『オズのラゲドー王』




                第五幕  街を出て

 前ノーム王であるラゲドー氏を加えた一行はプレーリードッグの街を隅から隅まで見て回りました、そうして街を堪能してです。
 トロットは皆にこう言いました。
「ではね」
「街を後にするね」
「次の場所に行きましょう」
 キャプテン=ビルに笑顔で言いました。
「そうしましょう」
「うん、次の場所にね」
「それで山を越えたら」
 トロットは道のお話もしました。
「そうしたらね」
「その後はだね」
「ああ、あの家ね」
「ええ、少し行ったら巨人の夫婦のお家があるわ」
 クッキーはその家のことを聞いて言いました。
「かかしさんや樵さんが酷い目に遭った」
「ポリクロームもね」
「あの人達のところに行くのね」
「あの後懲らしめられてオズマに諭されて改心したから」
 だからだというのです。
「あそこに行ってもね」
「問題ないのね」
「平和よ」
 トロットはクッキーに笑顔でお話しました。
「もうね」
「そうなんだ、それじゃあね」
「ええ、今度はね」
「あの人達のところに行って」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「あの人達ともお話しましょう」
「それではね」
「ただ。山道だから」 
 このことも言うトロットでした。
「そのことは気をつけて」
「そうしてよね」
「進んでいきましょう」
「オズの国は色々な地形があるからね」
 カエルマンはこのことを言いました。
「だから平原もあればね」
「山道もあるわね」
「そうだね」
「ただ。黄色い煉瓦の道だから」
 オズの国の公道を進むというのです。
「問題はないわ」
「そうだね」
「ではこのまま行きましょう」
「それじゃあ今から出口に行くのね」
 ビリーナがトロットに尋ねました。
「そうするのね」
「そうするわ」
 実際にとです、トロットはビリーナにも答えました。
「これから」
「それではね」
「出入口は多い」
 前ノーム王がこのことを言ってきました。
「だから何処から出るかが大事だがどの出口なのかな」
「ええ、山の向こうのね」
 そこのというのです。
「正門と言える場所からね」
「出るんだね」
「そうするわ、こっちよ」
 その出口の方を指差して言いました。
「もう場所はわかっているから」
「そちらにだね」
「行きましょう」
 こう言ってでした。
 皆はトロットの先導を受けて街の出口に向かってです。
 街を出ました、するとギリキンの紫の木々に囲まれた黄色い煉瓦の山道がありました。一行は今度はその山道を進んでいきました。
 その中で、でした。 
 ナターシャは目の前に大きな湖が出て来たのを見ました、その湖が黄色い煉瓦の道を阻んでいます。道は向こう側にあります。
 その湖と道を見てです、ナターシャはトロットに尋ねました。
「ここは泳いで行くんですか?」
「安心して、船頭さんがおられるわ」
「そうなんですか」
「ええ、もうすぐ来るわよ」 
 トロットがこう言うとでした。
 小舟が来ました、その舟には。
 ギリキンの服を着たビーバーがいました、ビーバーはオールを手にして一行に笑顔で尋ねてきました。
「渡るのかな」
「ええ、お願いするわ」
 トロットはビーバーに笑顔で答えました。
「向こう岸までね」
「わかったよ、それでは乗ってくれ」 
 ビーバーも応えてでした。
 一行は小舟に乗って湖を進んでいきました、その湖を見ますと。
 水面から湖の中に沢山のお魚がいてです、川は木の枝で造られたダムでお水が堰き止められていてです。
 真ん中にやはり木の枝で造られた丸い何かがあります、ナターシャはそういった湖の中を見て言いました。
「ここはビーバーのダムとお家なのね」
「そうだね」 
 カルロスはナターシャの言葉に頷きました。
「ここは」
「アメリカの湖やお池だね」  
 ジョージはその湖の状況を見て言いました。
「ここは」
「ビーバーはこうして生活を送っているんだよね」 
 神宝も言ってきました。
「オズの国でも」
「そうね、湖やお池にダムを造ってね」 
 恵梨香も言います。
「お家も造るのね」
「そうだよ」
 ビーバーも答えます。
