『オズのジンジャー将軍』




               第四幕  将軍への提案

 晩ご飯はジンジャー将軍が作ってくれたものでした、レタスとキャベツの酢漬けそれにアスパラガスとラディッシュのサラダにコーンポタージュ、鯉のムニエルにチキングリルそしてデザートは農園で採れたものでパンもあります。飲みものはミルクにワインです。
 そうしたものを出してです、将軍は皆に笑顔で言いました。
「では今からね」
「はい、食べていいですね」
「そうしていいですね」
「遠慮はしないでね」
 皆ににこりと笑って返事をしました。
「だからね」
「はい、それじゃあ」
「頂きます」
「食べさせてもらいます」
 皆も笑顔で応えてでした。
 そうしていただきますをして食べはじめました、食べないかかしと樵も同席して皆が美味しいものを飲んで食べて嬉しくなっての笑顔を見て心の栄養としています。勿論トトや臆病ライオンそして将軍の家族の犬や猫達も一緒です。
 その中でドロシーが将軍に言いました。
「ちょっといいかしら」
「どうしたの?」
「この農園かなり広いわね」
 将軍にこのことからお話するのでした。
「そうね」
「ええ、それで色々な種類のお菓子や果物があるのよ」
「そうね、ただね」 
 ドロシーはお話の本題に入りました。
「その農園をご夫婦でやっているのね」
「それがどうかしたの?」
「忙しくない?」 
 こう言うのでした。
「お二人だけでやるには」
「そのことね」 
 将軍は少しバツの悪いお顔になって応えました。
「やっぱり気付いたのね」
「ええ、実際に歩いてね」 
 その農園の中をというのです。
「それでね」
「わかったのね」
「だってかなり広いから」
 それでというのです。
「普通にそう思ったわ」
「その場所に行けばわかるわね」
「物事はね」 
「お話を聞くよりもね」
「その目で見る方がね」 
 その方がというのです。
「わかるわ」
「百聞は一見にというし」
「私はその目で見る様にしているから」
 ドロシーの行動方針の一つです。
「それで今回もね」
「わかったのね」
「ええ、ワンちゃん達が収穫するお菓子や果物を教えてくれても」
 例えそうでもというのです。
「お二人だけで収穫して」
「しかもよ」
 アン王女も言ってきました、皆お話しながらも元気に食べています。
「家事もあるでしょ」
「炊事に選択にお掃除に?」
「それで赤ちゃんのこともあるし」 
 育児もというのです。
「もうこれだとね」
「かなり大変だっていうのね」
「どう考えてもお二人じゃね」
 将軍とご主人だけではというのです。
「無理があるわ」
「オズの国は過労とか体調を壊すことはないけれど」
 トトも言います。
「忙しいことは事実だよね」
「もう休む暇もないんじゃないの?」
 臆病ライオンも言いました。
「こんなのだと」
「そうだよね」
「うん、僕もそう思うよ」
「僕もね」
 二匹もお話しました、そしてかかしも言いました。
「人手に来てもらった方がいいね」
「そうだね」
 樵はかかしの言葉に頷きました。
「本当にね」
「そうした方がいいね」
「さもないとね」
「本当に農園が回らないよ」
「二人だけだとね」
「将軍も忙しいわよね」
 ドロシーがまた将軍に言いました。
「そうでしょ」
「ええ、実はね」
 将軍も素直に答えました。
「赤ちゃんが産まれてから特にね」
「やっぱりそうなのね」
「この子達が何かと助けてくれるけれど」
 お家の犬や猫達を見てドロシーに答えました、皆集まってそうして楽しく飲んで食べて過ごしています。
「確かに家事や収穫はね」
「そうでしょ」
「人手が足りないわ」
「しかも家がかなり広いですからね」
 ご主人は少し苦笑いでお話しました。
「二人で住むには」
「いいログハウスだけれど」
 それでもとです、アン王女も言いました。
「お屋敷位の大きさだから」
「はい、十人住んでも」
 それでもというのです。
「充分な位です」
「そうよね、この広さは」
「はい」
 実際にというのです。
「僕もそう思います」
「それだとね」
 さらに言う王女でした。
「一緒に住んでもらった方がいいわ」
「誰かにですか」
「将軍かご主人の親戚の人達とね、それでね」
