『オズのラゲドー王』
第一幕 ナターシャの好物
ナターシャ達五人はこの日もオズの国に来ていました。それでエメラルドの都でドロシー達とお菓子を食べていましたが。
とても甘いジャムを舐めて紅茶を飲みながら言いました。
「この紅茶を飲まないと」
「一日一度はよね」
「私は気が済まないです」
こうドロシーに答えました。
「とても」
「そうよね、貴女は」
「ですから朝起きますと」
その時にというのです。
「まずはです」
「その紅茶を飲むのね」
「ロシアンティーを」
「そうなのね」
「ご飯の時も」
お米のそれを食べている時もというのです。
「飲みものは」
「ロシアンティーね」
「はい」
まさにというのです。
「それを飲みます、そして朝以外にも」
「飲んでいるわね」
「そうしています」
「ロシア人だからだよね」
トトが言ってきました。
「ナターシャがロシアンティーを好きなのは」
「そうなの、紅茶が好きで」
「それでジャムもだね」
「好きで」
それでというのです。
「日本に留学してもオズの国に入っても」
「ロシアンティーだね」
「毎日飲んでいるわ」
「本当に好きなんだね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「日本のジャムがね」
これがとトトにお話するのでした。
「また美味しいのよ」
「あれっ、日本はご飯の国で」
トトはナターシャの今の言葉におやとなって言いました。
「ジャムはね」
「あまりと思うわよね」
「それが違うんだね」
「日本人は確かにご飯を食べるけれど」
それだけでなくというのです。
「パンもよく食べてジャムもね」
「よく食べて」
「その作り方も上手で」
それでというのです。
「美味しいのよ」
「そうなんだね」
「ええ、だからね」
「ナターシャも好きなんだ」
「そうなの」
こうトトにお話しました。
「これがね」
「成程ね」
「そういうことだから」
「何かあれね」
今はエメラルドの都に来ているビリーナも言ってきました。
「日本は何でも美味しい国ね」
「そうなの、だからジャムも紅茶も美味しくて」
「ロシアンティーもだね」
「美味しいの」
そうだというのです。
「これがね」
「成程ね」
「他にも好きなもの一杯あるわ」
ナターシャはビリーナにさらにお話しました。
「パイナップル、バナナ、オレンジにメロンね」
「果物ね」
「全部南国のでしょ」
「外の世界ではそうね」
「あとマンゴーもね。こうしたものは全部ロシアにはないから」
だからだというのです。
「余計に美味しく思うのよ」
「そういえばそうなんだよね」
神宝も言ってきました。
「ロシアではこうした果物がないんだよね」
「寒いからね」
だからだとです、カルロスも言いました。
「ロシアってね」
「そうした果物はどうしてもないね」
ジョージも頷きました。
「ロシアだと」
「日本ではどの果物もあるけれど」
恵梨香は日本のスーパーや百貨店、八百屋さんのお話をしました。
「ロシアではそうはいかないのね」
「昔に比べて出回っているそうだけれど」
それでもとです、ナターシャは四人に応えました。
「やっぱり他の国に比べればないかも知れないわね」
「オレンジもパイナップルも」
「バナナもで」
「マンゴーもなんだね」
「そしてメロンも」
「だから私日本でもオズの国でもね」
どちらでもというのです。
「こうした果物をよく食べるのよ」
「確かに貴女そうした食べもの好きね」
ドロシーも言いました。
「いつもにこにことして食べるわね」
「ついついそうなります」
「本当に好きなのね」
「昔ロシアはバナナ以外何でもあるって言った人がいました」
「つまりバナナはなかったのね」
「はい、ただロシア人は無欲な人が多くて」
それでというのです。
「バナナがなくても強く求めることも」
「ないのね」
「お家とお仕事とパンとウォッカがあれば」
「いいのね」
「そうした人が多いです」
「そうしたお国柄なのね」
「はい、それでバナナやオレンジがなくても」
それでもというのです。