「あの湖の中のものがわしの家でね」
「そうなのね」
「そして水を堰き止めているのがダムだよ」
「やっぱりそうね」
 ナターシャはビーバーの言葉に笑顔で応えました。
「貴方のものなのね」
「そうなんだ、ただね」
「ただ?」
「わしはお水の中では服を脱いでね」 
 そうしてというのです。
「水着になってだよ」
「泳いでいるのね」
「そうなんだ、わしは泳ぐのが大好きで」
 それでというのです。
「得意なんだ」
「そうなのね」
「ここでの暮らしは楽しいよ」
 湖の中でのそれはというのです。
「本当に」
「快適なの」
「こんないいものはないよ」 
 ナターシャに笑顔でお話します。
「だからここに一家でだよ」
「楽しく暮らしているのね」
「ずっとね、そして人が来れば」
 その時はというのです。
「こうしてだよ」
「渡し守をしているの」
「そうだよ」
 実際にというのです。
「わしはね」
「成程ね」
「わしは泳げないから有り難いよ」
 前ノーム王は笑顔で述べました。
「舟で渡してくれて」
「誰か来たら絶対にそうしているよ」
「そうなのだね」
「そう、そして」
 それにというのです。
「泳げない人でもだよ」
「わしみたいにだね」
「練習をすれば泳げるよ」
「そうなるんだね」
「誰だってそうだよ」
「そうなんだね」
「だからね」 
 ビーバーは前ノーム王にさらに言いました。
「あんたもよかったら」
「水泳の練習をしてだね」
「泳げる様になればいいよ」
「そういうことか」
「うん、それと」
 前ノーム王にさらに言います。
「あんた別にお水に弱いとかはないね」
「ノームは西の魔女とは違うよ」
 前ノーム王は笑顔で答えました。
「だからね」
「別にお水に弱くはないね」
「普通の人間と変わらないよ」
 身体のことはというのです。
「これといってね」
「そうなのだね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「ノームは地中に暮らしているからね」 
 だからだというのです。
「その為に泳ぐことはね」
「縁がないんだね」
「地底湖や川はあっても」
 地中にもというのです。
「地上程多くはないからね」
「だからだね」
「そう、どうしてもね」
 ノームはというのです。
「泳げない者が多いんだ」
「成程ね」
「そしてわしもだよ」
 前ノーム王もというのです。
「そうなのだよ」
「泳げないんだね」
「うむ、しかし泳げた方がいいね」
「それに越したことはないよ」
 ビーバーは前ノーム王に答えました。
「やはりね」
「そうだね」
「ビーバーは湖やお池で暮らしているから必須にしても」
「ノームにしても」
「泳げれば」
 それでというのです。
「やはりだよ」
「それでは」
「あんたがそうしたいなら」
「そうさせてもらうよ」
 こうしたお話もしてでした。
 皆は小舟で湖を渡ってでした、向こう岸の黄色い煉瓦の道に着きました。そして皆でビーバーと手を振り合って分かれてです。
 再び歩きはじめました、すると。
 木の上にチチッと鳴く音が聞こえてでした、そこにいたのは。
 一匹の栗鼠でした、その栗鼠を見て前ノーム王は言いました。
「いや、栗鼠も見られるとはね」
「嬉しそうですね」
 ナターシャが言ってきました。
「栗鼠を見られて」
「嬉しいよ」
 実際にという返事でした。
「わしの家の周りにはあまり出ないからね」
「だからですか」
「うん、そして」
 前ノーム王はさらに言いました。
「ノームは地中にいるね」
「はい」
 そうだとです、ナターシャは答えました。
「地中に栗鼠はいないですね」
「栗鼠は森で暮らしているね」
「住んでいる場所が違うので」
「それでなんだ」
 こうお話するのでした。
「栗鼠を見ると珍しくてね」
「今みたいにですね」
「嬉しいんだ」
「そうなんですね」
「うん、オズの国は自然が豊かで」
 こうも言うのでした。
「色々な景色や生きものが見られて」
「それで、ですね」
「嬉しいよ」
 本当にというのです。
「だから旅も好きなんだ」
「オズの国のあちこちをそうすることも」
「そうなんだ、征服なんかしなくても」
 オズの国をというのです。
「充分以上にだよ」
