『オズのラゲドー王』
第八幕 虹の橋の平原
一行はサバンナを出てでした。
そのうえで今度は少し木々が多くて川が多い場所の前に出ました、するとまだサバンナである場所からハイエナが言ってきました。
「そこも面白い場所だよ」
「というとどんな場所かな」
「うん、川が多いね」
「また実にね」
カエルマンはハイエナに答えました。
「随分と」
「その川を渡っていくけれどね」
それがというのです。
「面白いんだよ、だから時々ね」
その時にというのです。
「僕も行くんだ」
「サバンナからだね」
「そうだよ、じゃあ行って来るといいよ」
笑顔で、です。ハイエナは一行に言いました。
「これから」
「ではそうさせてもらうよ」
カエルマンも笑顔で応えました、そして一行はです。
その川の多い平原に入りました、するとです。
早速目の前に川がありました、そしてそこにです。
橋もありますがその橋は。
「虹の橋なんて」
「あら、ここはオズの国よ」
トロットは目の前にある虹の橋、手すりまで全部そうであるその橋を見て驚くナターシャに微笑んで答えました。
「だから虹の橋もね」
「あるんですか」
「そうよ、これ位はね」
「普通ですか」
「オズの国だから」
それでというのです。
「驚くことはないわ」
「言われてみればそうですね」
「オズの国はお伽の国だから」
恵梨香も言いました。
「だからですね」
「どんな不思議なこともある」
カルロスも言います。
「そうした国ということですね」
「だから虹の橋も普通にありますね」
ジョージも言いました。
「この国は」
「だから驚くことはなくて」
神宝も橋を見ています。
「その橋を渡っていけばいいね」
「そうね、じゃあ今から皆で渡りましょう」
ナターシャも皆に言いました。
「そうしましょう」
「オズの国には色々な不思議があるけれど」
それでもと言ったのはクッキーでした。
「こんな不思議ははじめてです」
「はじめては何時でもでしょ」
ビリーナはそのクッキーに言いました。
「そうでしょ」
「そうね」
クッキーはビリーナのその言葉に頷きました。
「言われてみると」
「何かあるとね」
「不思議に巡り合う国ね」
「そう、だから虹の橋も」
これもというのです。
「驚かないでいいのよ」
「楽しむことね」
「そうよ、見れば虹の橋は沢山あるわよ」
川が多くてです、その橋のどれにもです。
虹の橋がかかっています、ビリーナはその橋達を観ながら言いました。
「だから沢山渡れるわよ」
「そうね、それじゃあね」
「今から渡りましょう」
「虹は空にかかる橋だから」
それでと言うキャプテン=ビルでした。
「ここにあってもいいね」
「そうね、地上にね」
「外の世界の橋は近寄っても近寄れないけれど」
それがというのです。
「オズの国は違うからね」
「近寄れば虹の傍に行けるわよ」
「そうした世界だからね」
「それでよ」
「うん、橋になっていてもね」
「渡ることが出来るわ」
「そうだね、ではね」
「今からその橋達を渡って」
そうしてというのです。
「先に進んでいきましょう」
「それではね」
「虹の橋なんてものもなかったよ」
前ノーム王がこう言ってきました。
「本当にね」
「貴方はそうよね」
「地下にいたからね」
ノームの王国の王様だったからです。
「だからね」
「それでよね」
「うん、そのせいで」
どうしてもというのです。
「虹を見たことすらなかったよ」
「それか仕方ないわね」
「けれど」
それでもというのです。
「今は外の世界にいるから」
「虹も見られて」
「そしてね」
「橋も渡れるわね」
「だから是非」
「今からね」
「渡ろう」
こう言ってでした。
皆は早速虹の橋を渡りました、すると。
早速です、ナターシャは言いました。
「透き通ってそれでいてね」
「堅固だね」
前ノーム王も言います。
「この橋は」
「コンクリートの橋と同じだけだね」
