『新オズのカボチャ頭のジャック』
第二幕 オズマと会って
一行は程なくエメラルドの都の中央にあるオズの国の首都に着きました。その街はいつも通りでした。
エメラルドグリーンの大理石と木、瓦に煉瓦にエメラルドで飾られていました。当然ガラスもカーテンも服も緑です。
その眩い緑の街に入ってでした。
ジャックはにこりとしです、皆に言いました。
「ここに来るといつも嬉しいよ」
「そうよね、何度来ても素敵な街よね」
恵梨香は街並みを見てうっとりとして応えました。
「首都は」
「そうだよね」
「オズの国一の大都市でね」
「様々なものがあってね」
「賑やかでね」
「それで町並もね」
「全部奇麗ね」
「うん、それでこの街はね」
ジャックはさらにお話しました。
「オズの国の四方八方からだよ」
「川が流れてきていてね」
「それを運河にもしていてね」
「陸のお道も整備されていて」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「水路もだよ」
「とても整っているわね」
「もうね」
それこそというのです。
「水の都と言っていい位にね」
「水路が充実しているわね」
「しかも木々も多いから」
エメラルドの都に相応しい緑の木々がです。
「森の都でもあるよ」
「お水も木々も豊かなのよね」
「そうだよ、この街はね」
「だから余計に奇麗なのね」
「そうなんだ、じゃあね」
「この街を楽しく歩いて」
「景色を楽しみながらね」
そうしていってというのです。
「そのうえでね」
「宮殿までね」
「行きましょう」
恵梨香はジャックににこりとして頷いて応えました。
そうして首都を流れる川や運河にそこを進む船や上に架かっている見事な橋をの上を歩いてでした。
木々を見て先に進んで、です。樵は言いました。
「宮殿にも向かっているからね」
「それで、ですね」
「ただ今を楽しんでいるだけじゃなくて」
「オズマ姫にお会いする時が近付いている」
「そうなんですね」
「今の僕達は」
「そうなっているよ」
恵梨香達五人にお話しました。
「そしてそこにはムシノスケ教授もいるよ」
「彼の学識も頼りになるからね」
かかしも言いました。
「だからね」
「うん、彼も一緒なのも嬉しいね」
「全くだよ」
「そういえば今回の旅の顔触れは」
ここで恵梨香が気付きました。
「オズマ姫が男の子だった時の」
「うん、その時の顔触れなんだよね」
「そうよね」
「最初は僕とオズマでね」
男の子だった時の彼女で、です。
「それでね」
「かかしさん、樵さんと出会って」
「ムシノスケ教授とも出会って」
「ガンプに乗って脱出してね」
「お空も大冒険だったわね」
「そうだったよ」
ジャックは懐かしんでお話しました。
「あの時は大変だったけれどね」
「今思うと面白かったね」
「いい思い出だよ」
かかしと樵も笑顔で言います。
「オズマとも出会えたし」
「素敵な冒険だったよ」
「そうでしたね、ただ」
ここでカルロスが言いました。
「その冒険ドロシーさんが関わっていませんね」
「全くお顔出してないんだよね」
神宝も言います。
「オズの国一の冒険家なのに」
「その時はカンサスに帰っておられてね」
ナターシャも言います。
「一切だったわね」
「オズの国と関りがなくてね」
ジョージもその時のドロシーのことを言いました。
「それでだったね」
「ドロシー王女がボームさんが紹介してくれたお話の中で唯一関わっていないお話なのよね」
恵梨香はこう言いました。
「実は」
「そうなのよね」
「あの冒険だけはね」
「ボームさんも色々紹介してくれたけれど」
「ドロシーさんが関わっていないのよね」
「僕がドロシーのことを知ったのは後でね」
ジャックも言います。
「その時は誰なのかも知らなかったよ」
「ドロシーさんとオズマ姫が出会ったのはその後だったわね」
恵梨香はジャックにお話しました。
