『オズのジンジャー将軍』




                第三幕  農園を歩いて

 ドロシー達がお家を出る時に将軍が声をかけました。
「皆来て」
「はあい」
 すぐに返事が来てでした、沢山のワンちゃん達が集まってきました。見ればシュガー以外にも沢山のワンちゃん達がいます。将軍は集まった彼等を見つつドロシー達にお話しました。
「この子達がね」
「農園の番犬達ね」
「いつもパトロールをしてくれてね」
 そうしてというのです。
「しっかりとね」
「農園を守ってくれているのね」
「うちの農園は凄く広いけれど」
 それでもというのです。
「そこをね」
「しっかりとなのね」
「パトロールしてくれて」
 そしてというのです。
「護ってくれているの、そして家族としてもね」
「癒してくれる存在ね」
「ええ、私もうちの人も生きものが好きで」
 それでというのです。
「赤ちゃんも好きだし」
「赤ちゃんにとっては頼りになって優しいお兄さんとお姉さん達ね」
「そうなるわね」
 将軍はドロシーににこりとして答えました。
「まさに」
「そうよね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「うちには猫もいるのよ」
 犬だけでなくというのです。
「その子は猫の物凄い耳と勘でね」
「農園を監視してくれているのね」
「少し変なことがあったら」
 その時はというのです。
「ワンちゃん達と一緒にね」
「知らせてくれるのね」
「ええ、だからその子もね」
 とてもというのです。
「頼りにしているわ」
「そうなのね、それでその子は」
「ここにいますよ」
 ふとでした、そこで。
 濃い赤毛の猫が出て来てこう言ってきました。
「ワインといいます」
「貴方が将軍の猫の家族ね」
「はい、そうです」
 まさにというのです。
「この耳と勘で、です」
「農園のレーダー役ね」
「そうなりますね」
「そうなのね」
「私もいますので」
 それでというのです。
「この農園は大丈夫です」
「そうよね」
「それで私は大抵お家の屋根の上や縁の下にいます」
「それで耳と勘を働かせてくれているのね」
「左様です」
「そうなのね」
「寝ていましても」 
 それでもというのです、猫は兎に角よく寝る生きものですが。
「耳と勘は働いていますので」
「問題なしね」
「左様です」
「エリカやガラスの猫も耳と勘がいいからね」 
 トトは彼等のことを思い出しました。
「それもかなりね」
「もうかなり遠くの音でも聞こえて」
 臆病ライオンはトトに応えました。
「そうして勘だってね」
「凄いからね、彼女達も」
「それでこのワイン君もだね」
「凄い勘なんだね」
「そうです、あと僕は雄です」
 ワインは自分の性別のお話も言ってきました。
「そのことも覚えておいて下さい」
「そうね、貴方は見たところ雄ね」 
 アン王女は猫を見て彼の言葉に頷きました。
「顔立ちでわかるわ」
「僕の顔で、ですか」
「私はそういうのわかるの」
「猫の顔を見て性別がわかりますか」
「犬についてもね」 
 そうだというのです。
「これが」
「そうなんですね」
「この子は男の子ね」
 シュガー、コリーを見ての言葉です。
「そうね」
「はい、そうです」
 そのシュガーも答えました。
「雄なんです、実は」
「そうよね、それでね」
 セントバーナード、大きなその犬はといいますと。
「貴女は女の子ね」
「私がメイプルです」
 セントバーナードは自分から名乗りました。
「ご主人からお家の番を言われた」
「聞こえていたのね」
「丁度お家の傍を通ったので」
 将軍にも答えました。
「その時に」
「そうなのね」
「では今から」
「お願いするわね」
「そうさせてもらいます」
「私は主人と一緒に農園のお仕事をするから」
 それでとです、将軍はメイプルに言いました。
「その間赤ちゃんを見てあげてね」
「わかりました」
 メイプルはこう答えました、そして。
 そのお話の後で将軍は皆にお話しました。
「他の子も紹介するわね」
「はい、お願いします」
 カルロスが応えました。
「どの子がどんな子か」
「今からね、ちなみにワインは男の子よ」
 こう紹介しました。
