『新オズのオジョ』




               第四幕  笹をなおして

 オジョのお家が見えてきました、するとです。 
 そのお家を見てビリーナが言いました。
「あれがオジョのお家ね」
「そうだよ」
 オジョはその道から少し離れたところにある一軒家を見てビリーナに答えます、青いこじんまりとしたマンチキンのお家です。
「一人暮らしなんだ」
「そうなのね」
「お父さんとお母さんは村にいるけれどね」
「あんたは一人暮らしなの」
「そこで暮らしていてね」
 それでというのです。
「近くのお弁当の木とか川から食べものや飲みものを手に入れてね」
「それで暮らしているのね」
「そうなんだ」
 こうお話します。
「一人で気楽にね」
「そうなのね、ただどうして一人暮らしをはじめたのかしら」
「あっ、ただ単に気楽な暮らしがしたくなって」
「それでなの」
「うん、はじめてみたんだ」
「それだけなの」
「深い理由はないよ」 
 これといってというのです。
「本当にね」
「明るい理由ね」
「時々実家には帰ってるしね」
 屈託のない返事でした。
「歩いて行ける距離にあるし」
「別に何も問題はないのね」
「うん、中にはお風呂もおトイレもあって」 
 お家の中のお話もします。
「それでいつも奇麗にしてるよ」
「お掃除もしてるのね」
「そうなんだ、だからね」 
 それでというのです。
「快適だよ」
「いい暮らししてるのね」
「満足しているよ」
「それでなのよね」
 ビリーナはオジョのお話を聞いてからです。
 お家の周りを見ました、すると黄色い煉瓦の道に面している方向以外は全部森に覆われていてです。
 その中に結構深そうな竹林があります、ビリーナはその竹林を見て言いました。
「あそこがなのね」
「うん、笹があってね」
「あそこが問題の場所ね」
「そうなんだ。僕が来てからね」
 まさにというのです。
「はじめてお花が咲いたよ」
「それで驚いたのね」
「子供の頃お父さんに教えてもらったんだ」
「竹のお花が咲いたら笹が枯れるって」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「心配になってね」
「オズマ姫にお願いしたのね」
「そうだったんだ」
「ではーーですーーね」
 チクタクが言ってきました。
「これーーから」
「皆竹林を見てくれるかな」
「それーーでは」
「今から行きましょう」 
 オズマが言ってでした、そしてです。
 皆竹林の方に行きました、すると実際にでした。
 お花が咲き誇っています、ボタンはそのお花達を見て言いました。
「奇麗だね」
「うん、そうだけれどね」
 オジョはボタンに困ったお顔で答えました。
「これがね」
「笹が枯れるからだね」
「パンダさん達が困るからね」
「心配しているんだね」
「そうなんだ」
 こうお話するのでした。
「本当に」
「そのことはこれまで聞いた通りだね」
 ボタンもこのことはわかっています。
「オジョも心配で仕方がないね」
「パンダさん達はお友達だからね」
 それだけにといいます。
「本当にね」
「それじゃあオズマ姫に見てもらおう」
「ええ、見せてもらったけれど」
 そのオズマが言ってきました。
「私の魔法ならね」
「枯れない様に出来ますか」
「ええ、安心してね」
「それは何よりです」
「お花が咲いたままでね」
 竹のそれがというのです。
「枯れない様に出来るわ」
「それじゃあお願いします」
「見ればーーです」
 チクタクは笹を見て言いました。
「枯れはじめてーーいますーーね」
「ええ、今来てよかったわね」
 オズマはチクタクにも応えました。
「それじゃあね」
「今からーーですーーね」
「魔法を使って」 
 そうしてというのです。
「そしてね」
「そのうえーーでーーですーーね」
「枯れない様にするから」
「それじゃあ」
 オジョはオズマの言葉に笑顔で応えました。
「お願いします」
「すぐに魔法を使うわね」
 オズマはここでもステッキを出しました、そしてです。
 ステッキのジュエルから出した虹色の光が竹林を包みました、すると実際にお花は咲いたままでそのうえで。
 枯れはじめていた笹は戻って見事な緑色のものになりました、オジョはその笹の葉達を見てそれで言いました。
