『オズのジンジャー将軍』




                第十幕  狐と狸の来訪

 かかしと樵はカルロス達に昨日の夜のヤモリのお話を聞いて言いました。
「うん、確かにね」
「夜の時も楽しいね」
 二人はこう答えました。
「お昼も楽しいけれど」
「夜もだね」
「お昼とは全く違う世界になってね」
「すっかり暗くなって」
「そして色々な生きものがいて」
「お昼とは違う生きもの達がね」
 それでというのです。
「楽しい世界だよ」
「夜は夜でね」
「そうなんですね」
 カルロスはここまで聞いて頷きました。
「夜も」
「うん、僕達は寝ることもないね」
 かかしはカルロスに笑顔で答えました。
「そうだね」
「だからですね」
「夜のこともね」  
 皆は寝る時間でもです。
「わかっていてね」
「それでなんですね」
「それでね」
「今もお話出来るんですね」
「そうなんだ」
「夜もいい時間だよ」
 樵も言います。
「僕は夜もいつもかかし君やジャック達と遊んだり本を読んだりしてね」
「楽しまれてるんですね」
「そうしているんだ」
 実際にというのです。
「それで夜のお散歩もね」
「そちらもですね」
「楽しんでいてね」
 そしてというのです。
「やっているよ」
「そうですか」
「犬は夜行性というけれどね」 
 トトもいて言ってきました、今は五人はかかしと樵それにドロシーと一緒に三色団子の収穫をしています、そのうえでのお話です。トトと臆病ライオンも一緒です。
「僕は違うんだよね」
「トトは夜はいつも寝ているわね」
「カンサスにいた時からね」
 ドロシーに応えて言いました。
「そうしているよ」
「そうよね」
「お昼寝もするけれどね」
「夜はね」
「もうぐっすりとだよ」
 よく寝ているというのです。
「そうしているよ」
「そうよね」
「だから夜行性といっても」
 犬がというのです。
「僕は寝ているよ」
「そうよね」
「僕もそうだよ」  
 臆病ライオンも言ってきました、今は周りを見て見張りをしています。
「ライオンも夜行性っていうけれどね」
「ネコ科だしね」
「うん、猫も実は夜行性でね」
「君達ライオンもだね」
「そうなんだ」
 夜行性だというのです。
「実はね」
「そうだよね」
「けれどね」
「君もだよね」
「夜はしっかり寝ているよ」
 そうしているというのです。
「そしてお昼にだよ」
「行動しているね」
「そうなんだ」
 臆病ライオンにしてもというのです。
「そうしているよ」
「僕が見てもいつもそうだしね」
「私も犬やライオンが基本夜行性なんて知らなかったわ」
 ドロシーも言ってきました。
「オズの国に住む様になって本を読んでからよ」
「それからですか」
「知ったわ」
「ドロシーさんもなんですね」
「ええ、そうだったなんてね」
 犬やライオンがです。
「本当に知らなかったわ」
「それだけトトも臆病ライオンもですね」
「そう、夜はよく寝ているわ」
「というか僕達よく寝るよ」
 トトがこう言って来ました。
「人間よりもね」
「君達より遥かに寝ているね」 
 臆病ライオンも言いました。
「どう考えても」
「僕が見てもそうだね」
 カルロスも頷きました。
「そういえば」
「特に猫がよく寝るわね」
 ナターシャはこの生きもののお話をしました。
「一日の三分の二位は寝てるわ」
「大体それ位だね」
 ジョージはナターシャの言葉に頷きました。
「エリカだってそうだし」
「本当に猫はよく寝てるよ」 
 神宝も言いました。
「ちょっと目を離したらって位だね」
「寝る子から猫になったっていうし」
 恵梨香はこの言葉を出しました。
「もう寝るのが猫ね」
「ガラスの猫は置いておいてね」 
 かかしは笑って彼女はいいとしました、ガラスの身体なので寝る必要はなくてかかし達と同じくいつも起きているのです。
「猫は特に寝るね」
「ええ、私はエリカと一緒になるまで猫は知らなかったけれど」
 ドロシーが応えました。
「猫はね」
「特によく寝る生きものだね」
「本当にね」
「けれどその猫も夜行性だね」
 樵が夜のお話に戻してきました。
「実は」
「ええ、けれどエリカもね」
「夜は寝ているね」
