『オズのジンジャー将軍』
第八幕 フルーツグリフォン
この日も朝から皆でお仕事をして楽しんでいます、将軍は今はバナナを獲っていますがそのバナナを見て言いました。
「今日はバナナが一番多いわね」
「そうだね」
ご主人もバナナを獲りながら応えます。
「それもいいバナナばかりがね」
「収穫出来て」
「しかもどのバナナも美味しそうで」
「これは食べる時が楽しみだね」
「本当にね」
「バナナはそのまま食べても美味しいけれど」
それでもとです、アン王女も言いました。
「お料理に使ってもね」
「バナナは美味しいわ」
オズマもそうだと応えます。
「スイーツにしても」
「ええ、クレープやケーキにもいいし」
「アイスクリームにも合うわ」
「本当にね」
「私は林檎が一番好きだけれど」
それでもなのです。
「どの果物も好きで」
「バナナもよね」
「大好きで」
それでというのです。
「よく食べるわ、だからね」
「今日もよね」
「食べる時が楽しみよ」
こう言うのでした、それも笑顔で。
「本当にね」
「この果樹園はどんな果物もあるから」
オズマも言ってきました。
「いいわね」
「ええ、本当にね」
オズマはドロシーにも応えました。
「そのこともね」
「いいことよね」
「この果樹園は」
本当にというのです、そしてです。
そうしたお話をしつつです、皆でバナナを収穫しているとトトはその中で恵梨香が少し複雑な表情になっていることに気付きました。
そしてです、恵梨香に尋ねました。
「どうしたの?」
「いえ、バナナって今日本では普通に食べられるけれど」
恵梨香はすぐに答えました。
「けれど昔は物凄く高かったらしいの」
「そうだったんだ」
「ロシアではなかったわ」
ナターシャも言ってきました。
「バナナはね」
「寒い場所だとないんだよね、バナナって」
神宝は二人の言葉を聞いて言いました。
「だからね」
「そうそう、昔は流通が発達してなかったし」
ジョージも言ってきました。
「外の世界ではずっと少し寒い場所では食べられなかったよ」
「ううん、それで日本やロシアでは高かったんだね」
トトも事情がわかりました。
「外の世界では」
「成程ね、オズの国ではないことだね」
かかしも言ってきました。
「そのことは」
「そうそう、オズの国では何処でも何でも食べられるから」
樵も言います。
「そこは違うね」
「昔からだからね」
臆病ライオンも言うことでした。
「オズの国でそのことは」
「そうね、私もバナナはカンサスでは食べたことがなかったわ」
ドロシーもでした。
「というか見たこともなかったわ」
「物凄く普通にありますよ」
オズの国ではとです、将軍は言いました。
「私の果樹園だけでなく」
「そうだけれど」
「外の世界ではですね」
「昔はね」
「何処でも食べられなかったんですね」
「他のものもね」
「じゃあアイスクリームもですか?」
カルロスは皆のお話を聞いて言いました。
「昔は」
「そんなのなかったわよ」
ドロシーはすぐに答えました。
「皆好きだけれど」
「そうですか」
「ええ、バナナだけでなくね」
「そうでしたか」
「オズの国ではアイスクリームも普通にあるわね」
「僕外の世界でもよく食べます」
カルロスの大好物の一つなのです。
「オズの国でも」
「そうよね、けれどね」
「昔はですか」
「私バナナだけでなくアイスもね」
「カンサスでは食べたことがなかったですか」
「そう、今は普通に食べているけれど」
ドロシーにしてもです。
「そうだったの」
「そうですか」
「だからバナナが普通に食べられて」
そしてというのです。
「アイスクリームもっていうのは」
「素晴らしいことですね」
「私もそう思ってるわ」
「そうですか」
「だからバナナを何本も食べられてね」
普通にというのです。
「私凄く嬉しく思っているの」
「そうなんですね」
「ええ、それとね」
「それと?」
「バナナはジュースにしてもいいわよね」
「あっ、バナナジュースですね」
カルロスは笑顔で応えました。
