『新オズのつぎはぎ娘』




                第二幕  楽しい冒険のはじまり

 食べられる人達が朝ご飯のトーストとハムエッグ、そして玉葱とキャベツのスープと牛乳を楽しんでからでした。 
 皆はブリキの樵のお城を出発しました、留守はといいますと。
「ではです」
「留守は我々がお城を預かりますので」
「安心して冒険に出て下さい」
「後のことはご心配なく」
「そうさせてもらうよ、それで政治のことはね」
 樵は留守を任せて欲しいと言うウィンキーの将校の人達にお話しました。
「大臣がね」
「受け持ってくれますね」
「皇帝陛下が留守の間は」
「そうしてくれますね」
「だからね」
 それでというのです。
「何かあったら彼に聞いてね」
「わかりました」
「それではです」
「楽しい冒険の旅を」
「過ごしてくるよ」
 こう応えてでした、樵は留守の間のことを全てお話してでした。
 皆と一緒に出発しました、その時にジョージがドロシーに答えました。
「僕達お菓子の国に向かうんですよね」
「ええ、そうよ」
「それでそのお菓子の国は何処にあるんでしょうか」
「このウィンキーの国にあることはお話したわね」
「はい、ですが」
 それでもとです、ジョージは言いました。
「ウィンキーの国といっても広いですね」
「ええ、とてもね」
「オズの国は大陸で」
「オズの国自体が一つの島でね」
「そして大陸ですよね」
「大陸と言っても結構な大きさがあるわね」 
 それがオズの国の大きさだというのです。
「そしてウィンキーはね」
「そのオズの国のおおよそ四分の一ですね」
「だからかなりの広さよ」
「そうですよね、ですから」
「その広い国の何処にあるのか」
「それがわからないので」
 ジョージはドロシーに言いました。
「お聞きしていますが」
「ウィンキーの国の南西の方にあるの」
「そちらにですか」
「とはいっても熊センターの近くじゃないわよ」  
 そちらではないというのです。
「お菓子の国はね」
「そうなんですか」
「そう、そしてね」
 ドロシーはさらにお話しました。
「そこに行くまで色々な国や人があっているから」
「だからですか」
「道中面白いわよ」
「それじゃあ今回の旅も」
「楽しいものになるから」
「そこまでの道中もですね」
「楽しんでね」
 こうジョージにお話しました。
「いいわね」
「わかりました」
「何ていいますか」
 ここで言ったのは恵梨香でした。
「オズの国も広いですからね」
「色々な国がその中にありますね」
 神宝もしみじみとした口調で言います。
「本当に」
「何ていうか」
 カルロスも言います。
「お伽の国にあるものは全部ある感じですね」
「人もそうですよね」
 ナターシャも言いました。
「物凄く色々な人がいますね」
「そうでしょ、サンタクロースさんもいるし」
 ドロシーはこの人の名前も出しました。
「不思議なことは一通り揃っている」
「そうしたお国ですね」
「オズの国はね」
 またジョージにお話しました。
「だから面白いのよ」
「そうですよね」
「しかも不思議なものがどんどん増えるのよ」
「そうそう、もうね」
 つぎはぎ娘も言います。
「あたしが生まれた時から今までずっと多く出て来たでしょ」
「そういえばね」
「オズの国は常に変わる国でもあるから」
「余計に面白いね」
「そうよ、そして魔法もあれば科学もね」
「それもあるね」
「どちらも一緒にあるから」
 魔法と科学、その両方がというのだ。
「どちらも楽しめるのよ」
「外の世界は科学しかないけれど」
「魔法もあるから」
「それがいいよね」
「そうでしょ」
「ただ、魔法は凄い力があって」 
 かかしが言うことはといいますと。
「悪用されると怖いからね」
「魔法を使えるのはオズマ姫とグリンダ、魔法使いさんだけだよ」
