『オズのケーキ』




               第七幕  お誕生日への用意

 アン王女とナターシャ達五人、リンキティンク王にボボ王子そしてケーキ達はフェアリーのヨシノ女王のお誕生日の用意を進めていました。
 その中でアンは林檎を駕篭に入れつつ一緒にいる妖精達に尋ねました。
「貴女達女王様とはね」
「はい、何でしょうか」
「一体」
「何かありますか?」
「女王様とは臣下と家臣っていうかは」
 そうした間柄よりもというのです。
「お友達みたいね」
「そうした関係ですね」
「そう見えますね」
「ええ、女王様と大臣達というよりは」
 むしろというのです。
「お友達同士ね」
「そう言われると」 
 マユが答えました。
「そうですね」
「そうよね、私達ずっと一緒にいて」
 アイリはそのマユに応えました。
「遊んだり食べたり飲んだり」
「歌ったり踊ったりね」
 今度はミナミが言いました。
「そうしてるしね」
「作詞も作曲も七人でするし」
 ナナミも言います。
「寝る時も一緒だし」
「そう思うと」 
 カヤも言いました。
「私達本当にね」
「お友達ね、もっと言えば」
 ミユが言うにはです。
「姉妹みたいな関係ね」
「そうね、凄く仲がいいし」
 それにとです、王女は今手にした林檎の赤さに惚れ惚れとしながら言いました。
「あのお友達か姉妹ね」
「本当にそうですね」
「言われてみますと」
「私達七人はそうですね」
「主従というよりは」
「お友達ですね」
「そうした間柄ですね」
 マユ達七人もこう言いました。
「そしてそれがです」
「凄くいいんです」
「もういつも一緒にいて何かをしていく」
「そのことが凄く楽しくって」
「私達いつも一緒にいて」
「何でもしています」
「いいことね、私の国はね」
 王女は今度は自分のお国のお話をしました。
「小さな村でね」
「そう言われてましたね」
「皆が家族みたいで」
「仲良く暮らしているって」
「いつも仲良く」
「もう国の皆が家族みたいなの」
 王族以外の人達ともそうした間柄だというのです。
「平和で仲良く暮らしてるわ」
「そうなんですね」
「アン王女のお国も」
「凄く楽しい国なんですね」
「そうなの、ただ私はこうした娘でしょ」
 くすりと笑て自分のお話もしました。
「お転婆で。だからこうしてね」
「冒険にもですか」
「出られますか」
「今みたいに」
「そうもしてるわ」
 こうフェアリーの七人にお話します。
「時々ね」
「そうなんですね」
「それで楽しまれてるんですね」
「今みたいに」
「そうなの、これがまたね」
 本当にという言葉でした。
「楽しいのよ」
「王女さん旅もお好きですか」
「冒険も」
「お国におられる時もお好きで」
「そうなの、こうして林檎を摘むこともね」 
 こちらもというのです。
「大好きよ」
「それじゃあですね」
「林檎をですね」
「皆で摘んでいきますか」
「そうしましょう」
 こう言って小さなフェアリー達と一緒に林檎を摘んでいきます、王女は片手で摘んでいきますがフェアリ―達は身体全体で摘み取ってです。
 両手で抱き抱えて自分の身体の半分は優にある林檎達をお空を飛びつつ運んでいきます、その様子を見てです。
 リンキティンク王はフェアリーの女王、ご自身も手伝おうとしましたがお誕生日でお祝いされる人が手伝ってはと六人に言われて止められている彼女に尋ねました。
「重くないかのう」
「林檎が、ですか」
「うむ、フェアリーの娘達にとっては」
「特にです」
 これといってとです、女王はリンキティンク王に答えました。
「辛くないです」
「そうなのか」
「私達の羽根の力はとても強いので」
「羽根の力を使って運んでおるか」
「そうです、持つことが出来れば」
 それでというのです。
「後はそれこそずっと飛んでいても疲れない羽根で」
「運ぶからか」
「苦しくありません」
「落としませんか?」
 リンキティンク王の横にいる王子も女王に尋ねました。
「手が滑ったりして」
「いざとなったら私達の手はひっつきますので」
「そうした手ですか」
「昆虫は直角の止まるところのない壁にもずっと停まっていられますね」