「有り難うございます、これで」
「パンダさん達がよね」
「食べものに困らないで済みます」
「よかったわね」
「はい、本当に有り難うございます」
「それでだけれど」
 ボタンは素朴な声で言ってきました。
「そのパンダさん達は何処かな」
「そういえば姿が見えないね」
「ここにいるって聞いたけれど」
「それでもね」
「見ないわね」
「そうよね」 
 神宝達五人はボタンのその言葉に頷きました。
「折角パンダさん見られるかもって思ったけれど」
「いないわね」
「今はいないのかな」
「そのことは残念だね」
「どうもね」
「安心して、ここはオズの国よ」
 パンダさん達に会えないのではと心配になった五人にです、ビリーナはお顔を向けて言ってきました。
「言えばね」
「それでなんだ」
「そう、出て来るわよ」
 神宝にも言います。
「オズの国はそうした国でしょ」
「それはそうだね」
 実際にとです、神宝は答えました。
「言われてみれば」
「だからね」
「それでだね」
「今言ったから」
「出て来てくれるね」
「オズの国は呼べばよ」
 そうすればというのです。
「出て来てくれる国だから」
「今から会えるんだね」
「そうよ、じゃあいいわね」
「それじゃあ」
 二人でこうお話してでした、そのうえで。
 笹の方を見ているとでした、その中から二匹のパンダが出てきました。
 一匹は黒と白の大きなパンダでもう一匹は茶色の毛に黒や白の丸い模様があります。そのパンダ達を見てです。
 神宝達五人は笑顔で言いました。
「出て来たね」
「うん、パンダさん達がね」
「しかもどちらのパンダさん達も」
「どちらかなのかしらと思っていたら」
「両方だね」
「あれっ、パンダって二種類いるんだ」
 ボタンはそのパンダ達を見てこう言いました。
「大きいのだけだと思っていたけれど」
「それが違うんだ」
 神宝がそのボタンにお話します。
「パンダは実は二種類いるんだ」
「ボタンが今言ったのはジャイアントパンダだよ」
 ジョージは笑顔でお話します。
「白と黒の毛の種類はね」
「それで小さい種類はレッサ―パンダなんだ」
 カルロスも神宝にお話します。
「茶色の毛で白と黒の模様がある種類はね」
「どちらも同じパンダなの」
 ナターシャもボタンに教えます。
「大きさも毛の模様も違うけれどね」
「どちらも中国にいるの」
 恵梨香はこのことをお話しました。
「山の方にね」
「そうだったんだ」
「長い間本当にいるかどうかわからなくてね」
 それでとです、神宝はボタンにお話しました。
「未確認動物と思われていたんだ」
「未確認動物?」
「本当にいるかどうかわからない生きものをそう呼ぶんだ」
「そうなんだ」
「うん、外の世界ではそうした生きものもいて」
 それでというのです。
「ネッシーとか雪男とかがそうなんだ」
「そんな生きものもいるんだ」
「うん、外の世界じゃ色々な場所にいるよ」
「中国にもいるのかな」
「中国は湖にいる巨大魚や山奥の野人だね」
「そういうのがだね」
「未確認動物だよ」
 こうボタンにお話します。
「中国のね」
「成程ね」
「世界中にそうした生きものがいて」 
「皆注目しているんだ」
「それでパンダも昔はそう思われていたんだ」
「そういえばパンダは昔オズの国にいたかな」
 オジョはふとこのことを思いました。
「一体」
「いなかったわよ」 
 オズマが答えました。
「昔はね」
「そうだったんですか」
「ええ、けれど中国系の人が入って中国文化もそうなって」
「生きものもですか」
「だからよ」
 その為にというのです。
「今はオズの国にもパンダさん達がいるのよ」
「そういうことなんですね」
「ええ、それでオジョはパンダさん達とお友達ね」
「はい」 
 そうだとです、オジョはオズマに答えました。
「そうなんです」
「じゃあお話しましょう」
「今からですね」
「パンダさん達とね」
 こうお話している間にです。
 そのパンダさん達が皆のところに来ました、そうして挨拶をしてきました。
「オジョじゃない」
「お家に帰ってきたんだ」
「都の方に行くって言ってたけれど」
「早かったね」
「うん、笹を枯れない様にね」
