『オズのケーキ』




               第五幕  妖精の国へ

 七人のフェアリー達はケーキ達と一緒にパーティーを楽しみました、そのパーティーを満喫してです。
 パーティーが終わった時に女王が皆にこう言ってきました。
「よかったら私達のパーティーにも」
「貴女のお誕生日の」
「それにね」
 こうケーキに言うのでした。
「お邪魔して」
「そしてなのね」
「そちらも楽しみましょう」
「それじゃあ」
「おもてなしさせてもらいますね」
 六人の大臣の娘達も言ってきました。
「その時は」
「そうしてくれるの」
「ええ、だから」
「貴女達のパーティーにも」
「来てくれたら」
 その時にというのです。
「いらしてね」
「それじゃあ」
 こうしたお話もしてでした。
 皆はフェアリーの女王様のパーティーにもお呼ばれすることになりました、そしてそのパーティーの日はといいますと。
 その日を聞いてラベンダー熊は言いました。
「十日先だね」
「そうですね」
 女王が応えました。
「お話してみますと」
「じゃあ十日後に」
「私達の国に来てくれますね」
「そういうことでね」
「はい、お待ちしていますね」
「それじゃあ」
「十日後に」
 その時にというのです。
「またお願いします」
「お互いに」
 こうお話してでした、そのうえで。
 七人のフェアリーの娘達はクマセンターを後にして自分達の国に帰りました、皆は七人を笑顔で手を振り合ってまた十日後と約束しました。
 その後も皆でおしゃべりしたりお茶を飲んだりスポーツをしたりして楽しく遊んでいました。その中で。
 皆で野球をしている時に王女はこんなことを言いました。
「ねえ、フェアリーの人達だけれど」
「何か」
「ええ、皆パーティーの準備をするわよね」
 こうナターシャに言うのでした。
「そうよね」
「そう言われますと」
 ナターシャは王女に応えました、今は五人と王女は白地に黒の縦縞のユニフォームを着ています。帽子もそうなっています。
「そうですね」
「私達もお手伝いに行かない?」
「パーティーの用意のですね」
「どうかしら」
「いい考えだね」
 カエルマンは王女の提案に笑顔で応えました。
「ならね」
「ええ、私達が行って来るわ」
「おや、君達だけかい?」
「あまり大勢で行っても」
 そうしてもとです、王女はカエルマンにお話しました。
「多過ぎてお手伝いになるどころか」
「お客さんにだね」
「そして私達もね」
 王女はさらに言いました。
「お土産を持って行かないとね」
「そうそう、実はね」
 ラベンダー熊も言ってきました。
「私は彼女達から色々なものを貰ったよ」
「フェアリーの人達のお土産を」
「そうしてもらったよ」
「だからね、ここに残る人達はね」
「お土産の用意もだね」
「しないといけないから」
 だからだというのです。
「ここはね」
「残るメンバーもだね」
「いてもらいましょう」
「それにね」
 かかしも言ってきました。
「折角のパーティーだから」
「それでなのね」
「オズマ姫とドロシー達にも来てもらおうか」
「オズの国のお二人にも」
「トロット嬢とベッツイ嬢もよかったらね」
 この二人もというのです。
「フェアリーの女王の誕生パーティーに来てもらおう」
「いい考えだね、じゃあ二人に連絡して」
 樵はかかしの提案を聞いて言いました。
「そうしてね」
「来てもらおうね」
「そうしようね」
「じゃあ二人を迎えに行くメンバーも必要だね」 
 臆病ライオンもお話に入ってきました。
「そうだね」
「うん、それは僕達がいこうか」
「かかしさんと樵さんと僕で」
「ドロシーの一番親しい友達がね」
 その三人でというのです。
「そうしたらどうかな」
「いいね、じゃあね」
「僕達三人で行こう」
 樵もこう言いました、そしてすぐにオズマ達に携帯でお話しますと是非にというお返事でした。こうしてでした。
