『オズのケーキ』




               第九幕  遊びもしながら

 フェアリーの国にはアスレチックもあります、今ナターシャ達は体操服に着替えてそのうえでそこで遊んでいますが。
 その体操服を見てです、上下共に赤いジャージ姿の王女は言いました。
「皆それ日本の体操服よね」
「はい、そうです」
 ナターシャが王女に答えました、皆靴は動きやすいシューズですがそれぞれ半ズボンの色が違っています。ナターシャは黒、恵梨香はピンク、ジョージは赤、神宝は青、カルロスは黄色とそれぞれの色になっています。
「白の」
「日本の体操服って絶対に上は白なの?」
「そうみたいですね」
「それも不思議ね」
「ただ、下は違いまして」
「色が違うのね」
「色も違って」
 それにというのです。
「あと私達は普通の半ズボンですが」
「それがどう違うのかしら」
「膝までの半ズボンだったり」
 まずはこちらの半ズボンを挙げるのでした。
「スパッツだったりします」
「スパッツもあるの」
「それも私達の半ズボン位の長さの」
「短いものね」
「そうです」
 太腿の付け根近くまでの長さです。
「この長さのスパッツのものもあります」
「そうした意味で色々なのね」
「そうなんです、もう体育の時は」
「体操服に着替えてなのね」
「体育をしています」
「そうなのね」
「動きやすいですよ」
「それはわかるわ、ただね」
 こうも言う王女でした。
「私としてはジャージの方がね」
「お好きですか」
「身体を動かす時はね、農作業の時は」
 こちらで身体を動かす時はといいますと。
「作業服だけれど」
「あのつなぎのですね」
「上下分かれたのも着るわよ」
 シャツとズボンのそれもというのです。
「作業靴も履くし安全靴もね」
「そちらの靴もですか」
「履くわ、もう作業服はね」
 王女はナターシャににこりと笑ってお話します。
「村にいる時の私の日中の普通の服よ」
「いつも着られてるんですね」
「そうしてるの」
 実際にというのです。
「いつもね」
「そこまで馴染みですか」
「そうなの、大好きな服の一つよ」
「そういえば王女ドレスあまり着られないですね」
 ジョージが言ってきました、六人でアスレチックのコーナーを次々に楽しんで潜り抜けながらお話もしているのです。
「軍服は着られても」
「そうそう、今もジャージだしね」
 神宝はジョージの言葉に頷きました。
「ドレスを着られることはあまりないね」
「ううん、僕達ドレス姿の王女見たことあるかな」
 カルロスはふと考えてみました。
「これまで」
「記憶にないわね」 
 恵梨香の覚えている限りないことです。
「どうにも」
「私ドレスあまり着ないわよ」
 王女自身も笑ってお話しました。
「お昼はいつも農作業をしているから」
「だからですね」
「ドレスはあまり着られないですね」
「外で働いておられるから」
「それで、ですね」
「王宮にあまりおられないので」
「私達の国はそうした国だから」
 そのお国のことを思いつつお話するのでした。
「だからね」
「それで、ですね」
「いつも作業服か軍服で」
「今はジャージで」
「とにかく動きやすい服装なんですね」
「それで動いておられるんですね」
「身体動かすこと自体好きだしね」
 にこりと笑ってです、五人にこうもお話します。
「そうした服の方が性にも合っているわ」
「何ていいますか」 
 ナターシャはそのお話を聞いて言いました。
「ドロシー王女と似てますね」
「あの人も活発ね」
「王宮におられるよりも冒険に出られて」
「いつも動きやすい服装よね」
「冒険向きの」
「そうね、ただ私はドロシー王女よりも活発ね」
 王女は自分でお話します。
「自分で思うけれど」
「そうですか」
「ええ、そう思うわ」
「同じ位だと思いますけれど」
 ナターシャの見る限りではです。
「私としては」
「そうかしら」
「はい、王女は農作業でドロシーさんは冒険ですね」
「本当にいつも冒険に出てるわね」
「オズの国一の冒険者ですからね」
 本当にオズの国の至るところを歩き回っています、それがドロシーなのです。
「それで、ですからね」
「だから同じ位っていうのね」
「もう少し王宮におられて」
 そしてというのです。
「すぐに冒険に出られますよね」
「王宮におられる時の方が少ないわね」
「そうですよね」
「だからそう言うのね」