 オジョはパンダさん達に笑顔で答えました。
「オズマ姫にお願いしに行ったけれど」
「オズマ姫もおられるし」
「それじゃあだね」
「オズマ姫にお願いして」
「笹を枯れない様にしてもらったんだ」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「お花は咲いたけれどね」
「それでもだね」
「笹は枯れなくて」
「僕達も食べるものに困らないんだね」
「ここにずっといられるんだね」
「そうだよ、だからこれからも宜しくね」
 オジョは二匹に笑顔で言いました。
「こちらで」
「うん、こっちこそね」
「宜しくね」
「お友達としてね」
「仲良くしていこう」
「そういうことでね、それとだけれど」
 ここで、です。オジョは。
 二匹にです、こう言いました。
「皆に君達の名前を紹介してくれるかな」
「あっ、そうだね」
「それがまだだったね」
「それじゃあね」
「これから名乗らせてもらうよ」
 二匹はオジョの言葉に頷いてでした。
 そのうえで名乗ります、その名前はといいますと。
「タンタンだよ」
「ロンロンだよ」
 まずはジャイアントパンダが、次にレッサーパンダが名乗りました。
「いつも仲良く暮らしているんだ」
「二匹でね」
「同じパンダとしてね」
「そうしているんだ」
「そうなんだね」 
 ボタンは二匹のその言葉に頷きました、そしてです。
 そのうえでこんなことも言いました。
「二匹共仲いいんだ」
「そうだよ」
「とてもね」
「そしてオジョともだよ」
「僕達は仲良しなんだ」
「ここに来て暫くしてね」
 そしてとです、オジョもボタンにお話します。
「竹林が出来てね」
「それでなんだね」
「彼等が来て」
 そしてというのです。
「それからなんだ」
「お付き合いがはじまったんだ」
「そうなんだ」
 オジョはボタンに笑顔でお話します。
「もう結構長くお付き合いしているよ」
「いつも竹林の中でお話してね」
「一緒に遊んでね」
「楽しい時間を過ごしてるね」
「そうしているね」
 タンタンとロンロンも言います。
「オジョと僕達は友達だよ」
「ずっとね」
「僕もそう思っているよ、それでね」
 オジョはさらに言いました。
「竹林の中にいるとな」
「どうしたんですか?」
「うん、静かで風情があるから」
 神宝にお話します。
「そのままでいてもいいよね」
「そうそう、竹林ってね」
「そうした場所なんだよね」
 パンダさん達も言います。
「笹が風に揺らぐ音もいいし」
「そうした音を聞きつつ静かにいるのもいいよね」
「そのままお昼寝したりね」
「そうして過ごすこともいいよ」
「何かね」 
 こうも言うオジョでした。
「詩も詠みたくなるね」
「漢詩ですね」
 詩と聞いてです、神宝が言ってきました。
「その場合は」
「中国語の詩だよね」
「はい、そうです」
「オズの国は英語だからね」
「英語の詩になりますね」
「そうなるね」
「そうですね」
 神宝もそうだと頷きます。
「その場合は」
「そうだね、じゃあね」
「それならですね」
「英語の詩を詠んでみようか」
「今からですね」
「そうしようか」
 こう言うのでした。
「それで遊ばない?皆で」
「詩を詠んで遊ぶんですか」
「漢詩じゃないことは神宝には残念かも知れないけれど」
 それでもというのです。
「どうかな」
「何か詩を詠んで遊ぶことは」
 神宝はオジョの言葉を聞いて言いました。
「これまでなかったです」
「そうなんだね」
「はい、ですが」 
 それでもというのです。
「面白そうですね」
「それじゃあ」
「これからね」
 まさにと言ってです、そうしてです。
 他の皆もそれならと言ってです、そのうえで。
 竹林の中で皆で車座になって座って詩を作ってみました、そうしていると不意にでした。
 オズマは一作詠んでから言いました。
「出来たけれど」
「どうなの?」
「竹を詠むっていいわね」 
 こう言うのでした。
「竹林の中で」
「そうなのね」
「ええ、何かこうね」 
 オズマはビリーナに微笑んで言いました。
「静かな自然の中に身を置いてね」
「そうしてその自然を詠む」
「そのことがね」
 どうもというのです。
「いいわね、お花や海を詠むのもいいけれど」
「竹もなのね」
