『新オズのオジョ』
第一幕 オズの国の人達
この日も神宝達五人はオズの国に遊びに来ています、今はエメラルドの都にあるヘンリーおじさんとエマおばさんのお家にドロシーと一緒にいます。
今は皆はおやつを食べています、そこでドロシーはこんなことを言いました。
「おじさんとおばさんもオズの国に来てね」
「そうして幸せに暮らしてくれているからね」
トトがドロシーの足元から応えます。
「凄くいいね」
「ええ、カンサスだとずっと生活が苦しくて」
「おじさんもおばさんも大変だったからね」
「そのことを思うと」
「今は本当にいいわ」
「全くだね」
二人でこうお話します、そしてです。
ドロシーはおやつの桃饅頭を手に取りました、他には月餅そしてマンゴープリンがあって皆で食べています。
そしてです、ドロシーはこうも言いました。
「中国の食べものや飲みものもなかったし、昔は」
「わし等がカンサスにいた頃にはもう中国から人が来ていたがね」
「私達は会わなかったわね」
そのおじさんとおばさんが言ってきました。
「アメリカには来ていても」
「それでもだったな」
「私達のいる大平原には来ていなくて」
「会うこともなかったよ」
「カンサスでは人に会うこと自体が少なかったわね」
ドロシーもその時のことを思い出しました。
「そういえば」
「うん、だからね」
「中国からの人にも会わなかったわ」
「そうね、そしてよね」
「こうしたものもだよ」
「食べたことがなかったわ」
「あの、ドロシーさんがアメリカにおられた二十世紀のはじめには」
神宝が言ってきました。
「もう中国からです」
「人が来ていたわね」
「今お話した通りに」
「そうよね」
「それでニューヨークやサンフランシスコに住んでいましたね」
「シカゴにもよね」
ドロシーはここでシカゴ生まれのジョージをちらりと見ました。
「そうだったわね」
「それで中華街も作っていましたね」
「そうよ、ただね」
「ただ?」
「私はカンサスにいた頃は会っていなくて」
その中国系の人達にというのです。
「それで中華街もね」
「見たことがなかったですか」
「オズの国に住む様になっても」
それからもというのです。
「少しの間中国系のオズの国の人も中華街もなかったのよ」
「そうなんですね」
「ええ、アフリカ系やヒスパニックや日系の人達もだけれど」
それだけでなくというのです。
「中国系の人達もね」
「そして中華街もですね」
「そしてね」
ドロシーは神宝にさらにお話しました。
「今じゃオズの国にもそうした色々な人達がいて」
「一緒に暮らしていて」
「そして中華街もあるわ」
この場所もというのです。
「幾つもね、それで中国から来た神様も沢山いるわ」
「関羽様や斉天大聖が、ですね」
「それで水滸伝の豪傑の人達もいるし」
この人達もというのです。
「岳飛さんもおられるわよ」
「皆さん一緒ですね」
「関羽さんのことは有名だよね」
ジョージが言ってきました。
「関帝廟は中華街には絶対にあるし」
「ええ、神戸の中華街にもあるわね」
恵梨香はジョージのその言葉に頷きました。
「それで私達の学校にもあるし」
「三国志に出て来る英雄の人で」
カルロスも関羽さんについてのお話をします。
「凄く強くて賢くてお心も立派なんだよね」
「その人もオズの国にいて」
ナターシャも言います。
「私達もお会い出来るのね」
「そうよ、関羽さんのお屋敷は今はマンチキンとカドリングの境にあって」
ドロシーは五人に関羽さんのオズの国でのことをお話します。
「学問と武芸に励んで暮らしているのよ」
「そうなんですね」
「それでオズの人達に困ったことがあったら」
その時はというのです。
「すぐに助けに来てくれるのよ」
「ヒーローなんですね」
「文字通りのね」