「楽しめますか」
「そうだからね」
 それでというのです。
「わしはだよ」
「もう征服とかはですね」
「どうでもいいよ」
 全く、そうした口調での言葉でした。
「一切興味はないよ」
「興味があるのはお食事と旅ね」
「そして宝石だよ」
「その三つね」
「宝石はわしが行くところには絶対にあるよ」
「そうなの」
「すぐに見付けることが出来るんだ、ほら」
 笑顔で言うとでした、ふと。
 一行は足下に三センチ位の大きさのトルコ石を見付けました、一見すると只の石でしたが前ノーム王が手に取って取り出した布で磨きますと。
 すぐに奇麗なトルコ石になりました、前ノーム王はそのトルコ石を見せてそのうえでナターシャ達に言いました。
「あったね」
「うわ、本当ですね」
「それトルコ石じゃないですか」
「まさかこんなところにあるなんて」
「一見すると只の石だったのに」
「トルコ石だったんですね」
「そうだよ」
 実際にというのです。
「ノームは宝石を見付けられて」
「そしてですか」
「磨くとですか」
「奇麗な宝石になる」
「そうなんですね」
「ラゲドーさんはそうされると」
「ノームだからね」 
 それでというのです。
「普通の石と宝石を見分けられて」
「磨けば」
「それで、ですね」
「その石が宝石になる」
「そうなんですね」
「ラゲドーさんの場合は」
「そうだよ、さてこれはどうしようかな」
 そのトルコ石を見ながら言います。
「一体」
「貴方が拾って磨いたから貴方の好きにすればいいわ」 
 トロットは宝石を手にしている前ノーム王に笑顔で言いました。
「そうすればね」
「それでいいんだね」
「私はそう思うわ」
「だったらね、これもお家に持って帰って」
「そしてなのね」
「飾るよ」
 そうするというのでした。
「お家をね」
「そうするのね」
「それでいいかな」
「いいと思うわ、貴方のものだから」
 それでというのです。
「もうね」
「わしの好きにすればいいんだね」
「そうしたらいいわ」
「ではね。いやこの森でもいいことがあったね」
 こうも言った前ノーム王でした。
「栗鼠を見られてね」
「そしてなのね」
「うん、トルコ石も手に入れて」 
 それが出来てというのです。
「二つもいいことがあったよ」
「それは何よりね」
「うん、ではこのままね」
「旅を進めていくわね」
「皆と一緒にね」
 そうするというのです。
「これからもいいことがあるから」
「だからよね」
「先に進んでいくよ、あとね」
「どうしたの?」
「いや、このお昼だけれど」
 ここでこうも言った前ノーム王でした。
「何を食べるのかな」
「そうね、何でも出せるけれど」
 トロットは前ノーム王の言葉を受けて言いました。
「皆がそれぞれ好きなものをね」
「出してくれるんだ」
「そうさせてもらおうかしら」
「ではわしはカルボナーラかな」
 前ノーム王はトロットの言葉を受けて言いました。
「それをいただこうかな」
「カルボナーラなの」
「それを食べてね」
 そしてというのです。
「楽しませてもらおうかな」
「カルボナーラね」 
 このスパゲティと聞いてです、トロットは前ノーム王を見てそれはなってお話しました。
「貴方卵は本当に」
「平気になったよ」
「そうよね」
「うん、それでカルボナーラもだよ」
「食べられるのね」
「あの生クリームにベーコン、黒胡椒もよくて」
「勿論大蒜とオリーブオイルは欠かせないわね」
 トロットは笑顔で応えました。
「この二つも」
「それはパスタならだね」
「そうね、それでカルボナーラは」
「卵の黄身もだけれど」
「卵が大丈夫になったから」
「楽しめる様になっているんだ」
 こうトロットにお話しました。
「今のわしは」
「そういうことね」
「うん、だからね」
 それでというのです。
「わしもだよ」
「お昼はカルボナーラね」
「そうしようかな」
「いいと思うわ。じゃあ私は」
 トロットは自分のことを考えました。
「シーフードがいいかしら」
「ああ、君はそれだね」
「そちらのパスタでね」
「それもいいね、ではね」
「お昼はね」
「それぞれの好きなものを楽しもう」
 こうしたお話もしつつ進んでいきました、そうしてです。
 実際にお昼になってです、皆は。