「はい、足でひっついて」
「それと同じで」
 それでというのです。
「ものを運ぶ時も」
「ひっついてですか」
「落とさないです」
「それは便利ですね」
「私達は虫の能力も多く持っていますので」
「ならじゃ」
 リンキティンク王はそのお話を聞いて言いました。
「力も強いか、実は」
「あっ、おわかりですか」
「蟻もカブト虫も力が強いのう」
「そのことですね」
「それを見るとな」
「確かに身体は小さいですが」
 それでもというのです。
「そうですね」
「力も強いのう」
「蟻やカブト虫の様に」
「そして蝶々やトンボの様にじゃな」
「ずっと飛ぶことも出来ます」
「凄い種族じゃのう」
 リンキティンク王は女王からここまで聞いて言いました。
「フェアリーも」
「そうですね、可愛いだけじゃない」
「凄い力もある」
「そうした種族じゃな」
「本当にそうですね」
「そう思うとのう」
 リンキティンク王は笑ってです、こうも言いました。
「歌いたくなったわ」
「そのフェアリーの人達のことを」
「今ここでな」
「ではです」
 女王はリンキティンク王のそのお話を聞いて笑顔で応えました。
「お願いします」
「ではのう」
 女王からどうかと言われてでした、それで。
 リンキティンク王は実際にフェアリーの人達を讃える歌を歌いました、そしてダンスも踊ったのですが。
 そのダンスを観て王子は言いました。
「今度はマイケルさんみたいでしたね」
「マイケル=ジャクソンを意識したぞ」
「ムーンウォークもされましたし」
「何度も言うがダンスもじゃ」
 これもというのです。
「好きでのう」
「それで、ですね」
「前から何度かしておるが」
「今回もですね」
「してみたが」
「よかったですよ」
「ほっほっほ、それは何よりじゃ」
 リンキティンク王は王子のお話を聞いて笑顔になりました。
「わしにしてもじゃ」
「ご自身の歌とダンスが好評ならですね」
「最高じゃ」
 そうした気持ちになれるというのです。
「まことにのう」
「左様じゃな」
「うむ、だからな」
 それでというのです。
「今のじゃ」
「素敵な気分ですね」
「そうなったわ、ただな」
「ただ?」
「ナターシャ達の姿が見えぬのう」
 リンキティンク王は彼等のことを思い出しました。
「そういえば」
「言われてみますと」
「そうじゃな」
「はい、あの子達は何処に」
「今はです」
 女王がお二人に答えました。
「ケーキさんそして臣民達と一緒にいます」
「フェアリーの国のじゃな」
「彼等もフェアリーでして」
 フェアリーの国の人達だからその人達もフェアリーです。
「一緒にお手伝いをしてくれています」
「そうか、それは何よりじゃ」
 リンキティンク王はそのお話を聞いて笑顔で応えました。
「相変わらずしっかりしておるのう」
「頑張って働いてくれていますね」
「よい子達じゃ」
「そうですね、ではです」 
 王子はここで欧様に言いました。
「私達はこれからです」
「わし等のすべきことをじゃな」
「していきましょう、今は女王様のお話相手ですが」
「それをじゃな」
「頑張っていきましょう」
「それではのう」
 こうしたお話をしてでした。
 リンキティンク王と王子はフェアリーの女王と楽しくお話をしていきました、その途中で女王も歌と踊りを披露したりもしました。
 そしてです、ケーキはといいますと。
 フェアリーの人達と一緒にジュースを作っています、林檎ジュースやオレンジジュース、葡萄ジュースに苺ジュースと色々ですが。
 そのジュースを作るのを見てナターシャが言いました。
「ケーキさんジュース作りお上手ですね」
「物凄い手際ですね」
 恵梨香もその作り方を見て言います。
「本当に」
「手早くて的確で」
 カルロスも驚いています。
「凄いですね」
「お菓子だけじゃないんですね」
 神宝もしっかりと見ています。
「ケーキさんがお得意なのは」
「この前紅茶も凄く上手に煎れてましたけれど」
 ジョージはそちらのお話をしました。
「そちらも凄く上手でしたし」
「甘いことについては」
 ケーキは五人に答えました。
「やっぱりね」
「得意ですか」
