『オズのホボ王子』




                第三幕  最初の快諾

 王子達はウィンキーの中の黄色い煉瓦の道を歩いていきました、その道は何処に続いているかといいますと。
「かかしさんのお家とですね」
「樵さんのお城に続いていますね」
「それでジャックのお家にも」
「この道を進むとですね」
「三人のところに行けますね」
「うん、だからまずはね」
 王子はジョージ達五人に答えました。
「この道を進んでいこうね」
「わかりました」
「この道は僕達も何度も行ってますし」
「そしてかかしさんや樵さんのところにも行ってます」
「もう馴染みの道です」
「周りの景色もよく見ています」
「それなら君達に案内を頼もうかな」
 王子は五人がこの道について詳しいと聞いて笑顔で言いました。
「そうしようかな」
「いえ、僕達よりもです」
「王子の方が沢山旅をされてますよね」
「オズの国におられて」
「そうですよね」
「それならです」
 五人はこう王子に返しました。
「王子にお願いします」
「私達が案内なんてとても」
「それは恐れ多いですよ」
「王子の方がずっとこの道を歩いておられるのに」
「そうなのに」
「そう言うんだ、じゃあ僕が案内をさせてもらうね」
 王子は笑顔で応えました。
「この道については」
「というかだよ」
 ここで教授が言ってきました。
「今回の旅の主役は誰か」
「それは王子だね」
 モジャボロも言いました。
「王子が自分が主催するパーティーに招待していく旅だからね」
「それだとだよ」
「もう王子が主役だよ」
「旅の主役ならだよ」
「道の案内もね」
 これもというのです。
「そうした栄えある役目もね」
「王子のものになるよ」
「僕達はその王子と一緒に行く」
「そうしたことになるよ」
「成程、今の僕の立場はそうしたものなんだね」
 王子は二人に言われてこのことに気付きました。
「そうなんだね」
「そう、だからだよ」
「僕達に気兼ねしなくていいよ」
「もう全部王子が思うままでいいよ」
「誰を招待するかも決めて」
「どういった道を進むかもね」
「責任重大だね」
 王子は二人の言葉からこのことも認識しました。
「それならね」
「やってくれるね」
「王子も」
「そうしてくれるね」
「是非共ね」
 二人に確かな笑顔で答えました、そうしてです。
 王子は自然と一行の一番前に立ちました、するとそのすぐ後ろからアン王女が明るい声と笑顔で言ってきました。
「その意気よ、旅の主役はね」
「いつも一番前に立ってだね」
「皆を案内してね」 
 そうしてというのです。
「それと共に皆をいつも見る」
「そうするものだね」
「私も旅の主役の時はね」
「そうしていたんだ」
「言うなら船長さんよ」 
 その立場だというのです。
「自分が色々な場所を見てね」
「そうしてだね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「先に進むね」
「そうしたものなんだ」
「王子は船長さんになったことある?」
「リンキティンク王と船旅をした時にあるよ」
「それじゃあその時みたいによ」
「すればいいんだね」
「そう、経験があるなら」
 それならというのです。
「その経験を活かすのよ」
「そうすればいいんだね」
「そう、じゃあ今からね」
「船長さんみたいに」
「皆を連れて行ってね」
「そうさせてもらうよ」
 王子は王女の言葉に笑顔で頷きました、そうして自分が先導して皆を先に先にと進んでいきました。その度は順調で。
 モジャボロの弟さんも唸って言いました。
「これは名船長さんだね」
「そうですよね」
「王子は」
「ちゃんと皆を導いてくれて」
「しかもいつも見てくれている」
「名船長さんですね」
「うん、では僕達はその船長さんについていこうね」
 弟さんはジョージ達五人にも応えました。
「そうしていこうね」
「そうしていきましょう」
「そして色々な人のところを巡りましょう」
「倒しい旅をしていきましょう」
「これからどんな旅になるかわかりませんが」
「王子についていきましょう」
「船長さんを信じることは船員の務めだよ」
 弟さんはこうも言いました。