「ええ、それでいてね」
「虹色に輝いていてしかも透き通っていて」
「まさに虹ね」
「これは素晴らしい」
心から言う前ノーム王でした。
「プレーリードッグの国もサバンナも素晴らしかったが」
「この虹の橋も素敵ね」
「旅に出てよかったよ」
こうも言う前ノーム王でした。
「本当にね」
「そうよね、それじゃあね」
「どんどん渡っていこう」
こう言ってでした。
先生達は皆で一緒に進んでいきます、そしてでした。
皆は最初の橋を渡ってそれからさらに進んでいきました、橋と橋の間は草原で木も多いです。その中で。
ふとです、トロットは木と木の間にポリクロームを見付けました。それですぐに彼女に声をかけました。
「久し振りね」
「あら、どうしたの?」
「ええ、今旅をしているの」
トロットはポリクロームに笑顔で答えました。
「それでね」
「ここに来たのね」
「そうしたの」
「そうだったのね」
「イッソスの国のお寿司屋さんまで行って」
そうしてというのです。
「皆でお寿司を食べるの」
「その為の旅ね」
「それで貴女はどうしたの?」
「ここの橋は全部虹で出来てるわよね」
ポリクロームはくるくるといつも通り踊りながら答えました。
「私は虹の精霊だから」
「あっ、橋のチェックね」
「今回は私が当番で」
それでというのです。
「橋をチェックして回っていたの」
「そうだったの」
「丁度全部終わったの」
こうトロットにお話しました。
「今ね」
「そうだったのね」
「それで今お家に連絡したの」
「お仕事が終わったって」
「それで今から帰ろうと思っているの」
「今時間あるかしら」
ここで、です。トロットはポリクロームに尋ねました。
「いいかしら」
「どうかしら」
「ええ、後は帰ってね」
お空に帰ってというのです。
「宮殿で皆と遊ぶつもりよ」
「自由なのかしら、何しても」
「そうだけれど」
「だったらね」
それならとです、トロットはポリクロームに提案しました。
「私達と一緒に行かない?」
「旅になの」
「貴女はお寿司は食べないけれど」
ポリクロームが食べるのはお花や草の露です、それ以外は何も口にしません。
「どうかしら」
「そうね、お誘いを受けたし」
それならとです、ポリクロームは応えました。
「これからね」
「ええ、一緒に旅をしましょう」
「そうさせてもらうわ、ただ」
「ただ?」
「まずは連絡させて」
「あっ、お家の方に」
「それをさせて」
こうトロットに言うのでした。
「暫く旅に出るなら」
「それならよね」
「ええ、それならね」
「お家の方に断らないとね」
「暫くお家を空けるから」
だからだというのです。
「これからね」
「それでなのね」
「いいかどうか確認を取って」
そうしてというのだ。
「それから行かせてもらうわ」
「それじゃあね」
トロットも頷いてでした。
ポリクロームは自分の携帯電話を出してでした、そうしてから連絡をしてそれからトロットにお顔を戻して言いました。
「では今からね」
「いいって言ってもらえたのね」
「そう、これでね」
「一緒に行けるのね」
「そうなったわ」
「それは何よりね」
「それじゃあね、一緒に行きましょう」
こうしてでした。
ポリクロームも旅に参加することになりました、こうして一行はポリクロームも加えてそうしてでした。
皆は平原をさらに進んでいきました、そこで。
虹の橋も渡っていきます、前ノーム王は橋を渡りながらポリクロームに対してこんなことを言いました。
「一ついいかな」
「どうしたの?」
ポリクロームはくるくると踊りながら歩いています、そのうえで言いました。
「一体」
「君達が橋をなおしているんだね」
「この場所の橋はね」
「虹の橋だからだね」
「そうなの」
「そうだね」
「虹だと」
それならというのです。
「何でもね」
「なおせるんだね」
「そう、それでさっきトロットにお話したけれど」