「そうだったのよね」
「ノーム王のところに行った時で」
「その時お二人ははじめてお会いして」
「それまではね」
「お互いお会いしたことがなかったんだよね」
「そうそう、オズマがオズの国の国家元首になってね」
ジャックもその時のことをお話します。
「それから暫くしてからだよ」
「お二人がお会いしたのは」
「その時で」
「それからもドロシー王女は三回位オズの国と外の世界を行き来して」
「ノーム王が攻めてきた時に遂に定住されて」
「オズの国の王女になられたのね」
「そうだよ、今ではオズの国の第二の人だよ」
勿論国家元首のオズマが第一です。
「オズマの代理を務める時もある位にね」
「そうなるまでも結構かかったね」
「そうだね」
かかしと樵はその頃のことも思い出して言いました。
「思えばね」
「ドロシーは合わせて五回二つの世界を行き来したね」
「オズの国と外の世界を」
「そうしたね」
「そして六度目で定住されて」
恵梨香が言いました。
「それで今に至りますね」
「そうだよ」
「それからはずっとこうだよ」
「オズの国の王女としてね」
「ヘンリーさん、エマさんも一緒に移住したよ」
「それで今も時々お会いしているよ」
「そうですね、本当にです」
しみじみとして言う恵梨香でした。
「ドロシーさんがこの国に定住されるまでも色々ありましたね」
「僕達はずっと一緒にいたかったけれどね」
「ドロシーにも事情があったからね」
「だから仕方ないよ」
「ああして何度か行き来したこともね」
「そうですよね」
恵梨香はかかしと樵の言葉にも頷きました。
「ドロシーさんはヘンリーさんとエマさんがカンサスから離れられなかったので」
「それがもうどうしようもなくなって」
「いよいよ進退窮まってね」
「オズの国に移住することに至って」
「ドロシーも遂にだったんだよ」
「そうでしたね、そしてオズの国に入られて」
それでと言う恵梨香でした。
「今はここにずっとおられますね」
「幸せにね。トトも一緒だしね」
ジャックは彼のお話もしました。
「皆もいてね」
「ドロシーさんも幸せですね」
「いつも満足して暮らしているよ」
このオズの国で、です。こうしたお話をしてでした。
皆で宮殿に向かう道を歩いていってでした。
宮殿に着くと門番の兵隊さん達に笑顔で敬礼してもらってでした。
そのうえで宮殿の門を潜るとです。
そこにオズマがいて笑顔で言ってきました。
「待ってたわ」
「うん、じゃあこれからね」
「まずはここで楽しい時間を過ごして」
オズマはジャックに応えて言いました、今は緑のシルクの奇麗なドレスを着ています。ドレスは緑色に輝くエメラルドの糸とジュエルで飾られています。
「そして明後日にね」
「出発なんだ」
「そうしましょう、今日と明日はゆっくりと休んで」
「旅の疲れを癒すんだね」
「貴方達はいいけれど」
ジャックとかかし、樵を見て言います。
「恵梨香達五人はね」
「あっ、ここまでずっと歩くとね」
「疲れてるでしょうから」
「それで今日と明日はだね」
「ゆっくりと休んで」
そうしてというのです。
「それでね」
「明後日にだね」
「旅に出ましょう」
「ギリキンまでのだね」
「そうしましょう、私とね」
オズマはさらにお話しました。
「ムシノスケ教授、それにね」
「それに?」
「ガンプも一緒よ」
彼もというのです。
「今回は」
「彼もなんだ」
「彼はいざという時には皆を乗せてお空を飛べるからね」
「一緒にいるとだね」
「安心出来るから」
だからだというのです。
「彼が旅に出たいと申し出たから」
「一緒になんだ」
「来てもらう様にしたのよ」
「そうなんだね」
「それで留守番はドロシーにね」
オズの国の第二の人でオズマの一番のお友達のです。
「魔法使いさん、ジュリア、ボームさん、臆病ライオンに腹ペコタイガーにトトよ」
「しっかりした顔触れだね」