「満足しています、私も食べられなくても」
「それでもいいのね」
「他のものを食べますから」
ないならないで、です。
「そうしますから」
「だからなのね」
「ロシアにいるといいです」
「貴女も無欲なのね」
「それでありますと」
その場合はというのです。
「楽しんでいます」
「他に好きなものはあるの?」
ビリーナも尋ねました。
「バナナやオレンジ以外にも」
「普通のケーキもロシアのケーキも好きよ」
「あの固いケーキもなのね」
「クッキーみたいなね」
ロシア以外の国から見ればそうなるというのです。
「そのお菓子もね」
「好きなのね」
「それとボルシチ好きよ」
「ロシアのシチューね」
「あと鱒のフライも。それと日本に来て」
そうしてというのです。
「和食もね」
「好きになったのね」
「そうなの。お寿司いいわね」
「お寿司ね。あんたそっちも好きなのね」
「大好きなの」
実際にというのです。
「これがね」
「やっぱりそうね」
「最初は生の魚介類なんて無理だと思ったけれど」
それでもというのです。
「これがね」
「美味しいのよね」
「あの美味しさは魔法よ」
こうまで言うナターシャでした。
「お寿司のそれは」
「お寿司ね、それならね」
お寿司と聞いてです、ドロシーが言いました。
「北の方で最近凄い職人さんが出て来たらしいわね」
「そうなんですか」
「もうそのお寿司が絶品で」
それでというのです。
「物凄く美味しくて評判になっているのよ」
「そんなにですか」
「そうみたいよ」
「そんなに美味しいなら」
ナターシャはそれならと言いました。
「一度食べてみたいですね」
「私も」
「僕もそのお寿司食べたいよ」
「僕もだよ」
「僕だってそうだよ」
恵梨香達四人もナターシャに続きました。
「お寿司美味しいからね」
「そんなに美味しいならね」
「一度でいいから」
「食べてみたいわ」
「それなら行ってみたらいいわ」
ドロシーは五人に笑顔で言いました。
「お寿司を食べにね」
「そうしていいですか」
「それなら今回もですね」
「旅行に行くんですね」
「冒険の旅ですね」
「皆で行くんですね」
「そうしたらいいわ。ただ私は今回はお仕事があるから」
このオズの国でというのです。
「他の人と一緒になるわ」
「僕もドロシーとはいつも一緒だしね」
トトも言ってきました。
「今回は残念だけれどね」
「一緒じゃないのね」
「私が一緒に行くわ」
ビリーナが言って来ました。
「そして今時間があるのはトロットとキャプテンかしら」
「あとカエルマンとクッキーも来てくれるわ」
ドロシーも言ってきました。
「この人達がいてくれたら」
「私もいるしね」
「問題ないわね」
「そうね、それじゃあね」
「皆揃ったら」
その時にというのです。
「出発ということでね」
「いいわね」
「そうしましょう」
「今回の顔触れはその人達ですね」
ナターシャはドロシーとビリーナのお話を聞いて言いました。
「私達と一緒に旅をしてくれるのは」
「そうなるわね」
「そうですね」
「ええ、それとね」
ドロシーはさらに言いました。
「ナターシャの言うお寿司は握り寿司か巻き寿司ね」
「はい」
そうだとです、ナターシャは答えました。
「お寿司といいますと」
「やっぱりそうよね」
「あとちらし寿司も」
このお寿司もと言いました。
「ありますね」
「ええ、けれどね」
「あっ、馴れ寿司ですね」
「知ってるのね、そのお寿司も」
「食べたことはないですがあることは知っています」
こうドロシーに答えました。
「私も」
「オズの国にもあるの。ただね」
「それでもですか」
「匂いがきついから」
それでというのです。
「好きな人は少ないわ」
「そんなにきついんですか」
「ウォッシュチーズとは違う匂いでね」
「あのチーズも臭いですよね」
「けれどその匂いの質は違っても」
それでもというのです。
「かなりね」
「馴れ寿司もですね」
「匂いがきつくて」
「好きな人は少ないですか」
「かなり癖のある味だから」
その為にというのです。
「匂いに加えてね」
