『新オズのカボチャ頭のジャック』




              第一幕  ジャックの故郷

 恵梨香達五人はまたオズの国に来ました、今回最初に出て来たのはウィンキーにあるブリキの樵のお城でした。
 お城の中庭に出るとそこに丁度樵がいて彼等に言ってきました。
「おや、今回はここに出たんだね」
「はい、そうみたいですね」
 恵梨香が樵に応えました。
「またお邪魔したいですってオズマ姫にお話しまして」
「スマートフォンでだね」
「それでお邪魔したんですが」
「ここに出て来たんだね」
「よくエメラルドの都の宮殿に出ますが」
 オズマが住んでいるそちらにです。
「ですが」
「今回はだね」
「ここに出て来ましたね」
「そうだね、それでどうするのかなこれから」
 樵は恵梨香に笑顔で尋ねました。
「何をして楽しむのかな」
「まずは都でオズマ姫と遊ぼうと思っていました」
 恵梨香は樵に答えました。
「そうでしたけれど」
「じゃあ都に行くかい?」
「そうしましょうか」
「だったら僕も一緒に行くよ」 
 樵は恵梨香達にこう申し出ました。
「そうさせてもらよ」
「樵さんもですか」
「うん、実はこれからかかし君とジャックと三人でね」
 それでというのです。
「都まで行く予定があるんだ」
「そうなんですね」
「だからね」 
 それでというのです。
「君達が都に行きたいのならね」
「樵さん達もですか」
「一緒にね」
 是非にというのです。
「行かせてもらうよ」
「そうしてくれますか」
「さて、それではね」
 笑顔のまま言う樵でした。
「今からかかし君とジャックに連絡をするから」
「お二人もですね」
「ここに来るよ、そしてね」
 そのうえでというのです。
「一緒に行こう」
「エメラルドの都まで」
「そうしようね」
「わかりました」 
 恵梨香が頷いて応えてでした。
 樵はかかしとジャックに自分のスマートフォンで五人が自分のお城にいることを伝えました、そうするとでした。
「二人共元々ここに来るつもりでね」
「三人で都に行かれるので」
「その予定があるので」
「だからですね」
「このブリキのお城に集まる」
「その予定だったんですね」
「明日出発の予定だったけれど」
 二人共です。
「それぞれのお家をね、けれど今すぐにだよ」
「出発してですか」
「こちらのお城に来られて」
「そうしてですか」
「僕達と会ってくれるんですか」
「そうしてくれるんですね」
「そうなったよ、では彼等を待つ間一緒に遊ぼうか」
 こう言ってでした。
 樵は五人と一緒に二人が来るまでの間お城のお庭でバスケットボールをして楽しみました。樵はブリキの身体ですが。
 物凄いジャンプ力でバネもあってバスケがとても上手でした、そのテクニックで五人にバスケのことも教えます。
 樵にバスケの色々なテクニックを教えてもらって五人は言いました。
「バスケも色々なやり方があるんですね」
「色々なテクニックがあるんですね」
「走ったりドリブルするだけじゃないですね」
「ジャンプも大事ですが」
「色々あるんですね」
「そうだよ、バスケは魔法の様なテクニックもあるよ」
 樵はボールを自由自在に動かしつつ答えます。
「この通りね」
「そうなんですね」
「それでそのテクニックを使うとですね」
「今より上手になれますね」
「僕達もそうなれますね」
「そうなんですね」
「そうだよ、テクニックを知って練習していけば」
 そうすればというのです。
「君達も出来る様になるよ」
「わかりました」
「練習していきます」
「それで出来る様になります」
「そうなります」
「これからも」
「頑張ってね、あと僕は何も食べないけれどね」
 今度はこうお話する樵でした。
「お客さん用の食堂もあってシェフの人もいるから」
「そちらで、ですね」
「ご馳走してくれるんですね」
「樵さんは確かに何も食べなくても大丈夫ですが」
「それでもですね」
「僕達に食べさせてくれるんですね」
「そうさせてもらうよ」 
 ここでも笑顔で言ってでした。
 樵はバスケの後は五人をお城の食堂に案内しました、そうして出て来たメニューは何かといいますと。
「シェフの皆が頑張ってくれたよ」
「うわ、凄いですね」 
