよ、だからね」
王女はナターシャにさらに言いました。
「あのチームの人達もね」
「衰えたり怪我もしないで」
「ずっとよ」
「活躍されてるんですね」
「村山さんなんかオズの国に来て二十年以上経つけれど」
それでもというのです。
「毎年二十勝以上挙げてるのよ」
「もう四百勝以上ですか」
「そうよ、いつもどんなバッターにも全力で投げて」
そうしてというのです。
「勝っていってるの」
「恰好いいでしょうね」
「あんな恰好いい人はいないね」
カエルマンはこう答えました。
「オズの国にはサチェル=ペイジもベーブ=ルースもいてね」
「恰好いいですね」
「そうだね、けれど村山さんはね」
カエルマンはクッキーに応えてお話しました。
「特別のものだよね」
「そうした格好よさですね」
「その投げる姿、マウンドに立っている姿がね」
「最高に絵になって」
「いつも正々堂々と投げて」
「どんなバッターにも」
「そして勝った時の喜ぶ姿がね」
それがというのです。
「これまたね」
「絵になって」
「本当にだよ」
まさにというのです。
「最高のね」
「野球選手ですよね」
「あの人も大好きだよ」
カエルマンは笑顔でこうも言いました。
「僕はね」
「全くですね」
「だからあの街に行ったら」
「野球もですね」
「美味しいものを食べてお笑いもで」
そういったものも楽しんでというのです。
「それでね」
「野球もですね」
「観るよ」
「しかしーーです」
ここでチクタクが首を傾げさせて言いました。
「あの街とーーあのチームーーは」
「どうしたの?」
「いえーー外のーー世界ではーーです」
ナターシャに応えて言います。
「あのチームーーはーー別の街にーーありますーーね」
「ええ、西宮が本拠地なの」
ナターシャはチクタクに答えました。
「大阪じゃなくてね」
「そうーーですーーね」
「けれど大阪の人達が好きなチームはね」
「あのチームーーですーーか」
「そうなの、あの辺り全部ね」
外の世界の日本で言う関西全域がというのです。
「あのチームが好きなの」
「だからーーですーーか」
「オズの国ではね」
「あの街ーーはーーですーーね」
「あのチームなの」
「そういうーーことーーですーーか」
「そうだと思うわ」
こうチクタクにお話しました。
「オズの国ではね」
「そうだろうね、あの街にはあのチームというのはね」
魔法使いも言います。
「決まってるみたいなものだからね」
「実際大阪に行くとなんです」
ナターシャは魔法使いにもお話しました。
「黒と黄色が多いです」
「縦縞のだね」
「そうなんです、毎年日本一にもなっていて」
「その度にだね」
「秋になりますと」
外の世界でというのです。
「特に凄いです」
「街全体が縦縞になるんだね」
「黒と黄色の」
「それはいいね」
「はい、とても絵になって」
それでというのです。
「最高ですよ」
「オズの国でもそうだよ」
「絵になりますか」
「うん、優勝したら」
その時はというのです。
「本当にね」
「そうなって」
「とても楽しくなるよ」
「その時にも来たいですね」
「全くだね、あと街に着いたら」
魔法使いはこの時のこともお話します。
「まずはホテルに入ろう」
「ホテルですか」
「実はもう予約を取っていたんだ」
ナターシャににこりと笑って答えます。
「凄いよ、もう宮殿みたいなね」
「そうしたお部屋ですか」
「ホテルの中でも迎賓館みたいな」
そうしたというのです。
「別館になっていてね」
「そこで、ですか」
「僕達はあの街にいる間はね」
「寝泊りするんですね」
「そうだよ、和風でね」
そのお部屋はというのです。
「お風呂だってね」
「素晴らしいですか」
「そこに入って」
そうしてというのです。
「街を楽しむんだ」
「そうですか」
「勿論お笑いもね」
こちらもというのです。
「最高だよ」
「あの、それでお風呂だけれど」
アン王女はこちらのことを尋ねました。
「凄いって今言ったけれど」
「ああ、どんなお風呂かだね」
「ええ、どういったものかしら」
「うん、檜だよ」
「檜風呂なの」
「和風のね、とても広くて」
その檜風呂はというのです。
「別に薬膳湯や水風呂もあって」