「握り寿司とかは好きな人が多くても」
「どうしてもね」
馴れ寿司はというのです。
「そうなの。馴れ寿司が本来のお寿司らしいけれど」
「そうみたいですね」
ここでこう言ったのは恵梨香でした。
「お寿司は元々は」
「馴れ寿司らしいわね」
「馴れ寿司は作るのに時間がかかるので」
「それでご飯にお酢とお砂糖を入れてね」
「生の魚介類を上に乗せて」
「握り寿司になったわね」
「はい、鮒寿司なんていうのもあります」
恵梨香はこのお寿司もお話に出しました。
「馴れ寿司でして」
「その鮒寿司もオズの国にあるけれど」
「匂いがきついんですね」
「だから私もオズマも」
どうしてもというのです。
「あまりね」
「お好きではないですか」
「そうなの」
こうナターシャに答えました。
「どうしても」
「匂いがですね」
「それで味もね」
こちらもというのです。
「握り寿司や巻き寿司の方がいいわ」
「そうですか」
「そう、それで北の方にね」
「凄い職人さんがおられるので」
「そちらに行って」
そしてというのです。
「食べて来ればいいわ」
「そうさせてもらいます」
ナターシャはドロシーの言葉に笑顔で頷きました。
「バナナやオレンジも食べて」
「そうしてね」
「そうさせてもらいます、ただ」
「ただ?」
「私も最初お寿司見て驚いたわ」
そうだったというのです。
「生のお魚をご飯の上に乗せて食べるなんて」
「あれは驚きますよね」
「普通はないですよね」
「日本では生のお魚をよく食べると聞いていますけれど」
「ああして食べるなんて」
日本人の恵梨香以外の四人が応えました。
「普通はないですね」
「ご飯と一緒に握って」
「それで一緒に食べるなんて」
「しかもご飯にお酢とお砂糖を入れていてですから」
「それで食べると物凄く美味しいから」
それでというのです。
「驚いたわ」
「お寿司も日本の神秘ですね」
こうも言うナターシャでした。
「本当に」
「そう言っていいわよね」
「それじゃあ皆さんが集まったら」
「冒険の旅に出てね」
「そうさせてもらいます」
是非にと言ってでした、そしてでした。
皆は今は紅茶を飲みながらボードゲームをして楽しみました、ですがそのゲームが終わった時にです。
ドロシーから携帯で連絡を受けたトロットとキャプテン=ビルが皆がいたエメラルドの都の宮殿の一室に来て言ってきました。
「冒険の旅に出るのね」
「話は聞いたよ」
「それではね」
「準備が出来たら行こう」
「カエルマンとクッキーも一緒よ」
ビリーナが二人に言いました。
「二人ももうすぐしたらここに来るわ」
「エメラルドの都にだね」
「来てくれるのね」
「そうよ、皆揃ったら」
そうなったらというのです。
「出発しましょう、ちなみに私も一緒よ」
「貴女もなのね」
「暫く振りの旅だから」
それでとです、ビリーナはトロットに言いました。
「楽しみよ」
「そういえば貴女は」
「そうでしょ、最近はね」
「旅には出ていないわね」
「旦那と一緒に国にいてね」
鶏の国にというのです、自分が女王を務める。
「それでね」
「国を治めていて」
「こうして都には来ていても」
「旅はしていなかったわね」
「だからね」
それでというのです。
「今から楽しみよ」
「そうなのね」
「ええ、それとね」
「それと?」
「あんた魚介類好きだったわね」
「大好きよ」
トロットはビリーナに笑顔で答えました。
「海のものも淡水のものもね」
「淡水でもいいのね」
「鯉とか鮎とか好きよ」
「鮎もなのね」
「鯰もね。あと亀も好きだし」
「そうそう、亀も美味しいのよね」
「スッポンとかね。オズの国では湖にも鮪とかいるけれど」
これはオズの国がお伽の国だからです、だからこうしたこともあるのです。外の世界とは色々と違うのです。
「けれどね」
「淡水、川や湖のものも好きね」
「特に鯉がね」
このお魚がというのです。
「好きよ」
「そうなのね」
「それがどうかしたの?」
「いえ、今度の冒険の旅はお寿司を食べに行くことが目的だから」
それでというのです。