「正確に言うと夜もね」
 ドロシーはくすりと笑って言いました。
「そうしてるわね」
「だから彼女も夜の世界のことは知らないね」
「そうよね」
「けれどその夜の世界もね」
「楽しい世界なのね」
「そうだよ」
 実際にというのです。
「これがね」
「そうなのね」
「だから機会があったらね」
「その時は」
「楽しむといいよ」
「わかったわ」
 ドロシーはその言葉ににこりと笑って答えました、そしてです。
 そうしたお話をしながら三色団子を収穫してでした、五人は今度はオズマとアン王女そしてビリーナのところに行ってでした。
 どら焼きやきんつば、羊羹等を収穫しました。ビリーナはそのお菓子達を見てそれでこんなことを言いました。
「さっきから思っていたけれど和菓子も多いわね」
「そうよね」
 王女がその言葉に応えました。
「将軍の果樹園は」
「そうよね」
「ごま団子とか中国のお菓子もあって」
「ケーキもロシアのケーキもあるわね」
「あのクッキーみたいなお菓子もね」
「それで和菓子もね」 
 こちらもというのです。
「あるわね」
「それも結構ね」
「おはぎもあるし」
 オズマも言ってきました。
「和菓子も充実しているわね」
「ええ、和菓子も美味しいから」
 王女はその和菓子達を収穫しながら言いました。
「後で食べるのも楽しみよ」
「ええ、こちらもね」
「和菓子はお茶よね」
 ビリーナはこうも言いました。
「一緒に飲むのは」
「ええ、日本のお茶が合うわ」
 オズマはビリーナにすぐに答えました。
「実際にね」
「そうよね」
「このお家にも日本茶あるし」
「お抹茶ね」
「将軍が持ってるから」
 そのお抹茶をです。
「それに私もテーブル掛けがあるから」
「お抹茶出せるわね」
「だから和菓子を食べる時は」
 そのどら焼きやきんつばをです。
「お抹茶を飲みましょう」
「そうするのね」
「ええ、あとビリーナの好きな甘納豆もあるわよ」
「私大好きなのよ」
 その甘納豆がとです、ビリーナは笑顔で答えました。
「ここに来てから何度かいただいてるけれど」
「今日もなのね」
「いただくわ」 
 そのお抹茶をというのです。
「そうするわ」
「それじゃあね」
「ええ、けれど将軍もご主人も和菓子もお好きなのね」
 ビリーナはここでこう思いました。
「これだけ多いと」
「ええ、そう思うわ」
 オズマも実際にそう考えました。
「これだけあったら」
「そうよね」
「私も好きだしね」
「いいことね」
「和菓子も多いとね」
「本当にそうよね」
「僕最近おはぎが好きで」
 カルロスが言ってきました。
「よくご馳走になってます」
「そうなのね」
「はい、あのあんこと中のお餅がいいですよね」
 カルロスは王女に笑顔で応えました。
「凄く」
「そうよね。あんことお餅って合うわよね」
「善哉やお汁粉でもそうですよね」
「私そちらも好きよ」
「そうなんですか」
「最初食べてこれはって思ったわ」
「美味しいって」
「そうね」
 こうカルロスにお話しました。
「思って結構ね」
「善哉やお汁粉もですか」
「いただいてるわ」
「そうですか」
「何かこうしたお話してたら」
 王女はこうも言いました。
「善哉かお汁粉もね」
「食べたくなりましたね」
「どら焼きやきんつばもだけれど」
 そういったものと一緒にというのです。
「是非ね」
「そうですよね、どうしても」
「そうなりますよね」
「その食べものが食べたくなって」
「いてもたってもいられなくなりますね」
「どうしても」
「ええ、本当にね」 
 カルロス達五人にもお話しました。
「そうなるわね」
「ついついしてしまって」
「そうなりますね」
「人の性ですね」
「そうしてそうなることは」
「このことは」
「そうね、そして食べて」
 実際にそうしてというのです。
「楽しめるわね」
「そうですね」
「そこまで楽しめますね」
「じゃあ後で、ですね」
「美味しいもの食べましょう」
「今日もそうしましょう」 
 カルロス達五人も笑顔で応えてでした。
 そうして和菓子も収穫してでした、それから。
 皆でおやつを食べる時にでした、将軍は笑顔で言いました。
「今日は善哉も作ったからね」