「はい」
 実際にとです、ナターシャはお話しました。
「あの人は」
「そうなのね、言われてみれば」
「同じ位ですね」
「そうね、あの人の活発さはね」
「本当に凄いですよね」
「ええ、いつもオズの国を冒険しているから」
 だからだというのです。
「オズの国で行っていない場所もなくて」
「ご存知ないところもですね」
「ない位よ、ただね」
「ただ?」
「オズの国は次から次に新しいものが出て来るから」
 これもまたオズの国の特徴です。
「だから飽きることはないの」
「オズの国をずっと冒険していてもですね」
「そうよ、大陸だけじゃなくて地下もお空も海もあるでしょ」
「本当に色々なものがある世界ですね」
「そうした世界だから」
 それだけにというのです。
「オズの国にいるとね」
「どれだけ冒険してもですね」
「飽きないのよ、それで行っていない場所知らない場所はね」
 そちらはといいますと。
「あくまで現時点でよ」
「そこからさらにですね」
「増えていくものなの」
「それもオズの国ですね」
「私もまさか日本の街が出来て」
 それでとお話した王女でした。
「その街が大阪という街なんてね」
「あっ、オズの国にも大阪ありますね」
「思わなかったわ」
「楽しい街ですよね」
「あんな面白い街があるのね」
「日本にはあるんです」
「一度行ったけれどたこ焼きやお好み焼きも美味しくて」
 空中ブランコを軽々とこなしつつです、王女は言います。その活発さが運動神経にもしっかりと出ています。
「街並みも面白かったしね」
「いい街ですよね」
「動物園にも行ったし」
 大阪の街の中のです。
「前の公園にもね」
「動物園の前のですね」
「あそこもいいわね、道頓堀にも行ったし」
 大阪のです。
「蟹や河豚の看板も見たわ」
「どれも凄いですよね」
「動く蟹に看板なんて」
 それこそと言うのでした。
「誰が考えたのかしらね」
「物凄く大きくて」
「それで動くから」
「最初見たら驚きますよね」
「全くよ、勿論蟹も河豚も食べたわ」
 そのどちらもというのです。
「美味しかったわ、とてもね」
「蟹に河豚ですか」
「オズの国の河豚は毒もないしね」
「安心して食べられますね」
「そうしたわ、アイスキャンデーもね」
 こちらもというのです。
「食べたしね」
「北極の」
「それにお椀が二つある善財も食べたし」
「大阪を満喫されたんですね」
「そうしてきたしまたね」
「行かれたいですね」
「そうしたいわ」
 こうしたお話をしつつです、ナターシャ達五人は今はフェアリーの国のアスレチックを楽しみました、そして。
 フェアリーの女王と六人の大臣の娘達はケーキが作ってくれたおやつを楽しく食べていました、そのおやつはどういったものかといいますと。
 アイスキャンデーです、七人の妖精達はそのアイスキャンデーを食べて言いました。
「冷たくて甘くて」
「凄く美味しいですね」
「私達に程よい大きさですし」
「色も奇麗ですしね」
「しかも味も色々あって」
「いいアイスキャンデーですね」
「本当にそうですね」
 七人でこうお話しながら食べます、そしてです。
 その中で女王はこう言いました。
「これは大阪のキャンデーね」
「北極のアイスキャンデーですね」
 アイリが女王に答えます。
「あのお店のキャンデーを再現したとか」
「種類もそれらしいですし」
 カヤが続きます。
「大きさは私達に合わせてくれて」
「そうして作ってくれたもので」
 ミユは白いそれを食べています。
「こうして今食べていますね」
「アイスクリームもいいですが」
 それでもと言うミナミでした。
「アイスキャンデーもいいですね」
「こうして舐めていますと」
 マユはヂョコレート色のアイスキャンデーを食べています。
「それだけで幸せになれますね」
「そういえば私達アイスクリームはたべますが」
 ナナミも女王にお話します。
「アイスキャンデーはあまり食べてないですね」
「そう思ってなの」
 作ったケーキは自分の大きさに合わせたそれを食べています。
「作ってみたけれど」
「正解ですね」
「物凄く美味しいです」
「アイスクリームもいいですが」
「アイスキャンデーもいいですね」
「そうよね、冷たいお菓子も色々種類があって」
 それでというのです。
「アイスキャンデーも美味しいから」
「そうですね、これはです」
 女王はオレンジ味のものを食べながら言いました。
