『オズのハンク』
第十二幕 宮殿のピラミッド
一行はお祭りがあった次の日にピラミッドを後にすることにしました、するとラー神が一行に笑顔でお話しました。
「また機会があればだ」
「お邪魔していいんだね」
「オズの国では何処でも誰も拒まず故」
こうハンクに答えます。
「だからこのピラミッドもだ」
「何時でも来ていいんだね」
「その時はまた会おうね」
メジェド神がラー神の横から言ってきました。
「それで楽しい時間を過ごそうね」
「また貴方を探すことになるかな」
「そうかもね、しかしそれが楽しいなら」
「探してもいいかな」
「僕は全然いいよ」
好きにしていいというのです。
「また僕を探すといいよ」
「それではね」
「さて、その時はね」
ここで言ったのはホルス神でした。
「また色々楽しもう」
「今回みたいにだね」
「オズの国ではいつも楽しく」
それでとです、ホルス神はハンクに笑顔で答えました。
「それが決まりなのだから」
「さて、その時はどうおもてなしをするか」
「楽しみね」
オシリス神とイシス女神が夫婦でお話します。
「何かと」
「全くだな」
「お酒を飲みながら待っているからね」
「だから貴女はいつも飲んでるでしょ」
バステト女神はハトホル女神に注意します。
「全く、何を言うかと思えば」
「あたしらしくていいでしょ」
「まあ二人共言い合わないで」
トト神が二柱の女神の間に入ります。
「静かに」
「そう、言い合っても何もならないからな」
アヌビス神もこう言います。
「止めよう」
「そうね、こうした場で言い合うのもだし」
「それならね」
女神達もこれで収まります、それでセト神も言いました。
「何はともあれ今のお別れは再会を約束する場であるな」
「そうなるね、ではね」
「また会う時まで笑顔で」
「うむ、皆で笑顔でいよう」
ラー神が神々を代表して言いました、自分の祭壇に集まって一行を見送る為に集まっているエジプトの神々の中で。
「そうしよう」
「そうね、人は笑顔で別れるとね」
トロットが応えました。
「ずっとね」
「その時の顔をずっと覚えているからな」
「別れるなら笑顔で」
「それが一番いいのだから」
それでというのです。
「今はそうしよう」
「ではな」
二人でこうお話してです、そしてでした。
一行はエジプトの神々と笑顔でお別れをしてそうして一緒にピラミッドを出ました、ここでカエルマンはお空に物音がしてです。
そこに赤いカドリングのヘリを見付けてグリンダに尋ねました。
「あれグリンダさんの」
「ええ、迎えに来てくれたわね」
グリンダは笑顔で答えました。
「カドリングの私のお城から」
「ではすぐにだね」
「ええ、あれに乗って」
そしてというのです。
「私はカドリングに帰るわ」
「ではこれでお別れだね」
「今はね」
「僕達はこのまま皆と一緒にいるよ」
「都の宮殿までね」
かかしと樵がお話します。
「そうしたいけれど」
「それでいいかな」
「いいわよ」
笑顔で、です。トロットが二人に答えました。
「かかしさんと樵さんが一緒なら大歓迎よ」
「私もだよ」
今度は魔法使いが言いました。
「是非共ね」
「勿論よ、魔法使いさんもね」
「うん、一緒にね」
「じゃあ僕も起きるまでね」
ここでこう言ったのはボタンでした。
「一緒にいさせてもらうね」
「私も宮殿で遊ばせてもらいたいし」
ポリクロームじゃこう言いました。
「是非ね」
「ええ、帰りましょう」
「宮殿までね」
「私達もご一緒させてもらおうか」
「そうですね」
カエルマンとクッキーもお話します。
「そしてそこで、ですね」
「私達の村に戻りましょう」
「そうするのね、貴方達は」
「それでいいでしょうか」
「私達は」
「ええ、いいわよ」
トロットはクッキーとカエルマンにも答えました。
「ではね」
「宮殿までですね」
「そこまで一緒に」
「そうして行こう」
こう言ってです、そしてです。
二人も宮殿まで一緒に行くことになりました、そうしてグリンダはヘリコプターに乗ってでいsた。
そうして一緒に宮殿まで戻ることになりました、ですが。
ここで、です、ハンクが煉瓦の道に入ったところで言いました。
