『オズのボームさん』




                第四幕  休日

 この日は休日でした、オズマは皆に朝起きてすぐに言いました。
「今日は図書館自体が閉館だから」
「それでよね」
「そう、私達もお休みよ」 
 ドロシーににこりと笑って答えました。
「だから遊んだりお昼寝したりしてね」
「楽しく過ごすのね」
「ゲームをしたりもしてね」
「そうするのね」
「好きなことをして楽しんでね」
「わかったわ、それじゃあね」
 ここでドロシーはにこりとして提案しました。
「野球はどうかしら」
「野球をするの」
「そう、皆でね」
 こう提案するのでした。
「どうかしら」
「いいわね、皆はどうかしら」
 オズマはドロシーの提案を聞いて皆に尋ねました。
「今日は野球をするということで」
「いいね、野球も楽しいからね」
 ボームさんはにこりとして応えました。
「皆でプレイしよう」
「ボームさんは賛成ね」
「うん、他の皆はどうかな」
 皆笑顔で賛成と答えました、そうしてです。
 皆で朝ご飯を食べるとすぐに王宮のグラウンドで野球をはじめました、皆バットやグローブ、ボールを用意します。
 そしてユニフォームに着替えますが。
 魔法使いは今自分が着ている白地に黒い縦縞のユニフォームを見て言いました。
「ヤンキースじゃないね」
「これは阪神タイガースのものです」
 神宝が答えました、見れば男性陣はそのユニフォームで女性陣と生きもの達は真っ黒のユニフォームです。
「日本のチームです」
「ああ、オズの国でもある」
「はい、あのチームのユニフォームです」
「結構昔のユニフォームかな」
「そうみたいですね、どうも」
「それで私もこれは何かなって思ったんだね」
「そうですね、けれど素敵なユニフォームですよね」
 神宝は魔法使いににこりと笑って言いました。
「このユニフォームは」
「そうだね、シンプルでいてね」
「恰好いいですよね」
「白い虎って感じがするね」
「そうですよね」
「僕は大好きだよどちらのユニフォームも」
 真っ黒なユニフォームを着ている腹ペコタイガーは上機嫌で言いました。
「だって虎だからね」
「あっ、そうだね」
 ジョージは腹ペコタイガーの言葉に笑って応えました。
「君は阪神好きだね」
「虎だからね、同じ」
 カルロスはこう言って頷きました。
「嫌いな筈がないわね」
「同じ虎なら好きで当然よね」 
 恵梨香もこのことがわかりました。
「やっぱりね」
「この世界にも阪神はあるけれど」
 ナターシャはかつてお邪魔したオズの国の日本の街あの紅白のおじさんや大きな動く蟹の看板がある街を思い出しつつ言いました。
「貴方もあのチームが好きなのね」
「もう好き過ぎてね」 
 腹ペコタイガーは子供達に笑顔で応えました。
「毎日試合を観ている位だよ」
「本当にいつも観ているんだ」
 腹ペコタイガーの親友の臆病ライオンもお話しました。
「阪神の試合はね」
「それで勝つと最高の気持ちになれるんだ」
 腹ペコタイガーはこうも言いました。
「本当に阪神は最高のチームだよ」
「そうね、阪神はいいチームよ」
 恵梨香もその通りだと頷きます。
「何があっても絵になって華があるね」
「そうだよね」
「勝っても負けてもそうだっていうチーム他にないわよ」
「素敵な選手も多いしね」
「とてもね」
「その阪神から審判の人達が来てもらってるの」
 オズマがここで言いました、彼女も真っ黒のユニフォームです。
「四人ね」
「誰かな、一体」
 モジャボロはオズマにそれが誰か尋ねました。
「四人というと」
「この人達よ」
 オズマが手を指示した先にでした。
 その人達がいました、モジャボロはその人達を見て目を丸くさせました。
「凄いね、藤村さんに村山さんに山内さんじゃないか」
「主審は監督だった野村さんだね」
 弟さんはその人に特に驚いています。
「最近オズの国に来てくれた人だけれど」
「この人達が審判を務めてくれるの」