「それは君達もわかっているね」
「キャプテン=ビルさんと一緒の時そうでした」
「魔法使いさんと一緒の時も」
「それでドロシーさん達と一緒の時もでした」
「導いてくれる人達を信じていました」
「そうして旅をしていました」
「そう、信じることはね」 
 このことはというのです。
「楽しい旅をする秘訣の一つだよ」
「若し一緒に旅をする人を信じられないなら」
 ナターシャは考える顔で言いました。
「その旅は駄目ですね」
「もう皆の心がバラバラになって」
 カルロスも考える顔になっています。
「どれだけ楽しい場所に行っても」
「もうそれだけで楽しくなくなりますね」
 恵梨香はこのことがわかりました。
「本当に」
「そう思うとですね」
 神宝は弟さんに言いました。
「一緒にいることを信じることですね」
「それが楽しい旅をする第一歩なんですね」
 ジョージの口調はしみじみとしたものでした。
「そうなんですね」
「そうだよ、ましてオズの国では信じられる人ばかりだね」
 このこともです、弟さんが言いました。
「そうだね」
「いい人ばかりで」
「とても頼りになる人ばかりです」
「しかも旅のことをよく知っていて」
「オズの国のこともです」
「そうした人達ばかりです」
「だったら信じない方がおかしいよ」
 そうなるというのです。
「だからね」
「はい、王子もですね」
「信じて」
「そうしてついていく」
「そうすればいいですね」
「立派な船長さんを」
「そういうことだよ、ではどんどん行こうね」
 笑顔で言ってでした。
 弟さんも王子を信じて一緒に旅をしていきました、そして最初に着いたのはかかしのお家でした。そこに着くとです。
 かかしは皆を笑顔で迎えてくれました、そうして王子のお話を聞いて言いました。
「喜んで」
「来てくれますか」
「そうさせてもらうよ」
 王子に明るい笑顔で答えました。
「是非ね」
「それでは宜しくお願いします」
「そうさせてもらうね、ではパーティーの日も聞いたし」 
 それでというのです。
「その日にね」
「来てくれますね」
「そうさせてもらうよ」
 こう言うのでした、そしてです。
 かかしは王子に尋ねました、その尋ねることはといいますと。
「君達は次は何処に行くのかな」
「樵さんのお城です」
 王子はかかしの質問に答えました。
「次は」
「そうなんだ、丁度いいね」
「丁度いいといいますと」
「そこには今ファイター大尉もいるよ」
 彼もというのです。
「だからね」
「それで、ですね」
「樵君のところに行くとね」
「大尉さんにもですね」
「お話が出来るよ」
「わかりました、そうさせてもらいます」
「それではね、大尉も喜ぶよ」
 パーティーに誘うと、というのです。
「絶対にね」
「それじゃあこれからです」
「樵君のお城に行くね」
「そうさせてもらいます」
「ではね、パーティーの時また会おう」
「そうしましょう」
 笑顔でお話をしてでした。
 一行はかかしのお家の次はブリキの樵のお城に行きました、するとそこには実際に樵だけでなく大尉もいました。
 そして二人で王子のお話を聞いてです、大尉は樵に言いました。
「是非です」
「お誘いに応じるべきだね」
「はい、そうしましょう」
 こう樵に言うのでした。
「これは」
「僕も同意だよ、ではね」
「これからですね」
「うん、パーティーに行く用意をしよう」
「そしてその日にですね」
「その場に着く様にしよう」
「それでは」
 大尉は樵に笑顔で応えました。
「今から」
「支度をしようね」
「いや、お二人も来てくれるのなら何よりです」
 王子は樵と大尉のお話を聞いてここでも笑顔になりました。
「ではお待ちしています」
「うん、そしてね」
「パーティーの場所では楽しもう」
「是非共」
 こう言うのでした、そして樵と大尉に一時のお別れを告げてです。
 今度はジャックのお家に向かいました、そしてジャックのお家でもです。
 ジャックにお話をしました、するとジャックも言いました。
「素敵なお招きを有り難う」
「それではね」
「うん、僕も参加させてもらうよ」
 ジャックは王子にとても嬉しそうに答えました。
