『オズのジンジャー将軍』




               第六幕  オズマの到着

 カルロス達五人は今日は午前中は将軍のお手伝いをしてお家の中の家事をしました、食器を洗ってお掃除をしてお洗濯もしますが。
 五人の働きぶりを見てです、将軍は言いました。
「貴方達いい感じね」
「僕達出来てますか?」
「家事は」
「そうだといいですが」
「お掃除もお洗濯も」
「将軍から見まして」
「ええ、かなりね」
 将軍は五人に笑顔で答えました。
「出来ているわ」
「そうだといいですが」
「やっぱりやらせてもらうならですよね」
「ちゃんとしたいですから」
「そうでしたら嬉しいです」
「私達にしても」
「というかね」
 将軍ご自身も身体を動かしています、そのうえで言うのでした。
「皆いつも家事をしているのかしら」
「はい、日本の学校では皆でお掃除しますし」
「食器も寮やお家でしますし」
「ですから慣れてます」
「いつもしていますから」
「そうしていますので」
「それでなのね、私も日本のことは聞いているわ」
 将軍にしてもというのです。
「オズの国にも日系人の人達がいるし」
「それで日本のこともご存知なんですね」
「オズの国にも日本文化は結構ありますし」
「日本のヒーローの人達も来られてますし」
「それで、ですね」
「将軍もご存知なんですね」
「ええ、日本の文化はね」 
 将軍は洗われた食器を拭きながら答えました。
「かなり魅力的よね」
「そうなんですよね」
「もう何もかもが素晴らしくて」
「その中にいて商いです」
「もう何もかもがです」
「素晴らしいですね」
「私もそう思うわ、ただ日本の学校は生徒がお掃除するのね」 
 将軍はこのことについても言いました。
「そうなのね」
「はい、そうなんです」
「毎日学校中をお掃除します」
「それぞれでお掃除する場所がありまして」
「そこをお掃除してです」
「それで奇麗にします」
「そうなのね」
 そのお話を聞いて納得したお顔になる将軍でした。
「いいことね」
「お陰でこうした時も動けます」
「それも自然に」
「寮でもお掃除してますし」
「お家に住んでるむすめもいますけれど」
「動けます」
「そうなのね、それでお家の娘は誰かしら」
 将軍はここでこうも尋ねました。
「一体」
「私です」
 恵梨香が答えました。
「学校のある街に住んでいますから」
「僕達も恵梨香のお家によく行きます」
 ジョージも言ってきました。
「奇麗なお家なんですよ」
「そこで日本の色々な文化にも触れていますけれど」
 ナターシャも将軍にお話します。
「全部面白いです」
「オズの国でも日本文化がありますけれど」
 神宝は笑顔でお話しました。
「僕達は今はいつもその中にいて恵梨香のお家でも勉強させてもらっています」
「それで学校でもなんです」 
 カルロスも言います。
「いつも日本の中にいまして」
「それでお掃除にも慣れているのね」 
 五人のテキパキとした動きに感心しつつ言うのでした。
「そうなのね」
「はい、そうです」
「それでなんですよ」
「いつも動いていますから」
「だからですね」
「慣れています」
「そうなのね、お陰で家事はすぐに終わるわ」
 将軍は笑顔で言いました。
「ではね」
「その後はですね」
「農園に行ってですね」
「次は収穫ですね」
「それをしますね」
「皆でね、今日の午前中のお留守番はね」
 それは誰かといいますと。
「ふわりにお願いするわ」
「私ですね」
「ええ、赤ちゃんをお願いね」
 そのふわりを見て言いました、将軍の傍でその小さな身体をちょこんと座らせて将軍の言葉に応えました。
「これからは」
「わかりました」
「それで私達はね」
 将軍はさらに言いました。
「家事が終わったら」
「その時はですね」
「そう、すぐに出ましょう」
 こうカルロスに答えました。
「全部終わったらね」
「収穫のお仕事に出て」
「頑張りましょう」
 そちらのお仕事もというのです、そして実際にです。
 家事はすぐに終わって将軍は赤ちゃんをトイプードルの女の子トイプードルの中でもかなり小さくて足の短い彼女に任せてでした。
 それでお家を出ました、そして五人を見てです。
 丁度玄関のところに集まっていた犬達は驚いて彼等にこう言いました。