 樵はオズの国で魔法を使える人達の名前を出しました。
「この三人だけだよ」
「けれど魔法はオズの国の色々なものに使われているから」
 ジャックがこのことをお話します。
「オズマ姫達が入れてくれているからね」
「それでオズの国は魔法の技術にも満たされているんだよね」
 トトはドロシーの足元から五人にお話します。
「使える人は三人だけだけれどね」
「僕達が使えなくても問題ないよ」
 臆病ライオンは皆の先頭を快適に歩いています。
「皆が使えるのと同じだから」
「その科学と魔法がある」
 腹ペコタイガーは臆病ライオンの隣にいます。
「そんな国他にないからね」
「そうなんだよね、魔法はね」 
 ジョージは皆に応えて言いました。
「外の世界にはないから」
「オズの世界について書かれた本を読んでずっと羨ましかったよ」
「こんな素晴らしい魔法が一杯あるんだって」
「私達もこの魔法に触れられたらどんなにいいか」
「いつもそう思っていたわ」
 四人も口々に言います。
「そう思ってオズの国の世界についての本を読んでいたけれど」
「本当にオズの国に来られたから」
「それでどれだけ嬉しいか」
「今も言葉では言い表せない位だよ」
「そこまで言うならね」
 どうかとです、つぎはぎ娘は五人に言いました。
「心から楽しんだらいいのよ」
「このオズの国に来ているから」
「それでだね」
「楽しんだらいいんだ」
「ずっと羨ましいって思っていたら」
「それなら」
「あんた達はその羨ましいものに触れられているのよ」
 今そうしているというのです。
「それならね」
「楽しめばいいんだ」
「今こうして」
「オズの国の中にいて」
「そうしたらいいのね」
「このまま」
「そう、そもそもこれまでもオズの国に来た時はいつもそうしてるじゃない」 
 ジョージ達五人はというのです。
「そうでしょ」
「うん、そうだね」 
 ジョージはつぎはぎ娘のその言葉に頷きました。
「言われてみたら」
「今更そう思うこともないわよ」
「これまで通りだね」
「オズの国に来た時はね」
 まさにその時はというのです。
「楽しめばいいのよ」
「そういうことだね」
「そうよ、あたしは最初からそうしてるし」
「オズの国を満喫しているんだ」
「そもそもあたし魔法から生まれたでしょ」
 そもそもとです、つぎはぎ娘はお話しました。
「そうでしょ」
「そうそう、君はそうだったね」
「だからあたしはもうね」
「身体全体でだね」
「魔法を満喫しているのよ」
「そうだね」
「そして僕もだよ」
 ジャックも言ってきました。
「魔法で生まれてるよ」
「あっ、君も」
「そうだね」
「僕もだよ」
 今度は木挽きの馬でした。
「魔法で生まれたよ」
「ううん、本当に魔法が身近にある国だね」
「僕達を見てもわかるね」
「そうだね」
「まあ特別に思うことはないよ」
「オズの国にいたらだね」
「魔法についてはね」
 それはというのです。
「特にね」
「本当にそうだね」
「そうそう、特別に思わずに」
「楽しめばいいね」
「そう、オズの国で魔法を使えるのは三人だけだけれど」
 それでもというのです、またつぎはぎ娘は言いました。
「オズの国は魔法で満ちているのよ」
「様々な技術に使われていて」
「そうなっているのよ」
「そうだね」
「そう、あとね」
「あと?」
「あんた達歩く時いつも思うけれど」
 踊りつつ言うつぎはぎ娘でした。
「静かよね」
「踊っていないっていうのかな」
「そう、あたし以外の皆はね」
「というか」
 ドロシーがそのつぎはぎ娘に言いました。
「貴女がまた特別よ」
「そうなの」
「そう、身体がぬいぐるみだし」
 このこともあってというのです。
「物凄く軽やかに動けるから」
「踊りもなのね」
「貴女みたいに踊れる人はいないわよ」
「そうなのね」