「君達が当番でチェックしているんだね」
「そうなの」
そうしているというのです。
「それでここに来てね」
「全部の橋をチェックしたんだね」
「そうしてたの、それでチェックしていたらね」
「皆問題なかったんだね」
「そうよ」
こう言うのでした。
「有り難いことにね」
「若し問題があったらどうするのかな」
「虹をかけて」
そうしてというのです。
「なおすの」
「そのつもりだったんだね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「なおすのも簡単にね」
「出来るんだね」
「そうなの」
「成程ね、よくわかったよ」
「それならよかったわ」
「うん、では橋を渡っていこう」
前ノーム王は頷いてでした。
虹の橋をさらに進んでいきます、そこでなのでした。
橋は渡ればまたすぐに次の橋が出て来るといった感じでどんどん橋を渡っていきます、するとなのでした。
ナターシャはふとこんなことを言いました。
「橋が幾つあるか気になるわね」
「こんなに橋が多いとね」
「気になるね」
「どれだけあるか」
「二百位あるわ」
ポリクロームが答えました、チェックした彼女自身がです。
「大体ね」
「それは多いわね」
「ええ、この場所は私達がよく来てね」
そうしてというのです。
「お露を飲むけれど」
「君達は飛べるね」
「けれどここを行く旅人の人達が」
飛べない人達がというのです。
「困ると思って」
「それでだね」
「橋をかけたの」
皆のそれがというのです。
「そうしたの」
「そうだったんだね」
「オズの国が発展してきて」
そしてというのだ。
「ここは最近まで人は来なかったけれど」
「この辺りも実際に人が来る様になっているね」
「そうでしょ、もうすぐ往来が多くなると思って」
「橋をかけたんだね」
「そうしたの」
「実はオズマもここに人が来る様になると思っていたのよ」
トロットも言ってきました。
「それを橋をかけることを決めたら」
「そこでだったのね」
「貴女達が橋をかけてくれたの」
「そうだったのね」
「ええ、すぐに沢山の橋を掛けてくれたから」
笑顔で言うトロットでした。
「オズマも喜んでくれているわ」
「それは何よりね」
「それも虹の橋でしょ」
トロットは笑顔でこうも言いました。
「尚更ね」
「オズマ姫も喜んでくれてるのね」
「そうなの」
まさにというのです。
「オズの国の素晴らしい場所がまた一つ出来たってね」
「虹の橋は他の場所にもあるけれど」
こう言ったのはビリーナでした、皆は今も虹の橋の一つを渡っています。橋はアーチ形のもあればまっすぐのものもあって今の橋はアーチ形です。
「こんなに多い場所はないわよ」
「だからオズマも喜んでくれてるの」
「普通の橋じゃなくて」
「虹の橋だから」
多くの橋達がというのです。
「そうなっているの」
「そうなのね」
「ええ、じゃあさらにね」
「渡っていくのね」
「そうしていきましょう」
こうお話してでした。
皆でさらに橋を渡ります、そしてです。
お昼は木陰にテーブル掛けを出してでした、そこにお昼ご飯を出します、そのお昼ご飯はといいますと。
火鍋で、キャプテンはそのお鍋を見て言いました。
「また真っ赤だね」
「そうですね、この赤いものは」
クッキーが応えました。
「唐辛子ですね」
「そうだね、だとすると」
「これはかなりの辛さですね」
「そうだね」
「ええ、けれど美味しいから」
それでとです、トロットが答えました。
「このお昼はね」
「火鍋にしたんだね」
「そうなの」
「成程ね」
「そしてラムを入れて食べるんだね」
カエルマンは用意されているお肉を見ました。
「お野菜もだね」
「そうよ」
トロットはカエルマンにも答えました。
「あと辛いけれどこの唐辛子は一瞬だから」
「長く続かないんだね」
「そうした唐辛子だから」
