『オズのラゲドー王』




                第二幕  山に向かって

 皆はエメラルドの都を出ました、ここでカエルマンは言いました。
「今回の旅は特に急がなくてだね」
「そう、イッソスの国まで歩いてだよ」
 キャプテン=ビルはカエルマンに答えました。
「行くんだ」
「そうだね、では皆でのんびりとだね」
「イッソスの国まで歩いてね」
「気長に歩いていこう」
「そうしよう」
「お寿司を食べたい気持ちはあっても」
 それでもとです、カエルマンはその目をにこにことさせて言いました。
「けれどね」
「旅を楽しむこともだね」
「ちゃんとして」
 そしてというのです。
「行こうね」
「そうしようね」
「それじゃあ今日のお昼も楽しみましょう」 
 トロットはにこりとして言いました。
「そうしましょう」
「そうね。お昼は何がいいかしら」
「魔法のテーブルかけで何でも出せるから」
 トロットは自分が持っているオズの魔法の道具の一つのことをトロットにお話しました。
「だからね」
「何でも食べられるのね」
「好きなだけね」
「では何でもね」
「ええ、出してね」
 そしてというのです。
「楽しみましょう」
「それがいいわね」
「私はコーンがいいわ」
 ビリーナはこちらでした。
「今日はね」
「貴女はそちらね」
「ええ、ではお昼のことを楽しみにして今は」
「歩くことと景色を楽しみましょう」
「それがいいわね」
「オズの国の旅は何度もしていますけれど」
 ナターシャは周りの景色を見回しながら言いました、都を出て今は緑の草原の中の黄色い煉瓦の道を歩いています。草原にはバイソンが沢山います。
「素敵な景色ばかりですね」
「そうよね。どんな景色もね」
 トロットはナターシャに応えました。
「オズの国はね」
「素敵な景色ですよね」
「奇麗でね」
「そうですよね」
「この場所もね」
 トロットも草原とバイソン達を見て言いました。
「こうしたね」
「素敵な場所なんですね」
「そうなの、それでね」
 トロットはさらに言いました。
「この道は少し特別で」
「特別っていいますと」
「途中で一旦プレーリードッグの穴に入るの」
「プレーリードッグのですか」
「そうなの、途中で山があって」
 それでというのです。
「その中がね」
「プレーリードッグの穴ですか」
「山の中全体が街になっているの」
「プレーリードッグのですね」
「そうなの」
「そういえば」
 ここで、です。神宝が言いました。
「プレーリードッグは群れで穴の中で暮らしていますね」
「その穴が広くて沢山の通路とお部屋に分かれてるんだ」
 ジョージはアメリカ人、プレーリードッグがいる国の生まれなのでよく知っています。
「群れの数も多くてね」
「そうした生きものだから」
 カルロスも言いました。
「山の中全体が街になっているんだね」
「凄い場所を通るのね、私達は」
 恵梨香の言葉はしみじみとしたものでした。
「どうにも」
「そうね、けれど普通は山を越えるのに」
 ナターシャはここでこう考えて言いました。
「この道は山の中を進んでいくのね」
「ええ、プレーリードッグの方から申し出があって」
 ビリーナが言ってきました。
「そうしてなのよ」
「山の上を進んで越えるんじゃなくて」
「それでね」
「山の中をなのね」
「進んで」
 そしてというのです。
「行くの」
「そうなったの」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「この道ではね」
「山の中を進むのね」
「そうなのよ」
「成程ね」
「あんた達プレーリードッグの街に入ったことないでしょ」
「ええ、それはね」
 ナターシャはすぐに答えました。
「なかったわ」
「そうよね」
「けれどここはオズの国だから」
 それでというのです。
「そうしたこともね」
「あるのね」
「そう、だからね」
「今回はいい機会だから」
「中に入ってみるのね」
「そうしましょう、この旅ではね」
「わかったわ、それじゃあね」 