「よろしゅう頼むな」
 主審の人が笑いながら皆に言いました。
「楽しくやろうな」
「こちらこそお願いするよ、いや凄いメンバーだよ」
 かかしも驚きを隠せないでいます、お顔がぎょっとなっている位です。
「よく来てくれたよ」
「野村さんはあの街でいつも野球をしていてね」
 樵も言います。
「キャッチャーとしてもバッターとしても立派だからね」
「確か四番キャッチャーで監督だったね」
 ジャックも言います。
「それで杉浦さんとのバッテリーが凄いよね」
「杉浦さんもあの街におられるね」
 トトはこの人のことを言いました。
「あの人も元々あの街に縁があるしね」
「そうだったよ、杉浦さんも大阪のチームにおられたからね」
 神宝はトトに応えました。
「だからね」
「今はあの街でね」
「うん、楽しくね」
「野球をしているね」
「とても奇麗なアンダースローだよね」
「僕が見てもうっとりするよ」
「あたし村山さんにお会い出来て幸せよ」
 つぎはぎ娘はこの偉大なピッチャーだった人を見てとても嬉しそうです。
「全力で投げるその姿勢がね」
「それはわしのやり方やからな」
「相手にいつも真っ向勝負よね」
「さもないと野球やないと思ってや」
 村山さんはつぎはぎ娘に笑顔で返します。
「いつもそうしてるんや」
「誰でもよね」
「そや、もう一球一球そうして投げてな」 
 そのうえでというのです。
「やってくのがや」
「村山さんよね」
「外の世界でもそうしてきたしな」
「オズの国でもよね」
「そうしてるで」
「いや、審判の人達だけでも凄いよ」
 大尉が見てもです。
「阪神のスターだった人ばかりでね」
「わしはあかんかったわ」
 野村さんが笑って言ってきました。
「監督やったけどな」
「いやいや、後が続いてるじゃない」 
 ビリーナはそこを指摘しました。
「聞いてる限りだと」
「土台は築いたって言うんやな」
「そうよ、それをしたのが野村さんだからね」
 それでというのです。
「凄いわよ」
「そやねんな」
「じゃあ皆で楽しみましょう」
 ガラスの猫は藤村さんの傍にいます、そのうえでの言葉です。
「ミスタータイガースと一緒にね」
「それはわしのことやな」
「あんたが初代でしょ」
「よお知ってるな」
「あたしも猫、ネコ科だからね」
 それでとです、藤村さんに返すのでした。
「阪神は好きだしね」
「わしのこともかいな」
「知ってるわよ、あのお爺ちゃんも大好きだし」
「監督さんもかいな」
「ええ、藤本さんね」
「そのこと監督さんに伝えてええか」
「是非そうして欲しいわ」
 ガラスの猫は笑顔で応えました。
「これからも頑張ってねってね」
「ほなな」
「まずは準備体操をして」
 山内さんが言ってきました。
「それからな」
「プレーボールね」
「そうしよな」
「それではね」 
 こうしてでした。
 皆準備体操をしてそのうえで試合をはじめました、そうしてです。
 皆で楽しく野球をしますがその中で、です。
 ハンクは木挽きの馬にこう言いました。
「この真っ黒いユニフォームも阪神のものだけれどね」
「白黒のユニフォームもいいけれどね」
「このユニフォームもいいよね」
「恰好いいよね」
「阪神のユニフォームってどれもいいよね」
「誰でも着たら恰好いいよね」
「そうだよね」
 そうしたユニフォームだというのです。
「僕達が着てもだしね」
「恰好よくてね」
「いい感じだよ」
「こんないいユニフォーム他にないよ」
「色々なチームのものがあるけれど」
 こうしたお話もしながら野球をしていきます、その中でキャプテンはそっとベンチで皆に言いました。
「主審の野村さんはしっかり見ているね」
「はい、ストライクもボールも」
 神宝はこう応えました。
「見極めておられますね」
「それで公平だね」
「ちゃんとしたジャッジです」
「いいことだよ、そうしたジャッジならね」 
 それならというのです。
「野球をする方もだよ」
