『新オズのカボチャ頭のジャック』
第九幕 あぜ道を歩いて
一行は楽しい水田の開拓と南瓜畑の開墾を進めていきます、勿論そうした田んぼや畑を見回ることも忘れていません。
開拓された水田はまずあぜ道で区割りをされてです。
お水の中に稲が植えられていきます、トラクターや牛を使ってそうされていきますが。
どんどん稲が植えられていくのを見てジャックは言いました。
「水田をどんどん作っていってるけれど」
「まだまだ作るべき水田はあるわね」
恵梨香が応えました、今ジャックと恵梨香達五人それにオズマはギリキンの服を着ています。ただ服を着る必要のないガンプはそのままでムシノスケ教授とかかし、樵はいつも通りです。ただし樵は水田に入ってもお水や泥で錆びたり動けなくならない様にオズマがちゃんと魔法でコーティングしています。
「そうよね」
「そうだよね」
「かなり広い場所を開拓するから」
それ故にというのです。
「だからね」
「まだまだね」
「作るべき水田があるわね」
「そうだね」
「何か見渡す限り」
それこそというのです。
「拓けたお池があって」
「深さは浅めに統一されているけれどね」
「水田に相応しいね」
「けれどだよね」
「それでもね」
これがというのです。
「まだまだね」
「作るべき水田があるね」
「そうよね、じゃあね」
「うん、まだまだね」
「水田作っていきましょう」
「そうしようね」
「確かにまだまだ開拓すべき水田はあるわ」
オズマはギリキンの紫のタオルでお顔を拭きながら言いました。
「けれどね」
「それでもだね」
「皆がいるから」
こうジャックに言うのでした。
「私達だけじゃなくてね」
「開拓をしている人達が」
「だからね」
それでというのです。
「今までも凄い勢いで開拓されているし」
「南瓜畑もだね」
「そうなっているから」
だからだというのです。
「暫くしたらね」
「開拓と開墾は完了するんだ」
「そうなるわ」
「終わるのはずっと先かなってね」
「今思ったわね」
「うん、けれどだね」
「大勢の人達が力を合わせてやっているから」
だからだというのです。
「時間はね」
「かからないんだね」
「そうよ、安心してね」
「オズマガそう言うなら間違いないね」
ジャックはにこりとして言いました。
「それじゃあね」
「ええ、このままね」
「開拓進めtていこう」
「そうしましょう」
オズマはにこりと笑って応えました。
「開墾もね」
「それじゃあね」
ジャックは笑顔で頷いてでした。
皆と一緒にお仕事に励んでいきました、そして三時になると休憩に入ってです。
お茶とお菓子を楽しみます、そのメニューはといいますと。
冷たい麦茶に西瓜と水羊羹それにおはぎといったものです、オズマはその中の西瓜を食べてから言いました。
「この西瓜がね」
「またいいですよね」
恵梨香も西瓜を食べつつ応えます。
「おやつに」
「お外で思いきり汗を流して」
ジョージも西瓜を食べています。
「その後の西瓜って最高ですよね」
「甘くて水気が多くて」
神宝もにこにことして食べています。
「こうした時は特に美味しいです」
「最近毎日食べてますけれど」
それでもと言うカルロスでした。
「全く飽きないですね」
「もう西瓜があれば」
それならとです、言ったのはナターシャでした。
「満足出来る位ですね」
「しかもね」
オズマは麦茶を飲んでまた言いました。
「水羊羹とおはぎもあるでしょ」
「それが三段という訳ですね」
「ティーセットですね」
「日本の農家の」
「それで外で食べる様な」
「そうしたティーセットですね」
「そうね、これはね」
まさにとです、オズマはまた西瓜を食べて言いました。
「日本の農家のね」
「ティーセットですよね」
「そうですよね」
「それもお仕事の合間に食べる」
「お外でそうする」
「そうしたものですね」
「その通りね、こちらも美味しいわ」
オズマはおはぎも食べて言いました。
「おはぎだってね」
「おはぎいいですよね」
恵梨香はおはぎと聞いて明るい笑顔で応えました。