まさにとです、ドロシーは神宝ににこりと笑って答えました。
「私も関羽さんに何度がお会いしたことがあるわ」
「ドロシーさんもですか」
「あの人もオズの国におられるから」
「だからですね」
「何度かお会いして」
そしてというのです。
「冒険もね」
「一緒にですね」
「したこともあるわ」
「そうなんですね、それは素晴らしいですね」
「貴方は関羽さんがお好きね」
「はい、大好きです」
神宝はドロシーにぱっと明るい笑顔になって答えました。
「僕達のヒーローですから」
「中国の人達にとってはね」
「そして中国から来た人達にとっても」
今は他の国に暮らしている人達にとってもというのです。
「神様です」
「本当に神様になってるのよね」
「それも天帝様にもなっているとです」
「言われているの」
「そうしたお話もあります」
「天帝ってあれだよね」
トトはこの称号を聞いて言いました。
「中国の神様で一番偉い人だね」
「うん、道教の方ではね」
そちらの宗教の神様ではとです、神宝はトトに答えました。
「他にも偉い神様がいるけれど」
「一番だね」
「だって天界の神様の皇帝だから」
それでというのです。
「もうね」
「一番偉いんだね」
「そうだよ、それでその天帝様にね」
「関羽さんはなっているんだね」
「そう言う人もいるんだ」
「そこまで偉い神様なんだね」
「どうもオズの国の天帝様は関羽様じゃないと思ったけれど」
それは何故かもです、神宝は言いました。
「オズの国におられるなら」
「そうね、オズの国のお空には道教の神々もおられて」
ドロシーも言ってきます。
「そこに天帝さんがおられるけれど」
「関羽さんはオズの国の大地におられますね」
「天界にはいないわ」
「だからですね」
「そう、そのことはね」
「関羽様はオズの国では天帝様じゃない」
「別の位置におられる」
そうしたというのです。
「神様でオズの国の住人よ」
「そうなんですね」
「神様と言うより豪傑かしらね」
「そちらになりますか」
「斉天大聖にしても」
先程名前が出たこの神様もというのです。
「だってこの人達オズの国に暮らしているから」
「皆と一緒に」
「だから神様というよりは」
「オズの国の住人ですか」
「そう言った方がいいかも知れないわね」
「ドロシーさん達と同じですね、それじゃあ」
「ええ、オズマや私と同じで」
まさにというのです。
「そうしたね」
「オズの国の住人ですか」
「そうなるわ、オズの国の市民権も持っているし」
こちらもというのです。
「だからね」
「神様でもですね」
「むしろね」
「オズの国の住人ですね」
「そう言った方がいい人ね」
「それで斉天大聖も」
「水滸伝の豪傑の人達もね」
この人達もというのです。
「そう言った方がよくて」
「それで、ですか」
「私達もお会いしようと思えばね」
「普通に会えますか」
「ええ、出来るわ」
そうだというのです。
「関羽さんのところに行けばね」
「それじゃあ」
神宝は目を輝かせて言いました。
「僕達も」
「冒険になのね」
「今から出て」
そしてというのです。
「お会いしたいですね」
「そうね、ただね」
ここでドロシーは神宝に残念そうに言いました。
「私は今はここにいるの」
「おじさんとおばさんのお家にですか」
「ええ、トトと一緒にね」
一緒にというのです。
「そしてね」
「そのうえで、ですね」
「おじさんとおばさんのお家のお仕事のお手伝いをするの」
「今から西瓜を採るんだ」
「ようやく採れる様になったのよ」
おじさんとおばさんがここで言ってきました。
「だからねドロシーも来てくれてね」
「わし等のお仕事を手伝ってくれるんだ」
「だからね」
それでというのです。
「私はね」
「今回は、ですか」