「そうさせてもらうよ」
「それではね」
「ただね」
 ここでジャックはこんなことを言いました。
「これまでかかしさんと樵さん、大尉ともお話をしたんだよね」
「それで三人共来てくれるよ」
「僕達四人は何も食べないし飲まないからね」
「そのことはわかっているよ」
 王子も承知していると答えます。
「だからね」
「このことはだね」
「安心してね」
「参加させてもらうね」
「是非ね」
「それではね」
 ジャックもそう聞いて安心しました、そして彼とも笑顔で一時のお別れの言葉を交わしました。そうしてです。
 王子は皆に今度はこう言いました。
「今度は熊センターに行こう」
「あそこね」
「うん、それでどうもクマセンターの近くのテーマパークにね」
 そこにというのです。
「妖精の女王様とね」
「六人の大臣の娘達がいるのね」
「七人でお邪魔して遊んでいるそうだから」
 王女にこの辺りの地図を見つつお話します。
「妖精の国のホームページを確認したら」
「それなら丁度いいわね」
「うん、それじゃあね」
「熊センターとね」
「テーマパークに行こう」
「それではね、しかしね」
 王女は王子のお話をここまで聞いて言いました。
「あっという間にね」
「かかしさん達のところに行けたね」
「ええ、王子のお陰でね」
 こう言うのでした。
「それが出来たわ、王子ってね」
「僕は?」
「ほら、最初変身していたでしょ」
「ああ、リンキティンク王と一緒の時はね」
「あの時は悪態ばかりでね」
 そればかりでというのです。
「とてもね」
「こうした風にはなんだ」
「なるなんてね」
 そうはというのです。
「思わなかったわ」
「あの時の僕は間違っていたよ」
 王子は王女に真面目なお顔で答えました。
「色々捻くれていてね」
「それでなのね」
「リンキティンク王にもね」
「悪態ばかりついていたの」
「あれは駄目だったよ」
 反省して言うのでした。
「今思うとね」
「それで態度をあらためたのね」
「うん、素直になって」
 そうしてというのです。
「晴れやかな気持ちでものを考えて」
「動いていくことね」
「そして喋ることもね」
 このこともというのです。
「まっすぐにだよ」
「あるべきね」
「人間の姿に戻った時にわかったよ」
「それで今はなのね」
「こうした風にしているんだ」
「そっちの方がずっといいわ、捻くれていると」
 どうしてもとです、王女は言いました。
「ものの見方や考え方もね」
「捻くれるね」
「それで何をしてもね」
「捻くれてね」
「よくならないわ、だから今の貴方は」
「こうして皆を案内出来ているね」
「若しあの時の貴方ならね」 
 人間の姿に戻る前のというのです。
「とてもね」
「こうした旅は出来なかったわね」
「そうだね、けれどリンキティンク王は」
 王子の第一の親友であるこの人はといいますと。
「そんな僕でもね」
「ずっとだったわね」
「親しく気さくにね」
「一緒にいてくれたわね」
「僕はずっと捻くれていたけれど」
 それでもというのです。
「その僕にね」
「親しく気さくに接してくれて」
「傍に置いてくれたよ」
「そのことに感謝しているわね」
「当然だよ、そして今あの人は」  
 リンキティンク王はというのです。
「僕のパーティーの招待の為にね」
「海を回っているのね」
「船に乗ってね」
「お友達の為に」
「そのことが有り難いよ、さっきメールが届いたけれど」
「どうしたの?」
「ボタン=ブライトをちらりと見たそうだよ」
 あの寝ている間に何処かに行ってしまう彼にというのです。
「擦れ違った船の中にね」
「そうなのね」
「うん、気持ちよさそうに寝ていたらしいよ」
「そうなのね」
「彼も出来れば」
 ボタン=ブライトもとです。王子は心から思いました。
「招待したいね」
「そうよね」
「出来ればね」
「そういえばです」
 ここでジョージが王子に言ってきました。
「僕達も最近は」
「彼にはだね」
「会っていないです」
「彼と会えることはね」
「偶然ですよね」
「オズの国はお伽の国だから不思議なことが多くて」
 それでというのです。
「彼もまたその中にいるからね」
「会えるとですね」