「どんな動きしても怪我しないしね、骨もないでしょ」
「そう、あたしの身体の中は綿だから」
 ぬいぐるみだからとです、つぎはぎ娘自身も言います。
「筋肉も骨もなくてね」
「どんなにも曲がるし」
「そう、動きもね」
 それもというのです。
「どんな風にも出来るから」
「どういった踊りも出来るでしょ」
「それでなのね」
「貴女はまた特別よ、あと歌もね」
 つぎはぎ娘が踊りと一緒に好きなそちらもというのです。
「貴女は好きだけれど」
「こっちの歌は変わりないでしょ」
「他の人とね、ただね」
「ただ?」
「貴女のセンスが出ているわ」
 歌はそうなっているというのです。
「独特のね」
「いつも即興で歌ってるけれど」
「その即興の歌がね」
 それがというのです。
「また独特でね」
「あたしだけの歌っていうのね」
「そう思うわ」
「他の人にはあたしみたいな歌は作れないの」
「作詞も作曲もね」
 その両方共、というのです。
「とてもね」
「そういえばね」
 ここで、でした。ジョージは。
 ふと自分の携帯、オズの国用のそれを出して動画を出しました。それはつぎはぎ娘が配信している動画で。
 踊ると一緒に歌っています、そのぬいぐるみの身体ならではの動きと独特な歌を恵梨香達と一緒に観つつ五人でお話するのでした。
「他の人にはね」
「真似出来ない動きよね」
「筋肉も骨もない動きよ」
「僕達には絶対に無理だよ」
「こんな踊り踊れないよ」
 五人で言います、恵梨香だけでなくナターシャ、神宝、カルロスも言うことでした。
「とてもね」
「跳んだり跳ねたりでね」
「背中も普通に二つになる位曲がるし」
「何回転もしても目が回らないし」
「絶対に出来ないよ、歌も」
 こちらもというのです。
「ちょっと以上に」
「独特よね」
「何でもないことをその場で歌にして」
「曲もその都度違うし」
「これもちょっとね」
「あたしはあたしの思うままに踊って歌ってるのよ」
 つぎはぎ娘が言うにはそうなのです。
「ただそれだけよ」
「いや、それだけのことがね」
「他の誰にも出来ないのよ」
「踊りは言うまでもなくて」
「歌もね」
「ちょっとやそっとどころじゃなくて」
「君の才能だね」 
 トトが言うにはでした。
「もうこれは」
「あれっ、才能なの」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「君のそれはね」
「そうなの」
「だから動画の視聴数も凄いよ」
 トトはこちらのお話もしました。
「普通に何十万も観られてるね」
「沢山の人が観てくれることは嬉しいわ」 
 つぎはぎ娘にしてもです。
「そのことはね」
「そうだね、けれどそれを自慢しないね」
「自慢?嬉しいけれど」 
 沢山の人が自分の動画を観てくれてです、つぎはぎ娘も嬉しいです。ですがそれでもとトトに答えます。
「自慢することはね」
「ないっていうんだ」
「特にね」
 これといってというのです。
「だってあたしは踊って歌ってね」
「それを観てくれたら」
「沢山だったらそれで満足だから」
 それでというのです。
「自慢はね」
「しないんだね」
「そうよ、また後で動画あげるけれど」
「その動画を沢山の人が観てくれたら」
「それでいいわ」 
 満足だというのです。
「それでね」
「そうなんだね」
「あんたも観るでしょ」
「ドロシ−に見せてもらうよ」
「ドロシーのスマホでなのね」
「そうしてもらってね」
 そうしてというのです。
「楽しむよ」
「あたしの踊りと歌を観て」
「そうしてね、これまでも見せてもらってるけれど」
 ドロシーのスマートフォンでというのです。
「またね」
「楽しみにしておいてね」
「うん、その後でミュージッカーさんの動画も観るし」
「あの人のもなの」
「あの人の歌もいいからね」