「今回も色々あったね」
「そうだよね」
カルロスが応えました。
「いつも通りね」
「オズの国の冒険だったね」
神宝は笑顔で言いました。
「楽しくて次から次に出来事がある」
「どうなるかわからないけれど」
それでもと言うジョージでした。
「それがまた楽しいんだよね」
「ピラミッドの中もオズの国でね」
それでとです、しみじみとして言うナターシャでした。
「楽しい冒険だったわ」
「迷路に神々に沐浴に祭壇にお祭りに」
恵梨香はその全てを思い出しています。
「楽しい思い出ばかりね」
「うん、スフィンクスさんともお話したし」
「また来る様にな」
そのスフィンクスが石の身体で言ってきました。
「ここに」
「そうしていいんだね」
「うむ、待っているぞ」
「それじゃあね」
ハンクはスフィンクスともお話をしてです、そうして彼とも笑顔で別れました。そうしてそのうえでなのでした。
一行はピラミッドがあった場所から離れて先に進んでいきました、そこでお隣に中南米のピラミッドを見ました。
するとです、そのピラミッドでは今は中南米の神官さん達がお掃除をしています。トロットはその光景を見て目を細めさせました。
「あそこにもまたね」
「行くんだね」
「そうしましょう」
こう言うのでした。
「機会があればね」
「そうだね、あそこもピラミッドだからね」
「行きましょう」
「そしてあそこでもね」
「楽しく過ごすんだね」
「そうしましょう」
「僕ずっとです」
カルロスがトロットに言ってきました。
「ピラミッドといいますと」
「カルロスはブラジル人だから」
「はい、中南米ですから」
この地域の生まれだからだというのです。
「ピラミッドといいますと」
「あのピラミッドだったのね」
「そうだったんです」
「エジプトのよりも」
「最初にあのピラミッドの写真を見て」
「それからだったからなのね」
「はい、ですから」
それでというのです。
「ピラミッドといいますと」
「そこはそれぞれね」
「そうですね、オズの国でもピラミッドは」
「やっぱりね」
トロットはすぐに答えました。
「私達にしてもね」
「エジプトのものですね」
「オズの国は両方あるけれど」
それでもというのです。
「やっぱりエジプトのものね」
「そうなりますね」
「あの大きさだからね、ただ中南米のものもね」
「知られていますね」
「あのピラミッドも神秘的だから」
そうした外観だからだというのです。
「だからね」
「それで、ですね」
「有名だし神々を祀ることは同じだし」
「有名なんですね」
「ええ、そうよ」
「それは何よりですね」
「だからあのピラミッドにも」
その中南米のピラミッドを見つつです、トロットはカルロスにお話します。
「よく人が行くし私達もね」
「またですね」
「行きましょう」
「機会があれば」
「その時にね」
是非にと言うのでした、そしてです。
そうしたお話の後で、です。一行はお昼になるとお昼ご飯にしました。今回はマッシュポテトにジャーマンポテトにです。
ハンバーグ、トマトのシチューそしてレタスを炒めたものにパンとあります。ここでハンクはレタスのシチューとジャガイモを見て言いました。
「ジャガイモとレタスがね」
「ピラミッドでしょ」
「ジャガイモは中南米でね」
「中南米のピラミッドね、トマトもね」」
「そう、そしてレタスはね」
これはとです、トロットはハンクにお話しました。
「セト神のね」
「好物だからね」
「それでエジプトのピラミッドよ」
「そうなるね」
「それでね」
さらにです、トロットはハンクにお話しました。
「ハンバーグの中には大蒜を入れているから」
「そこもエジプトだね」
「そうなるわ、ただ主食はね」
こちらはといいますと。
「パンでも食パンだから」
「エジプトとは関係ないね」
「私達のパンよ」
「オズの国のね」
「そこは違うわね」
「そうだね、それでデザートは」
こちらはといいますと。
「一体何かな」
「今日はアイスクリームを出すわ」
デザートはこちらだというのです。
「楽しみにしていてね」
「それじゃあね」
「それとコーヒーも出すから」