「速いですね」
「もう家事が終わったんですか」
「もう一時間はかかると思ってたんですが」
「それがですか」
「うん、僕達は毎日お掃除とかしているからね」
 カルロスが犬達に答えました。
「そのせいでね」
「それで、ですか」
「もう終わったんですか」
「そうなのですね」
「そうなんだ」 
 こう犬達もお話しました。
「僕達はね」
「そうですか、いつもしていますと」
 シュガーも頷きました。
「確かに慣れますね」
「そういうことですか」
 メイプルも納得しているお顔です。
「そうした事情があったとは」
「やっぱり経験は大事ですね」
 杏仁も言いました。
「それも毎日ですと」
「こんなにいいことはないですね」
 レモンも五人に言いました。
「本当に」
「それで今からですね」
 ビスケットは五人に尋ねました。
「収穫のお仕事ですね」
「では案内させてもらいます」
 桜は自分から言いました。
「私達が」
「今日も収穫するものは多いです」
 サフランはこのお話をしました。
「ですから頑張っていきましょう」
「今日も楽しんでいって下さいね」
 ワインは五人の近くにあるお家の手すりの上から言ってきました。
「収穫のお仕事も」
「うん、そうさせてもらうね」
「今日も頑張るよ」
「それも楽しくね」
「それじゃあね」
「今から行って来るわ」
 五人はワインに応えてでした、犬達に案内されて無花果の木のところに行きました。そしてその木の前に行きますと。
 沢山の無花果が実っていました、そして無花果の木は何本もありました。それで犬達が言ってきました。
「僕達はパトロールに入りますが」
「他にも人を呼んできますね」
「その間は皆さんでお願いします」
「宜しくお願いします」
 こう言ってまずは五人に任せてでした。
 犬達はそれぞれのパトロールに入ってでした。
 そのうえで助っ人も呼んでくれました、するとかかしと樵が来てくれました。
「僕達は最初の仕事が終わったからね」
「だから来させてもらったよ」
「桃饅頭の収穫は終わったよ」
「次はこちらをやらせてもらうよ」
「お願いします」 
 カルロスが五人を代表して応えてでした、かかしと樵も参加してそのうえで無花果の収穫に入りましたが。
 ここで、です。かかしは五人に言いました。
「僕達は休む必要がないからね」
「だからですか」
「ずっと動けるからですか」
「作業も進むんですね」
「休む必要がない分」
「そうなんですね」
「そうだよ、何だったら一日中動けるよ」 
 五人に笑ってお話しました。
「僕達はね」
「このことはいいことだよね」
 樵も明るく言いました。
「本当に」
「そうですね」
「確かに休む必要がないとずっと働けますね」
「疲れることもないですし」
「それはいいことですね」
「そうですね」
 五人も納得しました、ですが。
 そこにいた桜がこう言いました。
「ですが何時までもではないですね」
「うん、僕は藁を交換したり生地が破れたらなおさないといけないしね」
「僕も油をささないといけないしね」
「やっぱりずっととはならないよ」
「どうしてもね」
「そうですよね、誰でも永遠に動けるということは」 
 それはとです、カルロスも言います。
「オズの国でもないですね」
「流石にね」
「それは無理だね」
「絶対にね」
「僕達も他の皆もね」
「ジャックやつぎはぎ娘もそうですしね」
 カルロスは彼等のことを思い出しました。
「思えば」
「そう、木挽きの馬でもだよ」
「やっぱり木の手入れをしないといけないしね」
「チクタクもゼンマイを巻かないといけないし」
「ガラスの猫も割れたらそこをなおさないとね」
「だからですね」
 それでというのです。
「誰でも永遠には動けないですね」
「時々でも手入れが必要だよ」
「どうしてもね」
「それは僕達も同じで」
「一日中は出来ても」
「それでもね」
「永遠は無理だよ」
 こうしたお話をしてです。
 皆で楽しく収穫をあげていきました、そしてその後で十時のティータイムとなりましたがその時には無花果の収穫を終えていました。
 ティータイムは無花果の木達の前でとなりましたがそこに皆が集まったところで臆病ライオンは言いました。
「何かドロシー機嫌がいいね」
「そうね、いつも機嫌がいいけれど」
 アン王女も彼女を見て言います。