「いいわ」
 こう言うのでした。
「本当にね」
「あたしも詠んでみたけれど」
 ビリーナは自分が書いたそれを見つつ言いました。
「どうかしらね」
「自分ではどう思ってるの?」
「あたしらしさが出てね」
 それでというのです。
「いいと思うわ」
「自分でいいと思っていたらいいでしょ」
 オズマはビリーナに微笑んで答えました。
「詩は」
「そうなの」
「そう、だからね」
「あたしがいいと思っていたら」
「それでいいでしょ。それでどう思ってるのかしら」
「いいと思っているわ」 
 実際にとです、ビリーナはオズマに答えました。
「あたしらしい詩でね」
「詩はそれぞれの感性を詠うものだから」
 それでというのです。
「誰も笑ったり否定出来なくて」
「自分が、なのね」
「いいと思ったらね」
「いいのね」
「ええ、ただ聞いて欲しい読んで欲しいと思ったら」
 その時はというのです。
「それでね」
「見せればいいのね」
「言葉に出してもね」
 それもというのです。
「いいのよ」
「そうなのね」
「それとね」
「それと?」
「竹林の中にいることがこんなにいいなんて」
 オズマは微笑んで言いました。
「今まで思わなかったわ」
「そうね、独特の風情があるわね」
「ええ、オズの国にいるけれど」
 それでもというのです。
「また別の世界にいる様な」
「オズの国とはね」
「そんな風に思えるわね」
「中国の趣ですよね」 
 神宝が微笑んで言いました。
「これは」
「それか日本ね」
「アジアですね」
「オズの国の中のアジアの趣の中でも」
 特にというのです。
「独特のね」
「趣ですか」
「そうも思ったわ、別の世界の様で」
 尚且つというのです。
「それでね」
「独特のアジアの趣ですね」
「オズの国の中のね」
「相反するといいまか」
「一緒に思うわ」
 その二つの気持ちをというのです。
「今は」
「そうですか」
「そう、それとね」
 オズマはさらにお話しました。
「やっぱり貴方達は今日本にいるから」
「中国と同じく竹の多い国ですね」
「こうした雰囲気をよく味わえるのね」
「はい、日本には竹林が多いですから」
「見てそうしてなのね」
「楽しみ味わうことも」
「いいことね、では私はこれからは」 
 オズマは微笑んで言いました。
「竹林でも遊ぶことにするわ」
「そうされるんですね」
「こんな素敵な場所を知ったから」
「ドロシーさんは結構入られていますよ」
 オジョがこのことをお話しました。
「竹林にも」
「そうなの」
「ここにも来られたことありますし」
「あの娘はそうなのね」
「ドロシーさんはオズの国一の冒険家で」
 それでというのです。
「あらゆる場所を冒険されていますね」
「オズの国のね」
「オズの国で行っていないところはなくて」
 そこまで冒険をしているのです。
「それで、です」
「竹林にも入って」
「それで楽しんでおられます」
「流石ね。あの娘程オズの国を歩いて回っている人はいないから」
 それでとです、オズマも言います。
「だからね」
「竹林もですね」
「楽しんでいるのね」
「あの娘が知らないオズの国の楽しみってあるかしら」 
 ビリーナも言います。
「果たして」
「ないかも知れないね」
「本当にオズの国のあちこちを旅しているから」
 ビリーナはオジョに言いました。
「だからね」
「そうかも知れないね」
「ええ、本当にね」
「僕ドロシー王女にお会いしたことあるよ」
「僕もだよ」
 パンダ達も言ってきました。
「何度かここに来てくれたから」
「お会いしているよ」
「ああ、そうだったね」
 オジョは二匹のそのお話に頷きました。
「君達もね」
「そうだよ、とてもいい人だよね」
「明るくて気さくでね」
「それでとにかく前向きでね」
「お日様みたいな人だね」
「そうだよね、ドロシーさんはね」
 まさにとです、オジョも笑顔でドロシーのことをお話します。彼にしてもドロシーのことはよくしているのです。
「お日様みたいな人だね」
「いつも明るくてね」
「それで朗らかでね」
「そうだね、ピンチになっても」
 その時もです。
「絶対に諦めないしね」
「前向きでね」
「そんな人でね」
「君達の言う通りにね」
 まさにというのです。
