『オズのジンジャー将軍』
第一幕 お菓子を食べるなら
カルロス達五人はこの時はブリキの樵のお城にいました、そこでブリキの建物やお庭等を見てです。
そのうえで樵そしてかかしと一緒にいます。カルロスはブリキのドロシー達の像を見てこんなことを言いました。
「特に樵さんの像が凄いね」
「うん、そっくりだよね」
「樵さんそのものだよね」
「ご本人とそっくり過ぎて」
「どちらが本物かわからない位よ」
「何しろブリキで造られているからね」
その樵も言ってきました。
「僕にそっくりなのも当然だよね」
「そうですよね」
「ブリキの樵さんの像をブリキで造ったら」
「やっぱりそっくりになりますね」
「そうなりますね」
「樵さんご自身がモデルになっていますし」
「そうだよ、ただ僕は動くけれど」
樵自身はです。
「像はね」
「動かないですね」
「そして喋らないですね」
「そこが違いますね」
「それでわかるんですよね」
「どちらが本物か」
「そうだよ、けれど僕が動かない様にしたら」
そうしたらといいますと。
「わからないね」
「それはそうですね」
「それで喋らないと余計にです」
「同じポーズで並んでいたら」
「もうどちらが本物か」
「全くわからないです」
「そうだね、そうした悪戯も面白いかも知れないけれど」
それでもというのです。
「僕はそうしたことはしないよ」
「そういえば樵さん悪戯はしないですね」
カルロスも頷きました。
「そうしたことは」
「うん、好きじゃないからね」
「だからですね」
「そうしたことは考えても」
それでもというのです。
「実際にはね」
「されないですね」
「うん、そしてね」
それでというのです。
「こうして普通に動いて喋るよ」
「そうですね」
「それでだけれど」
樵はさらに言いました。
「君達今回はいきなりここに来たけれど」
「はい、オズの国に来ましたら」
「僕のお城に来てくれたね」
「そうでした」
「ずっとここにいるのかな」
カルロスに尋ねました。
「今回は」
「ううん、それは」
「やっぱり違うね」
「はい、オズの国に来ましたら」
それならとです、カルロスは樵に答えました。
「それならです」
「旅に出るね」
「冒険の旅に」
「やっぱりそうなるね」
「はい、ただ何処に行くかは」
冒険の旅に出るといってもです、カルロスは考えてしまいました。そうしてこうしたことを言いました。
「まだです」
「決めていないね」
「はい」
そうだというのです。
「オズの国には冒険をしたくて来ましたけれど」
「外の世界でまた冒険をしようとお話しまして」
「それでこちらに来ました」
「そうお話しましたけれど」
「具体的には」
恵梨香達四人も言います。
「そこまではです」
「どうしてもです」
「考えがまとまっていなくて」
「とりあえず行こうってお話になって」
「それで来ました」
カルロスがまたお話しました。
「僕達は」
「そうなんだね」
「具体的に何処に行くかまでは」
そこまではというのです。
「本当に」
「だったらね」
ここでかかしが言ってきました、左手の人差し指をピンと立てているのを見ると閃きがあったことが伺えます。
「君達は今何をしたいか」
「そのことを考えることですか」
「そこから何処に行きたいかをね」
それをというのです。
「考えるといいよ」
「そうですか」
「例えば何を食べたいか」
かかしは例えもお話に出しました。
「その食べたいものは何処にあるか」
「そうしたらですね」
「その何処かに行けばいいよ」
食べもののあるそこにというのです。
「そうすればいいんだ」
「そうですか」
「何かをしたいなら」
「その何かがある場所にですね」
「行こうね」
「それじゃあ」
カルロスはかかしの言葉を受けてです、自分が今何をしたいのか考えました。そうしてこう言いました。
「お腹空いたね」
「あっ、どうもね」
恵梨香も言いました。
「オズの国に来て暫く経って」
「そうね、お昼ご飯から結構経っていて」