「今そのお話をしていたのよ」
 王女は将軍に笑って言葉を出しました。
「そうしていたら」
「私がですか」
「ええ、善哉を作ってくれるなんて」
「王女の願いが適いましたね」
「本当にそうね」
「それとです」
 ご主人も言ってきました。
「お茶は和菓子なのでお抹茶です」
「お抹茶のお話もしていたわ」
 ここで言ったのはオズマでした。
「丁度ね」
「ではお抹茶もですね」
「願いが適ったわね」
「そうですね」
「まさに以心伝心ですね」
 サフランは尻尾を振って言いました。
「いいことですね」
「これもオズの国ですよね」
 ふわりも尻尾をピコピコとさせています。
「本当に」
「願いが自然と適うんですよね」
 桜はにこりとしています。
「それがいい願いなら」
「それで皆さんもですね」 
 ビスケットは舌を出しています、そして機嫌よさそうにしています。
「願いが適いましたね」
「本当に願いが適う国でして」
 レモンはこう言いました。
「僕達も丁度和菓子を食べたかったんですよ」
「それでお団子や羊羹もありますし」
 杏仁はその和菓子達を前にしています。
「今から楽しみです」
「お抹茶もいいですよね」 
 メイプルはそちらを見ています。
「飲むとすっきりしますし」
「冷やして甘くしてグリーンティーにしても美味しいんですよね」
 シュガーもお抹茶を見ています。
「お抹茶は」
「それじゃあ今から食べましょう」
 ワインは一刻も早くという感じになっています。
「早速」
「そうね、じゃあ今からね」 
 将軍はワインの言葉に笑顔で応えました。
「食べましょう」
「はい、そうしましょう」
 猫や犬達が応えてでした。
 皆でおやつを食べはじめました、その時にです。
 ふとです、ご主人がこんなことを言いました。
「今日はもうすぐだね」
「ええ、あの人達が来るわ」
 将軍が答えました。
「その日よ」
「そうだったね」
「だから今日はね」
「うん、和菓子を収穫したね」
「そうしたのよ」
「そうだったね」
「あの人達は和菓子が大好きだから」
 だからだというのです。
「その日はね」
「やっぱりだよね」
「和菓子をね」
「沢山用意するね」
「ええ、そして私達はね」
「あの人達からね」
「油揚げを貰うのよね」
 将軍はにこりとして言いました。
「厚揚げも薄揚げも」
「どちらもいいね」
「日本のものばかりね」
 ドロシーはお二人のお話を聞いてどら焼きを食べながら言いました。
「何か」
「はい、日本から入った人達で」
「実際に日本の食べものが好きなんです」 
 お二人もこう答えます。
「それでなんです」
「私達もそうしたものを用意します」
「成程ね、油揚げといったら」
 ドロシーはさらに言いました。
「おうどんにも使うわね」
「きつねうどんですね」 
 ご主人が笑顔で応えました。
「そのおうどんは」
「やっぱりそうよね」
「僕達も好きでして」
 そのきつねうどんをというのです。
「それでなんです」
「油揚げを貰って」
「厚揚げは煮たり焼いたりして食べまして」
「薄揚げはなのね」
「きつねうどんに使います」
「きつねうどんも美味しいですね」
 ここで将軍も言いました。
「だから私もです」
「薄揚げを使って」
「はい、そしてです」
 そのうえでというのです。
「おうどんを作って」
「食べているのね」
「そうしています」
「そうなのね」
「今じゃ和食も中華も作ります」
「お料理のバリエーションが増えたのね」
「スパゲティもよく作りますよ」
 イタリア料理であるこちらもというのです。
「ピザも」
「それもなの」
「アボガドの木もありますから」
 この果樹園にはというのです。
「ですから」
「それでなのね」
「はい」
 実際にというのです。
「そうしています」
「成程ね」
「あの、それでその人達ですけれど」
 カルロスは将軍に善哉を食べながら尋ねました。
「日本から来た人達っていいますと」
「何かしら」
「お侍さんですか?力士さんですか?」
「そのどちらでもないわよ」
 将軍はカルロスに笑って答えました。
「日本といえばだけれど」
「はい、あと忍者ですよね」
「そうした人達が有名だけれど」
