『オズのホボ王子』




                第十一幕  楽しく遊びながら

 リンキティンク王の国に来た一行は王様からお話を聞きました。
「兎に角オズの国の主な人が殆どじゃ」
「今回のパーティーに来てくれるんですね」
「ボボ王子が開かれるパーティーに」
「そうなんですね」
「じゃあ凄いパーティーになりますね」
「そうなりますね」
「そうなるぞ」
 王様はジョージ達五人に笑顔でお話します。
「だからお前さん達も楽しみにしておくことじゃ」
「かかしさんや樵さんが来られて」
「カエルマンさんとクッキーさんもで」
「ジャックも来て」
「クマセンターからもで」
「エブ王家の人達もで」
「他の人達もじゃ」
 彼等もというのです。
「来てくれるぞ、つぎはぎ娘やガラスの猫、魔法使いさんもな」
「うわ、魔法使いさんもですか」
「あの人も来られるですね」
「そしてつぎはぎ娘も」
「ガラスの猫もですか」
「あの人達まで」
「そしてグリンダさん達もでな」
 この人もというのです。
「来てくれる、オズマ姫もドロシー嬢もじゃ」
「お二人はそう聞いていますね」
「お仕事が終わったら来られると」
「だからですね」
「それで、ですね」
「オズの国の名士の人達がですね」
「来てくれるからな、わしも楽しみでじゃ」 
 それでと言ってです。
 王様はその場まで歌って踊りはじめました、五人はその歌と踊りを見て言いました。
「王様も大喜びだね」
「パーティーについて」
「今からそうみたいだね」
「その王様見てるとね」
「私達も何か嬉しくなるわ」
「こんなに喜んでくれるからね」
 ボボ王子もにこりとして言います。
「僕も嬉しいよ」
「この喜び方がいいですよね」
 カルロスも言います。
「全身全霊で、ですから」
「そうだよね、王様の喜び方と来たら」
 神宝はカルロスの言葉に頷きました。
「見ている僕達も賑やかになれるよ」
「自分だけでなく見ている人達も嬉しくさせてくれるなんて」
 恵梨香は思いました。
「素敵ね」
「そうよね、王様は素敵な人よ」
 ナターシャは恵梨香に同意しました。
「とてもね」
「自分の周りを常に明るくしてくれるなんて」 
 ジョージも言いました。
「こんな素敵な人いないよ」
「全くだよ、こうした人だから」
 それでと言う王子でした。
「僕もだよ」
「いつも一緒にいたくて」
「そしておられますね」
「そうなんですね」
「この国に」
「そうなんですね」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「今もいるよ」
「そうなんですね」
「人間に戻られてからも」
「王様とこの国におられて」
「そして明るく賑やかに、ですね」
「過ごしておられますね」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「僕もね」
「その気持ちわかるわ」
 王女は歌とダンスを続ける王様を見つつ王子に応えました、見ればそのダンスはとても軽快なラップダンスです。
「こうした人だからね」
「そうだね、色々やんちゃもするけれど」
「そのやんちゃもなのね」
「愛嬌があってね」
 それでというのです。
「見ていて楽しいからね」
「僕も王様好きだよ」
 ボタンも言ってきました。
「王様はね」
「貴方もなのね」
「だって見ていて楽しいから」
 それでというのです。
「凄くね」
「好きなのね」
「うん、ただ僕は寝たら」
「何処にいくかわからないからよね」
「王様といつも一緒にいられないんだ」
 そうだというのです。
「これがね」
「起きて今いる場所にいることもあれば」
「別の場所にいる時もあるから」
 それでというのです。
「どうしてもね」
「そのことはよね」
「難しいよ」 
 どうにもというのです。
「そうした体質だから」
「考えてみれば不思議なことこの上ないよ」
 モジャボロも思うことでした。
「ボタンが寝ている間に何処に行くかわからないことはね」