「確かに美味しいですね」
「そうよね」
「じゃあドロシーさんも」
「後で飲みたいわ」
「バナナジュースですか。ありますよ」
将軍がすぐに言ってきました。
「私も好きでよく造るので」
「そうなのね」
「ではお昼の時に」
「ご馳走になるわ」
「お昼ご飯と一緒に」
「そうさせてもらうわ」
ドロシーは将軍にも笑顔で応えました、そしてです。
皆でバナナを獲っていきました、それが終わった時にです。
ビリーナはふと耳を澄ましてこんなことを言いました。
「ここに誰か来るみたいよ」
「誰か?」
「ええ、何か凄く大きいね」
こう将軍に答えました。
「お空からね」
「お空から」
「ええ、来るわよ」
「お空からとなると」
そう聞いてです、将軍は言いました。
「鳥かしら」
「鳥にしては大きいわね」
ビリーナは将軍にこうも答えました。
「羽ばたきの音だと」
「鳥にしてはなの」
「臆病ライオン位の大きさがあるわ」
「僕となんだ」
その臆病ライオンが応えました。
「そうなんだ」
「ええ、それ位の大きさよ」
「それは鳥としてはね」
「かなりでしょ」
「うん、オズの国でもあまりいないよ」
臆病ライオン位の大きさの鳥はというのです。
「本当に」
「そうよね、あと体重もね」
これもというのです。
「結構な感じよ、羽ばたきの音を聞いていると」
「ご主人様、グリフォンが来ます」
ここで猫のワインが皆のところに来て言ってきました。
「あの獣が」
「グリフォンがなんだ」
「はい、この果樹園に」
こうご主人にお話しました。
「向かってきています」
「そうなんだ」
「はい、屋根の上から周りを見ていますと外に見えたので」
それでというのです。
「今報告に来ました」
「そうなんだ」
「はい、そういうことで」
「彼女だね」
ご主人はワインのお話を聞いて言いました。
「そのグリフォンは」
「ええ、この果樹園に来るグリフォンはね」
将軍も応えます。
「彼女しかいないわ」
「そうだね」
「左様ですね、ではですね」
ワインも応えます。
「これより」
「うん、おもてなしの用意をしよう」
「今からね」
ご主人も将軍も応えてでした。
早速色々な種類の果物やお菓子を用意しました、カルロスはそのうず高く積まれた甘いものを見て言いました。
「グリフォンが来るからなんだ」
「はい、だからです」
シュガーが答えました。
「用意しました」
「これから来られるグリフォンさんは甘いものが大好きなんですよ」
メイプルもカルロスにお話します。
「それでなんです」
「こちらは甘いものを沢山用意して」
そしてとです、杏仁も言います。
「食べてもらうんです」
「そしてそのお礼にです」
レモンも言います。
「私達はグリフォンさんの持って来る凄い量のお肉を頂くんです」
「お肉だけじゃないんですよ」
ビスケットは尻尾を振りながらお話しました。
「私達のドッグフードも持って来てくれるんです」
「そのドッグフードがまた美味しくて」
桜は笑顔になっています。
「私達大好きなんです」
「だからグリフォンさんが来てくれるなら」
ふわりの尻尾も動いています。
「私達いつも大歓迎なんですよ」
「ですからこうして用意しました」
サフランも言います。
「沢山のお菓子や果物を」
「そうなんだ、ただね」
カルロスはここでこう言いました。
「グリフォンって肉食じゃなかったかな」
「そうそう、鷲の頭と翼でね」
「身体はライオンで」
「それで肉食なのよね」
「物凄く強くて」
恵梨香達四人も言います。
「確か馬肉が一番好きで」
「よく食べるっていうけれど」
「オズの国じゃ違うんだ」
「甘いものも食べるのね」
「そうなのよ、オズの国は皆何でも食べられるでしょ」
将軍が皆に優しい声でお話しました。
「だからグリフォンもなのよ」
「甘いもの食べるんですね」
「それも大好きみたいですね」
「お菓子も果物も」
「それでここに来てですか」
「食べるんですか」
「そうなの。彼女の持って来てくれるお肉は絶品で」
そしてというのです。
「ドッグフードもね」
