『オズのボームさん』




             第一幕  王室歴史編纂室長

 神宝達五人が今回もオズの国に来た時にです、エメラルドの都の宮殿に出て来た彼等を最初に迎えたのはトトでした。
 トトは宮殿の正門の前に出て来た五人の目の前にいました、そうして五人を見ると嬉しそうに言ってきました。
「君達が今来るって聞いてね」
「それでなんだ」
「ここで待っていてくれたんだ」
「そうなんだ」
「ここで待っていてくれたのね」
「そうなのね」
「そうだよ」 
 五人の子供達に笑顔で答えました。
「ちょっと今ドロシーは手が離せなくてね」
「だからなんだ」
「そう、だからね」
 その為にとです、トトは神宝に答えました。
「今手が空いている僕が迎えに来たんだ」
「そうしてくれたんだね」
「僕は手はないけれどね」
「犬は四本共足だからだね」
「そうだよ、だからね」
 そうした身体の仕組みだからだとです、トトは神宝に笑って答えました。
「僕は手がないよ」
「犬はそうだね」
「猫もだね」
「そうそう、人間や猿以外の生きものはね」
「四本足かね」
「鰭になっていたりするね」
「そして鳥は翼だよ」
 二本の足にというのです。
「そうなっているよ」
「そこが違うね」
「そうだよ、それでだけれど」
 トトは五人にあらためて言ってきました。
「まずは宮殿に入ってね」
「そうしていいんだね」
「今から宮殿の中に入っていんだね」
「君がいいって言ってくれたから」
「そうしてよね」
「今回も宮殿の中で楽しんでいいのね」
「そうだよ、じゃあ入ってね」
 こう言ってでした。
 トトは五人を宮殿の中に入れました、そうして一緒に宮殿の中を歩きますが神宝は先頭を行くトトに尋ねました。
「ちょっといいかな」
「どうしたのかな」
「ドロシーさんは今手が離せないんだね」
「今宮殿にいる主な人達は皆ね」
 トトは神宝に前を歩きつつお顔を向けて答えました。
「ボームさんのお手伝いをしていてね」
「ボームさんっていうとあの」
「そう、ライマン=フランク=ボームさんだよ」
「あの人だね」
「オズの国のお話を最初に外の世界に伝えてくれた人でね」
「王室の歴史編纂室長だね」
「今もその役職にある人だよ」
 まさにその人だというのです。
「その人の資料の整頓にね」
「皆でなんだ」
「ボームさんのお手伝いをしていてね」
「忙しいんだね」
「オズの国の歴史も長くてね」
 そうしてというのです。
「色々な出来事が起こっているからね」
「記録するべきことが多いんだね」
「もうこの大陸にいる何億もの人達が紡ぎ出しているから」
「凄い歴史なんだね」
「そう、だからね」 
 その為にというのです。
「その資料もね」
「かなりのものになるんだね」
「王宮の図書館でもね」
 そこでもというのです。
「かなりの割合がなんだ」
「飼料を占めているんだ」
「そう、オズの国の歴史についての文献や」
「他の資料でなんだ」
「一杯なんだ、そして今は皆その図書館でね」
「ボームさんのお手伝いをしてなんだ」
「整頓をしているんだ」
 こうお話しました。
「だから今自由に動けるのは僕だけでね」
「案内してくれたんだね」
「そうだよ、それでこれからどうしようか」
 トトは自分から言いました。
「一体ね」
「とはいってもいるのは僕達とトトだけだから」
 神宝が応えました。
「限られるね」
「じゃあこの顔触れで遊びましょう」
 ナターシャが提案しました。
「王宮のお庭でね」
「そうだね、ボールを投げたり追いかけっこをしたりしてね」
 カルロスも言ってきました。
「色々して遊ぼう」
「かくれんぼもいいしだるまさんが転んだもいいし」 
 ジョージも言います。
「ブランコや滑り台のあるところに行ってもいいね」
「遊ぶ場所は一杯あるし」