「お仕事を一緒にしてもらえばね」
「それがいいわね」 
 ドロシーは王女の言葉に賛成して頷きました。
「将軍とご主人の親戚の人達でそれが出来る人がいれば」
「そういえば」
 ここでご主人が言いました。
「妻の妹夫婦に僕の従弟夫婦が町工場で働いていますが」
「それがなのね」
「はい、これからは農業をしたいと言っていまして」 
 それでというのです。
「彼等にです」
「来てもらうのね」
「後は僕と妻の両親に来てもらえば」 
「その人達にもなのね」
「今は悠々自適の生活ですがまだまだ働けると言ってますし」
「なら丁度いいわね」
「彼等を誘います、妻の妹夫婦と僕の従弟夫婦にも子供達がいますがもう学校に行ける年齢なので」
 ご主人はこのこともお話しました。
「ですから」
「それじゃあね」
「はい、人手はです」
 それはというのです。
「充分になります」
「そうよね」
「それに近くに学校もありますし」
 農園のというのです。
「ですから」
「じゃあね」
「はい、皆に来てもらって」
「これからはね」
「一緒に住んで」
 そしてというのです。
「農園をやっていきます」
「お話は決まりね」
「ただ皆が来てくれるまではね」
 かかしが言いました。
「お二人だけだね」
「その間どうするかだね」
 樵も言うことでした。
「一体」
「そうだね、ここはね」 
 かかしが提案しました、その提案はといいますと。
「僕達が人手になろうか」
「それはいい考えだね」
 樵がかかしの提案に笑顔で応えました。
「それじゃあね」
「うん、暫くここで働かせてもらおうか」
「人手としてね」
「それはいい考えね」 
 ドロシーも笑顔で応えました。
「それじゃあ将軍とご主人がいいと言ってくれたら」
「そうさせてもらおうね」
「ここはね」
「それでどうかしら」
 ドロシーは将軍とご主人に応えました。
「お二人としては」
「お願いするわ」
「実は本当に忙して」
 将軍もご主人もすぐに答えました。
「宜しくお願いします」
「そうしてね」
「ええ、じゃあその人達が来られるまでね」
 ドロシーは笑顔で応えました。
「皆で頑張りましょう」
「そうしましょうね」 
 アン王女も笑顔で言いました、そしてです。
 皆はその後は楽しくお喋りをして飲んで食べて過ごしました、そしてその後は順番で大きな木のお風呂に入ってでした。
 その後でぐっすりと寝て起きると朝ご飯を食べて皆早速将軍とご主人のお手伝いをはじめました。ドロシーとアン王女それにかかしと樵はお家に残って家事に赤ちゃんの育児を力を合わせてしてです。 
 トトと臆病ライオンは犬達と一緒にお菓子や果物の収穫にあたりました、農園の中を歩きながらそうしましが。
 カルロスはここでこんなことを言いました。
「本当に広い農園だね」
「ええ、私達の小学校位の広さがあるわね」 
 恵梨香はおおよその広さのお話をしました。
「これは」
「そうね、それ位の広さね」
 ナターシャも言いました。
「実際に歩いてみるとね」
「それだけ広い農園をお二人でするなんてね」
 神宝はどうかというお顔でした。
「やっぱり大変だね」
「家事や赤ちゃんのこともあるしね」
 ジョージはそちらのことも考えました。
「そう思うと尚更だよ」
「よくお二人でやっていけたね」
 カルロスはこうも言いました。
「本当に」
「確かに大変でして」
 シュガーが言ってきました、今回お留守番はビスケットでした。
「それで、です」
「君達もだね」
「ご主人いつもお休みの時はベッドに入られると」
「もうぐっすりだったんだ」
「朝まで」
「どう見てもお疲れでしたから」
 メイプルは目を曇らせていました。
「オズの国では過労はなくても」
「寝ると疲れが完全に吹き飛ぶ国だからね」
「はい、ですが」
「やっぱり忙しいと疲れるしね」
「お二人で大丈夫かと」
 杏仁も言ってきました、皆まずは農園のパトロールをしています。
「思っていました」
「君達にしてもだね」
「昨日はお話していませんでしたが」
「こうしたことはお話にしにくいしね」
「はい、それで」
 その為にというのです。
「そうでしたが」
「僕達もこのままではと思っていました」
 レモンも言ってきました。
「本当に」