ナターシャも言います。
「もうそろそろ三時だし」
「おやつ食べたくなったよ」
ジョージは実際にこう言いました。
「何かね」
「そうだね、それだったら」
最後に神宝が言いました。
「おやつのある場所にだね」
「そういえば」
カルロスはふと閃いて言いました。
「ジンジャー将軍だけれど」
「あっ、オズの国で反乱を起こした」
「それで今は結婚して農家の奥さんやってるわね」
「農園はどれもお菓子の木で」
「あの人のところに行ったら」
「うん、おやつを好きなだけ食べられるよ」
カルロスは皆に言いました。
「そうなるよ」
「それじゃあだね」
「僕達は今回はジンジャー将軍のところに行けばいいね」
「そしておやつを頂きましょう」
「お菓子の木に実っているおやつを」
「そうしようね、いやすぐに決まったけれど」
冒険の行き先がです、カルロスは笑ってお話しました。
「今すぐにでもね」
「おやつ食べたいね」
「そうだよね」
「今お腹が空いているし」
「それなら」
こうしたお話を五人ではじめますと樵はお城にいる人に言いました。
「この子達におやつを出してくれるかな」
「はい」
丁度樵の傍にいた人は樵の言葉に頷きまして。そのうえでカルロス達のところに来て優しい声で尋ねました。
「何が食べたいかな」
「僕はチョコレートケーキをお願いします」
「ドーナツをお願いします」
「ごま団子がいいです」
「私はお饅頭を」
「私はクッキーを」
五人はそれぞれ言いました、すると。
そのお菓子達がすぐに来ました、お菓子だけでなくお茶やコーヒーもあります。五人はそのお菓子達を見て驚きました。
「多いね」
「五人分ずつあるね」
「こんなにあるなんて」
「またサービスしてもらったわね」
「お茶まであって」
「皆お腹が空いていると言ったからだよ」
持って来た人が笑顔で答えました。
「だからなんだ」
「たっぷり持って来てくれたんですね」
「五人分ずつですね」
「一人が一個ずつ食べる」
「そうなる様にですね」
「持って来てくれたんですね」
「そうだよ、紅茶やコーヒーもあるからね」
こちらも用意したというのです」
「遠慮なく食べてね」
「わかりました」
五人は笑顔で答えてでした。
ブリキの席に座ってそうして食べはじめました、その中でカルロスは四人に対してこんなことを言いました。
「樵さんは何も食べないけれど」
「このお城の食べものは美味しいよね」
「飲みものだって」
「もう何でも美味しくて」
「食べることでも楽しい場所よね」
「確かに僕は食べないよ」
樵も席に着いています、かかしも一緒です。
「けれどね」
「それでもですか」
「他の人達が食べるからね」
こうカルロスに答えました。
「だからだよ」
「それで、ですか」
「そう、皆の分のキッチンがあって」
「食べものもありますか」
「食材や調味料はあって」
そうしてというのです。
「それでね」
「シェフの人もいますね」
「そうなんだ」
こうお話するのでした。
「それで皆もね」
「食べていますか」
「そして飲んでいるよ」
「樵さん以外の人はそうですか」
「そうだよ、このお城にいるのは僕だけじゃないから」
「他の人もおられるので」
「他の人達が食べているからね」
そして飲んでいるからだというのです。
「お料理も出てね」
「しかも美味しいんですね」
「そういうことだよ」
「だからここでも美味しいものを楽しめるんだ」
かかしも言ってきました、この人も席にいます。
「オズの国の他の場所と同じくね」
「それで今もですね」
「こうしてね」
実際にというのです。
「君達は美味しく飲んで食べてね」
「楽しめるんですね」
「おやつをね」
「そういうことですか」
「うん、ただね」
「ただ?」
「今回の旅だけれど」
かかしは皆に言いました。
「僕も一緒に行っていいかな」
「かかしさんもですか」
「君達とは何度か一緒に行ってるけれど」
それでもというのです。
「今回もね」
「一緒にですね」
「君達は子供だからね」
