『新オズのつぎはぎ娘』




              第一幕  ケーキを食べて

 ジョージ達五人は思い立ってオズの国に今回もやって来ました。
 出て来たのは今回はブリキの樵のお城でそこにはかかしとカボチャ頭のジャックも樵と一緒にいました。
 三人はジョージ達がいきなりお城の中に出て来たと聞いてすぐに出迎えに来てそうして声をかけました。
「あれっ、また急だね」
「急に出て来たね」
「どうしたのかな」
「はい、実は」
 ジョージが五人を代表して三人に答えます。
「オズの国に遊びに行こうってお話になりまして」
「ああ、それでなんだ」
「八条学園の時計台の中にある青い渦を通りましたが」
「そうしたらだね」
「ここに出ました」
 こう樵にお話します。
「そうなりました」
「そうなんだね」
「普段はエメラルドの都に出ますが」
 それでもというのです。
「今回はこちらに出ました」
「そうなんだね」
「どういうことかわからないですが」
「あの渦から何処に出るかはオズの国の神々の配剤でね」
 それでとです、かかしがお話しました。
「それでね」
「そのせいで、ですね」
「君達は今回ここに出たんだ」
「オズの国の神々のお考えですか」
「そうだよ、それでね」
 さらにお話するかかしでした。
「このお城に来たからにはね」
「丁度僕達もいるしね」
 ジャックもジョージ達にお話します。
「一緒に遊ぼうか」
「それじゃあ」
「さて、まずはね」
 樵は五人に楽しそうにお話しました。
「このお城の中をめぐろうか」
「案内してくれますか」
「僕達も丁度お仕事が終わったところだし」
「ウィンキーの皇帝としてのですね」
「そう、それが終わったからね」
 だからだというのです。
「タイミング的にもいいね」
「そうですね、じゃあ」
「案内されてもらうよ」
 こうしてでした、ジョージ達はオズの国に来てまずはです。
 樵達に彼のブリキのお城を案内してもらいました、お城は全てがピカピカに磨かれたブリキで出来ていて。
 お花も噴水もブリキで樵やかかし、臆病ライオンやドロシーの像もです。
 ブリキで出来ています、ですが。
 ジョージ達はその像達を見て言うのでした。
「像が増えてるね」
「オズマ姫やベッツイさんやトロットさんの像もあるし」
「腹ペコタイガーやチクタクのもあるし」
「ビリーナもハンクもいて」
「オズの国の名士勢揃いね」
「お友達が増えたからね」
 それでとです、樵は五人に答えます。
「だからだよ」
「それで、ですか」
「像を新たに造られたんですね」
「それでここに飾ってるんですね」
「これまでの像と一緒に」
「そうされていますか」
「僕達四人が出会ってね」
 樵はかつてドロシー達とはじめて出会った時のことを思い出しながらジョージ達に笑顔でお話します。
「それから他の人達にも出会ったからね」
「それでなんだ」
 かかしも皆でお話します。
「他の人達の像も皆造ってね」
「そしてここに飾っているんだ」
 ジャックも続きます。
「こうしてね」
「オズの国にいるとね」
 樵はにこにことしたままお話します。
「本当に色々な人と出会えるね」
「そのことも素晴らしいことですよね」
 ジョージは樵のその言葉に頷きます。
「オズの国の」
「そうだよね」
「それで、ですね」
「そのことも記念してね」
「こうしてですね」
「皆も一緒なんだ、ただね」
 ここで樵はこんなことも言いました。
「もう三時だね」
「だからですか」
「そう、おやつの時間だけれど」
「樵さん達は何も召し上がられないので」
「だからね」
 それでというのです。
「ティータイムもね」
「これからの」
「それもどうしようか」
「ううん、そのことだけれど」
 どうかとです、ここで言ったのはかかしでした。
「今から人を呼ぼうか」
「人をですか」
「うん、食事を出せる人をね」