 かかしと樵そして臆病ライオンの三人はすぐにオズマ達を迎えに行くことになりました。
「ではね」
「これからね」
「行って来るね」
「今度はフェアリーの国で」
 カエルマンが応えました。
「是非」
「それではね」
「また会おうね」
「十日後にね」
 三人は皆と笑顔で手を振り合ってお別れしました、そしてです。
 次はクマセンターでお土産を選ぶメンバーの選定になりましたがカエルマンはここで気さくに笑って言いました。
「お土産の選定はこうしたものに詳しい人とそこにあるものをよく知っている人ということでね」
「ではまずは私だね」
 クマセンターの主であるラベンダー熊が応えてきました。
「ここにあるお土産ならね」
「貴方が一番承知しているね」
「ここにあるものなら何でも知っているからね」
 それだけにというのです。
「私は残るべきだね」
「そうなるね」
「私はこれまで通りセンターの防衛にあたります」
 伍長はラベンダー熊に敬礼をして述べました。
「そのまま」
「うん、宜しく頼むよ」
「それでは」
「僕はこれまで通りサポートをしていくよ」
 ピンクの子熊はラベンダー熊に抱かれながら申し出ました。
「このセンターの主であるラベンダー熊さんのね」
「では残ってくれるんだね」
「是非ね」
「さて、そして」
 今度は王子が言ってきました。
「後は学識のあるムシノスケ教授と人に好かれることなら何でものモジャボロさんでしょうか」
「では品の選定を学問的見地からさせてもらおう」
 教授は王子の提案に気取って言ってきました。
「それでは」
「僕は何が誰に好かれるかわかるから」
 モジャボロは教授に続きました。
「及ばずながらね」
「そしてカエルマンさんも学識がおありなので」
 王子はカエルマンにも声をかけました。
「是非」
「ここはだね」
「皆と一緒に」
「残るべきだね」
「そうして頂ければ」
「ではあちらに向かうメンバーは」
 ケーキはそのお話をしました。
「王女様とナターシャちゃん達と」
「そして僕と王様かな」
「そうなりますね」
「ほっほっほ、では早速出発じゃな」
 リンキティンク王は上機嫌で今もこの場にいます。
「楽しみじゃのう」
「僕もお土産選びに加わりたいですが」
 王子は個々では少し申し訳なさそうに言いました。
「ですが」
「王様と一緒にいないとですね」
「僕は王様と一緒にいるのが仕事だからね」
 ケーキにもこう言います。
「だからね」
「それでは」
「うん、王様は是非フェアリーの国に行かれるべきだからね」
「わしはお手伝いは出来んぞ」
 リンキティンク王は自分から言いました。
「家事だの後片付けだの準備だのはな」
「王様は遊びがお好きで」
「しかも王様だからのう」
 それでというのです。
「雑用と言われる仕事はな」
「されないですね」
「王様といってもそうしたことをする王様もおるが」
 それでもというのです。
「わしは違う」
「はい、ですが」
「それでもか」
「王様の歌と踊りはフェアリーの国にも向いていると思いますので」
 だからだというのです。
「王様もです」
「行くべきじゃな」
「はい、そうしましょう」
「わかった、では行こう」
「それでは」
 こうしてリンキティンク王もフェアリーの国に先に行くことになりました、そして後のメンバーはといいますと。
 王女がナターシャ達に言いました。
「私達もね」
「はい、先にオズの国に行って」
 最初にナターシャが言いました。
「準備のお手伝いをしましょう」
「そしてフェアリーの人達を助けましょう」
 カルロスはいいことが出来そうだと楽しみにしています。
「是非」
「人助けはいいことですしね」
 神宝もそれが出来る機会が来たと喜んでいます。
「それじゃあ行きましょう」
「今から行って」 
 ジョージも人助けに乗り気です。
「そうして皆で助けましょう」
「私達で行けば」