「あんたが好きかどうかね」
「聞いたのね」
「そうなの。好きならいいわ」
それならというのです。
「それでね」
「それじゃあね」
「ええ。ただ鯉も好きなのね」
「焼いても煮ても揚げてもで」
それでというのです。
「生でもね」
「好きなのね」
「どんなお料理にしてもね」
「成程ね」
「鯉もいいですよね」
ナターシャも言ってきました。
「どうお料理しても」
「美味しいわね」
「はい、あのお魚も」
「大きいしね」
「食べどころも多いですね」
「だから好きで」
「よく召し上がられるんですね」
トロットににこりとして応えました。
「そうですね」
「そう、だから今回の旅でも」
「鯉をですね」
「いただきたいわ」
ナターシャに笑顔で言いました。
「是非ね」
「鯉もいいですね」
「そしてお寿司もで」
それにというのです。
「色々美味しいものを食べて」
「旅を楽しみますね」
「そうしましょう」
「わかりました」
「さて、そのお寿司は何処で食べられるのかな」
キャプテン=ビルはドロシーに尋ねました。
「イックスの国よ」
「ああ、あの国なんだ」
「そうなの、あの国にいるの」
その職人さんはというのです。
「そうなの」
「そういえば以前わしはあの国に使者として行ったね」
「そうだったわね」
「あちらにある国々にもね」
「そうだったわね」
「なら丁度いいね」
キャプテンは笑顔で言いました。
「どんな国か。行く道も知っているし」
「それならね」
「問題なく行けるから」
それでというのです。
「地図も持って行って」
「そのうえでね」
「行くよ」
こうドロシーに答えました。
「そうさせてもらうよ」
「そうして楽しんできてね」
「今回の旅もね」
「是非ね」
「ドロシーも行きたいけれど」
トトがドロシーの考えを代弁しました。
「けれど今はね」
「ええ、オズマと一緒にね」
「お仕事があるからね」
「どうしてもしなければならないのよね」
「お仕事はね」
「またオズの国に街が出来るから」
それでというのです。
「その街の区画整理や暮らす人の生活のことをね」
「考えないといけないからね」
「そうなの。だからね」
「ドロシーは今は旅には出られないんだよね」
「そのお仕事が終わったら」
そうしたらというのです。
「行けるわ」
「そうだね」
「だからね」
それでというのです。
「今はね」
「お仕事を頑張るね」
「そうするわ」
「そういえばオズの国は色々な街がありますね」
ここでナターシャが言いました。
「その中に」
「そうでしょ、村も沢山あってね」
「街もですね」
「沢山あるの、それでね」
「また一つ街が出来るので」
「どういった街にするかをね」
「オズマ姫とお話をして」
ナターシャは言いました。
「そうしてですね」
「かかしと樵と臆病ライオンにも来てもらうの」
ドロシーの最も古い友人である彼等にもというのです。
「それでね」
「皆でお話をして」
「決めるわ。魔法使いさんとグリンダにも来てもらいたかったけれど」
「お二人は無理ですか」
「今はカドリングの王立大学に行って」
そしてというのです。
「大学のことをね」
「お話してですか」
「そして大学の拡張にあたっているの、モジャボロとムシノスケも一緒なの」
「皆さんお忙しいですね」
「今はね。だからね」
「今回の旅は」
「トロット達と楽しんできてね」
こうナターシャに言いました、そしてでした。
カエルマンとクッキーもすぐに到着してでした。
かかしと樵も来ました、二人はドロシーと再会を喜ぶ抱擁をするとでした。出迎えてくれたオズマに尋ねました。
「ではだね」
「今からだね」
「ええ、今度の街造りのことでね」
オズマはかかしと樵ににこりと笑って応えました。
「今からお話しましょう」
「僕もだね、ただね」
臆病ライオンはオズマの隣で言いました。
「僕はかかし君や樵君程頭はよくないよ」
「貴方には生きものの立場からの意見を欲しいの」
オズマはこう答えました。
「だからなのよ」
「会議に参加するんだ」