 その人達をというのです。
「ここに呼ぼうか」
「そうしてくれますか」
「じゃあ早速ね」 
 ジョージに応えてです、そのうえで。
 かかしはすぐに携帯を取り出して連絡をしました、するとでした。
 木挽きの馬に乗ってです、トトを抱いたドロシーとつぎはぎ娘が来ました。ドロシーはお城に着くと樵達に笑顔でお話しました。
「お話は聞いたわ」
「うん、これからね」
「ジョージ達がまた来てくれたし」
 それでというのです。
「私も嬉しいから」
「それで、ですか」
「今からお茶を楽しみましょう」
「ティ―タイムをですね」
「そうしましょう」
 こうジョージにもお話します。
「これから」
「それでは」
 ジョージは笑顔で応えました、それから。
 ドロシーが出したテーブル掛けのところに集まります、するとドロシーはそこにアメリカ風のティ―セットを出しました。
 レモンティーにドーナツ、チョコレートケーキにキャラメルを出しました。そのお茶にお菓子達を見てです。
 ジョージ達は笑顔でお話しました。
「美味しそうだね」
「本当にね」
「今から食べましょう」
「この甘いお菓子達を」
「皆でね」
「何かね」
 つぎはぎ娘は笑顔の五人を見つつお話します。
「食べる時の皆の顔違うわね」
「だって美味しいものを食べて飲んでお腹一杯になれるのよ」
 恵梨香がつぎはぎ娘にお話します。
「こんないいことないわ」
「だからね」
 それでとです、ナターシャもつぎはぎ娘にお話します。
「私達も笑顔になるのよ」
「美味しいものを飲んで食べられるってなると」
 神宝は実際に笑顔になっています。
「自然とそうなるんだ」
「今もそうだし」
 カルロスも言います。
「お腹が空いて食べる時は何時でもだよ」
「そうなのね、あたしにはわからないけれどね」
 つぎはぎ娘は踊りつつ言います。
「食べることも飲むこともないから」
「それでだね」
「その楽しさはわからないわ」
 つぎはぎ娘はジョージにもお話します。
「どうしてもね、けれどね」
「けれど?」
「あんた達が美味しいものを飲んで食べてお腹一杯になってね」
 そうしてというのです。
「笑顔になるのを見ることはね」
「好きなんだ」
「ええ、あたし達は栄養は笑顔から摂るでしょ」
 オズの国の飲んで食べる必要のない人達はです。
「だからね」
「飲んで食べる僕達の笑顔を見て」
「そうしてね」
 そのうえでというのです。
「笑顔になるのよ」
「そうなんだね」
「だからね」
 それでというのです。
「あたし今も楽しみにしてるわ」
「それじゃあ」
「今から楽しむわ」
 つぎはぎ娘もというのです。
「そうさせてもらうわね」
「それじゃあね」
「僕達もだよ」
 樵も言ってきました、かかしとジャックも一緒です。
「同席させてもらうよ」
「それで僕達の笑顔を見て」
「栄耀にさせてもらうよ」
「それじゃあね」
 こうしてでした、皆で。
 ティ―タイムを楽しみます、ここでドロシーはドーナツを一口食べて満面の笑顔で皆に言いました。
「ドーナツを食べてね」
「そしてだよね」
「こうしてレモンティーを飲むとね」
 トトに今度は飲みつつ応えます。
「もうね」
「それでだよね」
「凄く幸せな気持ちになれるわ」
「そうだよね」
「本当に自然にね」
「素敵な組み合わせだよね」
「私紅茶はね」
 この飲みものはといいますと。
「ミルクティーやストレートティーもいいけれど」
「一番はレモンティーだね」
「そうなの」
「それでだね」
「今もね」
 レモンティーを飲んでいるからだというのです。
「素敵な気持ちよ」
「そうなってるね」
「ええ、特にアメリカのお菓子を食べていると」
「余計にだね」
「レモンティーが合うわ」
「ドーナツもだね」
「よく食べるわ、ただね」
 ここで、でした。ドロシーは。
 チョコレートケーキを見ます、それはチョコレートですが。