 どうかとです、恵梨香も言います。
「少しでもフェアリーの皆さんの助けになりますね」
「そうなるわ。そしてね」
 王女は今度はクッキーを見て彼女に声をかけました。
「貴女もね」
「私もですね」
「ええ、貴女は家事が得意で」
 それにというのでした。
「特にお料理中でもお菓子作りが得意ね」
「だからですね」
「是非ね」
 この度はというのでした。
「一緒に来てね」
「わかりました」
「宜しく頼むよ」
 同じ村にいて親しくしているカエルマンもクッキーに声をかけました。
「あちらでもね」
「それじゃあ」
「また十日後にね」
「お会いしましょう」
 こうお話してでした、ケーキと王女にリンキティンク王とボボ王子そしてナターシャ達五人が先にフェアリーの国に行くことになりました。
 一行はすぐにカエルマン達と一時のお別れの挨拶をしてクマセンターから見て北北西にあるフェアリーの国であるカドリングの妖精の森に向けて出発しました。
 そちらへの道にも黄色い煉瓦の道があります、その道を進みながらリンキティンク王はこんなことを言いました。
「七人の娘さんの姿は見えんのう」
「出発してから結構経ちますからね」 
 ケーキが答えました。
「ですから」
「もうずっと先にか」
「行っていまして」
 それでというのです。
「見えないです、それに飛んでいますから」
「歩くよりもか」
「速く進んでいますし」
 このこともあってというのです。
「多分私達より一日は先に」
「国に帰っておるか」
「そうかと」
「途中で追いつくと思ったがのう」
 リンキティンク王はクッキーのお話を聞いて少し残念そうに呟きました。
「そうもいかんか」
「まあそれならそれで仕方ないわね」
 王女は王様に笑って応えました、見ればこの娘もナターシャ達五人も野球のユニフォームから普段の服に着替えています。
「私達は私達のペースで歩いて」
「そしてか」
「そのうえでね」
「フェアリーの国に行けばよいか」
「そういうことよ」
 王女はリンキティンク王に明るい声でお話しました。
「だからね」
「今は会えずとも気にせずに」
「先に進んでいきましょう」
「わかった、ではな」
 リンキティンク王は王女の言葉を聞いてでした、今度はこんなことを言いました。
「早速じゃ」
「早速?」
「明るく歌って踊るか」
「ここでなのね」
「あの娘達との再会を期待してな」
 そうしてというのです。
「一曲そうするか」
「それじゃあね」
 王女も頷きます、そしてでした。
 リンキティンク王は七人と再会することを楽しみにしている歌を歌って踊りました、その音楽はといいますと。
 ラップでした、王様はそのラップを歌い踊り終わってから言いました。
「ラップにしてみたぞ」
「ラップとは」
「意外であったか」
「はい」 
 実際にとです、ケーキはリンキティンク王に答えました。
「ポップスかと思いました」
「前に作って歌ったのがポップスだったからな」
「だからですか」
「趣向を変えてな」
 それでというのです。
「ラップにしてみた」
「そうですか」
「次はジャズにしようか」
「ジャズですね」
「サックスとかはないが」 
「ジャズもですね」
「明るくな」
 このことは絶対でした、本当にリンキティンク王は明るい曲が好きでそうした曲を専門に歌って踊るのです。
「そうする」
「それじゃあ次の曲も」
「楽しみにしてくれるか」
「楽しみにしています」
 これがケーキの返事でした。
「是非」
「それではな」
「はい、それで出発してすぐですが」 
 ここでケーキはカエルマンから貰った時計を見て時間をチェックしました、それが終わってから言うのでした。
「お昼の時間です」
「あら、もうなの」
「はい、それでですが」
「ええ、じゃあね」
 王女が応えました、そしてです。
 すぐに煉瓦の道の横に敷きものを敷いて皆でそこに座ってでした。