「今はね」
「普段以上にだよね」
「何かありましたか?」
 ご主人が尋ねました。
「一体」
「ええ、実はね」
 ドロシーはレモンティーを飲みながら皆に答えました。
「オズマがお仕事終わったの」
「それでなんだ」
 トトも言いました。
「今日のうちにね」
「こっちに来るんだ」
「携帯で連絡があったんだ」
 こう臆病ライオンにお話しました。
「これがね」
「そうなんだね」
「だからね」
 それでというのです。
「ドロシーは今いつも以上に機嫌がいいんだ」
「そういうことだね」
「僕もそのお話を聞いて嬉しくなったよ」
 臆病ライオンも笑顔になりました。
「それはよかったね」
「そうだよね」
「うん、今から楽しみだよ」
「オズマ姫のお仕事が早くて確実と聞いているけれど」
 王女はドーナツを食べながら言いました、今回のティーセットはドーナツとキャラメル、ビスケットです。少ししたらお昼なのでお菓子は少しです。
「本当jに早いのね」
「ええ、それでね」
「確実なのね」
「そうなの」 
 ドロシーは笑顔で答えました。
「これがね」
「そうなのね、そう聞いたら」
 王女は言いました。
「私も見習わないとね」
「オズマみたいにっていうのね」
「お仕事が出来る様にならないと」
 早く確実にというのです。
「本当にね」
「ううん、それはね」
 ドロシーは王女の言葉を受けて言いました。
「これといってね」
「それはなの?」
「オズマはオズマでしょ」
「それで私は私だから」
「だからね」
 それでというのです。
「目指してもオズマそっくりにというのはね」
「いいのね」
「そこまではね」
「そうなのね」
「だからね」
「私は私でやればいいのね」
「そう思うわ」
 ドロシーとしてはというのです。
「だからね」
「それでなのね」
「アンはアンで。目指しても」
「完全にオズマ姫そのままにはなのね」
「ならなくていいわ」
「私は私でやっていくことね」
「ええ」 
 それがいいというのです。
「そうしていってね」
「ドロシーがそう言うなら」
 それならとです、王女も頷きました。
「私もね」
「そうしてくれるわね」
「ええ、私として努力して」
「そうしてよね」
「お仕事もしていくわ」
「私もそうしてるし」
 ドロシーもというのです。
「だからね」
「そうしていくわね」
「やっぱりそれぞれの個性がありますよ」
 将軍も言ってきました。
「ですから」
「それぞれでなのね」
「努力していって」
 そしてというのです。
「やっていきましょう」
「将軍もそう言ってくれるなら」
「はい」
「そうしていくわ」
「それでは」
「ここで人を妬むことはないですね」
 カルロスはビスケットを食べつつ言いました。
「そうですね」
「オズの国ではね」 
 将軍はカルロスに答えました。
「そうね」
「そのこともいいことね」
「そういえば私も働くことは嫌だったけれど」
 それでもとです、将軍は叛乱を起こした時のことを言いました。
「それでもね」
「あっ、妬むことはですね」
「私もなかったし」
「参加した人達もですね」
「皆ね」
「妬むことはなかったですね」
「要するに家事が嫌だったのよ」
 その時の将軍はというのです。
「それでね」
「叛乱を起こして」
「楽になりたかっただけで」
「それでなんですね」
「偉くなりたい、羨ましいとかは」 
 そうした感情はというのです。
「今振り返るとね」
「なかったですね」
「これといってね」
「そうだったんですね」
「オズの国ではね」
 妬むという感情はというのです。
「ないわね」
「自分が満足していたら妬んだりしないよね」
 トトがここでこう言いました。
「これといって」
「そうよね」
 将軍はトトにも応えました。
「そうだったらね」
「特にね」
「自分が満足していないと」
「オズの国では皆いつも満足しているから」
「だからね」
 それでというのです。
「私もね」
「妬んだりしていなかったね」
「そして今は余計にね」
「満足しているから」
「全くよ」
「誰も妬んでいないね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「満足出来たらいいよね」
「誰でもね」
「誰もが満足している」