 恵梨香は王宮の中を思い出しつつ言いました。
「遊び方も色々出来るわ」
「そうだね、じゃあ皆のお仕事が終わるまではこのメンバーでお庭で遊ぼう」 
 トトは五人のお話に頷いて応えました。
「そうしよう」
「それじゃあね」
「今からね」
「このメンバーで遊ぼう」
「そうしよう」
「皆でね」
 こうお話してでした。
 皆でお庭に行ってそのうえで、でした。
 かくれんぼやボールの投げ合い、追いかけっこ、けんけんやブランコで遊びました。そうしているとあっという間にでした。
 夕方になりました、するとです。 
 皆のところにドロシーが来て言ってきました。
「今回もいらっしゃい、けれどね」
「はい、これまでですね」
「お仕事をされていて」
「それで、ですね」
「今日はですね」
「夕方までは」
「貴方達と会えなかったの、けれどね」 
 それでもというのです。
「今からはね」
「はい、一緒にですね」
「楽しいことが出来ますね」
「何かと」
「それじゃあ今から」
「ドロシーさんもですね」
「一緒に楽しませて、ただね」
 ドロシーは皆に笑顔で頷いてからこうも言いました。
「今日はもう夕方だから」
「もう遊ぶことは終わりですね」
「その夕方もあと少しで終わります」
「お空もかなり暗くなってきています」
「夜になろうとしています」
「時間が経つのは早いですね」
「ええ、だから晩ご飯を食べて」
 そうしてというのです。
「お風呂に入ってね」
「寝てですね」
「そうしてですね」
「楽しみますね」
「今夜は」
「そうしますね」
「ええ、そうしましょう」
 五人で笑顔で言ってでした。 
 王宮の中に入って食堂においてでした。
 皆で晩ご飯を食べはじめます、今日の晩ご飯は日本のお鍋でしたがドロシーだけでなく今王宮にいる皆が席に着いています。
 そのお鍋を見てです、オズマは目を輝かせて言いました。
「今日は豪勢ね」
「ええ、とてもね」
「豪勢な海鮮鍋よ」
 ベッツイとトロットもそのお鍋を見て笑顔で言います。
「鱈に烏賊に蛸、海老に帆立も入っていて」
「それでね」
「物凄く豪華よね」 
「そこにお葱に白菜、椎茸やしめじも入っていて」
「お豆腐や糸蒟蒻もあって」
「素晴らしいわ」
「こんなお鍋を食べられるなんて」
 笑顔で、です。ドロシーも言いました。
「素敵ね」
「そうですね、何か見ているだけで」
 神宝も言いました。
「涎が出そうですね」
「全くよね、ではね」
「これからですね」
「一緒に食べましょう」
「それじゃあね」 
 笑顔で言ってでした。
 皆でその海鮮鍋を食べます、その皆の中にです。 
 顔中に白い立派なお髭を生やしている男の人がいます、神宝達五人はその人に笑顔で挨拶をしました。
「お久しぶりです」
「またお邪魔しています」
「宜しくお願いします」
「暫くこちらにいますので」
「何かと教えて下さい」
「こちらこそね、僕の名前は知っているね」
 その人は五人に笑顔で応えました。
「そうだよね」
「はい、ボームさんですよね」
「ライマン=フランク=ボームさんですね」
「オズの国のことをはじめて皆に教えてくれた人ですね」
「ずっとそうしてくれて」
「今は王室歴史編纂室長さんですね」
「そうだよ、勿論君達のこともね」 
 ボームさんはお鍋の中にある海の幸やお野菜を食べながら答えました。
「知っていてオズの歴史にもだよ」
「書いていれてるんですか」
「そうなんですか」
「僕達のことも」
「そうしてくれてるんですね」
「オズの国に書き残してくれてるんですね」
「そうだよ、君達もオズの国の大切な市民だからね」 
 それ故にというのです。
「そしてオズの国の冒険者の人達でもあるしね」
「だからですか」
「僕達のことも知っていて」
「それで書いてくれてるんですね」
「歴史に書き残してくれているんですね」