「安心して出来ますね」
「ジャッジは正確にかつね」
「公平にですね」
「そうであってこそね」
「ちゃんとした野球が出来ますね」
「どんなスポーツでもね」 
 それこそというのです。
「ちゃんとしたジャッジがあってこそだよ」
「しっかりとした競技が出来ますね」
「それが出来ない人はね」
 ボームさんも言ってきました。
「審判はしない方がいいね」
「正確かつ公平にですね」
「出来ないとね」 
「しない方がいいですね」
「そうだよ、だからオズの国ではね」
「そのことはですね」
「法律で定めているんだ」 
 そうしているというのです。
「スポーツのジャッジはね」
「正確かつ公平にですね」
「スポーツを正しく楽しむ為に」
 まさにその為にというのです、観れば今は男子チームの攻勢でかかしがバッターボックスに立ってオズマとドロシーのバッテリーと勝負しています。
 オズマは奇麗な左のアンダースローで投げています、そのボールは独特のノビでかなり打ちにくそうです。
 そのボールも観ながらです、ボームさんはお話します。
「そうしたこともね」
「決めてるんですね」
「今オズマ姫はボールを投げたけれど」
「ちゃんとボールと判定されていますね」
「例えオズの国の国家元首の投げたものでもね」
「ボールにですね」
「なるんだ」
 そうだというのです。
「ボールならね」
「ちゃんとしたジャッジが行われて」
「そうだよ、オズマ姫は誰でもね」
「公平な人ですね」
「だから自分のことでもだよ」
「公平にですね」
「そして正確にジャッジしてもらうことがね」
 それこそがというのです。
「好きなんだ」
「それで野村さんもですね」
「そうした人だからね」
「正確で公平にですね」
「ジャッジしているんだ」
「そうなんですね、フォアボールになりましたけれど」 
 オズマは自分の投げたボールがそうなって少ししまったという感じです、そのうえで次のバッターである樵をバッターボックスに迎えています。
「ちゃんとしたジャッジですね」
「オズマ姫も納得しているね」
「あのしまったというお顔を見ますと」
「自分のミスを認めているね」
「そうしたものですね」
「そうだよ、ちなみにオズマ姫は右でも投げられるんだ」
 今は左で投げているけれど、というのです。
「両利きなんだ」
「そうなんですね」
「だから左でも右でもね」
 両方でというのです。
「投げられるんだ」
「そうした人でしたか」
「書くことも持つことも」
 どちらでもというのです。
「出来るんだ」
「本当に両利きですね」
「そうした人なんだ」
 言いながらです。
 オズマのピッチングを観ています、それはしっかりとしていて。
 ドロシーとの息も合っています、かかしにフォアボールを出しましたが樵に対してはすぐにツーストライクと追い込んで。
 三振に取りました、樵の豪快なスイングは虚しく空を切っただけでした。 
 それを見てです、ボームさんは言いました。
「それでああしてね」
「いいピッチングをされるんですね」
「バスケットもバレーも得意だし」
 それにというのです。
「陸上競技や水泳もね」
「得意ですか」
「そうなんだ、特にドロシー嬢と一緒だと」
 それならというのです。
「ああしてね」
「特にですね」
「凄いからね」
「息が合っていて」
「それでなんだ」   
 その為にというのです。
「二人だとね」
「お一人の時よりもですね」
「さらにね」
「凄くなるんですね」
「そしてドロシー嬢もだよ」
 彼女もというのです。
「オズマ姫と一緒ならね」
「普段以上に凄いんですね」
「二人はオズの国と言えばの娘達だね」
「はい」
 神宝もその通りだと答えます。
「本当に」
「それだけに王宮ではいつも一緒にいてとても仲がよくて」
「波長も合ってますね」
「お互いのこともよく知っていてね」 
 そうしてというのです。
「確かな絆があるから」
「お二人だとですね」
「一と一を足したら二になるけれど」