「今お話させてもらった通りです」
「物凄く美味しいんですよ」
「他のドッグフードも美味しいですけれど」
「グリフォンさんのドッグフードは絶品で」
「何でグリフォンさんのおられるハイランドのものらしくて」
「本当にいいんですよ」
犬達も言ってきました。
「ハイランドに凄く美味しなドッグフードを造る人がおられるそうで」
「その人と知り合いらしくて」
「それで、です」
「うちにいつも持って来てくれるんですよ」
「そのドッグフードも」
「キャットフードもなんです」
猫のワインも言ってきました。
「凄くです」
「美味しいんだ」
「はい」
カルロスににこりと笑って答えました。
「そちらも」
「何でもなんだ」
「ですから僕もです」
ワインにしてもというのです。
「楽しみです」
「成程ね、しかし」
ここでカルロスはこうも言いました。
「グリフォンもオズの国では違うね」
「外の世界では強くてね」
「恰好いいけれど獰猛で」
「怖い存在だけれど」
「それもドラゴン並に」
「そうなのに」
それがとです、カルロスは恵梨香達ともお話しました。
「それがね」
「オズの国だとね」
「他の生きもの達と同じで」
「獰猛でなくて」
「怖くもない」
「そうなのね」
「オズの国では恐怖はないわよ」
オズマが言ってきました。
「死ぬことも怪我をすることがないでしょ」
「そうですよね」
「それで怖い人もいなくて」
「怖いこともないですね」
「それでグリフォンもですね」
「怖くないですね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「安心してね」
「グリフォンもですね」
「物語ではドラゴン並に怖いのに」
「物凄く強くて」
「けれどですね」
「それでもなんですね」
「そうよ、そうしたことはないから」
オズの国ではというのです。
「皆で迎えましょう」
「はい、しかし本当に色々な生きものがいる国ですね」
カルロスは今このことをしみじみと思いました。
「オズの国は」
「色々な人もでしょ」
「はい、関羽さんもエジソンさんも真田幸村さんもおられて」
「他にも色々な人がいるでしょ」
「そうですね、元の住人の人達も」
今度はかかしや樵、臆病ライオンを見ました。
「色々な人達がいますね」
「そうそう、僕達にしてもね」
「確かに個性的だね」
「自覚しているよ」
そのかかしと樵、臆病ライオンも言ってきました。
「僕はライオンなのに臆病だと思っていたし」
「僕はハートがないと思っていたよ」
「僕は知恵がないと自分で思い込んでいたね」
「そうですよね、オズマ姫も」
カルロスは今度はオズマを見て言いました。
「人間の男の子と思ったら」
「妖精でね」
「女の子で」
「そうよね。私もずっとね」
「ご自身をですね」
「人間の女の子と思ったいたわ」
オズマ自身もというのです。
「そうだったわ」
「そうでしたね」
「そう思うとね」
「オズの国の人達も」
「色々よ。個性的で楽しい人達ばかりよ」
「ですね、そして怖いことは」
「それもね」
まさにというのです。
「ないから」
「だからですね」
「グリフォンもね」
女性であるというこの生きものもというのです。
「これからね」
「笑顔で、ですね」
「迎えましょう」
「わかりました」
カルロスも他の子達も頷きました、そしてです。
お空から臆病ライオン位の大きさの生きものがやって来ました、見れば鷲の翼と頭を持っていてです。
身体はライオンです、カルロス達五人はその生きものを見て言いました。
「確かにね」
「グリフォンだね」
「この姿は」
「本当に恰好いいわね」
「鷲とライオンが合わさっていて」
「あっ、見たら」
臆病ライオンがそのグリフォンを見て言いました。
「雌ライオンの身体だね」
「君にはわかるんだ」
「うん、一目でわかるよ」
臆病ライオンはトトに答えました。
「同じライオンだからね」
「それでだね」
「そう、身体はね」
それはというのです。
「ライオンもなんだ」
「雄と雌でなんだ」