「そうね、ただあの人は歌だけね」
 つぎはぎ娘はくるくると踊りつつ言いました。
「踊りはね」
「踊ってるよ」
「けれどあたしみたいな踊りじゃないわね」
「だから君の踊りは特別だから」
「あたし以外には踊れない踊りなのね」
「そうだよ、だからまた別だよ」
「そういうことね、それとね」
 こうも言うつぎはぎ娘でした。
「あたし色々な踊りも踊りたいの」
「君の踊りだけじゃなくて」
「そう、社交ダンスとか日舞とかもね」
「日舞っていうと日本のだね」
「オズの国にもあるでしょ」
 その日舞がというのです。
「そうでしょ」
「オズの国にも日系人の人いるしね」
「その人達が踊ってるわね」
「そういうのを観てだね」
「あたしも踊りたいって思ってるの」
「そうなんだね」
「ラップは踊るしタップダンスもするけれど」
 そういった踊りだけでなくというのです。
「中国の踊りもコサックダンスもサンバも」
「それで日舞もだね」
「歌舞伎とか能の踊りにも興味あるわ」
「色々知ってるね」 
 ジョージはつぎはぎ娘のそのお話を聞いて少し驚きました、そのうえで彼女に対してこう言うのでした。
「つぎはぎ娘が歌舞伎や能の踊りするんだ」
「ええ、機会があったらね」
「ううん、ちょっと想像がつかないな」
「貴女に歌舞伎や能ね」 
 ドロシーもつぎはぎ娘にお顔を向けて言います。
「どうもね」
「イメージじゃないかしら」
「私もね」
 こう言うのでした。
「ちょっとね」
「そうなのね」
「ええ、悪いけれど」
「悪くないわ、あたしのイメージからよね」
「日舞にね」
 それにというのです。
「歌舞伎や能はね」
「イメージじゃないのね」
「ちょっと想像がつかないわ」
「だから機会があればね」
 その時はというのです。
「能を演じたりね、歌舞伎だと藤娘とか」
「藤娘なの」
「あの踊りをしてみたいわ」
 こうドロシーに言うのでした。
「一度でもね」
「そうなのね、まあ機会があったら」
「踊るわ」
「それじゃあね」
「それじゃあ?」
「途中にダンスの村があるわ」
 ここでドロシーはその村のお話をしました。
「このまま行けば明日には着くわ」
「そうなの」
「そこではオズの国の全てのダンスが踊れるから」
「じゃあ歌舞伎や能も」
「さっきもお話に出たけれどオズの国には日系人の人もいるから」
「日本文化もあるから」
「だからね」
 それでというのです。
「踊れると思うわ」
「それはいいことね」
「じゃあ明日ね」
「その村に行くのね」
「そうしましょう」
 楽しくお話をしつつです、一行は旅をしてです。
 そしてです、その次の日でした。皆はある村に着きました。その村は皆が楽器を奏でて歌っていてです。
 踊っています、その様子を見てでした。
 つぎはぎ娘はとても楽しそうにこう言いました。
「本当にね」
「皆歌って踊ってるでしょ」
「音楽もかかっていてね」
「この村がなのよ」
 ドロシーがそのつぎはぎ娘にお話します。
「昨日私が言ってたね」
「ダンスの村ね」
「あらゆる踊りが踊られるね」
「そうなの、そしてね」
「日本の踊りもあるのね」
「そうよ、そしてね」
 ドロシーはつぎはぎ娘にさらにお話しました。
「歌舞伎や能もあるわ」
「藤娘もなのね」
「あるわよ、ただね」
「ただ?」
「何処で踊っているかはね」
 このことはというのです。
「私はわからないわ」
「日本の音楽は独特だからね」 
 ここでかかしが知恵を出しました。
「その音楽を耳で探せばいいよ」
「そうね、日本の昔の音楽よね」
「そうだよ」
 かかしはつぎはぎ娘に答えました。
「今の日本の音楽じゃないよ」
「今の日本の音楽大好きだけれど」
「うん、けれど今のだからね」
「昔のとは違うわね」
「だからすぐにわかるよね」
「ええ、三味線とか琵琶とか琴とか鼓とか使った」