 それでもというのです。
「それが三にも四にもなるんだよ」
「そう、人と人の関係はそうなのだよ」 
 ムシノスケ教授も言います、勿論この人も阪神の縦縞のユニフォーム姿でとても似合っています。このチームのユニフォームは誰でも格好良く見せてくれるので。
「一と一を足してね」
「二にはならないね」
「その相性や絆でだよ」
「三にも四にもなるね」
「そうしたものだよ、数学ではわからない」
「そうしたものだね」
「それを知って理解してね」
 そうしてというのです。
「活用することもだよ」
「学問だね」
「そう、そして彼女達がバッテリーを組んでいるから」
 それでというのです。
「私達は勝つことは難しいだろうね」
「そうだね、けれど勝敗はスポーツでは常だし」
「問題は楽しんで行うかどうかだよ」
「では楽しんでいこう」
「勝利を目指しても」
「それよりもね」
「楽しんでいこう」
 こうお話してでした。
 皆で野球をしていきます、野球はお昼ご飯の時まで合わせて二試合しました。オズマとドロシーのバッテリーは凄くてです。
 男子チームは二試合共一点も取ることが出来ませんでした、ですが。
 男性陣も頑張って女子そして生きものチームに一点もあげませんでした、かかしと樵のバッテリーも奮闘してでした。
 試合を終えてお昼ご飯の時にです、オズマは笑顔で言いました。
「いや、いい試合だったわね」
「正直負けると思ったけれどね」
 モジャボロが応えました、皆後片付けをしてユニフォームから普段着に着替えています。そのうえで王宮の食堂で食べています。
「かかし君と樵君が頑張ってくれてね」
「それでだったわね」
「一点も取らせなかったから」
 だからだというのです。
「勝てたよ」
「そうよね」
「いい投手戦だったよ」
「私もそう思うわ」
「お互い満足しているね」
「勝ちたかったけれど」
 それでもとです、オズマは答えました。
「いい試合で楽しめたわ」
「だからだね」
「満足しているわ」
「そうだよね」
「いい試合なら」
 それならというのです。
「やっぱりね」
「それが一番だね」
「そして楽しめたら」
「それが何よりだよ」
「本当にね」
「いい試合だったから」
 ボームさんも言います。
「いい感じにお腹も空いてるよ」
「よく身体も動かしたし」
「美味しいご飯を食べられるよ」
「本当にね」
「いや、今日のお昼も凄いよ」
 キャプテンは目の前のスパゲティを前にして言います、スパゲティの隣にはレタスとトマト、キュウリ、グレープフルーツとパイナップルのサラダがあります。
「物凄い量のスパゲティだね」
「はい、今日はです」  
 ジュリアが応えます。
「サラダとです」
「スパゲティのメニューでだね」
「そのスパゲティですが」
「蟹とトマトとクリームだね」
「そちらです」
「かなり濃厚な感じがするね」
 そのスパゲティを見ての言葉です。
「これはまた」
「とても美味しそうですね」
「全くだよ、ではね」
「これからですね」
「食べようね」
「はい、皆さんで」
 ジュリアも笑顔で応えてでした。
 スパゲティを食べはじめます、すると。
 実際に美味しくて皆舌鼓を打ちました。
「これはいいね」
「最高ね」 
 ベッツイとトロットが笑顔でお話します。
「幾らでも食べられるわ」
「本当にそうね」
「それじゃあジュースも飲みましょう」
「そうしましょう」
「ジュースは葡萄ね」
「それがいいわね」
「サラダもあるし」
 ベッツイはこちらのお話もしました。
「そちらも食べましょう」
「こちらも美味しそうだしね」
「実際に美味しいよ」
 ハンクが言ってきました。
「サラダもね」
「そうなのね」
「だから沢山食べて」
「そうしてなのね」
「午後も楽しむよ」 
 そうするというのです。
「是非ね」
「そうね、じゃあ私もね」
 ベッツイも笑顔で言いました。
「午後もね」
「楽しむね」
「ええ、ただ何をしようかしら」