「餅米をお餅みたいにしたものをあんこで包んでいて」
「餅米とあんこの相性が抜群で」
「凄く美味しいですね」
「そう思うわ」
オズマにしてもです。
「本当にね」
「そうですよね」
「あと私きんつばやお団子も好きよ」
そうしたものもというのです。
「ういろうだってだし」
「名古屋名物のですか」
「織田信長さんもお好きでね」
「あの人はそうでしたね」
「甘いものがお好きで」
それでというのです。
「あの人はね」
「ういろうもお好きですね」
「そうなの、それは私もで」
オズマもというのです。
「わらび餅やきなこ餅、あとずんだ餅もね」
「全部お好きですか」
「そうなの。ずんだ餅もいいわよね」
「あちらも美味しいですよね」
「だから大好きよ」
「ずんだ餅は大豆から作るね」
こう言ってきたのはかかしでした、この人と樵にジャック、ガンプは飲むことも食べることもしないですが飲んで食べて笑顔になる皆のお顔を見て心の栄養にしています。
「そうだね」
「そうそう、きな粉もそうでね」
樵が応えます。
「大豆からはね」
「本当に色々なものが出来るね」
「お豆腐に湯葉に」
「勿論そのまま食べてもいいね」
「僕達は食べないけれど」
「素晴らしい食材だね」
「そうなの、だからね」
オズマは二人に応えて言いました。
「この水田でも作っているのよ」
「あぜ道に植えて」
「そうしているね」
「そう、そしてね」
そのうえでというのです。
「沢山作っているのよ」
「そしてそのまま食べたり」
「お菓子に使ったり」
「お豆腐とかにしたり」
「あとお醤油やお味噌にもなるね」
「だから凄くいいのよ」
大豆はというのです。
「小豆も作ってるけれどね」
「そちらもだね」
「ちゃんと作ってるね」
「お米にお豆があれば」
この二つが揃えばというのです。
「かなり違うわ」
「その二つがあれば」
「それだけでね」
「だから水田を開拓したら」
そうしたらというのです。
「絶対にだよ」
「あぜ道に大豆を植えて」
「沢山作ってるね」
「そうしているのよ。枝豆もいいでしょ」
オズマはこちらもと言うのでした。
「そうでしょ」
「枝豆いいですよね」
恵梨香は枝豆と聞いて笑顔で応えました。
「ずんだ餅に使うだけでなくて」
「そのまま食べてもいいわね」
「はい、凄く」
「それだけでね」
枝豆があればというのです。
「おつまみにもなるし」
「お酒の」
「大人の人はよくね」
「枝豆をおつまみにして」
「よくお酒を飲むのよ」
「私の親戚の人でも多いです」
恵梨香はオズマに笑顔で答えました。
「それとお酒で」
「よく楽しんでるでしょ」
「はい」
「それと一緒なのよ」
「枝豆はですね」
「あればね」
それだけでというのです。
「皆が楽しく食べられて」
「おつまみにもなって」
「凄くいいから」
それ故にというのです。
「ここでもね」
「大豆を沢山作って」
「他のことにも使ってね」
「枝豆も作ってるんですね」
「そうしているのよ」
「そうですか」
「だから貴方達もね」
恵梨香達五人もというのです。
「沢山食べてね」
「実はもうです」
「そうしています」
「楽しませてもらってます」
「よくいただいています」
「夜にも」
「そうなのね、じゃあ今夜もね」
オズマは五人の返事を聞いて笑顔で応えました。
「晩ご飯の後でね」
「はい、アルコールのないお酒を飲んで」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「一緒に楽しむんですね」
「そうしましょう」
是非にと言ってでした。
そのうえで皆で今は西瓜に水羊羹そしておはぎを食べて麦茶を飲みます、そうして食べ終わるとまたお仕事をしました。
その午後皆で縁側で枝豆を食べてアルコールは入っていませんが酔えるお酒日本酒のそれを飲みます。
そしてお外を見てでした。
夜のお庭に沢山飛んでいる蛍達にです。
天の川を見てうっとりとしていました、ガンプはその蛍達と天の川を見てこんなことを言いました。
「目の前には蛍達がいてね」