「ずっと毎日作っているから」
「だからですね」
「得意よ」
 実際にとです、ケーキはナターシャに答えました。
「本当に」
「そうなんですね」
「ただね」
「ただ?」
「まだ和菓子はね」
 こちらはというのです。
「作りはじめたばかりで」
「それで、ですか」
「まだ自信がないわね」
「中華菓子はどうですか?」
「そちらは結構自身があるわ」
 こうナターシャに答えました。
「桃饅頭や月餅や杏仁豆腐はね」
「そういったものはですか」
「前から作ってきたし。ただ和菓子はあの奇麗さもね」
「出さないといけなくて」
「それがね」
 どうにもというのです。
「ケーキとはまた違った芸術的な」
「そうしたですね」
「宝石みたいな奇麗さが」
 和菓子のそれがというのです。
「自然まで活かしたそれがね」
「難しいですか」
「和菓子はよくあんな素晴らしいもの造られるわ」
 ケーキはこうまで言いました。
「食べるのが勿体ないと思う位でしょ」
「そうですね、もう和菓子の奇麗さは」
 それこそとです、ナターシャも答えました。
「独特過ぎて」
「本当に宝石みたいね」
「しかも鮮やかな色でなくて」
 その色使いのお話もしました。
「淡い色でもね」
「奇麗に使っていて」
「奇麗過ぎるから」
「それはですね」
「そう、だから」
 それでというのです。
「それを出せるか」
「自信がないですか」
「そうなの、茶道で使う様なお菓子はね」
 和菓子でもというのです。
「それはね」
「じゃあどら焼きとかはどうですか?」
「羊羹とかきんつばは」
「そうしたものは」 
 ここでフェアリーの人達も言ってきました、皆森の中のフェアリーの野菜畑で苺や西瓜を採っています。その中でのお話なのです。
「どうですか?」
「あとお団子は」
「そういったものは」
「色々な色の団子は少し」
 どうもとです、ケーキはフェアリーの人達にも答えました。
「自信がないけれど」
「他のものはですか」
「そうでもないですか」
「そうなのですね」
「和菓子のあの奇麗さを出せるかが自信がなくて」
 それでというのです。
「どら焼きや羊羹については自信があるの」
「ではういろうは」
 ナターシャはそちらのお話をしてきました。
「そちらは」
「白、黒、抹茶、小豆、コーヒー、柚子、桜ってあるわね」
「はい、どうですか」
「そちらはね、まだね」
「自信がありますか」
「カエルマンさんも最近お好きで」
 それでというのです。
「よく作っているから。それにういろうの色は一色ね」
「そうですね」
「一色だけならまだね」
「出せますか」
「それがね」
 どうにもというのです。
「茶道で出す和菓子のね」
「あの色々な配色がですか」
「難しくて」
「自信がないですか」
「三色団子は作れるの」
 自信を以てというのです。
「一色一色でお団子をそれぞれ作って」
「串に刺してですね」
「出来るから」
 だからだというのです。
「いいけれど」
「それが、ですか」
「そう、けれどね」
 それでもというのです。
「淡い赤や青や白で奇麗に配色してるでしょ」
「そうした和菓子は」
「小さい中にね、それがね」
「難しいですが」
「ケーキのそれは出来るけれど」
「他のお国のケーキですね」
「あっ、ロシアのケーキはね」
 ケーキはロシア人のナターシャの言葉に応えました。
「言われてみれば」
「そうなんです、スポンジの柔らかいものでなくて」
「焼き菓子よね」
「クッキーにも似てますね」
「そうしたもので」
 それでというのです。
「あのスポンジのケーキとはです」
「貴女は分けて考えているわね」
「そうしています」 
 こうケーキにお話するのでした。
「ロシアのケーキ、それ以外のお国のケーキだと」
「そうですね」
「考えています」
「そうなのね」
「はい、それで他のお国のケーキは」
「生クリームとフルーツでね」
 そうしたものでというのです。
「配色出来るでしょ、中華菓子もね」
「配色にですね」
「そこまで苦労しないけれど」
「奇麗にしても」
「和菓子のあの小さな中に淡い色で調和も考えて配色して」
「宝石みたいにすることが」