 ベッツイはここで考えました。
「午前中は野球をしたけれど」
「午後は午後でね」
「一体何をしようかしら」
「そうね、午後は読書かしら」
「読書なの」
「読書会をしてね」
 そうしてというのです。
「お茶を飲みながらね」
「本を読んでいくのね」
「昨日漫画家さんのお話をしたわね」
「あの猫型ロボットの」
「そのお話もしたけれど」
「漫画を読むこともなのね」
「してね」
 その読書の中でというのです。
「くつろいで過ごすのはどうかしら、ゲームをしてもいいし」
「どんなゲームでもいいのね」
「ボードゲームでもテレビゲームでもね」
「スマートフォンでもいいのね」
「それぞれが好きなゲームをね」
 読書と一緒にというのです。
「してもいいわよ」
「そうなのね」
「兎に角ね」
「午後はそうしてなのね」
「過ごすのはどうかしら」
「静かな休憩ね」
「それをしてね」
 そのうえでというのです。
「楽しむのはどうかしら」
「それもいいわね、午前中は身体を動かしたし」
「それならでしょ」
「午後はゆっくりね」
「そうして楽しみましょう」
「わかったわ、それじゃあね」
「あと明日だけれど」
 オズマは次の日のこともお話しました。
「お芝居があるから」
「お芝居なの」
「王宮でね、それも幾つもね」
「それでそのお芝居を観てなのね」
「ミュージカルもあるから」
 そちらもというのだ。
「そうしたものを観てね」
「過ごして」
「楽しむのね」
「そうしましょう」
「わかったわ」
 ベッツイはオズマの言葉に笑顔で頷きました、そのうえで。
 午後は皆で王宮の憩いの部屋で漫画や小説を読んでゲームをして過ごしました、その中でボームさんはといいますと。
 ファミリーコンピューターで遊んでいました、かかしと樵はそのボームさんを見て笑顔で言ってきました。
「また懐かしいもので遊んでいるね」
「そうだね、随分久し振りに観たよ」
 二人でこう言います。
「このゲーム機はね」
「僕達も随分遊んだね」
「そうだったね」
「色々なソフトがあってね」
「楽しかったね」
「それからスーパーファミリーコンピューターや64が出て」
「スイッチもあるね」
 二人でさらにお話します。
「それにプレイステーション」
「5まで出ているね」
「どれも楽しいね」
「そうだね」
「しかしまた凄く懐かしいよ」
 大尉も笑顔で言います。
「ファミコンなんてね」
「そうだね、今観ると画面もまだまだでね」
「操作も拙いけれど」
「それでもだね」
「面白いね」
「そうなんだよね、しかしボームさんは今もなんだ」
 大尉はボームさんを観ながら言いました。
「ファミコンをしているんだ」
「僕も暫く振りにするよ」
 ボームさんはプレイしながら笑顔で応えました。
「実はね」
「そうなんだね」
「時々したくなってね」
「遊んでいるんだね」
「そうしているんだ、そしてしてみると」 
 これがというのです。
「とてもね」
「楽しいんだね」
「そうなんだ」
 こう言うのでした。
「懐かしい感じもしてね」
「それはあるね」
 大尉もそれはと答えました。
「実際に」
「そうだよね」
「そしてシンプルでいてね」 
「それがかえってかな」
「面白いんだ」
「今観たら本当に何でもないゲームよね」
 つぎはぎ娘もプレイを観つつ言います。
「ちょっとした時間で出来る様な」
「そうしたゲームだけれどね」
「それがかえってなのね」
「面白いんだ、原点だよ」
「ゲームのよね」
「それがあるからね」 
 だからだというのです。
「シンプルでいてね」
「プレイしていても」
「とても楽しいよ」
「あの、そのゲームって」
 ナターシャはクールですが驚きを隠せない感じでした、そうして言うのでした。
「何かもう」
「ゲームの中にちょっとある感じのゲームですね」
 カルロスはこう言いました。
「ほんの小さな」
「昔はそうしたゲームだったんですね」
 ジョージは驚きを隠せない感じでした。