 ここでこう言ったのはドロシーでした。
「それがオズの国よ」
「お伽の国だからですね」
 カルロスが応えました。
「だからですね」
「ええ、そうよ」
「やっぱりそうですね」
「そうした国だから」
 それでというのです。
「余計にいいのよ」
「不思議なことも一杯あって」
「そのうえでだからね」
 こうカルロスにお話しました。
「私この国に来られてよかったわ」
「そうですよね、僕達もです」
「絶対に行けないと思っていたのに」
「こうして来られる様になってですから」
「本当に嬉しいです」
「これからも何度もお邪魔したいです」
「何時でもいいわよ」
 これがドロシーの返事でした。
「オズの国に来るのはね」
「そうしていいですか」
「ええ」
 是非にというのです。
「これまで通りね」
「それじゃあ」
「オズの国で遠慮は無用だからね」
 トトも言ってきました。
「それで君達もだよ」
「遠慮は駄目だったね」
「そう、だからね」 
「この国に来ることも」
「普通にね」
 それはというのです。
「何時でも来てもいいよ」
「それでは」
「そしてね」
 それでというのです。
「僕達と遊ぼうね」
「オズの国に来たらね」
「今みたいにだね」
「そうしようね」 
「オズの国は楽しいね」
 臆病ライオンも言ってきました。
「こうしているだけで」
「うん、嫌なことは何もないね」
 カルロスはトトにも答えました。
「本当に」
「そうだね、だからね」
「オズの国にはだね」
「君達が来たい時に来てね」
 そしてというのです。
「僕達と一緒に楽しもうね」
「そうさせてもらうね」
 カルロスも応えてでした、そしてでした。
 ティータイムを楽しんでからまた働きます、五人は今度はアン王女と一緒にアップルケーキの木でそのアップルケーキを収穫しましたが。
 王女はにこにことして五人に言いました。
「モジャボロさんと一緒で私もね」
「林檎がお好きですよね」
「お国でも沢山植えていますし」
「それで、ですよね」
「林檎のお菓子もですね」
「お好きですね」
「大好きなのよ」
 こう言うのでした。
「本当にね」
「そうですよね」
「だからですね」
「今王女とても嬉しそうですけれど」
「にこにことしていますし」
「本当に楽しんでますね」
「心からね」 
 実際にというのです。
「そうしているわ」
「王女といえば林檎ってなっていますね」
 ナターシャも笑顔になっています。
「いつも」
「そうだよね、モジャボロさんもそうだけれど」
 お話に出たこの人と同じとです、ジョージも言いました。
「アン王女もだよね」
「逆に王女が林檎がお嫌いだと」
 どうかとです、神宝は言いました。
「何かが違うってなるね」
「だから今王女がにこにことされていて」
 それでとです、恵梨香も言いました。
「これならって思うわね」
「確かにです」
 カルロス達と一緒にいるサフランも言ってきました。
「僕達からしてもアン王女といえば」
「林檎なのね」
「はい、実際にお好きですね」
「そうでよく食べるわ」
「ですから」
 それでというのです。
「僕達もです」
「私と言えば林檎なのね」
「以前からそう聞いていますし」
「今もなのね」
「アップルケーキを前ににこにことされていて」
「私らしいわね」
「はい」
 王女に笑顔で言いました。
「本当に」
「そうなのね、それでこのアップルケーキもね」
「後で、ですね」
「頂きたいわ」
「左様ですね」
「是非ね、それで飲みものはね」 
 それはといいますと。
「林檎もお菓子といえば」
「アップルティーですね」
「ええ、それを飲んで」  
 そしてというのです。
「楽しみたいわ」
「左様ですね」
「お昼のデザートの時はね」
 こうお話してでした。
 アップルケーキも収穫しました、そのケーキ達を籠に入れてリアカーに乗せてお家の方に送ってからです。
 王女はサフランにお顔を向けて尋ねました。
「じゃあ次はね」
「何処に行くかですね」
「ええ、何を収穫するのかしら」
「ラムレーズンですね」
 それだとです、サフランはお鼻をくんくんとさせて農園の匂いを確認してから王女に対して答えました。
「今度は」
「ラムレーズンなのね」
「はい」
 王女に尻尾をパタパタとさせて答えました。
「そちらです」
「ではすぐに行きましょう」