「本当に難しくて」
 それでというのです。
「苦労してるの」
「そうなんですね」
「自信がないわ」
「クッキーさんでも」
「日本といいますと」
 ここでフェアリーの若い人が行ってきました。
「果物だと柿や枇杷ですね」
「そうしたものも使って」
 ケーキはふェアリーの若い人にも応えました。
「お菓子を作っても」
「いいですよね」
「ええ、確かに」
「我が国でも最近作ってます」
「柿や枇杷も」
「そうしています、梨も」
 こちらの果物もというのです。
「洋梨でなくです」
「アジアの梨ですね」
「はい、日本にもある」
 そうした梨をというのです。
「作っていまして」
「食べられるのね」
「そしてお菓子を作る時も」
 その時にもというのです。
「使えます」
「そう、それじゃあ」
「よかったらお使い下さい」
「そうさせてもらうわね」
「どうぞ」 
 フェアリーの若い人はケーキに笑顔で応えました。
「そうして下さい」
「それじゃあね」
「柿はいいですよね」
 ナターシャは柿についてにこりとしてケーキにお話しました、お口の中に柿のその味を思い出しながらです。
「日本に来てはじめて食べましたけれど」
「私も最近になってね」
「それからですね」
「食べる様になったわ」
「オズの国に日本の要素が増えてですね」
「柿の木も出て来てね」
 そうしてというのです。
「柿の実もね」
「実ってですね」
「食べられる様になったから」 
 だからだというのです。
「私もね」
「今は召し上がられていますね」
「そして枇杷もね」
 こちらの果物もというのです。
「食べているわ」
「今はそうされていますか」
「昔のオズの国は昔のアメリカでね」
「日本の要素はですね」
「なかったから」
 今と違ってというのです。
「それでね」
「柿も枇杷もですね」
「知らなかったの、けれど食べてみると」
 これがというのです。
「素敵な味でね」
「好きになられて」
「村でもカエルマンさん達ともよく一緒に食べるし」
 それにというのです。
「お菓子にもね」
「使われていますか」
「そしてね」
 それでというのです。
「そちらも食べているわ」
「そうですか」
「だからこの国にも柿があるなら」
「女王様のお誕生日にですね」
「柿も食べましょう」
「そして柿で作ったお菓子も」
「勿論よ」
 言うまでもなくというのです。
「そうしましょう」
「わかりました」
「何かオズの国も色々なものがあるね」
 神宝はライチの実を採りつつ言いました。
「この果物もあるし」
「そうだね、もうないものはない位かな」
 ジョージは林檎を手にしています。
「果物にしても」
「そうだよね、こうして色々なものがあるから」
 カルロスの手にはオレンジがあります。
「そう言っていいかもね」
「アメリカが反映されるっていうけれど」
 恵梨香は自分が持っている枇杷を見ています。
「アメリカにオズの国の元の要素が加わって」
「本当に色々あって」
 ナターシャも恵梨香達に応えつつ梨を持っています。
「食べるものの種類も凄く豊かね」
「それもオズの国のいいところよ」
 笑顔で、です。ケーキは五人にお話しました。
「そちらもね、それとね」
「それと?」
「それとっていいますと」
「それは何ですか?」
「一体」
「何かありますか?」
「この国もそうだけれど」
 フェアリーの国もというのです。
「暑いところのものも寒いところのものも一緒にあるでしょ」
「バナナと林檎が同じ場所で作られるなんて」 
 ナターシャが応えました。
「確かにそうですね」
「そうでしょ、外の世界では無理よね」
「ロシアは林檎は植えられますが」
「バナナは無理よね」
「寒いですから」
 こちらの果物はどうしてもというのです。
「それで長い間ありませんでした」
「そうだったわね」
「パイナップルもそうでしたし」
「パイナップルも暑い場所のものだしね」
「長い間ロシアでは憧れでした」
 そうした食べものだったというのです。
「本当に」
「けれどオズの国ではね」
「このフェアリーの森でもですね」
「同じ森の中で作ることが出来て」