 ウィンキーで出したせいか見事な黄色です、ドーナツも黄色ですがその黄色いケーキを見て言うのです。
「こうした色のケーキってオズの国では普通で」
「アメリカでも普通ですけれど」 
 ジョージが応えます。
「それでもですね」
「他の国では違うみたいね」
「カラフルなケーキは」
 アメリカで売っている様なそれはというのです。
「どうかって思われます」
「そうなのね」
「特に日本では」
 ジョージ達が今いる恵梨香のお国はというのです。
「日本人は絶対にそうしたケーキ食べないんですよ」
「そうなの」
「アメリカに来ても」
「そうなのね」
「ですが美味しいですよね」
「ええ、少なくとも私はね」
 どうかとです、ドロシーはジョージに答えます。
「好きよ」
「美味しいですよね」
「というかオズの国だとね」
「国によって色がありますからね」
「だから青いケーキも黄色のケーキもね」
 勿論それぞれの色のケーキもです。
「普通に食べているから」
「だからですね」
「抵抗がないわ」
「味も素敵ですよね」
 ジョージは実際にその黄色いチョコレートケーキを食べています、ケーキ全体をチョコレートでコーティングしています。
「本当に」
「そう、食べるとね」
「色で判断したらいけないですね」
「そう思うわ」
「と言うけれど」
 恵梨香が苦笑いして言ってきました。
「外の世界では抵抗があるわ」
「食べたら美味しいよ」
 神宝はその恵梨香に言います。
「アメリカのケーキも」
「確かに自然の色じゃないけれどね」
 カルロスも恵梨香に言います。
「悪くない味だよ」
「身体に悪いとか言うかも知れないけれど」
 ナターシャは外の世界のことからお話します。
「それだったらアメリカ人はとっくに大変なことになってるわよ」
「外の世界のアメリカのケーキも食べて問題ないよ」
 ジョージは笑って言いました。
「だから安心してね」
「そうよね、ただケーキもね」 
 ドロシーは今度はキャラメルを食べつつ言います。
「国によって随分違うわね」
「うん、僕も見ていて思ったよ」
 かかしが応えます。
「そのことはね」
「そうよね」
「オズの国はアメリカが反映されてね」
「色々な国の人が来てね」
 そしてというのです。
「ケーキもね」
「色々なケーキがあってね」
「そしてオズの国でも出すけれど」
「アメリカのケーキと他の国のケーキを比べたら」
「随分違うね」
「一口にケーキと言ってもね」
「そうなのよね」
 ドロシーはかかしの言葉に頷きました。
「これが」
「何ていうかね」 
 つぎはぎ娘がまた言います。
「同じケーキでも随分違うのも面白いわね」
「そうでしょ」
「その違いを見るのも面白いわね」
「オズの国ではそれもわかるわね」
「そうなのね、皆ケーキ好きだし」
「そういえばケーキ嫌いな人いないね」
 トトはつぎはぎ娘の言葉に頷きました。
「僕達の周りには」
「僕達も好きだしね」
 ジョージはトトに応えました、とはいっても今食べているのはケーキではなくキャラメルです。そちらを食べつつ言うのです。
「ケーキは」
「そうだよね」
「本当に僕達の周りは皆ケーキ好きだね」
「というか嫌いな人いるのかな」
「いないよね」
「僕も知らないよ」
 トトはジョージに答えました。
「ちょっとね」
「そうだよね」
「そういえば」
 ここでドロシーが言ってきました。
「ウィンキーにお菓子の国があってね」
「ケーキもですね」
「沢山あるわよ」
「そうした国もありますか」
「そうよ」
 こうジョージ達にお話します。
「そうした国もあるけれど」
「それじゃあ」
 そう聞いてです、ジョージは言いました。
「一回その国にです」
「行きたいかしら」
「そう思いました」
 実際にというのです。
「本当に」
「じゃあね」
 それならとです、ドロシーは笑顔で提案しました。
「その国に行きましょう」