それでというのです。
「誰か一緒の方がいいね」
「そうですね、そのことは」
カルロスはかかしの言葉に頷きました。
「僕達五人だけですと」
「どうしても不安があるね」
「子供ですから」
「子供だから」
それ故にというのです。
「大人が一緒に行くよ」
「僕も同行していいかな」
今度は樵が言ってきました。
「かかし君と共にね」
「樵さんもですか」
「そう、一人より二人の方がいいね」
「一緒に来てくれる人は」
「そう思うしどうかな」
「はい、宜しくお願いします」
カルロスは樵にも答えました、それは他の子達も同じ意見でした。
「是非一緒に旅をして下さい」
「かかしさんに樵さんがおられたら何の心配もいらないです」
「是非お願いします」
「一緒にジンジャー将軍のところに行きましょう」
「あの人のところまで」
「これで気まりだね、では僕達二人と一緒に行こうね」
「これは楽しい旅になるよ」
かかしは笑顔で言いました。
「いつも通りね」
「絶対にそうなりますね」
「オズの国の旅だからね」
カルロスに笑顔のまま答えました。
「だからね」
「それで、ですね」
「そう、そしてね」
「そして?」
「実はここにもうすぐドロシーが来るんだ」
オズの国きっての有名人である彼女がというのです。
「だからね」
「ドロシーさんともですか」
「あの娘も加えて」
旅の一行にというのです。
「将軍のところに行こうね」
「そうしますか」
「ドロシーは今このギリキンにいて」
樵が治めるこの国にというのです。
「アン王女の国に行っていて」
「あの人のところにですか」
「そしてそこから帰って」
そうしてというのです。
「もうすぐこのお城に来るんだ」
「そうなんですね」
「実はさっき携帯で彼女とお話したんだ」
かかしは携帯を出してカルロスに答えました。
「そうしたらもうすぐにね」
「このお城にですか」
「来ると言っているから」
「じゃあこうしている間にも」
「もうドロシーはお城のすぐ傍に来ているから」
だからだというのです。
「彼女とも合流して」
「そうしてですね」
「一緒に行こうね」
冒険の旅にというのです。
「そうしようね」
「ドロシー王女も一緒なんて」
「余計に嬉しいですね」
「あの人もとなると」
「かかしさんに樵さんに」
「あの人もなんて」
「臆病ライオン君もいるからね」
かかしは彼の名前も出しました。
「そしてトトもね」
「この像のメンバーですね」
カルロスはブリキの像の彼等を見て言いました。
「まさに」
「そう、その皆がだよ」
かかしは笑顔で答えました。
「揃うことになるよ」
「それは素晴らしいですね」
「勿論トトもいるよ」
彼もというのです。
「ドロシーもいるからね」
「トトは絶対ですね」
「ドロシーがいるとね」
それならというのです。
「彼もいるね」
「トトはいつもドロシーさんと一緒だから」
「それでだよ」
「そうですよね」
「その顔触れでね」
まさにというのです。
「僕達はね」
「一緒にですね」
「将軍のところに行くことになるよ」
「さて、早速旅の準備をしないとね」
樵はとても楽しそうです。
「これからの」
「準備ですか」
「皆が食べ終わったら」
そうしたらというのです。
「ドロシーが来るから」
「それでドロシーさんが来られたら」
「すぐに冒険の旅に出るから」
だからだというのです。
「今からね」
「準備をしておくんですね」
「そうしようね、とはいってもね」
「もう身一つでも行けるよ、僕達は」
かかしはこう言いました。
「何も食べなくても飲まなくてもいいからね」
「それで疲れることもなくて」
「ずっと歩いていることも出来るから」
休む必要もないからです。
「いつもそうしているしね」
「その辺り楽ですね」
「しかし君達はそうはいかないからね」
また樵が言いました。
「だからね」
「それで、ですね」
「そう、準備をしようね」
「そうですか、ですがオズの国にいますと何処でもお風呂や水浴びが出来て歯磨き粉やボディーソープもありますから」