「ええ、モジャボロとベッツイ、トロット、チクタク、キャプテンにハンクは今は冒険に出ているけれど」
それでもというのです。
「つぎはぎ娘とビリーナ、エリカとガラスの猫が戻ってくれるの」
「そうなるんだね」
「ドロシーなら大丈夫だし」
彼女がいてくれるならというのです。
「それだけいてくれたらね」
「尚更だね」
「何の心配もなくね」
オズマはにこりとして言いました。
「旅立てるわ」
「それは何よりだね」
「私もずっと旅に出ていなかったからね」
「ずっと出たかったんだね」
「だからね」
それでというのです。
「明後日が楽しみよ」
「そうだね」
「だからよ」
さらに言うオズマでした。
「今日と明日は皆にドロシーとも会って欲しいし」
「この宮殿でゆっくりとだね」
「過ごしてね。旅の用意は出来ているわ」
既にというのです。
「だから安心してね」
「それじゃあね」
ジャックはオズマの言葉に皆を代表して頷きました、そうしてです。
オズマに宮殿のお庭、様々な色の薔薇や椿、菖蒲に百合に梅に紫陽花にと様々なお花で飾られたそこに入ってです。
トロシーとお会いしました、ドロシーは青いドレスを着ています。そのドレスはサファイアの糸に宝石で飾られています。
そのドレスを着てトトと一緒に皆をお迎えして言いました。
「いらっしゃい、まずはゆっくりしてね」
「うん、こちらでね」
ジャックが応えました。
「そうさせてもらうよ」
「それではね」
「さて、これからお昼だけれど」
トトはこちらのお話をしました。
「何を食べるのかな」
「コースを用意しているわ」
ドロシーは自分の足下にいるトトににこりとして答えました。
「ステーキをメインにしたね」
「そちらなんだ」
「ええ、それをここで食べるの」
「お庭でだね」
「そうなの。魔法使いさんにムシノスケ教授も一緒よ」
お二人もというのです。
「ボームさんもね」
「そして僕達もだよ」
「ご一緒させてもらうよ」
ここで臆病ライオンと腹ペコタイガーも出て来ました。
「ドロシーそして皆と一緒にね」
「美味しく食べさせてもらうよ」
「そうしましょう、私も楽しみよ」
ドロシー自身もというのです。
「皆と一緒に食べることがね」
「そうなんだね」
「今宮殿のシェフの人達が作ってくれているから」
そのコースをです。
「私達はここで待ちましょう」
「そうしましょう、そして今日と明日はね」
オズマもドロシーに言います。
「恵梨香達もウィンキーから旅をして少し疲れているかも知れないし」
「それでよね」
「休んでもらってその間はね」
「この宮殿で楽しんでもらうのね」
「そうしましょう。お風呂とかにも入ってもらって」
「ゆっくりしてもらうのね」
「そうしましょう。宮殿のお風呂は前以上に広くなってね」
そうなってというのです。
「充実したでしょ」
「そうね。ではね」
「ええ、まずはね」
「お昼を食べて」
「それからお風呂にも入ってもらいましょう」
こうお話してでした。
皆はまずはお庭で皆で、でした。
レタスに刻んだキャベツに加えてキャロットやセロリ、ブロッコリーも入っているサラダにトマトやオニオンをたっぷり入れたベーコンのシチューにです。
鱈のムニエルを食べてメインのステーキ、とても分厚くて大きなシャリアピンステーキを食べてでした。
パンにジャガイモをふかして上にバターを乗せたものも食べて美味しい林檎や葡萄のジュースも飲んでデザートに果物のゼリーも食べました。
そしてその後でお風呂に入りましたが。
お風呂から出た後でオズマは皆に尋ねました。
「どうだったかしら、お風呂は」
「凄かったです」
「サウナにワイン風呂があって」
「露天風呂も水風呂もあって」
「とてもよかったです」
「お身体も洗えましたし」
五人はオズマにお風呂上がりのすっきりしたお顔で答えました。皆ボディーソープとシャンプーの素敵な香りが漂っています。
「最高でした」