「私達もオズの国の市民で冒険者なので」
「そうだよ、名誉市民ということはね」
 五人はお家は外の世界にあるのでそうなっています、オズの国に住んでいないので名誉市民となるのです。
「お家はオズの国になくても」
「それでもですね」
「オズの国の市民ですね」
「その資格があるんですね」
「オズの国の市民権があって」
「歴史にも書き残してもらえるんですね」
「そうだよ、そして君達はオズの国でいつも素敵な冒険をしているね」
 にこにことしてこのこともお話するのでした。
「そうだね」
「思えば五人共色々な冒険をしているね」 
 オズの魔法使いも言ってきました。
「これまでね」
「そうだね、もう二十回以上冒険をしているね」
 キャプテン=ビルも言います。
「それもお空に海に地中にと」
「そう考えたら素晴らしい冒険者よ」
 つぎはぎ娘は食べていません、ですが雰囲気を見てそれを心の栄養にする為に着席しているのです。
「五人共ね」
「オズのーー国はーー色々なーー場所がーーあります」 
 チクタクもつぎはぎ娘と同じ理由で着席しています。
「それをーー巡られてーーいますーーので」
「五人共もう立派な冒険者よ」
 ドロシーもこう言います。
「本当にね」
「全くだよ、僕も皆と同じ考えだよ」
 トトはドロシーの足下から言いました。
「五人はもう立派な冒険者だよ」
「そうなんだね」
「僕達もう冒険者なんだ」
「ただ旅行をしていただけと思ったら」
「皆と一緒に」
「そうなっていたのね」
「その通りだよ」
 ボームさんが五人に優しく答えました。
「本当にね」
「そうですか、それじゃあですね」
「これからもですね」
「楽しく冒険をしていいですね」
「そうしていいですね」
「皆さんと一緒に」
「勿論だよ、それで今回はどうするのかな」
 ボームさんはお鍋の中のお豆腐を食べながら尋ねました。
「一体」
「またオズの国に行こうとお話しました」
「それで来ました」
「ですが考えていたのはそこまでで」
「これからどうするか」
「それまでは」
「そうなのね、実は今モジャボロさんが弟さんと一緒にウィンキーの国に行っててね」 
 ドロシーが五人の返事を聞いてお話しました。
「臆病ライオンと腹ペコタイガー、エリカにガラスの猫と木挽きの馬も一緒よ」
「ウィンキーに行かれてるんですか」
「実は資料の整頓はかなり大がかりでね」
 それでというのです。
「私とオズマとベッツイ、トロットでお話したけれど」
「オズの国の王女の方々で」
「それでかかしさんと樵さん、ジャックとファイター大尉にもね」
 この人達にもというのです。
「来てもらおうってなって」
「それで、ですか」
「モジャボロさんにはウィンキーに行ってもらってるの」
 弟さん達と、というのです。
「今日か明日には帰って来るわ」
「かかしさん達を連れてですね」
「兎に角今はね」
 どうしてもというのです。
「人手が必要なの」
「オズの国の歴史資料の整頓で、ですか」
「お掃除もしているし」 
 そちらもしているというのです。
「だからね」
「それで、ですか」
「よかったら貴方達もね」
「今回はですね」
「王宮にいてね」
 そうしてというのです。
「私達と一緒に資料を整頓して」
「お掃除をしてですね」
「他のお仕事もしてね」
「楽しむんですね」
「そうしたらどうかしら」
 こう神宝達に言うのでした。
「どうかしら」
「そうですね、ここ暫く王宮にじっといなかったですし」
「エメラルドの都にも」
「それに王室の図書館にも長い間いたことないです」
「それで皆さんがそう言われるなら」
「私達もお手伝いさせて下さい」
「そう言ってくれて何よりよ。それではね」
 オズマはにこりと笑って応えました、そうしてです。
 アルコールの入っていないシャンパンを飲んでから笑顔で言いました。