「身体つきが違うから」
「同じライオンだとだね」
「一目でわかるよ」
「そうなんだね」
「ええ、私はアリアドネっていうの」
グリフォンはとても奇麗な大人の女の人の声で言ってきました。
「宜しくね」
「こちらこそね」
「うん、確かに女性だね」
かかしは声を聞いてわかりました。
「僕もこれでわかったよ」
「僕達もライオンの身体つきで性別はわからないけれど」
樵も言いました。
「声を聞くとね」
「わかるね」
「それでね」
「声は嘘を吐かないのよ」
ビリーナも言います。
「もうそれでね」
「性別がわかるね」
「そうだね」
「魔法とかで声を変えるなら兎も角」
その場合は別にしてもというのです。
「普通にね」
「話すとね」
「やっぱりそこで性別がわかるね」
「僕達もそうだし」
「そこでね」
「ええ、だからこのグリフォンもわかるわ」
今姿を現した彼女にしてもというのです。
「女性よ」
「そうだね」
「間違いなくね」
「それも大人のね」
「これでも大人よ」
グリフォンは笑って言ってきました、目元がとても上品です。
「結婚はまだだけれど」
「結婚はなんだ」
「彼氏はいるけれどね」
カルロスに答えました。
「それでもね」
「結婚はなんだ」
「これからのことよ」
「成程ね」
「それじゃあ」
「ええ、将来は二匹でとなると思うけれど」
それでもというのです。
「今はね」
「貴女だけでだね」
「来てるのよ、そしてね」
「食べるんだね」
「ここの美味しい果物にお菓子をね」
「そうするんだね」
「ええ、それとね」
グリフォンはさらに言いました。
「お礼にね」
「美味しいお肉とだね」
「ドッグフードを渡すから」
だからだというのです。
「交換に」
「そうなんだね」
「そう、じゃあ頂くわ」
グリフォンはこう言ってです。
将軍とご主人が出してくれたお菓子や果物をとても美味しそうに食べはじめました、勿論ジュースや牛乳も飲みます。
そうしながらです、こう言ったのでした。
「いやあ、本当にね」
「美味しいのね」
「今回もね」
今度は将軍に答えました。
「幾らでも食べられるわ」
「それは何よりね」
「楽しませてもらってるわ」
「美味しく食べてもらうとね」
将軍も笑顔で応えました。
「私も嬉しいわ」
「いつもそう言ってるわね」
「作る方もね」
美味しく食べてもらっていると、というのです。
「本当にね」
「嬉しいのね」
「そうよ。ではどんどん食べてね」
「そして飲んでよね」
「そうしてね」
「それではね」
グリフォンは将軍の言葉も受けてでした。
そうして果樹園のものを堪能しました、そうしてからです。
将軍とご主人に巨大なお肉を差し出してでした。
ドッグフードも出しました、そこにはキャットフードもあって果樹園の犬達も猫達も物凄く喜びました。
「待ってました」
「またこのご飯が食べられるんだ」
「凄く嬉しいです」
「今回も有り難うございます」
「頂きます」
「ええ、楽しんでね」
グリフォンも笑顔で応えます。
「美味しいものを食べて」
「いや、この子達は本当に君の持ってくる食べものが好きだからね」
ご主人も言いました。
「今夏も有り難いよ」
「はい、本当に」
「いつも嬉しいです」
「じゃあ今晩はですね」
「このドッグフードですね」
「そうしよう」
ご主人は犬達に笑顔で応えました、そしてです。
グリフォンは食べて飲み終えると欠伸をしてからその場に寝ました。
「少し仮眠させてね」
「いつもこうなの?」
アン王女は寝だしたグリフォンを観ながら将軍に尋ねました」
「彼女は」
「はい、お腹一杯食べて飲みますと」
将軍も答えます。
「少し寝るんです」
「そうなのね」
「ですからいつもです」
将軍はさらに言いました。
「ここで、です」
「寝てもらって」
「帰ってもらっています」
「そうなのね」
「はい、では私達はまた」
あらためてというのです。
「お仕事をしましょう」
「彼女が寝ている間は」
「はい、そして」
それでというのです。
「起きると帰りますので」