「うん、これもお伽の国だからだけれど」
 王子が応えます。
「思えばね」
「不思議なことだね」
「どうしてそうなるか」
「僕もわからないよ」
「誰にもね」
「大体は元の場所にいるけれど」 
 弟さんも言います。
「不意に朝起きたらなんだよね」
「別の場所にいるからね」
「本当に不思議だよ」
「全く以てね」
「魔法なのかな」
 教授も首を傾げさせています。
「これは」
「教授は調べたことがあるのかな」
「実は何度もあるのだよ」
 教授は弟さんに真面目なお顔で答えました。
「何故彼がいつも移動しているか」
「そのことについてだね」
「本当にね」 
 実際にというのです。
「私も興味を抱いて」
「学問としてだね」
「何度も真剣に調べたよ」
「そうしたんだね」
「ボタン本人が大学に来た時もあってね」 
 王立大学にです、尚王立大学は今ではオズの国に幾つもあって他にもそれぞれの国の国立大学も私立大学も沢山あります。
「それで彼の身体検査をしてね」
「調べたんだ」
「レントゲンも撮ったよ」
 そうもしたというのです。
「身体に魔法がかかっているかもね」
「そのこともなんだ」
「調べたよ、けれど」
 それでもというのです。
「結局だよ」
「わからなかったんだ」
「もう何もね」
 それこそというのです。
「他の人と変わったところはないよ」
「そうなんだね」
「本当にわからないよ」
 教授は首を傾げさせて述べました。
「このことは」
「ううん、調べてもわからないんだ」
「それも何度もね」 
 そうしてというのです。
「これがね」
「ほっほっほ、謎の子供じゃな」
 歌と踊りを終えた王様が面白そうに言ってきました。
「これはよいぞ」
「いいんですか」
「面白いではないか」
 王様はジョージに答えました。
「人間謎もあるとその分魅力が増すであろう」
「そうしたものですか」
「そうしたところもあるとな」
「そんなものですか」
「わしはそう思う」
「王様としては」
「そうじゃ、だからな」
 それでというのです。
「わしはボタンが大好きじゃ」
「この子が」
「だからこの国に来たらいつも一緒に遊んでおる」
 そうもしているというのです。
「急に来て急にいなくなるが」
「それでもですね」
「そうしておる」
「そうですか」
「急にいなくなるのも一興じゃ」
 面白いというのです。
「このこともな」
「喜んでくれるなら嬉しいよ」
 ボタンとしてはそうでした。
「それならね」
「そうなのじゃな」
「王様がね」
「ならこれからも喜んでいいか」
「いいよ」
 王様ににこりと笑って答えます。
「そうしてくれてね」
「ではこれからもな」
「うん、喜んでね」
「有り難いことじゃ、それとじゃ」
「それと?」
「これまで何度かボタンのことを歌って踊っておるが」
 それでもというのです。
「今もそうしていいかのう」
「うん、いいよ」
 またこう答えるボタンでした。
「それじゃあね」
「そうさせてもらうぞ」
 王様は早速でした。
 歌って踊ります、その歌は確かにボタンを歌ったもので。
 踊りは今度はヒップホップでした、その歌とダンスが終わってからジョージ達五人はこう言いました。
「いい歌だったね」
「ボタンへの親しみが込められていて」
「ダンスも派手で軽快で」
「どれもよかったわ」
「そうだったわね」
「というか王様って本当に身軽ね」 
 王女が見てもです。
「身体も柔らかいわ」
「リズム感もあってだね」
「身体のバネも凄くて」
 王子にも答えます。
「本当にね」
「見事よ」
「そうだね」
「今回特に身体の柔らかさが目についたわ」
 王様のこのことがというのです。
「凄くね」
「王様身体柔らかいよね」
「もうぐにゃぐにゃしてね」
「蛸みたいだね」
「ええ、そのこともダンスに大きいわね」
「全くだね」
「ほっほっほ、毎日踊っておってな」
 その身体の柔らかい王様の言葉です。
「ストレッチもしておる」
「だから身体が柔らかいのね」