「明日からはね」
「はい、僕達もですね」
「皆さんと一緒にですね」
「オズの国の歴史勝利の整頓ですね」
「そのお仕事をするんですね」
「お掃除も」
「そうしましょう、ジュリアもいるから」
 オズの国きってのメイドである彼女もというのです。
「お休みの時は遊んで美味しいものを食べて王宮の中を巡りながらね」
「そうしながらですね」
「今回はですね」
「そのお仕事をして」
「そのうえで、ですね」
「楽しむんですね」
「あちこち冒険をして色々な場所を巡ることもオズの国の楽しみ方で」
 そうしてというのです。
「それで、でしょ」
「はい、その場所をずっと楽しむ」
「それもオズの国の楽しみ方ですね」
「本当にそうですね」
「だからですね」
「今回はですね」
「そうして楽しみましょう」
 オズマは満面の笑顔で言いました、そしてです。
 鱈を食べてです、こう言いました。
「本当に美味しい鱈ね」
「そうよね、烏賊も蛸も美味しくて」
「鱈もよね」
「素敵な味よ」
「こんな鱈を食べられて幸せよ」
 オズマは食べながらさらに言いました。
「さっきの海老と帆立もよかったけれどね」
「そちらもよね」
「それと今から蟹もね」
 こちらもというのです。
「入るわよ」
「蟹も入れるの」
「そうなの、もう海の幸がね」
 まさにそれがというのです。
「一通り入っている様な」
「素敵なお鍋ね」
「今日の海鮮鍋はね」
「蟹もなのね、実は私オズの国に来てから」
 ドロシーはオズマににこりとしてお話しました。
「蟹もなのよ」
「好きになったのね」
「カンサスじゃ食べたことなかったわ」
 アメリカのこの州にいた時はというのです。
「見たこともなかったわ、けれどね」
「オズの国に来てからは」
「こうしてよ」
「食べる様になったわね」
「他の海の幸もね、それでお刺身やお寿司も食べる様になって」
 そうしてというのです。
「ブイヤベース、それに海鮮麺や海老餃子、蟹焼売もね」
「中華料理でもよね」
「食べる様になったわ」
「ドロシーもそうなったわね」
「海の幸がこんなに美味しいなんて」
 ドロシーはこうも言いました。
「オズの国に入ってよ」
「知ったことね」
「本当にね」
「アメリカは広いからね」
 ドロシーと同じくこの国からオズの国に来た魔法使いも言います。
「海のない州も多いからね」
「カンサスがまさにそうだったわ」
「そうだったね」
「カルフォルニアからオーストラリアに行く旅の時は食べたわ」
「その時はだね」
「途中でオズの国に行ったけれど」
 オズマやチクタク達とはじめて会った時のことです。
「本当にカンサスではね」
「食べたことがなかったね」
「海を見たことすらなかったわ」
 そうだったというのです。
「ずっとね」
「そしてオズの国に来てだね」
「海もよく見られる様になったわ」
「死の砂漠も海岸にまで至ったしね」
「海岸といってもない部分も多いし」
 死の砂漠もそうなっているのです。
「だからね」
「今はだね」
「海もよく見られる様になって」
「こうして海の幸もね」
「食べられる様になったわ」
「そうよね」
「僕もこんなものは外の世界では食べたことがなかったよ」
 ボームさんも言ってきました、お箸を丁寧に使いながら。
「中華料理は当時のアメリカにも中華街はあったしね」
「その頃からあったんですね」
「うん、それで中華料理も知っていたよ」
 そうだったとです、神宝に答えました。
「僕もね」
「そうだったんですね」
「けれどね」
 それがというのです。
「こうしたお鍋もお寿司もね」
「食べたことがなかったですか」
「日本という国は知っていても」
 それでもというのです。
「名前だけのことだったよ」
「そうでしたか」
「お寿司は僕にとってはとても不思議な食べもので」