「そうした音楽を探せばいいよ」
「そうさせてもらうわ」
 是非にとです、つぎはぎ娘はかかしの言葉に頷いてでした。
 そのうえで耳で昔の日本の音楽を探しました、すると村の東の方を見て皆に飛び跳ねて言いました。
「あっちに聴こえたわ」
「あっ、そうだね」
「あっちの方だね」 
 臆病ライオンと腹ペコタイガーも言います。
「村の東の方から聴こえるね」
「昔の日本の音楽がね」
「あっちに行けばね」
 それでとです、つぎはぎ娘は言いました。
「昔の日本の踊りも踊れるわね」
「日舞に」
 木挽きの馬もつぎはぎ娘に言います。
「歌舞伎や能の踊りもね」
「踊れるわね」
「そうだと思うよ」
「じゃあ踊りましょう」
「そこまで行ってだね」
「そうしましょう」
「うん、僕も行かせてもらうよ」
 ジャックも言ってきました。
「そちらにね」
「昔の日本の音楽の方になのね」
「それで踊らせてもらうよ」
 昔の日本の音楽をというのです。
「是非ね」
「あんたも藤娘踊るの」
「そこまでは考えていないけれど」
 それでもというのだ。
「躍らせてもらうよ」
「昔の日本のそれを」
「そうさせてもらうよ」
「さて、じゃあつぎはぎ娘の踊りを見せてもらおうかな」
 樵は陽気な声で言いました。
「これからね」
「思う存分見てね」
「そうさせてもらうよ」
 樵はつぎはぎ娘に答えました。
「楽しんでね」
「そうしてね」
「皆でそっちに行こうか」
 ここで、です。トトは皆に提案しました。
「これからね」
「ええ、そうしましょう」 
 ドロシーはトトのその言葉に笑顔で応えました。
「これからね」
「そうしようね」
「うん、それでつぎはぎ娘の踊りを見ようね」
「ジャックの踊りもね」
「そういえばジャックも」
 ここでジョージが言いました。
「踊るね」
「というか他の皆もね」
 カルロスはジョージの言葉に応えました。
「踊るの好きだから」
「かかしさんも樵さんも踊るし」
 神宝は二人を見てさらに言います。
「臆病ライオンも腹ペコタイガーも」
「オズマ姫も色々なダンスが凄く上手だし」
 ここで言ったのはナターシャでした。
「本当に皆踊るの好きな国ね」
「オズの国は皆ダンスが好きなのね」 
 ナターシャも言います。
「つまりは」
「そうよ、オズの国は皆歌と踊りが好きなのよ」 
 つぎはぎ娘が五人に応えます。
「そうなのよ」
「そうだよね」
「オズの国の特徴の一つだね」
「そうだよね」
「それでここにいる皆も好きで」
「この村も」
「そうよ、それでオズの国で一番踊りが好きなのは」
 それは誰かといいますと。
「あたしなのよ」
「それでだね」
「藤娘踊るわよ」
「そうするんだね、ただ」
 ここでジョージはつぎはぎ娘に尋ねました。
「君藤娘踊ったことあるの?」
「ないわよ」
 はっきりとした返事でした。
「一度もね」
「そうなんだ」
「けれど踊ったことがなくてもね」
 それでもというのです。
「踊ったら駄目っていうのはないでしょ」
「それはね」
 そうだとです、ジョージはつぎはぎ娘に答えました。
「ないよ」
「そうでしょ、それにチャレンジしてね」
「はじめてのことでも」
「楽しむのもいいでしょ」
「チャレンジだね」
「人間誰でも最初は真っ白でしょ」
 つぎはぎ娘はこうも言いました。
「何もやってないでしょ」
「そう言われると」
「それはね」
「その通りだね」
「皆最初は何もしてなくて」
「全部やることははじめてからよね」
「そうでしょ、藤娘をやったことがなくても」
 それでもというのです。
「それでもね」
「はじめることだね」
「まずは」
「やることははじめてでも」
「それでもなのね」
「それを楽しむことなのね」
「そうよ、楽しめばいいのよ」
 それをというのです。
「はじめてすることをね」
「ううん、だからなんだ」