「不思議なことだよ、ただ会いたいと思えば」 
 その時はというのです。
「ちゃんとね」
「会えますね」
「そうなれるからね」
 それでというのです。
「会いたいと思おうね」
「そうすればいいですね」
「彼についてもね」
「オズの国はお伽の国だから」
「不思議なことが多くてね」
 そうしてというのです。
「願ったこともね」
「適いますね」
「それが誰にも迷惑をかけないことなら」
 そうであればというのです。
「適うよ」
「それじゃあ」
「皆で願おうね」
「わかりました」
 ジョージが頷いて恵梨香達四人も他の皆もです。
 ボタンに会いたいと願いました、ですが流石に今は彼は出ません。オジャボロはここで笑って言いました。
「きっと会えるよ」
「あの子とはね」
「願ったからね」
 王女にその笑顔で答えました。
「だからだよ」
「きっとよね」
「そうなるよ、それとね」
「それと?」
「僕達の旅はこれからどんどん楽しいものになるよ」
 こうも言うのでした。
「絶対にね」
「それもオズの国だからよね」
「そうだよ、だから楽しいものになっていく中をね」
「進んでいけばいいわね」
「そうしていこうね」
「それではね」
 王女も頷いてでした。
 さらに先に進みます、そしてです。
 先に川を見たところで教授が言いました。
「この先には橋があるけれど」
「それでもだね」
「最近この橋は凄くなったんだ」
 モジャボロの弟さんにお話しました。
「だから見ものだよ」
「どんな橋かな」
「それをね」
「今からだね」
「見ようね」
 こうしたお話をしてでした。
 一行は橋に来ました、その橋はといいますと。
 見事なアーチ形です、ジョージ達五人は黄色いコンクリート製でその形になっている橋を見て目を丸くさせました。
「またこれは」
「凄い橋ですね」
「奇麗な黄色で」
「しかも奇麗な形ですね」
「いい橋ですね」
「この橋がなんだ」
 教授は笑顔でお話しました。
「新しく建てられたね」
「凄い橋ですね」
「確かに凄い橋ですね」
「奇麗ですね、色も形も」
「それも頑丈そうで」
「いい橋ですね」
「この橋を渡ってね」
 そうしてというのです。
「先に進もうね」
「この橋を造ったのは誰かな」
 王子は橋を見て思いました。
「一体」
「ウィンキーの建設会社の人だよ」 
 教授が答えます。
「ブリキの樵さんがここの橋をかけなおそうとお話してね」
「政治でだね」
「うん、そしてね」 
 そうしてというのです。
「引き受けた会社がね」
「かけたんだね」
「そしてね」
 それでというのです。
「この橋を造ったんだ」
「成程ね」
「会社の人達にとっても自信作だそうだよ」
「そうなんだ」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「今からこの橋を渡って」
「そのうえでだね」
「先に行こうね」
「そうしよう」
 王子は教授に笑顔で頷いて応えてでした。
 そのうえで橋を渡りました、アーチ形の橋はとても奇麗でしかも頑丈で。
 一行は気持ちよく進めました、それで王女は橋を渡り終えてからこんなことを言いました。
「また渡りたいわね」
「渡る時の景色もよかったしね」
 王子も笑顔で応えます。
「だからだね」
「ええ、またね」
「機会があればね」
「渡りましょう」
「そうしようね」
「何かね」
 モジャボロも言います。
「虹を渡る様な」
「そうした風だったね」
「そうだね、オズの国には虹の橋もあってね」
「渡れるね」
「その虹の橋の上を歩いた様な」
 そうしたというのです。
「気持ちだよ」
「そうだね、いい橋だったよ」
「だからまた機会があれば」
「渡ろうね」
「そうしようね」
 橋を渡ってそうしたお話をしてです。
 一行は旅を続け夜になると道の横にテントを出してから晩ご飯となりましたが。
 晩ご飯のバーベキューを出してです、王女は言いました。
「お肉にお野菜にね」
「ソースもだね」
「色々出したから」 
 モジャボロの弟さんに笑顔で答えます。
「楽しんでね」
「そうさせてもらうね」
「お肉本当に色々ありますね」
 ジョージは焼かれているそれを見ました。
「牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉に」
「お野菜もですね」
 神宝はそちらを見ています。
「玉葱にピーマン、カボチャに茄子に人参に」
「茸もありますね」
 恵梨香はそちらを見ています。
「椎茸が」
「本当に色々あるので」
 カルロスは笑顔のなっています。
「楽しめそうですね」
「おソースもですね」
 ナターシャはそれを見ています。
「色々ありますね」
「そうだね、僕はアップルソースをいただくよ」
 モジャボロはそちらのソースを選びました。
「そうさせてもらうね」
「僕はオニオンソースにするよ」
 教授はそちらを選びました。
「とても美味しそうだしね」
「僕はデミグラスソースにしよう」
 弟さんはこちらでした。
「是非ね」
「ケチャップもあるんだ」
 王子はソースの中にそれを見ました。
「では僕はこちらにしよう」
「ええ、何でも選んでね」 
 王女は笑顔で言いました。
「私はお醤油にするわ」
「お醤油いいよね」
 王子はそのお醤油を見てこう言いました。
「僕は次はそれにするよ」
「そうするのね」
「今はケチャップでね」 
 それでというのです。
「次はね」
「お醤油ね」
「それにするよ」
「それじゃあね」
「そういえばですけれど」
 ジョージは牛肉をデミグラスソースで食べつつ言いました。
「お醤油って大豆のものとお魚から作るものがありますね」
「しょっつるとかナムプラーっていうわね」
「はい、日本のお醤油は大抵大豆から作るんですが」
「お魚からもね」
「それでそのしょっつるも」
 そちらのお醤油もというのです。
「美味しくて」
「それでよね」
「最近好きになってるんです」
 こう言うのでした。
「どうも」
「匂いがするけれどね」
「確かに美味しいよね」
「あちらのお醤油も」
「そうよね」
 恵梨香達四人も言います。
「今のお醤油は大豆のお醤油でね」
「普通の匂いと味だけれど」
「けれどあちらのお醤油もね」
「いいのよね」
「それなら今度はあのお醤油を使ったお料理を出すわね」 
 王女はジョージ達のお話を受けてこのことを決めました。
「そうするわね」
「お願いします」
「タイ料理とかですね」
「ベトナム料理でも使いますよね」
「どちらのお料理でも」
「コリアンダーと一緒に外せないですね」
「そうそう、タイとかベトナムのお料理はね」
 王子も言います。
「ナムプラーが決め手なんだよね」
「そうですよね」
「タイ料理は唐辛子も大事ですけれど」
「ナムプラーがいいんですよね」
「あの味はナムプラーならでは」
「ナムプラーなくしてあの美味しさはないですね」
「そうだよね、なら次に出すお料理は」
 王子は王女にお顔を向けて尋ねました。
「タイ料理だね」
「ええ、明日のお昼はね」
 王女も答えます、見れば今は羊のお肉を食べています。
「そちらにするわ」
「そうしてくれるんだね」
「ナムプラーのお話をしていたら私も食べたくなったから」
「そのナムプラーを使ったお料理を」
「そうするわ」
「それではね」
 こうしたお話もしてです。
 皆でバーベキューを食べていきます、そうしてでした。
 デザートは何かといいますと。
「シュークリームなんだ」
「ええ、それにしたの」
 王女はまた王子に答えました。
「何がいいかしらって考えて」
「それでだね」
「シュークリームを食べたいと思って」
 それでというのです。
「それにしたの」
「そうだね」
「ええ、それで飲みものはね」
 それは何かといいますと。
「牛乳にしたわ」
「牛乳を飲むとよく寝られるね」
「そのことも考えてね」
「飲みものは牛乳だね」
「シュークリームにも合うし」
 このことも考えてというのです。
「そうしたの」
「いいね、ではね」
「食べましょう」
「シュークリームをね」
「そして牛乳も飲みましょう」
 こうお話してです。
 皆次はシュークリームを食べました、そしてです。
 食べ終わった後で、です。皆は寝ました。そうして朝ご飯を食べた後で出発してお昼にタイ料理を食べますが。
 王子はそのタイ料理の中にあるタイ風の炒飯を食べて言いました。