「手作りの味もして」
「素敵ですよね」
「本当に」
 実際にというのでした。
「こんなお菓子もあるんですね」
「日本の味です」
 このお菓子もというのです。
「和菓子とはまた違う」
「日本のお菓子なんですね」
「はい、そして」
「そして?」
「日本ではこうしたお菓子は氷菓子って呼ばれるんです」
「氷菓子っていうと」
 その言葉を聞いてです、女王は言いました。
「素敵な言葉ですね」
「奇麗な言葉ですよね」
「宝石みたいな」
 そうしたというのです。
「素敵な言葉ですね」
「独特の言葉で」
「響きがいいですね」
「私もそう思います」
 ケーキもというのです。
「本当に」
「全くですね」
「ではその氷菓子のアイスキャンデーを」
 まさにそれをというのです。
「食べていきましょう」
「そうですね、そしてこのアイスキャンデーは」
 女王はこうも言いました。
「あまりに美味しいので」
「だからですか」
「皆に食べてもらいましょう」
「フェアリーの国のですか」
「美味しいものはです」
 それならというのです。
「独り占めするのではなく」
「皆で、ですね」
「皆で食べて」 
 そうしてというのです。
「楽しむものですから」
「だからですか」
「是非です」
 まさにというのでした。
「国の皆で、です」
「食べるべきですか」
「皆で作って」
「そのうえで」
「食べましょう」
「それではレシピをお話しますね」
「そうしてくれますか」
「皆さんが作られるなら」
 それならというのです。
「そうさせてもらいます」
「それでは」 
 女王はケーキに皆で頷きました、そしてです。
 皆でアイスキャンデーを作って食べるとです、やっぱり美味しくてフェアリーの皆は笑顔になりました。
 それでリンキティンク王も自分でアイスキャンデーを作って食べてみますがここでこんなことを言いました。
「おお、楽しく作ってじゃ」
「楽しく食べてですね」
「楽しいことばかりじゃ」
 こう言うのでした。
「これはよいのう」
「そうですね、ただ」
「ただ。何じゃ」
「王様はここで、ですね」
 王子は微笑んでリンキティンク王に尋ねました、自分が作ったアイスキャンデーを楽しく食べながら。
「歌って踊りますね」
「勿論じゃ、このアイスキャンデーを食べたらな」
 今食べているそれをとです、リンキティンク王はすぐに答えました。
「歌うぞ」
「アイスキャンデーの歌をですね」
「そして大阪に感謝する歌もな」
「このアイスキャンデーを生み出した」
「そちらの歌もな」
「大阪ですか、あの街は」 
 その大阪のこともです、王子は言いました。
「楽しい街ですよね」
「左様じゃな」
「日本の街といいますけれど」
「日本の中でもな」
「独特で」
 それでというのです。
「空気が違う感じがしますね」
「うむ、大阪はな」
「野球にしても」
「あの黒と黄色の色がよいのう」
「旗もユニフォームも恰好いいしのう」
「素敵ですしね」
 このこともというのです。
「いいですね」
「全くじゃ、ただな」
「ただ?」
「ナターシャ嬢達はあのチームのことも話すが」
 それでもというのです。
「外の世界のあのチームは弱い様じゃな」
「そうみたいですね」
「今一つはっきりしない」
「そうしたチームみたいですね」
「打たないそうじゃな」
「野球は打たないといけないですからね」
 どうしてもとです、王子はリンキティンク王に答えました。
「打たないと」
「本当に負けるからのう」
「そうなりますから」
 だからだというのです。
「打たないチームはその時点で困りますね」
「ピッチャーがよくてもな」
「一点も取れないと」
 それならというのです。
「負けますからね」
「外の世界ではそうしたチームらしいからのう」
「一点取るのも一苦労の」
「そうしたチームで」
 それでというのです。
「ナターシャ嬢達もぼやいていますね」
「打たない打たないとな」
「ピッチャーは抑えても負けると」
「困ったチームじゃな」
「外の世界ではそうみたいですね」
「わしは打つチームが好きじゃ」
 リンキティンク王ははっきりと言いました。
「やはりな」
「それも派手にですね」
「打線が爆発する位のな」
 そこまでのというのです。
「派手に打つチームがな」
「お好きで」
「打たないチームはじゃ」
「お好きでないですね」
「打つ、特にホームランを打つとな」