「それでは」
 こうしたお話をして一行はラムレーズンの収穫に向かいました。するとラムレーズンがこれ以上はないまでに実った木の前にです。
 犬達が皆集まっていました、そこで皆に言いました。
「王女さんが来られたんですね」
「それにカルロスさん達も」
「そうなんですね」
「では収穫お願いします」
「是非共」
「そうさせてもらうね、しかし皆集まっているね」
 カルロスは犬達を見て言いました。
「ここで」
「はい、実はです」
 杏仁が答えました。
「ここに何かを感じまして」
「何か?」
「はい、妙なものを」
 それでというのです。
「僕達は集まったんです」
「匂いもしまして」
 レモンも言ってきました。
「普段と違う」
「君達のお鼻でわかる匂いだね」
「そうです、ラムレーズン以外に」
 それに加えてというのです。
「普段と何か違う」
「これは鳥の匂いですね」
 シュガーはその匂いから言いました。
「それも鳩に似た」
「鳩なんだ」
「はい」 
 カルロスに答えました。
「その匂いがします」
「けれど鳩なんていないよ」 
 カルロスは周りを見回してシュガーに答えました。
「何処にもね」
「そうなんですよね」
「気配もするんです」
 メイプルも言いました。
「これが」
「この辺りにいることは間違いないんだね」
「そうなんですが」
「ううん、けれど僕達にも見えないよ」
「不思議ですよね」
「そうだね」
「どういうことでしょうか」
「私達も不思議で仕方ないです」
 桜も首を傾げさせています。
「今は」
「ううん、見ても回ってもいなくて」
「姿は見えないですよね」
「そうだね」
「ちなみに留守番はトトさんがしています」
「それで私達が皆集まっているんです」
 ビスケットはこのことを言いました。
「それで見回っていますけれど」
「姿は見えないんだね」
「鳩なんて何処にいなくて」
「これはどういうことでしょうか」
 ふわりは全くわからないというお顔でした。
「本当に」
「鳩がいないのにね」
「鳩の匂いと気配がするなんて」
「あれっ、あそこに草なんて集めていたかな」 
 ジョージはここで自分達の少し離れた場所に草を集めた様な塊を見付けました。
「草を毟って集めたのかな」
「そうしたものは農園とか牧場には何処でもあるけれど」
 ナターシャもそれを見て言いました。
「あんなところにあったかしら」
「私達も農園の中全部見て回ってないけれど」
 恵梨香も言いました。
「何かおかしいかしら」
「ちょっと近くまで行って見てみよう」
 神宝がここで知恵を出しました。
「そうしよう」
「それがいいね、じゃああの草の集まりみたいなの見よう」
 カルロスも頷いてでした、そして。
 皆でラムレーズンの収穫前にでした。
 その草を毟って集めて固めたみたいなよく見れば丸いものの方に近寄りました、するとそれはでした。
 やけに太って丸々とした鳥でした、色はマンチキンの草の青色でしたが曲がった嘴は白くて目は丸くてです。
 鳩に似たお顔で足は短いです、カルロスはその鳥を見て言いました。
「この鳥はまさか」
「ドードー鳥ね」
 王女が言いました。
「オズの国では結構色々な場所にいるわよ」
「そういえば時々見ますね」
「そうでしょ」
「外の世界ではもういないですが」
「オズの国では結構いてね」
「この農園にも入ってきていたんですか」
「何時の間にか入って住み着いているんじゃないかしら」
 王女はこう考えました。
「この子は」
「それでここにいるんですね」
「そうじゃないかしら」
「ああ、ドードー鳥だったんだ」
 犬達もその鳥を見て言いました。
「何かと思ったら」
「鳩の匂いと気配がするのに見えなかったけれど」
「それはどうしかって思ったら」
「この鳥だったんだ」
「この鳥が近くで寝ていたんだ」
「この鳥動かないしね」
「動かないと本当に草の塊にしか見えないし」
「それなら僕達にもわからないよ」
 皆でお話しながら納得しました。
「この農園には鳥も結構いるしね」
「棲み処にしていて」
「匂いや気配がしたら確かめてるけれど」
「それで見えなかったからどうかって思ったら」
「こうしたことだったんだ」
「ドードー鳥は鳩の仲間だしね」
「ああ、鳩の仲間なんだね」 