 ナターシャはビリーナに応えました。
「イッソスの国に行く前に」
「プレーリードッグの街に行きましょう」
「わかったわ」
「プレーリードッグはこの世界でも平原で暮らしているけれど」
 トロットも言ってきました。
「けれどね」
「それでもですか」
「その山は平原の終わりにあって」
「それでなんですか」
「プレーリードッグ達もね」
 それの彼等もというのです。
「平原に街を造ろうとしたら」
「そうしたらですか」
「山に入って」
「それで山全体にですか」
「街が造られたのよ」
「そしてその山が通り道ですね」
「そうなっているの」
「そうですか」
「そう、そして」
 それでというのです。
「その街も楽しみましょう」
「わかりました」
「それでね」
 ここで、でした。トロットはさらに言いました。
「その街には色々な地中で暮らしている人達が出入りしているの」
「あっ、地中の世界ともつながっているんですね」
「そうなっているから」
 そうした街だからだというのです。
「その人達とも会ってね」
「わかりました」
「いや、オズの国は素敵な国だね」
 カエルマンの今の言葉はしみじみとしたものでした。
「地上だけでなくね」
「海も空も色々な人がいてね」
 キャプテンが応えました。
「そして地中にもだから」
「そこに様々な人がいて」
「様々な国や街があってね」
「面白いね」
「全くだよ」
「そしてこれから地中に入って」
 そしてと言うカエルマンでした。
「その中を見て」
「そこにいる人達と会ってお話もしよう」
「そうしようね」
 こうしたお話をしつつです。
 皆は平原の中の道を歩いていきます、すると遠くに山脈が見えました。ナターシャはその山脈を見て言いました。
「あの山の中に」
「そうよ、プレーリードッグの街があるのよ」
 ビリーナがお話しました。
「そうなのよ」
「そうよね」
「一つの山の中全体がそうなっているの、結構大きい山だけれどね」
「それだとね」
 ナターシャはそのお話を聞いて言いました。
「ピラミッドみたいね」
「言われてみればそうね」
 ビリーナも否定しませんでした。
「大きなね」
「そうよね」
「そうね、ただ山の中もその下にもね」  
 山のそこにもというのです。
「街は拡がっているのよ」
「物凄く大きな街なの」
「オズの国で言うと基準と言っていいかしら」
 そこまでだというのです。
「もうね」
「そんな街なのね」
「そうよ、オズの国はエメラルドの都の周りに四つの国があって」
「マンチキン、ギリキン、ウィンキー、カドリングのね」
「その中にも外にも沢山の小さな国があるわね」
「ええ、本当にね」
「それでその中にね」
 ナターシャにさらにお話しました。
「プレーリードッグの街もあって」
「そしてその街がなのね」
「国と言っていい位ね」
 オズの国ではというのです。
「それだけの規模ね」
「そうなのね」
「山の中もかなりのもので」
「山の下もなのね」
「むしろ山の中より遥かに拡がっていて」
 そうしてというのです。
「そこでオズの国の地中の色々なね」
「国とつながっているのね」
「ドワーフやダークエルフの国もあって」
 そしてというのです。
「ノームの国ともね」
「つながっているのね」
「あのカリフ王との国ともね」
 今のノーム王のお名前も出ました。
「そうなのよ」
「何か色々凄い街ね」
「オズの国だからよ」
 ビリーナは笑ってこうも言いました。
「それでなのよ」
「色々なものがあるのね」
「そうなの」
 まさにというのです。
「この国はね」
「お伽の国だから」
 こう言ったのはクッキーでした。
「不思議なことが幾らでもあるのよ」
「そういうことですね」
「ええ、それとね」
 クッキーはナターシャにさらに言いました。
「イッソスの国自体もそうでしょ」
「不思議ですね」
「お伽の国だから」 
 それでというのです。
「あの国もよ」
「前に一度訪問しましたけれど」
「今回もね」
「そうですね」
「ではこれからどんどんね」
 クッキーは笑顔で言いました。