「冒険の旅に出られないの」
どうしてもというのです。
「だからね」
「ドロシーさん以外の人とですね」
「行きたいなら」
それならというのです。
「行ってね」
「そうですか」
「僕達も行きたいと思ったけれど」
「関羽さんにお会いしたいし」
「けれどドロシーさんが駄目なら」
「他の人達と、ですね」
神宝だけでなく他の四人も言います。
「行くべきですね」
「今から行くとなると」
「そうなりますよね」
「じゃあどなたと行くか」
「それが問題ですね」
「貴方達五人だけだとね」
それはとです、ドロシーは言いました。
「やっぱり皆子供だから」
「だからですね」
「ええ、それでね」
「他の誰かが一緒じゃないと」
「送り出せないわ」
「そうですか」
「都に帰ってオズマにお話したらいいよ」
トトが言ってきました。
「そうしたら誰か一緒に来てくれる人がいるから」
「だからだね」
「そうしたらいいよ」
「そうだね、それじゃあね」
「それならね」
お話を聞いたドロシーが早速でした。
自分の携帯を出しました、そうして連絡をしてから言いました。
「オズマにお話してみたけれど」
「どうだったかな」
「オズマが一緒に行ってくれるそうよ」
「オズマ自身がなんだ」
「今丁度お仕事が終わって」
それでというのです。
「中華街に訪問する予定があるから」
「その途中に関羽さんのお家があるからだね」
「ええ、そこにね」
まさにそこにというのです。
「立ち寄るから」
「それでだね」
「オズマも行くの、ただね」
「ただ?」
「今回オジョのところにも行くらしいわ」
この子のところにもというのです。
「何でも結構大変なことになっていてね」
「それでなんだ」
「オジョのところにも行って」
そしてというのです。
「彼を助ける必要があるから」
「それでなんだ」
「今からね」
まさにというのです。
「行ってね」
「それでだね」
「オジョを助けてあげるつもりなの」
「そうだね、じゃあ」
「神宝達は宮殿に行ったらね」
そこでというのです。
「冒険をはじめられるわ」
「オズマと一緒にだね」
「ええ、それでオズマと一緒に旅に行くのは」
同行者の人達はといいますと。
「チクタクとビリーナ、それにボタンよ」
「ボタンも来ているんだ」
「そうみたいだから」
それでというのです。
「それでね」
「チクタクやボタン、それにビリーナも一緒で」
「神宝達は冒険に出られるわ」
「チクタクも一緒なんですね」
神宝はそう聞いて目を輝かせて言いました。
「そういえばチクタクともです」
「最近一緒に旅していないわね」
「はい」
そうだったというのです。
「ですから」
「楽しみになってきたわね」
「ビリーナやボタンともでしたし」
「ボタンとは滅多に会えないし」
「はい、ボタンはいつも急に出て来て」
「急にいなくなるわね」
ドロシーもこのことはよく知っています、このことはドロシーも彼と一緒に旅をしていて知っているのです。
それで、です。こうも言いました。
「だからよね」
「今気付きました」
ボタンの名前が出てです。
「それで、です」
「そうよね、けれどね」
「今回は、ですね」
「ボタンも一緒よ」
「そうなんですね」
「まあ何時いなくなるかわからないけれど」
ドロシーは笑ってこうも言いました。
「あの子は」
「そうですよね」
「けれど今回はね」
「とりあえず最初はですね」
「一緒だから」
それでというのです。
「楽しんでいてね」
「彼がいる間だけでも」
「そうしてね」
「そうさせてもらいます」
「それとね」
「それと?」
「ビリーナとの旅も久し振りでしょ」
このこともです、ドロシーは神宝に言いました。
「そうでしょ」
「はい、彼女ともですね」
「そうでしょ、だから今回はね」
「久し振りの顔触れで、ですね」