「それでドロシーさんが言ってくれて」
「助かりました」 
 そうだったというのです。
「これもオズの神々の配剤ですね」
「そうだね」
「偶然に思えても」
 それがというのです。
「実はですね」
「そうだよね」
「今そう思います」
「人手も必要ですね」
 桜も言ってきました。
「つくづく思います」
「そうだよね、その場所に応じてね」
「どうしても人手が必要ですね」
「この農園の広さだと」 
 カルロスも思うことでした。
「どうしても二人だけだとね」
「無理ですね」
「しかもお家が広くて」
「お屋敷みたいで」
「お部屋も多くて」
「お風呂も広いしね」
「立派なお家ですよね」
 ふわりも言うことでした、犬達は皆の周りにいて一緒に歩いています。歩く速さはカルロス達に合わせています。
「本当に」
「そうだね、けれどね」
「広過ぎますね」
「お二人だけだとね」
「だからですよね」
「うん、そう思うと」
 それならというのです。
「ドロシー王女も気付いてくれて」
「アン王女も提案してくれました」
 サフランも言ってきました。
「本当によかったです」
「そうだね」
「ええ、それで」
 それにというのでした。
「今私達もほっとしています」
「いや、皆さんが来てくれてです」
 サフランは尻尾をぱたぱたとさせています、このことは他の犬達も同じです。
「僕達もよかったとです」
「思っていてくれているんだ」
「はい、それで暫くの間はですね」
「ここで働かせてもらうよ」
「そうですね」
「宜しくね」
「それでは」
「ただね」 
 臆病ライオンは自分達の周りの木々を見上げて言いました。
「この高さだと皆が。子供達が収穫するには難しいね」
「脚立が必要だね」 
 トトも見上げて言いました。
「どうしても」
「そうだね、脚立でなくてもね」
「道具が必要だね」
「それなら」
 犬達はすぐに答えました。
「リアカーにそうしたものを乗せて」
「それで運んで、です」
「収穫出来ますよ」
「リアカーは自動で動いてくれますし」
「そこに行って欲しいと言えば」
「ですからすぐにでもです」
「収穫出来ます」
 犬達皆で答えました。
「それもリアカーも脚立とかの道具も沢山あって」
「それぞれの場所で待機も出来ますし」
「遠くのリアカーにも何処そこに行ってくれと言えます」
「だからです」
「作業は何処でも出来ます」
「それもすぐに」
「そのことは安心して下さいね」 
 こう言うのでした、カルロスはそのお話を聞いてそれはというお顔になってそのうえで言いました。
「いや、それはいいね」
「この辺りは流石オズの国ね」
「そうだよね」
「自動で動くリアカーとか」
「便利よね」
 恵梨香達四人も言いました。
「それじゃあ」
「パトロールの後はね」
「皆で収穫しよう」
「頑張っていきましょう」
「そうしようね」
 カルロスも頷きます、そして。
 皆はパトロールの後でそれぞれ手分けして収穫のお仕事に入りました、犬達が教えてくれた場所に行ってです。
 収穫のお仕事をしました、移動は自転車を使いますが。
 カルロスはふわりに教えてもらったさくらんぼの収穫に自転車で向かいましたが収穫の後でふわりに言いました。
「いや、自転車はね」
「こうした時にもですね」
「凄く役に立つね」
「移動に楽ですね」
「というか自転車がないとね」
 とてもというのです。
「広い場所だからね」
「移動に困りますね」
「僕達はね」
 どうしてもというのです。
「そうだね」
「そうですよね」
「うん、将軍もこうしてかな」
「はい、農園の移動はです」
「自転車だったんだね」
「それで収穫したものはお家に運びますが」
 ふわりはカルロスに足下からお話しました。
「その時もリアカーを使います」
「そうしてだね」
「そう、そして」
 それでというのです。
「運んでいます」
「動けるリアカーって有り難いね」
「それぞれ番号がありまして」
 リアカーにもというのです。
「それでなんです」
「それぞれの番号のリアカーに何処に行って欲しいか」
「そう言えば」
 それでというのです。
「移動してくれます、それも結構速いんですよ」
「リアカーもだね」
「そうなんです、ですから」
 それでというのです。
「そこはいいんです、ですが」