「お菓子の国に」
「そうしましょう」
 こう提案するのでした。
「そうしましょう」
「これからですね」
「ええ、そうしてね」 
「その国で、ですね」
「お菓子をお腹一杯食べましょう」
「冒険だね」
 そう聞いてです、樵が言いました。
「そういえば僕達も最近冒険に出ていないね」
「そうだったね」
 かかしは樵の言葉に応えました。
「それじゃあね」
「僕達もね」
「ご一緒させてもらおうか」
「それがいいね」
「そうだね」
「僕はこれで帰るつもりだったけれど」
 ここで木挽きの馬が言ってきました。
「ご一緒させてもらうよ」
「僕もだよ」
 トトが馬に続きます。
「僕は何時でもドロシーと一緒だから」
「それでだね」
「一緒に行かせてもらうよ」
 こううまにお話します。
「そうさせてもらうよ」
「ううん、僕もね」
 ジャックは少し考えてから言いました。
「ずっと冒険に出ていなかったし」
「それでだね」
「ご一緒させてもらおうかな」
 こう言うのでした。
「今回は」
「あたしも行くわ」
 つぎはぎ娘も陽気に参加を申し出ます。
「そうさせてもらうわ」
「これでメンバーは決まりね」
 ドロシーは笑顔で言いました。
「私とトト、ジョージ達にね」
「僕とかかし君、ジャック君、馬君にね」
「あたしよ」
 樵とつぎはぎ娘が続きます。
「今回は大所帯ね」
「そうね、十二人だからね」
「賑やかな旅になるわね」
「貴女もいるしね」 
 ドロシーはつぎはぎ娘に笑顔で言いました。
「そうなるわね」
「あたしがいたらなの」
「だって貴女はいつも陽気だから」
 それでというのです。
「貴女が一緒ならね」
「それだけでなのね」
「陽気な旅になるわ」
「そうなのね」
「そうよ、あとね」
「あと?」
「私の予感だけれど」
 それでもというのです。
「まだ誰か来るかも知れないわね」
「そうなの」
「ひょっとしたらね」
「そうなのね」
「私の勘だけれどね」
「ドロシーの勘は当たるんだよね」
 かかしが言ってきました。
「これが」
「よく言われるわね」
「実際にね」
 ドロシーの言う通りだというのです。
「どういう訳か」
「ずっと冒険をしていて」
 それでとです、トトが言ってきました。
「その中で色々な経験をしてね」
「それでっていうのね」
「うん、事前に何が起こるかね」
「勘が働く様になったの」
「そうじゃないかな」 
 こうドロシーに言うのでした。
「僕が思うにね」
「そうなのね」
「うん、それでね」
「今もなのね」
「勘が働いてね」
 それでというのです。
「言ったんだよ」
「そうなのね」
「その誰かがわからなくてもね」
「流石にそこまではね」  
 ドロシーはトトに答えました。
「わからないわ」
「そうだよね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「今回も楽しい旅になることはね」
 このことはというのです。
「感じるわ」
「勘でだね」
「ええ、色々なことが起こるね」
「そのことはだね」
「感じるから」
「そうだね、その勘が当たることはね」
 トトはドロシーに笑顔でお話しました。
「僕も願ってるよ」
「そうしてくれるのね」
「是非ね、じゃあね」
 レモンティーを飲む手を少し止めてでした、ドロシーは携帯を出して。
 そうしてオズマに旅に出たいと言うとでした。
「いいわよ」
「そう言ってくれるのね」
「貴女が機会があれば冒険に出ないと」
 オズマはドロシーに携帯の向こうから笑顔でお話しました。
「貴女じゃないから」
「私がいつも冒険の旅に出てるから」
「そう、オズの国一の冒険家だから」
 それでというのです。
「その貴女が冒険の旅に出ないとね」
「今みたいな状況で」
「貴女じゃないから」
 それでというのです。
「是非ね」
「出ていいのね」
「行ってらっしゃい」 