「お陰ですっきりしました」
「身も心も洗われました」
「すっかり癒されました」
「それは何よりよ。お風呂は最高のものよ」
オズマは皆の返答ににこりと笑って答えました。
「疲れを癒し身体も心も奇麗にするにはね」
「そうですよね」
「旅も楽しかったですが」
「お風呂もよかったです」
「もうすっかり奇麗になって」
「とても素敵な気持ちです」
「そうね。では晩ご飯を食べるまでゆっくりして」
そうしてというのです。
「よく寝て明日もね」
「はい、ゆっくりですね」
「ゆっくりと休んで」
「それで明後日はですね」
「出発ですね」
「ギリキンに向けて」
「そうしてね」
こう言ってでした。
オズマは恵梨香達をゆっくりと休ませました、そうしてでした。
魔法使いは恵梨香達五人に自分の新しい魔法を披露しますがシルクハットから次々に様々な精霊が出て来てです。
魔法使いと一緒に火や水、雷や石、木々に雪等を操って色々なことをしてみせます、それを見てでした。
五人は目を丸くして言いました。
「何ていいますか」
「また凄いですね」
「これまでの魔法も凄かったですが」
「今回はまた特に」
「精霊達と契約をしてね」
そうしてとです、魔法使いは五人ににこにことして答えました。
「身に着けたんだ」
「そうなんですね」
「契約をしてですか」
「そうしてですか」
「をのうえで、ですか」
「身に着けられたんですね」
「そうだよ、彼等の力を使ってね」
精霊達のです。
「色々出来る様になったんだ」
「火やお水を出したり」
「それを沸騰させたり氷にさせたり」
「雷をエネルギーにしたり」
「石を磨いて奇麗なものにしたり」
「木の葉を豊かにしたりですね」
「そうすることが出来る様になったんだ」
そうなったというのです。
「精霊の皆を借りてね」
「魔法使いさんの魔法は基本手品がベースになっているけれど」
ドロシーもお話に参加してきました、この娘も一緒に観ていたのです。
「どんどん凄くなってきているわね」
「うん、僕も日々勉強をしていてね」
魔法使いはドロシーにも答えました。
「それでなんだ」
「それでなのね」
「今度は契約もしてね」
精霊達と、というのです。
「こうしたことも出来る様になったんだ」
「そうなのね」
「それで契約をした彼等は僕の家に住んで」
そうしてというのです。
「快適に暮らしているよ」
「契約の報酬はそれね」
「そうなんだ、皆僕のお家に来て一目で気に入ってね」
そうなってというのです。
「それでなんだ」
「貴方のお家で暮らす様になったの」
「彼等は精霊で食べる必要も飲む必要もないけれど」
「それぞれの世界に戻ってそれぞれの元素を受けてね」
「それで生きているからね」
「飲んだり食べたりする必要がないわね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「彼等は僕のお家にいて」
「暮らせるだけでなのね」
「満足って言ってくれてね」
それでというのです。
「契約はそれでいいと言ってね」
「契約は成立しているのね」
「そうなんだ、僕も家族が増えてね」
そうなってというのです。
「嬉しいよ」
「豚さん達もいて」
「精霊の皆となってね」
「嬉しいのね」
「そうなんだ、何しろ僕のお家も広いからね」
「宮殿みたいよね」
「広くて奇麗で設備も充実しているけれど」
それでもというのです。
「家族がね」
「少なかったのね」
「広さの割にはね」
「だから増えて賑やかになって」
「嬉しいよ」
そうなっているというのです。
「本当にね」
「それは何よりね」
「うん、それでこれからもね」
「精霊の皆となのね」
「凄い魔法を使っていくよ」
「そうしていくわね」
「是非ね」
笑顔で言ってでした。
魔法使いはさらに魔法を使いました、そうして皆を楽しませました。そして夕食の後に音楽会となりましたが。