 そのうえでオズマから借りたテーブル掛けが王女から出されてでした、お昼になりました。
 メニューはバーベキューです、網の上にお肉やお魚、お野菜が置かれて次々と焼かれています。お肉は牛肉です。
 そのお肉を食べつつナターシャは笑顔で言いました。
「バーべーキューいいですよね」
「そうよね」
「はい、旅の時に食べますと」
 本当にとです、ナターシャはお肉を食べつつケーキにお話しました。
「素敵ですね」
「美味しいわよね」
「本当に」
 こう言うのでした。
「幾らでも食べられます」
「本当にそうよね、それでね」
「それで?」
「飲みものは何がいいかしら」
 ケーキはこちらのお話もしました。
「そちらは」
「ええと、コーラを」
「それをなのね」
「お願いします」
「それじゃあね」
 早速でした、ケーキはナターシャにコーラを入れたカップを差し出しました。ナターシャはケーキからそのカップを受け取って。
 一口飲みました、それで今度はこう言いました。
「バーべーキューにも合いますよね」
「コーラはね」
「そうですよね」
「私も好きよ、今は葡萄ジュースだけれど」
 それを飲んでいるけれど、というのです。
「コーラもね」
「お好きですか」
「そうなの、だからね」
「今日もですか」
「後にね」
 その時もというのです。
「飲ませてもらうわ」
「それじゃあ」
「そして」
「そのうえでね」
 さらにというのでした。
「楽しませてもらうわ」
「それじゃあ」
「お酒はどう?ノンアルコールの」
 王女は林檎酒を飲みつつナターシャ達に言ってきました。
「そちらもあるけれど」
「アルコールのないお酒ですか」
「ビールもワインも出せるけれど」
「ワインもですか」
「飲んでも酔うけれど」
 それでもというのです。
「アルコールが入っていないからね」
「大丈夫ですか」
「その酔いも一時間でね」
 それ位でというのです。
「醒めるわ」
「そうなんですね」
「オズの国にはそうした飲みものもあるから」
 だからだというのです。
「どうかしら」
「それじゃあ」
 そう聞いてでした、ナターシャは王女に言いました。
「ウォッカをお願いします」
「アルコールの入っていない」
「それをお願い出来ますか」
「いいわよ、ただアルコールで酔わないにしても」
 それでもとです、王女はナターシャに前以てお話しました。
「凄くね」
「酔いますか」
「ウォッカは強いお酒だから」
「アルコールがなくても」
「強烈だから」
 それでというのです。
「一口でかなりくるわよ」
「ウォッカはそんなに強いんですね」
「私は普通のお酒も飲めるけれど」
 王女はオズの国ではそうした年齢です。
「けれどね」
「それでもですか」
「ウォッカ飲んだ時は大変だったから」
「酔って」
「そう、強烈に酔ってね」
 そうなってしまってというのです。
「大変だったから」
「だからですか」
「貴女もね」
「ウォッカについては」
「注意してね」
 そうしてというのです。
「飲んでね」
「そうしたお酒なんですね」
「そう、ウォッカは強いお酒だから」
 ケーキもナターシャにお話します。
「あまりね」
「飲まない方がいいですか」
「私もそう思うわ」
 王女も言ってきました。
「それはね」
「そうですか」
「それよりも」
 王女は林檎酒を飲みつつさらにお話します。
「ワインがいいわよ」
「そちらのお酒ですか」
「ウォッカよりずっと飲みやすいし」
「酔い方もですね」
「ずっとましだから」
 だからだというのです。
「貴女達はね」
「ワインをですね」
「飲む方がいいわ、林檎酒もいいし」
 今飲んでいるこのお酒もというのです。
「こちらもね」
「それじゃあ」
 ナターシャも他の子達も頷いてでした、そのうえでアルコールの入っていない酔うだけのワインを飲みました。
 すると五人共すぐに酔いましたが。
 ナターシャはその酔った感じの中でケーキに言いました。