「僕達のお父さんやお母さんが子供の頃の」
「こうしたゲームをお父さんやお母さんがしていて」 
 恵梨香もご両親のことを思いました。
「そうしてなんですね」
「一画面だけで」
 神宝はゲームの内容を観ました。
「その中で敵キャラをかわしてゴールするんですね」
「そうだよ、パックマンっていうね」
 ボームさんはプレイしているそのゲームのタイトルも言いました。
「僕は最初観た時にとても驚いたゲームなんだ」
「驚かれたんですか」
「そのゲームをご覧になって」
「それで、ですか」
「今プレイされてるんですか」
「久し振りに」
「そうなんだ、オズの国に入ってテレビを観て驚いて」
 そうしてというのです。
「その後でね」
「さらにですか」
「テレビゲームも観られて」
「そしてプレイされて」
「そうしてですか」
「さらに驚かれたんですか」
「そして他のソフトもね」
 そちらもというのです。
「やってみて僕はファミコンが大好きになったんだ」
「今思うとかなり昔のことだね」
 魔法使いは笑顔で言いました。
「本当に」
「そうだよね」
「あの時はこんな凄いものがあるんだってね」
「オズの国はここまで素晴らしいものが出来たのか」
「外の世界でもね」
 観ればそのファミコンは外の世界とはかなり違います、操作は手に凄く馴染んでいてとても動かしやすくキャラクターはこちらの思い通りに動いてくれます。しかも画面はテレビから浮き出ていてホノグラフィーになっています。
「こんなものがあるのか」
「そう思ったよね」
「そう思ってね」
「どれだけ感激したか」
「それがだよ」
 キャプテンも言ってきました。
「そこからスーパーファミコンも出て」
「そうそう、遥かに凄くなってね」
「どんどん凄いソフトやゲーム機が出て来て」
「今はもうね」 
 ボームさんは笑顔で応えました。
「このファミコンから観たら」
「夢みたいだね」
「そこまでのものだね」
「全くだよ」
「これ以上はないと思っても」
 ドロシーも言います。
「それでもね」
「どんどん凄くなるわね」
 トロットがドロシーに応えました。
「ゲームも」
「そうよね」
「あらゆるものがどんどん進歩してね」
「よくなっていくのね」
「それも際限なくでね」
「これ以上はないっていうことこそない」
「そうよね」
 二人もこう言います。
「そうしたものね」
「あらゆるものが」
「いや、本当だね」
 トトは二人のその言葉に頷きました。
「何でもこれでもう限界はないってないよ」
「絶対にそれ以上進歩してね」 
 エリカがトトに応えました。
「凄くなるわね」
「全くだね」
「このテレビにしてもだよ」
 ムシノスケ教授はボームさんがファミコンをつないでいるそれを見ています、そのうえでお話します。
「最初出て来て凄いと思ったね」
「科学と魔法の粋だってね」
 モジャボロが応えます。
「僕達は素晴らしいものに出会ったってね」
「思ったね」
「映画を普通に何時でも自宅で観られる」
「そうなったとね」
「あの時は嬉しかったよ」
「しかしそれが」 
 教授は目を喜ばせてお話しました。
「白黒がカラーテレビになったね」
「それもすぐにね」
「そしてテレビ自体も画面がどんどん大きくなって」
「軽くなっていってね」
「そこもだよ」
 まさにというのです。
「変わったよ」
「そうだね」
「進化したんだよ」
「今ではコメントも書き込めるからね」
 弟さんはオズの国のテレビの機能のお話もしました。
「それぞれの番組で」
「そうなっているね」
「インターネットの動画サイトでも観られるし」
「本当に変わったよ」
「そうしてだよ」
「何でもどんどん変わっていくね」
「進化するんだよ」 
 まさにというのです。
「オズの国ではね」
「その通りだね、そしてファミコンも」
「今ではプレイステーション5だよ」
「それに至っているね」
「うん、けれどそのファミコンも今観てみると」
 そのプレイをです。