「毎朝と寝る前にダンスの前の準備体操とじゃ」
 それにというのです。
「寝る時もそうしたらよく寝れるからのう」
「ストレッチをしたら」
「それをしてミルクを飲むとじゃ」
 そうすればというのです。
「これがじゃ」
「よく寝られるのね」
「朝までいい夢を見られてな」 
 そうしてというのです。
「ぐっすりじゃ」
「そこまでなのね」
「だからじゃ」
 それでというのです。
「わしはストレッチもじゃ」
「しているのね」
「旅行の時もな」
 この時もというのです。
「まず起きたらな」
「それをして」
「寝る時もな」
 このときもというのです。
「同じじゃ」
「そうなのね」
「旅行の時もわしは歌って踊る」
 だからだというのです。
「そうしておる」
「ストレッチをしてこそ」
「身体がほぐれてあったまってな」
「身体も柔らかくなって」
「いいダンスが出来るのじゃ」
「そうなのね」
「何でもやっていれば自然に上手になるが」
 それでもというのです。
「やはり準備体操はしておくことじゃな」
「そうしたらよく動けるのね」
「オズの国では怪我はないが」
 それでもというのです。
「しっかりとすれば身体がほぐれる」
「そういうことね」
「そうじゃ、では今度はそのストレッチを讃える歌とダンスをするか」
「今度はそちらね」
「うむ、その気分になったからのう」
 だからだというのです。
「それにするか」
「本当に歌とダンスが好きね」
「好きだからする、そしてするからな」
「上手になるのね」
「そういうことじゃよ」
 こう言ってでした。
 王様は今度はストレッチについての歌とダンスを楽しみました、今度はサンバ調のもので歌もそうでした。
 それが終わった時に王様は言いました。
「そろそろお昼じゃな」
「ええ、その時間ですね」
 王子が応えました。
「もう」
「そうじゃな」
「さて、今日のお昼は何か」
「ローストビーフにです」
 王子はまずメインディッシュから答えました。
「鱈のムニエル、マカロニグラタン、ほうれん草とトマトと烏賊のオリーブ炒めに林檎とチーズを生ハムで巻いたものです」
「そうしたものか」
「そしてパン、デザートはパンケーキです」
「パンケーキならじゃ」
 そう聞いてです、王様は目を輝かせて言いました。
「シロップをたっぷりとかけたな」
「それをですか」
「食いたいのう」
「王様はパンケーキはそうですね」
「そうじゃ、たっぷりとな」
 それこそというのです。
「シロップをかけてな」
「そうしてですね」
「うんと甘くして食べる」
「そうされますね」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのです。
「甘い紅茶も飲もう」
「そちらもですね」
「レモンティーをな」
 紅茶はそちらだというのです。
「こちらもうんと甘くして」
「甘いものに甘いもの」
「これが最高じゃ」
 こう言うのでした。
「だからな」
「そちらをですね」
「今から楽しもう」
「では僕は」
 王子はこう言いました。
「今日はパンケーキにはチョコレートをかけて」
「チョコレートか」
「そしてコーヒーにします」
 飲みものはそちらだというのです。
「アメリカンで」
「その組み合わせでか」
「楽しませてもらいます」
「そちらもよいのう、しかしわしは決めた」
「パンケーキにはシロップをたっぷりとかけて」
「そしてレモンティーを飲むとな」
 その様にというのです。
「決めた、だからな」
「それで、ですか」
「わしは今回はそれでいく」
 そうすると決めたからだというのです。
「そして今度パンケーキを食べる時にな」
「チョコレートとアメリカンですか」
「その組み合わせにしよう」
「そうされますか」
「些細なことであるが今はそうすると決めてそうすべき時であろう」
「シェフの人もそう用意してくれますしね」
「ならそうする、だが変えねばならん時はな」
 そうした時はといいますと。
「しっかりとじゃ」
「変えますね」