 こうドロシーに言うのでした。
「楽しんできてね、ただね」
「ただ?」
「ゴールはわかっているわね」
「エメラルドの都ね」
「いつも通りね」
 ドロシーの冒険の旅の常の様にというのです。
「そうしてね」
「わかったわ、それじゃあね」
「お土産の冒険譚を待ってるわ」
 最後にこう言ってでした、オズマは携帯を切りました。ドロシーは彼女とのやりとりが終わってから皆に言いました。
「オズマはいいって言ってくれたわ」
「それじゃあね」
「明日にね」
 その時にというのです。
「出発しましょう」
「わかったわ」
 つぎはぎ娘はドロシーに明るい声で応えました。
「明日の朝にね」
「皆で出発しましょう」
「そういうことでね」
「さて、今日はね」 
 木挽きの馬が言ってきました。
「ドロシーさん達は晩ご飯を食べてお風呂に入って」
「うん、このお城にはお風呂もあるよ」
 お城の主である樵の言葉です。
「ちゃんとね」
「ええ、ブリキのお風呂がね」
「とても大きくてとても立派だよ」
「そのお風呂に入っていいのね」
「うん、皆ね」
 お風呂を楽しめる人達はというのです。
「是非ね」
「じゃあそうさせてもらうわ」
「あの」
 そのお話を聞いてでした、ジョージが樵に尋ねました。
「このお城は樵さんのお城ですね」
「うん、そうだよ」
「樵さんはお風呂に入る必要はないですね」
「僕はいつも身体は奇麗にしているけれどね」
「それは油を塗って磨いてですね」
「そうしてね」
 身体をそうしてというのです。
「奇麗にしているよ」
「そうですよね」
「僕のお風呂はそれだよ」
「油を塗って磨いて」
 神宝が言いました。
「それが石鹸やボディ―ソープで身体を洗うことですね」
「樵さんにとってはそうですね」
 恵梨香も言います。
「つまりは」
「そう考えると樵さんはいつもとても清潔で」
 カルロスは樵のピカピカの身体を見ています、実際に樵の身体はとても奇麗でしかもいい油のせいか香りまでします。
「毎日お風呂に入っていることと同じですね」
「けれどその樵さんのお城にお風呂があることは」
 それがと言うナターシャです。
「考えてみれば不思議ですね」
「だって生身のお客さんもよく来てくれるじゃないか」 
 樵は五人に笑顔でお話しました。
「その人達の為にね」
「お風呂もですか」
「用意してくれているんですか」
「それで誰でも入られる様にしてくれているんですね」
「そうなんですね」
「それで私達もですか」
「そうだよ」
 その通りだというのです。
「このお城はね」
「樵君はオズの国で一番心優しいからね」
 かかしも笑顔でお話します。
「そうしたことも忘れていないんだ」
「流石ですね」
「その辺り樵さんですね」
「本当に素晴らしいです」
「流石樵さんです」
「そこまでの気遣いをされるなんて」
「お客さんには心から喜んでもらわないとね」 
 また言う樵でした。
「だから用意しているんだ」
「ちなみに僕はお風呂は入る必要がないけれどね」
 かかしがここでまた言います。
「いつも中の藁を代えてもらって洗濯をしてもらってるよ」
「僕は頭を交換して身体に油を塗って服を洗濯してね」
 ジャックはそうしているというのです。
「奇麗にしてもらっているよ」
「僕も油を塗って拭いてもらってね」
 木挽きの馬もでした。
「奇麗にしてもらっているよ」
「そしてあたしもね」
 つぎはぎ娘はといいますと。
「洗濯してもらってるわ」
「つぎはぎ娘はあれかな」 
 ジョージは身体を踊る様に動かしつつお話するつぎはぎ娘に尋ねました。
「洗濯してもらうのかな」
「そう、かかしさんと一緒よ」
「やっぱりそうだね」
「ただ、あたしの身体の中は綿でしょ」
「だからだね」
「あたしはそのまま洗濯機に入ってね」
 そうしてというのです。
「洗ってもらうの」
「身体全体をなんだ」
「そうしてるもらってるの」