吹奏楽の演奏を聴いて恵梨香達五人は言いました。
「オズの国の国歌にはじまって」
「他の四国の国歌となって」
「オズマ姫やドロシーさん達の歌もあって」
「オズの国自体の素晴らしさを伝える歌もあるね」
「そして景色や生きものを歌ったものまで」
「オズの国の歌は多いんだ」
ジャックが言ってきました。
「それこそ何万曲あるかね」
「わからないわね」
「もうそれこそ」
「外の世界も多いけれど」
「オズの国もだね」
「沢山の歌があるね」
「そうなんだ、だからね」
それでというのです。
「今だって沢山演奏してね」
「他にもよね」
「沢山の曲があるのね」
「国歌や誰かや景色を歌った曲以外にも」
「他にもあって」
「もう何万曲と」
「そこまであるよ。ジャンルも様々だしね」
音楽のそれもというのです。
「あらゆる曲を楽しめるよ」
「例えば今回は吹奏楽で演奏しやすい曲だったけれど」
オズマも言ってきました。
「他にもよ」
「沢山の曲があって」
「どの曲も聴けますね」
「歌うことも出来て」
「踊りも出来ますね」
「そうなんですね」
「そうなのよ、だからね」
それでというのです。
「色々とね」
「音楽もですね」
「楽しんでいいですね」
「このオズの国でも」
「僕達はそうしていいですね」
「それで今もですね」
「存分に楽しんでね」
その音楽をというのです。
こうお話してでした。
夜は吹奏楽を聴いて楽しみました、そうしてこの日と次の日はじっくりと楽しんでそのうえでなのでした。
朝にでした、ご飯をしっかり食べてです。
皆は出発しました、ここで見送りに来たドロシーがです。
オズマと笑顔で抱き合ってから言いました。
「じゃあちょっとの間ね」
「お別れね」
「また会う時を楽しみにしているわ」
「私もよ。だから今はね」
「笑顔で別れましょう」
「またお会いする時を楽しみにしてね」
オズマも笑顔で言います。
「そうしましょう」
「ここはね」
こうお話してでした。
笑顔でお別れをしました、トトもここで言います。
「オズの国ではお別れはお互い笑顔でだね」
「そうだね」
ガンプが応えました、彼は地面から十センチ位浮かんでいます。伊達にお空を飛べる訳ではありません。
「そしてね」
「そのうえでだね」
「また会った時はね」
「また笑顔でね」
「再会を喜ぼう」
「そうしよう」
こうお話するのでした、そしてです。
そうお話してでした、皆でです。
お互い笑顔でまたねと挨拶をしてでした、オズマ達は旅に出ました。そうして首都が見えなくなるまで歩くと。
ジャックは少し感慨を込めて言いました。
「首都が見えなくなるとね」
「旅に出たって思えるわね」
「うん、さらに歩くからね」
こうオズマに答えました。
「本当にね」
「私もよ、特に私の場合は久し振りだから」
「旅に出るのがね」
「尚更嬉しいわ」
にこりとして言うのでした。
「本当にね」
「そうだね、オズマは基本宮殿にいてね」
「そこで政治を執ってるから」
オズの国全体のです。
「だからね」
「中々旅に行けないね」
「そうなの。宮殿にいる時も楽しいけれど」
それでもというのです。
「私もね」
「旅が好きだね」
「冒険がね」
「そうだよね」
「特に私は生まれてすぐに男の子になったでしょ」
このことも言うのでした。
「だからね」
「活発だよね、オズマって」
「よくおしとやかとか上品と言われて」
「レディーと言われるけれど」
それがというのです。
「その実はだね」
「活発なのよ」
オズマは本来はというのです。
「これがね」
「そうだね」
「だから旅に出ることもね」
こちらもというのです。
「好きよ」
「そうだよね」
「宮殿にいても毎日身体動かしてるし」
「スポーツも好きだね」
「ジムで汗を流すこともね」
このこともというのです。
「好きよ」
「そうだね」
「だから今回はよ」
「沢山歩いて身体を動かして」
「そして素敵なものも一杯見てね」