「そうなのよ」
「そうですか」
 カルロスが応えました。
「僕にはちょっと」
「わからないでしょ」
「どうにも」
「けれどね」
 それでもというのです。
「やっぱり一緒にいるとね」
「それはわかりますよね」
「ええ、それでね」
 将軍はさらにお話しました。
「この子は杏仁っていうの」
「いい名前ですよね」
 チャウチャウの子が言ってきました。
「気に入っています」
「男の子なのよ」
「はい、健康で美形の」
「自分でこう言う子なのよ」
 将軍は彼のことを笑って紹介しました。
「いつもね、それでこの子がレモンで」
 アメリカンテリアの子でした。
「男の子なのよ」
「いつも明るくて前向きな」
 そのレモンも言いました。
「そんな男の子ですよ」
「二人共はしゃぎ過ぎよ」
 二匹に柴犬が注意しました。
「ちょっとね」
「いや、ついね」
「紹介されるとこう言ってしまうんだよね」
 二匹は柴犬の注意に少し反省した風で応えました。
「わかっているけれどね」
「ついついね」
「全く。それで私は」
「私に紹介させてね」
 将軍は柴犬に言いました。
「いいわね」
「わかりました」
「桜っていうの。女の子で」
 それでというのです。
「この子達のまとめ役なのよ。一番年上でね」
「そうなんですよね」
 桜もこう応えました。
「私が」
「ええ、それで皆のお姉さんよ」
「性格もそうなんですよ」
 こう言ってきたのはボルゾイでした。
「いつも優しく何かとお話してくれました」
「そうよね」
 将軍はそのボルゾイに答えました。
「桜は」
「それで私は一番年下で」
「赤ちゃんよりはお姉さんだけれどね」
「はい、そうですよね」
「ええ。この娘はビスケットっていって女の子なの」
 将軍は皆にボルゾイの紹介もしました。
「犬の中では一番年下なの」
「そうは見えないんですが」
「大きいからね」
 カルロスのその言葉に応えました。
「それは」
「そうですね」
「ええ、そしてね」 
 将軍はさらにお話しました。
「このブラジリアンマスチフの子はサフランっていうの」
「可愛い名前ですよね」
 そのブラジリアンマスチフの子も明るく言ってきました。
「気に入ってるんですよ」
「男の子よ。皆の中で一番元気で食べることが大好きなの」
「食いしん坊です」
 サフランから言ってきました。
「実は」
「そこがまたいいのよ」
「ご主人にいつもそう言ってもらっています」
「犬も猫も明るくて沢山食べないと心配になるわ」
「そうなんですね」
「だからこれからも食べてね」
「わかりました」
 サフランも応えました。
「それでは」
「ええ、そしてこの子は」
 犬の中で一番小さいです、猫の半分の大きさもありません。小さな尻尾がピコピコと振られている子です。足も短いです」
「ふわり、トイプードルの女の子よ」
「ティーカップになるんですよね」
「大きさはね。女の子よ」
「宜しくお願いします」
「この子は皆の知恵袋なの」 
 ふわりはというのです。
「いつもよく気がついて問題を見抜いてくれるの」
「私が出来ることをいつも考えています」
「それでなの」
「ちなみに僕はワンちゃん達よりも年上です」 
 ワインがここでまた言って来ました。
「それで皆のお兄さんでもあるんですよ」
「そうなのよね、この子達もね」
 将軍は皆にお話しました。
「私達の子供なのよ」
「そうなんですね」
「チョコのお兄さんお姉さんでね」
 カルロスに対してお話しました。
「いつも助けてもらっているわ」
「頼りになる家族ですね」
「まさにね。一家でね」
「この農園で暮らしていますか」
「いつもね。収穫出来るお菓子や果物はこの達が教えてくれて」
 そしてというのです。
「一つ一つの木にどうしていかもね」
「教えてくれるんですね」
「そうなの」
 こうカルロスにお話しました。
「いつもね」
「凄い子達ですね」
「そうでしょ。だから本当に助かっているわ」
「これだけの子達がいたら」
 ナターシャは猫や犬達を見て思いました。
「どれだけ有り難いか」
「そうよね、もう百人力いえ」
 恵梨香はナターシャの言葉に応えました。
「千人力よね」
「どれを収穫すればいいかまで教えてくれるから」
 だからだとです、神宝も言います。