「それで後は」
「そう、乾燥機に入れてもらうか」
 若しくはというのです。
「干してもらうの」
「そうしているんだね」
「ちなみにオズの洗濯機はすぐに洗濯してもらって」
「乾燥もなんだ」
「すぐよ、だからね」
「つぎはぎ娘はいつも身体は奇麗なんだ」
「見ての通りね」
 見れば実際につぎはぎ娘は他の人達、かかしや樵と同じく奇麗です。洗濯の洗剤のいい香りすらします。
「そうなのよ」
「成程ね」
「それであんた達もよね」
「うん、これからね」
 ジョージはつぎはぎ娘にドーナツを食べつつ答えます。
「皆で遊んで」
「晩ご飯も食べてね」
「それでそのブリキのお風呂にも入るよ」
「そうするわね」
「今から楽しみだよ」
 実際にジョージは笑顔です、ドーナツの美味しさだけでなくお風呂のことも楽しみにしてそうしたお顔になっています。
「本当にね」
「それは何よりね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「遠くから何か見えてきたわ」
 つぎはぎ娘はそのボタンの目で遠くを見てお話しました。
「生きものがね」
「生きもの?」
「二匹位ね」
「まさかと思うけれど」
「多分ドロシーが言ってたね」
「冒険に新たに加わる人達だね」
「まだはじまっていないけれどね」
 それでもというのです。
「そうした人達でしょうね」
「そうなんだね」
「ええ、そしてね」 
 つぎはぎ娘はさらにお話します。
「こっちに来るわよ」
「僕はまだ見えないよ」
「あたし目がいいからね」
 そのボタンの目はというのです。
「遠くのものでもしっかり見えるのよ」
「それで見えるんだね」
「つぎはぎ娘の視力は五・〇なんだ」
 トトがジョージ達にお話します。
「それ遠くも見えるんだ」
「えっ、五・〇って」
「それは凄いね」
「大平原に住んでいる人みたい」
「そんな視力があるなんて」
「かなりね」
「ちなみに近くのものもよく見えるわよ」
 つぎはぎ娘は五人にこうもお話します。
「ちゃんとね」
「凄い目だね、何でもね」
 ジョージはそのお話を聞いて言いました。
「目があまりにもいい人は近くは見えにくいっていうけれど」
「あたしは違うの」
「ちゃんと見えるんだ」
「近くもね」 
 ちゃんと、というのです。
「見える範囲は全部ちゃんと見えるのよ」
「それは凄いね」
「色もわかるしね」
「ああ、色も」
「どの色もね」
「そうそう、僕オズの国に入るまで色はわからなかったんだ」
 トトがここでまた言ってきました。
「白黒だったんだ」
「そのことはハンクやエリカも言ってるね」
「哺乳類はね」
「確か人間や猿以外は色がわからないね」
「うん、けれどね」 
 それがというのです。
「オズの国に入るとね」
「君達も色がわかるんだね」
「人間と同じ様にね」
「オズの国がお伽の国だからだね」
「そうなるんだ」
 実際にというのです。
「有り難いことにね」
「そのこともいいことだね」
「色がわかるっていいよ」 
 トトはジョージにとても嬉しそうにお話しました。
「本当にね」
「白黒よりもだね」
「色がわかることはね」
「だからトトはだね」
「そのことからもね」
「ずっとオズの国にいたいんだね」
「そう思ってるよ」
 そうだというのです。
「本当にね」
「オズの国は色がはっきりしてるからね」 
 つぎはぎ娘はオズの国のその色のお話もしました。
「このウィンキーは黄色で」
「そうそう、一面ね」
「黄色い草、黄色い木の葉でね」
「黄色尽くしだね」
「その黄色の中にいるとね」
「色がわからないとね」
「こんな残念なことはないわよ」
 その黄色がわからないからというのです。
「だからオズの国で誰も色がわかることはね」
「素敵なことだね」
「とてもね」 
 こうジョージにお話します。
「あたしもこの通りだしね」