「そしてだね」
「お空には天の川があってだね」
「凄く奇麗dだね、織姫と彦星もね」
この二つの星もというのです。
「一緒だね」
「今気付いたけれど」
恵梨香が言ってきました。
「オズの国で夜空を見ると」
「どうしたのかな」
「ええ、天の川のね」
ガンプにお話します。
「今私達が見ている」
「凄く奇麗だね」
「ええ、織姫さんと彦星さんのお星様がね」
それがというのです。
「一緒にね」
「お空にあるね」
「そうよね」
「一年に一度だったね」
教授は本物の日本酒をおちょこで飲んでいます、恵梨香達にオズマもおちょこで飲んでいますがアルコールの入っていないものです。
「外の世界では」
「オズの国ではそんなことはないわよ」
オズマが言いました。
「お二人はいつもね」
「お会い出来るんですか」
「天の川で」
「そこも違うんですね」
「オズの国では」
「そうなんですね」
「そうよ、一年に一度なんて寂しいでしょ」
オズマは枝豆を食べつつ五人にお話しました。
「そうでしょ」
「はい、確かに」
「言われますか」
「その通りですね」
「このお話聞いていつも思ってましたけれど」
「そうですよね」
「けれどオズの国ではお二人はいつもお会いしていてね」
夜のお空でというのです。
「お仕事もしてるのよ」
「そうなんですね」
「だからね」
それでとです、恵梨香にお話します。
「寂しくないのよ」
「園子ともオズの国ですね」
「そうよ、オズの国だから」
お伽の国だからだというのです。
「そうしたこともね」
「普通にあるんですね」
「そうなのよ、外の世界では違うことがね」
「色々あるんですね」
「楽しくね、そしてね」
「そして?」
「蛍達はいても」
オズマはにこりと笑って言いました。
「蚊は刺してこないでしょ」
「あっ、どうしても」
「蚊っていますよね」
「特に夜に」
「プ〜〜〜ンって飛んできて」
「そうして刺してきますね」
「当然オズの国にも蚊はいるけれど」
それでもというのです。
「刺してこないのよ」
「刺されると嫌ですよね」
「後で痒くなるから」
「そこからマラリアとかにもなって」
「怖いんですよね、蚊って」
「実は」
「私アレクサンドロスさんに聞いたの」
オズマはここである人のお名前を出しました。
「この人もオズの国におられるけれど」
「あのマケドニアの王様ですか」
「戦争で負けたことのない」
「物凄く強い人ですね」
「英雄で有名ですが」
「あの人もオズの国におられるんですね」
「今はね。あの人も外の世界ではね」
そこにおられる時はというのです。
「蚊に刺されてね」
「あっ、そうらしいですね」
「それでマラリアに罹って」
「それでお亡くなりになってますね」
「三十三歳で」
「物凄く強かったのに」
「だから私にもお話してくれたの」
そのアレクサンドロスさんがというのです。
「オズの国は蚊が刺してこないから」
「嬉しい」
「そう言われてるんですね」
「蚊が刺してこなくて」
「マラリアにもならなくて」
「それで、ですね」
「そうお話していたら」
そうだったというのです。
「あの人もね」
「ううん、蚊も怖いって言うけれど」
ジャックも言います。
「蠅とかもね」
「外の世界では疫病もあるでしょ」
「蚊や蠅はその元にもなるんだね」
「そうよ、けれどね」
「オズの国ではそれもないね」
「蚊も刺さないからね」
オズマはジャックにもお話しました。
「だからね」
「凄くいいんだね」
「このことでもね」
まさにというのです。
「お伽の国だけあってね」
「蚊がいても刺してこない」
「そうよ、病気もないしね」
「風邪すらないしね」
「だからいいのよ、それにしても」
オズマは首を傾げさせてこうも言いました、蛍が浴衣姿の彼女の周りを何匹も飛んでいてとても奇麗です。
「アレクサンドロスさんって凄く強いでしょ」
「うん、怪力で足も速くてね」
「剣も素手の格闘もね」
「馬に乗るのもお上手で」
「それでオズの国では戦争はないけれど」
それでもというのです。
「軍隊を指揮して戦っても」