 それでもというのです。
「これからうちに来る人達はね」
「また別の人達ですか」
「ええ、そうなの」
「じゃあ一体」
「それは来てからのお楽しみね」
 オズマが笑って言ってきました。
「それは」
「そうなりますか」
「ええ、私もどういった人達が来るかわからないけれど」
 それでもというのです。
「来てみてのね」
「お楽しみですね」
「ええ、待っていましょう」
「わかりました」 
 カルロスも他の子達も頷くしかありませんでした、そして今はおやつを食べていましたがここで、でした。
 家のチャイムが鳴りました、それで皆家の門の方に行ってみますと。
 日本の江戸時代の商人の服を着た狐と狸がいました、カルロスはその狐と狸を見てこれはというお顔になって言いました。
「ああ、狐と狸なんだ」
「そうだね」
「誰かと思ったら」
「この人達だったのね」
「如何にも日本ね」
「そうなのよ、ご近所に住んでいる人達でね」
 将軍は五人の子供達に笑顔でお話しました。
「時々うちに来てくれるの」
「それでお菓子や果物と交換でなんだ」
 ご主人もお話します。
「それでね」
「揚げをですね」
「貰っているんだ」
 こうカルロスに答えました。
「僕達はね」
「いや、ここのお菓子は美味しくてね」 
 狐がにこにことしてお話しました。
「それでなんだ」
「僕達はいつも頂いているんだ」
 狸も言ってきました、狐の声は高いですが狸のそれはやや低いです。ですがどちらも男の人の声です。
「そして楽しんでいるんだ」
「このお家のお菓子をね」
「そのお礼になんだ」
「揚げを渡しているんだ」
「つまりそれが交換ね」
 オズマもお話を聞いて頷きました。
「要するに」
「はい、そうです」
「オズマ姫は今はこちらですか」
「ええ、お手伝いに来ているの」
 オズマは狐と狸ににこりと笑って答えました。
「今はね」
「そうですか、ドロシー王女も一緒ですか」
「それにかかしさんと樵さんも」
「トトに臆病ライオンもいて」
「そしてアン王女とビリーナも」
「そうなの」 
 ドロシーは狐と狸ににこりと笑って答えました。
「私達はオズマとビリーナより先に来ていたの」
「そしてお手伝いしていたんだ」
「将軍のお家でね」
 かかしと樵も狐と狸にお話しました。
「楽しくそうさせてもらっているよ」
「さっきまでもそうしていたよ」
「それは何より」
「いいことですね」
 狐も狸もにこりと笑って応えました。
「最近こちらは忙しかったので」
「ご家族も来られると聞いていましたが」
「それまで大丈夫かなと思っていましたが」
「皆さんがお手伝いしてくれるなら」
「ええ、あと少しでお二人のご家族が来られるから」
 アン王女もお話しました。
「それまで楽しませてもらうわ」
「それはお願いします」
「お二人を助けて下さい」
「そうさせてもらうわ」
「それでだけれど」
 トトも狐と狸に言ってきました。
「君達はこちらで食べるのかな」
「お菓子をだね」
「それに果物をだね」
「うん、どうなのかな」
 こう尋ねるのでした。
「そこは」
「僕達は持ち帰ってね」
「そしてどちらかの家で食べるんだ」
 狐と狸はトトに答えました。
「そうしているんだ」
「お茶を煎れてね」
「そうしているんだね」
「うん、そうなんだ」
「お団子とかお饅頭をそうしているんだ」
「二匹でね」
 こうトトにお話しました。
「酒盛りもするけれど」
「お菓子や果物を楽しむ時もあるんだ」
「それでだよ」
「今からもなんだ」
「成程ね。しかし君達本当に日本風だね」 
 臆病ライオンは二匹の服装を見て言いました、見れば見る程時代劇に出て来そうなそうした格好です。
「日本の狐や狸かな」
「うん、そうだよ」
「僕達は日本の狐と狸だよ」
「オズの国に住んでいるね」
「そうした者達なんだ」
「成程ね、そうだなって思ったよ」
 臆病ライオンも二匹の返事に頷きました。
「僕もね」
「そうだね」
「服装で一目瞭然だね」
「それと和菓子が好きなことでね」
 このことでもというのです。
「思ったんだ」
「ああ、そのことでもだね」
「やっぱりわかるんだね」
「ピンとね」
「そういうことだね」
「僕達も否定しないよ」
