『オズのボームさん』




                第十一幕  終わりが見えてきて

 オズマは整頓の進み具合を見て笑顔で言いました。
「いよいよね」
「うん、あと少しでだね」 
 ボームさんが応えました。
「終わるね」
「そうよね」
「皆でじっくりとやっていって」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「遂にね」
「終わりが見えてきたね」
「そうね、かなりの大仕事だったけれど」
 それでもというのです。
「それがね」
「遂にだよ」
「千里の道も一歩からというけれど」
 オズマはこの言葉も出しました。
「どんなことでも少しずつやっていけば」
「絶対に終わるよ」
「大変なことでも」
「そうだね、僕も外の世界からね」
 ボームさんはアメリカにいた時のことを思い出してお話しました。
「いつもオズの国のお話を聞いてね」
「それを書きはじめて」
「そしてそれを最後まで書けるか」
「そのことはなのね」
「いつも最初の文字を書いた時に思ったよ」 
 ご自身の隣にいるオズマを見てお話しました。
「果たして最後まで書けて」
「外の世界の人に伝えられるか」
「そのことがね」
 まさにというのです。
「どうもね」
「わからなかったのね」
「不安だったよ、けれどね」
 それがというのです。
「書いていけばね」
「終わったのね」
「最後まで書けて」
 そしてというのです。
「皆に伝えられたよ」
「文章もそうね」
「そう、そしてお仕事もだよ」
 こちらもというのです。
「やっていけばね」
「終わるわね」
「必ずね、どんな大事業も」
「ことを進めていけば」
「必ずだよ」
 続けていけばというのです。
「終わるよ」
「その通りね」
 オズマも頷きます、皆まだ朝でお仕事の準備をしています。皆で掃除道具を出していっていてオズマとボームさんもそうしています。
「何でもね」
「やっていくことだよ」
「これは無理と思わないで」
「ことを進めていけば」
 続けていけばというのです。
「終わるよ」
「その通りだね」
「この図書館もね」
 ドロシーも言ってきました、皆モップや雑巾それにバケツや洗剤そして油も出して準備をどんどん進めています。
「最初はなかったわね」
「そうだったね、全くね」 
 ムシノスケ教授が応えました。
「この図書館があった場所は空き地だったよ」
「全くのね」
「けれどここにね」
「図書館を建てようってなってね」
「宮殿のね」
「それで建てたけれど」 
 それでもというのです。
「最初は」
「何もなくて」
「建てはじめても」
 それでもだったのです。
「完成するのか」
「最初は思わなかったね」
「完成するなんてね」
「夢にも思わなかったよ」
 かかしと樵、臆病ライオンもその時のことを思い出してお話しました。
「けれど徐々に建築が進んで」
「そうしてだったね」
「完成したね」
「徐々にだったけれど」
 それでもとです、ドロシーは言いました。
「完成してね」
「そしてだったね」
「本も入れてね」
「図書館が完成したね」
「本があってこそ図書館だったけれど」
 ここで言ったのはトロットでした。
「その本もね」
「入ったわね」 
 ベッツイが応えました。
「そうなったわね」
「本棚は揃っていても」
「そこには一冊の本もなくて」
「そこに本が入っていってね」
「徐々にね」
 本もそうなっていったのです。
「そしてね」
「遂によね」
「図書館になったわ」
「そうなったわね」
「本当に最初は何もなかったのに」
 魔法使いも感慨を込めてお話しました。
「それがこんな見事な図書館になったんだよ」
「何もなくてもこんな立派なものが出来るんだよね」
 腹ペコタイガーは口に咥えていたお水が入っていたバケツを置いてから言いました、本当に整頓の準備は確実に出来ていっています。
「お仕事を進めていったら」
「そうだね、何もなくても」
「それでもだね」
「皆で徐々にやっていったら」
 それならというのです。
「確実にね」
「ことが進んでね」
「何時かは完成するよ」
「そうだね」
「中華街も日本の街もだったね」
 モジャボロは街のお話をしました。
「最初はなくて」
「そうだね、それがだね」
 弟さんはお兄さんに応えました。
「徐々にだよ」
「出来ていってね」
「街になったね」
「そうだったね」
「何もなくてもはじめることだね」