カルロスは樵に答えました。
「ですから」
「準備はいらないかな」
「はい、食べものも普通にです」
「その辺りにお弁当の木の実があったりね」
「果物やお菓子の実がありますから」
「そうだったね、いや君達もって考えたら」
どうしてもとです、樵は笑って言いました。
「ついついね」
「準備をですか」
「考えてしまったよ」
「ここで樵君のハートが出たね」
かかしは親友のそのことに思いました。
「いつも心が暖かいからね」
「だからですよね」
「君達のこともね」
「考えて」
「何かと準備しようとしたんだよ」
「そうですよね」
「樵君はオズの国で最も優しくて暖かい心を持っているから」
このことはオズの国の誰もが知っています。
「それでだよ」
「僕達のことを考えてくれて」
「それでね」
そのうえでというのです。
「準備しようとしたんだ」
「そうですね」
「けれどオズの国は誰もが安全に身一つで冒険の旅が出来る国だから」
そうした国になったのです、オズマがオズの国の統治者になってこれ以上はない位素晴らしい政治を行う様になって。
「安心してね」
「そうしてですね」
「皆で行こうね」
こうカルロス達に言うのでした。
「そうしようね」
「わかりました」
「じゃあドロシーさんが来られたら」
「その時にですね」
「皆で出発ですね」
「ジンジャー将軍のところに」
「是非ね」
こう言いました、そして五人もそれぞれでお話しました。
「オズの国は本当に平和だから」
「安心して冒険の旅が出来るよね」
「僕達外の世界から来た人でもね」
「しかも素敵な人達が一杯いるから」
「余計によね」
こうお話するのでした。
「樵さんにかかしさん」
「ドロシーさんに贈廟ライオンさんにトト」
「今回はその人達と一緒だから」
「さあどんな旅になるか」
「今から楽しみだよ」
五人でこうお話します、そしてです。
ここで五人の足下に黒くて小さな犬が来て挨拶してきました。
「皆暫く振りだね」
「あっ、トト」
「トトがまず来たんだ」
「ドロシー王女より先に」
「私達のところに来てくれたの」
「そうしてくれたのね」
「うん、ドロシーと臆病ライオンも後で来るけれど」
それでもとです、トトは五人を見上げてお話しました。
「僕はこの通り小さくてすばしっこいからね」
「だからだね」
「最初に君が来てくれたんだね」
「それで僕達に挨拶してくれたんだ」
「その挨拶が嬉しいわ」
「とてもね」
「そう言ってもらえて嬉しいよ、僕も皆会えたからね」
だからだというのです。
「嬉しいよ」
「そうなんだね」
「それでもうすぐドロシーさんと臆病ライオンも来てくれるし」
「皆揃うね」
「そうなるわね」
「それで冒険のはじまりね」
「実はサプライズもあるよ」
トトは五人に笑ってこうも言いました。
「しっかりとね」
「サプライズ?」
「サプライズっていうと?」
「一体どういうことかな」
「ちょっとわからないけれど」
「どういうことかしら」
「もうすぐわかるからね」
トトは自分の言葉に首を傾げさせた五人に今も笑って言いました。
「だから楽しみにしていてね」
「トトがそう言うなら」
「それならね」
「今は待っているよ」
「そのサプライズをね」
「そうさせてもらうわ」
「そういうことでね、来たよ」
トトがこう言うとでした。
ドロシーと臆病ライオンも五人の前に出て来ました、ドロシーは冒険の時動きやすいピンクと白のブラウスと膝まであるひらりとしたスカートにピンクの靴に白いソックスそしてバスケットボックスという恰好です。
そのドロシーとです。
「アン王女!?」
「アン=アンヤコレヤ王女も一緒でしたか」
「サプライズって何かと思っていたら」
「アン王女が一緒でしたか」
「そうだったんですね」
「そうだよ、僕達はアン王女のお国に行っていたからね」
トトが驚く五人ににこりとしてお話しました。
「そこでアン王女も冒険の旅に出たいと言ってね」
「それでなんだ」