 その時がというのです。
「最高じゃ」
「球場にも花火があがりますしね」
「あれを見るのも好きじゃしのう」
「野球は打つチームがお好きですね」
「フットボールでもな」 
 アメリカンフットボールでもというのです。
「そしてバスケでもホッケーでもな」
「攻めるチームですね」
「そうしたチームが好きじゃが」
「起きたチームの阪神は」
「どうもな」
 ナターシャ達からお話を聞くと、というのです。
「伝統的にピッチャー主体でな」
「打たないチームだそうですね」
「好きなチームなのに勿体ない」
 リンキティンク王はどうかというお顔で言いました。
「まことにな」
「やっぱり野球は打ってこそですか」
「それが華があるのじゃ」
「打たなくても楽しい野球が出来ればいいのでは」
 女王は阪神について語るリンキティンク王にアイスキャンデーを舐めつつ言いました。
「それで」
「楽しくか」
「はい、打たなくても。そして」
 女王はさらに言います。
「勝ち負けも大事ですが」
「楽しくじゃな」
「野球が出来れば」
「もうスポーツなら何でもですよね」
 ミウチは女王にお顔を向けて言いました。
「まずは楽しくことですよね」
「ルールはちゃんと守って」
 ナナミはこのことを忘れませんでした。
「そのうえでプレイして」
「そして心から楽しむ」
 カヤも言います。
「それがスポーツだから」
「勝っても負けてもお互いに健闘を讃える」
 ミユは試合の後のお話をしました。
「それが大事だし」
「若しそうしたことをしないなら」
 マユはどうかというお顔で述べました。
「最初からしない方がいいわね」
「そうよね、スポーツは紳士淑女の遊びだから」 
 アイリはこう定義します。
「そうしたところは守らないとね」
「その通りです、ルールを守って楽しんでお互いに讃え合う」
 まさにとです、女王は六人に答えました。
「それがスポーツかと」
「それは当然じゃな」
 リンキティンク王も言うまでもないという返事でした。
「勝ち負けや内容も大事じゃが」
「リンキティンク王もそう思われますね」
「うむ、何より大事なのはな」
 スポーツにおいてはというのです。
「スポーツマンシップじゃ」
「王様はそちらの歌も歌ってるんですよ」
 王子がリンキティンク王の横から言ってきました。
「スポーツマンシップを讃える歌を」
「そうですか」
「ちゃんと」
「そうじゃ、しかしじゃ」
「どうしてもですか」
「わしは攻めるチームが好きじゃ」
 チームの傾向はというのです。
「どうしてもな」
「そうなのですね」
「うむ、確かに野球でピッチャーは大事じゃが」
 アイスキャンデーの二本目、チョコレートのそれを食べながらの言葉です。
「打線が一番好きじゃ」
「強い打線が」
「そうじゃ、外の世界の阪神にも言いたいわ」
「打って欲しいと」
「その様にな」
「フェアリーの国でも野球はしますが」
 森の中にフェアリー用の球場があるのです、そこで皆野球をしたい時に集まってしているのです。それも男女共に。
「基本ピッチャーですね」
「打つのではなくか」
「はい、どちらかといいますと」
「女王も野球をされますか?」
 ケーキは女王に尋ねました。
「そうされますか?」
「はい」
 するとです、女王はケーキに答えました。
「よく」
「そうですか」
「あとバスケットボールもしますし」
 こちらの球技もというのです。
「それにスケートや新体操もです」
「スポーツお好きなんですね」
「フェアリーは皆そうですよ」
 スポーツが好きだというのです。
「遊びの一つですから」
「だからですね」
「皆色々なスポーツが好きで」
 それでというのです。
「楽しんでいます」
「私達も楽しんでいます」
「よくスポーツをしています」
「水泳もしますし」
「陸上競技だってします」
「あとアスレチックもしますし」
「器械体操もします」
 六人の大臣達もケーキにお話します。
「それで汗を流してます」
「その後はお風呂にも入りますし」
「いつもすっきりしています」
「スポーツを楽しんで」
「そうして遊んで」
「そうした遊びもしています」
「いいことね、私はスポーツはしないけれど」
 ケーキはそうみたいです。
「汗を流すこともいいことだし」
「ケーキ嬢はお料理や家事がそうではないかのう」
「私にとってはですか」
「うむ、わしが見る限りな」