「やっぱり広いからね」
「お二人の作業では」
「無理があったね」
「はい」
 その通りだというのです。
「私達も心配でしたし」
「今回はね」
「皆さんが来られてよかったです」
「そうなんだね」
「はい、有り難うございます」 
 ふわりはカルロスにきらきらとした目で言いました、黒くてそれでいて宝石みたいに輝いている目です。
「本当に」
「僕は何もしていないよ」
「言われたのはドロシー王女とアン王女ですか」
「だからね」 
 お礼はというのです。
「いいよ」
「いえ、今です」
「今?」
「働いて下さっているので」
 それでというのです。
「そのことについてです」
「お礼をなんだ」
「言わせて頂きます」
 そうだというのです。
「本当に」
「ああ、働くことがなんだ」
「このことがです」 
 本当にというのです。
「私達はです」
「嬉しいんだ」
「そうなんですよ」
 こうカルロスに言うのでした。
「ですから」
「そうなんだ、しかしね」
「しかし?」
「こうして身体を動かすと」
 そうすればというのです。
「やっぱり気持ちいいね」
「収穫のお仕事で、ですか」
「うん、移動に自転車を使って」
 それに加えてというのです。
「そしてね」
「収穫のお仕事でもお身体を動かして」
「それでね」
 ふわりににこりと笑ってお話しました。
「凄く気持ちいいね」
「カルロスさんはお身体を動かすことがお好きですか」
「大好きだよ」
「そうなんですね」
「身体を動かして汗を流すことがね」
 まさにこのことがというのです。
「大好きなんだ、スポーツも好きで」
「それでこうした運動もですか」
「好きでね」
 それでというのです。
「今もなんだ」
「楽しまれているんですね」
「そうなんだ」
「それは何よりですね、私もお散歩大好きですし」
 ふわりはその小さな尻尾を上に向けてピコピコと振って動かしながらそのえうでカルロスに答えました。
「遊んだりすることもです」
「好きだよね」
「犬は皆そうですよね」
「そうだね、ワンちゃんはね」
「はい、それにです」
「それに?」
「犬は誰かの役に立てることもです」 
 身体を動かすことに加えてというのです。
「大好きなんですよ」
「そうなんだね」
「ですからご主人と奥さんのお役に立てて」
「それもいつもだね」
「私達凄く嬉しいんですよ」
「あっ、ここにいたんだ」
 ここでサフランも来ました。
「ふわりもカルロスさんも」
「どうしたのかな」
「はい、お昼ですよ」
 サフランはカルロスに言ってきました。
「その時間ですよ」
「お昼ご飯の時間なんだ」
「ですから皆で食べましょう」
「わかったよ、場所は何処かな」
「はい、この近くの外にある木のテーブルで」
「そこに座ってなんだ」
「はい、そこに皆さん集まるので」
 それでというのです。
「カルロスさんもです」
「そこに行ってだね」
「皆で食べましょう、ふわりもだよ」
 サフランはふわりにも声をかけました。
「そしてね」
「そうしてよね」
「皆で食べようね、ドロシーさん達も今は収穫のお仕事をされているから」
 こうふわりにお話しました。
「皆でね」
「お外で食べるのね」
「今日のお昼はね、ではね」
「そこに行きましょう」
 外にテーブルにというのです、こうお話してでした。
 カルロスはサフランとふわりに案内されてそのうえでテーブルのところに行きました、するとそこにです。
 もう皆集まっていました、将軍もご主人も赤ちゃんもです。そして将軍がカルロスに言ってきました。
「皆揃ったからね」
「これからですね」
「お昼よ。今日のお昼は中華料理にしたわ」
「そうですね」 
 カルロスはテーブルの上のお料理を見て言いました。
「八宝菜に鶏の唐揚げに蒸し餃子に」
「それも麺はね」
 こちらはといいますと。
「担々麺にしたの」
「そうですね」
「それで今からね」
「皆で、ですね」
「食べましょう」
「わかりました」
 カルロスは笑顔で応えました、そしてです。
 皆で笑顔でいただきますをして食べはじめました、食べはじめて早速でした。
 トトは笑顔でドロシーに言いました、その言った言葉はといいますと。
「美味しいよね」
「ええ、凄くね」
 ドロシーはトトと同じ唐揚げを食べつつ答えました。