「そういえばつぎはぎ娘は」
「カラフルでしょ」
「色々な色があるね」
 そのぬいぐるみの生地にです、つぎはぎ娘は身体の中は綿ですがその肌や髪の毛、服は様々な木綿の生地をつなぎ合わせたものでそれで色も色々なのです。
「服は赤で髪の毛は茶色でも」
「お肌はね」
「赤や青、黄色に緑とね」
「色々な色があるわね」
「ピンクも白もあるしね」
「あたしこの身体大好きなの」
 カラフルなその身体がというのです。
「オズの国にもないでしょ」
「うん、他の誰もね」
「こんな身体の人いないでしょ」
「つぎはぎ娘だけだね」
「だからね」 
 それでというのです。
「あたしの自慢の身体よ」
「その身体の色がわからないなら」
「こんな残念なことないでしょ」
「自分でそう言うんだ」
「だって本当のことだから」
 それ故にというのです。
「あたしもそう言うのよ」
「そう言うのも君らしいね」
「あたしはあたしらしくよ」
 つきはぎ娘は笑った声でこうも言いました。
「それがあたしのポリシーだから」
「そうしているんだ」
「そうよ、それでね」
 つぎはぎ娘は先程言った遠くのお話をまたしてきました。
「その来た人達がお城の傍まで来たわね」
「あの人達は」
 その彼等を見てです、ドロシーは言いました。
「臆病ライオンと腹ペコタイガーね」
「そうだね」
 トトも彼等を見て言います。
「あの二匹が来たね」
「そうね」
「そういえば二匹共冒険に出ていたよ」 
 木挽きの馬がこのことをお話しました。
「アン王女のところまでね」
「あっ、オズマからアン王女への届けものを届けにね」
「それでね」
「都から出ていたわね」
「そうだったよ」
「アン王女の国はウィンキーにあるから」
 この国にです、まさに。
「北のギリキンとの境目の方にね」
「そう、そこにね」
「その帰りにかしら」
「こちらに寄ったのかな」
「そうかも知れないわね」
「さて、僕が迎えに行くよ」
 お城の主としてです、樵が立ちました。
「それで彼等をここに招いてね」
「そうしてなのね」
「彼等から直接お話を聞こう」
 こうドロシーに応えてでした、そうして。
 臆病ライオンと腹ペコタイガーは皆のところに来ました、そしてドロシーがどうしてここに来たかというとドロシーの予想通りでした。
 そのお話を聞いてです、つぎはぎ娘は言いました。
「ドロシーの勘と予想が当たったわね」
「今お話してくれたね」
「ええ、冒険の新たな道連れが来てね」
「そしてだね」
「あんた達がここまで来た経緯もね」
 これのこともというのです。
「当たったわ」
「そうなんだね」
「そう、それでね」
「僕達もだね」
「今回の冒険に参加するわよね」
「オズマの許可が出たらね」
 それでとです、臆病ライオンはつぎはぎ娘に答えました。
「そうさせてもらうよ」
「僕もだよ」
 腹ペコタイガーも言ってきます。
「そうさせてもらうよ」
「ドロシーとは最近一緒に冒険をしていなかったね」
 臆病ライオンはこのことについてお話しました。
「そうだったしね」
「ええ、そうね」
 その通りとです、ドロシーも臆病ライオンに答えます。
「私達は長いお付き合いだけれど」
「ドロシーが最初にオズの国に来てからだからね」
「本当に長いお付き合いなのにね」
「最近ずっと一緒じゃなかったから」
「久し振りだからね」
 臆病ライオンは期待する声で言いました。
「若し一緒に冒険出来るなら嬉しいよ」
「じゃあ貴方達のこともオズマに聞くわね」
「頼むね」
「それじゃあね」
 ドロシーは臆病ライオンに応えてでした。
 またオズマに尋ねました、その時オズマもティータイムでコーヒーを飲んでいましたがコーヒーを飲む手を止めて言いました。
「ええ、じゃあ彼等もね」
「一緒に行っていいのね」
「そうしてね、今回は大所帯での冒険ね」
「そうね、本当にね」
「その大所帯で楽しんできてね」