「食べられますね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「そのことも楽しんでね」
「そうさせてもらいます」
「それで美味しい果物やお野菜を沢山採って」
 さらにお話するケーキでした。
「そのまま食べるものと」
「お料理するものをですね」
「女王様のお誕生日に用意して」
 そうしてというのです。
「私達もね」
「このお昼にですね」
「食べましょう」
「わかりました」
「アン王女もテーブル掛けで出してくれるけれど」
 お昼ご飯、それをです。
「私達もね」
「ここで採ってですね」
「食べましょう」
「わかりました」
 ナターシャはケーキの言葉に頷いてです、そうして皆で甘い果物やお野菜を採りました。そうしてです。
 そしてです、お昼になりますとお昼ご飯を食べますが。
 果物に苺やパイナップル等の甘いお野菜にです、そうしてチーズやパンいジャガイモも出されていて飲みものにはジュースや牛乳もあります。
 そうしたものを前にして王女はにこにことして言いました。
「美味しそうね」
「うむ、どれも甘くてな」
 リンキティンク王が応えます。
「今から食べるのが楽しみじゃ」
「そうよね」
「果物と乳製品の組み合わせはいいですね」 
 王子もにこにことしています。
「本当に」
「そうなのよね」
「パンやジャガイモもありますし」
 女王は主食も見ています。
「そちらも召し上がって下さい」
「ジャガイモにバターやマヨネーズを乗せて」
 そしてとです、マユも言います。
「食べるといいですよね」
「私達は果物に乳製品が好きで」
 アイリの視線の先にはジャガイモがあります。
「いつも食べていまして」
「ジャガイモも大好きでして」
 ナナミもジャガイモを見ています。
「よく食べているんです」
「パンも食べて」
 ミナミは食パンに苺のジャムをたっぷりと塗っています。
「楽しみましょう」
「チーズは山羊のチーズもありますよ」
 ミユはチーズのお話をします。
「牛乳からのものだけでなくて」
「あとサラダもありますし」
 カヤはレタスやセロリにドレッシングをかけています。
「楽しまれて下さい」
「サラダもあると」
 ここで言ったのはナターシャでした。
「尚更健康的なお食事に思えるし」
「ですから皆さんどうぞ」
「サラダも召し上がって下さい」
「そちらも」
「そうさせてもらいます」
 是非にというのです、そしてです。
 皆で果物もお野菜もパンも乳製品も楽しみます、その中でリンキティンク王はこんなことを言いました。
「お肉やお魚がなくてもよいのう」
「あれっ、王様そうしたものは」
「大好きではないがな」 
 それでもとです、リンキティンク王は女王に答えました。
「食べはするぞ」
「そうですか」
「好きなものはやはりな」
「甘いものですね」
「それであるが」
 それでもというのです。
「食べない訳ではない」
「そうなのですね」
「しかし君達はか」
「牛乳や乳製品は大好きですが」
「お肉やお魚はか」
「食べないです」
「つまりベジタリアンじゃな」
 リンキティンク王はフェアリーの人達をそうした人達と理解しました。
「そうじゃな」
「はい、私達はそうです」
「左様じゃな」
「スープもお肉やお魚からは」
「ダシを取らぬか」
「そうしています」
 そうした食べものもというのです。
「例えば日本のお味噌汁ですが」
「あっ、お味噌汁も召し上がられますか」 
 ナターシャはそのお話にお顔を向けました。
「それでダシも」
「椎茸からね」
「取っていますか」
「そうして食べていますし。中華料理でもスープも」
「お野菜とかからですか」
「取っています」
 そうしているというのです。
「動物からは取りません」
「となると」
 ケーキは女王のお話を聞いて言いました。
「豚骨や鳥ガラも」
「使わないです」
「そうですよね」
「ですからラーメンも」
 このお料理のスープもというのです。
「ダシはです」
「椎茸とかからですね」
「人参や玉葱も入れて」
「何か随分あっさりした感じになりそうですね」
「ラードも使いません」
 脂もそうしているというのです。