「そこでなのね」
「見送る様にしています」
「わかったわ、じゃあそうしましょう」
王女も頷いてです、皆グリフォンが寝ている間はお仕事を楽しみました。グリフォンの傍には将軍が残ってです。
皆で一緒に楽しみました、ケーキやタルト、パイも獲っていって。
その中で、です、オズマはチーズケーキを獲りながら言いました。
「このケーキも美味しそうね」
「そうよね」
ドロシーが応えました。
「とても甘そうで」
「見ているだけで食べたくなるわ」
「ええ、けれど今は我慢して」
幾ら美味しくて食べたくてもというのです。
「獲ってね」
「集めることね」
「そうしましょう」
「それではね」
「ケーキといっても色々で」
ドロシーの足下からトトが言ってきました。
「このケーキの木も色々なケーキが実ってるね」
「そうだね」
臆病ライオンはチョコレートケーキを見て舌なめずりしています。
「見ているだけで甘くなる位だよ」
「全くだね」
「私としてはね」
ビリーナは隣のポップコーンの木を見ています。
「あちらがいいけれど」
「君もケーキはだね」
「嫌いじゃないわよ」
ビリーナはトトに答えました。
「ケーキもね」
「そうだよね」
「鶏だから小さな食べものが好きだけれど」
「お豆とかね」
「けれどそうしたものもね」
ケーキもというのです。
「嫌いじゃないわよ」
「そうだね」
「確かに見ているだけで美味しそうで」
ナターシャはその喉をごくりと鳴らしました。
「ついつい食べてしまいそうよ」
「けれどこれで食べたら駄目よ」
恵梨香はそのナターシャに言いました。
「後でね」
「そうだよね、後で皆で食べよう」
ジョージも言いました。
「収穫してからね」
「つまみ食いはよくないから」
神宝もこのことは気をつけています。
「今は我慢しよう」
「我慢して」
そしてとです、カルロスも食べたい気持ちを堪えています。
「収穫に専念しよう」
「そうよね」
「本当に食べたくなるけれど」
「それを我慢して」
「そしてね」
「そのうえで」
「やっていこう」
こう言ってそのうえで、でした。
五人もしっかりと収穫のお仕事をしています、その五人のところでかかしが来てそうして言ってきました。
「ちょっといいかな」
「どうしたんですか?」
「いや、この果樹園蛇も結構いたのに」
その蛇達がというのです。
「今は姿が見えないね」
「そういえばそうだね」
樵も言いました。
「どうしたのかな」
「グリフォンが来て怖いとかはないね」
かかしはすぐにそれはないと察しました。
「別に」
「そうだね、ここはオズの国だからね」
「それはないね」
「そうだね」
「だとしたらお昼寝をしているのかな」
かかしはこう考えました。
「それなら」
「はい、この時間はです」
ご主人がかかしと樵に答えました。
「蛇達は寝ますね」
「ああ、そうなんだ」
「それでなんだ」
「今は蛇達の姿が見えないんだ」
「そうなんだね」
「はい、そうです」
そうだというのです。
「うちの果樹園の蛇達は寝ることが大好きで」
「お昼寝も毎日していて」
「それが今なんだ」
「そうです、ですから」
それでというのです。
「特に驚くことはないです」
「わかったよ、じゃあね」
「そのことはこれでいいね」
「そうだね」
「うん、納得したしね」
二人はこれでこのことはいいとなりました、そしてです。
二人も収穫を手伝ってでした、その作業が終わったところで将軍が連絡してきました、その連絡は。
「今からですね」
「ええ、グリフォンさんが帰るからね」
アン王女がカルロスに答えました。
「だからね」
「今から見送りですね」
「そうなるわ」
「わかりました、それじゃあ」
カルロスも他の皆も頷いてでした。
皆でグリフォンを見送りに彼女のところに集まりました、するとグリフォンはもう起き上がっていてです。
皆にです、こう言いました。
「ではまたね」
「何時でも来て下さいね」
ワインはにこりとしてグリフォンに応えました。
「うちに」
「待ってますから」
サフランもグリフォンに言います。