 恵梨香は自分の前に置かれたご馳走に目を丸くさせました。
「鯛のお刺身に烏賊や海老や山菜の天麩羅に」
「このわたに茶碗蒸しもありますね」
 ナターシャはそちらを見て言いました。
「松茸のお吸い物もあって」
「猪の小鍋や山芋のおひたしもありますね」
 ジョージは山の幸に注目しています。
「茸の姿焼きもあって」
「湯葉あるんですね」
 神宝は大豆から作ったそれを見ています。
「お豆腐もあって」
「ご飯は栗ご飯ですね」
 カルロスはご飯の中の金色のそれに目を笑わせています。
「デザートは和菓子で」
「和食にしてくれたね」
 樵は五人に笑顔で応えました。
「今回は」
「凄いですね」
「山海の珍味が揃ってますねね」
「しかも色々なお料理があって」
「素晴らしいです」
「これだけあるなんて」
「うん、では皆で楽しんで食べてね」
 樵も席に着いています、そうしてです。
 皆に食べる様に言ってでした、皆が食べて笑顔になるのを見て喜ぶことにしました。そうしてでした。
 皆食べます、すると。
「美味しいわね」
「ええ、お刺身にお鍋もね」
「松茸美味しいよ」
「猪肉だってそうだよ」
「お豆腐もいいよ」
「それは何よりだよ、お豆腐もね」
 こちらもというのです。
「最近オズの国で人気だからね」
「美味しいんですよね、お豆腐」
「あっさりしていて食べやすくて」
「癖がなくて」
「どんな調味料にも合って」
「お料理もしやすいですね」
「皆そう言うね、ただ食べた人が言うにはね」
 こうも言う樵でした。
「固さはそれぞれらしいよ」
「固いお豆腐もあるんですね」
「柔らかいお豆腐だけでなく」
「今僕達が食べているお豆腐は凄く柔らかいですが」
「ちょっと力を入れて箸で摘むと壊れます」
「物凄く脆いですが」
「柔らかいことは柔らかくてもね」 
 そうであってもというのです。
「柔らかさに範囲があるらしいね」
「それありますね」
「作り方によって違いますし」
「あと使うお水によってもです」
「お豆腐って固さが変わりますね」
「確かに柔らかいですが」
「差があるみたいだね、一口にお豆腐といっても」
 それでもというのです。
「色々だね」
「種類もそうですし」
「固さも違っていて」
「一口にそう言っても」
「本当に違いますね」
「そうなっていますね」
「そうだね、それも面白いよね」
 お豆腐の違いもというのです。
「お話を聞くとね」
「私も大好きなんですが」
 恵梨香は豆腐料理お野菜とあえたそれをとても美味しそうに食べながら樵に対して笑顔で答えました。
「親戚で大好きな人がいまして」
「そうなんだ」
「はい、夏は冷奴で」
 そちらを食べてというのです。
「冬は湯豆腐をです」
「食べているんだね」
「いつもそうしています」
「そうなんだね」
「毎日食べてもいいっていう位に」
 そこまでというのです。
「お豆腐が好きです」
「それはまたかなりだね」
「お米の次位だそうです」
「お米だね」
「はい、そうです」
「実はギリキンに行くのはお米の為なんだよね」
 樵は笑って答えました。
「それと南瓜の為なんだ」
「お米と南瓜ですか」
「その二つの為ですか」
「ギリキンに行くのは」
「そうなんですね」
「樵さん達は農業のことで行かれるんですね」
「そうなんだ、今度あちらで大規模な水田と南瓜畑を開拓するけれど」
 樵は豪華な日本のご馳走を食べながら言ってきた五人に答えました。
「僕は開拓で木を切ってね」
「あっ、かかしさんは稲ですね」
「お身体の中藁ですから」
「ジャックは南瓜」
「まさに適材適所」
「それで、ですね」
「それで三人で行ってね」 
 そうしてというのです。
「ムシノスケ教授にオズマ姫も一緒だよ」
「あっ、オズマ姫ですか」
「今回はあの方が一緒ですか」
「ドロシーさんやベッツイさんトロットさんでなく」
「あの方ですか」
「今回はそうなんですね」
「そうなんだ、今回は暫く振りの遠出になるからね」
 それでとです、樵は五人にお話しました。
「オズマも楽しみにしているよ」
「そうなんですね」
「じゃあかかしさんとジャックがここに来たら」
「エメラルドの都に行って」
「そこでオズマ姫とムシノスケ教授と合流して」
「ギリキンに行くんですね」