「そうする」
 そうすると言うのでした。
「決めてもな」
「それが大事に至るなら」
「ワンマンで一度決めたら変えぬのではな」
 それではというのです。
「大変なことにもなるわ」
「取り返しのつかないことに」
「だから人の話も聞くし」
 それにというのです。
「決めたことでもな」
「変えなければいけない時はですね」
「変える、それも王としての務めじゃ」
「はい、そして僕もですね」
 王子も応えて言います。
「この国の政治を預かっているので」
「わしと共にな」
「人の話はしっかり聞いて」
「ワンマンにならずにな」
「そして決めたことも」
「変える」
「そうして取り返しのつかないことをしない」
 絶対にというのです。
「さもないと駄目ですね」
「全くじゃ」
 王様もその通りだと答えます。
「それがわし等の忘れてはならんことの一つじゃ」
「そうですよね」
「それはオズマ姫も同じでじゃ」
「ドロシー王女達にしても」
「そうでなくてはな」
「ここまでいい国にはなっていないです」
「ええ、そのことはね」
 王女も言ってきました。
「何といってもね」
「忘れてはいけないよね」
「ワンマンで一度決めたことを変えないということは」
 このことはといいますと。
「人の話を聞かないで頑迷で自分の間違いを認めない」
「そういうことであるな」
「そんな人はね」
 それこそというのです。
「人の上に立ってはいけないわ」
「そうじゃな」
「そんな人程ミスをして」
「責任を取らんのう」
「絶対にね」
「わしもそう思うぞ」
 王様もです。
「まことにな」
「私も同じ考えよ」
「だからそうはならんな」
「そんな人はオズの国にいないしね」
「うむ、誰一人としてな」
「あえて言うなら前のノーム王ね」 
 かつてのラゲドー氏だというのです。
「あの人はワンマンで」
「一度決めたことは変えなかったのう」
「つまり人の話を聞かないで頑迷でね」
「自分の間違いを認めなかった」
「だからノームの国も大変だったわ」
 そうなっていたというのです。
「本当にね」
「そうであったな」
「けれどカリフ王になって」
「あの人はそこまで悪くないからのう」
「だからね」
「ノームの国もよくなった」
「そうよ、だからそんな人は」
 ワンマンで一度決めたことは変えない、悪い人の場合は人の話を聞かないで頑迷で自分の間違いを認めない人はです。
「人の上に立ってはいけないわ」
「というかそんな人とは関わりたくないね」
 王子はこうも言いました。
「そもそもね」
「大抵の場合は悪い人だから」
「そんな人はね」
「間違ってもトップにしたらいけないし」
 それにというのです。
「関わってもね」
「よくないわね」
「自分の間違いを認めないけれど」
 それでもというのです。
「責任は絶対にあるよ」
「その責任も取るか」
「間違いを認めない人は責任を取らないよ」
 それもしないというのです。
「そうだとすると」
「責任はね」
「他の人に押し付けるよ」
「そうよね」
「それで自分はその場に居座り続けるから」
「関わってはいけないね」
「かつてのノーム王と同じだね」 
 王子もこう思うのでした。
「そうなってはいけないし」
「関わってもね」
「いけないよ、そしてそんな人が大事なのは」
 それは何かといいますと。
「自分だけだよ」
「もう自分以外はね」
「ないわね」
「他人はどうでもよくて」
「自分がどうか」
「そんな人は国もね」
 彼等はというのです。
「大事にしないしね」
「人もその場所も」
「そう、大事にしないで」
「いいことはしないわね」
「自分の為だけに何かをして」
「その人がいる場所は悪くなるわね」
「そうなるしかないよ」
 王子は苦い顔で述べました。
「まさにね」
「絶対にそうね」
「しかしそうした者はどうすればその性根が治るか」
 王様は思いました。
「それは考えないとのう」
「そうですね」
 王子もその通りだと頷きました。
「関わりたくなくても」
「その様な者がおること自体がな」