 そうしてというのです。
「とても美味しい食べものでもあるよ」
「不思議で美味しい」
「そうしたね」  
 二つの意味を持つというのです。
「食べものだよ」
「お寿司はそうなんですね」
「オズの国にお寿司が入って定着して」
 そうなってというのです。
「僕も嬉しいよ」
「思えばね」
 オズマはここでこう言いました。
「オズの国もボームさんが外に世界にいる時と比べて変わったわ」
「それもかなりね」
 ドロシーも言います。
「変わったわね」
「本当にね」
「色々な人がいる様になったわね」
「あの時と比べても」
「そうよね」
「黒人やアジア系、ヒスパニックの人達も増えて」
 オズの国にです。
「そしてテレビや冷蔵庫、洗濯機が出て」
「パソコンも携帯電話も出て」
「スマートフォンまで出て」
「しかもね」
 ドロシーはさらに言います。
「お料理だって」
「こうした海の幸も普通に食べる様になって」
「中華料理やメキシコ料理も食べる様になって」
「和食も」
 日本のお料理もというのです。
「食べる様になったわ」
「そうよね」
「本当にね」
「オズの国も変わったわ」
「人も大きくなったし」
「あっ、そういえば」
 神宝は人が大きくなったと聞いて言いました。
「オズの国の人達は」
「昔と比べたらね」
「大きくなっていますね」
「私が最初に来た時はね」
「もっと小さかったですね」
「オズの国の人達はね」
「昔は大体一四五センチ位だったのが」
 それ位の背丈だったのにがというのです。
「一七五は普通にありますね」
「三十センチは大きくなったわね」
「そうですよね」
「そのこともね」
「変わりましたね」
「実は昔のアメリカ人も小さかったんだよ」
 ボームさんがここでこう言ってきました。
「というか昔の人達はね」
「小さかったんですね」
「今よりもね」
「そうだったんですね」
「摂っている栄養の関係でね」 
 そのせいでというのです。
「今よりもね」
「小さかったんですね」
「だからだよ」
「オズの国の人達もですね」
「外の世界より小さかったにしても」
「昔の人達は小さくて」
「オズの国の人達もだよ」
 この国の人達もというのです。
「今よりもね」
「小さかったんですね」
「そうだったんだ」
「そういえば」
 ここで恵梨香が言ってきました。
「昔の人達の背丈のお話聞いたら小柄よね」
「江戸時代の日本人はそう言われていたわね」
 ナターシャも言います。
「大人の男の人で一五五センチ位だったって」
「今だと僕達より少し高い位だね」
 カルロスは一五五センチと聞いて言いました。
「小学生でも六年生だとそれ位の人普通にいるよ」
「そう思うと小さいね」 
 ジョージも言います、見れば五人共一五五あるかないか位です。
「昔の人達は」
「そう思うと関羽様は大きいんだね」 
 神宝は今はオズの国にいるこの人のことを思いました、あの威風堂々たる外見で長い立派なお髭を生やしたあの人を。
「二メートルを超えてるし」
「あの人みたいな大きな人は稀だったよ」
 ボームさんも関羽さんについてこう言います。
「昔はね」
「そうなんですね」
「今以上にね」
「そうでしたか」
「それが外の世界の人達も大きくなって」
「アメリカ人もですね」
「オズの国はアメリカが反映される国だからね」
 その為にというのです。
「それでだよ」
「オズの国も大きくなったんですね」
「そうなんだ」
「そういうことなんですね」
「背丈についてはね、そして食べもののお話に戻すけれど」
 あらためてこう言うのでした。
「僕はお寿司が大好きだけれど」
「そのお寿司もですね」
「昔はなかったよ」
「オズの国にもアメリカにも」
「全くね、それが今ではね」
「オズの国でもですね」
「普通に食べられて」
 そうしてというのです。