「この炒飯にしてもね」
「ええ、ナムプラーが使われていてね」
「いい味になっているね」
「そうなのよね、このナムプラーがね」
 王女はトムヤンクンを食べています、そのうえで言います。
「本当にね」
「いいよね」
「素敵な味よ」
「それに僕はね」
 王子はさらに言いました。
「コリアンダーも好きなんだ」
「ああ、そちらも」
「だからね」
「タイ料理は大好きなのね」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「だから今食べられて嬉しいよ」
「それは何よりよ」
「王女も好きみたいだね」
「好きよ」
 王女は笑顔で答えました。
「タイ料理もね」
「うん、ただね」
 王子はここでこうも言いました。
「昔のオズの国にはね」
「タイ料理はなかったわね」
「そうだったね」
「オズの国の食文化も変わったわ」
「そうそう、昔はもっと質素だったよ」
 その昔のお話をするのでした。
「どうもね」
「そうだったわね」
「だからね」
 それでというのです。
「タイ料理もなかったし」
「他のお料理もだったわ」
「お寿司だってね」
「なかったわね」
「僕お寿司も好きだけれどね」
 それでもというのです。
「そのお寿司もね」
「なかったわね」
「そうだったよ」
 このことを残念そうに言うのでした。
「オズの国では」
「お寿司ないのは残念ですね」
「あんな美味しいものがないなんて」
「今はオズの国でも普通に食べられますけれど」
「そういえば昔はなかったですね」
「オズの国ではそうでしたね」
「はじめて食べて感激したよ」
 王子はジョージ達五人に答えました、五人共お魚やお野菜のお料理それに麺類を食べながらお話しています。
「お寿司の美味しさに」
「そうだったんですか」
「感激までされたんですか」
「お寿司の美味しさに」
「オズの国ではじめて食べて」
「そうされて」
「リンキティンク王と一緒に食べてね」
 そうしてというのです。
「あの人も大喜びだったよ」
「あの人でしたら歌も歌いそうですね」
 こう言ったのはジョージでした。
「大喜びされたら」
「うん、実際にね」 
 王子もその通りと答えます。
「そうだったよ」
「やっぱりそうですか」
「歌をその場で作って歌ってね」
 そうしてというのです。
「踊りもしたよ」
「そうですか」
「見ていて面白かったよ」
 王子はジョージににこりと笑って答えました。
「それでタイ料理もなんだ」
「はじめて召し上がられた時に」
「うん、やっぱりね」
 その時もというのです。
「大喜びでね」
「歌を作られて歌って」
「踊りもね」
「そうですか」
「それを見て」
 そしてというのです。
「僕も喜んだよ」
「王子もですね」
「あの人は美味しいものを食べるとね」
「はじめての時は」
「歌って踊ってなんだ」
「喜ばれるんですか」
「そうなんだ、あの人らしいね」
 王子は笑ってこうも言いました。
「歌って踊るなんて」
「そうですね、そのことは」
「それとお菓子もね」
「そのことは前からですね」
「そう、僕があの人とはじめて会った時も」
 その時もというのです。
「お菓子が好きだったよ」
「そうでしたか」
「ジュースも好きだしね」
 お菓子だけでなくです。
「甘い紅茶、レモンティーも」
「お好きですか」
「そうなんだよ」
「そうですか」
「ええ、そしてね」
「そして?」
「あの人は最近お刺身も好きで」
 それでというのです。
「よく食べているよ」
「お刺身もですか」
「そう、蛸のお刺身も好きだよ」
「蛸もですか」
「蛸もずっとオズの国では食べなかったけれど」
 それでもというのです。
「今はね」
「お好きですか」
「そうなんだ、僕も食べるけれど」
 その蛸をというのです。
「昔は蛸もね」
「オズの国では食べていなくて」
「食べられると知った時は」
 まさにその時はというのです。
「どれだけ驚いたか」
「そうでしたか」
「その時はね」
 こう言うのでした。
「本当にね」
「そして食べるとですね」
「美味しいからね、お刺身もいいし」
 それにというのです。
「酢蛸にしてもいいし特にたこ焼きがね」