 それぞれ好きなものを食べました、それで前ノーム王はカルボナーラを食べました。そしてその他にです。
 ソーセージにザワークラフトそしてラザニアも食べますが。
「ドイツ料理とイタリア料理ね」
「そうだね」
 クッキーとカエルマンはそのメニューを見て言いました。
「この組み合わせは」
「ええ、そして私達は」
 クッキーは自分達の料理を見ました。
「ローストチキンにフィッシュアンドチップスね」
「そしてパンとお野菜のシチュー」
「イギリス料理ね」
「そちらだね」
「あの、イギリス料理って」
 ナターシャが言ってきました。
「オズの国でも」
「あまり見ないね」
「はい、どうも」
「?゜てィングもあるけれどね」
「ローストビーフとかもですね」
「オズの国は色々な人がいてね」
「色々な食べものがあるので」
 それでなのです。
「イギリス料理になると」
「あまりだね」
「これといってないですね」
「食べる機会はね。けれどちゃんと調理されたものなら」
「イギリス料理もですね」
「美味しいよ」
 カエルマンはにこりと笑って言いました。
「そうなんだよ」
「確かにそうですね」
「いや、イギリスで食べたけれど」
 キャプテンは今はトムヤンクンを食べています、見ればタイ料理を食べています。
「あまりね」
「美味しくなかったんだね」
「そうだったんだ」
 こうカエルマンにお話しました。
「これがね」
「そうだったんだね」
「どのお料理も」
「オズの国で美味しうないものは」
「ないね」
「私が知る限りね」
 そうだというのです。
「ないね」
「しかしイギリスはね」
「そんなになんだね」
「他のものはよくても」
 それでもというのです。
「こと料理については」
「イギリスはだね」
「お世辞にもだよ」
「よくわかったよ」
「オズの国にいると味覚がどんどんよくなっていくのよね」
 トロットが笑顔で言ってきました。
「美味しいものばかり食べて」
「そうだね」
 キャプテンはトロットの言葉に頷きました。
「確かに」
「キャプテンもそうよね」
「そうだよ、ただこの国は食べない人もいるね」
「かかしさんや樵さんね」
「つぎはぎ娘にジャック、ガラスの猫や木挽きの馬もで」
「チクタクもね」
 トロットは彼の名前も挙げました。
「そうした人もいるわね」
「そこもオズの国だね」
「そうよね」
「オズの国は色々な人がいるから」
 クッキーはピザを食べつつ言いました。
「だからなのよね」
「そうね、そんな人もいるのよね」
「中にはね」
「美味しいものばかりでね」
「それでいて食べる必要がない人もいる」
「そこは本当にオズの国だね」
「そうよね、ポリクロームは」
 クッキーは虹の妖精の名前も出しました。
「食べるというか飲むだけね」
「露をね」
「それだけで食べられるわね」
「そうよね」
「色々な人がいて皆が幸せに暮らしている」
 ビリーナは茹でられたトウモロコシの粒達を食べつつ言いました。
「それがオズの国よ」
「そういうことだね」
 前ノーム王も応えました、見ればカルボナーラの他にはトマトとアボガドがたっぷり入ったサラダに鴨のグリルも食べています。
「まさに」
「あんたも今はそうだしね」
「何の不平も不満もなくね」
 それでというのです。
「楽しくだよ」
「暮らしているわね」
「毎日ね」
 そうだというのです。
「そうしているよ」
「宝石も手に入れながら」
「そうしてね」
「それは何よりね」
「しかしまずいとはどういうことかな」 
 前ノーム王はこのことについて考えました。
「一体」
「要するに口に合わないことよ」
 トロットが答えました、サンドイッチをとても美味しそうに食べています。
「まずいっていうことは」
「食べてだね」
「自分のお口に合わない」
「そういうことなんだ」
「そうよ」
 まさにというのです。
「簡単に言うとね」
「そういうことだね」
「僕最初は納豆が合わなくて」
 神宝は水餃子を食べつつ言いました、傍には青椒肉絲もあります。
「最初は困ったよ」
「僕もだよ」
 ジョージはハンバーガーを食べています、マッシュポテトもあります。
「あれは慣れるまでに時間がかかったよ」
「梅干しや海苔や塩辛も」 