「とても美味しいね」
「素敵な食べものですね」
「全くだよ、あと中華料理だとね」
 ボームさんは神宝のお国の料理のお話もしました。
「麺も好きだし家鴨料理もね」
「家鴨いいですよね」
「うん、家鴨は卵も美味しいしね」
「ピータンですね」
「そして北京ダッグも」
 このお料理もというのです。
「好きだよ」
「そうなんですね」
「そして小龍包も」
「お好きですか」
「当時から中華街はあったけれどね」
 アメリカにもです。
「こんなに定着はしていなかったよ」
「そうだったんですね」
「中国系の人達も少なかったね」
 ボームさんが外の世界にいた頃はというのです。
「勿論日系人の人達もね」
「当時のアメリカではですね」
「オズの国でも昔はアジア系の人ずっと少なかったのよ」 
 ベッツイが言ってきました。
「本当に」
「そうそう、もう会えたらね」
 驢馬のハンクも言います、彼もこの場にいます。
「珍しいっていう位にね」
「少なかったわ」
「今は結構会えるけれど」
「昔はね」
「違ったわ」
「アメリカも変わったんだ、僕がいた頃はイギリス系が主流でも」 
 ボームさんはまた言いました。
「イングランド系でスコットランド系やウエールズ系は主流じゃなかったよ」
「アイスランド系の人達も」
 トロットも言います。
「主流じゃなかったわね」
「まさかアイルランド系の人が大統領になるなんて」
「思わなかったわね」
「外の世界でね」
「私も驚いたわ」
「そうだね」
「あっ、ケネディさんですね」 
 神宝はアイルランド系の大統領と聞いてすぐにこの人だとわかりました。
「そうですね」
「あの人アイルランド系だったね」
「それでカトリックだったね」
「実はそのことで有名なのよね」
「アメリカでは特にね」
 ジョージ達四人も言います。
「それまでプロテスタントの人達ばかりで」
「大統領になるのは」
「そのことも話題になって」
「注目されたんだったね」
「うん、オズの国でもキリスト教はあるよ」 
 ボームさんは宗教のお話もします。
「元々のオズの神々がオズの国の色々なものを司っている中でね」
「キリスト教が存在していて」
「他の宗教も存在していますね」
「そしてあらゆる神々も」
「エジプトやギリシアの神々も」
「皆オズの国にいますね」
「そう、けれどね」
 それでもというのです。
「キリスト教も存在していて昔はオズの国のキリスト教は」
「アメリカが反映されるので」
「プロテスタントが主流だったんですね」
「ボームさんが外の世界におられた頃も」
「そうだったんですね」
「あの頃は」
「そうだよ、けれど今はカトリックの人も増えて」
 オズの国のキリスト教を信じる人はです。
「正教の人もいるね」
「そうですよね」
「イコンも見ますし」
「それで正教の教会もあって」
「皆参拝していますね」
「聖職者の人達もいますし」
「そうなったんだ、オズの国は変わったよ」 
 ボームさんはまたこう言いました。
「お伽の国のままでね」
「そう、お伽の国であることは変わっていないよ」
 魔法使いも言ってきました。
「オズの国はね」
「そのことは変わらないですね」
「絶対にね」
 魔法使いは神宝に日本酒を飲みながら答えます。
「魔法はずっと存在し続けるよ」
「そこは変わらないですね」
「色々な人がいて色々な場所がある」
「不思議に満ちていることはですね」
「変わらないよ」
 このことはというのです。
「絶対にね」
「そうなんですね」
「お伽の国だからね」
 それ故にというのです。
「このことはね」
「変わらないですね」
「永遠にね」
「そのうえで変わっていくんですね」
「オズの国は徐々にね」
 まさにというのです。
「変わっていっていくんだ」
「お伽の国のまま」
「そうなっていくんだ」
「それがオズの国なんですね」