「楽しんでね」
「そうさせてもらいます」
「都に行けばね」
ドロシーは微笑んで言いました。
「その時からね」
「冒険のはじまりですね」
「そうなるわ、今回も楽しんできてね」
「そうさせてもらいます」
神宝も他の四人もドロシーの言葉に笑顔で頷きました、そしてです。
皆この日はおじさんとおばさんのお家で楽しく過ごして次の日はです。
五人で宮殿に行こうとしたらでした、そこで。
ふとです、皆の前にビリーナがいました。それで五人に行ってきました。
「今から宮殿まで一緒に行ってあげるわね」
「あれっ、宮殿にいたんじゃ」
「迎えに来たのよ、ドラゴンに乗ってね」
見れば後ろにそのドラゴンがいます。
「昨日オズマがお話を聞いた瞬間にね」
「その時になんだ」
「オズマが誰かを迎えに行かすってことになって」
「君に決まったんだ」
「ええ、それでね」
そのうえでというのです。
「あたしが来たのよ」
「そうだったんだ」
「そう、それでね」
「今来たんだ」
「朝早く起きて」
そしてというのです。
「郵便局の人が使ってるドラゴンに乗ってね」
「ここまで来たんだね」
「一瞬だったわよ」
宮殿からおじさんとおばさんのお家までというのです。
「本当にね」
「ドラゴンが飛ぶ速さは凄いからだね」
「ええ、まさにね」
それこそというのです。
「すぐにね」
「ここまで来られたんだ」
「そう、じゃああんた達もね」
「ドラゴンに乗ってだね」
「宮殿に行きましょう」
「それじゃあね」
「それとね」
ビリーナは神宝そして他の四人にさらに言いました。
「あんた達朝ご飯食べたかしら」
「うん、食べたよ」
実際にとです、神宝はビリーナに答えました。
「オートミールと林檎をね」
「そう、食べたのね」
「うん、ビリーナもよね」
「バターコーン美味しかったわよ」
ビリーナの好物の一つです、ビリーナは他には麦やお豆、そしてお米の粒が好きでそうしたものをいつも食べています。
「じゃあお互いちゃんと食べたし」
「それならだね」
「宮殿に行って」
そしてというのです。
「オズマと一緒にね」
「冒険の開始だね」
「そうしましょう」
「うん、じゃあね」
「五人共ドラゴンの背中に乗りなさい」
ドラゴンを見て言います。
「宮殿まで行くわよ」
「もう一飛びなんだ」
「ええ、それこそ一瞬でね」
それだけでというのです。
「宮殿まで行けるわよ」
「そうなんだね」
「ちなみにあたし今朝早く起きたって言ったわね」
「鶏らしくだね」
「あたしは雌鶏だから鳴かないけれど」
朝日と一緒に鳴くのは雄鶏です、従って雌鶏であるビリーナは鳴かないのです。ですがそれでもというのです。
「朝は旦那と一緒に起きるからね」
「それでだね」
「朝早く起きて」
まさに日の出の瞬間にです。
「それで朝ご飯を食べてね」
「ここまで来たんだね」
「ドラゴンの準備をしてもらってね」
「そういうことだね」
「そうよ、けれどね」
ビリーナはそのドラゴンを見ます、見ればしっかりした四本の足と長い尻尾に首、そして大きな蝙蝠のそれに似た翼を持つ大きなホワイトドラゴンです。
「あんたのお国のドラゴンじゃないわね」
「ああ、中国のだね」
「中国のドラゴンは細長いからね」
「龍はそうだね」
「そうよね、蛇みたいな身体で翼もなくて」
それでというのです。
「そうした身体ね」
「青龍がそうだね」
「マンチキンにいるあの龍ね」
「四霊獣の一つでね、エメラルドの都には麒麟がいるけれど」
「東のマンチキンには青龍がいるわね」
「そうだよ、中国のドラゴンはその龍で」
それでというのです。
「外見はかなり違うよ」
「そうよね」
「けれどオズの国には龍も沢山いるんだよね」
「そうよ、その龍にも出会えたらいいわね」