 リンキティンク王はケーキにお話しました。
「そういったものがな」
「私のスポーツですか」
「いつもそれで汗をかいておるのう」
「身体は動かしていますね」
「それならな」
「家事がですか」
「ケーキ嬢のスポーツじゃ」
 そうなるというのです。
「そしていつも身体を動かしてな」
「爽やかになっていますね」
「そう思うぞ」
「そう言われるとそうですね」
「わし等が今食べているアイスキャンデーも作ってくれたしのう」
 そのアイスキャンデーを美味しく食べつつの言葉です。
「常にスポーツをしておる」
「では私はスポーツ好きでもありますか」
「わしが思うにな、そしてな」
「そして?」
「遊び好きでな」
 家事をスポーツつまり遊びと考えると、というのです。
「そしてな」
「それにですか」
「そちらの達人じゃ」
「遊びの達人でもありますか」
「ケーキ嬢はな」
「その考えは面白いですね、私達から見ればケーキさんは働き者になりますが」
 女王はリンキティンク王のお話を聞いて言いました。
「働き者はですか」
「遊びの達人じゃ」
「働くことを遊びと考えるから」
「わしはそう思うぞ」
「面白い考えですね」
「ほっほっほ、人生は何でも遊びじゃ」
 リンクティンク王は陽気にご自身の考えを述べました。
「だからな」
「家事もですね」
「遊びでな」
「働き者もですね」
「遊びの達人じゃ」
 そうなるというのです。
「まことにな」
「ではオズの国は皆遊びの達人ですね」
「そうなるのう、皆それぞれ楽しんでおるからな」
 リンキティンク王は女王にこうも答えました。
「やはりな」
「そうですよね」
「そう考えるとな」
 まさにというのでした。
「面白いのう」
「そうですね、何事も」
「わしは堅苦しく考えることはせん」
 一切という言葉でした。
「そんなことは性に合わぬ」
「あらゆることは遊びで」
「それでじゃ」
 そのうえでというのです。
「何でも楽しくやることじゃ、しかしな」
「しかし?」
「ルールは守って」
 そしてというのです。
「相手がいればな」
「相手を大事にすることですね」
「それは忘れてはならぬな」
「その通りですね、私もお料理の時は」
 どうかとです、ケーキはお話しました。
「食材も器具も大事にしています」
「そうじゃな」
「勿論他の家事の時も」
「掃除具も洗濯ものもじゃな」
「大事にしています」 
 その様にしているというのです。
「何でも」
「よいことじゃな」
「さもないといい家事も出来ないですから」 
 そう考えているからだというのです。
「ですから」
「それもいいことじゃのう」
「そしてそれもスポーツマンシップですね」
「そう思うぞ」
「やっぱりそうですね」
「うむ、ではもう一本じゃ」
 見ればリンキティンク王はアイスキャンデーをまた一本食べ終えています、それでキャンデーがあった木のへらを手にしつつ言うのでした。
「もらおうか」
「はい、それでは」
「いや、まことに美味いわ」
「素敵な味ですね」 
 王子も二本目を食べ終えています、そのうえでの言葉です。
「甘くて冷たくて」
「しかも親しみやすくてな」
「いいものですよね」
「全く、大阪は最高じゃな」
「日本の中でも」
「こんなものもあるからのう」
 ケーキから三本目のアイスキャンデーを受け取りつつの言葉です。
「まことによい街じゃ」
「では今度行ってみますか」
「そうしたいのう、今度旅に出たら」
「行く場所はですね」
「あちらじゃ」
 その大阪だというのです、オズの国の日本人街の一つに。
 ケーキ達がアイスキャンデーを楽しんでいる時ナターシャ達はアスレチックを終えました、そうしてでした。
 王女はここで五人に言いました。
「最後は整理体操をしましょう」
「しっかりと身体を動かした後はですね」
「そう、その前には準備体操をしてね」
 そしてとです、ナターシャにお話します。
「そしてね」
「その後はですね」
「整理体操をして」
 そしてというのだ。
「身体を整えましょう」
「わかりました」
「ちゃんとそうしないと」
 さもないと、というのです。
「後で身体を痛めたりするから」
「ちゃんとしておくべきですね」
「だからしましょうね」
「準備体操と整理体操は絶対ですね」
 まさにとです、カルロスも応えます。
「身体を動かす時は」
「準備体操をまずして」
 ジョージはそこからお話します。