「よくないことですからね」
「何とかせねばのう」
「その性格を正すことですね」
「外の世界にはおる様だしのう」
「ええ、そんな人が少しでもいなくなると」
 王子はさらに言いました。
「世の中はよくなります」
「そうであるな」
「性格に問題があったら治す」
 恵梨香は言いました。
「怪我と同じですね」
「性格が悪くてもそれはよくなりますね」
 ナターシャも言います。
「そうなる経験を積んだり学べば」
「改心って言葉がありますからね」
 神宝はこの言葉を出しました。
「ですから」
「そうした人は修行したりいい人に会ったり」
 カルロスは考えました。
「神様の教えを聞くことでしょうか」
「そういうことをしたらいい人になります?」 
 ジョージも考えて言います。
「そうしていくと」
「そうだね、ただ生半可ではよくならない人もいるね」
 教授が五人に答えました。
「そうした人はじっくりとね」
「修行してもらいますか」
「いい人にも会ってもらって」
「そして神様の教えを聞く」
「じっくりとそうしてもらって」
「そして正しくなってもらうべきですか」
「それがいいね、一年修行して駄目なら二年とね」
 それだけというのです。
「してもらうべきかな」
「オズの国だとね」
 モジャボロはこの国のことを考えてお話します。
「まあ普通に楽しんでいたら」
「それで、ですよね」
「それが心の修行になって」
「いい人とも出会えますし」
「神様の教えにも触れられるので」
「オズの国では楽しんで生活すること自体がですね」
「いい人になる為の暮らしだね」
 そうだというのです。
「オズの国はそのこともいいことだね」
「そうですよね」
「いい場所でいい人達ばかりで」
「それで楽しめて」
「もういつも心が表れて磨かれて」
「いい人になれる世界ですから」
「だから前のノーム王も妖魔達もカリダもね」
 彼等もというのです。
「今ではいい心の持ち主だよ」
「ただ修行も出来るんだよね」
 弟さんはにこりと笑って言いました。
「幸村さんと十勇士の人達はいつも励んでいるよ」
「あの人達はオズの国でもそうですね」
「修行に励んでおられますね」
「修行が大好きな人達で」
「いつも心を磨こうとしていますから」
「だからそうされていますね」
「滝に打たれたり武道の鍛錬をしたり座禅を組んだり」
 そうしたことをしてというのです。
「学問にも励んでね」
「あの人達は立派な人達だね」
 王子もこう言います。
「勇気があって義理人情に篤くて真面目でね」
「まさにヒーローです」
「日本じゃそうなっています」
「とても素敵な人達です」
「強くて心が奇麗で」
「とても立派な人達ですよ」
「そうだね、あんな人達にはそうそうなれないけれど」
 王子はそれでもと言いました。
「素敵だと思って好きになれるね」
「全くじゃ、わしもあの人達は好きじゃ」 
 リンキティンク王もでした。
「忍術もいいしのう」
「十勇士は忍者ですからね」
「そして幸村さんも使えるな」
「それもかなりのものが」
 王子は王様に答えました。
「そうですよ」
「あの忍術もじゃ」
 こちらもというのです。
「わしは好きでな」
「それで、ですか」
「あの人達もな」
「招待されましたか」
「たまたま出会ってな」 
 そうしてというのです。
「そうなったぞ」
「それは何よりですね」
「全くじゃ、他にもベーブ=ルースさんやエルビス=プレスリーさんや関羽さんや孫悟空さんも呼んだからな」
「余計にですね」
「賑やかであるぞ」
「そうですね」
「だから楽しむのじゃ」
 王子に笑顔で言います。
「皆でな」
「そうしましょう」
 王子も応えます、そうしてです。
 皆でこの日はビーチでバーベキューを食べてヨットに乗って楽しみました、その後で王子は笑顔でこんなことも言いました。
「泳いでもよかったね」
「そうだったわね」
 王女も笑顔で応えます。
「海だから」
「そうだね」
「王子は泳ぐのも得意なのね」