「本当に頼りになるね」
「パトロールもして収穫も教えてくれるなんて」
 ジョージも言いました。
「こんな素晴らしい家族はいないね」
「しかも赤ちゃんのお守りもしてくれるから」
 カルロスはこのことをお話しました。
「本当にいい家族だね」
「うん、僕達も頼りにしているよ」
 ご主人も出て来て言ってきました。
「何かとね」
「そうなんですね」
「この子達もまた家族で」
「それで何かと助けてくれるから」
「それで、ですね」
「いつも頼りにしているんですね」
「皆が言う通りね。では僕は妻と一緒にお仕事に行くから」
 それでというのです。
「後は皆の案内を受けて農園をお散歩するといいよ」
「わかりました」
 五人で応えてでした、そのうえで。
 皆は犬達に案内されて農園の中を歩きはじめました、するとすぐにです。
 かかしが農園の中を歩きながら見渡してこんなことを言いました。
「前に来た時より広くなっているね」
「そして木の数も増えているね」
 樵も言いました、見回しながら。
「種類も」
「そうだね」
「さらに充実してきたね」
「将軍とご主人だけでこの木のお仕事全部出来るのかな」
「はい、ですから私達がいるんです」
 ふわりが言ってきました。
「農園の中を見回して」
「収穫のこともだね」
「そちらもだね」
「はい」
 ふわりはかかしと樵に答えました。
「ご主人にお伝えします」
「そうしているんだね」
「それもいつもだね」
「私達が見付けたらすぐにご主人達にお知らせします」
「ご主人も奥さんもおられる場所はすぐにわかります」 
 杏仁がにこにことしてお話しました。
「匂いで」
「ああ、二人の匂いだね」
「それでわかるね」
「この農園の中におられたら」
 それならというのです。
「何処でもわかります」
「犬のお鼻は凄いからね」
「人間の何千倍だからね」
「だからだね」
「すぐにわかるね」
「私にもわかるんです」
 ふわりにもというのです。
「それもよく」
「そうだね、君も犬だし」
「よくわかるね」
「犬は耳もいいけれどね」
 トトも犬として言います。
「やっぱりお鼻なんだよね」
「そうだよね」
「お鼻が兎に角いいからね」
「それで将軍達が何処にいてもわかるね」
「それもよく」
「少なくとも農園の中におられたら」
 杏仁も言ってきました。
「何処でもすぐにわかりますね」
「犬のお鼻って凄いとは聞いていたけれど」
 カルロスが驚きの声を出しました。
「そこまでなんだね」
「そうなんです」
 杏仁はカルロスに答えました。
「この農園の中々どんな匂いでもわかります」
「それで将軍達にだね」
「すぐにお伝えします」
「そうなんだね」
「はい、あとです」
「あと?」
「この農園は広いですが」 
 杏仁はこうもお話しました。
「境もあるんですよ」
「あっ、遠くに高い柵が見えるよ」
 臆病ライオンは木々の先にそれを見ました。
「青い木で造られたね」
「やっぱりマンチキンだから青ね」
 アン王女はその色に注目しました。
「やっぱり」
「そうだよね」
「私の国だとウィンキーにあるから」
「黄色だよね」
「そうなの」
 その色になっているというのです。
「やっぱりね」
「そうだね」
「ええ、けれどマンチキンならね」
「やっぱり青だよね」
「実際に足下の草も木の葉もね」
「全部青でね」
「幹や枝もそうだし」
 そちらもというのです。
「まさに全部がね」
「青だね」
「そうしたお国だから」
 それ故にというのです。
「将軍のお家の柵もだね」
「青なのよね」
「そうだね」
「その青がいいんですよね」
 レモンはマンチキンの青について笑顔で言いました。
「本当に」
「そうよね」
「僕も好きでして」
「それでなのね」
「いつもその中にいられて」
 青い色に包まれてというのです。
「幸せです」
「そこまで好きなのね」
「はい、青が」
 この色がというのです。
「本当に」
「そうよね、ただね」
「ただ?」
「オズの国は本当に国によって色があるから」
「マンチキンなら青で、ですね」
「私のお国があるウィンキーなら黄色でね」
 それでというのです。
「カドリングは赤でね」
「ギリキンは紫、エメラルドの都は緑ですね」
「そうなのよ」   