そのうえでというのです。
「そしてね」
「楽しむね」
「そうさせてもらうわ」
にこにことしてこう言ってでした。
出発します、そのうえでです。
お昼までエメラルドの都の緑の世界を歩いていきます、そしてお昼になるとご飯となりまして。
オズマは自分のテーブル掛けからお昼ご飯を出しました、それは何かといいますと。
「お好み焼きにたこ焼きにね」
「焼きそばだね」
かかしと樵はそのメニューを見て言いました。
「モダン焼きもあるね」
「飲みものはみっくちゅじゅーちゅだね」
「そうなの、オズの国に日本の街は幾つかあって」
オズマは二人に笑顔で答えました。
「その中に外の世界の大阪という街そのままの街があるわね」
「そうそう、川や堀が多くてね」
「河豚や蟹や紅白の服のおじさんの模型の看板があってね」
「高い塔があるお寺や海の神様の大社もあって」
「見事なお城もある街ね」
「その街で食べているものをね」
今はというのです。
「どうかって思って」
「それでだね」
「今回は出したんだね」
「他には串カツやご飯の中に鰻があるうな丼や最初からご飯とルーが混ざっているカレーもあるけれど」
その街にはです。
「きつねうどんとか河豚とかすっぽんもね」
「うん、食文化も魅力的な街だよ」
ムシノスケ教授も言います。
「あの街は」
「そうよね」
「街並みも独特でその文化もだよ」
「漫才に落語に浄瑠璃に」
「歌舞伎もあってね」
そうした文化でというのです。
「文学も大衆的でね」
「素敵な街ね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「私もあの街は大好きだよ」
「親しみが持てる街ね」
「野球のチームもいいよ」
こちらもというのです。
「黒と白の縦縞の」
「虎のチームね」
「あれだけ絵になる華があるチームはないよ」
教授はにこにことしてお話しました。
「勝っても負けてもね」
「絵になって華があるわね」
「だからね」
それでというのです。
「チームも好きだけれど」
「野球の」
「食文化もね」
こちらもというのです。
「凄くね」
「いいわね」
「これはいいよ」
そのお好み焼きやたこ焼き、焼きそばを見て言うのでした。
「喜んで食べよう」
「それではね」
笑顔でこうお話してでした。
皆でお好み焼きや焼きそばを食べます、恵梨香はソース焼きそばを食べて言いました。
「この濃い味がいいのよね」
「そうそう、おソースとマヨネーズを利かしてね」
カルロスはお好み焼きを食べて言いました。
「こてこての味がいいんだよね」
「あったかくて親しみやすくて」
神宝はたこ焼きをとても美味しそうに食べています。
「とても美味しいね」
「そうそう、青海苔や鰹節も乗っていてね」
ジョージはモダン焼きを食べながらお話します。
「絶妙の味付けなんだよね」
「関西の味ね、日本の」
ナターシャはみっくちゅじゅーちゅを飲んで微笑んでいます。
「素敵な味よ」
「そうよね、私も大好きなの」
オズマはお好み焼きを食べつつ五人に応えました。
「この濃い味がね」
「よく日本のお料理は薄味って言われますけれど」
「大阪は違うのね」
「そしてあの街も」
オズの国にあるあの街もというのです。
「そうですね」
「全体的に濃い味ね」
「こうして」
「そうよね。魔法使いさんなんてね」
オズマは今は留守番をしているこの人のお話をしました。
「こうしたのとビールの組み合わせがね」
「お好きですか」
「串カツもね」
こちらもというのです。
「お好きなの」
「そうなんですね」
「おソースとマヨネーズの組み合わせにね」
それにというのです。
「青海苔と鰹節にね」
「紅生姜ですね」
「その味付けがね」
これがといのです。
「本当にね」
「いいですよね」
「病みつきになるわよね」
「それで飲みものですが」
恵梨香はこちらのお話もしました。