「楽しみに」
「いや、いつも有り難うございます」
ふわりは尻尾をぴこぴこと左右に振っています。
「ドッグフードもお肉も」
「しかもご主人と奥さんが作ってくれたものを美味しく食べてくれて」
桜はこのことを言いました。
「本当に有り難うございます」
「お二人が作ってくれたものを嬉しく食べてくれたら」
ビスケット達にしてもです。
「私達も嬉しいですから」
「しかもいい食べっぷりですしね」
レモンはこのことを喜んでいます。
「そして飲む方もですから」
「やっぱりお互いに嬉しくなるっていいですよね」
杏仁はこう言いました。
「何につけても」
「それでこそオズの国ですよね」
メイプルの言葉です。
「本当に」
「だからまた来て下さい」
シュガーも言ってきました。
「そうして下さい」
「ええ、そうさせてもらうわね」
グリフォンも応えました。
「また今度ね」
「ええ、また来てね」
将軍も応えました。
「待ってるわよ」
「それではね、この果樹園はオズの国で一番よ」
グリフォンはにこりと笑って言いました。
「だからね」
「またね」
「来させてもらうわ」
「それではね」
こうしたお話をしてでした。
グリフォンは羽ばたきをしてからです、お空に飛びあがり。
女性ですが雄々しく飛んでそうして去りました、その姿が見えなくなってから将軍は皆に言いました。
「さて、もうね」
「うん、いい時間だね」
ご主人が応えました。
「お仕事が終わる」
「そうよね」
「もう収穫も終わって」
「収穫したものも集めたし」
「だからね」
それでというのです。
「今日のお仕事は終わろうか」
「それがいいわね」
「うん、それじゃあね」
ご主人はさらに言いました。
「後はね」
「お風呂に入って」
「晩ご飯を食べてね」
「寝ましょう」
「今日もね」
こう二人でお話しました。
「そうしようね」
「ええ、それにしてもね」
将軍はさらに言いました。
「今日も沢山獲れたわね」
「美味しそうなお菓子と果物が」
「そうね、だからこそね」
「人手が必要だね」
「そうなったから」
それだけにというのです。
「親や親せきを呼んでよかったね」
「もうすぐ来てくれてね」
「同居してね」
「一緒に働いてくれるから」
だからだというのです。
「安心出来るね」
「そうね、皆のお家も建てているし」
「そこに住んでもらって」
「一緒に暮らして」
「働いてもらおう」
「そうしましょう」
「ただ、お二人のお家はかなり広いから」
ここでオズマが言ってきました。
「まだ何人か住めるわよ」
「はい、ですがそれぞれの家族のです」
「お家を建てたのね」
「そうしました」
「そうなのね」
「果樹園はお家がそれだけあっても充分以上ですし」
それだけ広いからというのです。
「ですから」
「それでなのね」
「はい」
実際にというのです。
「建てました、お話してやっぱりそれぞれのお家に住んで」
「一緒に暮らして働けばなの」
「その方がいいとなって」
それでというのです。
「そうすることになりました」
「最初は同居するお話だったかしら」
「はい、ですがそれからお話して」
さらにそうしてというのです。
「そうなりまして」
「お家をなのね」
「今大工さん達に建ててもらっています」
それぞれの家族のお家をというのです。
「そうしてもらっています」
「成程ね」
「はい、そして」
さらに言う将軍でした。
「皆で仲良くです」
「ここで暮らして働く」
「そうなります、あとお家はログハウスです」
それぞれの家族のそれはというのです。
「それを建ててもらっています」
「マンチキンの木ね」
「青い木です」
まさにマンチキンの木です。
「それを使って」
「やっぱりそうよね」
「青が一番ですよね」
将軍はにこりと笑ってこうも言いました。
「やっぱり」
「マンチキンの人としてはね」
「はい、ですから」
それでというのです。
「その青い木で」
「お家を建てて」
「住んでもらいます」
「というかですね」
カルロスは笑顔で言ってきました。