「そうしたお風呂もあるの」
「そしてサウナもあるんだ」
「エメラルドの都の王宮みたいね」
「あそこまでは流石にいかなくても」
それでもというのです。
「かなりね」
「素晴らしいものね」
「そちらも楽しめるしお部屋にいてもね」
「素敵に楽しめるのね」
「日本の趣をね」
まさにそれをというのです。
「出来るよ」
「それは何よりね、では」
「ホテルもだね」
「楽しみましょう」
「ホテルの人にお話すればホテルのお食事も楽しめるしね」
こちらもというのです。
「そちらもだよ」
「楽しめるのね」
「鱧料理だってね」
「そういえばあの街鱧も有名ね」
「その鱧もだよ」
こちらもというのです。
「かなりね」
「美味しいのね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「だからね」
「ホテルで食べてもなのね」
「楽しめるよ」
「そちらも楽しみになったわ」
王女はこのことも聞いて笑顔になりました。
「ではね」
「早くだね」
「あの街に行きましょう」
黒と黄色の縦縞の街にというのです。
「そうしましょう」
「そうしたいけれど列車はね」
「この速度のままなのね」
「進むから」
だからだというのです。
「速く進んでいるけれど」
「これ以上急げないのね」
「そうだよ、だから今はね」
どうすべきかとです、魔法使いは王女にお話しました。
「列車の旅を楽しもう」
「それがいいわね」
「車窓から景色を見て」
「こうしておしゃべりをして」
「そのうえでね」
「楽しむことね」
「そうしたらいいよ」
笑顔でお話するのでした。
「今はね」
「そういうことね、それじゃあ」
「うん、そうしていこう」
「そちらも楽しいし」
「列車の旅もね」
「それは例え少しでも」
距離や時間がそうであってもというのです。
「楽しいものだね」
「ええ、列車の旅はね」
「歩いたり車の旅もいいけれど」
「列車の旅はね」
「それはそれでね」
「楽しめるから」
「そうしたらいいよ、空の旅も海や川の旅もね」
こういった旅もというのです。
「それぞれあるけれどね」
「楽しみ方がね」
「今はね」
「そうして楽しもう」
「車窓からの景色をお喋りをね」
こうお話してです。
皆で車窓からの景色それにお喋りを楽しみつつ街に向かっていきます、そこで魔法使いのスマートフォンにでした。
電話がかかってきました、それは誰からのものといいますと。
「やあ元気かい?」
「リンキティンク王じゃないか」
「左様、わしじゃ」
リンキティンク王は電話の向こうで笑顔で応えました。
「今わしは黒と黄色の縦縞の街におるが」
「私達が来ると聞いたんだね」
「ドロシー嬢からな、連絡を受けてな」
それでというのです。
「今こうしてじゃ」
「連絡をしてくれたんだね」
「そうなのじゃよ」
こう言うのでした。
「それで元気そうじゃな」
「皆ね」
「それは何より、わしはさっきまで歌舞伎を観ておった」
「お笑いじゃないんだ」
「いやいや、こっちもお笑い要素があるからのう」
だからだというのです。
「それでじゃ」
「観ていたんだ」
「うむ、楽しめたぞ」
そうだったというのです。
「実にな、それで今はボボ王子と串カツを食っておる」
「その街名物のだね」
「そうじゃ、たれの二度漬けはしておらんぞ」
笑ってこうも言います。
「間違ってもな」
「それは駄目だね」
「何があってもな、キャベツも食べてな」
そうもしてというのです。
「そしてじゃ」
「楽しんでいるね」
「ビールも飲んでな」
「串カツにはビールだね」
「ほっほっほ、最高の組み合わせじゃ」
こうもです、リンキティンク王は言いました。
「串カツにビールはのう」
「いいね、それを聞いてね」
「お前さんもじゃな」
「食べたくなったし」
それにというのです。
「飲みたくなったよ」
「串カツにビールをじゃな」
「うん、では着いたら」
街にというのです。
「皆で美味しいものを食べようか」
「そうするな」
「私はまずはね」
「串カツじゃな」
「それとビールだよ」
この組み合わせだというのだ。
「それにたこ焼きとね」
「うむ、あれも美味いのう」
「焼きそばきつねうどんもね」