デザートの時にというのです。
「楽しみにしていてね」
「それではね」
「そうしてね、ただね」
「ただ?」
「今回は食べもののことでも勉強になったわね」
トロットはおくも言うのでした。
「古代エジプトのことでね」
「レタスや大蒜が古代エジプトでも食べられていたことが」
「それでパンもよ」
「古代エジプトからだね」
「作られていたけれど黒いパンだった」
「このこともだね」
「そう、そしてね」
それでというのです。
「トマトやジャガイモはね」
「アメリカ大陸のもので」
「ずっとエジプトとか他の地域にはなかったこともね」
「わかったんだね」
「そうした冒険でもあったわ」
こうハンクにお話するのでした。
「今回の冒険はね」
「じゃあそうした意味でも」
「随分とね」
それこそというのです。
「食べもののことでも勉強になったわ」
「じゃあいい冒険だったんだね」
「今回はそちらでもね」
「ピラミッドで食べるもののことを勉強するとか」」
「思わなかったわ、けれど」
「いい勉強になったね」
「凄くね」
実際にとです、トロットはまたハンクに答えました。
「またこうした冒険がしたいわね」
「勉強になる冒険をだね」
「是非ね」
もう皆いただきますをしています、そうしてそのうえで皆で食べています。勿論トロットもそうしていて食べています。
今はマッシュポテトを食べながらです、こう言うのです。
「したいわ」
「そういうことだね」
「食べもののことは大事だからね」
「それでだね」
「他のこともだけれどね」
「そう言われると僕もね、それじゃあ」
今度はハンクが言いました。
「今はレタスやジャガイモを食べながら」
「そうしてだね」
「今度冒険に出たらね」
「その時は」
「そうした冒険になることを祈るよ」
「いいことね、けれど古代エジプトでは」
トロットは今はレタスの炒めものを食べています、オリーブオイルで塩胡椒でさっと味付けをして炒めたものですが。
中には烏賊もあります、トロットは烏賊も食べつつ言うのでした。
「烏賊は食べていたのかしら」
「烏賊?そういえば」
「烏賊とは縁が深い感じがしなかったわよね」
「そういえばそうだね」
ハンクも頷くことでした。
「言われてみれば」
「そうでしょ。」
「ええ、それと」
さらにというのでした。
「蛸もね」
「そちらもだね」
「縁がある感じはしないわね」
「海のものとはね」
「そうよね」
「そうしたことを考えていくのも面白いね」
ここでカエルマンが言いました。
「学問は」
「どうだったかを考えることが」
「そう、それもね」
「そういえば学問は」
「こう思ってからだね」
「はじまるわね」
「だからだよ」
カエルマンもその烏賊を食べつつ言います。
「そう思うこと自体がね」
「面白くて」
「学問のはじまりだよ」
「そういうことね」
「私も本当にね、皆と知り合ってから」
それからのこともです、カエルマンは言いました。
「学問に励む様になったからね」
「そうなったのね」
「何でも本格的に知ろうと思うと」
そこでというのです。
「そこからね」
「色々となのね」
「今のトロットみたいに思う様になって」
「学問に励みだしたのね」
「そうなったからね」
だからだというのです。
「本当にだよ」
「まずはなのね」
「興味を持つことだよ」
「それが学問には大事なのね」
「実際にね、じゃあトロットもね」
「学問に興味を持つといいのね」
「そうだよ、学問は本を読むこともだけれど」
カエルマンはさらに言いました。
「冒険もだからね」
「これをフィールドワークというんだ」
かかしもお話してきました。
「これがね」
「そうそう、本を読むことも学問で」
樵も言うことでした。
「冒険、つまり実際に歩いてその場所に行くこともね」
「学問なのね」
「そうだよ、だからドロシーはね」
「オズの国屈指の学者でもあるんだよ」
二人でドロシーのこともお話します。
「オズの国各地を冒険しているから」
「そうでもあるんだよ」
「そういえばドロシーは行ったことがない場所がなかったね」
ハンクも言います。
「このオズの国で」
「そう、だからね」