「アン王女もお国からドロシーさんとご一緒して」
「それでここまで来たんだ」
「そうだったのね」
「これは想像していませんでした」
「想像しなかったことが起こるのがオズの国でしょ」
ドロシーが五人に笑って答えました。
「そうでしょ」
「そうでした」
「そのことを忘れていました」
「それがオズの国でした」
「何しろお伽の国ですからね」
「想像しなかったことが起こる国でしたね」
「そうよ、だからこうしたこともよくあって」
そしてというのです。
「今回はアン王女も一緒よ」
「久し振りの冒険の旅だから」
そのアン王女も言ってきました。
「私も楽しみよ」
「そうですか、それじゃあですね」
「今から僕達とですね」
「冒険の旅をはじめられますね」
「そうしてくれるんですね」
「これから」
「ええ、ただ私はここまで旅をしてきたから」
アンは五人に笑顔でお話しました。
「皆とは合流になるわよ」
「あっ、そうですね」
「アン王女から見ればそうなりますね」
「僕達にとってははじまりでも」
「アン王女はもう、ですから」
「だからですね」
「そうなるわ、じゃああんた達とかかしさんに樵さんも入れて」
そうしてというのです。
「一緒に行きましょうね」
「そういうことでね、君達と一緒の旅もいいんだよね」
臆病ライオンのお顔も笑っています。
「本当にね」
「僕も臆病ライオンとの旅も好きだよ」
カルロスが応えました。
「オズの国の他の皆との旅も好きで」
「それでだね」
「臆病ライオンとの旅もね」
こちらもというのです。
「好きだよ」
「それじゃあお互いに楽しんでね」
「旅をしようね」
「そうしようね」
「じゃあ早速出発ね」
ドロシーはうきうきとして言いました。
「この顔触れでね」
「宜しくお願いします」
ジョージはそのドロシーに言いました。
「今回の旅は」
「ジンジャー将軍のお家まで行きますが」
神宝もドロシーに言います。
「そこまで楽しんで行きましょう」
「今回は一体どんな旅になるかわからないですが」
それでもとです、ナターシャも言うのでした。
「きっと楽しい旅になりますね」
「オズの国の旅ですから」
こう言ったのは恵梨香です。
「そのことは間違いないですね」
「そうよ、けれど何があるかわからないから」
それがオズの国だからだとです、ドロシーは言いました。
「何かあったら私達を頼ってね」
「わかりました」
「そうさせてもらいます」
「何かあった時は」
「ドロシーさん達を頼らせてもらいますね」
「ドロシーさんが言われる様に」
「大人は子供を守るもので」
ドロシーは笑ってこうも言いました。
「私もオズの国の王女だから」
「僕達を守ってくれるんですか」
「いざという時は」
「冒険で何があっても」
「その時はですね」
「フォローしてくれるんですね」
「そうさせてもらうわ、もっとも今のオズの国は安全な国だから」
こうもお話するドロシーでした。
「危険はないけれどね」
「僕達が最初にこの国に来た時は色々あったからね」
トトはカンサスから竜巻で来た時のことを思い出していました。
「本当に」
「急流があったりカリダがいたりね」
「西の魔女がいたりね」
「ええ、色々あったわね」
「そうだったね」
「その時のことを思えば」
ドロシーはしみじみとした口調でトトに応えました。
「オズの国は本当に安全になったわ」
「そうだよね」
「元々誰も死なない国でもね」
「あの時は間一髪のスリルばかりだったね」
「そうだったわね」
「その頃のオズの国に僕達がいたら」
カルロスはしみじみとして言いました。
「その時は」
「もうどうなっていたか」
「いきなりオズの国が来ていたら」
「その時はね」
「大変だったでしょうね」
「そうだよね」
カルロスは恵梨香達四人に応えました。
「あの西の国の魔女がいたし」
「東の国の魔女もいたら」
「それだけでも大変だし」
「ノーム王や妖魔達も改心していなくて」
「海にも悪者がいて」
「カリダとかもいてね」