 カルロスは犬達のお話を聞いてこのことがわかりました。
「そうなんだね」
「はい、そうなんです」
「ドードー鳥は鳥の仲間です」
「他の鳥に見えても」
「実はそうなんですよ」
「そのことも知ったよ、成程ね」
 あらためて言うカルロスでした。
「ドードー鳥はそうなんだね」
「そうなんです」
「それで特に悪いこともしない鳥ですから」
「寝てるならそっとしておきましょう」
「それじゃあ収穫ですね」
「ラムレーズンの」
「うん、それをしようね」 
 カルロスは犬達に笑顔で応えて皆と一緒にラムレーズンの木の方に戻ってでした、そうしてラムレーズンの収穫を行い。
 他の木の収穫もしてお昼ご飯は今回はお家の中で食べました、そこでカルロスは将軍とご主人にドードー鳥のことをお話しましたが。
 将軍はそのお話を聞いて言いました。
「前に柵が壊れていた時があったから」
「その時にですか」
「入ったのかもね」
「そうなんですね」
「ええ、けれどね」 
 将軍はご飯を食べながら答えました、今日のお昼はマンチキンの青いお米のご飯に茸と玉葱のお味噌汁にです。
 菊菜をおひたしにしたものと冷奴そして焼き魚です。和食です。
「ドードー鳥は大人しい鳥だし」
「別に問題ないですか」
「この農園は他にも沢山の鳥達が棲み処にしているから」
「ドードー鳥が棲んでもですか」
「いいわ」
 そうだというのです。
「別にね」
「そうですか」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「棲んでいるのがわかったらね」
「いいですか」
「もうそれでね」
「いや、ドードー鳥が棲むとね」
 ご主人も笑顔で言ってきました、お箸を使ってお魚を食べています。
「僕はあの鳥が好きだからね」
「いいですか」
「じゃあそのままにして」
「その姿を見てですね」
「楽しむよ」
「そうされますね」
「うん、大人しい鳥だし」
 ご主人もこう言いました。
「だからね」
「このままですね」
「いてもらうよ」
「柵はもうなおしましたしね」
 ワインが言ってきました。
「問題なしですね」
「全くね」
「万事解決ですね。おや」 
 ここで、でした。ワインは。
 耳と勘に感じました、それでお顔をぱっと上げてそうして皆に言いました。
「誰か玄関に来たね」
「オズマだね」
「じゃあ迎えに行って来るよ」
 かかしと樵がワインのその言葉に応えました。
「僕達は食べないからね」
「今も自由に行けるからね」
「皆はそのまま飲んで食べて」
「そうしてね」
「その間に僕達が行って来るよ」
「いえ、そういう訳にはいかないわ」
 将軍はかかしと樵に真剣なお顔で答えました。
「オズマ姫が来られたなら」
「このオズの国の国家元首ですから」
 ご主人も言ってきました。
「ですからここは」
「私達も行きます」
「絶対に」
「お食事は後でも出来るし」
 ドロシーがここで言いました。
「それにオズマも一緒に食べるといいから」
「だからですね」
「ここはですね」
「皆でオズマを迎えましょう」
 こう言うのでした。
「そうしましょう」
「そうですね、それがいいですね」
「それでは」
「行きましょう」
 こうしてでした、皆はお食事を中断してです。
 農園の玄関まで行ってです、オズマを迎えに行きました。すると玄関のところにビリーナを連れてでした。
 オズマがいました、ドロシーはオズマを見て笑顔で言いました。
「待っていたわ」
「皆で迎えてくれたのね」
「ええ、それでね」
 そうしてというのです。
「今私達ご飯を食べているけれど」
「私もなのね」
「どうかしら」
「そうしていいかしら。和食だけれど」
「和食!?いいわね」
 笑顔になってです、オズマは応えました。
「私お昼まだなの」
「なら余計にね」
「私達となのね」
「一緒に食べましょう」
「それじゃあね」
「和食というとお米ね」
 ビリーナも言ってきました。
「いいわね」
「ビリーナも食べたいのね」
「私お米大好きでしょ」
「ええ、麦もお豆も玉蜀黍も好きでね」
「お米もだから」
 それでというのです。
「それならね」
「是非によね」
「頂きたいわ」
「ではですね」 
 将軍も笑顔で言いました。
「これからオズマ姫とビリーナも」
「ええ、ご馳走になるわ」
「そうさせてもらうわ」