 キャプテン=ビルはモップのチェックをしています、ちゃんと使えるかどうかを一つ一つそうしていっています。
「本当に」
「うん、こんなの無理と思ったら」
 ファイター大尉はキャプテンに応えました。
「駄目だね」
「無理じゃない、出来るってね」
「思うことだね」
「どんな途方がないことと思っても」
「まずやってみる」
「それが大事だね」
「アン王女が言ってたよ」 
 ジャックはあの林檎が好きなお姫様のことを思い出しました。
「荒地でも徐々に耕して木を植えていけばね」
「それでよね」
「うん、立派な畑や農園になるってね」
 ジャックは自分の左肩にいるビリーナに答えました。
「言ってたよ」
「続けていけばね」
「努力していけばだよね」
「そうね、諦めてもね」
「何にもならないよ」
「諦めたらそこで本当に終わりですね」
 こう言ったのはジュリアでした
「何もならないですね」
「何をやるには」
 ガラスの猫が言ってきました。
「はじめてね」
「続けることね」
「ボームさんも言ったわね」
「書くこともね」
「私達のことを伝えることもね」
 まさにこのこともというのです。
「まずはペンを取るかキーボードに向かってね」
「書いていくことね」
「そうよ、さもないとね」
「何もならないわね」
「そして書き続けて」
 そうしてというのです。
「やっていくことよ」
「それが九十九パーセントの努力ね」
 こう言ったのはエリカでした。
「要するに」
「そうだね、やっていくことだね」
 トトも言いました。
「書いていく、お仕事をすることが」
「そうよね」
「全くだね」
「それをやっていって」
「そしてね」
「完成したら」
「それが一パーセントの閃きだね」 
 トトはエリカに言いました。
「そうだね」
「お仕事はそうね」
「まずはやってみる」
 木挽きの運は雑巾のチェックをしつつ言います、見ればモップも雑巾もちゃんとしていてしっかりと使えそうです。
「それね」
「そうよ、どんな難しいダンスでもよ」
 つぎはぎ娘は自分の趣味から言うのでした。
「何度も練習したらね」
「身に着けられるね」
「一回や二回で覚えられなくても」
 それでもというのです。
「何度も練習したらよ」
「覚えるね」
「百回やったら違うわよ」 
 そこまで練習すればというのです。
「どんな難しいダンスでもね」
「覚えるね」
「そうなってくるわ、それでさらにやったら」 
 百回よりさらにというのです。
「もっと覚えて上手にもね」
「なるね」
「そうなるのよ」
「そうだよね、どんなことでもやっていく」
 ハンクも言いました。
「駄目とか無理とか出来ないとか完成しないじゃなくて」
「はじめてーーですーーね」
 チクタクはハンクの言葉に頷きました。
「続けるーーことーーですーーね」
「そうだね」
「そしてここでもだね」 
 かかしは笑ってお話しました。
「整頓を続けていったから」
「それでだね」
 樵が応えました。
「遂にだね」
「ここまできたね」
 臆病ライオンはしみじみとして述べました。
「終わりが近くなってきたね」
「ええ、じゃあ最後までね」
 ドロシーは最初の冒険の時からの親友である三人に言いました。
「やっていきましょう」
「今日もね」
「今から五時までね」
「休憩もしながらやっていこう」
 かかしと樵、臆病ライオンも応えてでした。
 皆でこの日も整頓をはじめました、するとです。
 壁を見てです、ボームさんは言いました。
「ピカピカになってきたね」
「そうですね」
 カルロスはその壁をお掃除しつつボームさんに応えました。
「整頓それにお掃除をはじめた時は汚れていたのに」
「シミとかもあったのに」
 ジョージも言いました。
「それがもうですね」
「本当にピカピカになっていますね」
 恵梨香もその壁を見て言います。
「そうなっていますね」
「お掃除をしたからですね」
 ナターシャは唸って言いました。
「だからですね」
「お掃除をしていったら」
 それならとです、神宝は言うのでした。
「こうなるんですね」
「そうだよ、続けていったら結果は出るよ」
 ボームさんは五人に応えて言いました。
「絶対にね」
「そうですよね」
「その時すぐに出なくても」
「結果は出ますね」
「続けていけば」
「そうですね」
「それは遥か先だったりするけれどね」
 今すぐとは限らないというのです。
「出るよ」
「そうですね、何かです」
「すぐに結果を出せとか言う人いますけれど」
「そう言う人って努力しないですね」