「酔うと気持ちがよくなりますね」
「それがお酒なのよ」
「そうですよね」
「貴女達はオズの国でこうしたお酒を飲んできたけれど」
 それでもというのです。
「アルコールは入っていないから」
「子供が飲んでもいいんですね」
「そう、そしてね」
 ケーキはさらにお話しました。
「二日酔いにもならないわ」
「アルコールが入っていないから」
「悪酔いもしないしすぐに酔いが醒めるし」
「それはいいですね」
「だから子供が飲んでもね」
「いいんですね」
「だからどんどん飲んでね」
 そのアルコールの入っていないワインをというのです。
「今は」
「わかりました」
「ほっほっほ、大人は普通のワインを飲むが」
 リンキティンク王も陽気に飲んでいます。
「これもまたよいぞ」
「ただ王様の飲まれるワインは」
 王子もワインを飲んでいます、二人共カドリングの真っ赤なワインを楽しんでいます。ワインの赤ではなくレッドの赤です。
「甘いワインだけですね」
「わしは甘いものが大好きだからのう」
「それで、ですよね」
「甘いワインだけがじゃ」
「飲めるワインですね」
「他のお酒も同じじゃ」
 ワインだけでなくというのだ。
「やはりな」
「甘くないとですね」
「飲めん」
 到底というのです。
「どうしてもな」
「そうですよね」
「だから今もな」
「甘いワインをですね」
「飲んでおるのじゃ」
「そして僕も」
「甘いワインじゃな」
「今は。ただ僕は甘くないワインも飲めます」
 このことはリンキティンク王とは違いました。
「そちらも」
「そうであるか」
「はい、ですが今は」
「わしと同じワインじゃな」
「こちらを飲んでいます」
「甘いワインも好きじゃったな」
「ですから」
 それでとです、王子はリンキティンク王ににこりと笑って答えました
「そちらを飲んでいます」
「成程のう」
「今は飲みましょう」
「ではワインの歌も歌うか」
 こう言ってその場で、でした。
 リンキティンク王は即興でワインの歌を歌いました、流石に食事中なので踊ることはしませんでしたが。
 歌い終わって動画で配信してから言うのでした。
「踊りは後でじゃ」
「作られますね」
「そうするぞ」
 こうケーキに答えました。
「酔いが醒めてからのう」
「王様にとってダンスは欠かせないですね」
「歌とセットじゃ」
 まさにというのです。
「昔は違ったが」
「歌だけでしたか」
「しかしミュージッカーとの区別をつけて」
 そしてというのです。
「つぎはぎ娘の踊りを見てな」
「それで、ですか」
「踊りもな」
「される様になったんですね」
「そうじゃ」
 まさにというのです。
「そうしたのじゃ」
「そうですか」
「尚気が向けばな」
 その時はといいますと。
「踊らなくもなる」
「そうですか」
「わしは気が向けばそうするし」
「向かないとですね」
「しないからのう」
 そうした人だからだとご自身で言うのでした。
「そうするのじゃ」
「そうなんですね」
「それでケーキ嬢は歌はどうじゃ」
「作詞作曲は出来ないですし」
 これはとです、ケーキはリンキティンク王に答えました。
「歌うことは好きですが」
「歌だけか」
「はい」
 あくまでそれだけだというのです。
「私は。あとワインは」
「どうなのじゃ?」
「お菓子作りが好きでよく食べるので」 
 それでとです、ケーキはリンキティンク王に答えました。
「お酒もお菓子に合うもので」
「ワインもじゃな」
「そうなんです」
「お菓子に合うものか」
「そうです、紅茶やコーヒーも同じですし」
「成程のう、わしは甘いものに甘いものでな」
 お菓子もお酒もというのです。
「甘いもの尽くしが好きじゃが」
「私は合うものを」
「それもよいのう、では飲んで」
「デザートもですね」
「楽しもうぞ」
 こうしたこともお話してでした、そのうえで。
 皆で楽しく飲んで食べました、そうしてからまた冒険の旅を再開して暫く歩いていると前からでした。