「つぎはぎ娘も藤娘を踊るんだ」
「はじめてだけれど」
「それを楽しむ」
「そうして踊るのね」
「そうよ、それでね」 
 さらにお話するつぎはぎ娘でした。
「どんなに下手でもいいのよ」
「いいんだ、下手でも」
「上手に踊れなくても」
「それでもいいんだ」
「踊るからには上手じゃなくても」
「それでもいいの」
「まずは楽しく踊ることでしょ」 
 それが第一だというのです。
「だからよ」
「楽しめばいいから」
「そう、はじめてでも下手でもね」 
 また言うつぎはぎ娘でした。
「いいのよ」
「ううん、前向きだね」
「勿論失敗してもね」
 そうなってもとです、ジョージに言うのでした。
「いいのよ」
「踊れればいいんだ」
「そう、だから行くわよ」
 これからとです、こう言ってでした。
 皆で昔の日本の音楽が聴こえる方に行くとでした、そこでは。
 その音楽に乗って村の人達が日本の着物を着てそうして踊っています、そこには日舞もあればです。
 能もあって歌舞伎もです、つぎはぎ娘はそれを見て村の人達に言いました。見れば踊ったり歌ったり演奏している人達はその音楽や踊りの文化の服を着ていますが観ている人達はウィンキーの黄色い服です。
 その黄色い服の人達にです、つぎはぎ娘は尋ねたのです。
「あたしも踊っていいかしら」
「ああ、いいとも」
「この村では誰もが踊りたい踊りを踊っていいからね」
「音楽も演奏していいし」
「歌も歌っていいしね」
「だからなのね、じゃあまずは歌舞伎のね」 
 つぎはぎ娘は村の人達のお話を聞いて言いました。
「藤娘を踊るわ」
「そうするんだね」
「じゃあ踊るといいよ」
「すぐにね」
「そうしたらいいよ」
「じゃあ演奏の人お願いね」 
 音楽の人達のことを言うとでした。
 もうそこに着物を着て昔の日本の楽器をそれぞれ持った人達が出て来てくれてです。そのうえでなのでした。
 つぎはぎ娘は踊りました、そしてです。
 その踊りを見てです、ジョージ達五人は言いました。
「あれっ、はじめてだよね」
「つぎはぎ娘って藤娘は」
「服は似合ってないけれど」
「あの外見に藤娘の衣装を上に着てもね」
「何か違う感じがするけれど」 
 それでもというのです。
「踊り自体はね」
「はじめてには思えないね」
「動きは完全に日本の踊りだし」
「慣れた感じで」
「結構以上にいいわ」
「つぎはぎ娘は前から日本の踊りも踊ってるから」 
 ドロシーが五人にお話します。
「そうした時もあるから」
「だからですか」
「藤娘もですか」
「はじめてでも」
「昔の日本の踊り自体は経験があるから」
「それなりに上手なんですね」
「そうなの、まあ衣装はね」 
 ドロシーもです、そのカラフルな身体と服の上にそのまま藤娘の衣装を着ている今のつぎはぎ娘の格好にはこう言います。
「あまり、だけれどね」
「そのままの方がよかったかな」
 臆病ライオンもこう言います。
「やっぱり」
「そうだよね」 
 腹ペコタイガーが見てもでした。
「その方がよかったかな」
「まあそれでもね」
 トトも言います。
「踊り自体は悪くないね」
「普段は物凄く跳んで跳ねるのに」
 ジョージもその踊りを観て言います。
「こうした踊りも出来るんだね」
「音楽をちゃんと聴いていてね」
 ドロシーがジョージに答えます。
「そのうえで確かな音感もあるの」
「それで、ですか」
「あの娘はどんな踊りも出来るのよ」
「そうなんですね」
「はじめてでもね」
「その動きがちゃんと出来るんですね」
「そうなのよ」
 こうジョージにお話するのでした。
「だから今もはじめてでもね」
「あそこまで踊れて」
「昔の日本の踊りもね」
「今みたいにですね」
「踊れるの、しかも昔の日本の踊り自体に経験もあるから」
 それでというのです。
「ああして踊れるの」