 カルロスはステーキとサラダです、五人の中で一番沢山食べています。
「合わなかったね」
「外国から来た人は皆そう言うのよね」 
 お握りとお味噌汁を食べつつです、恵梨香は言いました。
「納豆とかは」
「まずいというよりも」
 ナターシャはボルシチと一緒に黒パンを食べています。
「何これ、だったわ」
「わしも納豆は知っているよ」 
 前ノーム王は笑ってこう言いました。
「あれは確かに凄いね」
「そうですよね」
「匂いはきつくて糸を引いていて」
 前ノーム王はナターシャに応えました。
「かなり、ですよね」
「そして味もね」
「お口の中でその匂いと糸が充満して」
「これはないとね」
 その様にというのです。
「思える位だよ」
「そうだよね」
「けれど慣れますと」
「というかお口の中に入れるとだよ」
「あっ、オズの国はどの食べものも美味しいので」
「納豆もね」
 この食べものもというのです。
「とてもね」
「美味しいですか」
「だからだよ」
「お口の中に入れますと」
「これは美味いとなったよ」
「そうなんですね」
「考えてみればチーズも」 
 前ノーム王はこちらの食べものもお話に出しました。
「匂いが凄いものがあるね」
「ウォッシュチーズですね」
「あのチーズはかなりきついね」
 その匂いがというのです。
「そうだね」
「はい、物凄く」
「そう考えるとね」
「納豆もですね」
「ありだよ」
 そうだというのです。
「わしはそう思うよ」
「そうですか」
「うん、しかし美味しいものを満喫出来ることも」 
 こうも言った前ノーム王でした。
「オズの国ならではだね」
「本当に今の状況に満足しているのね」
 トロットは笑顔で語る前ノーム王を見て微笑みました。
「そうなのね」
「この通りね」
「それは何よりよ。それならね」
「これからもだね」
「そうして暮らしていってね」
「是非そうさせてもらうよ」
 前ノーム王は満面の笑顔で答えました、そうしたお話をしながらです。
 皆でお昼ご飯を楽しんで食べ終わってまた歩きはじめました。そうしてギリキンの森を進んでいますと。 
 前ノーム王は今度は野兎を見付けて言いました。
「今度は兎だね」
「待って、野兎の横に」
 ビリーナがその茶色の毛の兎を見て続きました。
「ナキウサギもいるわよ」
「あの小さな兎だね」
「ええ、あの兎もいるわよ」
「そうだね」
「いや、ここでナキウサギもいるなんてね」
 その小さな、耳もそうである兎を見て言うのでした。
「思わなかったわ」
「全くだね」
「あれっ、ここは結構暖かいのに」
 ナターシャはナキウサギを見て意外というお顔になりました。
「ナキウサギがいるの」
「オズの国では何処でもいるわよ」
 クッキーが言ってきました。
「ナキウサギはね」
「そうなんですね」
「というか外の世界では違うのね」
「寒いところにいます」
 ナターシャは外の世界でのナキウサギのお話をしました。
「ナキウサギは」
「そうなのね、けれどね」
「オズの国ならですね」
「何処でもいるわよ」
 そうだというのです。
「そうなのよ」
「そういえば」
 ここでトロットが言いました。
「オズの国では何処でもライオンがいるわ」
「そうでしたね」
「臆病ライオンもでしょ」
「はい、ライオンは寒い場所にはいないですね」
「外の世界ではね」
「けれどオズの国ですと」
「何処でもいるわね」
「そうですね」
「そして海でもね」
 こちらでもというのです。
「ペンギンが何処でもいるわね」
「オオウミガラスにしても」
「どちらの鳥も外の世界では寒い場所ね」
「そうですね」
「けれどいるし」
 オズの国の海の何処にもです。
「そう考えるとね」
「オズの国ではですね」
「外の世界と違って」
 それでというのです。
「色々な生き物がどの場所にもいるのよ」
「そうした国なんですね」
「お伽の国だから」
 それ故にというのです。
「そうしたことも普通なのよ」
「そういうことですね」
「それにね」
 さらに言うトロットでした。
「オズの国にしかいない」
「そうした生きものも多いですね」
「カバキリンもカリダも」
 こうした生きものもというのです。
「そうでしょ」
「はい、確かに」
 ナターシャも頷きました。