「そうだよ、ちなみに教授は農業の知識もあるからね」
 だからだというのです。
「それで同行するんだ」
「農業の指導ですね」
「それで旅で一緒ですね」
「その顔触れでギリキンまで行って」
「そうしてですね」
「水田と南瓜畑の開拓ですね」
「それを行っていくよ」
 こう言ってでした。
 樵は皆が食べるのを見て楽しんで、でした。皆にお風呂とベッドも用意しました、そうしてそのうえでなのでした。
 朝を迎えるとでした。
 朝食の後でかかしとジャックが来ました、二人は早速恵梨香達に挨拶をしました。
「おはよう」
「元気そうだね」
「それじゃあね」
「また一緒に旅をしようね」 
「では今から都に向かおうか」
 樵も言ってでした。
 旅に出ようとしましたがここで、でした。
 ジャックがふと気付いて樵に言いました。
「僕達三人は飲む必要も食べる必要もないけれど」
「ああ、恵梨香達はね」
「飲んだり食べたりしないとね」
 さもないと、というのです。
「駄目だよ」
「そうよね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「そのことはどうするのかな」
「その心配はいらないよ」
 かかしが言ってきました。
「ここはオズの国だからね」
「それでなんだ」
「だってあちこちにお弁当の木があってね」
 そうしてというのです。
「草物の木があるからね」
「だからなんだ」
「旅の間食べものには一切困らないよ」
「そうなんだね」
「飲みものもあるしね」 
 そちらも大丈夫だというのです。
「あちこちにお茶やミルクが出る泉やそれでできた川もあるし」
「そういえば結構あるね」
「だからね」
「飲みものや食べものには困らないんだ」
「それにね」
 かかしはジャックにさらにお話しました。
「オズマと合流したら」
「そうしたらなんだ」
「オズマはどんな飲みものも食べものも出せるテーブル掛けを持っているから」
 それでというのです。
「それを使ってね」
「飲みものも食べものも出せるから」
「問題ないよ」
「そうなんだね」
「何も心配はいらないよ」
 恵梨香達のお食事のことはというのです。
「一切ね、あと寝泊りも魔法のテントを持っていくから」
「そこで休めるね」
「入浴はあちこちの川やお池で出来るしね」
 こちらのことも大丈夫だというのです。
「本当にね」
「一切心配はいらないね」
「オズの国だからね」
「お伽の国だから」
「そうしたことについての心配はね」
 それこそというのです。
「君が言う通りだよ」
「一切だね」
「心配無用だよ」
「そうだね、じゃあ行こうか」
 樵はかかしの言葉に頷いて言いました。
「都に向かってね」
「そうしようね」
 ジャックが頷いてでした。
 一行は都に向けて出発をしました、ジャックが先頭に立って黄色い煉瓦の道を進んでいきますがその中ででした。
 ジャックは恵梨香達にうきうきとして言いました。
「実は僕今回の旅が楽しみで仕方なかったんだ」
「そうだったの」
「オズマ姫は久し振りの旅でらしいけれど」
「ジャックもなんだ」
「今回の旅楽しみだったの」
「そうだったんだ」
「ギリキンに行くね」
 それでというのです。
「だからだよ」
「あっ、ギリキンはジャックの故郷だったわね」
「そうそう、あの国で生まれたのよねジャックって」
「オズマ姫が男の子だった時に後が宿る粉をかけてもらって」
「そうしてだったね」
「今に至るんだったね」
「そうだったからね、これまでも数えきれない位行ってるけれど」
 ギリキンの国にというのです。
「その都度楽しみにしていて」
「楽しんでるのね」
「あの国に行くのを」
「その都度」
「それで今回もなんだ」
「楽しみにしているんだ」
「そうだよ、だから自然と足が動くよ」
 見ればうきうきとした足取りです。
「本当にね」
「僕達のマンチキンと同じだね」 
 かかしはこう言いました。
「ジャックにとってのギリキンは」
「そうだね」
 ジャックはかかしの言葉に頷きました。
「二人共マンチキン出身でね」
「マンチキンに行くとね」 
 それならというのです。
「もうね」
「楽しみなんだね」
「そのことが決まるとね」
「それで行って」
「いつも楽しんでいるよ」