「じゃあまた会いましょう」
ドロシーはビリーナとのお話が一段落した神宝達に微笑んで言いました。
「冒険が終わったらね」
「その時にですね」
「ええ、またね」
「会いましょう」
「その時を楽しみにしているわ」
「よい冒険の旅を」
ドロシーに続いてトトとおじさん、おばさんも言ってきました。こうしてです。
神宝達はビリーナが乗っておじさん達のお家まで来たドラゴンの背中にビリーナと一緒に乗ってでした。そうして。
ビリーナと一緒にオズマの宮殿に向かいました、するとです。
まさにビリーナが言った通り一瞬で宮殿のバルコニーの前に来ました、すると五人はドラゴンの背中で驚いて言いました。
「本当に一瞬だったね」
「そうだね」
「ビリーナの言った通りだったよ」
「ヘンリーさんとエマさんのお家からこの宮殿まで少し距離があるけれど」
「その距離も一瞬で飛んできたわね」
「あたしの言った通りでしょ、ドラゴンが飛ぶ速さも凄いから」
それでとです、ビリーナは驚いている五人に答えました。
「だからね」
「一瞬でだね」
「宮殿まで着いたんだ」
「それじゃあ今からだよね」
「オズマ姫とお会いして」
「冒険の旅をはじめるのね」
「そうよ、じゃあバルコニーから宮殿に入りましょう」
ビリーナは自分から言ってでした。
そのうえで五人をバルコニーまで案内しました、皆ドラゴンの背中から慎重にバルコニーまで降りてです。
宮殿の中に向かいます、そしてバルコニーの向こうのお部屋に入りますと。
ボタン=ブライトがいました、ボタンは今起きたというお顔で五人に言ってきました。
「やあ、皆久し振りだね」
「うん、今回は君と一緒に冒険の旅に出るよ」
神宝がそのボタンに言います。
「宜しくね」
「こちらこそね」
「それは今君が宮殿にいるからだね」
「起きたらここにいたんだ」
朝起きたらというのです。
「宮殿の塔の一つの頂上のお部屋にね」
「そうだったんだ」
「それで暫くこの宮殿でオズマ姫達と一緒にいたら」
そうしたらというのです。
「オズマ姫に冒険のお話をされてね」
「一緒に行くことになったんだね」
「そうなんだ」
まさにというのです。
「何時の間にかね」
「何か君のいつもだね」
起きたらそこにいて一緒になることはとです、神宝は笑って言いました。
「こうした展開は」
「そうみたいだね」
「うん、それでオズマ姫は何処におられるのかな」
「今は王女の間で政治のお仕事してると思うよ」
「そうなんだ」
「うん、だからね」
それでというのです。
「そこに行けばね」
「オズマ姫にお会い出来るね」
「そうだよ」
「そうなんだ、けれどオズマ姫がお仕事中なら」
それならとです、神宝は言いました。
「僕達は今は遠慮しておこうか」
「お仕事は邪魔したらいけないしね」
ジョージは神宝のその言葉に頷きました。
「だからね」
「そうだね、しかも政治のお仕事だから」
カルロスはこのことから言います。
「大変だしね」
「だったらここは待ちましょう」
ナターシャは皆をまとめる言葉を出しました。
「そうしましょう」
「じゃあ今はこのお部屋で遊んでいましょう」
恵梨香はこう提案しました。
「カードか何かでね」
「カードならあるよ」
ボタンはこう言ってでした、早速です。
トランプのカードを出しました、そうして五人に言います。
「皆で遊ぼう」
「うん、じゃあね」
「ここで皆で遊んでね」
「まずはオズマ姫のお仕事が終わるのを待とう」
「そしてお仕事が終わったらね」
「皆で行きましょう」
「それがいいわね、チクタクもオズマ姫と一緒にいるから」
ビリーナも五人に言います。
「姫のお仕事が終わったら彼とも一緒よ」
「チクタクも一緒だね」
「そうよ、というかあんたチクタクの居場所知らなかったの?」