「他の人には言っても」
「自分はそうですね」
「そうだよ、結果はだよ」 
 まさにというのです。
「人の目ではわからない時があるけれどね」
「それでもですね」
「それは出ますね」
「絶対にですね」
「だからですね」
「そういうことを言う人はですね」
「よくないよ、エジソンさんだって結果が中々出ない時はあったよ」 
 この人もというのです。
「外の世界でもね。そしてエジソンさんもやっていっているから」
「発明が出来ていますね」
「何でも」
「そうなっていますね」
「無理とか思わないで」
「ゼロからでもですね」
「やっていっているんだ、駄目な人は何をやっても駄目なら」 
 そう言うならというのです。
「人間努力をする意味がないよ」
「そうですよね」
「そんなこと言ったら」
「何にもならないですね」
「本当に」
「はじまりもしないですね」
「誰でも最初は出来ないものだよ」
 ボームさんは壁を拭きながら言いました、神宝達と一緒に魔法のお薬を飲んで壁に立つ様にしてモップをかけています。
「けれどつぎはぎ娘も言っていたね」
「はい、さっき」
「百回でもそれ以上も練習したら」
「どんなダンスでも出来る」
「そうなるって言っていました」
「そうでした」
 五人は本棚に本を踊りながら入れているつぎはぎ娘を見てボームさんに答えました。
「一回や二回で駄目でも」
「覚えられなくても」
「百回すれば違う」
「上手にもなるし」
「もっとやるともっとよくなるんですね」
「そうだよ、だからすぐに結果は出なくても」
 それでもというのです。
「やっていくことだよ」
「そうした人の意見は聞かなくていいですか」
「すぐに結果を出せとかいう」
「そうした意見はですね」
「聞かなくていいですね」
「そして結果が全てじゃないよ」
 ボームさんはこうも言うのでした。
「結果だけを見たら途中はどうでもいいよね」
「努力もですね」
「やっていくことも」
「オズの国ではないですがズルをしてもいい」
「そうしてもいいですね」
「そうもなりますね」
「だから結果しか求めていないと」
 そうした考えならというのです。
「何もならないよ」
「そういうことですね」
「途中までの努力も大事ですね」
「九十九パーセントの努力も」
「それも大事ですね」
「結果を出すまでも」
「だからエジソンさんも言ったんだよ」 
 他ならぬこの人もというのです。
「九十九パーセントの努力がないとってね」
「そこに一パーセントの閃きですね」
「閃きがないと駄目でも」
「その九十九パーセントの努力がないと」
「何もならないですね」
「結果だけじゃないですね」
「努力を否定する人はね」
 そうした人はといいますと。
「閃きだけだよ」
「それだけですか」
「それだけを見ている人ですか」
「たった一パーセントの閃き」
「それだけを見て」
「努力は見ない人ですね」
「それじゃあ何かなる筈がないよ」
 絶対にとです、ボームさんは断言しました。
「本当にね」
「確かにそうですね」
「九十九パーセントって殆どですから」
「その殆どを否定したら」
「本当に何にもならないですね」
「割合だけ見てもそうですね」
「うん、だから努力を否定する人は駄目なんだ」
 そうなるというのです。
「皆もわかったね」
「はい、よくわかりました」
「九十九パーセントの努力を否定したら」
「それで一パーセントの閃きだけ見ていたら」
「冗談抜きで何もならないです」
「それじゃあ」
「そういうことだよ、だからオズの国では努力は否定されないよ」
 それはないというのです。
「そんなことじゃ何も出来ないからね」
「この図書館だってそうですよね」
「建てられなかったですし」
「それで今の整頓も」
「ここまで来なかったですね」
「終わりが見えなかったですね」
「そうだったよ、何もかもね」
 それこそというのです。
「出来ないよ」
「人は努力を否定したら何も出来ないわよ」
 オズマも言ってきました。
「才能や閃きと言われるものは一パーセントだったらよ」
「どれだけ小さいか」
「そう、だからね」
 それでとです、オズマはボームさんとお話しました。
「私はむしろね」
「努力の方をだね」
「大事だと思うわ、一パーセントの閃きと九十九パーセントの努力の両方がね」
「ないとことは成らないし」
「そう、そして割合を見るとね」
 そうすればというのです。
「全くね」
「違うね」
「そうよ」
 本当にというのです。