「そうなのよ。腹ペコタイガーとエリカとハンクは今はベッツイと一緒にラベンダー熊のところにいるわね」
「行っちゃったね」
「だから今ここにいる生きものは貴方とトトだけだから」
「それでなんだ」
「貴方も会議に参加して」
そしてというのです。
「意見を出して欲しいの」
「そういうことだね」
「ちなみにあたしは参加しないわ」
つぎはぎ娘は踊って言ってきました。
「政治には関わらないから」
「貴女の意見も聞きたいのよ」
「あたしは歌って踊るだけよ」
「そこからも政治のヒントが出るのよ」
「そうなの?」
「そうよ、けれどね」
それでもと言うオズマでした。
「貴女はそう言うから」
「だからなのね」
「仕方ないわ、では私達はお話をして」
政治のそれをというのです。
「そしてね」
「そのうえでなのね」
今度はトロットがオズマに声を掛けました。
「私達は」
「ええ、旅の準備をしてね」
「そしてよね」
「出発してね」
「わかったわ、では貴方達もね」
トロットはナターシャ達五人にお顔を向けて言いました。
「宜しくね」
「宜しくお願いします」
恵梨香は礼儀正しく応えました。
「今回は」
「今度はギリキンですね」
カルロスはその行く国のお話をしました。
「そしてイッソスの国ですね」
「あの国にも行くのも暫く振りですね」
神宝は今から行くことを楽しみにしています。
「また行けることが楽しみです」
「ではあの国に行って」
そしてとです、ジョージも言いました。
「皆で楽しみましょう」
「そう、旅は楽しむものだからね」
カエルマンは五人に笑顔で応えました。
「皆で行こうね」
「ここまで来ることも楽しかったけれど」
クッキーはカエルマンの横からナターシャ達に応えました。
「これからも楽しみだわ」
「あんた達の村はウィンキーの真ん中だから」
それでと言ったのはビリーナでした。
「このエメラルドの都まで行くだけでもね」
「かなりの距離でね」
「それまでの冒険もね」
「面白かったわ」
「そうよね」
「だからね」
それでというのです。
「これからもね」
「旅に行くのね」
「そうさせてもらうわ」
「私も一緒だからね」
ビリーナはここでこうも言いました。
「楽しみにしてね」
「そうさせてもらうわ」
「さて、何かあったらね」
これまでお庭の端で遊んでいたガラスの猫が出て来て言ってきました。
「私を呼んでね」
「そうしたらだね」
「私があんた達のところに休むことなく駆けて行って」
そしてというのです。
「助けに行くわ」
「そうしてくれるね」
「ええ、だからね」
カエルマンに言うのでした。
「困ったら何時でも携帯で連絡してね」
「そうさせてもらうよ」
「あたしも行くわよ」
つぎはぎ娘も言ってきました。
「実は最近風船を掴んでそれに乗って旅が出来る様になったの」
「そうなんだ」
「だからね」
それでというのです。
「あんた達に何かあったら」
「君も来てくれるんだ」
「そうするから」
「頼りにしていいんだね」
「困ったらね」
「では君も頼りにさせてもらうよ」
「是非共ね」
「それでは出発の準備をさらに進めていこう」
キャプテンが皆に言いました。
「そうしよう」
「ええ、そして準備が整ったら」
「出発しよう、そして今夜は」
キャプテンはトロットに応えてさらに言いました。
「旅に出る皆が揃ったことをお祝いして」
「パーティーね」
「それを楽しもう」
「一体どんなパーティーにしようかしら」
トロットはキャプテンのお話を受けて今度はこのことを考えました。
「それでね」
「そうだね、楽しいパーティーにしても」
それでもと言うキャプテンでした。
「具体的にはどういったものにするか」
「でしたら」
ここでナターシャが言ってきました。
「サウナに入った後で」
「それでだね」
「すっきりしてから」
そしてというのです。
「楽しみましょう」
「サウナだね」
「いいですよね、サウナって」
ナターシャはクールな感じの微笑みで言いました、表情は確かにそうですがその目はとても暖かいです。
「すっきりとして」
「そういえば貴女サウナ好きよね」