「面白いね」
「全くだね」
「本当に今観ると何でもないわね」
 ビリーナはまずは少し辛口に言いました。
「こんなの全然凄くないわ」
「ええ、子供でも作れる位で簡単にクリア出来る」
 ガラスの猫も言います。
「そんなものね」
「そうよね、けれどね」
「それがなのよね」
「やってみると面白いのよね」
「実際にね」
「面白さの原点があるんだね」
 ジャックはこう言いました。
「要するに」
「そうだね、だから面白いんだよ」
 木挽きの馬も応えます。
「ファミコンのゲームは」
「色々なソフトがあるけれどね」
「面白いものが多いんだよ」
「そうだよね」
「しかしボームさん上手だね」
 ハンクはボームさんのプレイを観て言いました。
「すいすいクリアしていってるよ」
「敵のーー避け方がーー上手ーーです」
 チクタクもプレイを観て言います。
「見切ってーーいますーーね」
「ゲームは好きだしね」
 ボームさんはプレイを続けつつ答えました。
「このゲームも随分やってきているし」
「それでなんだ」
「お上手ーーなんーーですーーね」
「そうだよ、このままプレイしてって」
 そうしてというのです。
「ハイスコアを更新しようかな」
「いや、オズの国のゲームは電源切っても得点残るしね」
「どんなゲームもセーブとコンテニュー出来るからね」
「終わったところから自由にはじめられるし」
「そこもいいよね」 
 臆病ライオンと腹ペコタイガーもお話します。
「本当にね」
「何かとね」
「そこは外の世界と違うみたいだね」
 ボームさんは言いました。
「ファミコンの最初の頃は」
「あっ、何か復活の呪文とかあったらしいね」
「パスワードとかね」
「それを入力してセーブしたところからプレイする」
「そうだったらしいわね」
「ファミコンの頃は」
「それすらなくてね」
 ファミコンの最初の頃はというのです。
「外の世界は大変だったらしいね」
「一々最初からで」
「電源落としたら得点の記録も消えて」
「それで、ですね」
「ファミコンの最初の頃は大変だったんですね」
「そうしたものだったから」
「けれどオズの国ではだよ」 
 外の世界とは違ってというのです、このことも含めて。
「そこも違うよ、そして今のハードもね」
「外の世界より凄いんですね」
「科学に加えて魔法もあるから」
「外の世界のハードより充実していて」
「楽しめて」
「そしてバックアップもしっかりしているんですね」
「格闘ゲームの必殺技も楽に出せたしね」
 外の世界のものよりです。
「ナビゲーションがあっておかしなことになりそうだったら注意してくれるし」
「それは凄いですね」
「必殺技って出しにくい技多いですし」
「コントローラー一回転させて出すとか」
「二回転の技もあって」
「出しにくい技もありますね」
「それがもう楽になんだ」
 どんなコマンド入力の技でもというのです。
「出せるんだ」
「それいいですね」
「ゲーマーの人も大喜びですね」
「そんな機能があったら」
「それなら」
「素晴らしいですね」
「それがオズの国のテレビゲームなんだ」
 そうなっているというのです。
「そうしたことまでなんだ」
「充実していて」
「楽しくプレイ出来るんですね」
「それがオズの国のテレビゲームですか」
「それは凄いですね」
「流石オズの国ですね」
「そうだね、さてパックマンはこれ位にして」
 ボームさんは一面クリアーして言いました。
「次は忍者くんをしようかな」
「おや、またいいゲームをするね」
「今度はそれなんだね」
 かかしと樵はボームさんがセーブをしてプレイを一旦終えてそのソフトをセットしようとしているのを見て応えました。
「そのゲームも面白いね」
「そうだね」
「何でも外の世界のファミコン版では敵は五種類だけだったらしいね」
「けれどこちらのでは八種類全部出てね」
「ゲームセンターのものと同じでね」
「そこもいいっていうね」
「それをしてね」