 そうした色になっているというのです。
「だからお国によってね」
「色は違いますね」
「そうなのよ」
「私達はマンチキンで生まれ育っていますから」
 ビスケットが言ってきました。
「ですから」
「それでよね」
 ドロシーが応えました、様々なお菓子や果物が実っている木々の中を歩きながら。
「青が好きなのよね」
「お国の色ですから」
「だからよね」
「はい、とても」
「皆自分のお国のことが好きだから」
「そうなります、ただどの色も」
 青以外の色もというのです。
「好きです」
「そうよね」
「オズの国にいますと」
「嫌いなものはなくなるわね」
「はい」 
 実際にというのです。
「本当に」
「だから貴方達も」
「青が一番好きですが」
 それでもというのです。
「他の色も好きですよ」
「そうよね」
「私達それぞれの色も」
「そうなのね」
「大好きです」
「ご主人も奥さんも私達をいつもとても大事にしてくれるんですよ」 
 桜はその上で丸まっている尻尾をふりふりとさせてお話しました。
「ご自身達の子供として」
「家族としてよね」
「はい、いつも」
 そうしてくれているというのです。
「有り難いことに」
「それは何よりね」
「私達も大事にしてもらえると」
「嬉しいわよね」
「凄く。感謝しています」
 こうドロシーにお話するのでした。
「いつも」
「そうそう、心があるのは人間だけじゃないからね」 
 トトも言ってきました。
「他の生きものだってね」
「心があるわね」
「そうだよ、だから僕だってね」
 トトは今もドロシーの足下にいます、そしてその少し前をドロシーと同じ速さでとことこと歩いています、そのうえで言うのです。
「ドロシーに大事にしてもらっているからね」
「だからなのね」
「凄くね」
 本当にというのです。
「いつも感謝しているよ」
「そうなのね」
「僕だってね」
「そう、誰にだって心があるんだ」
 臆病ライオンの声は確かなものでした。
「だから大切にしてもらったらだよ」
「嬉しいのよね」
「僕はドロシーにもオズマ姫にも大事にしてもらってね」 
 それでというのです。
「本当に嬉しいよ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「いつも一緒にね」
「仲良くしてくれているの」
「友達としてね」
「そう、ドロシーは皆を大事にしてくれるからね」
 かかしも言ってきました。
「皆がドロシーを好きなんだよ」
「そうなのね」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「僕達もだよ」
「私の友達でいてくれているのね」
「そうだよ」
「私は皆が好きだから」
 ドロシーはかかしに答えました。
「それでだけれど」
「ドロシーとしては普通にだね」
「皆と接しているだけれど」
「それでもだよ」
「皆が感謝してくれていて」
「大好きなんだよ」
「そうなのね」
「そう、そしてね」 
 かかしはさらにお話しました。
「僕達も命があるから」
「それで心もよね」
「大切にしてもらったら嬉しいよ」
「どんなものでも大切にしなさい」
 樵はこの言葉を出しました、皆農園の中を歩いていますが沢山のお菓子や果物が実っている木々はお日様に照らされていてとても映えています。その中で言うのでした。
「オズの国の法律の一つだね」
「オズマが定めたわ」
「そうだね、だから心がないものでもね」
「皆大切にしているから」
「その中に僕達心を持っている存在もあるから」
 だからだというのです。
「ドロシーも将軍も大事にしてくれているから」
「感謝しているのね」
「僕達もワンちゃん達もね」
 そうだというのです。
「本当にね」
「そうなのね」
「そういうことだよ」
「そうね、私もオズの国の皆に大事にしてもらっているから」
 アン王zyも言いました。
「オズの国の皆が好きで」
「それで貴女も皆を大事にしているわね」
「大事にしてもらったら」
 それならというのです。
「自然とね」
「自分もってなるわね」
「そうなるわ」
 こう言うのでした。
「誰だってね」
「だからなんですよ」
 シュガーは嬉しそうに言ってきました。