「オズの国にはそうした唐辛子もあるしね」
「そう、だからね」
「その唐辛子を使った火鍋だね」
「そちらにしたの」
「成程ね」
「それじゃあね」
「うん、今からだね」
「食べましょう」
火鍋をというのです。
「辛いけれどとても美味しいわよ」
「それではね」
「確かに辛そうだ」
前ノーム王が見てもでした。
「このお鍋は。けれど」
「食べたいわね」
「わしはラムも大好きなんだ」
このお肉もというのです。
「それでなんだ」
「ではね」
「今からだね」
「食べましょう」
「そしてお酒もあるし」
前ノーム王はそちらも見ています。
「杏酒がね」
「中国のお料理だから」
「お酒もだね」
「中国のものにしたの」
「そうだね」
「中国のお料理でこんな辛そうなものもあるのね」
ポリクロームはお露が入ったコップを横に置いて言いました。
「そうなのね」
「中華料理は色々あってね」
「その中にはなのね」
「こうしたものもあるのよ」
「そうなのね」
「四川料理だよ」
カエルマンが答えました。
「これは」
「四川料理なの」
「このお料理は辛いものが多くて」
それでというのです。
「こうしたお鍋もなんだ」
「あるのね」
「そうなんだ」
「中国のお料理も色々ね」
「中国のお料理は種類が大きく四つか五つあって」
カエルマンはさらにお話します。
「四川料理はその中の一つだよ」
「そうなのね」
「かなり有名だよ」
中国のお料理の中でもというのです。
「北京、上海、広東等と並んでね」
「それぞれ中国の地域ね」
「そうなんだ、今のオズの国には中国系の人もいるし」
「中華街もあるわね」
「関羽さんや孫悟空さんもいるし」
こうした人達もというのです。
「中国のお料理もね」
「楽しめるのね」
「そうなんだ、では君はお露を飲んで」
そうしてというのです。
「そのうえで僕達はね」
「火鍋を食べるのね」
「杏酒を飲みながらね」
こう言ってでした。
皆で火鍋を食べました、すると。
その辛さにです、前ノーム王は驚きました。
「これはまた」
「辛いわね」
「麻婆豆腐を食べたことはあって」
トロットに言いました。
「坦々麺もだよ」
「食べたことがあるわね」
「うん、けれど」
それでもというのです。
「この辛さはね」
「別格でしょ」
「凄い辛さだ、けれど」
それでもというのです。
「美味しいよ、辛いのもね」
「いいわよね」
「ハンバーガーやホットドッグにマスタードもいいし」
「それもいいわね」
「山葵もいいよ」
こちらの辛さもというのです。
「お刺身の時のそれも」
「そしてお寿司でもね」
「そのイッソスのお寿司の時が楽しみだよ」
山葵のそれもというのです。
「とてもね」
「その時のことを楽しみにしていてね」
「そうさせてもらうよ」
「それじゃあね」
「そして」
さらに言う前ノーム王でした。
「ラムにこの辛さが」
「病みつきになって」
「飲む方も」
こちらもというのです。
「どんどん進むよ」
「私も。ジュースがね」
「進むんだね」
「私が飲んでいるのは林檎ジュースだけれど」
「それが進むと」
「とてもね」
まさにというのです。
「実に素敵よ」
「全くだね」
「しかし」
ここで言ったのはキャプテンでした、キャプテンも火鍋を食べて杏酒を飲んでいます。
「この杏酒もまた」
「美味しいのね」
「絶品だよ」
そこまで言えるものだというのです。
「本当にね」
「だからキャプテンも飲んでるのね」
「この通りね、それもロックで」
それでというのです。
「飲んでいるよ」
「それは何よりね」
「あとです」
恵梨香が言ってきました。
「ご飯にしたんですね」
「ご飯は普通のものですね」
神宝も言います。
「炒飯でなくて」
「中国のお料理の時ご飯は炒飯が多いですが」
ジョージも言いました。
「ここはそうされたんですね」
「辛い火鍋に合いますね」
カルロスはその火鍋を食べつつ言いました。