「美味しいわ」
「そうだよね」
「将軍は料理上手と聞いたけれど」
「これはかなりね」
「うん、妻は料理上手でね」
 ご主人はお酒を飲みつつお話しました、飲んでいるのは青いマンチキンのビールです。奇麗なコバルトブルーです。
「僕もいつも感謝しているんだ」
「それで私達もなんです」
 桜は餃子を食べつつお話しました。
「いつも楽しんでいます」
「パンもご飯も美味しいんですよ」
 ビスケットは今はご飯を食べています。
「本当に」
「もうどのお料理も美味しくて」
 レモンは麺を犬のお口で器用に食べています。
「僕達このことでも幸せなんです」
「作れる種類も凄く多いですから」
 杏仁はそれでとです、八宝菜を食べつつ言いました。
「余計に嬉しいです」
「おまけに量もたっぷりで」
 メイプルは今はミルクをごくごくと飲んでいます、そのうえでの言葉です。
「満足することばかりです」
「このお家に来てよかったです」
 シュガーもご飯を食べています、見れば犬達は皆尻尾をぱたぱたとさせています。本当に喜んでいることがわかります。
「それで一緒に暮らせて」
「将軍はいい奥さんなんだね」
 臆病ライオンはミルクを飲みながら思いました。
「本当に」
「そうだね」
「お家は凄く奇麗だったしね」
 かかしと樵も場にいて言うのでした。
「もう隅から隅まで」
「あれはいつもお掃除をしてるね」
「だから奇麗だったね」
「お家の何処もね」
「お皿だってどれも奇麗で」
 アン王女はお茶を飲みつつ言いました、中国茶です。
「キッチンも奇麗だったわ」
「お陰で私達がすることはあまりなかったわ」
 ドロシーも言いました。
「本当に」
「僕達二人でいつもお掃除しています」
 ここでお話したのはご主人でした。
「他の家事も」
「お二人で、なのね」
「手分けしてしています」
「そうなのね」
「はい、ただお料理は」
 こちらはといいますと。
「妻がこれだけはって言って」
「将軍がなのね」
「いつもしています」
「お料理は子供の頃から好きで趣味だから」
 それでというのです。
「いつもさせてもらっています」
「趣味なの」
「そうです、ですから」
「いつも貴女がしているのね」
「ただ食材を切る位はしています」
 ご主人はそのことはとお話しました。
「それは」
「それはお手伝いね」
「そうしたことはしています」
「そうなのね」
「ただ」
「お料理はなのね」
「全部奥さんがしています」
 将軍を見ながらお話しました。
「いつも」
「成程ね」
「他の家事はお仕事も全部一緒にしていますが」
「将軍みたいに働く人が奥さんだと」
 アン王女は思いました。
「ご主人は幸せね」
「実際そう思います」
 ご主人もこう答えます。
「本当に」
「そうよね」
「ううん、本当に将軍は変わったね」
 ジョージは餃子を食べながら思いました。
「叛乱の時とは」
「あの時は威勢のいいお姉さんだったのがね」
 恵梨香は八宝菜を食べながら言いました。
「それがね」
「もう立派な奥さんだね」
 神宝は担々麺を食べつつ言いました。
「そうなったね」
「赤ちゃんもいるから」
 ナターシャは唐揚げを食べています。
「お母さんね」
「はい、私達のいいお母さんですよ」
 ふわりがミルクを飲みつつ言ってきました。
「とても素晴らしい」
「いつも優しくて穏やかで」
 サフランは言いつつご飯を食べています、ご飯も中華風に蒸して作ったものです。
「僕達に怒ることもないんですよ」
「本当に変わったね、将軍は」 
 カルロスはミルクを飲みながら思いました。
「何かと」
「そんなに変わったかしら」
 将軍はこう言いました。
「私はそうは思わないけれど」
「いや、かなりです」
「変わったのね」
「僕達もそう思います」
「私もあの時はオズの国にいなかったけれど」
 将軍が叛乱を起こした時はです。
「確かにあの時の将軍は威勢がよかったわ」
「軍を率いてですね」
「軍服を着てね」 
 そのうえでというのです。
「女の子達の先頭に立っていて」
「あの時はまだ私もやんちゃで」
 それでというのです。
「色々とわかっていなかったと思います」
「そうなの」
「はい、けれど叛乱を起こすよりも」
「今みたいに暮らす方がなのね」