「不思議を見て経験していきましょう」
「オズの国の不思議をですね」
「そうしていきましょう」
「わかりました」
「早速その不思議がやって来たわよ」
 トロットが言うとでした。
 草原にバイソン達以外に見えてきました、それはといいますと。
「スライム達がね」
「あっ、そうですね」
「ゼリーみたいなスライムですね」
「そのスライム達も草原にいますね」
「プルプルして動いてますね」
「如何にもスライムですね」
「オズの国にもスライムがいてね」
 トロットはナターシャ達五人に笑顔でお話しました。
「結構あちこちにいるのよ」
「そうですよね」
「オズの国には色々な生きものがいて」
「スライムもいますね」
「それでこうしてですね」
「草原にもいますね」
「スライムは色々な場所にいて」
 そしてというのです。
「こうしてね」
「色々な場所で見られる」
「そうなんですね」
「エメラルドの都の草原にもいて」
「僕達も見られるんですね」
「そうなの。それで種類もね」
 スライムのそれもというのです。
「沢山いるのよ」
「ここにいるスライムは緑のグリーンスライムだけれど」
 カエルマンもお話しました。
「赤や青、紫、黄色とあってね」
「それぞれの国のスライムがいてね」
 トロットがまたお話しました。
「他にも黒、白、灰色、ピンク、橙、他にも色々なスライムがいるのよ」
「それで色々な場所にいて」
「オズの国で暮らしているの」
 トロットはキャプテンと一緒にお話しました。
「他にも色々モンスターと言われる生きものがいて」
「スライムは特に多いね」
「それで何もしないんですね」
 ナターシャはこのことを尋ねました。
「人を襲ったりも」
「絶対にしないよ」
 今度はカエルマンが答えました。
「ここはオズの国だから」
「だからですね」
「そう、平和な世界でもあるから」
 ただお伽の国であるだけでなくです。
「だからね」
「人を襲ったりもしないですね」
「だから近寄ってもね」
「安全ですね」
「うん、それは他の生きものと同じだよ」
「そういえばカリダも」
 かつて恐れられていたこの獣もです。
「今ではですね」
「人を襲ったりもね」
「しないですね」
「穏やかになったよ」
 かつてと違ってです。
「本当にね」
「最初はとても狂暴だったのに」
「オズの国もどんどん変わってね」
「今では皆穏やかですね」
「全ての生きものがそうなったよ」
「そういうことですね」
「それとね」
 カエルマンはこうも言いました。
「文明もね」
「進歩しましたね」
「そうなったのは面白いことに」
 こうも言うカエルマンでした。
「ドロシー王女が来てからね」
「その時からですね」
「オズの国が穏やかになって」
「そこにいる皆が」
「前以上にね、そしてね」
「そうしてですね」
「色々な人がやって来て」
 トロットとキャプテンも見ました。
「オズの国の人達も出て来て」
「カエルマンさんにしても」
「アン王女と同じでね。私も弾みから村に出て」
「そうして」
「そして皆と知り合って」
 そうなってというのです。
「文明もね」
「進歩しましたね」
「ラジオが出て来て飛行機や潜水艦が出て来て」
「そしてね」
 トロットが続きました。
「テレビにパソコン、携帯電話もね」
「出てきましたね」
「魔法もね」
 こちらもというのです。
「どんどん進歩して」
「凄いことになっていますね」
「私が来た時もかなり変わっていたみたいだけれど」
 お話を聞くとです、トロットがオズの国に入ったのはドロシーがオズの国に住む様になって暫くしてからだったのです。
「そこからもね」
「どんどんですね」
「変わっていっているわ」
「そうなっていて」
「皆穏やかになって文明も」
 こちらもというのです。
「変わっていっているわ」
「そしてそのはじまりがですね」
「ドロシーが来たことなの」
「カンサスから竜巻で」
「それからよ」
「何ていいますか」
 ここまで聞いてです、ドロシーは言いました。
「全てのきっかけは」
「あの娘が来たことね」