「僕達ご主人と奥さん大好きなんですよ」
「いつも美味しいご飯とミルク貰って」
 杏仁も言います。
「こうして毎日農園の中を歩き回らせてくれますし」
「ブラッシングもしてくれるんですよ」
 レモンはそのことがとても嬉しいみたいです。
「それで毛も奇麗にしてくれますし」
「お風呂で身体も洗ってくれますし」
 ビスケットはお風呂のお話をしました。
「身体も拭いて乾かしてくれて」
「それにいつも暖かいお部屋で寝かせてくれますしね」
 桜はこのことも嬉しく言うのでした。
「最高ですよ」
「いつも優しい笑顔と言葉をかけてくれて」 
 ふわりの尻尾がピコピコと上を向いて動いています。
「幸せです」
「収穫するお菓子や食べもののこと言ったら有り難うですし」
 サフランはこの言葉が嬉しいとのことです、見れば桜やふわりだけでなく他の子達も尻尾を振っています。
「嬉しいですね」
「そうなんだ、ただね」
 カルロスは犬達のお話を聞いて思いました。
「将軍ってね」
「ああ、叛乱起こした時はね」
 ジョージも言いました。
「そうした感じじゃなかったね」
「あの時は居丈高な感じがしたよ」
 神宝は本で読んだその時の将軍のことを思い出して言うのでした。
「そんな風な人にはね」
「思えなかったわね、むしろね」
 恵梨香もその時の将軍のことを言いました。
「ワンちゃん達にああしなさいこうしなさいって」
「そう言う感じだったわね」 
 ナターシャが観てもでした。
「あの時の将軍は」
「そうだったのに」
 それがとです、カルロスはまた言いました。
「随分変わってるね」
「奥さんは物凄く優しい方ですよ」
 犬達は皆こう言いました。
「絶対に怒らないですし」
「ご主人もそうですけれど」
「僕達あんな優しい人他に知らないです」
「マンチキンも色々な人がいてです」
「いい人ばかりですが」
「奥さんが特にですよ」
 こうカルロス達に言うのでした。
「本当にです」
「あんな優しい人いないです」
「私達ここのお家に来た時から凄く可愛がられて」
「いつもお腹一杯ですし」
「身体も奇麗ですし」
「あんないい人はいないですよ」
「確かにこの農園の奥さんになって穏やかになったけれど」
 カルロスはそれでもと思いました。
「けれどね」
「それでもだよね」
「反乱を起こした時を思えば」
「まるで別人よ」
「そうよね」
「全くだよ」
 カルロスは四人ともお話しました。
「本当に変わったね」
「いい意味で変わったにしても」
「別人にしか思えない位で」
「何ていうか」
「驚くわ」
「人は変わるものでしょ」
 ドロシーは犬達から聞く将軍に対して戸惑いを隠せませんでしたがドロシーはこう言うのでした。それも笑顔で。
「そうでしょ」
「はい、確かに」
「そしてそれはオズの国ならいい方向に変わる」
「だからですね」
「ジンジャー将軍もですね」
「今はそうした人なんですね」
「そうなのよ」 
 こう五人にお話するのでした。
「ジンジャー将軍もね」
「あの、でしたら」
 ここで、です。カルロスはドロシーに尋ねました。
「この子達が言うことは」
「その通りなのよ」
「将軍は実際にですね」
「今は凄くいい人なのよ」
「そうなったんですね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「将軍のことはいいとして」 
 それでもと言うのでした。
「この農園はかなり広いわね」
「こんな広い農園二人でやっていけるかしら」
 アンはドロシーの言葉を受けて首を傾げさせました。
「ワンちゃんや猫ちゃん達がいてもね」
「人間は二人だけでしょ」
「働ける人はね」
「だったらね」
「ええ、人手がね」
 どうしてもというのです。
「足りないんじゃないかしら」
「犬手や猫手はあっても」
「とてもね」
「そうしたことはね」
「難しいわね」
「本当にね」
 こう思うのでした。
「そこが気になったわね」
「今ね」
「確かにかなり広いですね」
 カルロスも実際にその中を歩いて思いました。
「この農園は」
「そうでしょ、だからね」
「ドロシーさんは今そう言われたんですね」
「うん、そのことを将軍とご主人にね」
「聞いてみますか」
「このお散歩から帰ったら」