「ずっといいですね」
「ご家族と一緒に暮らすことが」
「そうして家事をして子育てをして」
 そしてというのです。
「夫婦で暮らすことが。少なくとも私はです」
「それが一番の幸せね」
「そう思います」
「僕だとです」
 カルロスは今度は担々麺を食べて言いました。
「もうです」
「カルロスは身体を動かすことがよね」
「はい、スポーツも好きで」
 ドロシーに笑顔で答えました。
「身体を動かしている時がです」
「一番幸せね」
「そうなんです」
「私は冒険ね」 
 その旅に出ている時がというのです。
「一番ね」
「幸せですね」
「ええ」
 そうだというのです。
「本当にね」
「ドロシーさんはそうですね」
「幸せはそれぞれね、そして一番の幸せに巡り合えることもね」
 その人それぞれのです。
「オズの国なのよ」
「そうなんですね」
「そうよ、だから皆ね」
「幸せに過ごせているんですね」
「そうよ。そして私はね」
「冒険の旅をですね」
「今も楽しんでいるのよ」
 一番好きなこれをというのです。
「そうしているのよ」
「そうなんですね」
「そして同じ位好きなことは」
 冒険の旅と、というのです。
「皆と一緒にいて食べたりお喋りをしたり遊んだり」
「そうしたことがですか」
「同じ位好きなのよ」
「それじゃあ今は」
「最高に幸せよ」
「ちなみに僕はドロシーと一緒ならね」
 トトはドロシーの足下から言ってきました。
「最高だよ」
「最高に幸せなんだね」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「僕はね」
「君の幸せはそれだね」
「一番のものはね」
「そして僕はね」 
 ご主人が言うことはといいますと。
「妻そして家族とここでね」
「この農園で、ですか」
「一緒にいて働いて飲んで食べる」
「今みたいにですね」
「そうすることがね」 
 まさにというのです。
「最高の。一番のね」
「幸せですか」
「そうだよ、そして妻の料理したものを食べることも」
 このこともというのです。
「最高の幸せだよ」
「つまりご主人はいつもですね」
「一番の幸せの中におられるんですね」
「そうなんだ」
 餃子を食べてそれからビールを飲んで言いました。
「妻と一緒になれてよかったよ」
「私もよ。叛乱を止めてね」
 そしてとです、将軍も言いました。
「それで幸せになれてね」
「そうしてですね」
「よかったわ、それで食べ終わったら」
 将軍はミルクを飲みながらお話しました。
「その後はデザートよ」
「そちらですね」
「今日のデザートも農園で採れたものよ」
「色々なお菓子や果物ですね」
「そうよ」
 そういったものだというのです。
「だからね」
「皆でだね」
「お昼の最後にだね」
「食べてね」
 将軍はかかしと樵に答えました。
「貴方達も食べて楽しむ私達を見て」
「楽しませてもらうね」
「君達の笑顔を見てね」
 二人も答えました。
「そうしてね」
「そうさせてもらうよ」
「是非ね。甘いものを食べても」
 そうしてもというのです。
「人は幸せになれるわね」
「そうよね。お菓子や果物はね」
 甘いものはとです、アン王女は言いました。
「食べるだけでね」
「幸せになれますね」
「それだけで」
「もうとても美味しくて」
「お口の中が甘さに支配されて」
「最高ですよね」
「ええ、オズの国は誰もがね」
 王女はカルロス達五人に応えて言いました。
「甘いものが好きね」
「そうですよね」
「しかも食べ過ぎても虫歯にならないですし」
「太ることもないですし」
「歯磨きや運動は気持ちいいからするもので」
「そうした心配もないですから」
「外の世界とはね」
 虫歯や太ることがないことはというのです。
「そのことも違うわね」
「そうですよね」
「そしてそれもいいんですよね」
「僕達にとっても」
「ですから」
「このお昼もですね」
「将軍の好意を受けてね」
 そしてというのです。
「食べましょう」
「わかりました」
「デザートもそうさせてもらいます」
「今のお昼を食べて」
「そしてです」
「それからは」
「是非ね、私もそうするしね」 
 王女もというのです。
「皆でそうしましょう」
「はい、ただ」 