「うん、この国はこうして海に面しているから」
 それでというのです。
「泳ぐこともね」
「よくしているのね」
「そうして遊んでいるよ」
「そうなのね」
「それで王女もかな」
「ええ、国の湖や川でね」
 そうしたところでというのです。
「よく泳いでいるわ」
「そうなんだね」
「そうなの、ただ今思い出したけれど今私水着持っていないから」
 それでというのです。
「泳げないかしら」
「持っていないなら貸すよ」
 王子は笑顔で応えました。
「そうするよ」
「水着貸してくれるの」
「王宮にある女性用のものをね」
 それをというのです。
「そうさせてもらうよ」
「泳ぎたいなら」
「王女がそう思うならね」
 それならというのです。
「そうさせてもらうよ」
「そうなのね」
「うん、しかし王女も泳げるんだ」
「結構自信があるわ」
 王子に笑顔で答えます。
「私もね」
「そうなんだね」
「水泳は好きだし泳げたら」
 それならというのです。
「いざという時に助かるしね」
「お水の中を進めてね」
「だからね」
「水泳はしているんだね」
「そうなの、いい運動にも遊びにもなるし」
「だからだね」
「よく泳いでいるわ」
 そうしているというのです。
「私もね」
「そしてこの国でも」
「泳ぎたくなったら」 
 その時はというのです。
「泳ぐわ」
「そうするんだね」
「そうさせてもらうわ、海にはあまり行けないし」
 このこともあってというのです。
「海で泳ぐこともね」
「好きなんだ」
「だからね」 
 それでというのです。
「あくまで気が向いたらだけれど」
「泳ぐんだね」
「そうするわ、しかしオズの国の真っ只中に国があると」
 そしてそこで暮らしていると、というのです。
「海もね」
「中々行けないね」
「私の国もそうだし」
 王女はさらに言いました。
「エメラルドの都もね」
「あそこに住んでいる人達もだね」
「海にはあまり行けないわね」
「そうだね、どうしてもね」
 このことはとです、王子も頷きます。
「行くには旅をしてね」
「時間をかけて進んでね」
「行くことになるね」
「そうよね、鉄道や飛行機ならすぐだけれど」
 すぐに行けるというのです。
「そう出来るけれど」
「それでもね」
「距離はあるわね」
「そうなんだよね」
「海を見たのは久し振りね」 
 また言う王女でした。
「それに遊ぶことも」
「そうなんだね」
「だから泳ぎたいと思ったら泳いで」
「他の遊びもだね」
「パーティーがはじまるまで」
 まさにそれまでの間はというのです。
「楽しませてもらうわ」
「それではね」
「海の景色もいいし」
 それにというのです。
「それで潮風もね」
「いいんだね」
「その香りもね」
「王女は好きなんだ」
「そうなの」 
 王子に笑顔で答えます。
「私はね」
「成程ね」
「それじゃあね」
「うん、泳ぎたくなったら」
「水着借りるわ」
 そうさせてもらうというのです。
「是非ね」
「それではね」
 こうしたお話もしました、そしてです。
 皆でこの日も気持ちよく眠りました、その翌朝リンキティンク王は起きると自分の玉座にボタンが座って寝ているのを見ました。
 それを見てです。皆に笑って言いました。
「ほっほっほ、寝ている間にじゃ」
「その間にですね」
「ボタンは自分の寝ている部屋から移動した」
「玉座にですね」
「また瞬間移動でな」 
 ボタンが寝ている間に起こるそれでというのです。
「そうしたのう」
「間違いありませんね」 
 王子もその通りだと頷きます。
「これは」
「そうであるな」
「うむ、これがじゃ」
 まさにというのです。
「この子の特質じゃ」
「寝ている間に何処かに移動している」
「その可能性があってな」
「何時そうなるかわからないですが」
「そうなってな」
 そうしてというのです。
「この様にじゃ」
「移動しますね」
「そうじゃ」
 まさにというのです。
「そして今回はじゃ」
「王様の玉座にですね」
「移動してな」
「寝ていますね」