「だからこそ素敵な国なんだ」
「そうですよね」
「あらゆるところに不思議があるからね」
 それでというのです。
「本当にね」
「僕はこの国を知って幸せだよ」
 心からです、ボームさんは言いました。
「今もそう思うよ、そしてこの国に来られて」
「それで、ですね」
「尚更幸せだよ」
「じゃあ今はずっと」
「そう、幸せを感じない時はないよ」
 オズの国に来てからはというのです。
「外の世界にいた時の最後はね」
「その時はですね」
「確かオズの国に行けるって言われましたね」
「そうでしたね」
「まさにその時に」
「それでこの国に来られたんでしたね」
「そうだったんだ、あの時目を閉じてね」
 一旦そうしてとです、ボームさんは海老を食べながら神宝達五人にお話しました。その時のことを思い出しながら。
「目を開いたら」
「その時にだったんですね」
「オズの国に来られていたんですね」
「この国に」
「本当に来られたんですね」
「そうだったんですね」
「そうだよ、そして今もだよ」
 まさにというのです。
「この国にいるんだ」
「私達皆で待っていたの」
 オズマは帆立を食べながらにこりと笑って言いました。
「ボームさんがこの国に来ることを」
「そう言ってもらって何よりでした」 
 ボームさんもオズマにお顔を向けて答えます。
「本当に」
「私達も待っていて」
「私も待っていまして」
「それでよね」
「はい、実際に来られて」
 そうなってというのです。
「どれだけ嬉しかったか」
「私達もだったわ」
「だってボームさんがいなかったら」
 ドロシーも言います。
「誰が最初に私達のお話を外の世界に伝えてくれたか」
「わからなかったわね」
「そう、だからね」 
 オズマに応えて言います。
「ボームさんにはどれだけ感謝しても足りないわ」
「本当にそうよね」
「そのボームさんが来てくれて」
「本当に嬉しかったわ」
「ボームさんはオズの国の名士であり恩人よ」
「私達のことを皆に教えてくれたね」
「いや、わしのことが書かれるなんて」
 キャプテン=ビルも言います。
「嘘みたいだよ」
「そうよね」
「私達もよ」
 ベッツイとトロットはキャプテンの言葉に頷きました。
「まさか私達のことも書かれるなんて」
「一体何があったか」
「そして外の世界の皆に知ってもらえるなんて」
「嘘みたいよ」
「そうしてくれた恩人だよ」
 キャプテンはまた言いました。
「ボームさんはね」
「オズの国の歴史はボームさんなくしてなしですね」
 神宝はここまで聞いて言いました。
「そうですね」
「その通りよ」
 ドロシーは蟹を手にしながらにこりと笑って答えました。
「オズの国の歴史編纂はね」
「ボームさんなくしてですね」
「語れないわ」
「そうですよね」
「今もオズの歴史を書き残してね」
 そうしてというのです。
「編纂して残してくれてるのよ」
「僕達が知ることが出来る様に」
「ずっとね」
「そのことも凄いですよね」
「素晴らしいことよね」
「本当に」
 ドロシーの言葉にお豆腐を食べながら頷きました。
「そう思います」
「全く以てね」
「そして皆もよ」
 オズマがまた言ってきました。
「今回はね」
「そのボームさんのお手伝いですね」
「この王宮でね」
「そのことも楽しみです」
 神宝は五人を代表してにこりと笑って答えました。
「本当に」
「それは何よりよ。ではね」
「明日からですね」
「皆でお仕事をしてね」
「楽しむんですね」
「そうしましょう」
「それじゃあ」
 また頷いて応えました。
「そうさせてもらいます」
「勿論美味しいものもあるから」
「そちらも楽しみながらですね」
「やっていきましょう」
「その中でお寿司も食べようね」
 ボームさんはこちらもと言いました。
「そうしようね」
「本当にお寿司がお好きですね」