「最高に美味しいですよね」
「ああして食べるなんてね」 
 蛸をというのです。
「素晴らしいよ、あと烏賊もね」
「美味しいですね」
「墨まで美味しいから」
 烏賊はというのです。
「これまたいいね」
「スパゲティにしてもいいですね」
「僕はあのスパゲティも好きでね」
「よく召し上がられますか」
「そうなんだ、蛸も烏賊も好きだよ」
 今ではというのです。
「本当にオズの国もね」
「食文が変わりましたね」
「豊かになったよ」
「ええ、タイ料理に中華料理に和食に」
 王女も言います。
「そしてべトナム料理やインドネシア料理もあるわね」
「忘れていけないのがカレーだよ」
 モジャボロはタイのカレーであるキーマカレーを食べています、緑色のカレーもこれまた独特な美味しさがあります。
「つまりインド料理も」
「うん、カレーもいいよね」
 王子はモジャボロにも応えました。
「確かに」
「そうだね」
「何を食べようか迷ったら」
 その時はというのです。
「カレーというのもね」
「悪くないね」
「もうカレーは魔法の食べものだよ」
「何を入れても美味しいよ」
「そして栄養もたっぷりでね」
「沢山食べられるしね」
 こうした要素もあってとです、教授も言います。
「王立大学でもだよ」
「食堂のメニューにあるんだ」
「私もよく食べているよ」
「そうなんだね」
「最近はチキンカレーに凝っていてね」
 こちらのカレーにというのです。
「よく食べるよ」
「チキンカレーもいいね」
「うん、だからね」
「よく食べるんだ」
「そうなんだ」
「林檎を入れてもいいのよね」
 王女はカレーについてこう言いました。
「カレーは」
「隠し味にだね」
「ええ、林檎をすってね」
 そうしてというのです。
「カレーの中に入れたら」
「隠し味になるね」
「そうなの、だからね」
「王女はカレーを食べる時は」
「林檎を入れているわ」
「そうして美味しくしているんだね」
「そうなの、ある街ではご飯とルーを最初から混ぜているカレーがあるの」
 ここで王女はこうも言いました。
「日本というか日本の大阪という街がそのまま入った様な街にね」
「大阪?」
「そう、そのカレーがまた美味しいのよ」
「そうなんだね」
「だから王子もね」
「その街に行く時があれば」
「そのカレーを食べるといいわ」
 こう王子にお話します。
「他にも美味しいものが多い街だけれど」
「そのカレーもなんだね」
「名物の一つでね」
 それでというのです。
「機会があればね」
「じゃあそうさせてもらうね」
「そうしてね」
「どんなカレーか」 
 王子は楽しそうに言いました。
「楽しみにしているよ」
「僕達そのカレー知ってます」
「外の世界にもありますので」
「大阪にあるんです」
「生卵も入っているんですよ」
「とても美味しいんですよ」
 ジョージ達が王子にお話しました。
「おソースをかけて」
「それで生卵と混ぜて食べるんです」
「他のメニューもあって」
「織田作之助って小説家さんが好きだったそうです」
「オズの国にもあるなんて嬉しいです」
「織田作之助ね。覚えておくよ」
 実際に王子はその人の名前を頭に入れました。
「その小説家さんの名前は」
「大阪の人なんです」
「大阪で生まれ育って」
「それで大阪が大好きな人で」
「大阪の食べものも好きだったんです」
「他には善哉も有名ですよ」
「ああ、あの甘いお汁だね」
 王子は善哉と聞いて言いました。
「あれもいいね」
「ええ、大阪は善哉も独特で」
「お椀二つで出てきます」
「そうしたお店もあります」
「夫婦善哉っていいます」
「美味しいですよ」
「その善哉も食べたくなったよ」
 王子としてはです。
「ではあの街に行く時になったら」
「食べてみて下さい」
「カレーもそうして」
「善哉もそして下さい」
「本当に美味しいですから」
「大阪はいいですよ」
「それではね」
 ジョージ達に笑顔で応えてでした。
 王子は実際にその街に行こうとも思いました、お話を聞くだけでとても美味しそうに思えるその街へと。








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