 こう臆病ライオンに答えます、そしてです。
 二匹は将軍とご主人から和菓子とお菓子を沢山頂いて風呂敷に包んで意気揚々と帰っていきました。その代わりに。
 油揚げにお豆それにお豆腐を沢山くれました、ビリーナはそのお豆やお豆腐を見てそれで言いました。
「お豆もあるのね」
「お豆腐もだね」
 カルロスはお豆腐を見ています。
「それもあるね」
「そうよね、これはいいお豆よ」
 お豆が大好きなビリーナはこう言いました。
「見てわかるわ」
「それじゃあだね」
「ええ、今すぐ食べたいわ」
「このお豆は煮豆にするわ」
 将軍が言ってきました。
「それで枝豆もあるから」
「うん、これはいいおつまみになるね」
 ご主人は枝豆を見て目を細くさせています。
「ビールと合うよ」
「お豆腐もね」
「そちらもね」
「あの、何か」
 神宝はお豆腐やお豆も見て喉をごくりと鳴らして言いました。
「油揚げだけじゃなくて」
「結構以上に豪華ですね」
 ジョージはお豆をじっと見ています。
「これはまた」
「お豆やお豆腐もあるなんて」 
 恵梨香もそうしたものを見ています。
「思いませんでした」
「それでこのお豆やお豆腐もですね」
 ナターシャも言いました。
「これから頂くんですね」
「そうよ、全部晩ご飯の時に食べるのよ」 
 将軍は子供達に笑顔で答えました。
「いいわね」
「わかりました」
「楽しみにしています」
「お豆もお豆腐も」
「そして油揚げにですね」
「きつねうどんですね」
 五人も応えました、そしてです。
 将軍は猫や犬達にもお顔を向けて言いました。
「貴方達も楽しみよね」
「油揚げいいですよね」
 ワインは思わず舌なめずりしています。
「本当に」
「僕はきつねうどんが大好きなんで」
 シュガーはこちらでした。
「今から楽しみです」
「私は厚揚げを焼いたのよ」
 メイプルはこちらのお料理について言いました。
「その上にお醤油と生姜をね」
「僕はお豆腐だよ」
 杏仁はそちらでした。
「それも麻婆豆腐が一番だよ」
「私はステーキよ」
 レモンはこちらだというのです。
「お豆腐のね」
「揚げを煮たのが好きなのよね」 
 ビスケットはこちらと言います。
「もう幾らでも食べられるわ」
「枝豆が最高なのよね」
 桜の尻尾はもう動いています。
「本当に」
「私は納豆が好きなの」
 ふわりの目はいつも以上にきらきらとしています。
「ご飯の上にかけたのがね」
「湯豆腐早く食べたいな」
 サフランは今から楽しみで仕方ない感じです。
「本当に」
「君達お豆腐とかも好きなんだね」
 カルロスは彼等の言葉を聞いて笑顔で言いました。
「そうなんだね」
「大好きです」
「だから狐さんと狸さんが来られるのを待ってるんです」
「グリフォンさんもそうですが」
「狐さんと狸さんもです」
「そうなんだね、何ていうかね」
 彼等の言葉を聞いてあらためて言いました。
「オズの国の生きものは何でも食べられるのがいいね」
「ええ、僕達猫や犬もです」
「お肉以外のものも食べられますし」
「チョコレートや葱を食べても何ともないです」
「お酒も飲めます」
「人間の人達と同じですよ」
「そうだね、僕は何でも好きだけれど」
 自分のことも言うカルロスでした。
「この中では一番はきつねうどんかな」
「だしは日本のものよ」
 将軍が笑顔で応えてくれました。
「昆布と鰹節で取ったね」
「あっ、本格的ですね」
「狐さんと狸さんから教わったの」
「それで、ですか」
「そう、だしはね」
「昆布と鰹節ですか」
「煮干しも使うわよ」
 こちらもというのです。
「あとお醤油や味醂もね」
「使ってですか」
「刻んだお葱も乗せるし」
 薬味としてというのです。
「唐辛子も用意しているわ」
「本当に本格的ですね」
「全部狐さんと狸さんが教えてくれたのよ」
 彼等がというのです。
「これが日本の味だってね」
「そうですか」
「だから晩ご飯の時はね」
「楽しみにしてですね」
「夜まで収穫をしてね」
「そしてですね」
「食べてね」
 そのおうどんそして他のお料理もというのです。
「そうしてね」
「わかりました」 
 カルロスは笑顔で頷いてでした。