ビリーナはボタンにそのことを聞きました。
「そうだったの」
「オズマ姫は見ていたけれどチクタクもいたんだ」
「ええ、しっかり見ていなさいね」
「オズマ姫とお話した後このお部屋にいて今まで寝ていたからね」
「そこで忘れたのね」
「そうなんだ」
「寝ても忘れない様にね。今日のお仕事は十時になったら終わるから」
ビリーナは壁の時計を見ました、今は八時です。
「それまでここで遊んでいましょう」
「それじゃあね」
ボタンが応えてでした、そうして。
子供達はビリーナと一緒にトランプをしたりボタンがポケットから出してくるおはじきやそうした子供が遊ぶもので二時間位遊んででした。
十時になったので皆でオズマのところに行こうとしたらです。
お部屋の扉が開いてそこからオズマが来て言ってきました。
「お待たせ」
「あれっ、貴女の方から来てくれたの」
ビリーナはオズマを見て声をあげました、見れば後ろにはチクタクもいます。
「そうしてくれたの」
「そうなの、このお部屋に来てくれたことは王女の間の鏡で確かめたから」
「それでなのね」
「私から来させてもらったの、ただね」
「ただ?」
「実はもうオジョに来てもらってるの」
「まずはオジョのお家に行くのよね」
ビリーナはオズマに尋ねました。
「そうよね」
「そうだけれどね」
「オジョ本人にはなの」
「もうね」
既にというのです。
「こっちに来てもらってるの」
「そうなのね」
「貴女がヘンリーさんとエマさんのお家に行ってもらった後で」
「オジョのところになの」
「チクタクにドラゴンに乗って迎えに行ってもらったの」
「はい、そうーーさせてーーもらいまーーした」
チクタクも言ってきます。
「ブルードラゴンにーー乗って」
「あたしはホワイトドラゴンであんたはブルードラゴンね」
「そうーーです」
チクタクはビリーナに答えました。
「そうしてーーもらいまーーした」
「そうなのね」
「それでーーです」
「オジョもここにいるのね」
「はい、そうーーです」
チクタクはまたビリーナに答えました。
「彼はーー今はーー客室にーーおられーーます」
「じゃああの子も一緒に」
「冒険ーーです」
「事情はわかったわ」
ビリーナにしてもです。
「それじゃあその顔触れで行きましょう」
「そうしまーーしょう」
「じゃあオジョも呼んで」
そしてというのです。
「出発しましょう」
「ええ、じゃあ皆早速出発しましょう」
オズマも笑顔で言ってきました。
「まずはオジョのお家、そしてね」
「中華街にもですね」
「訪問させてもらうわ」
オズマは神宝に笑顔で答えました。
「今回の冒険ではね」
「そうですね」
「ただオジョのお家はマンチキンにあって」
そしてというのです。
「私達が今回行く中華街はカドリングのものなの」
「カドリングの中華街ですか」
「中華街はオズの国に二十はあって」
そしてというのです。
「カドリングにも幾つかあるけれど」
「そのうちの一つにですか」
「訪問させてもらうの」
「そうですか」
「そしてその途中にね」
「関羽様にお会いするんですね」
「そうさせてもらうわ」
こう神宝にお話します。
「今回の冒険ではね」
「そうですか、それじゃあ」
「今から出発しましょう」
「はい、オジョさんとも合流して」
今は宮殿にいる彼と一緒になってというのです、こうお話してです。
皆はそのオジョと合流して冒険の旅をはじめました、お留守番は魔法使いに臆病ライオンと腹ペコタイガー、ムシノスケ教授にモジャボロそしてジュリア=ジャムがしてくれることになりました。他のオズの国の名士達はそれぞれ冒険の旅に出ています。
その魔法使いがです、出発の時オジョに笑顔で言いました。
「楽しんできてね」
「はい、僕にとっては久し振りの冒険ですし」
「じっくりとね」