「そういうことじゃ」
「じゃあ起こしますか」 
 王子は王様にこう申し出ました。
「玉座で寝ていることは」
「よくないか」
「玉座に座るのは王様です」
 この人だけだというのです。
「ですから」
「それでか」
「起きてもらって」
 そうしてというのです。
「どいてもらいましょう」
「ああ、それはよい」
 王様は王子に笑顔で応えました。
「これはわざとしておらん」
「寝ている間にですか」
「そうなったからのう」
「それで、ですか」
「よい、しかもわしは今この通りじゃ」
 自分の奇麗に剥げた頭も指差します。
「王冠を被っておる」
「王の証ですか」
「それもあってな」
 そうしてというのです。
「しかもわしがいいと言った」
「王様がですね」
「だからじゃ」
 それでというのです。
「いいのじゃ」
「そうですか」
「この子が起きるまでな、起きたらな」
 ボタン自身がというのです。
「どくからのう」
「それでいいですか」
「そうじゃ、それでじゃ」
「それで、ですか」
「わしはな」
 王様はさらに言います。
「この子が起きるのを待つ、そして起きたらな」
「その時はですか」
「ご飯にしよう」
 朝食を食べようというのです。
「そうしようぞ」
「その時にですね」
「そしてじゃ」
「そして?」
「この子が玉座で寝ておるこのことをじゃ」
「あっ、歌に踊りにですね」
「しようぞ」
 こうも言うのでした。
「これからな」
「そうされますか」
「これは面白いことであるからな」
 そう思うからだというのです。
「そうしようぞ」
「そうされるのは王様ならではですね」 
 ジョージもそれはと思いました、見れば皆集まっていてそのうえで王様のそのお話を聞いて頷いています。
「本当に」
「そうであるな」
「はい、それでですね」
「今から歌ってな」
 そうしてというのです。
「踊るぞ」
「そうされますね」
「こうしてな」
 笑顔で言ってでした。
 王様は実際にボタンが自分の玉座に寝ているそのことをです。
 歌って楽しくバレエの様に踊ります、それが終わってです。
 王様は皆に満面の笑顔でお話しました。
「ほっほっほ、最高の気分じゃ」
「そうなんですね」
「歌って踊れて」
「ボタンが玉座に寝ていて」
「そのことを見られて」
「そしてそう出来て」
「とてもな」
 ジョージ達五人に答えます。
「わしは気分がいい」
「最高の気分ですね」
「今の王様は」
「王様がそう思われるならいいです」
「私達にしても」
「それなら」
「そうであるか、ではこの子が起きたらな」
 それからのことをまた言いました。
「朝ご飯じゃ」
「一曲歌って踊って丁度いい運動になったね」
「そうだね」
「王様にとってね」
 教授とモジャボロ、弟さんも言います。
「では僕達もね」
「この子が起きるまで何かしようか」
「軽い運動でもね」
「なら散歩じゃ」
 王様は三人に答えました。
「それをしようぞ」
「それをするんだね」
「今から」
「そしてお腹を空かせるんだね」
「そうするのじゃ」
 笑顔のままでの言葉です。
「ご飯までまだ少し時間があるからのう」
「その間歩いて」
「そうして運動をしてな」
「その後でだね」
「食べようぞ」
 朝ご飯、それをというのです。
「今日の朝ご飯も美味しいしのう」
「今日はオートミールですよ」 
 王子が微笑んで言ってきました。
「王様も好きな」
「おお、オートミールか」 
 王様はオートミールと聞いて目を輝かせて応えました。
「それはよいのう」
「はい、それでは」
「まずはな」
「王様もですね」
「散歩をしてじゃ」
 そうしてというのです。
「その後でな」
「はい、ご飯にしましょう」
 王子は笑顔で応えました、そうしてです。
 ボタンが起きるまで皆でお散歩を楽しみました、彼が起きてからとても美味しいオートミールを食べたのでした。








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