「里帰りはいいよね」
「今住んでいる場所もいいけれど」
 それと共にというのです。
「故郷に帰ることもまた」
「本当にいいね」
「そうだね」
「特に長くいた場所に戻るといいね」 
 樵もお話に入ってきました。
「そうだね」
「うん、住んでいたお家とかね」
「村とかにね」
「戻るとね」 
 そうすればというのです。
「本当にね」
「嬉しいね」
「その時は」
「だからだね」
「僕はとても楽しみだよ、しかもね」
 ジャックはさらに言いました。
「今回はオズマも一緒だから」
「君に命を授けてくれたね」
「だから余計にだよ」
「嬉しいね」
「オズマは僕にとって親だよ」
 そう言っていい存在だというのです。
「本当にね」
「そのオズマと一緒だから」
「余計に嬉しいよ」
「そうなんだね」
「しかもオズマって旅にはあまり出られないからね」
「忙しいからね」
「オズの国の国家元首だからね」
 その立場だからだというのです。
「どうしてもね」
「難しいよね」
「旅に出ることも」
「けれど今回はね」
 かかしが言ってきました。
「ドロシーが留守番だからね」
「そうなったね」
「うん、ドロシーが自分から申し出て」
 そうしてというのです。
「自分が留守番をしてね」
「宮殿で政務を執るね」
「皆の助けを借りて」
 そうしてというのです。
「そのうえでね」
「オズマはギリキンに行って」
「僕達と一緒だよ」
「だからだね」
「余計に楽しみだよ」
 こう言うのでした。
 そうしてさらに進むとです、やがてお昼になりましてその時は昼食を近所のお弁当の木で取って食べてです。
 おやつもそうして夕食もそうしまして。
 近くの川で身体を奇麗にしてからテントに入って休みますが。
「君達は休んでね」
「そうしてよね」
 恵梨香がジャックに応えました。
「貴方達はね」
「外でね」
「お喋りをしたりして過ごすわね」
「僕達は寝る必要もないから」
 だからだというのです。
「夜の間はずっとだよ」
「そうして過ごしているのね」
「月の灯りで本を読んだりね」
 そうしたこともするというのです。
「スマートフォンでね」
「そうしたこともしてるの」
「そして君達が寝ているところから少し離れて」
 そうしてというのです。
「歌ったり踊ったりもね」
「してるのね」
「夜も楽しいよ」
 ジャックは恵梨香に朗らかな声で言いました。
「何かと出来てね」
「眠れなくて大変かと思ったら」
「いやいや全然ね」
 これがというのです。
「楽しいよ」
「そうなのね」
「オールナイトでね」
 それでというのです。
「楽しく遊んでるからね」
「楽しいのね」
「そうだよ、だから君達は寝ることを楽しんで」 
 その様にしてというのです。
「僕達はね」
「起きるとを楽しむのね」
「そうだよ、ではね」
「ええ、今からね」
「楽しんで寝てね」
「そうさせてもらうわ」
 笑顔で応えてでした。
 恵梨香も他の子達もテントの中で寝ました、そうして朝に日の出と共に起きるとジャック達はです。
 五人に笑顔でおはようと言ってから言ってきました。
「さて、朝ご飯だね」
「起きたしね」
「まずはそれだね」
「そうですね、じゃあ傍のお弁当の木や果物の木から」
 恵梨香は三人に応えて言いました。
「何か貰います」
「そうするといいよ」
「お弁当もいいし」
 ジャックに応えてさらに言います。
「果物でもね」
「果物の木も色々あるね」
「近くの森にね」
「じゃあ好きな果物を食べられるね」
「ええ、林檎にバナナに」
 そうしたものにというのです。
「葡萄に梨、さくらんぼに無花果にメロンにキーウィに」
「好きなものを食べるといいよ」
「そうしていいのね」
「うん、君達がね」
「それじゃあ」 
 恵梨香も他の子達もです。
 ジャックの言葉を受けてテントからすぐ近くの森に入ってです。
 朝食用のパンのお弁当にでした。
 それぞれ食べたい果物を取ってテントのところに戻って食べます、飲みものは近くのミルクの泉から取りました。
 そして楽しく食べはじめるのですが。
 恵梨香はサンドイッチのお弁当と洋梨を食べてからミルクを飲んで笑顔になりました。
「素敵な朝ご飯よ」
「楽しんでるね」
「はい、とても」