「そうさせてもらいます」
「そうしてきてね」
「後でお話聞かせてね」
臆病ライオンと腹ペコタイガーもオジョに言います。
「一体どんな旅だったか」
「是非共ね」
「旅は最高の学問だよ」
教授はにこりとして言います。
「そこから得られるものは非常に多いからね」
「皆と仲良く楽しんで」
モジャボロは今もにこにことしています。
「食べることも飲むことも出会いも満喫してきてね」
「そうさせてもらいます」
「ではね」
「そうさせてもらいます」
こうお話してでした。
オジョもオズマも皆と暫しのお別れの挨拶をしてでした、皆で笑顔で冒険の旅に出ました。するとです。
オジョは皆にこう言いました。
「僕のお家までの案内は任せてくれるかな」
「道のことは知ってるのね」
「はい、お家から都まで何度も行き来していまして」
こうオズマに答えます。
「ですから」
「それじゃあお願いするわね」
「そうさせてもらいます」
「ではね」
オズマも笑顔で応えます、そうしてでした。
皆はオジョの案内を受けて彼のお家までの道を進んでいきました、マンチキンの青い服を着た少年を見てです。
神宝はオジョにこう言いました。
「僕達オジョさんと一緒にこうして冒険したことなかったですね」
「うん、会うこともね」
オジョは神宝に笑顔で応えました。
「滅多にだったね」
「なかったですね」
「君達は何度もオズの国に来てくれているけれど」
それでもというのです。
「こうしてね」
「一緒にいることもですね」
「なかったね」
「そうでしたね」
「そう思うとね」
さらに言うオジョでした。
「今回はいい機会だね」
「そうですね、それじゃあ」
「今回の旅は心ゆくまで楽しもうね」
「そうさせてもらいます、そういえば」
ここで、です。神宝はこうも言いました。
「僕達オズの国の冒険でオジョさん位の人と一緒になったことなかったです」
「殆どの人が大人ですし」
「船長さんもモジャボロさんも」
「かかしさんや樵さんや大尉さんもそうですし」
「教授やカエルマンさんもそうした感じですしね」
五人でオジョに言います。
「特に魔法使いさんがそうですね」
「あの人は気さくでユーモアがあってしかも頼りになる人ですけれど」
「僕達にとってはお父さんよりも歳の離れた人で」
「オジョさんから見てもですね」
「リンキティンク王やボボ王子も大人の人ですし」
「僕はどうかな」
ボタンが五人に聞いてきました。
「オジョと同じ感じかな」
「ボタンは弟かな」
「オジョさんをお兄さんとしたら」
「僕達より三つ位下のね」
「オジョさんが三つ位上のお兄さんで」
「僕は弟なんだ」
そう聞いてまた言うボタンでした。
「そうなんだ」
「そんな感じだよ」
「僕達から見たボタンはね」
「最初会ったときからそんな感じで」
「今だってそうよ」
「私達から見れば弟よ」
「成程ね、じゃあね」
ボタンはこうも言いました。
「今皆はお兄さんと弟に囲まれてるんだね」
「あっ、そうだね」
「言われてみればね」
「お兄さんと弟さんがいてくれていて」
「一緒に冒険をしているわね」
「そうなるわね」
「中々ないことだね」
笑顔での言葉でした、今度は。
「そうだね」
「僕達から見ればオズマ姫もドロシーさんもお姉さんで」
神宝がボタンにお話します。
「ベッツイさんもトロットさんもね」
「お姉さんなんだ」
「ジュリアさんもだよ、つぎはぎ娘は気さくな年上のお友達で」
そうした風だというのです。
「アン王女やクッキーさんもそうだね」
「年上のお友達なんだ」
「それでお姉さんだよ」
「成程ね」
「それでグリンダさんは大人の人だよ」
この人はそうなるというのです。
「それでジンジャーさんもね」
「オズの国で叛乱を起こした人だね」
「あの人はそうだね」