 オズマもビリーナも応えました。
「今日のお昼は」
「お言葉に甘えて」
「それではこちらに」
 将軍がご主人と一緒に案内してでした。
 皆でお家に入ってオズマとビリーナの分のお昼ご飯も出して皆であらためて食べました、そこでなのでした。
 オズマは皆にご飯を食べながら言いました。
「食べ終わったらね」
「すぐになのね」
「ええ、お仕事をさせてもらうわ」
「そうするのね」
「だからね」 
 それでというのです。
「宜しくね」
「ええ、ただね」
 ドロシーはオズマに応えてから彼女に尋ねました。
「ここまでどうして来たのかしら」
「魔法で一瞬で来たのよ」
「移動の魔法でなの」
「そう、魔法のベルトを使ってね」 
「私がオズの国から最初にカンサスに帰った時のベルトね」
「それを使ってね」
 そうしてというのです。
「ここまで来たのよ」
「私が一緒でね」 
 お米を食べているビリーナが応えました。
「それでなのよ」
「そうなのね」
「今はこのベルトはオズの国で何度も使えてどんな場所にも行けるから」
 それでというのです。
「だからね」
「それでなのね」
「ここまで一瞬に来たの」
「そうなのね」
「あとね」 
 オズマの方からお話しました、食べ方はとても上品で流石はオズの国の国家元首だと思わせるものがあります。
「留守は魔法使いさんとモジャボロさん、ボームさんがいてくれているから」
「大丈夫ね」
「ジュリアもいるし」
 ジュリア=ジャムもというのです。
「それにつぎはぎ娘もね」
「皆いてくれているのね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「重要な政治も終わったし」
「留守は大丈夫ね」
「それでね」
 オズマはさらにお話しました。
「私もここに来たのよ」
「そうなのね」
「ビリーナと一緒にね」
「私の国は旦那に任せたのよ」
 ビリーナはこう言いました。
「そうしてね」
「貴女もここに来たのね」
「そうよ、あとベッツイとトロットは船長とハンクを連れて」
 そしてというのです。
「チクタクや木挽きの馬、ガラスの猫もエリカも一緒で」
「冒険に出てるのね」
「そうしているわ、腹ペコタイガーはジャックそれにファイター大尉とカエルマンのところに行ったし」
「皆も色々出ているわね」
「そうしているわ」
「皆旅を楽しんでいるのね」 
 ドロシーはビリーナのお話に笑顔になりました。
「それは何よりよ」
「そうでしょ」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「貴女とこうして会うのは暫く振りね」
「そういえばそうね」
「都ではよく会うけれど」 
 それでもというのです。
「こうしてね」
「旅で一緒になったし」
「だからね」 
 それでというのです。
「これからね」
「この農園で楽しくやっていくことね」
「そうしていきましょう」
「わかったわ」
 笑顔で頷いてでした、ビリーナはお米を食べました。そしてです。
 そのうえで、です。皆でお昼を食べました、その後で農園に出て働きましたがオズマの動きはといいますと。
 誰よりも元気で的確です、それでカルロス達五人も言いました。
「うわ、凄いですね」
「オズマ姫動きが速いですね」
「慣れてますね」
「生き生きとしていて」
「それで活発ですね」
「身体を動かすのは好きでね」 
 それでとです、オズマは五人に笑顔で答えました。
「冒険に出た時はこうしたこともよくやるから」
「だからですか」
「それでなんですね」
「それだけ動きがいいんですね」
「活発で」
「それで的確なんですね」
「そうよ、じゃあ皆でやっていきましょう」
 笑顔でこう言ってでした。
 皆で楽しくお仕事をしちえます、そして。
 ビリーナも草をその嘴で毟って言いました。
「私は私でね」
「お仕事してくれるのね」
「ええ、草毟りをするから」
 ドロシーに答えました。
「皆でね」
「やっていきましょう」
「そうしましょう」
 こうしたことを言ってでした、オズマとビリーナが加わった一行は将軍のお家でのお仕事を続けるのでした。








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