「凄いらしいね」
「そんな人でもね」
「蚊には負けるんだね」
「そうよね」
「蚊って怖いね」
「一匹の蚊でも」
それでもというのです。
「外の世界ではね」
「英雄をも倒すんだね」
「そうみたいね」
「あんな凄い人でも」
「それじゃあです」
恵梨香はここまで聞いて言いました、五人も浴衣を来ています。お酒を飲んで枝豆を食べて周りにいる蛍達に天の川を見ています。
「織田信長さんや真田幸村さんでも」
「ええ、蚊にはね」
「勝てないんですね」
「そうよ、どんな英雄でもね」
「そうなんですね」
「それこそね」
まさにというのです。
「どんな強い素晴らしい人も」
「一匹の蚊にはですね」
「敵わないのよ」
「そう思うと蚊って怖いですね」
恵梨香はしみじみと思いました。
「どんな強い人も勝てないって」
「そうよね」
「これからは蚊に気をつけます」
「刺されると痒いっていうし」
「実際に痒いです」
「けれどね」
それだけでも嫌なことなのにです。
「マラリアとかにもなるから」
「だから予防接種があるんですね」
恵梨香はわかりました。
「日本脳炎の」
「お外の世界ではあるのね」
「打ってます」
「打ってるのね」
「学校で注射で」
「それは嫌かしら」
「凄く」
恵梨香が言うと他の四人もそうしたお顔で頷きました、そして恵梨香はさらに言いました。
「怖くて」
「注射はそうよね」
「はい、ですが」
「打たないとね」
さもないと、というのです。
「外の世界ではね」
「大変なことになりかねないですね」
「そうよ」
「だから怖くてちくりと痛くても」
「予防注射は打たないと駄目なのよ」
「日本脳炎も」
「そうよ、だから打ってね」
オズマは恵梨香達五人に言いました。
「自分の為だから」
「わかりました」
五人はオズマに答えました。
「そうします」
「ほんの一瞬痛い思いをして」
そしてというのです。
「それからは大丈夫だからね」
「そう思うとですね」
「いいものよ、日本脳炎やマラリアもだけれど」
オズマはこうも言いました。
「昔は天然痘もあったわね」
「あの病気もまた恐ろしいものだったよ」
教授が言ってきました。
「本当にオズの国には病気がなくて何よりだよ」
「そうよね」
「お医者さんはいるけれどね」
それでもというのです。
「健康チェックが主な仕事で」
「その健康もね」
「悪い人はいないよ」
「あくまでどの位健康か診るだけだから」
「そうだよ、けれどね」
「外の世界だとね」
「病気もあって疫病もだよ」
こちらもというのです。
「存在していてね」
「それでよね」
「天然痘もあったけれど」
「あの病気は本当に大変だったそうね」
「世界中で何度も流行して」
そうしてというのです。
「大変なことになったよ」
「そうだったわね」
「だからね」
それでというのです。
「予防接種はだよ」
「外の世界では絶対ね」
「そうだよ、そうしたことをお話してくれる外の世界の人もいるね」
「ええ、何かとね」
「天然痘にしてもね」
「なって大変だったって」
実際にというのです。
「それで治ってもね」
「お顔があばただらけになってだよ」
「大変だったって」
「そうしたものだからね」
「天然痘も予防接種で罹らない様になって」
「牛痘でね」
「そう考えたら」
オズマは言いました。
「外の世界では予防接種は絶対で」
「我々もだよ」
「オズの国でもね」
「このことをしっかりと頭に入れて」
そうしてというのです。
「政治にも活かすべきだね」
「そうよね」
「外の世界のことを知ることはとても大事なことだよ」
かかしもオズマに言います。
「全く無関係でもないしね」
「ええ、普通は行き来出来ないけれど」
オズマはかかしにも応えました。
「それでもね」
「恵梨香達の様にだよ」
「行き来している子達もいるし」
「そもそもドロシー達だってね」
「そう、外の世界から来ているわ」
「だからね」
「外の世界のこともね」
オズマに言うのでした。
「知っていこうね」
「これからもね」
「そうしていって」