「大好きです、ロシアでお風呂はです」
「サウナね」
「ですから」
それでというのです。
「サウナが好きで」
「それでなのね」
まさにというのです。
「今もなのね」
「サウナに入って」
そうしてというのです。
「それからね」
「楽しむのね」
「そうしましょう」
「いいわね、じゃあ今夜のパーティーは」
トロットハナターシャの提案を受け入れてからさらに言いました。
「貴女のお国がロシアだから」
「だからですか」
「ロシア風にしましょう」
「ロシアのパーティーですか」
「ロシア料理を出して」
そうしてというのです。
「ロシアの飲みものもね」
「出してですね」
「楽しみましょう」
「それでは」
ナターシャも応えてでした。
この夜はサウナに入ってでした。
それからロシア料理とロシアの飲みものを飲んでロシアの音楽を聴きながらパーティーを楽しみました。そこで。
ナターシャはピロシキを食べて笑顔で言いました。
「美味しいですね」
「ええ、ロシア料理もね」
「はい、それにです」
ナターシャはトロットにさらに言いました。
「デザートにバナナやオレンジもあって」
「貴女本当に南の果物好きね」
パーティーに出席しているドロシーが笑顔で応えました。
「バナナやオレンジが」
「パイナップルもマンゴーもありますし」
「パパイアもあるわよ」
「皆大好きですから」
それでというのです。
「デザートを食べる時は」
「楽しみなのね」
「はい、一番」
「いやあ、凄く酔うね」
カエルマンはウォッカを飲みながら陽気に笑っています。
「このお酒は」
「ウォッカは強いからね」
キャプテンも一緒に飲んでいます。
「だからね」
「少し飲んで一気に酔って」
「気分がよくなるよ」
「そうだね」
「普段はワインだけれど」
トロットはロシア風の紅茶を飲みつつ言いました。
「今はウォッカね」
「ロシア風だからだよ」
キャプテンはトロットに応えました。
「だからお酒もロシアのもので」
「ウォッカね」
「そうだよ、ウォッカを飲んで」
そうしてというのです。
「そのうえでね」
「楽しむのね」
「ロシア料理を食べながらね」
「このサラダも美味しいわ」
クッキーはロシアのサラダを食べています、マヨネーズをふんだんに使ったかなり濃い感じのものです。
「普通のサラダもいいけれど」
「こうしたサラダもいいですね」
「そうね」
ナターシャに笑顔で応えました。
「素敵よ」
「素敵ですか」
「このサラダもね」
「ロシアは寒い国なので」
ナターシャはここでまた言いました。
「サラダもです」
「こうした風になるのね」
「はい、濃い風にして」
そしてというのです。
「カロリーを摂って」
「寒さに対するのね」
「そうしています」
「ロシアは兎に角寒いのね」
「そうなんです、常春のオズの国からは想像出来ない位で」
それでというのです。
「今いる日本よりもなんです」
「寒いのね」
「ずっと、ですから」
「サラダもこうなるのね」
「それでお酒もです」
「ウォッカなのね」
「ワインもありますが」
それでもというのです。
「寒いですから」
「強いお酒なのね」
「そうなんです」
こちらのお酒になるというのです。
「それで一気に酔って」
「温まるのね」
「そうしています、サウナでもです」
「温まるのね」
「そうしています、そして窓は」
お家のそちらはといいますと。
「三重なんです、壁も分厚くて」
「寒さに対してなのね」
「そうなっています、三重にもなりますと」
そこまでなればというのです。
「寒さも大丈夫ですから」
「オズの国でそうしたお家は」
「ロシア系かカナダか北欧かですね」
「ないわね」
「そうですよね」
「イヌイットの人のお家はまた違うし」
クッキーはこの人達のお話もしました。
「ロシアのお家もなのね」
「そうした感じでして」
「違うのね」
「そうなんです」
実際にというのです。
「それで食べものも」
「こうした感じなのね」
「そうなんです」
「そうなのね、フライも」
鱒のフライもあります。
「美味しいわね」
「そうですよね」