「おかずに最適ですね」
「辛いおかずですと」
ナターシャもおかずにしています。
「本当にご飯に合いますね」
「ええ、そう思ってね」
トロットが応えました。
「ご飯にしたの」
「火鍋に合わせてですね」
「物凄く辛いから」
「それで普通のご飯にして」
「一緒に食べる様にしたんですね」
「火鍋をおかずにして」
「ええ、ただ本来の火鍋はね」
こちらはといいますと。
「唐辛子の辛さが続くから」
「すぐに辛さが引く唐辛子にして」
「辛さが続かない様にしたんですね」
「それは大変だから」
「それで、ですね」
「そうされていて」
「本来は遥かに辛いから」
今の火鍋よりもというのです。
「そうしたの」
「そういうことですね」
「だから僕達も食べられますね」
「子供でも」
「食べられる辛さですね」
「それにしてくれたんですね」
「そうなの、私もね」
トロットにしてもというのです。
「本当にあの辛さは辛いからね」
「火鍋は本来もっと辛いんだね」
前ノーム王が尋ねました。
「そうなんだね」
「まさに火という位にね」
「赤いから火じゃないんだね」
「そうなの、辛さもね」
こちらもというのです。
「まさに火を噴く」
「そこまで辛いからなんだ」
「火鍋っていう名前なの」
「成程ね」
「辛いのはタイ料理やインドのカレーもだけれど」
ビリーナも言ってきました。
「四川料理も負けていないのよ」
「それで特に火鍋はだね」
「あんた達が今食べてるそのお料理はね」
ピーナッツを食べながら前ノーム王にお話しました、
「極めつけなのよ」
「そういうことだね」
「四川料理だと麻婆豆腐が有名だけれど」
それでもいうのです。
「一番辛いのは」
「これだね」
「そう言われてるわ」
「成程ね」
「あんた辛いものには慣れてるかしら」
「いや、そう言われるとね」
どうかとです、すぐに答えました。
「わしはまだまだだよ」
「そうなのね」
「今の火鍋にしてもだよ」
「美味しくてもなのね」
「これはって思ってるよ」
あまりもの辛さにというのです。
「本当にね」
「それじゃあね」
「これからは色々なものを食べて」
「辛いものもそうして」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「慣れていくよ」
「そうするのね」
「タイ料理やカレーも食べてね」
そうしてというのです、こう言ってでした。
前ノーム王は皆と一緒に辛いですが美味しい火鍋と杏酒とです。
デザートのマンゴープリンも楽しみました、そうして食事を楽しんでからでした。また旅に出ました。
そしてまた虹の橋を渡りますが。
今渡っている長い橋を渡って前ノーム王は言いました。
「虹の橋といっても色々だね」
「ええ、形も長さもね」
ポリクロームが応えました。
「造った人と川の幅に合わせてね」
「それぞれ違うんだね」
「そうなの」
まさにというのです。
「そうなったの」
「成程ね」
「そう、そして」
それでというのです。
「橋の長さは違っても幅は同じね」
「そうだね」
「それは道に合わせているの」
「オズの国のだね」
「黄色い煉瓦の道だね」
「そう、その道に合わせて」
そうしてというのです。
「幅は一つなのよ」
「そうだね」
「だからね」
さらにお話します。
「同じところもあるの」
「そうだね」
「オズの国では道の幅は同じよ」
そうだとです、トロットがお話しました。
「全部ね」
「統一してるんだね」
「黄色い煉瓦の道が一車線なのよ」
その幅だというのです。
「それでね」
「人の往来に合わせて車線を増やしていっているんだね」
「車にもね」
「それでわし等は今進んでいる道は」
「一車線よ」
そうだというのです。
「そうなのよ」
「基本はそうだね」
「ええ、だから虹の橋も」
これもというのです。
「幅はね」
「同じだね」