「だからね」
「努力は否定しないね」
「むしろ肯定しているわ」
 それとは逆にというのです。
「完全にね」
「そうだね」
「だからエジソンさんは発明王でね」
「いつも努力して頑張っているからね」
「モーツァルトさんも作曲をしているからよ」
「作曲をしていないと苦しい位にね」
「作曲に励んでいるから」
 そうしているからだというのです。
「あれだけの名曲を生み出し続けているのよ」
「駄作はないからね、あの人は」
「あの人は九十九パーセント以上の努力でね」
「一パーセントの閃きを導き出してもいるね」
「そしてその閃きも一パーセントじゃなくて」
 さらにというのです。
「数パーセントの場合もね」
「あるね」
「そうよ、だからね」
「あれだけ名曲ばかり作っているね」
「そうよ、だから努力は」 
 それはというのです。
「本当にね」
「大事だよ」
「それを否定したら」
「何が出来るか」
「出来る筈がないのよ」
「だから結果だけを見たり」
 そうしたりとです、ボームさんはまた言いました。
「駄目な人は何をしても駄目とか」
「私は間違っても言わないしね」
「オズの国でもだね」
「言わないのよ」
 他の誰もというのです。
「そうなのよ」
「はじめて続けることこそがね」
「美徳なのよ」
 こう言うのでした。
「そうなのよ」
「その通りだね」
「だからオズの国も発展するの」
 そうもなっているというのです。
「これがね」
「駄目と思わないからね」
「まずはじめて」
 そしてとです、オズマは言いました。
「そしてよ」
「続けることだね」
「これがオズの国で美徳とされていることだよ」
「そうだね」
「だから私もよ」
「努力することが大事だと考えているね」
「そうよ、けれど駄目な人は何をやっても駄目なんて」
 オズマはこの考えに非常に懐疑的に思って言いました。
「そんなこと言う人って自分は何だと思っているのかしら」
「何でも出来ると思っているんじゃないかな」
「人の努力を否定して」
「そしてね」
「人は努力で伸びるものなのに」
「それを否定したらね」
「私その考えは大嫌いよ」
 オズは眉を曇らせて言いました。
「そんなこと言って何になるかっていうと」
「ならないね」
「なる筈がないわ」
「だからだね」
「そんな考えはしないし」
 それにというのです。
「他の人にもそんな考えを持っていたらね」
「間違っていると言うね」
「そうするわ、今だってね」
 整頓もというのです。
「ちゃんとよ」
「駄目と思わないでね」
「やっていったからよ」
「終わりが見えてきたよ」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「駄目な人は何をしても駄目か」
「違うね」
「最初は駄目でもよ」
 出来なくてもというのです。
「努力したらね」
「出来るね」
「そうなるのよ、エジソンさんは最初から何か発明したかしら」
「していないね」
「ダ=ヴィンチさんも最初から描いていないわ」
 この人もというのです。
「関羽さんだって最初から大きくてもね」
「武芸を身に着けたね」
「それでお強いのよ」
 そうなっているというのです。
「本当にね」
「関羽様は努力家なんですよ」
 中国人の神宝はこのことをよく知っています、それで言うのでした。
「青龍偃月刀を使うことも」
「鍛錬でよね」
「備えました、馬術も学問も」
「そういったこともね」
「努力されて。本を暗誦出来るまで読まれるんですよ」
「そこまで読み込むとなると」
「努力ですよね」 
 神宝はオズマに尋ねました。
「そうですよね」
「その通りよ」
 オズマは新法に笑顔で答えました。
「まさにね」
「そうですよね」
「関羽さんが何も努力しなかったら」
「あそこまでにはなっていないですね」
「絶対にね」
「そうですよね」
「あの人はお強くて学問があって物凄く義理堅いけれど」
 それでもというのです。
「そうなったこともね」
「努力の賜物ですね」
「その通りよ」
「そうですよね」
「モーツァルトさんも努力の結果だから」
「努力しないと何にもなれなくて出来なくて」
「駄目な人は何をしても駄目なんてないのよ」
 絶対にというのです。
 こうしたお話をしてでした、皆で整頓をさらにしていきました。そうして五時になるとドロシーは笑顔で言いました。
「本当にあと少しになったわね」
「そうだね」
 トトはドロシーの足下で整頓の状況を見て尻尾をぱたぱたとさせました。