「お日様みたいに明るい人だよ」
「しかも公平だしね」
「僕達ともすぐに仲良くなってくれたし」
「そうよ、ドロシーがいてくれて」
 ドロシーの親友の一人でもあるオズマも言います。
「私も本当に有り難く思っているわ」
「若しも、ですよ」
 ここで神宝は自分の詩を完成させてから言いました。
「ドロシーさんがオズの国に来られなかったら」
「竜巻で、よね」
「はい、それでオズの国に来られていないと」
「貴方達はオズの国のことを知らなかったかも知れないわね」
「他の方が来られて、かもしれなかったですが」
「ベッツイやトロットも来たしね」
「その時にという可能性もあったにしても」
 それでもというのです。
「ドロシーさんがその時に来られて」
「貴方達もオズの国のことを知ってくれたわね」
「その時の冒険が凄くて」
 このこともあってというのです。
「僕達はオズの国を知ることが出来ましたから」
「ドロシーがいないとね」
「そう思うと凄いですね」
「ええ、私もね」
 オズマ自身もです。
「ドロシーがいなかったら」
「寂しいですね」
「ドロシーが冒険に出てその状況を見て」
 そしてというのです。
「帰ってからお話を聞くこともね」
「楽しいんですね」
「凄くね、だからね」
「ドロシーさんがいてくれて」
「本当によかったわ、それとね」
 オズマは皆にこうも言いました。
「オズの国の言葉は英語だけれど」
「何しろお伽の国だからですね」
「他の言葉も使えて」 
 そしてというのです。
「読み書きも出来るのよ」
「そうなんですね」
「ええ、その言葉を読み書きしたいと思ったら」
 オジョにお話します。
「出来るのよ」
「じゃあ今ここで漢詩もですね」
「詠めるわ」
「そうなんですね」
「だからね」
 それでというのです。
「今からね」
「漢詩をですか」
「詠んでみましょう、和歌も出来るわよ」
「じゃあどっちもやってみよう」
 ボタンはオズマのお話を聞いて笑顔で言いました。
「どちらも出来るならね」
「どちらもよね」
「楽しんでね」
 そうしてというのです。
「満喫しよう」
「それがいいわね」
「だってどっちも楽しめるならね」
 それならとです、ボタンは言うのでした。
「どっちも楽しむべきだよ」
「そうね、じゃあね」
「うん、どっちも詠んでみよう」
「それじゃあね」
 ジョージは笑顔で言いました。
「まずは漢詩を詠もうか」
「それで書いてみようね」
 カルロスも言います。
「早速」
「漢詩を書けるなんて思わなかったけれど」
 それでもとです、ナターシャは楽しそうに言います。
「いい機会ね」
「その後で和歌ね」
 恵梨香もにこにことしています。
「そうなるのね」
「そうしましょう、それで漢詩や和歌ならね」
 オズマは子供達にも言いました。
「やっぱり筆よね」
「そうですよね」
 神宝はオズマのその言葉に応えました。
「漢詩も和歌も」
「ええ、だからね」
「今からですね」
「筆を出すわ、あと漢詩を書く紙に」
 それにというのです。
「和歌を書く短冊もね」
「出してくれるんですね」
「そうするわね」
「じゃあお願いします」
「それで詠みましょう」
 こうしてでした、英語の詩の後はです。
 皆漢詩や和歌も詠みました、和歌も詠んでからパンダさん達はお互いにお顔を見合わせて言いました。
「和歌もいいね」
「そうだよね」
「短いその中に美しさがあって」
「素晴らしい詩だね」
「そうだね、こうして詠むと」
 オジョはパンダさん達に笑顔で応えました。
「詩人になった気分になるね」
「いや、実際に詩人だよ」
「僕達はそうなったんだよ」
 タンタンもロンロンもオジョに言います。
「詩を詠んだからね」
「そうなったよ」
「誰でも詩を詠んだら詩人だよ」
「そうなるんだよ」
「じゃあ僕も詩人なんだね」
 オジョは二匹の言葉を受けて言いました。
「そうなったんだね」
「そうだよ」
「完全にそうなったよ」
「なった気分じゃなくてね」
「実際にだよ」
「そうなんだね、じゃあこれからもね」
 パンダさん達に筆を手にしたまま応えます。
「詠んでいくよ」
「そうしていこうね」
「僕達も楽しんでいくしね」
「楽しく詠んでいこう」
「詩をね」
「そしてその詩は」 