「そうよ、道の幅に」
それにというのです。
「他の度量衡もね」
「ああ、オズの国でだね」
「アメリカではポンドとかフィートが多いけれど」
「キログラムやメートルでだね」
「統一しているの」
「そうしているね」
「こうしたことは一つじゃないと」
「皆困るね」
「だからそうしてるの、それでね」
トロットはさらにお話しました。
「言葉や文字はオズの国は最初から皆同じでしょ」
「英語だね」
「そこは問題ないのよ」
「だから何もだね」
「政策としては何もしていないの、ただ他の国の言葉や文字もあるから」
そちらもというのです。
「拒まれてはいないの」
「わしはオズの国を征服するつもりだった」
前ノーム王はここでまたかつての自分を振り返りました。
「しかし」
「それでもなのね」
「そうしたことまでは」
「考えていなかったの」
「征服して」
そしてというのです。
「オズの国に君臨し」
「そしてなの」
「それで好き放題して」
「終わりだったの」
「その他のことは考えていなかった」
そうだったというのです。
「かつてのわしは、しかしオズマ姫もあんたも」
「ドロシーもベッツイもよ」
オズの国の王女達はというのです。
「皆そうよ」
「オズの国を素晴らしい国にする為にいつも考えている」
「今も素晴らしい国だけれど」
それでもというのです。
「もっとよくなるから」
「だからだね」
「もっとね」
「皆の為になる政治を考えて」
「実行していっているの」
「そうだね、わしにはそれがなかった」
どうしてもというのです。
「これでは駄目だった」
「オズの国をどう治めるか」
「そのことがだね」
「大事なのよ」
「全くだ、わしは何もかもが間違っていた」
かつてはというのです。
「やはりカリフの方がよかった」
「ノームの国の王様に」
「そしてだよ」
まさにというのです。
「わしはもう二度と邪な心を持ってはいけない」
「今の方が幸せでしょ」
「あの時のわしは全然幸せでなかった」
邪心に満ちてオズの国を征服しようとしていた時はです。
「本当に」
「それじゃあ今は」
「全く以てね」
本当にというのです。
「幸せだよ」
「そうよね」
「そして今以上に幸せになれるね」
「そうなれるわ、オズの国もね」
この国もというのです。
「今以上によくなるから」
「だからだね」
「私達は今もね」
「オズの国とそこにいる皆の為に」
「今以上にもっともっとね」
まさにというのです。
「そうなる為にね」
「やっていっているんだね」
「そう、だから」
それでというのです。
「これからもそうしていくわ」
「是非ね、しかし」
「しかし?」
「オズの国は今以上によくなるんだね」
「なるわよ、もっとね」
さらにというのです。
「いい国になるわ。完璧なんてものはないから」
「だからだね」
「今以上によくなって」
そうしてというのです。
「これからも」
「もっともっとよくなる」
「そうなるわ」
本当にというのです。
「だから励んでいくわ」
「ではわしはそのよくなっていくオズの国をだね」
「楽しんでね」
「そうさせてもらうよ」
前ノーム王は笑顔で応えました、そしてです。
そうしたお話をしてです、前ノーム王は。
川も見ました、橋の下にある川には。
色々な生きもの達がいます、お魚にザリガニに蛙に亀にです。
本当に沢山の生きもの達がいます、それで皆で言いました。
「生きものも豊富だね」
「そうだね、川の生きものが沢山いるね」
まさにとです、カエルマンも応えました。
「ここには」
「豊かな自然があって」
それでというのです。
「そのことでも素晴らしいよ」
「私もそう思うよ」
「そうだね、しかし」
「しかし?」
「いや、ふと川の中に入りたいと思ったけれど」
前ノーム王はここでは残念そうに言いました。
「しかしね」
「ああ、貴方は泳げないね」
「あまりね」
「それなら簡単だよ」