 一人のゴブリンが来ました、緑色のお肌で人間の子供位の大きさでお洒落な感じのつなぎの作業服を着ています。
 そのゴブリンがケーキ達の前に来て言いました。
「あれっ、ケーキさん達かな」
「ええ、そうよ」
 ケーキはゴブリンににこりと笑って答えました。
「今からフェアリーの国に行くの」
「あの森にだね」
「貴方もあの森のことを知っているのね」
「僕の国もあの国とお付き合いがあるからね」
「ゴブリンの国も?」
「あっ、僕達の国はゴブリンだけじゃないんだ」
 ゴブリンは陽気に笑ってケーキに答えました。
「狼も鬼もオークもリザードマンも魔族もいるんだ」
「色々な種族が一緒に住んでいるのね」
「そうなんだ、仲良くね」
「そうしたお国なのね」
「スライムが大統領でね」
「スライムがなの」
「そうした国でね」
 ゴブリンはケーキににこりとしてお話しました。
「よかったら今度来てね」
「そうしていいのね」
「僕達の国も千客万来だから」
 それでというのです。
「だからだよ」
「お邪魔していいのね」
「うん、何時でも誰でもね」
「それじゃあ機会があったら」
「着てね」
「そうさせてもらうわね」
「何か」
 ここでカルロスが言いました。
「オズの国には色々な人がいるね」
「そうそう、エルフやドワーフにゴブリンに」
 ジョージも言います。
「本当に色々な人がいるね」
「人間だけじゃなくて」
 神宝も言うことでした。
「本当に色々な人がいる国だね」
「狐人もいるしお花から生まれた人もいて」
 恵梨香はこうした人達を思い出します。
「それにファンタジ―で出て来る人達もね」
「だってお伽の国よ」
 ケーキが子供達にお話します。
「だから色々な人達が一緒にいるのよ」
「人間だけじゃなくて」
「色々な人がいるんですね」
「そして仲良く暮らしていて」
「こうして普通にお会い出来る」
「そうした国なんですね」
「そうよ、オズマ姫だって人間じゃないでしょ」
 オズの国の可愛らしく聡明な国家元首であるこの人もというのです。
「妖精でしょ」
「あっ、そうですね」
「オズマ姫もそうですね」
「そしてかかしさんや樵さんも人間じゃないですね」
「ムシノスケ教授も」
「チクタクもジャックもつぎはぎ娘も」
「姿形が人間じゃなくてもね」
 それでもというのです。
「心が人間ならね」
「人間ですね」
「身体がどうでも」
「それでもですね」
「心が人間なら」
「それで人間になりますね」
「そうよ、人間なのよ」
 こう五人にお話するのでした。
「心が人間ならね」
「じゃあ僕も人間だね」
 ゴブリンは笑ってお話しました。
「そうだね」
「そうよ、それで貴方の国は何処にあるのかしら」
「ここからかなり遠いよ」
「そうなの」
「そうなんだ、けれどね」
 それでもというのです。
「僕は今修行の旅に出ていてね」
「それでここにいるのね」
「今大統領がオズの国を巡って」
 そうしてというのです。
「皆の見識を高めて国を治めることに役立てようってお話して」
「それでなのね」
「僕もね」
「旅をしているのね」
「そうなんだ」
 こうケーキにお話するのでした。
「僕は国の警察官だけれど」
「お巡りさんとしてなのね」
「色々学ぶ為にね」
 まさにその為にというのです。
「そうしているんだ」
「そうなのね」
「それでね」
 ゴブリンはさらにお話します。
「うちにドワーフの人達もいるけれど」
「そちらの人達もいるのね」
「その人達の為のいいものを見付けたんだ」
「それは何なの?」
「オリハルコンを見付けたんだ」
「あの鉱物をなのね」
「うん、見付けたから」
 それでというのです。
「帰ったらお話するよ」
「それじゃあここにドワーフの人達が来て」
「それでね」
「掘ることもなのね」
「それか売ってもらうか」
 そうしてというのです。
「それで手に入れるよ」