「ですから皆さんの思われるラーメンとはです」
「また違いますか」
「味も」
「そうですね、椎茸や茸だけのダシとなりますと」
「ですがその味がです」
「フェアリーの皆さんにとってはですね」
「とても美味しく感じます」
 女王は苺を両手に持ってお口の中に入れつつにこにことしてお話します、そうして食べるのでした。
「他にはおうどんも食べています」
「パスタもですか?」
 ナターシャはそちらはどうかと尋ねました。
「召し上がられますか」
「はい、スパゲティもマカロニも」
「そうですか」
「フェットチーネも」
 それもというのです。
「ペンネも。パスタはどれもです」
「フェアリーの皆さんはお好きですか」
「ミートソースやペスカトーレは食べないですが」
 それでもというのです。
「イカ墨は使いますしカルボナーラだとベーコンは抜いてナポリタンもソーセージはなしで食べています」
「ではペペロンチーノも」
「よく食べています」
「そうなんですね」
「大蒜はよく使います、アンチョビは使わないですが」 
「お魚だからですね」
「はい」
 生きものは使わないからというのです。
「そうしています」
「そこは徹底していますね」
「そうした種族なので」 
 フェアリーの人達はというのです。
「ですから」
「そうですか」
「勿論オリーブオイルも」
 オイルはといいますと。
「使いますし」
「オリーブオイルは他のお料理にもですね」
「かなり使います」
「オリーブ園もありましたしね」
「オリーブは欠かせないです」
 そこまでのものだというのです。
「私達にとっては」
「そうなんですね」
「本当にいつもです」
 お料理にはというのです。
「よく使っています」
「オリーブオイルがないと」
「私達は困りますね」
「どうしても」
「あれがありませんと」
 フェアリーの六人の大臣の娘達もこうお話します。
「本当に」
「その時はです」
「どうしようかってなります」
「オリーブは私達に欠かせないです」
「他にはごま油もですが」
「オリーブオイルは植物油で」
 それにと言うケーキでした。
「美味しいし使い勝手もいいから」
「だからです」
「本当にお料理に使います」
「いつもそうしています」
「楽しくそうさせてもらっています」
「私もそうだけれど」
 他ならないケーキもです。
「貴女達はよりなのね」
「しかしのう」
 ここでリンキティンク王が言いました。
「ラードや豚骨が使えないのはのう」
「王様にとってはですか」
「うむ、どうもな」
 それはとです、女王に応えました。
「寂しいものがあるのは否定出来んのう」
「そうですか」
「わしは確かにお肉は特に好きではないが」
 それでもというのです。
「わしの好みではな」
「そういったものがないと」
「少し寂しくなる、カルボナーラもベーコンがないとな」
 他の食材があってもというのです。
「卵はよいか」
「そちらは無精卵なら」
「ならいいがしかしのう」
「ベーコンがないとですか」
「どうもな」
「寂しいですか」
「それはな、まあナポリタンはな」
 こちらはといいますと。
「ソーセージとかがなくてもな」
「いいですか」
「わしとしてはな」
「そうですか。実はカルボナーラもナポリタンも」
 どちらもとです、女王はさらにお話しました。
「食べはじめたことは最近です」
「ここ七十年位ですね」
「食べはじめたのは」
「大体それ位ですね」
「どちらも」
「ナポリタンにしても」
「日本のスパゲティも全体的にそうですね」 
 六人もお話します。
「海苔を使ったスパゲティも」
「和風パスタは特にそうですね」
「あっさりしていい味ですが」
「それでもですね」
「日本でスパゲティを食べる様になったのは最近みたいですが」
「オズの国でも反映されてきて」
 アメリカに日系人の人達が増えてきてです。
「そうなってきて」
「それで、です」
「私達も食べています」
「ナポリタンにしても」
「ちゃんとトマトや玉葱使っています」
「大蒜もオリーブオイルも使って」
「ナポリタンが日本のスパゲティというのは」
 ここでお話したのは恵梨香でした。
「私も意外だったけれど」