「ええ、こちらもね」
クッキーは今度はビーフストロガノスを見て言いました。
「美味しいわね」
「ビーフストロガノスですね」
「こちらもね」
「確かに美味しいわね」
トロットも食べて言います。
「こちらも」
「うん、勿論ボルシチもいいし」
キャプテンは今はこちらを食べています。
「本当にね」
「ロシア料理もね」
「楽しめるね」
「そうよね」
「オズの国もどんどん変わっていて」
ドロシーもパーティーの場にいて飲んで食べて楽しんでいます。
「こうしてね」
「ロシア料理を楽しめて」
「他の国のお料理もね」
こちらもというのです。
「楽しめる様になっているわ」
「そうよね」
トロットも応えます。
「最初はこんなに色々な食べものなかったわ」
「お菓子はあったけれど」
「何かこうね」
これといってというのです。
「食べることは食べるだけで」
「それだけでね」
「これといってね」
「楽しいものかっていうと」
「こんなにはね」
「なかったわね」
「お寿司だってね」
カエルマンは旅の目的であるそのお料理のお話をしました。
「なかったね」
「聞いたこともなかったわ」
「そうだよね」
「今ではね」
どうかというのでした。
「アメリカ風にアレンジされたお寿司もあれば」
「完全に日本のお寿司もあるわ」
トロットはカエルマンにも応えました。
「それに中華料理もね」
「あるしね」
「かなり賑やかになったわ」
「パスタやピザも充実して」
「フランスやスペインのお料理もあって」
「カレーもシェラスコもある」
「凄いものよ」
そうなったというのです、そしてです。
皆はこの時はパーティーを笑顔で楽しみました、そうして夜は気持ちよく寝てそのうえで次の日も旅の準備を進め。
皆は準備が出来ますと出発しました、都に残る人達と笑顔で別れ。
そのうえで旅に出ましたがふとでした。
カエルマンは宮殿を出て商店街を歩いていた時に雑貨屋さんの中にいた黒猫、赤い首輪に鈴がある猫がです。
両方の前足で招く様にしているのを見て言いました。
「これは思わぬ吉兆があるかな」
「そうなの」
「うん、猫は両方の前足で招いているね」
「あの黒猫ね」
トロットもその猫を見て言いました。
「確かにそうね」
「あれは人もお金も招く」
「そうした意味なの」
「だからね」
それでというのです。
「猫がそうしているということは」
「私達になのね」
「思わぬ福がね」
それがというのです。
「来るということだよ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「この旅はね」
「思わぬなのね」
「幸せが訪れるよ」
「オズの国らしく」
「そう、まさにオズの国の旅だから」
それでというのです。
「僕達はね」
「幸せが訪れて」
「そしてね」
「幸せな旅を楽しめるのね」
「そうなるよ。しかしね」
カエルマンはこうも言いました。
「人とお金だね」
「お金は富かしら」
「オズの国でお金のやり取りはないからね」
「ええ、だからね」
「富かな」
「そうよね」
カエルマンの言葉に応えました。
「オズの国だと」
「そうだね」
「ええ、そして人ね」
「果たして誰かな」
こうも言うのでした。
「その人は」
「気になるところね」
「かなりね」
「面白い人だといいね」
「間違っても昔のラゲドー王はお断りよ」
ビリーナはこう言いました。
「本当にね」
「あんな悪い人はね」
「折角いい人になったし」
色々なことがあってです。
「だからね」
「もう二度と悪い人にはならないで」
「それでね」
「またなのね」
「会いたいわ」
「そうなのね」
「卵は平気になったし」
このことはノーム自体がです、ノームも死ななくなったのです。ただそれでも基本卵料理は食べないみたいです。
「それじゃあね」
「貴女も気軽に会えるわね」
「ええ、だからね」
「機会があれば」
「会いたいわ」
こう言うのでした、そしてです。
皆は今はロシア料理と飲みものそして音楽のパーティーを楽しみました、チャイコフスキーの音楽も素敵でした。