「みっくちゅじゅーちゅですね」
「こちらもいいわよね」
「はっきりした甘さよね」
「かなり強い」
「それでその甘さがね」
これがというのです。
「またね」
「お好み焼きとかに合いますね」
「そうなのよね」
「ですから」
それでというのです。
「幾らでも食べられます」
「そうね、では今はね」
「皆で、ですね」
「お腹一杯食べましょう」
「美味しく」
こうお話してでした。
食べられる人達は皆で食べていきます、そしてでした。
お昼ご飯の後でまた出発しました、するとです。
暫くして先から誰か来ました、それは誰かといいますと。
猫でした、一匹のトラ猫がてくてくと歩いていますが尻尾は二本です。ガンプはその猫を見て言いました。
「あれっ、あの猫は」
「あれは猫又だよ」
教授が答えました。
「外の世界では五十年生きるとなるね」
「そうした猫なんだ」
「日本の妖怪だよ」
こうお話するのでした。
「別に何ともないよ」
「普通の猫と同じかな」
「妖術とかを使えるけれど」
それでもというのです。
「その行動はね」
「猫と変わらないんだね」
「そうだよ」
その猫又も言ってきました、若い男性のちょっとダミ声になった声です。
「僕達は猫のままだよ」
「そうなんだね」
「猫又でもね、ただね」
「ただ?」
「僕は最初から猫又なんだ」
「ああ。オズの国では歳を取らないからね」
「だから五十年経ってもね」
そこまで生きてもというのです。
「猫は猫でね」
「猫又は最初からだね」
「猫又だよ」
「そうなんだね」
「それにオズの国の猫は最初から喋れるね」
「オズの国の生きものは皆そうだね」
「書くことも出来るしね」
前足を使ってです。
「読むことも出来るし勉強すれば妖術もね」
「使えるんだね」
「魔法は使えないけれどね」
こちらはというのです。
「オズの国で魔法を使える人は」
「私とね」
オズマがにこりとして言ってきました。
「グリンダと魔法使いさんとね」
「姫様が認めた人達だね」
「そして貴方が使う妖術に」
こちらの力もというのです。
「仙術、陰陽道、錬金術、超能力はね」
「免許制だったね」
「だから貴方も」
「免許持ってるよ」
猫又はオズマに笑顔で答えました。
「ちゃんとね」
「それならいいわ」
「やっぱり免許がないとね」
「誰もが色々な力を勝手に使うと」
そうなると、というのです。
「よくないのよ」
「そうだね」
「前のノーム王にしても」
「それでオズの国を攻めようとしたし」
「そう考えるとね」
オズの国がこれからもずっと平和なままでいられる為にです。
「そうした力を使うにはね」
「車に乗ることと同じだね」
「許可が必要で」
「使っていい時にだけ使える人だけね」
「使える様にしないと駄目だね」
「だからね」
その為にというのです。
「そうした力はね」
「免許を使う様にしているね」
「そうよ」
「政治でね」
「それで貴方も免許を持ってるのね」
「そうだよ。それで僕はギリキンに住んでるけれど」
それでもとです、猫又はお話しました。
「実は妖怪博士さんにお呼ばれしてね」
「それでなのね」
「あの人のお家に向かっているんだ」
そうしているというのです。
「旅を楽しみながらね」
「そうなのね」
「そうだよ、それで姫様達もかな」
「私達はギリキンに行くのよ」
オズマは猫又ににこりと笑って答えました。
「これからね」
「その為の旅だね」
「そうなの」
「わかったよ、じゃあお互いにね」
「旅を楽しんでね」
「目的地に行こうね」
「そうしましょう」
オズマは猫又に笑顔のまま応えました。
「楽しくね」
「そうしようね、しかしね」
ここでこうも言った猫又でした。
「妖怪博士さん猫の妖怪のパーティーをするというけれど」
「それでお呼ばれしたのね」
「うん、けれどね」
それでもというのです。
「猫の妖怪といっても多いみたいだね」
「そうね、一口に言ってもね」