「マンチキンは青くないとです」
「マンチキンじゃないわね」
「はい、それでウィンキーは黄色で」
「ギリキンは紫、カドリングは赤でね」
「エメラルドの都は緑でないと」
それぞれというのです。
「やっぱりです」
「それぞれの国じゃないわね」
「そうですよね」
「私もそう思うわ」
将軍にしてもです。
「だからね」
「今みたいにですね」
「言ったのよ」
そうだというのです。
「本当にね」
「オズの国の特色ですね」
「そう言う貴女達も」
将軍はカルロス達五人にも言いました。
「そうね」
「僕達もですか」
「それぞれの色があるわね」
「僕は黄色で」
「僕は赤ですね」
「そして僕は青です」
「私は黒になりますね」
「私はピンクで」
ジョージ、神宝、ナターシャ、恵梨香の順番に言いました。
「そうですね」
「いつもそれぞれの色の服ですね」
「それぞれこの色が好きですから」
「そうなっていますね」
「そしてこのことがですね」
「そうよ」
将軍は五人に答えました。
「まさにね」
「僕達の色で」
「それぞれの色で」
「個性になっていて」
「そしてそのことがいい」
「そうなんですね」
「そう思うわ」
こう五人に言いました。
「本当にね」
「この子達は最初からなのよ」
ドロシーが将軍に言ってきました。
「それぞれの色がね」
「ありますね」
「そうなの、五人それぞれでね」
「着ている服がそれで」
「五人が出ているわ」
その好きな色にというのです。
「私もそう思うわ」
「そうですね、オズのそれぞれの国と同じで」
「そうでしょ」
「私も思います」
「若しも僕が他の色だったら」
黄色以外ならとです、カルロスは自分で言いました。
「別人ですか」
「そこまではいかなくてもね」
ドロシーはカルロスに答えました。
「何か違うってね」
「そうですね」
「思うわ」
こうカルロスに言いました。
「どうしてもね」
「やっぱりそうですか」
「特にオズの国にいたら」
それならというのです。
「色が大事な国だから」
「そうですか」
「ええ、本当にオズの国はね」
「色が重要ですね」
「色にランクはないわよ」
ドロシーはこのことは断りました。
「やっぱりね、けれどね」
「違いはありますね」
「それぞれの個性がね」
「ランクはなくても」
「個性はあるでしょ」
「はい」
カルロスもその通りだと答えました。
「それは」
「だからね」
「個性が大事な国ということを」
「色も教えてくれているのよ」
「そうなんですね」
「そういえばね」
ここでトトも言ってきました。
「僕外の世界では色がわからなかったんだ」
「犬はそうらしいね」
カルロスはトトのその言葉にも頷きました。
「外の世界では」
「エリカもそう言ってたよ」
猫である彼女もというのです。
「外の世界ではね」
「色がわからなくて」
「白黒なんだ」
「犬や猫はそうらしいね」
「外の世界ではね、けれどね」
それがというのです。
「オズの国ではだよ」
「君達も色がわかるね」
「はっきりとね」
「そうなんだね」
「このことも嬉しいよ」
トトはカルロスに尻尾を振りつつ答えました。
「凄く奇麗だからね」
「僕達は最初からわかっていたよ」
臆病ライオンはこう言いました。
「本当にね、だから外の世界のトト達の話を聞いて」
「どうだったのかな」
「信じられなかったよ」
「そうだったんだ」
「オズの国では皆色がわかるからね」
「どんな生きものでもだね」
「トトやエリカの見えるものが白黒なんてね」
そうしたことはというのです。
「聞いて驚いた位だよ」
「僕達も皆見るものには色があると思っていたよ」
「それがだね」
「違っていてね」
そしてというのです。
「外の世界ではね」
「そうであって」
「オズの国では違っている」
「それがだね」
「これもオズの国だってね」
カルロスは笑顔で言いました。
「面白いね」
「そうなんだね」
「うん、本当にね」
こうお話をしてでした。
皆で楽しい日々を過ごしました、ですがここで思わぬ事態が起こりました。