 そうしてとです、ボームさんはかかしと樵に答えました。
「楽しむよ」
「それはいいね」
「では是非楽しんでね」
「忍者くんもね」
「そうしてね」
「そうさせてもらうよ」 
 ボームさんは実際にでした。
 そのゲームも楽しんでいきます、すると。
 このゲームもすいすい進んでいきます、目にも止まらぬ動きで敵キャラをどんどんやっつけていって。見ればやっつけられた敵は死なないで白旗を挙げてその場に残っています。どうもそこは外の世界のものと違うみたいです。
 どんどん色々な敵を倒していって進んでいきますが。黒子みたいな敵だけでなく。
 達磨みたいな敵も歌舞伎みたいな敵も雷様みたいな敵も獅子舞みたいな敵も骸骨みたいな敵も蜥蜴みたいな敵もです。
 白旗を挙げさせるその中で、でした。
 日本の鎧兜で身体を覆った敵が出て来ました、するとです。
 それまですいすい進んでいたボームさんの動きが鈍くなってでした。
 敵に体当たりをして気絶させてから攻撃をする様になりました、神宝達五人はこのことに首を傾げさせました。
「あれっ、何かね」
「この敵は絶対に気絶させてるね」
「そうしてからやっつけてるね」
「白旗掲げさせてるわね」
「どうしてかしら」
「この敵はそうじゃないとやっつけられないんだ」
 ボームさんが五人に答えました。
「これまでは普通の攻撃でやっつけらてもね」
「気絶させないとですか」
「やっつけられないんですか」
「だからなんですね」
「絶対に体当たりをしてですね」
「やっつけてるんですね」
「そうだよ、そしてこのキャラの攻撃はね」
 それはといいますと。
「弓矢を放って来るけれど」
「あっ、今撃ってきましたね」
「物凄い速さで出してますね」
「まるでビームです」
「こんなの中々よけられないですよ」
「同じライン上にいたら」
「だから攻撃させるよりも先に攻撃しないといけないけれど」
 その攻撃をジャンプで避けながら言います。
「気絶させないとやっつけられないからね」
「手強いんですね」
「こんな強い敵いるんですね」
「そのゲームには」
「そしてファミコンには」
「そうなんですね」
「そうだよ、僕が知ってる敵キャラの中でも屈指の強さだよ」
 そこまでだというのです。
「あらゆるゲームの中でもね」
「そんなのが何人もいますね」
「これは難しいですよ」
「僕達もこんな強い敵はじめて観ました」
「強過ぎます」
「ボスキャラ並じゃないですか」
「そう、だから僕も慎重にプレイしているんだ」
 そうした敵が何人もいるからだというのです。
「本当にね」
「そういうことですね」
「あんまりにも強いから」
「だからこそですね」
「警戒して」
「そうしてですね」
「そうだよ、こんな強い敵はそうそういないよ」
 本当にというのです。
「よくこんな強い敵作ったものだよ」
「それ皆言うのよね」 
 オズマもボームさんのプレイを観て言います。
「本当に」
「これは強過ぎるとだね」
「ええ、私もね」
 オズマ自身もです。
「このゲームプレイしてね」
「この敵と戦ったことはあるね」
「けれどね」
 それでもというのです。
「私は全然勝てなかったわ」
「そうだったんだね」
「気絶させないとやっつけられないから」
 だからだというのです。
「とてもね」
「しかもその攻撃だから」
「用心しているんだ」
「攻防が凄いのね」
「うん、いつもここで動きが鈍くなるんだ」
 ボームさんも自覚しています。
「けれどそれでもだよ」
「ステージを進めていくのね」
「そうしていくよ、やっつけていってね」
「そして午後を過ごすのね」
「そうしていくよ」
 ボームさんは微笑んで、です。
 ゲームをプレイしていきます、その強敵もやっつけながら。そのうえでかなりのハイスコアを記録しました。休日はその様にして過ごされるのでした。








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