「女の人もそれぞれだね」
「僕達から見ればね」
そうなるというのです。
「感覚的に」
「何か聞いていると面白いね」
「そうかな、それでお兄さんと弟が一緒の冒険は」
それはというのです。
「今回がはじめてだね」
「皆にとってはそうだね」
「だから今から楽しみだよ」
「そういえばそうね」
オズマもお話を聞いて言ってきました。
「皆はね」
「そうですよね」
「ええ、オズの国の冒険では私かドロシー、ベッツイ、トロットの誰かが殆ど一緒で」
「お姉さんが一緒の」
「そうした旅ですね」
「いつもそうで」
それでというのです。
「それが普通だったけれど」
「今回はオジョさんがいてくれて」
「お兄さんがいてくれて」
「ボタンもいてくれてで」
「弟さんも一緒ね」
「こうした旅はです」
本当にというのです。
「僕達にとってはじめてです」
「オズの国って女の子が元気な国なのよ」
ビリーナが言ってきました。
「それで冒険の旅もね」
「女の子が出ることが多いんだね」
「だからね」
「僕達にしてもだね」
「オズマ姫やドロシーが一緒になることが殆どなのよ」
「そういうことだね」
「皆冒険大好きだし」
オズマだけでなくドロシー、ベッツイ、トロットの四人共というのです。エメラルドの都そしてオズの国全体の王女達です。
「だからね」
「僕達とも一緒になるんだね」
「そうよ、けれど今回はね」
「オジョさんも一緒で」
「こうした旅もあるってことでね」
「楽しめばいいね」
「そうよ、じゃあ一緒に行きましょう」
笑顔での言葉でした。
「皆でね」
「それじゃあね」
「冒険はーー楽しむーーものです」
チクタクが言ってきました。
「皆ーーで」
「それがオズの国だよね」
「そうーーです」
チクタクも神宝に言います。
「ではーーです」
「これからの旅をね」
「満喫ーーしまーーしょう」
「そうしようね」
「今回はーー関羽さんとーー中華街ーーで」
今度はお会いする人と行く場所のお話でした。
「中国系ーーですーーね」
「僕は中国生まれだしね」
「尚更ーー縁ですーーね」
「そうだよね」
「はいーーオズのーー国にもーーです」
この国にもというのです。
「中国ーー文化がーー入ってーーいましーーて」
「中国系の人もいて」
「楽しくーー暮らしてーーおられーーます」
そうだというのです。
「中華街ーーでもーー他のーー場所ーーでも」
「いいことだよね」
「全くーーです」
「オズの国は私が王女になってからどんどん変わって」
オズマも言ってきます。
「それでね」
「今は、ですね」
「こうした国になっているわ」
「それまで以上に色々な人がいる国になりましたね」
「色々なものがあってね」
そうしてというのです。
「そうした国になったわ」
「そうなんですね」
「中国系の人もいてくれて」
そしてというのです。
「アフリカ系やヒスパニックの人達にね」
「日系の人もですね」
「ロシア系の人もいるわよ」
恵梨香やナターシャも見て言います。
「それぞれのお国の文化もね」
「一緒にですね」
「あってね」
そしてというのです。
「仲良くしているのよ」
「それがオズの国ですね」
「今のね、それで神様や妖怪もね」
「色々な国から来ていますね」
「妖精にしてもそうでね」
それでというのです。
「皆オズの国の中にいてくれているのよ」
「この国の中に」
「一緒にね」
「一つの国の中に沢山のものがあるんですね」
「それがオズの国なの」
まさにというのです。
「色々な人もいてね」
「そうですね、じゃあ」
「今回も出会いを楽しんでね」
「そうさせてもらいます」
神宝は笑顔で応えました、そうしてでした。
皆は黄色い煉瓦の道を歩いていきました、今回の旅はどうなるのかということを心から楽しみにしながら。