「身体をほぐして」
「それで整理体操で身体を整える」
 神宝は今をお話します。
「そうしてこそのスポーツですね」
「後は汗も拭くかしっかりと洗い落とす」
 恵梨香は整理体操の後のお話をします。
「そこまでがスポーツですね」
「そうよ、だからね」
 それでとです、王女は五人全員に言いました。
「ちゃんとしましょう」
「わかりました」
「じゃあ今から整理体操ですね」
「そちらもして」
「それで汗を拭くかお風呂に入って」
「それで終わりですね」
「お風呂にしようかしら」
 もう六人で円陣を組んでいます、そうしてです。
 整理体操をはじめながらです、王女は五人に提案しました。
「ここは」
「いいですね」
「もう夕方ですし」
「お風呂に入ってもいい時間ですね」
「それならですね」
「整理体操の後は」
「森のお風呂に入らせてもらって」
 フェアリーの国の大浴場です、男湯と女湯があって皆好きな時に入って身体を奇麗にしてお風呂も楽しんでいるのです。
「そうしてね」
「身体を奇麗にして」
「それからですね」
「お風呂から出たら晩ご飯ですね」
「それも食べて」
「後は寝るんですね」
「そうしましょう、オズの国の夜は皆すぐ寝るけれど」
 それもぐっすりとです。
「寝ることも楽しいにしても」
「それまでもですね」
「そう、お風呂に入ってね」
「ご飯も食べて」
「素敵な時間を満喫しましょう」
「わかりました」
「それと」
 ここでこうもです、王女はナターシャにお話しました。
「体操服もね」
「今私達が着ている服もですか」
「汗をかなりかいたわね」
「そうですね、皆」
 アスレチックで身体をとても動かしたからです、皆そうなっています。
「そのことは」
「そうでしょ、だからね」
「体操服を洗濯しないといけないですね」
「こちらも忘れないでね」
 そうしてというのです。
「しておきましょう」
「わかりました」
「スポーツをした後は清潔にね」
「そのことは絶対ですよね」
「働いた時もそうよ」
 その後はというのです。
「ちゃんとね」
「お風呂に入ることですね」
「それかシャワーを浴びて」
「身体を奇麗にすることですね」
「身体を動かした後は気持ちいいけれど」
 そこにというのです。
「お風呂にも入ると余計にいいでしょ」
「はい、確かに」
「だからよ、お風呂にもね」
「入って」
「すっきりしましょう」
「わかりました」
 ナターシャは王女の言葉に頷きました、そうして皆はお風呂場に向かってそれぞれ体操服や下着を洗濯機に入れてからです。
 お風呂に入りました、王女はナターシャそして恵梨香と一緒にお風呂に入っているとそこにでした。
 ケーキも入ってきました、王女はケーキを見て彼女に声をかけました。
「貴女もなのね」
「はい、お仕事が終わりましたので」
 それでとです、ケーキは王女に答えました。
「今からです」
「お風呂に入って」
「そうしてです」
 そのうえでというのです。
「すっきりしようと思っています」
「私達と一緒にね」
 王女はケーキのお話を聞いてにこりと笑って言いました。
「それじゃあ」
「そうですね、ただ」
「ただっていうと?」
「まさか王女さん達がおられるとは思っていませんでした」
 そこは考えていなかったというのです。
「この度は」
「そのことね」
「はい、そこまでは」
「そうよね、お風呂に入る時にね」
「他に誰かいるかとかは」
「結構意識していないとね」
「考えないですね」
 そうしたものだとです、ケーキは王女に答えました。
「あまり」
「ええ、だからね」
「こうして一緒になって」
「おや、って思うのよね」
「そうですよね」
「お風呂はプライベートな時間だから」
 それでというのです。
「そこまではね」
「考えないですね」
「本当にね、けれどね」
「それでもですよね」
「そのお風呂に入って」
 そうしてというのです。
「今はね」
「すっきりしましょう」
「そうですね、これから」
「身体も髪の毛も洗って」
 その両方をです。
「そうしましょう、それにしても湯舟がね」
「フェアリーの国のお風呂のお湯いいですよね」
「木のいい香りがして」
「それで程よく温かくて」
「中に入っているとね」
「凄く癒されますよね」
「とてもいいお風呂だわ」
 王女はケーキににこりと笑ってお話しました、そうしてお湯を浴びた後で湯舟に入った彼女のさらに言いました。