「そうするのね」
「僕は鉱物は詳しくないけれど」
 それでもというのです。
「ドワーフの人達が言うには素晴らしい鉱物で手に入れたいそうだけれど」
「オリハルコンはオズの国でも貴重だからね」
 王子が言ってきました。
「だからだね」
「うん、欲しいけれどね」
「君達の国には中々なんだ」
「手に入らなくて」
「それでだね」
「見付けたから」
 だからだというのです。
「ドワーフの人達にお話するよ」
「そうするんだね」
「警察官として色々な警官の人達も見られたし」
 オズの国のというのです。
「いい旅をしているよ」
「それは何よりだね」
「うん、それで君達もフェアリーの国に行くんだね」
「そうなの、さっきお話した通りにね」 
 またケーキが答えました。
「そうするの」
「僕も先日あの国に行ったけれど」
「そうだったの」
「いい国だから」
 それでというのです。
「貴女達も行くといいよ」
「それじゃあね」
「じゃあ僕はこれでね」
「ええ、またね」
「機会があったらね」
「会おうね」
 こうお話してでした、ゴブリンは一行と再会を約束して今はお別れしました。そしてその後でなのでした。
 一行はフェアリーの国にさらに向かいました、夜になると休みますが皆近くの川でそれぞれ身体を洗ってです。
 奇麗になってから寝ようとした時にでした、ナターシャはふと夜空が目に入って興味深そうにケーキにテントに入る前に言いました。
「星座は同じですね」
「オズの国の星座もっていうのね」
「はい、外の世界の星座と」
「だってお空は同じだから」
「外の世界と、ですね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「お空はね」
 そこはというのです。
「同じよ」
「だから星座もですね」
「同じよ、ただね」
 ケーキはこうもお話しました。
「違うところもあるわ」
「外の世界と、ですね」
「そう、星座は同じでも」
「あっ、色々な鳥やお魚が飛んでいて」
「海みたいにね」
「それで雲には」
「お城があって騎士や天使やドラゴンがいて」
 そうしてというのです。
「ポリクローム達みたいに」
「妖精さん達もですね」
「いるから」
 だからだというのです。
「そこはね」
「違いますね」
「そうよ」
 そこはというのです。
「また違うわ」
「そうですよね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「そうした違いもね」
「わかっておくことですね」
「そうよ、そしてこうしたお話をすると」 
 にこりと笑ってです、ケーキはナターシャにお話しました。
「またお空に行きたくなったでしょ」
「オズの国のお空に」
「そうでしょ」
「はい、また行って」
 ナターシャはケーキにその通りだとにこりと笑って答えました。
「そうして」
「楽しみたいわね」
「そう思いました」
「それなら機会があれば」
「その時にですね」
「またね」
 その時にというのです。
「行くといいわ」
「そして楽しむことですね」
「それがいいわ」
 是非にと言うのでした。
「かく言う私もずっと行っていないし」
「それじゃあケーキさんも」
「また機会があればね」
 その時にというのです。
「行かせてもらいたいわ」
「そうですか」
「是非ね、けれど私は旅自体出ることが少ないから」
「そのことが、ですか」
「ネックね」
 ケーキにとってとです、自分で言うのでした。
「そのことがね」
「そうですか、けれどオズの国ですから」
 ナターシャはそのケーキにお話しました。
「機会はあちらからやって来て」
「それでっていうのね」
「旅に出られますよ」
「今回みたいに」
「そうなると思いますよ」
「そうね、言われてみればね」
「はい、オズの国はそうした国ですから」
 だからだというのです。
「私達もそうですし」