「そうですか」
「ええ、じゃああの娘の踊りを観ていきましょう」
「わかりました」
 ジョージも他の子達も頷いてでした、そのうえで。
 皆でつぎはぎ娘が踊るのを観てからです、能も観ました。つぎはぎ娘は能の方もはじめてだったのですが。
 こちらもはじめてとは思えない動きで踊ってでした。
 そしてです、皆のところに戻って言いました。
「楽しかったわ」
「そうみだいだね」
「凄く満足した感じだよ」
「藤娘も能も踊って」
「そうしてね」
「凄く満足したのがわかるわ」
「どっちもいい踊りね」
 歌舞伎の踊りも能のそちらもというのです。
「また機会があったら踊りたいわ、あとね」
「あとっていうと」
「中国の踊りも踊って」 
 こうトトに答えます。
「サンバもコサックダンスもラップもタップダンスもね」
「全部踊るんだね」
「踊りたい踊りはね」
 それこそというのです。
「全部ね」
「踊るんだね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「堪能するわ」
「そうするんだね」
「折角こうした村に来たから」
 それならというのです。
「もうね」
「踊れるだけだね」
「踊ってね」
 そうしてというのです。
「楽しんでいくわ」
「そうするんだ」
「心ゆくまでね」
「この村に来てよかったわね」
 ドロシーはどんどん踊ろうというつぎはぎ娘を見て笑顔で言いました。
「どうやら」
「最高よ」
「そう言ってくれるのね」
「これだけダンスがあるならね」
 それならというのです。
「もうそれこそね」
「そう言ってくれるならね」
「ドロシーもなのね」
「嬉しいわ、他の皆も楽しんでくれてるし」
 このこともあってというのです。
「本当によかったわ」
「そう言ってくれるのね」
「じゃあ私達も踊るし」
「あんた達はお食事もよね」
「楽しむわ」
 こちらもというのです。
「そうさせてもらうわ」
「今日のお昼は何を食べようか」
 ここで言ったのはトトでした。
「一体」
「そうね、お昼はね」
 ドロシーはトトに尋ねられてでした、少し考えてから答えました。
「つぎはぎ娘が日本の踊りを踊ったし」
「日本のお料理なんだ」
「それがいいかしら」
「日本のお料理といっても色々あるね」
「ええ、今日はうどんすきはどうかしら」
「お鍋にするんだ」
「それもおうどんをね」
 こちらをというのです。
「どうかしら」
「いいね」
 トトはドロシーが提案したお料理に笑顔で応えました。
「それじゃあね」
「今日のお昼はうどんすきにしてね」
「皆で食べようね」
「そういえば」
 ここで腹ペコタイガーが言いました。
「うどんすきって殆ど食べたことがないよ」
「日本じゃお鍋に麺類を入れることは多いよ」
 ジョージが腹ペコタイガーにこうお話します。
「最後に入れたりするんだ」
「そうなんだ」
「最初から入れたりもするし」
「おうどんもなんだ」
「うん、ラーメンも場合もあるし」
「そちらも入れるんだ」
「そうなんだ、そうしてね」
 ジョージはさらにお話します。
「これが美味しいから」
「うどんすきもだね」
「期待していていいよ」
「じゃあお腹一杯食べるよ」
 腹ペコタイガーは笑顔で舌なめずりして言いました。
「今日も」
「そうしたらいいよ」
「それじゃあね」
「うん、そしてね」
「そして?」
「おうどん以外もあるから」
 うどんすきにはとです、ジョージも笑顔になっています、その笑顔でお話するのです。
「お葱にお豆腐にね」
「すき焼きでいくから」
 ドロシーが言ってきました。
「牛肉としらたきを入れてね」
「それで、ですか」
「すき焼きのたれでね」
「そこにおうどんを入れるんですね」
「それも太めのを」
 そうした麺のおうどんをというのです。
「それで皆で食べましょう」