「外の世界ではもういない生きものも」
「さっきお話に出たオオウミガラスもでね」
「あの鳥もだね」
 キャプテンが指差した木の枝の先にはです。
 黄色くて青いものもあるお口が歯になっている鳥がいました、その鳥は一体何かといいますと。
「始祖鳥もね」
「凄いですね」
「オズの国始祖鳥もいるんですか」
「恐竜の時代にいた鳥ですよ」
「凄い鳥じゃないですか」
「オズの国にはあの鳥もいるんですね」
「そうだよ、恐竜もいるし」
 それにというのです。
「外の世界では幻想の世界だと言われる生きものもいるね」
「ユニコーンとかペガサスも」
「それに妖怪がいて」
「ドラゴンもいますし」
「そして他にもですね」
「色々な生き物がいますね」
「そうだよ、スライムだってそうだし」
 草原にいたこの生きもの達もというのです。
「他にもだよ」
「色々な生きものがいる」
「それがオズの国ですね」
「こうした場所にナキウサギもいて」
「始祖鳥までいる」
「そうした国ということですね」
「いや、生きもの達を見るだけでもいいね」
 前ノーム王も始祖鳥を見ています、勿論ナキウサギも見ています。
「旅は」
「全くだね、後でサバンナにも行くし」
 カエルマンも言いました。
「そこでもだよ」
「色々な生きものが見られるね」
「そして楽しめるよ」
「サバンナに行けば」 
 前ノーム王はこの時のお話もしました。
「ライオンやヌーやサイがいるね」
「ガゼルもだね」
「象やキリンもいてね」
「あちらの自然も素晴らしいね」
「全くだね」
「ではね」
「そちらにも行こう」
 こうしたお話をしつつです、森の中を進んでいきました。この日は森の中を進んでいって森の中で休んで。
 次の日はでした。
 一行は森の中にあるトンネルに入りました、ここでです。
 前ノーム王は天井を見上げて言いました。
「蝙蝠が沢山いるね」
「そうね」
 トロットもトンネルの上を見て言いました。
「ここにも生きものがいるわね」
「いや、蝙蝠もいいね」
「そうよね」
「わしは蝙蝠も好きなんだ」
 今は天井に逆さまになって停まっている蝙蝠達を見上げて言いました。
「この生きもの達もね」
「蝙蝠っていうと」
 ナターシャがここで言いました。
「ドラキュラ伯爵の」
「あの人ならオズの国にいるわよ」
 トロットが答えました。
「狼男もフランケンシュタインもね」
「皆オズの国の住人ですか」
「ミイラ男もいるし」
 それにというのです。
「ゾンビもね」
「皆いるんですね」
「オズの国ではね」
「映画スターとして人気があるから」
「だからなのよ」
「ドラキュラ伯爵達もなんて」
「皆紳士よ」
 トロットはこのこともお話しました。
「凄くね」
「そうなんですね」
「別に怖くないんですね」
「モンスターでも」
「オズの国なら」
「そうなんですね」
「ええ、全くね」
 五人に笑顔で言いました。
「オズの国だからね」
「あと彼等はお昼でも元気だよ」
 キャプテンはこのこともお話しました。
「基本夜が好きでもね」
「あれっ、ドラキュラ伯爵は夜なのに」
「狼男も満月を見て変身するのに」
「それでもですか」
「お昼でもですか」
「元気なんですか」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「お昼にお話も出来るよ」
「あと皆血を吸うことはしないから」
 トロットはさらにお話しました。
「トマトジュースや苺ジュースが好きなの」
「吸血鬼でもですね」
「血を吸わないで」
「そうしたジュースを飲むんですね」
「赤いジュースを」
「そうなんですね」
「ヘルシーよ。それで妖怪博士さんとも仲良しなの」
 あのかつては日本の漫画家さんだった人ともというのです・
「そうなの」
「ああ、モンスターは妖怪なので」
「だからですね」
「妖怪博士さんとも仲良しですね」
「あの人とも」
「そういうことですね」
「あの人は全ての妖怪とお友達だから」
 妖怪博士さんはというのです。
「そうなのよ」
「あの人は凄いね」
 カエルマンも言うことでした。
「妖怪のことについては誰よりも博識だよ」
「あの人は地中にもよく来られるそうだね」
 ここで前ノーム王も言って来ました。