「そうさせてもらうわ」
「いい?ドロシー」
 電話の向こうからビリーナの声が聞こえてきました。
「今回も楽しんでくるのよ」
「あら、ビリーナもいるの」
「今都に来たのよ」
「私がいた時貴女いなかったしね」
「そう、今来てね」
 そしてというのです。
「あんたに言ってるのよ」
「そうよね」
「じゃあね」
「ええ、冒険の後は」
「楽しいお話を聞かせるのよ」
「そのことを待ってるのね」
「ここでね、主人も子供達も連れてきてるから」
 鶏の彼等をというのです。
「楽しみにしてるわよ」
「そうさせてもらうわ」
「じゃあね」
 またオズマがドロシ―に言ってきます。
「今回はそのメンバーで楽しんできてね」
「そうさせてもらうわね」
「私はここで待ってるから」
 エメラルドの都でというのです。
 こうお話してでした、今回の電話も終わりました、そうしてドロシーは臆病ライオンと腹ペコタイガーにオズマの返事をお話しました。
「いいって言ってくれたわ」
「うん、じゃあね」
「一緒に行こうね」
「そうしましょう、じゃあ貴方達もね」 
 こうも言うドロシーでした。
「ティータイムを楽しみましょう」
「あっ、僕達もなんだ」
「楽しんでいいんだ」
「勿論よ、テモンティーもドーナツもケーキも楽しんでね」
 そうしたものをというのです。
「キャラメルもね」
「美味しそうなドーナツだね」
 腹ペコタイガーはそのドーナツを見て舌なめずりしました。
「これを食べていいんだね」
「ええ、幾つでもね」
「そうしていいんだ」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「ケーキもキャラメルもね」
「今言った通りにだね」
「食べてもいいわ」
「じゃあね」
「食べてね」
「僕も頂くよ、それに」
 臆病ライオンも言います。
「レモンティーもね」
「飲むわね」
「紅茶も好きだから」
 それでというのです。
「そうさせてもらうよ」
「ええ、じゃあ出すわね」
「ただ僕も腹ペコタイガー君も」
「わかっているわ、貴方達は身体が大きいからね」
「皆が使っているティ―カップじゃね」
 これではというのです。
「もう何十杯と飲まないといけないから」
「お鍋によね」
「たっぷり入れてね」
 その紅茶をというのです。
「出してくれるかな」
「ええ、そうさせてもらうわ」  
 ドロシーも笑顔で応えてでした。
 実際に臆病ライオンと腹ペコタイガーの分のレモンティーを大きなお鍋にそれぞれの分を出しました、二匹はその紅茶と堆く積まれたお菓子達を食べます、そのお菓子を食べながら腹ペコタイガーは言いました。
「物凄く美味しいよ」
「そう言ってもらえて嬉しいわ」
「うん、それでね」
 腹ペコタイガーはさらに言います。
「晩ご飯も期待していいかな」
「あら、まだおやつを食べてるのよ」
「それでもだよ」
「晩ご飯が楽しみなのね」
「うん、だから言ったけれど」
「そうなのね、じゃあね」
「その晩ご飯もだね」
「楽しみにしていて」
 ドロシーは腹ペコタイガーに笑顔で答えました。
「晩ご飯もね」
「それじゃあね」
「うん、それで出発は明日の朝だね」
「そうよ、皆で朝ご飯を食べてね」
 そうしてとです、ドロシーは腹ペコタイガーにこのことでも答えました。
「そうしてね」
「出発するんだね」
「この皆でだね」
「そうするわ、晩ご飯の後はお風呂に入ってぐっすりと寝て」
「そうしてだね」
「明日の朝出発するわよ」
「わかったよ、明日の朝も待ち遠しいね」
 そちらにも期待する腹ペコタイガーでした、そして皆はおやつに晩ご飯、お風呂を楽しんでそれからでした。
 ぐっすりと寝ました、そのうえで明日の朝の出発に向かうのでした。








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