 ここでカルロスは笑顔でこんなことを言いました。
「将軍の農園のお菓子や果物はどれも美味しそうで」
「何を食べようか迷うわよね」
「はい、そのことがです」
 どうしてもというのです。
「困りますね」
「そうね、それはね」
「王女も思われますね」
「ええ」
 実際にとです、王女も答えました。
「どうしてもね」
「そうですよね」
「だからね」
 それでというのです。
「私もね」
「どれを食べようか」
「困るわ」
「悩みますよね」
「嬉しい悩みよね」
 ドロシーがここでこの言葉を出し舞s田。
「これは」
「はい、本当に」
「そうね、そうした嬉しい悩みもね」
 これもというのです。
「あるのがオズの国ね」
「オズの国の悩みは嬉しい悩みですね」
「悩んで憂いても」
 それでもというのです。
「何を最初に食べようか、最初に何をして遊ぼうか」
「そうした悩みや憂いで」
「どれも楽しいのよ、ただリンキティンク王は」
 あの底抜けに明るい人はといいますと。
「もう悩むことも憂うこともね」
「ないですか」
「もう一切悩んだりしないでね」
 そして憂いないで、というのです。
「すぐに決めてね」
「そしてですか」
「食べて飲んで遊ぶのよ」
「そして歌われるんですね」
「あの人はね」
「あの人のことは私も聞いているわ」
 将軍も言ってきました。
「お会いしたことはないけれど」
「オズの国の有名人のお一人ですからね」
「ええ、もう底抜けに明るくて」
 そしてというのです。
「迷ったりしない人ね」
「もう即断即決で」
 カルロスも将軍に答えます。八宝菜を食べながら。
「それで、なんです」
「飲んで食べて遊んでよね」
「楽しまれています」
「そうした人ね」
「そう、ですから」
 それでというのです。
「あの人は確かに悩むことも憂うこともです」
「ないわね」
「はい、本当に」
「あの人はそうした意味で凄いわ」
 ドロシーは唐揚げを食べつつ思いました。
「一瞬もね」
「僕達もそう思います」
「本当にすぐに決められますから」
「今日出来なければ明日って」
「そう言われてです」
「決められますから」
「そうなのよね」 
 カルロス達五人にも言います。
「本当に。ただあの国から出ることは殆どないわ」
「だから私もお会いしたことがなくて」
 将軍はドロシーにお話しました。
「それでなんです」
「聞いたお話よね」
「はい、それ以上ではです」
 どうしてもというのです。
「ありません」
「そうよね」
「私もこの農園から出ることはあまりないですし」
「貴女にしてもね」
「そしてあの王様も」
「基本ご自身のお国から出なくて」
「それで、ですから」
 だからだというのです。
「どうしてもです」
「お会い出来る機会はないわね」
「それでなんです」
 どうしてもというのです。
「こう言っています」
「そうよね、けれどあの人はね」
 リンキティンク王はというのです。
「そうした人なのよ」
「迷わない人ですね」
「憂いもね」
 こちらもというのです。
「本当にね」
「一切なくて」
「もう何でも一瞬で決めるから」
 それでというのです。
「世の中そうした人もいるということはね」
「知っておくことですね」
「そうなるわ、オズの国の悩みや憂いは楽しいものだけれど」
 それでもというのです。
「それがない人もいるのよ」
「オズの国の中には」
「そうなの。ただあの人はやっぱり特別ね」
「そうですよね、あんな人は他にいないです」
 カルロスも言いました。
「本当に」
「そうよね」
「オズの国には色々な人がいても」
「それでもね」
「まさにオズの国でお一人です」
「本当にそうよね」
「その個性は」
「私もそう思うわ、じゃあ私達はね」 
 ドロシーはカルロスに応えてからあらためて言いました。
「楽しく悩みましょう」
「デザートにどのお菓子か果物を食べるか」
「そうしましょう」
「わかりました」
 カルロスも他の皆も頷いてでした。
 そうしてデザートを選んで食べました、そのデザートは確かに食べるにあたって悩みましたが選んだそれはどれもとても美味しかったです。








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