そうした色々な危険があってです。
「果たしてどうなったか」
「本当に危険だったから」
「その時を思うと」
「今は本当に平和になってね」
「安全になったわね」
「そうだよね、オズの国は変わったよ」
しみじみとして言うのでした。
「その時は」
「まあそれでも何とかなっただろうね」
かかしが言ってきました。
「オズの国はそうした国だから」
「ピンチでもですね」
「そう、必死で何かしようと思ったら」
その時はというのです。
「オズの神々が見ていてくれて」
「それで、ですか」
「何か見えない力でね」
「助けてくれるんですね」
「だからね」
それでというのです。
「何とかなるんだよ」
「思えば僕達もだったね」
樵も言ってきました。
「動きが止まったり動けなくなって」
「そこでドロシーが来てくれて」
「助かったね」
「あれも思えばね」
「オズの国の神々の加護だね」
「そうだったね」
「本当にね」
二人でお話するのでした。
「あの時はどうなるか」
「本当に困ったけえれど」
「それがね」
「助けてもらったよ」
二人で言うのでした。
「ドロシーが来てくれた」
「それこそがオズの神々のご加護だったよ」
「本当にね」
「そうとしか考えられないね」
「偶然の様に見えて違うのよね」
ドロシーもこう言いました。
「実は」
「そうだと思うよ」
「一見そう思えてもね」
二人でドロシーに応えます。
「それは実は神々のご加護で」
「僕達は助かったんだ」
「そしてお互いに助け合ってだよ」
「今に至るんだよ」
「そうよね、奇跡は実は奇跡じゃない」
こうも言うドロシーでした。
「神々のご加護ね」
「オズの国のね」
「まさにそれで」
「僕達は助かって」
「それで大きなことが出来たんだよ」
「力を合わせてね」
「これまで」
「そうね、危ないことを乗り越えられて」
そしてというのです。
「私が今オズの国にいることも」
「全てだよ」
「全てオズの神々のご加護でね」
「救いであって」
「僕達はやってこれたんだ」
「まずは必死に頑張る」
そのことが大事だというのです。
「そうすることね」
「そしてそれがね」
「神様のご加護を呼んで」
「そして助かる」
「道も拓けるんだ」
「そういうことね」
「僕もそう思うよ」
臆病ライオンも言ってきました。
「まずはね」
「何といってもよね」
「必死に頑張ることだね」
「するとそこでね」
「オズの神々が助けてくれるよ」
「そうしてくれるわね」
「きっとね、しかしね」
こうも言った臆病ライオンでした。
「オズの国はオズの国に最初からいる神々だけじゃなくてね」
「外から入って来た神様も多いわよね」
「うん、エジプトや北欧や中南米の神々もいて」
「ギリシアやケルトの神々もいるわよ」
「日本や中国の神々もいて」
「神様も本当に多いわ」
「そうした国だね、人だってね」
神々だけでなくです。
「沢山の人が来ているしね」
「まさかね」
カルロスは臆病ライオンに言いました。
「その中にエジソンさんがいるとは思わなかったよ」
「発明王のあの人だね」
「まさかね」
「オズの国では普通だけれどね」
「ライマン=フランク=ボームさんもいて」
「オズの国のことを最初に世界に知らせた人もね」
「あの人もだしね」
カルロスは臆病ライオンに明るくお話しました。
「それに他にもね」
「沢山の人達がいるね」
「凄いよね」
「何しろお伽の国だからね」
「色々な人達も集まるんだね」
「そういうことだよ」
「それで人だけじゃなくて」
カルロスはさらに言いました。
「場所だってね」
「色々だよね」
「本当にね、それじゃあ今度は一体どんな人と出会えてどんな場所に行くのか」
「今から楽しみにしてね」
「出発だね」
「そうしようね」
「皆おやつを食べていたみたいだけれど」
ドロシーがここでこのことを言ってきました。
「もう食べたのね」
「はい、食べ終わりました」
カルロスが五人を代表して答えました。
「もう」
「そう、それじゃあね」
「これからですね」