かかしはさらに言いました。
「政治にもだよ」
「活かしていかないとね」
「オズの国はアメリカの影響を受けるしね」
このことは樵が言いました。
「だからね」
「それでよね」
「そう、本当にね」
まさにというのです。
「しっかりとだよ」
「オズの国は外の世界と関係があるわ」
「だからこそ学ばないとね」
「いつもね」
「そうすべきだよ」
「本当にそうね」
「学べば」
そうすればというのです。
「間違いなくだよ」
「それが力になるわ」
「大きなね」
「暴力なんて何でもないけれど」
こちらの力はです。
「学んで得た知識はね」
「これ以上はない力になるわ」
「だからだよ」
それでというのです。
「学んでいこう」
「外の世界のことも」
「そうしていこう」
「ずっとね」
こうしたお話をします、そしてです。
蛍達も見ていきますがここで、です。ジャックは自然と優しい顔になってそうしてこんなことを言いました。
「人魂みたいな」
「それにも見えるわね」
「うん、何かね」
こう恵梨香に言うのでした。
「そうも感じるよ」
「そうよね、魂みたいにもね」
「蛍って思えるね」
「何処かね」
「そんな不思議な光だね」
蛍のそれはというのです。
「夜の中に優しく光って」
「その光の色だってね」
「そんな風でね」
優しい感じでというのです。
「魂みたいだよ」
「そうなんだよね、妖精みたいだね」
ジョージはこう言いました。
「蛍の光って」
「普通に光っているのじゃなくて」
ナターシャも周りの光を見ています。
「優しくてふわふわと飛んでいて」
「何処か浮世離れしたね」
神宝も言います。
「そうした光だね」
「その光がこれだけ多いと」
カルロスは自分達の周りの数多くの光を見つつ思いました。
「この世でないみたいだよ」
「今回オズの国に来てよく蛍を観るけれど」
恵梨香はそのことを思いつつ言いました。
「何度見てもオズの国でも特に不思議に見えるわ」
「そうだね」
ガンプも頷きます。
「オズの国の中でもね」
「特にね。外の世界でもあるものだけれど」
それでもというのです。
「凄くね」
「幻想的かな」
ジャックはこう言いました。
「蛍達の光は」
「そうしたものだと思うわ」
「ずっと見ていたいわね。けれどね」
ここでオズマが言ってきました。
「明日またね」
「お仕事ですね」
「それがあるから」
「寝ることですね」
「早く寝て」
そうしてというのです。
「明日も日の出と一緒にね」
「起きてですね」
「そしてよ」
「朝ご飯を食べてお仕事ですね」
「そうしましょう」
「ううん、僕達はずっと観ていられるけれど」
ジャックはオズマと恵梨香のやり取りを聞いて思いました。
「オズマ達は寝ないといけないからね」
「蛍をずっと観られなくてっていうのね」
「残念だね」
「また明日よ」
「明日観られるね」
「だからね」
それでというのです。
「いいわ、それにね」
「それに?」
「寝ることもね」
そちらもというのです。
「凄く気持ちよくて楽しいから」
「いいんだね」
「いつも言ってるでしょ」
「そうだね、それじゃあね」
「ええ、お布団に入って」
「寝るね」
「そうするわ」
まさにというのです。
「今夜もね」
「気持ちよくだね」
「是非ね、それじゃあね」
「また明日だね」
「そうさせてもらうわ」
こう言ってでした。
オズマと恵梨香達は枝豆とお酒が終わったところでお布団に入りました、教授も同じです。そうしてでした。
皆ぐっすりと寝て翌朝にでした。
朝ご飯を食べてから南瓜畑に行って朝露に濡れている南瓜自体やその葉、蔓等を見てです。オズマはジャックに言いました。
「朝露もいいわね」
「きらきらしていてね」
「それだけでね」
それが植物にあるだけで、です。
「凄くね」
「いいよね」
「そう思うわ」
こうジャックに言うのでした。
「これは朝早くでないとね」
「観られないからね」
「ええ、気持ちよく寝てね」
「そうしてだね」
「朝ご飯を食べて」
そうしてというのです。
「そしてね」
「朝露を見ることも」