 かかしにその笑顔で答えました。
「美味しくて」
「それは何よりだね」
「サンドイッチに果物に」
 それに合わせてというのです。
「ミルクもよくて」
「それでだね」
「とても素敵です」
「朝から素敵な思いができていいね」
 樵は恵梨香の言葉を受けてこう言いました。
「本当に」
「そうですね」
「一日のはじまりがそうならね」
 素敵な思いを楽しめるならというのです。
「本当にだよ」
「最高ですね」
「皆お腹一杯食べてね」
 ジャックは南瓜のその顔を笑顔にさせて五人に言いました。
「そしてまたたっぷり歩いていこうね」
「オズの黄色い煉瓦の道を」
「そうしていってね」
「そしてだよね」
「その周りの景色を観て楽しむ」
「そうしようね」
「是非ね、旅を楽しもう」
 朝ご飯の次はというのです。
「そうしよう」
「とても美味しいご飯を食べて」
「そうして心から楽しんで」
「その次は旅を楽しむ」
「贅沢だね」
「本当にそうだね」
「オズの国では満足していることが贅沢でね」
 ジャックは五人にさらにお話しました。
「いつも贅沢でいられる様にね」
「なっているのね」
「そうなのね」
「オズの国では」
「誰もが贅沢でいられる」
「満足しているのね」
「そうだよ、不平不満はないよ」 
 オズの国ではというのです。
「周りがいつも楽しいことばかりだしね」
「それでこうして美味しい朝ご飯を食べて」
「うん、旅も出来るよ」
 ジャックはまた恵梨香に答えました。
「僕達はね」
「それじゃあ皆でね」
「旅行をしていこう」 
 こうお話してでした。 
 五人が楽しく朝ご飯を食べてからでした。
 また旅に入りました、そうして黄色い煉瓦の道を進んでいき左右のウィンキーの黄色い草原と森それに村の家や田畑を見いながら進んでいきますが。
 エメラルドの都に入るとでした。
 それまで鮮やかな黄色だった世界が見事な緑になりました、恵梨香はその緑に入ってにこりとなりました。
「この一変するのがいいのよね」
「そうそう、次の国に入ってね」
 神宝が続きます。
「何もかも色が全く変わる」
「オズの国ならではだね」
 カルロスも笑顔で言います。
「それぞれの国に色があってね」
「別の国に入ると色がぱって変わるんだよね」
 ジョージもそのことを楽しんでいます。
「鮮やかな位に」
「もう色が変わるのが境界になっていて」 
 ナターシャもそのことを面白いと思っています。
「その国に入ったって実感できるわ」
「それで今は緑ね」 
 恵梨香はまた言いました。
「エメラルドの都に入ったわね」
「オズの国の中央」
「その国にね」
「それぞれの国にこれまた沢山の国があるけれど」
「大きく分けて五つの国があって」
 そうしてとです、今は五人でお話します。
「それぞれの国に色がある」
「奇麗なそれぞれの色が」
「その国に入ればそれも見られるから」
「何ていいことか」
「心から思うよ」
「うん、どの色が一番素晴らしいかじゃなくて」
 そうではなくとです、ジャックも言います。
「五色それぞれの色がね」
「奇麗でね」
「とても素晴らしくて」
「その中に入って見られる」
「それが何とも言えずよくて」
「見ていて自然と笑顔になるよ」
「そうなんだよね、じゃあ今はね」
 是非にと言うジャックでした。
「エメラルドの都の緑を楽しみながら」
「そのうえでね」
「都に進んでいきましょう」
「そして都そのものに入って」
「それで宮殿にお邪魔して」
「オズマ姫にお会いしよう」
「オズマも楽しみにしているよ」
 かかしが五人に自分のスマートフォンを出して言ってきました。
「僕達が宮殿に来るのをね」
「スマートフォンに連絡がきてますね」
「実際にオズマ姫から」
「楽しみにしてるわって」
「そう書かれてますね」
「実際に」
「さっき都に入ったって連絡したらね」
 他ならぬオズマ姫にというのです。
「すぐにだよ」
「返事がきたんですね」
「オズマ姫から」
「それで、ですね」
「僕達が来るその時を」
「待っていてくれてるんですね」
「楽しみにしているよ、では旅を楽しみながらね」
 そのうえでというのです。
「都に向かおうね」
「わかりました」
「ではそうしましょう」
「今は旅を楽しんで」