 オジョはさらに言いました。
「英文も漢詩も和歌もね」
「全部ね」
「やっていこうね」
「うん、それと」
 オジョはこうも言いました。
「ラテン語の詩もあるね」
「ああ、昔の欧州の言葉ですね」
「そうだよ、オズの国もこの言語があってね」 
 オジョは神宝に答えました。
「僕達は習ってね」
「そうしてですね」
「読み書きが出来るんだ」
「英語と一緒にですね」
「それが出来るんだ」
「そうなんですね」
「だからラテン語の詩も」
 こちらもというのです。
「詠めるよ、魔法の力とは別にね」
「そこは漢詩や和歌と違いますね」
「うん、ただ君達もね」
 ラテン語を知らなくてもというのです。
「詠うことが出来るよ」
「そうですか」
「その時は魔法でね」
「どっちにしても詠えるんですね」
「そうなんだ」
 そう出来るというのです。
「だからね君達もね」
「楽しんでいいですね」
「ラテン語の方もね」
「じゃあ今は欲張って」
 ボタンがまた言ってきました。
「ラテン語でも詠ってみよう」
「あんた随分詩が好きね」 
 ビリーナはそのボタンに言いました。
「漢詩も和歌もって言うし」
「だって遊びだから」
「遊びならなのね」
「何でもね」
 それこそというのです。
「楽しみたいから」
「それでなの」
「うん、何でも楽しみたいよ」
「慾張りって言ったら慾張りね」
「駄目かな」
「悪くないわよ」 
 ビリーナはこのことは否定しました。
「むしろいいことよ」
「どんどん遊ぶことはだね」
「そう、子供の仕事は遊ぶことよ」
「そうだよね」
「まあこれはお勉強かも知れないけれど」
「あれっ、お勉強も遊びだよ」
 ボタンはビリーナの今の言葉にこう返しました。
「だって本読んで書くよね」
「読み書きも遊びだからなの」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「お勉強もね」
「あんたは遊びだっていうのね」
「そうじゃないの?」
 こうビリーナに尋ねます。
「寝ている以外のことはね」
「遊びなのね」
「そう思うけれど、僕は」
「面白い考えだね」
 オジョはボタンのそのお話を聞いて笑顔で述べました。
「確かにそう考えるといいね」
「そうなんだ」
「お勉強を嫌いな子がいても」  
 それでもというのです。
「そう思うと楽しく出来るね」
「僕達はお勉強はお勉強って考えているけれど」
「そう考えることも出来るね」
「うん、読み書きが遊びならね」
「お勉強も遊びね」
「そのうちの一つになるわね」
 神宝達五人も言います。
「それじゃあね」
「私達もそう考えてね」
「お勉強していこうか」
「僕達皆成績悪くないけれどね」
「そう考えたらもっとよくなるかな」
 尚五人の中で一番成績がいいのは神宝です、そこから恵梨香、ナターシャ、ジョージ、カルロスとなりますが恵梨香達三人の成績は殆ど変わりません。そしてカルロスで大体中の上位だったりします。そして運動神経はカルロスが一番でジョージ、神宝、ナターシャ、恵梨香の順番で恵梨香で普通位でしょうか。
 その五人にです、オジョは言いました。
「そうかも知れないね」
「それじゃあですね」
「考えを変えてみて」
 神宝にも言います。
「やってみようか」
「これからは」
「うん、どうでやるならね」
「楽しくすることですね」
「それに越したことはないから」
 だからだというのです。
「そう考えて」
「実際にですね」
「やってみたらいいよ」
「わかりました」
「沢山遊んで食べた後は」
 ここでタンタンが言いました。
「よく寝ることだよ」
「僕達も寝ることは大好きだよ」
 ロンロンも言います。
「ぐっすりと沢山寝ることはね」
「そうだよね、遊びよりもね」 
 ボタンは二匹に早速応えました。
「寝る方がいいよね」
「君は特にそうだよね」
「オズの国一の睡眠好きだからね」
「それこそ寝ようと思ったらすぐ寝られて」
「ぐっすりだよね」
「寝ることについては」
 それこそというのです。
「オズの国の誰にも負けないよ」
「僕達にもだね」
「そうだね」
「多分ね」
「けれどだよね」
 オジョがそのボタンに笑って言います、もう筆からペンに持ち替えてそうしてラテン語の詩を書いています。