「そうですよね」
「そこから外の世界にオズの国も知られる様になったしね」
「そうでしたね」
「全部ね」 
 このこともというのです。
「あの娘からよ」
「若しドロシーさんがオズの国に来られなかったら」
「皆オズの国自体知ることもなかったですね」
「ボームさんが知られることもなくて」
「オズの国のことを皆知らなくて」
「知られないままでしたね」
「そうだったわ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「そう考えるとドロシーさんの存在は大きいですね」
 ナターシャはバイソンとスライム達を見つつトロットに言いました。
「オズの国にとって」
「そうよね」
「ドロシーさんがおられてこそ」
「皆がオズの国を知ってね」
「オズの国も変わるきっかけになった」
「そうした人だから」
 それでとです、トロットはナターシャに答えました。
「凄いわ」
「本当にそうですね」
「とはいっても最初に外から来た人はね」
「魔法使いさんですね」
「あの人が来て」
「オズの国は最初に変わりましたね」
「そしてあの人もね」
 オズの魔法使いもというのです。
「オズの国にとってはね」
「掛け替えのない人ですね」
「貴方達にとってもそうでしょ」
「とても気さくで優しい人です」
 ナターシャは自分達から見た魔法使いのことをお話しました。
「ユーモアもあって」
「そうよね、私にとってもね」
「魔法使いさんはそうした人ですね」
「そうなの」
 まさにというのです。
「とてもいい人よ」
「ですからまた」
 ここでナターシャはこんなことを言いました。
「機会があれば」
「一緒になのね」
「冒険の旅をしたいです」
「その時はまた来るわ」
 トロットは笑顔で述べました。
「だからね」
「その時を待てばいいですね」
「そうよ、じゃあそろそろお昼だから」
「その時になれば」
「お昼を食べましょう」
「わかりました」
 ナターシャは笑顔で頷きました、そしてお昼になるとトロットは道の脇にテーブル掛けを出してそうしてでした。
 皆で食べはじめました、そのメニューはといいますと。
 サンドイッチにチキンナゲット、チーズ、ピクルスに牛乳です。
 デザートはフルーツの盛り合わせです、皆でそのお昼を食べますが。
 カエルマンはハムサンドを食べながら笑顔で言いました。
「お昼にサンドイッチというのがね」
「いいですよね」 
 クッキーは卵サンドを食べつつ応えました。
「美味しくて食べやすくて」
「そうだよね」
 見ればカエルマンもにこにことしています。
「だからね」
「出してくれたトロットさんに感謝ですね」
「全くだよ、食べられることにね」 
 このことにもというのです。
「僕は感謝だよ」
「そうですね」
「美味しいものを沢山食べられる」 
 キャプテンは野菜サンドを食べながら言いました。
「幸せなことだよ」
「そうよね、幸せはね」
 ビリーナはコーンを食べています、そのうえでの言葉です。
「沢山あるけれど」
「美味しいものを食べられることも」
「そう、このことについてもね」
 まさにというのです。
「言えることだよ」
「そうよね、それで今日のお昼は」
「サンドイッチにしたんだね」
「お天気がよくてお外の見晴らしのいい場所だと」
 皆今も草原の中にいます、見晴らしは最高です。
「それだとね」
「サンドイッチだね」
「そう思ってなの」
「これにしてくれたんだ」
「チキンナゲットとね」
 これと合わせてというのです。
「そうしたの」
「成程ね」
「それで果物も出したの」
 林檎やバナナや葡萄、サクランボを見つつお話しました。
「こちらもね」
「いい組み合わせだね」
「そして牛乳もね」
 飲みもののお話もしました。
「お外で飲むのも美味しいから」
「出してくれたんだね」
「そうなの、あとチーズも」
 こちらもというのです。
「出したの」
「こちらもいいね」
「チーズは皆何時でも食べるわね」
 ビリーナは自分のコーンを食べつつ言いました。
「そうね」