「素敵よ、ずっと起きられて食べる必要のない身体もいいけれど」
「眠れて食べることが出来る身体もだね」
「いいわよ」
「どちらの身体でもだね」
「私はそう思うわ」
その様にというのです。
「思うわ。それぞれの身体でね」
「いいものだね」
「それぞれ違うよさがあるのよ」
そうだというのです。
「これがね」
「そういうことだね」
「ええ、じゃあ今日もね」
「楽しいお仕事をだね」
「しましょう、帽子も被ってるし」
オズマはもうギリキンの服を着ています、恵梨香達もそれは同じで紫の服にブーツに帽子という格好です。
その鍔に錫が一杯付いた紫の三角帽子に右手をかけてです、オズマはまた言いました。
「働きましょう」
「似合ってるよ」
「そうかしら」
「凄くね、可愛いよ」
「有り難う、そう言ってもらえたらね」
オズマはジャックににこりと笑って応えました。
「私もね」
「嬉しくなってだね」
「お仕事がね」
まさにこれがというのです。
「尚更ね」
「精が出るね」
「そうなるわ」
まさにというのです。
「だからね」
「今からだね」
「頑張っていくわ」
こう言ってです。
オズマも皆も農作業をはじめます、そして。
ふとです、かかしが気付きました。
「テントウムシがいるね」
「そうだね」
樵も気付きました、見ればです。
畑の近くの草原に沢山います、ただ数が多いだけでなく。
種類も色々です、そのテントウムシ達を見て農作業をしつつ言うのでした。
「幸せな気分になるね」
「テントウムシを見ているとね」
「自然とね」
「そんな気持ちになるね」
「何ていうか」
ジャックもテントウムシ達を見て思いました。
「自然とね」
「テントウムシはね」
「幸せの象徴に思えるね」
「その模様を見ているとね」
「星みたいなそれを見ていると」
「外の世界では有り難い虫って言われています」
こう言ったのは恵梨香でした。
「畑を荒らす悪い虫を食べてくれる」
「それでだね」
「有り難く思われているんだね」
「はい、アブラムシがいますと」
畑の作物の茎等に出る。
「食べてくれます」
「そうしてくれるからだね」
「テントウムシは有り難いんだね」
「はい、ただアブラムシはそう言われていますが」
畑を荒らす悪い虫と、です。
「それって青虫もなんですよね」
「そうだね、あの虫はね」
「外の世界ではそう言われているね」
「そうなんですが」
それでもというのです。
「その青虫が蛹になって」
「大人になるとね」
「蝶々になるんだよね」
「奇麗な。子供の頃は嫌われていても」
害虫とも思われてです。
「大人になるとですね」
「愛されるね」
「奇麗だって」
「そうなるね」
「青虫はね」
「不思議ですね」
このことがというのです。
「本当に」
「そうだよね」
「何かとね」
「子供の頃は気持ち悪いとか畑を荒らすとか言われて」
「嫌われてね」
「忌まれているね、外の世界では」
「ですが大人になったら」
蝶々になればというのです。
「皆に好かれるなんて不思議ですね」
「それっておかしいよね」
ジャックは恵梨香のお話を聞いて思いました。
「何かね」
「子供の頃は気持ち悪いって言われて」
「畑を荒らすとか言われてね」
そうしてというのです。
「嫌われていて」
「大人になったらなのね」
「奇麗とか言われて愛されるなんて」
「おかしいっていうのね」
「だって同じ命だよ」
ジャックは丁度目の前を通ったモンシロチョウを見つつ恵梨香にお話しました、その蝶々もとても奇麗です。
「僕達とね。それに子供が大人になった」
「それだけよね」
「全く同じなのに」
それなのにというのです。
「子供の頃は嫌われて」
「大人になったら愛されるって」
「外見だけの違いじゃない」
「青虫も蝶々もね」
「子供が大人になった」
まさにというのです。
「それだけなのにね」
「子供の頃は外見だけで嫌われるのは」
「おかしいよ、畑を荒らすって言っても」
「キャベツの葉を食べてね」
「それもその生きものが食べる為で」
その為でといいうのです。
「そんなにね」