「そしてですね」
「都を目指すんですね」
「そうだよ、そうしていこうね」 
 かかしも笑顔です、そのうえで皆でうきうきと歩いてでした。
 そのうえで国の真ん中にある都を目指していきます、見事な奇麗な緑の草原や森を左右に見てでした。
 恵梨香は途中に左右の草原にいるバイソン達エメラルドの都なので全身緑色の毛で覆われている彼等を見て言いました。
「オズの国って色々な生きものがいるけれど」
「どうしたのかな」
「バイソンも多いって思ったの」 
 尋ねてきたジャックに答えました。
「実際に見てね」
「うん、バイソンはアメリカの国の生きものだからね」
 ジャックは恵梨香にこう言いました。
「それで沢山いるからね」
「それでなの」
「オズの国はアメリカが反映されるからね」
 そうした国だからだというのです。
「それでだよ」
「アメリカにバイソンが沢山いるから」
「オズの国でもなんだ」
「沢山いるのね」
「オズの国の草原のあちこちにね」
「こうして沢山いるのね」
「それで楽しく過ごしているよ」
 彼等もというのです。
「そうしているよ」
「そうなのね」
「それで彼等が望むなら」
 バイソン達がというのです。
「それぞれの国の色になれてね」
「それでなのね」
「本来の色にもなれるよ」
「両方なれるのね」
「そうだよ」
「こげ茶色にもなれるのね」
 恵梨香はバイソンの本来の色はその色だと考えて言いました。
「そうなのね」
「そうだよ」
「マンチキンでは青になって」
「ウィンキーでは黄色、カドリングでは赤になってね」
 そうしてというのです。
「ギリキンではね」
「紫ね」
「そうなれるよ」
「そうなのね」
「他の生きもの達もね」
「植物はそれぞれの国の色でね」
 樵も言ってきました。
「生きものはだよ」
「色を変えられるのね」
「そうだよ、君達も願ったらね」 
 恵梨香達もというのです。
「髪の毛や目の色が変わるよ」
「えっ、そうなんですか」
「人もね」
 こうお話するのでした。
「そうなるんだよ」
「そうだったんですか」
「ちょっと今思ってみたらいいよ」
 実際にというのです。
「この国の色になりたいってね」
「エメラルドの都のですか」
「そこにね」 
 まさにというのです。
「そうしてみたらいいよ」
「それじゃあ」
 恵梨香も他の子達も樵の言葉に頷いてでした。
 それぞれエメラルドの都の色になりたいと思うとでした。
 五人共髪の毛と目の色が緑になりました、それでお互いに言い合いました。
「緑ね」
「それになったわね」
「髪の毛も目も」
「奇麗な緑色のなったよ」
「木の葉みたいな」
 お互いに見合ってお話します。
「不思議な感じだよ」
「そうだね」
「これまでの色が一変するなんて」
「緑になるなんて」
「髪の毛や目の色が」
「そうだね、けれど戻りたいって思ったら」
 またかかしが言ってきました。
「戻れるよ」
「そうですね」
「今元に戻りたいって思ったら」
「それぞれの色に戻りました」
「本来の色になりました」
「そうなりました」
「これもオズの国だよ、お伽の国だからね」
 それ故にというのです。
「こうしたことも普通にあるんだよ」
「そうなんですね」
「お伽の国だからですね」
「髪の毛の色も変えられますか」
「目の色も」
「それぞれの国の色になれるんですね」
「そして戻れるよ」
 このことも可能だというのです。
「何時でもね」
「これもまたオズの国だよ」
 ジャックも言います。
「面白いよね」
「面白いというか」
 こう言ったのは恵梨香でした。
「まさにオズの国で」
「それでだね」
「不思議で仕方ないわ」
「あと染めたりカラーコンタクトもね」
「あるのね」
「それでも色を変えられるから」
「それぞれの色だけでないのね」
「そうだよ」
 こう言うのでした。
「オズの国のね」
「そうなのね、ただ私はね」
 恵梨香はにこりと笑ってジャックに言いました。
「普段はいつも通りでいいわ」
「黒い髪の毛と黒い目でだね」
「ええ、この二つが好きだから」 
 自分自身のというのです。
「だからね」
「恵梨香はこのままでいいんだ」
「お母さんにもお祖母ちゃんにも褒められてるし」
「そうなんだね」
「この黒い髪の毛と黒い目がね」