「カリフも言っているよ」
「そうなんだね」
「そう、それでね」
 カエルマンにさらにお話します。
「地中の妖怪のこともね」
「詳しいんだね」
「あれだけ妖怪を愛している人はいないよ」
 前ノーム王も認めることでした。
「だから今では妖怪博士になっているんだね」
「かつては日本で漫画家さんでね」
「そうだね、夢のある人はオズの国に来ることが出来る」 
 こうも言いました。
「素晴らしいことだよ」
「今はあんたも夢があるわね」
 ビリーナも上を見上げています、そうして天井の蝙蝠達を見つつ言うのでした。
「そうね」
「だから今こうしてだね」
「オズの国を楽しめているのよ」
「そういうことだね」
「ええ、そしてね」
 それにというのです。
「あんた蝙蝠の習性は知ってるわね」
「お昼はこうして寝てね」
「夜に動くのよ」
「そうだね」
「だからお昼は」
 この時はというのです。
「寝ているのよ」
「しっかりとね」
「そして夜になったら」
「ここから飛び立って」
「そして動き回るのよ」
「そうだね」
「あと蝙蝠は飛ぶけれど」
 それでもというのです。
「鳥じゃないわよ」
「哺乳類、獣だよ」
「そうなのよ」
「飛ぶから鳥とは限らない」
「飛ばない鳥もいるでしょ」
「君もそうだね」
「鶏は跳べるけれど」
 それは出来るけれどなのです。
「飛べないわ」
「そうだね」
「ペンギンや駝鳥もそうで」
 そしてというのです。
「ドードーもよ」
「あの鳥もだね」
「飛べないわよ」
「そうだったね、わしはドードー鳥が大好きなんだよ」
「あら、そうなの」
「わしと体型が似ているからね」
 だからだというのです。
「好きなんだ」
「そういうことでなの」
「太っているね」
 どーどー鳥はというのです。
「丸々と」
「それですぐにわかるわ」
 ドードー鳥はとです、ビリーナも答えました。
「誰でもね」
「あの太った体型が似ているからね」
「あんたあの鳥が好きなのね」
「そうなんだ、だからね」
 さらに言う前ノーム王でした。
「見ることが出来たら」
「それでなのね」
「やっぱり幸せな気分になれるよ」
「そのことでもなのね」
「幸せになれるんだ」
 そうだというのです。
「わしはね」
「何でも幸せになれるならいいわね」
「そうだね」
「ささやかなことでも」
 それでもというのです。
「幸せになれたら。そしてそれが多ければ」
「これ以上のことはないね」
「全くよ、私だってね」 
 ビリーナにしてもです。
「それでね」
「幸せなんだね」
「あんたと一緒でね」
「成程ね。何かあんたとは馬が合うね」
 前ノーム王はビリーナを見て笑顔で言いました。
「どうもね」
「そうね、最初はね」
「卵を産むからね」
「その卵が駄目でね」
「わしはあんたが怖くて仕方なかったよ」
「私もあんたが大嫌いだったわ」
 ビリーナはそうでした。
「もうお互いに駄目だったわね」
「けれどそれが今では」
「こうしてね」
「馬が合うからね」
「変われば変わるものね」
「それもよくね」
「何でもいい方に変わる」
 これがというのです。
「オズの国だから」
「わし等の関係も変わったんだね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「そちらもね」
「あんたはそんなに変わってないと思うが」
「性格はね」
「より明るく利発になったがね」
 それでもというのです。
「根っこからはだね」
「そうね、けれどあんたはね」
 前ノーム王はというのです。
「根っこから変わったから」
「それでだね」
「私達の関係も変わったのよ」
「一方が変わると関係自体が変わることもあるね」
「そういうことね、それでね」
 ビリーナは前ノーム王にさらに言いました。
「このトンネルを抜けてもね」
「そう、旅は続くね」
「じゃあどんどん進んでいきましょう」
「イッソスの国までね」
 笑顔でこう話してでした。
 そのまま蝙蝠達が天井にいるトンネルを進んでいきました、そしてそのトンネルを越えるとまた森の中を進んでいくのでした。








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