「わかりました」
「つまりすき焼きにおうどんを入れたものだね」
 臆病ライオンはお話を聞いてこう考えました。
「つまりは」
「ええ、糸蒟蒻は入れないけれど」
 それでもというのです。
「その代わりにおうどんをって考えてるの」
「そういうことだね」
「じゃあ今日のお昼はね」
「そのうどんすきをだね」
「皆で食べましょう」
「よくわかったよ」
「それとね」
 ドロシーはさらに言いました。
「アルコールは入っていないけれど」
「ドロシ―達は子供だからね」
「それでもお酒も出してね」
「そちらも楽しむんだね」
「デザートはういろうにするわ」
 こちらのお話もするのでした。
「それでお酒は日本酒と白ワインよ」
「両方出すんだ」
「本当にアルコールは入ってないけれど」 
「そちらもだね」
「出すしよかったらジュースとか炭酸飲料も」
「出すんだ」
「そうするから楽しみにしていてね」
 見ればお話するドロシーも笑顔になっています、この娘にしてもうどんすきを食べることが楽しみなのです。
「皆で楽しく踊って歌う中でね」
「食べて飲んで」
「そちらも楽しみましょう」
「あたしはずっと踊ってるわね」
 つぎはぎ娘はそうするとです、言ってきました。
「そうしているわね」
「貴女はそうするのね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「心から楽しむわ」
「それじゃあね」
「僕達もそうするよ」
 樵もドロシーに言ってきました。
「つぎはぎ娘と一緒に踊ってるよ」
「ずっと踊っていられるからね」
 かかしも言います、それも楽しそうに。
「そうさせてもらうよ」
「僕もね」
 ジャックはずっと日舞を踊っていました、見れば服は今は日本の白い着物と赤い袴になっていて靴も草履です。足袋まで履いています。
「そうさせてもらうよ」
「そして僕もね」
 木挽きの馬もでした。
「踊っているよ」
「貴方達は皆そうするのね」
「そう、そうしてね」
 そのうえでとです、馬はドロシーに答えます。
「楽しんでいるよ」
「わかったわ、じゃあね」
「ただ、お昼までは」
「私達もね」
「踊るね」
「食べた後もそうするけれど」
 それでもというのです。
「お昼になったらね」
「お食事をだね」
「楽しむわ、あと十時になったし」
 今はその時間になりました。
「それでね」
「午前のだね」
「ティータイムよ」  
 その時になったというのです。
「これからね」
「そうだね」
「ええ、お茶を飲んで」
 そうしてというのです。
「そのうえでね」
「また踊って歌って」
「楽しんで」 
「お昼はね」
「うどんすきよ」
 今お話したそれだというのです。
「そちらにするわ」
「そうしていくね」
「ええ、じゃあ今から」
 早速でした、ドロシーは。
 食べものと飲みものをどんなものでもどれだけでも出せるテーブル掛けを出してそうしてなのでした。
 そこからお茶を出しました、今回はストレートティーでした。
「そっちの紅茶にしたんだ」
「そうなの」
 ドロシーはトトに答えます。
「それでお菓子は軽くね」
「クッキーだね」
「レーズンのね」
「いい組み合わせだね」
「やっぱりね」
 こうも言うドロシーでした。
「午前のお茶菓子はね」
「軽くだね」
「それでお昼に沢山食べて」
「三時のおやつもだね」
「しっかりと食べて」
 そしてというのです。
「そう考えているから」
「だから今はだね」
「軽くね」
 そうして食べてというのです、こうお話してでした。
 ドロシーと他の食べる必要のある人達は紅茶とクッキーを楽しみました、そしてその後でまた歌って踊るのでした。








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