「自分でもそう思うよ」
「それで小龍包も」
「あとお菓子は全部好きだよ」
「甘いものもですか」
「全部ね、それで食べ終わったら」
 その時はというのです。
「いつもね」
「楽しくですね」
「食べているよ」
 そうしているというのです。
「本当にね」
「そうなんですね」
「中国のお菓子もね」
「じゃあ杏仁豆腐は」
「大好きだよ」
 これがボームさんの返事でした。
「物凄く美味しいね」
「そうですよね、杏仁豆腐」
「月餅も好きだしね」
 このお菓子もというのです。
「マンゴープリンや桃饅頭もね」
「そちらもですか」
「うん、マーラーカオもですね」
「僕も全部好きです」
「君もなんだね」
「はい、それでボームさんもですね」
「そうだよ、本当に大好きだよ」  
 実際にというのです。
「中国の甘いものもね。果物もね」
「果物もですか」
「ライチだってね」
「ああ、ライチいいですよね」
「そうだね。ライチ酒もだしね」
「お酒もお好きなんですね」
「そうなんだ、それでライチ酒が好きで」
 そしてというのです。
「杏酒もね」
「あのお酒もですか」
「好きだよ、それとね」
「それと?」
「桂花陳酒もいいね」
「あのワインから造る」
「ワイン自体も好きだしね」
 このこともあってというのです。
「あのお酒もだよ」
「そうですか」
「それで中華料理を食べる時はよく飲むんだ」
 その桂花陳酒もというのです。
「飲みやすいしね」
「それで、ですね」
「ライチ酒や杏酒も飲みやすいと思うよ」
「そうそう、どちらのお酒も甘くてね」
 魔法使いが言ってきました、それも陽気に。
「とても飲みやすいね」
「そうだね」
「私も好きだよ」
「よく一緒に飲むね」
「中国のお酒もね」
「そして今は」
「このお酒だよ」
 魔法使いは日本酒を手に笑顔で言いました。
「楽しく飲んでいるよ」
「実に美味しく」
「そうしているよ」
「さて、今日はね」
 またオズマが言ってきました。
「後はお風呂に入ってね」
「休みますね」
「そうしてね、明日からね」 
「お仕事ですね」
「図書館でね」
 王宮のそこでとです、オズマは神宝に答えました。
「そうなるわ」
「そうですよね」
「明日からのことも楽しみにしておいてね」
「そうさせてもらいます」
 神宝はにこりと笑って答えました。
「是非」
「一体どうなるか」
「これから楽しみです」
「そうした気持ちで一杯です」
「明日からのことを思うと」
「それだけで」
 五人で言います。
「最近王宮に長い間いませんでしたし」
「王宮もじっくり観て回れますし」
「王宮のお料理も楽しみです」
「この中で遊ぶことも」
「全部楽しみです」
「なら是非楽しんでね」
 オズマは五人の期待を聞いてこう答えました。
「私達も満喫出来る様にするわ」
「王宮がどれだけ楽しい場所か」
「五人共久し振りに味わってね」
「そうしてね」
 ドロシーとトロット、ベッツイもこう言います。
「今回はね」
「そしてそのうえでね」
「一緒にお仕事しましょう」
「それとだけれど」
 オズマがまた言います。
「五人共それぞれの寝室を用意したわ」
「そうなんですね」
「僕達それぞれのですか」
「寝室まであるんですね」
「それを用意してくれたんですね」
「そこまでしてくれたんですね」
「客室に入って」 
 王宮のというのです。
「休んでね」
「わかりました」
「そうさせてもらいます」
「それではですね」
「楽しいお仕事をさせてもらいます」
「明日から」
 五人も応えてでした。 
 皆で今はお鍋を楽しみました、そうしてその後で温かいベッドに入ってそれぞれぐっすりと眠りました。








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