「そうよね」
「名前が名前だしね」
「イタリアのものって思うね」
「イタリアのナポリのね」
 ナターシャ達四人も恵梨香にお話します。
「それが実は、だから」
「日本で生まれたもので」
「アメリカの影響を受けて」
「それで作ったもので」
「最初は驚いたけれど」
 それでもと言う恵梨香でした。
「食べると美味しいし」
「ですから私達も好きですよ」
「ナポリタンも食べています」
「七人でも食べてます」
「皆で食材集めてお料理して」
「力を合わせてそうしてです」
「楽しませてもらってます」
 六人の大臣達が恵梨香に答えます。
「本当にいいですよね」
「ナポリタンも」
「他のスパゲティもいいですが」
「あちらのスパゲティもいいですね」
「本当にそうですよね」
「素敵な味ですよ」
「それならお誕生日の時は」
 ここでケーキが提案しました。
「スパゲティ、パスタもね」
「そちらもですか」
「出したらどうかしら」
 女王にもお話します。
「そちらも」
「そうですね、ピザも」
「出してね」
「皆で楽しめばいいですね」
「勿論女王様もね」
 この人のお誕生日だからというのです。
「そうしましょう」
「それじゃあ」
「それと」
 さらにお話するケーキでした。
「やっぱりオリーブオイルと大蒜はね」
「欠かせないですね」
「それとチーズも」
 こちらもというのです。
「粉チーズをスパゲティの上にかけて」
「食べますね」
「それとピザのチーズは」
「ふんだんにですね」
「使って」
 そしてというのです。
「食べて」
「いいですね」
「フェアリーの人達はピザもお好きですね」
「大好きですよ、皆」
「ならそちらも」
 そのピザもというのです。
「出して」
「そしてですね」
「皆で楽しみましょう」
「それでは」
「チーズとトマトがあれば」
 この組み合わせはというのです。
「それだけで全然違いますから」
「無敵の組み合わせですね」
 ナターシャもこの組み合わせには笑顔になります、見れば今そのトマトとチーズ、モツァレラチーズを一緒に食べています。
「今だってそうですし」
「本当にそうよね」
「何ていいますか」
 さらに言うのでした。
「お互いに引き立てあって」
「どっちかだけでも美味しいのにね」
「余計にいいですよね」
「だからね」
 それでというのです。
「どちらもあるなら」
「使わない手はないですね」
「それは考えられないわ」
 もうそれこそという言葉でした。
「全くね」
「その通りですね」
 女王もにこりと笑ってケーキのお話に頷きます。
「トマトとチーズの組み合わせは最高です」
「そしてオリーブオイルも」
「欠かせないですね」
「本当によくあるものです」
 ケーキは笑顔で言いました。
「こうした組み合わせが」
「全くですね」
「ですからパスタやピザにも」
 こういったお料理にもというのです。
「最高に合います」
「トマトとチーズは」
「本当に、そしてパスタには」
「オリーブオイルと大蒜ですね」
「そこにアンチョビとするのが私の好みですが」
「アンチョビはお魚なので」
 そこはとです、女王は答えました。
「残念ですがこの国では」
「ないですね」
「代用品がありますが」
 それでもというのです。
「アンチョビ自体はです」
「ないですね」
「申し訳ないですが」
「いえ、ベジタリアンはベジタリアンで」
 この立場でもというのです。
「美味しく出来ますから」
「いいのですね」
「お野菜に果物、ミルクと卵があれば」
 これだけあればというのです。
「充分ですよ」
「ほっほっほ、ケーキ嬢の料理上手は折り紙付きじゃな」
 リンキティンク王は笑顔で語るケーキを見て言いました。
「これは女王のお誕生日のパーティーは素晴らしいものになるぞ」
「美味しいお料理で、ですね」
「間違いなくそうなるぞ」
 こう言ってです、リンキティンク王は大人の人達の為に出されているワインとても甘いそれを飲みました。お酒で上機嫌になるとここでも一曲歌いました。








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