「少し落ち着いたら」
おやつの後の食休みの後でというのです。
「行きましょう」
「冒険の旅のはじまりですね」
「そうしましょう」
「道はどうなるか」
アンも楽しそうに言います。
「一体」
「ギリキンからエメラルドの都を通ってね」
そうしてとです、ドロシーはアンに答えました。
「そのうえでね」
「ジンジャー将軍のお家に行くのね」
「そうしましょう」
「一直線に行くのね」
「ええ、黄色い煉瓦の道じゃなくて」
ドロシーはさらに言いました。
「今回は列車でね」
「それで行くの」
「ええ、私達はよく歩いて行くけれど」
それでもというのです。
「今回はね」
「列車で行くのね」
「それもいいかしらと思って。将軍のお家は駅に近いし」
このこともあってというのです。
「それでなの」
「列車で行くのね」
「そうしましょう」
「それだったらこのお城から北に少し行けば駅だよ」
樵が駅の場所をお話しました。
「駅名はウィンキー皇帝宮殿前だよ」
「このブリキのお城の前ってことね」
「うん、その駅に行けばね」
「列車が来るから」
「その列車に乗って」
そうしてというのです。
「将軍のところに行こうね」
「わかったわ」
「将軍と言っても今は将軍じゃないけれどね」
「言うならジンジャー夫人ね」
「そうなるね」
このことは笑ってお話しました。
「正確には」
「ええ、けれどもう将軍というのがあの人の呼び名になってるわね」
「それで知られる様になった人だからね」
「そうよね」
「いや、あの時は大変だったよ」
かかしはジンジャー将軍がオズの国の女の子達を集めて引き起こした大反乱の時を思い出して言いました。
「僕達もどうなるか」
「オズマが言っていたわね」
「うん、オズマ姫がまだ男の子でね」
「それで大騒動に次ぐ大騒動で」
「本当に物凄かったよ」
かかしはドロシーに思い出しながらお話しました。
「今では楽しい思い出だけれどね」
「どうどうなるかわからない」
「そんな騒動だったよ」
「けれどその騒動も終わって」
「彼女も今では農家の奥さんだよ」
そうなっているというのです。
「平和なね」
「しかも沢山のお菓子を育てている」
「農園でね」
「そんな人になったわね」
「あの頃からは想像出来ないけれどね」
「そうよね、私はその時はいなかったから」
オズの国にです。
「聞くだけだけれど」
「僕も直接関わっていないんだよね」
臆病ライオンも言ってきました。
「実は」
「僕もなんだよね」
トトも続きました。
「あの騒動については」
「だから直接知らないけれど」
ドロシーも言います。
「大変だったとは聞いているわ、しかしそこからね」
「オズマがだね」
「女の子に戻るなんてだね」
「オズの国ならではね」
かかしと樵に応えました。
「帆等に」
「全くだね」
「僕も最初男の子と思っていたよ」
「最初はね」
「そうだったよ」
「誰もそう思うわよね」
ドロシーもあらためて思いました。
「ところがそれがね」
「何と実は女の子で」
「今のオズマになったんだよ」
「あのこれ以上はないまでに奇麗な」
「そんな娘だったから」
「ええ、その騒動からオズマが女の子だってわかって」
そしてというのです。
「オズの国の国家元首になったならね」
「それならだね」
「あの騒動もよかったことだね」
「そうね、神々の配剤ね」
オズの国のというのです。
「そうなったわ」
「そうだね」
「あのこともね」
「そうよね、かかしも樵も一時はどうなるかだったけれど」
そこまでの大騒動だったけれど、というのです。
「今思うとね」
「楽しかったしね」
「それにオズマが女の子に戻ってオズの国の国家元首になったし」
「とてもよかったよ」
「そうした騒動だったよ」
「本当にね、じゃあ今からね」
ドロシーはにこりとしたまま言いました。
「駅に行きましょう」
「皆でね」
「そうしていこうね」
かかしと樵も応えてでした。
皆でまずは駅に向かいました、ここに冒険の旅がはじまりました。