「ドロシーはかなりの学者でもあるんだよ」
「学問は本を読んでね」
魔法使いも言います、見れば食パンに苺のジャムをたっぷりと付けてそのうえで美味しく食べています。
「そしてだよ」
「冒険、フィールドワークもだね」
「するものだよ」
「そうだよね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「トロットもね」
「学者さんなんだね」
「そして皆もね」
「じゃあ僕もかな」
「勿論だよ」
「僕本は殆ど読まないけれど」
トロットが読む時に一緒に読みますがその時以外は詠まないのです。
「それでもなんだ」
「そうだよ、それでも本を読んでいて」
「冒険もしているから」
「冒険が主体でもね」
「どっちも楽しんでいたらなんだ」
「学者と言えるんだ、オズの国ではね」
魔法使いはハンクに微笑んでお話しました。
「その様にね」
「そうなんだね」
「だからこれからもね」
是非というのでした。
「冒険をしていこうね」
「魔法使いさんもだね」
「私も機会があれば」
その時はというのです。
「いつも冒険に行ってるし」
「それでだね」
「そう、それでね」
是非にというのです。
「フィールドワークをするよ」
「そういうことだね」
「そうだよ」
ハンクに笑顔で答えました。
「そうしていくよ、それとね」
「それと?」
「宮殿に帰ったらね」
魔法使いはハンクにあらためてお話しました。
「一つ面白いものを見せるからね」
「というと」
「それを見たければね」
「早くだね」
「宮殿に帰ろうね」
「それではね」
「あっ、急がないわよ」
ここでトロットが言ってきました。
「特にね」
「普通に歩いてだね」
「帰りもね」
これもというのです。
「楽しまないとね」
「冒険の旅は帰るまでだからね」
「そうよ、それはね」
「しないんだね」
「確かに魔法使いさんの新しい何かは見たいけれど」
それでもというのです。
「まだね」
「急がないんだね」
「そうよ、それは待っていてもいいでしょ」
「そうだね、魔法使いさんは見せるつもりだし」
「私は披露すると言えば絶対に披露するね」
その魔法使いの言葉です。
「そうだね」
「そうだね、貴方は」
「意地悪はオズの国ではないしね」
「だから余計にだね」
「そうしたことはしないよ」
このことは絶対にと言うのです。
「本当にね」
「だからだね」
「宮殿に帰ったら」
この時はというのです。
「絶対にね」
「見せてくれるんだね」
「そうだよ、ただこのことは魔法ではないよ」
魔法使いはこのことは断りました。
「そのことは断っておくよ」
「魔法ではないんだね」
「知恵と言うべきか再現と言うべきか」
「そうしたものなんだ」
「そのことも言っておくね」
「じゃあそれをだね」
「宮殿で披露するよ、急がなくても」
それでもというのです。
「いいよ」
「そうよね、ではね」
トロットは魔法使いの言葉ににこりと笑って頷きました、そうしてそのうえでまた言ったのでした。
「帰り道もね」
「楽しむんだね」
「是非ね」
「そう、返り道をじっくりと歩いてね」
かかしも言ってきました。
「そうしてだよ」
「楽しめばいいね」
樵もこう言います。
「本当にゴールまでが冒険の旅だからね」
「そこまで楽しんで」
トロットはかかしと樵にも応えました。
「最後の最後までいい思いをしましょう」
「僕はトロットの考えに賛成するよ」
「僕もだよ」
かかしと樵はトロットに笑顔で述べました。
「だからね」
「最後の最後まで行こうね」
「さて、私達は宮殿から村に帰るけれど」
カエルマンもにこにことしています。
「その道も楽しみだね」
「そうですね、ではまずは」
クッキーがカエルマンのその言葉に笑顔で応えます。
「宮殿までですね」
「帰ろうね」
「そうしましょう」
「僕は今度は何時他の場所に行くのかな」
寝ている間にとです、ボタンは腕を組んで首を傾げさせました。
「一体」
「貴方のそのことは本当にわからないから」
ポリクロームがボタンに応えます。
「何とも言えないわね」
「そうだよね」
「私の雲の上のお家にも来たことあったわね」
「あっ、そうだったね」