「いよいよね」
「そうなったわね」
「最初は何も出来ていなくて」
「とても散らかっていてね」
「埃だらけの階だったのに」
 それがというのです。
「ここまでだよ」
「きたわね」
「いや、凄いことになったよ」
 まさにというのでした。
「ここまできたんだから」
「まだお仕事は終わっていないけれど」
「嬉しいわね」
「そうだね」
「それで終わらせたらね」 
 つぎはぎ娘は嬉しそうに飛び跳ねつつ言いました。
「皆でお祝いをするのよね」
「その時は皆で歌って踊ってだよ」
 臆病ライオンも今にも飛び跳ねそうです。
「お祝いだよ」
「そうするわね」
「皆でね」
「終わった時は素直に喜ばないとね」
 腹ペコタイガーもうきうきとしている感じです。
「表に出して」
「あたしはいつもそうしてるでしょ」
「それが君だね」
「だからその時は喜びの歌と踊りを披露するわよ」
「新曲と新しいダンスだね」
 ハンクも嬉しそうに言います。
「それを見せてくれるんだね」
「じゃあ余計に楽しみだね」
 木挽きの馬も嬉しそうです。
「終わった時が」
「ええ、私も一緒に踊るわよ」
 ガラスの猫はそのつもりでした。
「つぎはぎ娘とは魂を持った時のお付き合いだからね」
「そういえばそうだったね、君達は」
 樵はこのことを思い出しました。
「一緒に感情を持ったんだったね」
「それでいつも一緒にいるね」 
 かかしも言います。
「そうだったね」
「そう思うと君達の縁は深いね」
 ムシノスケ教授もしみじみと思いました。
「本当に」
「それで仲もいいのね」
 エリカも言いました。
「そうなのね」
「仲がいいとそれだけでいいことだよ」
 ジャックは嬉しそうに言いました。
「本当にね」
「そうね、じゃあこれからもね」
 ビリーナも言ってきました。
「仲良くしていくことよ」
「そしてーーです」 
 チクタクはこう言いました。
「終わりーーましーーたら」
「新曲はどんなのか見せてもらうよ」
 大尉も言ってきました。
「是非ね」
「わしも楽しみだよ、では今は宮殿に戻って」
 キャプテンは皆に言いました。
「そして楽しく晩ご飯を食べよう」
「そうしましょう」
 オズマが笑顔で応えてでした。
 皆晩ご飯を食べてそれからお風呂にも入りました、そしてその後で余暇の時間を過ごしますが皆はです。
 この時は双六をしました、テーブルの上に広げた大きな盤の上でルーレットを回してそれぞれの駒を動かしていきます。
 魔法使いは自分の駒を動かしてでした、止まったところで苦笑いになりました。
「しまった、一回休みだよ」
「折角順調に進んでいたんですけれどね」
 モジャボロの弟さんが言ってきました。
「ここで、ですね」
「そうなってしまったね」
「そうですね」
「ではね」 
 魔法使いはホットミルクを飲みつつ弟さんに応えました。
「私は今回はだよ」
「お休みをして」
「くつろぐことにするよ」
「さて、次は僕だね」
 モジャボロは自分の駒を見ながらルーレットを動かしました。
 そしてです、ルーレットが止まった場所を見ましたが。
「一だよ」
「一しか進めないんだね」
「参ったな、さっきからだよ」
 魔法使い苦笑いで応えました。
「あまり進めていないな」
「そうした時もありますよ」
 ジュリアが慰めてきました。
「双六は」
「そうだよね」
「そうした時は仕方ないと思って」 
 それでというのです。
「やっていきましょう」
「そうだね、これも双六だからね」
「落ち着いてです」
 そうしてというのです。
「楽しんでいきましょう」
「そうていくよ」
「お菓子もあるわよ」
 トロットはモジャボロに小さなチョコレートの山を出しました。
「これも食べてね」
「あら、美味しそうね」 
 ベッツイはそのチョコレートを見て嬉しそうな声をあげました。
「そのチョコ」
「貴女も食べる?」
「食べていいのかしら」
「遠慮はいらないわよ」 
 トロットはベッツイに笑顔で応えました。
「だからね」
「それでなのね」
「ええ、一緒に食べましょう」
「モジャボロさんとね」
「私は三つです」
 恵梨香はルーレットを動かして言いました。
「ここに止まったらお菓子一つですか」
「私はさっき飲みものを貰ったわ」
 ナターシャはホットミルクが入ったカップを持っています、白いカップの中の白い牛乳がとても奇麗です。
「そうして今飲んでいるわ」
「僕はさっき笑顔を貰ったね」