 この二つがというのです。
「とても奇麗で可愛いって」
「実際にそうだね」
「誰にも悪いって言われたことないから」 
 だからだというのです。
「これからもね」
「黒い髪の毛と目でだね」
「普段はいるわ」
「そうしたいんだね」
「そうするわ、ただね」
 それでもとです、恵梨香はジャックに微笑んで言いました。
「さっきみたいに変えたいと思ったら」
「変えるね」
「それも面白いし気分転換にもなるから」
 だからだというのです。
「お洒落でもね」
「変えるね」
「そうするわ。けれどね」 
 それでもというのです。
「やっぱり普段はね」
「黒い髪の毛と目でだね」
「いいわ」
「そうなんだね」
「このままね、しかしオズの国でも髪の毛を染められるのね」
「カラーコンタクトもあるよ」
「しかも外の世界より遥かに楽に染められるよ」 
 樵が言ってきました。
「ちょっと塗ればね」
「それで、ですか」
「その色になるんだ」 
 そうだというのです。
「それでカラーコンタクトを入れても目に負担がかからないよ」
「それはいいですね」
「だからその人が好きな様にね」
「髪の毛や目の色もですね」
「変えられるよ、それもね」
「ファッションですね」
「それで元の色も戻したかったら」
 その場合はといいますと。
「髪の毛を洗ったらすぐに落ちるし」
「髪の毛の色も戻りますか」
「それにカラーコンタクトも外せば」
 そうすればというのです。
「それでね」
「元の色に戻れますね」
「その人の好きな様にね」
 それでというのです。
「なれるし戻れるよ」
「それもオズの国ですね」
「本来の色のままでもいいし」
「変えてもですね」
「いいよ」
「結局外見の違いってそんなものだね」 
 かかしは達観した様に言いました。
「お肌だってね」
「変えられますね」
「その色をね。色はね」
 まさにというのです。
「外見のそれなんて」
「何とでもなりますね」
「それでどう変わるかなんてね」 
 それこそといううのです。
「そんなものだよ。外見での違いなんてね」
「そんなものですか」
「だからオズの国で外見でどうか言うことはね」
「ないですね」
「そう、誰もしないよ」 
 そうしたことはというのです。
「本当にね」
「僕達だってね」
 ジャックは自分達のことも言いました。
「こうした外見だね」
「ええ、普通の人とは違うわね」
「そうだよ、僕なんてね」
 自分はといいますと。
「頭は南瓜で身体は木だね」
「そうよね、けれどね」
「人だね」
「れっきとしたね」
「飲んだり食べたり寝たりもしないけれど」
 それでもというのです。
「けれどね」
「人ね」
「本当に外見の違いはね」
 それはというのです。
「そうしたね」
「何でもないものね」
「そうしたものだよ」
「外の世界ではあれこれ言っても」
「何でもないよ」
「大事なのは中身ね」
「その人のね、オズの国では皆わかってるよ」
 それこそというのです。
「本当にね」
「そのことを私達も覚えておかないとね」
「うん、そうなればね」
「よくなるわね」
「それだけで全く違うよ」
 人の外見の違いのことを理解することはというのです。
「何でもないことだってね」
「そのことがわかったら」
「それだけでね」
「全く違うわね」
「そうだよ、だから恵梨香達もね」
「よく覚えてね」 
 そうしてとです、恵梨香は答えました。
「そしてね」
「そのうえでだね」
「そう、理解してね」
「生きていくね」
「そうしていくわ」
 ジャックに笑顔で言うのでした。
「私達皆がね」
「そうしていこうね」
 ジャックも応えてでした。
 笑顔のままです、恵梨香達にお話しました。
「大事なことだからね」
「ええ、髪の毛や目の色じゃない」
「人は中身ね」
「外見は問題じゃない」
「どんな人でもだね」
「一番大事なのは中身だね」
「このことを覚えて理解して生きていこうね」 
 こう言ってそうしてでした。
 皆はさらに先に進んでいきました、そうして都のオズマがいる宮殿に向かうのでした。楽しい旅をしながら。








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