 彼も他の皆も日が暮れるまで果樹園のお仕事をしてでした、夜は将軍が作ってくれた揚げやお豆腐の料理を楽しみました、そのメニューは。
 揚げを焼いたものに煮たもの、煮豆に枝豆に納豆にです。
 冷奴、麻婆豆腐、お豆腐のステーキ、湯豆腐にきつねうどんです。皆そのメニューを見て目を輝かせました。
「これはまた」
「美味しそうですね」
「揚げもお豆腐も」
「それにお豆も」
「おうどんも」
「遠慮しないで食べてね」 
 将軍はカルロス達五人に言いました。
「そうしてね」
「わかりました」
「それじゃあ頂きます」
「おうどんも他のものも」
「そうさせてもらいます」
「これから」
「それではね」
 将軍も応えてでした。
 皆でいただきますをしてから食べます、カルロスは最初はきつねうどんを食べましたが揚げとおうどんを食べてから言いました。
「これは確かに」
「美味しいわね」
「はい」
 アン王女に答えました。
「本当に」
「私もいただいているけれど」
 見れば王女もおうどんを食べています。
「本当にね」
「美味しいわね」
「はい、だしも美味しくて」
「おうどんのコシもしっかりしていて」
「美味しいです」
「そうよね」
「お豆腐も美味しいわ」
 オズマは湯豆腐をぽん酢で食べながら言いました。
「こちらもね」
「そうなんですね」
「ええ、そういえばね」
「そういえば?」
「オズの国に湯豆腐が大好きな作家さんがいるのよ」
「そうなんですか」
「日本から来た作家さんでね」
 その人も日本からの人だというのです。
「泉鏡花さんっていうの」
「あっ、あの妖怪とかが好きな」
「そうなの。オズの国にも日本の妖怪がいるわね」
「それも沢山ですね」
「妖怪博士さんもいて」
 外の世界では漫画家をしていた人です。
「そしてね」
「沢山の妖怪がいて」
「その人も妖怪が好きで」
 それでというのです。
「オズの国では彼等と一緒にいて楽しく暮らしているの」
「そうですか」
「そしてその人もね」
 泉鏡花さんもというのです。
「湯豆腐が大好きなの」
「そうですか」
「あとご飯とルーを最初から入れたカレーが好きな作家さんもいるわよ」 
 オズマはにこりと笑ってこの人も紹介しました。
「前に貴方達が行った日本の街に住んでいるわ」
「あの大阪の街ですね」
「ええ、あの街にね」
 そちらにというのです。
「住んでいてね」
「そのカレーがお好きですか」
「あと二杯同時に出す善哉もお好きなの」
「そうですか」
「その人もオズの国にいてね」
 そうしてというのです。
「そのカレーが好きなの」
「本当にオズの国は色々な人がいますね」
「この人は織田作之助っていうの」
「あっ、大阪の人ですね」
 カルロスもこの人のことは知っていました。
「忍者の小説も書いていた」
「知ってるのね」
「はい」
 実際にとです、カルロスも答えました。
「そのカレーもいただいたことがあります」
「そうなのね」
「あの人もオズの国におられるんですね」
「今はね」
「エジソンさんがいて関羽さんがいて」
「ネルソンさんがいてね」
 そしてというのです。
「そうした人達もいるのよ」
「色々な人達がいるんですね」
「ずっと夢を持っている人達はね」 
 オズマはカルロスににこりと笑ってお話しました。
「オズの国にね」
「来ることが出来て」
「ずっと住めるのよ」
「素晴らしいことですね」
「だから貴方達もね」
「やがてはですね」
「ずっとね」
 その時が来ればというのです。
「オズの国に住める様になるわ」
「そうですよね」
「ええ、だから外の世界ではね」
「その時を待ちながらですね」
「楽しく過ごしてね」
 外の世界でもというのです。
「そうしてね」
「わかりました」
 カルロスも笑顔で応えました。
「そうさせてもらいます」
「是非ね、それとね」
「それと?」
「さっき将軍から聞いたけれどデザートは」
「何ですか?」
「豆乳プリンよ」
「そちらもいただいたの」
 将軍は笑顔でカルロスに言ってきました。
「実はね」
「それで、ですか」
「そう、今晩のデザートはね」
「豆乳プリンですか」
「そうなの」
「豆乳も美味しいですし」
「あっさりしていてしかもね」