 ジョージは嬉しそうに言いました。
「止まった場所に皆から笑顔をプレゼントとあったからね」
「僕はお花だったよ」
 カルロスの手には赤いとても奇麗なダリアがあります。
「いいよね」
「この双六素敵だね」
 神宝も言います。
「僕はBGMを貰ったしね」
「そうだね、この双六は魔法も科学も入っていないけれどね」
 ボームさんが五人にお話しました。
「楽しく笑顔で遊べる様になっているんだよ」
「そうなんですね」
「そうした双六なんですね」
「楽しく遊べる」
「そうしたものなんですね」
「魔法や科学はなくても」
「どちらもオズの国をとてもいい国にしているけれどね」 
 それでもというのです。
「そうしたものがなくてもだよ」
「オズの国は素晴らしいですね」
「とても素敵な国なんですね」
「こうして遊んでも」
「そうなんですね」
「それもオズの国ですね」
「そうだよ、だからね」
 その為にというのです。
「僕達もだよ」
「こうしてですね」
「遊んでですね」
「楽しめばいいですね」
「魔法や科学がなくても」
「それでもですね」
「不思議なものがなくても」
 それでもというのです。
「素敵なのがオズの国なんだよ」
「その通りだね、こうしたボードゲーム一つを取ってもだよ」
 魔法使いは一回休みの中で言いました。
「楽しいんだよ」
「そうだね」
「楽しめる造りになってるんだよ」
「魔法や科学を使わなくてもね」
「ボードゲーム一つ見てもね」 
 まさにというのです。
「オズの国ではだよ」
「だからいいね」
「うん、私はマジックをするからトランプが得意でね」
 それでというのです。
「いつも遊んでいるけれど」
「それでもだね」
「ボードゲームも好きでね」
「それがどれも楽しいからだね」
「嬉しいよ」
 笑顔で楽しみながら言います。
「本当にね」
「貴方もそう思うね」
「心からね」
 魔法使いはボームさんと一緒にチョコレートを食べつつ答えました、ほろ苦い甘さがお口の中を支配して固さもよかったです。
「まさにね」
「そうだね」
「だから戻ってきてずっと暮らしているけれど」
 それでもというのです。
「嫌だとか不満に思ったことはね」
「ないね」
「一度もね、ピンチはあってもね」
「そのピンチは絶対に助かるからね」
「オズの国はね、そしてピンチを過ぎれば」 
 そうなればといいますと。
「その後でね」
「喜びがあるね」
「だからね」 
 それでというのです。
「もうここからはね」
「離れたくないね」
「ずっといたいよ」
「魔法使いさんは最初悪い人と思いました」 
 神宝はホットミルクを飲みつつ言いました。
「実は」
「ペテン師とか言われていてでしたね」
 ジョージも言いました。
「オズの国を乗っ取ったとか」
「最初そんな風に言われていましたから」
 カルロスはドロシーが最初にオズの国に来た時やオズマが男の子の姿から本来の女の子の姿に戻った時に言われていたことを思い出しました。
「そんな人だったって」
「けれどですね、オズの国に戻られて」
 ナターシャも言いました。
「何か凄くいい人だって思う様になりました」
「魔法使いさんもおられないと」 
 恵梨香は心から思いました。
「オズの国はとても寂しいですね」
「私は最初はね」
 とてもとです、魔法使いは五人の子供達に答えました。
「確かによくない人だったかもね」
「いや、僕の文章の書き方が悪かったとね」
 そのお話を文章に書いて外の世界に紹介したボームさんが言ってきました。
「反省しているよ」
「貴方が?」
「うん、ペテン師じゃなくて手品師でね」
 魔法使いは実はというのです。
「それで国を乗っ取ったんじゃなくて」
「違ってだね」
「その時誰もオズの国全体を治める人がいなくて」
 それでというのです。
「たまたまオズの国に来ていた貴方が治めることになった」
「実はそうだった」
「その様に書くべきだったよ」
「そうなんだね」
「僕の書き方が悪かったよ」 
 ボームさんは反省して述べました。
「本当にね」
「そう言うんだね」
「今はね」
 実際にこう言うのでした。
「本当にね、悪いことをしたよ」
「いやいや、お陰で只の手品師だった私が世界的な有名人になったんだよ」 
 魔法使いはボームさんに気さくな笑顔で応えました。
「そうだね」
「オズの国のことは外の世界でも沢山の人が知っているしね」
「もう私を知らない子供はね」
「かなり少ないね」
「ドロシー嬢とだよ」
 さらにというのです。