「そういえば今回貴女達はどうしてオズの国に来たの?」
「そのことですね」
「ええ、どうしてかしら」
「やっぱり五人でまたオズの国に行きたくなったとお話して」
「それでなのね」
「この国に来ました」
 ナターシャはケーキに自分達が今回オズの国に来た理由をお話しました。それも明るい笑顔でそうしたました。
「今回も」
「そうなのね」
「そうしたらでした」
「私達と一緒に旅にとなったのね」
「そうなりました」
「成程ね」
「それでオズの国に来たら」
 その時のこともです、ナターシャはお話しました。
「不思議とドロシーさんとかかしさん、樵さんと」
「オズマ姫にもよね」
「この人達とは絶対にお会いします」
「もうそれは決まってるのね」
「決まっている筈がないのに」
 それでもというのです。
「お会いします」
「絶対に」
「不思議と」
「それもオズの国ね
「誰かと絶対にお会いすることも」
「ええ、そもそもね」
 ここでケーキはこんなこともお話しました。
「ドロシー王女がオズの国の主な冒険に参加しなかったことは殆どないでしょ」
「確かオズマ姫が男の子から女の子になる」
「その時だけね」
「あの時はオズの国におられなくて」
 それでだったのです。
「そしてオズの国に行くことも」
「なかったわね」
「そうでしたね」
「あの時は別にして」
「それからは」
「もうオズの国の主な冒険にはね」
 それこそというのです。
「参加しているから」
「だからですね」
「ドロシー王女とも会うし」
 オズの国に来ればです。
「それでかかしさんと樵さんは」
「ドロシーさんの一番古いお友達で」 
 このことは臆病ライオンも同じです。
「ドロシーさんと深い縁があるので」
「お会いしますね」
「そう、お二人はオズの国の主な冒険には殆ど関わるから」
「ドロシーさんと同じで」
「その冒険に参加していなくても」
 それでもというのです。
「関わるからね」
「だからですね」
「貴女達もお会いするの、そしてオズマ姫は」
「言うまでもないですね」
「オズの国の国家元首だから」
 それだけにというのです。
「会うのよ」
「縁ですね」
「そう、これもね」
「オズの神々のお引き寄せですね」
「それでなのよ、もうそれはね」
 オズの神々の働き、人と人の出会いのそれもというのです。
「私達の知ることの出来ない」
「そうした力ですね」
「神々のね」
「そういうことですね、じゃあ」
「神々のお力に感謝しながらね」
「そうしつつですね」
「フェアリーの国にも行きましょう」
 ケーキは笑顔でお話しました、そしてです。
 フェアリーの国にい歩いて進んでいきました、歩けば歩くだけ近付いていって遂に赤い森が見えてきました。
 その森を見てです、リンキティンク王は言いました。
「あの森がじゃな」
「そうよ、フェアリーの人達の国よ」
 王女が地図を見つつリンキティンク王に答えました。
「あのカドリングの森がね」
「そうであるな」
「遂に見えてきたわね」
「ほっほっほ、ここまでも面白い旅であった」
「そうね、ただ」
「ただ。何じゃ」
「いや、オズの国だけあって」
 王女はリンキティンク王にこんなことも言うのでした。
「面白い出会いがね」
「今回もあったのう」
「そうでしょ、何かと」
「クマセンタ−で私達と会って」
「かかしさんや樵さんともな」
「そしてフェアリーの人達ともね」
「さっきはゴブリンの人ともな」
 この人のお話もするのでした。
「会ったのう」
「この出会いもオズの国ならではで」
「実に面白く楽しいのう」
「そうね、じゃあね」
「今からじゃな」
「フェアリーの国に入りましょう」
 こうお話してです、そしてでした。
 皆は森に入りました、そうしてフェアリーの人達と再会するのでした。








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