 そうしたらというのです。
「その後はね」
「将軍にですか」
「聞いてみるわ、二人だけだと」
 どうしてもというのです。
「どう考えてもね」
「ここは私の国の農園位の広さよ」
 アン王女がこう言いました。
「本当にね」
「王女のお家の」
「ええ、それ位の広さがね」
 本当にというのです。
「あるわ、それで何人もでね」
「お仕事をしていますか」
「農園でね。そう思うとね」
「お二人だけでは」
「私も無理があると思うわ」
 こう言うのでした。
「幾ら何でもね」
「それじゃあ」
「私も聞いてみるわ」
 将軍とご主人にというのです。
「農園のお仕事以外にも色々やっているし」
「ワンちゃんや猫ちゃん達の世話に」
「赤ちゃんもいるでしょ」
「それでお二人だと」
「本当に大変よ」
 王女はお話しているうちに次第に心配になってきました。
「これはね」
「さっきもそんなお話がちらって出たけれど」
 ドロシーは考えながら真剣なお顔になっていました。
「これはね」
「お話を聞いてね」
「それでよね」
「お話を聞いて」
 そしてというのです。
「あらためて考えていきましょう」
「それがいいわね」  
 アン王女と二人でお話しました、するとです。
 かかしもです、こう言いました。
「僕もそうすべきだと思うよ」
「貴方もそう思うのね」
「うん、これだけ広いとね」 
 どうしてもとです、かかしはドロシーにお話しました。
「二人だけだと無理だよ」
「そうよね」
「ワンちゃんや猫ちゃん達もいるしね」
「そうだとね」
「もう大変だよ」
 二人で農園を切り盛りすることはというのです。
「本当にね」
「しかも赤ちゃんがいて家事もあるんだよ」
 樵も言いました。
「お掃除にお洗濯もね」
「そちらのこともあるわね」
「幾らこの子達が助けてくれても」
 樵はワンちゃん達を見てドロシーにお話しました。
「犬手は足りていてもね」
「人手はね」
「足りていないからね」
 だからだというのです。
「ここはね」
「人手がね」
「必要な筈だよ」 
 こう言うのでした。
「本当にね」
「そうだよね」
「前に来た時より広くなっているしね」 
 臆病ライオンは実際に歩いてみてこのことがわかりました。
「徐々に広くなっていっているにしても」
「これは広くなり過ぎよ」
 ドロシーはどうかというお顔で言いました。
「幾ら何でもね」
「そうだよね」
「お二人でやっていくにはね」
「どうしてもね」
「あまりにも広いと」 
 こうも言うドロシーでした。
「無理があるわ」
「お仕事の規模によって人手も変わるわ」
 王女もはっきりと言います。
「だからここまで少ないとね」
「それならね」
「もうね」
 それならというのです。
「将軍とご主人にお話を聞いて」
「足りていないなら」
「何とかしないとね」
「いけないわね」
「これも政治だからね」
「オズの国のね」
 二人でお話します、そしてです。
 カルロスもです、チョコレートの木にたわわに実っているチョコレート、小さいですがさくらんぼみたいに沢山実っているそれを見て言いました。
「これだけ実っていると」
「お二人ではでしょ」
「はい、本当に」
 実際にというのです。
「これだけの数は」
「無理があるとしかね」
「実はなんですよ」
 ここで犬達がまた言ってきました。
「僕達も心配で」
「農園だけじゃなくて家事もですし」
「赤ちゃんの育児もされていて」
「本当にお二人お忙しいですから」
「心配になっているんです」
「大丈夫かしらって」
「君達もなんだね」
 カルロスは犬達のお話も聞いて思いました。
「そのことは」
「やっぱりですよ」
「私達も家族ですから見ています」
「ご主人達も大丈夫かって」
「そう思いますから」
「これからどうなるか」
「そうだよね、じゃあここはね」
 是非にと言うのでした。
「このお散歩から帰ったらね」
「それからはですね」
「ご主人と奥さんにお話してくれますね」
「私達のお父さんとお母さんに」
「そうしてくれますね」
「僕もそうれがいいと思うよ」 
 こう犬達に答えました。
「僕達もね」
「私もそう思うわ」
「私もよ」
「僕もお話聞いてそう思ったよ」
「僕も同じだよ」