 さらにというのです。
「身体にもいいのよ」
「それが豆乳プリンで」
「そちらもね」
 是非にというのです。
「食べましょう」
「わかりました」
「いや、いいね」
 ご主人は枝豆に揚げそしてお豆腐を肴にビールを飲んでいます、ごくごくととても美味しそうに飲みながら言うのでした。
「こうして飲むのは」
「ご主人楽しそうですね」
「もうお顔真っ赤ですよ」
「ビールも美味しくて」
「枝豆も他のものもですね」
「美味しいんですね」
「凄くね」
 今度は枝豆を食べてカルロス達五人に答えました。
「これは最高だよ、今はビールを飲んでいるけれど」
「白ワインや日本酒にも合うのよね」
「そうだね」
 ご主人は奥さんに笑顔で応えました。
「枝豆やお豆腐は」
「そうよね」
「だからね」
 それでというのです。
「今もだよ」
「あなたも楽しんでいるわね」
「奥さんもじゃないか」
「ええ、ビールを飲んで」 
 見れば将軍もビールを飲んでいます、その飲みっぷりはご主人にも全く負けていない位です。大きな杯の中のビールがどんどん減っています。
「そうしてね」
「枝豆や他のものもね」
「楽しんでいるわ」
「そうだね」
「枝豆もいい食べものよ」
「美味しくて食べやすくて」
 さらにというのです。
「しかも身体にいい」
「最高の食べもの一つね」
「全くだよ」
 飲みつつ奥さんに言います。
「本当に思うよ」
「その通りね。ただこのままだと」
「明日の朝もだね」
「二日酔いね」
「二人共そうなるね」
「それは咲けられないわね」
「全くだね」
 言いながらも飲んでいます。
 そしてです、犬達もそんな二人に言いました。
「その時は僕達が起こします」
「それでお風呂場まで案内します」
「ですから安心して下さい」
「いつも通りさそうさせてもらいますから」
「いつも悪いね、皆がいてくれるから」
 ご主人は飲みながら赤ちゃんも見て犬達に言いました。
「赤ちゃんも安心して任せられて」
「飲んでもですね」
「安心出来ますね」
「そうなんですね」
「そうだよ、じゃあもっと飲もう」
 言ってまた飲むのでした。
「こうしてね」
「ただ、朝はですね」
「本当に頭が痛いですよね、二日酔いですと」
「それで身体も辛くて」
「大変ですね」
「大変だけれどね」 
 それでもというのです。
「そこから熱いお風呂に入ってね」
「お酒を抜くのもですね」
「いいんですよね」
「いつもそう言われてますね」
「実際にね」
 犬達に笑顔で答えました。
「だからね」
「はい、今はですね」
「好きなだけ飲まれて」
「朝はもうですね」
「お風呂ですね」
「そちらに入るよ」
 こう言ってでした。
 ご主人も将軍もお酒をどんどん飲んでいきました、お豆腐やお豆、おうどんと一緒に。そして翌朝です。
 オズマは目が覚めるとすっきりしたお顔の将軍と奥さんを見て言いました。
「お酒抜けたのね」
「はい、もう」
「この通りです」
 二人共オズマに笑顔で答えました。
「さっきまでお風呂に入っていて」
「すっきりしました」
「熱い湯舟に入ってです」
「汗をかいて」
「それで冷たい水風呂に入って」
「それを三回程繰り返しましたら」
 そうしたらというのです。
「この通りです」
「二日酔いはなくなりました」
「そうなのね。魔法使いさんも二日酔いになったら」
 オズマはこの人のことをここで思い出しました。
「サウナに入っているわね」
「朝にですね」
「あの人もそうされていますね」
「ええ、汗をかいたらお酒は抜けるのね」
「そうなります」
「それまでが嘘みたいにすっきりします」
「そうなのね。じゃあ今日も」
 オズマはお二人とお話をしてにこりとして言いました。
「皆で頑張りましょう」
「はい、そうしましょう」
「是非共」
「あと少しでお二人の親戚の人達も来られるしね」
「明後日ですね」
「明後日に皆うちに来てくれます」
「それじゃあね」
 あと二日と言ってです、そうしてでした。
 皆で朝ご飯を食べました、そのうえでまた働いて楽しむのでした。








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