「ええ、食べやすくてね」
「あるとそれだけで違うわね」
「ただ美味しいだけじゃなくて」
「そうした食べものだから」
「よくね」
 トロットにしてもというのです。
「出しているの」
「そうよね」
「三食ね」
 そうしているというのです。
「そうしているわ」
「何ていうか」
 ナターシャはそのチーズを食べながら言いました。
「オズの国のチーズも色々ありますね」
「それぞれのお国の色のチーズもあるわね」
 恵梨香がオズの国ならではのお話をしました、見れば五人共そのチーズを食べています、大きな丸いチーズを切ってそうして皆で分けて食べています。
「緑や青、赤、紫、黄色の」
「それで普通の白いチーズもあって」
 神宝も言います。
「食べているね」
「色は違っても味はチーズの味で」
 ジョージはそちらのお話をしました。
「美味しいね」
「うん、オズの国でもチーズは美味しいよ」
 カルロスも言いました。
「本当にね」
「だから三食でね」
 まさにとです、トロットはお話しました。
「よく出るのよ」
「お料理にも使われて」
「そうしてですね」
「よく食べられていますね」
「味付けにも使われていて」
「そちらでも食べますね」
「だからね」
 それでというのです。
「よく食べられているわ」
「そのまま食べることもあって」
「お料理にも使って」
「本当によく食べますね」
「美味しくて身体にもいいから」
「だからですね」
「そうなの。皆も好きだし」
 その味がというのです。
「よく出るの、ただウォッシュチーズやブルーチーズは私達はね」
「あまりですね」
「食べることはないですね」
「そうですね」
「トロットさん達は」
「どうにも」
「チーズも色々あって」
 種類がというのです。
「中には匂いの強いチーズがあるわね」
「はい、そのウォッシュチーズとかですね」
「物凄い匂いがしますね」
「味は美味しくても」
「それでも」
「匂いはかなりですね」
「私やドロシー、ベッツイもそうで」
 トロットはさらにお話しました。
「オズマもね」
「あの匂いは子供には難しいね」
 キャプテンも言いました。
「ウォッシュチーズやブルーチーズの匂いは」
「特にウォッシュチーズはね」 
「そうだね、それでこのチーズは」
「私達はね」
 どうにもというのです。
「食べにくいわ」
「匂いが強過ぎてね」
「わしにしてもきついしね」
「納豆とかはまだいけても」
 この食べものはというのです。
「ああしたチーズはね」
「難しいんだね」
「だから今出しているチーズも」
 これもというのです。
「普通のチーズなの」
「普通の匂いの」
「それなの」
「そういうことだね」
「ええ、けれどキャプテンが食べたいならね」 
 それならともです、トロットはお話しました。
「出すわよ」
「ウォッシュチーズをだね」
「ブルーチーズもね」
「そうなんだね」
「私はカマンベールチーズも好きだよ」
 ここでカエルマンが言ってきました。
「普通のチーズとね」
「あのチーズも美味しいね」
「だからね」
 それでというのです。
「好きだよ」
「そうだね」
「ただウォッシュチーズは食べられても」
「進んで食べようとはだね」
「思わないね」
「そうだね、君も」
「そうなのだよ」
 カエルマンはキャプテンに笑ってお話しました。
「私は」
「まあわしも積極的には」 
 キャプテン自身もです。
「食べようとは思わないよ」
「そうだね」
「どうもね」
 こう言うのでした。
「本当に」
「チーズを使ったお菓子も多いですが」 
 クッキーはチキンナゲット、ほかほかのその上にです。
 チーズを切って乗せました、そして程よく溶けたチーズとチキンナゲットを一緒に食べながら言いました。
「匂いがきついですと」
「お菓子の香りを消してしまうからね」
「折角のそれを」
「だからそうしたチーズはお菓子に使わないね」
「どうしても」
「そうだね、匂いが強過ぎると」
 どうしてもというのです。
「食べにくいね」
「そうですよね」
「どうしてもね」