オズマもそれはと言います。
「かなりね」
「多いわね」
「化け猫さんもいるしね」
猫の妖怪にはです。
「ケット=シーの人達も」
「妖怪よね」
「うん、本当にね」
猫の妖怪といってもというのです。
「多いよ」
「そうよね」
「種類も結構で」
「数もね」
「オズの国全体でどれだけいるかな」
猫又は首を傾げさせました。
「果たして」
「一口では言えない位ね」
オズマはこう答えました。
「オズの国の市民は十億人以上いてね」
「その中にだね」
「妖怪さん達もいてね」
そうしてというのです。
「その中にはね」
「僕達の様にだね」
「猫の妖怪もいて」
「結構な数なんだ」
「そうよ」
「そうなんだね、それで妖怪博士さんはね」
猫又はお話しました。
「今回はなんだ」
「その猫の妖怪さん達のなのね」
「来られる人達が集まって」
そうしてというのです。
「楽しくね、何でも特別美味しいキャットフードが手に入ったらしくて」
「貴方達にご馳走してくれるの」
「そうしたいって言うから」
妖怪博士さんがというのです。
「僕もだよ」
「時間があるから」
「それでね」
そのうえでというのです。
「これからね」
「あの人のところに行って」
「そのキャットフードをいただくんだ」
「それでパーティーを開くのね」
「そうなんだ」
「猫又もキャットフード好きなんだ」
ジャックは猫又のお話を聞いて思いました。
「そうなんだ」
「だって猫だよ」
猫又はジャックに当然という口調で答えました。
「だからね」
「それでなんだ」
「そう、猫が食べるものが好きで」
それでというのです。
「キャットフードもだよ」
「好きなんだ」
「あとお魚も好きだよ」
こちらもというのです。
「鶏肉もミルクもね」
「本当に猫だね」
「マタタビだって好きだしね」
こちらもというのです。
「尻尾が二本あって妖術も使えるけれど」
「猫なんだね」
「そのことは変わらないよ」
「本当に同じだね」
「ただ普通の猫と違って」
こうも言う猫又でした。
「踊りがね」
「好きなんだ」
「後ろ足で立って」
そうしてというのです。
「そのうえでね」
「踊るんだ」
「それが好きなんだ」
「猫又はそうなんだ」
「それで人に踊りを見せることも多いよ」
そうしたことも行うというのです。
「僕達はね」
「ただ踊るだけじゃなくて」
「そうしたこともするよ」
「それを人に言ったら駄目なのよね」
恵梨香はこう言いました。
「そうなのよね」
「えっ、人に踊りを見せて!?」
「ええ、それで見た人がそれを誰かに言うことはね」
そうしたことはというのです。
「駄目なのよね」
「そんな話聞いたことないよ」
「これを言ったら祟られるとか殺されるとか」
「そんなことないよ」
猫又は恵梨香のそのお話をきっぱりと否定しました。
「オズの国ではね」
「ないの」
「外の世界にはあるんだ」
「何かそんなお話を聞いたことがあるわ」
「オズの国にはないよ」
「そうなの」
「外の世界でもそんな悪い猫又いるのかな」
逆にこう言うのでした。
「怖いね」
「殺して食べてその人に成り代わったりとか」
「あるんだ」
「それでどの猫又も最後はやっつけられるけれど」
「オズの国では絶対にないから安心して」
そこはちゃんと言うのでした。
「絶対にね」
「この国ではないのね」
「悪人がいないからね」
「悪い妖怪もいないの」
「そうだよ」
そうした国だというのです。
「だから安心してね」
「ふと思い出したけれど」
「それでもだよ」
「オズの国だから」
「いないよ」
猫又は笑顔で答えました。
「だからね」
「それでなのね」
「そう、安心してね」
そのうえでというのです。
「僕達と付き合ってね」
「わかったわ」
恵梨香は猫又の言葉に笑顔で頷きました、そうしてです。
彼と笑顔で別れてから皆と一緒に旅を再開しました、旅ははじまったばかりですが早速楽しいことが続けて起こりました。