「だからゆっくり入りましょう」
「今日も」
「そうしましょう」
「それでは。それとナターシャちゃん達は」
「二人は今サウナよ」
「そちらですか」
「ナターシャがサウナ好きだからね」
 それでというのです。
「恵梨香もそれならと一緒に入ったの」
「あの娘はロシアという国から来ているからですね」 
「何でもあちらのお風呂はサウナでね」
「それで、ですよね」
「あの娘はサウナがあるとね」
「絶対に入るんですね」
「そこまで好きだから」
 それでというのです。
「今はね」
「そちらですね」
「今湯舟にいるのはね」
 ここで欧所は湯舟の中を見回しました、とても広いお風呂の中にはフェアリーの女の人達が結構います。
 ですが大きな身体の人間はといいますと。
 王女はケーキにくすりと笑っていお話しました。
「巨人は私達だけね」
「巨人ですか」
「そう、フェアリーの人達から見ればそうよね」
「そうですね、では私達から見れば巨人は」
「フェアリーの人達から見るとね」
「もうとんでもない大きさですね」
 ケーキもくすりと笑って言いました。
「そうなりますね」
「そうよね、大きさは自分を基準にするから」
「そこから大きいか小さいかで」
「フェアリーの人達から見ればね」
「私達は巨人ですね」
「だから今こう言ったけれど」
「その通りですね」
 くすりと笑ってです、ケーキは王女の言葉に頷きました。
「そうなりますね」
「ええ、本当に私達はね」
「フェアリーの人達から見れば大きいですね」
「このお風呂場にいてもね」
「そうですね」
「リンキティンク王は小柄っていうけれど」
 それでもです。
「それは人間の間でのことで」
「フェアリーの人達から見ると大きいですね」
「あの人もね」
「そうなりますね」
「オズの魔法使いさんもね」
 この人も小柄と言われています。
「そうなるわ」
「そうですね、あの人も」
「人間の基準で小柄でね」
「他の種族の人達から見ますと」
「大きいわ、あとオズの国の人達は」 
 王女はこの国の人全体のお話をしました。
「昔に比べて大きくなったわね」
「そうですね、昔は一四〇センチ位だったのが」
「今では一七八位ね」
「それ位になっていますね」
「大きくなったわね」
「そうですよね」
「何でか昔のオズの国の人って小さかったのよね」
 これはドロシーがはじめてオズの国に来た頃のことです。
「子供みたいにね」
「今でいいますと」
「けれどそれがね」
「大きくなりましたね」
「三十センチ以上もね」
「そうなりましたね」
「何でも外の世界でもね」
 ナターシャ達が普段いる世界です、勿論ドロシーや魔法使いも最初はこちらの世界にいたのです。遠い昔のことになっていますが。
「大きくなっているらしいわよ」
「人が」
「そうらしいわよ」
「それはまたどうしてでしょうか」
「何でも食べるものがよくなって」 
 そうしてというのです。
「かなりね」
「大きくなったのですか」
「そうみたいよ」
「そうでしたか」
「恵梨香のお国の人達なんてね」
 つまり日本人はといいますと。
「オズの国の人達より少し大きいか同じ位でね」
「その人達がですか」
「今ではずっと大きくなって」
 それでというのです。
「恵梨香もでしょ」
「他の子達と同じ位ですね」
 ナターシャ達とです。
「それ位ですね」
「そうなったらしいわ」
「食べものの関係ですか」
「そうみたいよ、食べものがよくなると」
 それでというのです。
「大きくなるみたいよ」
「外の世界では」
「そうみたいよ、そしてね」
 王女はケーキにさらにお話しました。
「オズの国はアメリカが反映されるわね」
「アメリカ人が大きくなると」
「自然とね」
「オズの国の人達もですね」
「大きくなって」
 そしてというのです。
「今の体格になったみたいよ」
「そうなんですね」
「そういえば魔法使いさんやリンキティンク王も」
 この人達もというのです。
「大きくなったわね」
「そうですね、確かに」
「昔に比べたら」
「オズの国は人の体格もアメリカに反映されるんですね」
「そうした国ね」
 王女はケーキにくすりと笑ってお話しました、そうしたお話をしながらそのうえで女王のお誕生日の準備をさらに進めていきました。








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