「かかし君と樵君、臆病ライオン君とね」
「貴方はだね」
「オズの国屈指の有名人でね」
「外の世界でもだね」
「物凄く知られているから」
 世界的にというのです。
「だからね」
「それでだね」
「本当にね」
 まさにというのです。
「嬉しく思っているよ」
「そうだといいけれどね」
「そして今は」
 魔法使いはチョコレートの後はホットミルクを飲みました、黒い食べものの後に白い飲みものでしかもミルクがチョコレートによく合っていました。
「こうしてオズの国にいてね」
「それでだね」
「幸せに満ちているから」
 そうなっているからだというのです。
「本当にだよ」
「嫌なことはなくて」
「貴方に感謝もしているしね」
「悪く思っていないんだ」
「オズの国に戻ってからの私も書いてくれているじゃないか」
 だからだというのです。
「本当にね」
「嬉しいね」
「そうだよ」
 こう言うのでした。
「毎日いつもね」
「それなら有り難いよ」
「うん、じゃあいよいよね」
「一回休みが終わりだね」
「そうなるからね」
 それでというのです。
「またルーレットを回してだよ」
「貴方の駒を動かすね」
「そうするよ、この駒もいいよね」
 見ればその駒はです。
 黒い魔法使い本人です、それぞれの駒が動かしている人の小さな姿でそれぞれ色も違っています。その駒を見て言うのでした。
「私自身でね」
「私もありますし」
 ジュリアが嬉しそうに言ってきました。
「他のですね」
「オズの国の皆があるね」
「そうですね」
「オズマ姫もドロシー嬢もいてね」
「かかしさんや樵さんも」
「オズの有名な人達がだよ」
 まさにというのです。
「いるよ」
「そうなっていますね」
「だからね」
 それでというのです。
「私はね」
「魔法使いさんご自身の駒をですね」
「使っているよ」 
 ジュリアに笑顔でお話しました。
「本当にね」
「僕達のものもあるなんて」
「嬉しいです」
「オズの国の人達と一緒に」
「私達五人もいるなんて」
「嘘みたいです」
「だって君達はオズの国の名誉市民でね」
 ボームさんが五人にお話しました。
「有名人だからね」
「だからですか」
「僕達の駒もあるんですね」
「そうなっているんですね」
「オズの国の他の人達と一緒に」
「そうなっているんですね」
「そうだよ」 
 その通りだというのです。
「君達もね」
「あとゲームによっては駒が自分自身の姿になったりするものもあるよ」  
 モジャボロがお話しました。
「魔法の力でね」
「そうなんですか」
「そんなゲームもあるんですか」
「それは凄いですね」
「そのゲームもしてみたいですね」
「機会があったら」
「今度しようね、オズの国はボードゲームも充実しているから」
 だからだというのです。
「そうしたものもあるんだよ」
「本当に色々なゲームがあるね」
 弟さんはお兄さんに応えました、そのうえで双六の自分の駒ご自身のオレンジ色のそれが進む先を見ながら言いました。
「オズの国は」
「ボードゲームでもね」
「そうだよね」
「そしてその中にはね」
「そうしたゲームもあるね」
「だから自分自身がボードゲームの世界の中にいる」
「そうも思えてね」
 それでというのです。
「楽しいよね」
「本当にそうだね」
「そんなものが一杯あるから」
 だからだとです、ボームさんは言いました。
「こうした遊び一つでもだよ」
「オズの国は満喫出来るね」
「そうだよね」
 モジャボロに笑顔で応えました。
「本当に」
「その通りだね」
「さて、魔法使いさんとモジャボロさんは進んだし」 
 今度は六つでお菓子を三つ貰いました、そしてモジャボロもそれだけ進んでもう一回進めるとあってさらにルーレットを回して五つ進みました。
「今度は僕がね」
「はい、ボームさんの番です」
 ジュリアが応えました。
「お願いしますね」
「それではね」
 ボームさんはジュリアの言葉に応えてでした。
 実際にルーレットを回しました、するとでした。
「四つ、ここは」
「歌ですね」
「歌を歌うとありますね」
「ここは」
「それではですね」
「ボームさんは今からですね」
「歌うね」
 神宝達五人に応えてそうしてでした。
 ボームさんは立ち上がって歌いはじめました、晩ご飯とお風呂の後の双六はとても楽しいものでした。








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