 こう言いました、そして。
 一行は楽しいお昼を食べ終えて冒険の旅を再会させておやつも摂って日が暮れると夕食を食べてです。
 近くの川でそれぞれ身体を洗ってからテントの中で寝ました、その寝る前にです。
 トロットは火を囲んで皆に言いました。
「明日はね」
「山に入られるわね」
「プレーリードッグの街にね」
 こうビリーナに答えました。
「そうなるわ」
「このまま進んでいけば」
「ええ、ただね」
 こうも言うトロットでした。
「明日の夕方位ね」
「それ位ね、山に着くのは」
「だから山に入ったら」
 そうなったらというのです。
「すぐに休むことになるわ」
「やっぱりそうよね」
「別に急いでもいないし」
 そうした旅だからだというのです。
「落ち着いてね」
「進んでいくわね」
「焦らないでね」
 そうしてというのです。
「行きましょう」
「わかったわ」
 ビリーナはトロットの言葉に頷きました。
「じゃあ明日もね」
「このペースで歩いていきましょう」
「そうしましょう」
「是非ね」
「楽しくね」
「明日もバイソンやスライム達を見ながら」
 トロットはここで周りを見ました、夜の中にです。
 バイソン達が寝ているのが見えます、スライムも休んでいてです。
 遠吠えが聞こえてきました、するとカエルマンが言いました。
「コヨーテだね」
「そうね」
 ビリーナはカエルマンにも応えました。
「やっぱり草原だからね」
「コヨーテもいるわね」
「そうだね」
「アメリカの草原ですね」 
 ここはとです、ナターシャは言いました。
「プレーリーという場所ですね」
「そうなるわね」
 トロットはナターシャにも答えました。
「言うなら」
「そうですよね」
「ここはそうでね」
「それで、ですね」
「サバンナもパンパもあるわよ」 
 そうした草原地帯もというのです。
「そしてそこにいる生きもの達もね」
「オズの国にはいますね」
「ヌーやガゼルやシマウマがいて」
 そしてというのです。
「ライオンやチーターもいる」
「そうした場所もありますね」
「オズの国にはね」
「色々な自然がある国ですね」
「そうなの」 
 実際にというのです。
「オズの国はね」
「自然豊かですね」
「そこには象やキリンやサイもいるわよ」
 こうした生きものもというのです。
「貴方達も言ったことがあるかしら」
「サバンナはあったかしら」
「これまで僕達も色々な場所に行ったけれど」
「それでもね」
「サバンナはあったかな」
「覚えてないわね」
 ナターシャ達五人はトロットの今の問いにお顔を見合わせてお話しました。
「果たして」
「どうだったかな」
「海もお空も地中も行って」
「山も行って」
「森も行ったけれど」
「行った覚えがないなら行くことよ」
 これがトロットのアドバイスでした。
「そうすればいいのよ」
「簡単ですね」
「行ったことがないなら行けばいい」
「それだけですね」
「だからですね」
「私達もですね」
「そうすればいいわ」
 サバンナにというのです。
「そうよ、じゃあ機会があれば行きましょう」
「はい、サバンナにも」
「オズの国のそこにも」
「皆で行きましょう」
「そしてそこの生きもの達も見て」
「楽しみましょう」
「そうしましょう、イッソスの国に行く途中もあるし」
 旅の中にもというのです。
「だからね」
「それじゃあですね」
「はい、行きましょう」
「サバンナにも」
「そうしてですね」
「楽しむんですね」
「オズの国ではチャンスは自分からやってくるもよ」
 この国のこのこともお話するのでした。
「だから行きましょう」
「オズの国はお伽の国だからね」
 キャプテンも笑顔で言いました。
「だからだよ」
「それでね」
 トロットはキャプテンと一緒に言いました、火を囲んでお話しますがそれはキャンプファイアーの様です。
「そのチャンスを抱き締めてダンスを踊ればいいのよ」
「楽しくね」
「チャンスは逃すなというけれど」
 それでもというのです。
「そのチャンスを抱き締めればいいのよ」