それならとです、カエルマンは前ノーム王に笑顔で答えました。
「よく泳げる様にね」
「努力すればいいね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「機会があったら海なりプールなりで」
「練習をするといいね」
「練習をすればだよ」
そうすればというのです。
「誰でも泳げる様になるから」
「わしもそうすれば」
「いいよ」
こう言うのでした。
「実際にね」
「上手に泳ぎたいなら」
「それならね」
「ではね、努力をすれば」
「する程よくなるんだ」
「政治もそうで」
「私達もだよ」
努力すればというのです。
「それでだよ」
「よくわかったよ、では」
「上手に泳げる様にだね」
「なるよ」
「水泳はいい運動でもあるしね」
カエルマンは笑ってこうも言いました。
「尚更だよ」
「やっていいことだね」
「歩いたりサイクリングもいいけれど」
「水泳もだね」
「いいよ、あと最近私は」
前ノーム王にさらにお話します。
「カヌーもしているんだ」
「そちらもかい」
「うん、漕ぐこともね」
こちらもというのです。
「楽しいよ」
「君は随分とスポーツマンなんだな」
「いや、そうでもないよ」
「しかし水泳にカヌーにと」
「これは蛙だからだよ」
だからだというのです。
「それでなんだよ」
「ああ、蛙は泳ぐ生きものだからね」
「それにジャンプもね」
こちらもというのです。
「するね」
「運動する生きものということだね」
「お腹は出ているけれどね」
そのお腹を笑って摩ってお話します。
「けれどね」
「元々動く生きもので」
「それでだよ」
「身体のだね」
「よく動かしているんだ」
そうだというのです。
「いつもね」
「そういうことだね」
「それと」
カエルマンはさらに言いました。
「今ジャンプと言ったね」
「そう、言ったよ」
「だから陸上競技もしているよ」
こちらもというのです。
「実はね」
「泳いでカヌーもして」
「そしてだよ」
「ジャンプをするからだね」
「棒高跳びも普通の跳躍もして」
そしてというのです。
「三段跳びもね」
「しているんだね」
「そうなんだ」
「成程、ではやっぱりあんたはスポーツマンだ」
前ノーム王はカエルマンにまたこう言いました。
「そう思うよ」
「自分ではそうは思わないけれどね」
「いつも楽しんでいるね」
「特に水泳はね」
こちらはというのです。
「二キロは泳いでいるよ」
「毎日だね」
「楽しくて楽しくてね」
「旅に出ていないとですね」
クッキーも言ってきました。
「いつもそうされていますね」
「そうだね」
「水泳が大好きなのね」
「お水もでね」
「やっぱりだ」
前ノーム王はあらためて言いました。
「カエルマンさんはスポーツマンだ」
「そうなるかな」
「毎日スポーツを楽しんでいるなら」
それならというのです。
「もうだよ」
「スポーツマンなんだね」
「まさにね」
「自分では思わないけれど」
それでもというのです。
「皆がそう思うなら」
「そうなるんじゃないか」
「確かに。しかしだからといって」
スポーツマンといってもというのです。
「特別でないし」
「スポーツを楽しんでいるからスポーツマンだね」
「そしてスポーツマンシップを守れば」
それでというのです。
「スポーツマンだから」
「それでだね」
「うん、特別でなくて」
「誰でもで」
「そういうことでね」
こうしたお話をしながらでした。
一行は虹の橋を次から次から渡っていきます、そしてです。
全ての橋を渡り終えてです、トロットは言いました。
「さて、これでね」
「橋は全部渡ったわね」
ポリクロームが応えます。
「ここにある虹の橋は」
「そうね、それじゃあ」
「次の場所に向かいましょう」
「そうしましょう」
こう言ってでした。
皆で次の場所に向かいました、多くの虹の橋を渡ってもまだ旅は続くのでした。