こういったものもというのです。
「食べたいよ」
「わしはもう全部食べたぞ」
リンキティンク王は魔法使いに笑って言いました。
「ほっほっほ、カレーも鰻丼も善哉ものう」
「食べたんだね」
「あと関東煮もじゃ」
こちらもというのです。
「ふんだんにじゃ」
「楽しんだんだね」
「そうしてきたぞ」
「それは何よりだね」
「やはりこの街は最高じゃ」
「お笑いに美味しいものね」
「そうじゃ、あと実は王子は昨日浄瑠璃を観てな」
ボボ王子のこともお話します。
「いたく感動しておったぞ」
「ああ、あの人形の」
「この街には浄瑠璃もあるからのう」
「それを観てだね」
「感動しておった、勿論漫才や落語もな」
こうしてものもというのです。
「楽しんでおる、毎日観て腹を抱えて笑っておるぞ」
「そこまで面白いんだね」
「面白くて仕方がないぞ」
そこまでいいというのです。
「まことにな」
「そちらも楽しみなくなったよ」
「そうじゃろそうじゃろ、では来たらな」
街にというのです。
「飲んで食ってじゃ」
「笑ってだね」
「共に楽しみを満喫しようぞ」
「そうさせてもらうよ」
「ではね」
笑顔で応えてでした。
魔法使いはリンキティンク王とのお話を終えました、そしてその後で魔法使いは皆にリンキティンク王とのやり取りのことをお話しますと。
ナターシャは気付いたお顔になってです、魔法使いに言いました。
「そういえば歌舞伎や浄瑠璃も」
「あるね」
「そうですよね」
「そう、あの街はね」
「そうしたものもあるんですね」
「そしてそういったものにもね」
歌舞伎や浄瑠璃にもというのです。
「お笑いがあるんだ」
「そうなんですね」
「あの街とお笑いはね」
「切っても切れない縁がありますね」
「そうだよ、人は笑うと」
そうすればというのです。
「それだけで幸せになれるし」
「気分がよくなって」
「それで外の世界だと健康にもね」
笑うと、というのです。
「なるよ」
「そうですね」
「だから笑うということは」
このことはというのです。
「とても素晴らしいことでね」
「あの街もですね」
「いつも笑えるから」
だからだというのです。
「最高にね」
「素晴らしい街ですね」
「そうだよ、若し笑えないと」
それならというのです。
「それだけで残念なことだよ」
「それはそうですね」
「外の世界ではそうした時もあるね」
「はい、確かに」
ナターシャは少し暗いお顔になって答えました。
「あります」
「そうだね、だからね」
「笑えると、ですね」
「それだけでね」
「素晴らしいことですね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「オズの国は何時でも笑えて」
「何処でも」
「そして特にね」
「あの街はですね」
「笑いに満ちているから」
それでというのです。
「いいんだ、自分で笑えないなら」
「その時はですか」
「誰かがね」
「笑わせるべきですね」
「その為にあるのがね」
それがというのです。
「落語や漫才でね」
「新喜劇ですね」
「外の世界には苦しい時こそ胸を張れって言うけれど」
「辛い時こそですね」
「笑えたら」
そう出来ればというのです。
「違うよ」
「それだけで」
「本当にね」
こう言うのでした。
「全くだよ」
「だから私達もですね」
「笑っていようね」
「外の世界で辛い時があってもですね」
「そうだよ、そうしていこうね」
「わかりました」
ナターシャも恵梨香達四人も笑顔で応えました、その笑顔を見て魔法使いも他の皆も笑顔になりました。
そして駅に着くとです、カエルマンは言いました。
「では今から笑っていこう」
「皆でーーですーーね」
「そうだよ」
チクタクに笑顔で応えました。
「私も笑うしね」
「私もーーですーーね」
「お笑いに美味しいものに」
「野球ーーで」
「それでね」
「いつもーー笑うーーことですーーね」
「その通りだよ、では駅に下りたら」
そうすればというのです。
「オズの国でも一番の笑いをだよ」
「いつもーーですーーね」
「浮かべよう」
こう言ってでした。
カエルマンはうきうきとして席を立ちました、そうして皆で車両を下りるのでした。