「起きた時は」
「うん、何処にいるかはね」
「わからないね」
「そうなんだ」
 これがというのです。
「僕にもね」
「そうだね」
「うん、どういう訳かわからないけれど」
 それでもというのです。
「寝て起きたらね」
「何処にいるかわからないね」
「この冒険でも」
「何時そうなるか」
「わかんなーーい」
 ここでボタンのいつもの言葉が出ました。
「どうなるか」
「それが君だね」
「たまにオズの国からの出口の渦にいて」
「それでだね」
「起きてそこから帰った時もね」
 その場合もというのです。
「あったよ」
「そうだったね」
「うん、このことはね」
 どうしてもというのです。
「僕にもわからないよ」
「不思議だね、けれどね」
「けれど?」
「君もオズの国の住人だからね」 
 それでとです、オジョはそのボタンにお話します。
「そうしたこともね」
「あるんだ」
「普通にね」
 まさにというのです。
「そうしたものだよ」
「そうなんだ」
「うん、だから君の個性ということでね」
 寝たら起きた時に何処にいるかということはです。
「いいと思うよ」
「僕の個性なんだ」
「皆それぞれ個性があって」
 それでというのです。
「そのことを認めることが大事だよね」
「人のそれぞれをなんだ」
「そう、本当にね」
「そうね、あたしにしてもね」 
 ビリーナも言ってきました。
「こうした性格の雌鶏だってことがね」
「君の個性だよ」
「そしてその個性をよね」
「皆が認めることがね」
「大事なのね」
「皆それぞれ違うじゃない」
「ええ、本当にね」
「それを認めることもオズの国の法律で書かれているし」
 オズマがそれを定めました。
「ちゃんとしていこうね」
「ええ、皆それぞれ違うわよ」
 その法律を定めたオズマも言います。
「実際ここにいる皆それぞれ違うわね」
「そうですよね」
「自分と違うから駄目とかね」
「そういうことはですね」
「よくないわ、オズの国には色々な人も生きものもいるし」
「余計にですね」
「そう、そうしたことはね」
 まさにというのです。
「ちゃんと頭に入れて」
「理解して」
「そして認めることよ」
「そのことが大事ですね」
「オズの国は人間でも色々な人がいるでしょ」
「白人、黒人、黄色人に」
「混血の人もいるし」
 人間に区分される市民の人達も様々です。
「私の様な妖精もエルフやドワーフの人達もいて」
「ノームの人達もいますね」
「ええ、ホビットやダークエルフの人達も」
「他にも沢山の種族がいますね」
「そして生きもの達もね」  
 彼等もというのです。
「本当に沢山の人達がいるから」
「それで様々な個性があるから」
「そうしたことはね」
 まさにというのです。
「全部ね」
「認めないとですね」
「やってけないでしょ」
「そうですね、かかしさんも樵さんも」
「そうでしょ」
「個性がありますし」
 この人達もというのです。
「でしたら」
「そう、本当にね」
「全てをですね」
「認めて」
「お友達なることですね」
「オズの国は皆とお友達になれる国だから」
 それ故にというのです。
「だからよ」
「それで、ですね」
「皆ね」
 まさにというのです。
「お互いのことを認め合って」
「お友達になることですね」
「お友達がいたら嬉しいでしょ」
「はい」
 オジョはオズマの言葉にその通りだと頷きました。
「本当に」
「だからよ」
「それで、ですね」
「貴方も個性があるけれど」
「誰でもあるものだから」
「その個性を皆が認めて」
 そしてというのです。
「貴方もね」
「他の人のことを認める」
「そうしてね」
 そのうえでというのです。
「楽しく過ごしましょう」
「皆で、ですね」
「そうしましょう」
「それがいいですね、じゃあ」
 ここで、です。オジョは。
 詩を完成させてまた言いました。
「これからそうしていきます」
「そうしてね」
「オズの国で」
 笑顔で、でした。
 オジョはオズマの言葉に頷きました。そうして竹林の中で笹の葉達が風に揺れる音を聞きました。緑が戻った笹の音はとても爽やかなものでした。








▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る