「その生きものにとっては」
「悪いことじゃないのね」
「そうだよ、まだ畑を荒らすならわかるけれど」
「外見だけで嫌うことは」
「おかしいよ」
このことはというのです。
「同じ命でしかも子供か大人かの違いだけなのに」
「嫌ったり愛することは」
「おかしいよ、蝶々が好きなら」
「青虫もよね」
「愛さないとね」
そうしないと、というのです。
「駄目だよ」
「そうね、ジャックの言う通りね」
恵梨香はジャックの言葉に頷きました、その間も皆お仕事をしています。
「蝶々の時だけ愛さないで」
「蝶々を愛するのなら」
「青虫もだよ」
「ちゃんとなのね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「本当にね」
「愛さないと駄目なのね」
「逆に子供の頃が可愛いと思って」
「大人になったら可愛くないということも」
「よくないよ」
こちらもというのです。
「その生きものを好きなら」
「子供でも大人でも」
「ずっと愛情を注いで」
「大事にしないと駄目なのね」
「僕はそう思うよ、あと数が増えても」
その場合もというのです。
「ちゃんとね」
「最初からいる子も」
「公平にだよ」
「愛情を注ぐべきね」
「そうだよ、贔屓とかしたらね」
「されない子が可哀想ね」
「そう思うよ」
ジャックは言いました。
「心からね」
「そうね、それはね」
恵梨香も言われて頷きました。
「ジャックの言う通りよ」
「そうだね」
「蝶々が好きならね」
「蝶々の時だけでなくてね」
「青虫、幼虫の時からね」
「大事にすべきだよ」
「そうよね」
また頷いてから言いました。
「数が増えてもね」
「公平にね」
「贔屓したら駄目ね」
「お気に入りの子がいてもね」
「その通りね」
「どんな時でも公平に愛する」
オズマも言ってきました。
「そのこともオズの国の法律ではね」
「定められているんですね」
「そうよ。贔屓は駄目だしね」
「子供の時だけ、大人の時だけってならない様に」
「私も考えたのよ」
その様にというのです。
「それでよ」
「その様にですね」
「私も定めたの」
法律にというのです。
「それはよくないと思って」
「それで、ですね」
「法律でね」
「定めて」
「皆が幸せになる様にしたの」
「そうなんですね」
「法律はね」
こちらのお話もするのでした。
「縛るものじゃないのよ」
「決してですね」
「皆が幸せに暮らせる」
「そうなる様にするものですね」
「だからおかしいと思ったら変えて」
そうしてというのです。
「これを定めたらよくなると思ったらね」
それならというのです。
「定めるの」
「そうしたものですね」
「そうよ」
こう恵梨香にお話しました。
「法律はね」
「そうしたものですね」
「その時その人と無縁か」
オズマはこの言葉も出しました。
「それはね」
「違いますね」
「そうよ、オズの国の法律も変わっていっているのよ」
「オズの国が変わっていってですね」
「人もね。色々な人が出て来て」
そうなってというのです。
「増えてきてね」
「そのことからもですね」
「法律は変わっていっているわ」
オズの国のそれはというのです。
「本当にね」
「そうなんですね」
「そう、そしてね」
それでというのです。
「その時そこにいる人達が幸せになる様に」
「法律を考えて」
「定めるるのよ」
「そうしたものですね」
「それを駄目と言ったら」
その時はというのです。
「例えば大昔の今の状況に全くそぐわない法律を定めたら」
「その時はですね」
「まともなことにならないでしょ」
「そうですね、昔の法律ですと」
「今とは社会が違うのにね」
「通用するとは限らないです」
「だからよ」
そうしたものだからだというのです。
「法律はね」
「その時そこにいる人達が幸せになる様に」
「定めていくの」
「オズの国でもですね」
「そうなのよ」
恵梨香に笑顔でお話しました、そんなお話もしつつ皆で南瓜畑も水田もどんどん拡げていってしかもその中身を充実させていくのでした。