 恵梨香に続いてナターシャと神宝、ジョージも言いました。
「この広さだとね」
「絶対にお二人だと無理があるよ」
「だからね」
「ここはまずは将軍とご主人からお話を聞きましょう」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「それからかな」
「そう、いきなり私達の意見を言うのはよくないわ」
 ドロシーはカルロスに応えました。
「だからまずはね」
「お話を聞くことですね」
「そうしないとね」 
 さもないと、というのです。
「間違えるわ」
「相手のお話も聞かないと」
「そう、だからね」
「お話を聞くことですね」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「どうするかよ」
「このことが大事ですね」
「そうよ、政治も人のお話を聞いてね」
「実際にどうかを考えることですね」
「さもないとね」
「失敗しますね」
「自分でその場所を観て考えて」 
 そしてというのです。
「人の意見も聞いてね」
「進めていくものですね」
「色々な人とも相談して」
「政治はそうしてやっていくものですね」
「オズマがそうしているわ」
 オズの国の主である彼女がというのです。
「だからね」
「それで、ですね」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「決めてそれからね」
「動いていくんですね」
「そうしていくものよ」
「そうなんですね」
「だからね」  
 ドロシーはさらにお話しました。
「今回もね」
「そうしていきますね」
「ええ、それに今回も頼りになる人達が一緒だから」
 ドロシーはここでかかしと樵、臆病ライオンにトトそれにアン王女を観ました。そしてカルロス達五人もです。
「よくなるわ」
「絶対にですね」
「ええ、そうなるわ」
 こうカルロスに答えました。
「だからね」
「明るくですね」
「前向きにね」
 その様にしてというのです。
「やっていくのよ」
「それが政治ですか」
「そうよ、少なくともオズの国ではですね」
「そうしたものなのよ」
「そうですか」
「難しいと思うかしら」
「ええ、お話を聞いていますと」
 実際にというのです。
「そのことは」
「そうなのね、けれど難しいと思うことでも」
 そうしたこともというのです。
「その実はね」
「違うんですか」
「案外簡単だったりするのよ」
 難しいと思うことでもというのです。
「その実はね」
「そうなんですね」
「そうよ、だから今回もね」
「難しく考えないで」
「それでね」
 そのうえでというのです。
「ことを進めるべきなのよ」
「難しく考える必要はないですか」
「事実は案外単純なものだってね」
 その様にというのです。
「オズの国では言われているのよ」
「そうですか」
「そう、オズの国ではね」
「けれど外の世界では」
「違うかしら」
「どうでしょうか」
 カルロスは考えるお顔になってドロシーに答えました。
「そのことは」
「オズの国も外の世界も同じものもあるから」
「それじゃあ」
「ええ、オズの国には確かに魔法があって色々と違うけれど」
 外の世界と、です。
「同じこともね」
「多くてですね」
「ええ、それでね」
「このこともですか」
「そうかも知れないわよ」
「難しいと思っていることは案外簡単ですか」
「単純でね」
 それでというのです。
「わかりやすかったりするのよ」
「そうですか」
「むしろ難しく考えると」
 そうすればというのです。
「わからなかったりするのよ」
「そうですか」
「だからね」
 それでというのです。
「私達は物事は深く考えないで」
「簡単にですか」
「考える様にしているの」
「そうなんですね」
「ええ、じゃあ今回もね」
「簡単に考えてですね」
「やっていきましょう」 
 難しく考えることなくです、こうお話してでした。
 そのうえで農園の中を見て回ってそうして将軍のところに向かいました、その時はもう夕方になっていて将軍のお家の中でのお話となりました。








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