「そうすればいいですね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「オズの国ではね」
「確かに。チャンスが来てくれる国ですね」 
 ナターシャはトロットの言葉に頷きました。
「是非にと思ったら」
「そうでしょ」
「はい、そしてそのチャンスをですね」
「抱き締めてね」
 そうしてというのです。
「そのうえでね」
「一緒にダンスを踊ればいいですね」
「そうよ」
 トロットはナターシャに笑顔でお話しました。
「だからね」
「今回の旅でもですね」
「そうしていきましょう」
「わかりました」 
 ナターシャは今度は笑顔で頷きました。
「そうさせてもらいます」
「それじゃあね、それとね」
「それとですか」
「もう寝ましょう」
 今度はこう言ったトロットでした。
「そうしましょう」
「あっ、夜なので」
「ええ、オズの国は早寝早起きでしょ」
「それもオズの国ですね」
「だからね」
 それでというのです。
「もうね」
「皆でテントに入って」
「休みましょう、そして日の出になったら」 
 その時にというのです。
「起きてね」
「朝ご飯を食べて」
「出発しましょう」 
 そうしようというのです。
「いいわね」
「わかりました」
「明日の朝ご飯は何がいいかしら」
「明日は明日だけれど」
 それでもと言うキャプテンでした。
「今考えるのもいいね」
「そうよね」
「それも楽しいよ」
「そうね、楽しいことを考えて寝る」
「そうしたら気持ちよく寝られるし」
「それじゃあね」
「考えてみよう」 
 明日の朝ご飯のことをというのです。
「今からね」
「ええ、そうしよう」
「それじゃあ」
 ここでこう言ったトロットでした。
「ピロシキとかトーストとか包とか」
「そういうのかな」
「お粥もいいし」
 こちらもというのです。
「何でもあるわね」
「そうだね、お粥というとね」
 カエルマンが楽しそうにお話に入ってきました。
「日本や中国のお米のお粥もいいし」
「オートミールもいいわね」
「どれでもね」 
 お粥もというのです。
「いいね」
「そうよね」
「パンとかもいいし」
「お粥もね」
「いいよ、おかずのことも」
 こちらのこともというのです。
「考えてみようか」
「そうね、ハムエッグとか茶卵とか」
「スープはどうかな」
「コーンポタージュかしら」
「和食だとお味噌汁ね」
「それもいいね、和食だとおかずに卵焼き」
 これもと言うカエルマンでした。
「めざしもあるよ」
「色々あるわね」
「全くだね、いやこうしてお話をしていると」
「自然とね」
「楽しい気持ちになって」
 そうしてというのです。
「楽しくね」
「寝ようね」
「そうしましょう」
「丁度いい音楽も聴こえてきたね」
 カエルマンは目をにこりとさせてこうも言いました。
「蛙の鳴き声が」
「川の方からね」
 さっき皆がそれぞれ身体を洗ったところです。
「そうなってきたわね」
「この鳴き声を聴きながらね」
「楽しいことを考えながら」
「そのうえでだよ」
「寝ることね」
「寝る時も」
 このときもというのです。
「やっぱりね」
「心地よく気持ちよく」
「その中でが一番だから」
「音楽もあるとね」
「最適だね」
「音楽によるけれど」
 それでもとです、トロットはこうも言いました。
「こうした音楽はいいね」
「そうだね」
「それじゃあね」 
「この中で寝よう」
「わかったわ」
「いや、いい感じですね」
 ナターシャも蛙達の鳴き声を聴きながら思いました。
「こうした音楽を聴きながら寝られることも」
「そうよね」
「外の世界でもありますが」
「オズの国でもなのよ」
「そういうことですね」
「ではね」
「オズの国でも」
「蛙の鳴き声を子守唄にして寝ましょう」
「わかりました」
 そうしたお話をしてでした。
 皆テントに入ってぐっすりと寝ました、そしてまた旅を続けるのでした。








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