「お空の上にも来られるし」
「地下や海の中だったこともあるよ」
「オズの国のね」
「人魚の女王様に会ったこともあるし」
ボタンにはそうした経験もあるのです。
「だからね」
「貴方自身もわからないのね」
「本当にね」
実際にというのです。
「そうだよ」
「じゃあ今の冒険を楽しんで」
「次の場所に行ったら」
「その時はそこをね」
「あらためて楽しめばいいね」
「そう思うわ、じゃあ進んでいきましょう」
二人もこうしたお話をします、そしてです。
カルロスもです、恵梨香達四人のお友達に言いました。
「トロットさんと一緒にね」
「そう、一緒にね」
実際にとです。ナターシャが答えました。
「行きましょう」
「急がないでね」
恵梨香はこのことに気持ちを置いています。
「そうしていきましょう」
「最後の最後までね」
神宝は穏やかな声で応えました。
「楽しめばいいね」
「早く帰ろうって気持ちはあっても」
ジョージは実際にその気持ちがあるみたいです。
「ここは落ち着いていないとね」
「そうだね、トロットさん達ノペースに合わせていこうね」
「急ぐ時は急いでね」
ハンクはカルロス達に言いました。
「そうしなくていい時はね」
「そうしなくていいね」
「そういうことだからね」
「だからだね」
「焦らずにいこうね」
「それじゃあね」
こうしたことをお話してです、そしてでした。
一行は特に焦らず宮殿まで戻りました、そうして帰りの道の景色や途中で会う人や生きもの達と出会いやお話も楽しんで途中のお食事もそうしてです。
遂に宮殿に着きました、するとオズマやドロシーが笑顔で出迎えてくれました。トロットは彼女達と抱擁を交えさせてから笑顔で言いました。
「これから魔法使いさんが素敵なものを見せてくれるそうよ」
「あら、何かしら」
「その楽しいものは」
「魔法ではないけれどね」
その魔法使いも笑顔で言ってきました。
「それでもね」
「面白いものなのね」
「そうなのね」
「うん、では今から用意をするよ」
こう言ってです、出したものは。
一辺が一メートルはあるエメラルドのピラミッドでした、見れば中は空洞です。
その中に土を入れてです、魔法使いは皆にお話しました。
「ここに蟻を入れるんだよ」
「あっ、蟻の巣ですか」
「そうだよ、ガラスケースの中に蟻の巣を作ったら」
魔法使いはカルロスににこりと笑って答えました。
「そうしたらだね」
「巣の状況も見られすね」
「だからそれをね」
「ピラミッド型にしたんですね」
「こうしたら余計に観られるね」
「はい、本当に」
「それでなんだ、私は前から考えていたけれど」
魔法使いはカルロスに笑ってお話しました。
「一つ作ってみたんだ」
「エメラルドのピラミッドの中にですね」
「土を入れたね、後はね」
「ここにですね」
「そう、蟻達を入れて」
そうしてというのです。
「暮らしてもらうよ」
「これからですね」
「では住人達も出すよ」
こう言ってです、そしてでした。
魔法使いは蟻達を出してピラミッドの前に置きました、そうして彼等に対して穏やかな笑顔でお話しました。
「ではこれから住んでもらうよ」
「このピラミッドでよね」
蟻達の中で一際大きな蟻、女王蟻が小さな声で応えました。
「そうしていいのね」
「そうだよ、食べるものは幾らでもあるからね」
「だからなのね」
「ここに住んでもらえるかな」
「ええ、いいわよ」
女王蟻は魔法使いに答ました。
「私達もこんな素敵な場所が巣になるならね」
「歓迎なんだ」
「大歓迎よ」
歓迎どころかというのです。
「本当にね」
「そう言ってくれるなら私も嬉しいよ」
作って用意したかいがあったというのです。
「本当にね」
「そうなのね」
「それじゃあね」
「ええ、今からね」
「ここに入ってね」
「わかったわ」
「このピラミッドは中庭に置きましょう」
オズマがにこりと笑って言いました。
「そうしましょう」
「それでだね」
「そこに住んでもらいましょう」
その中庭にというのです。
「是非ね」
「蟻だからだね」
「蟻の食べものは中庭に一杯あるでしょ」
「大好きな甘いものもね」
「この宮殿のね、だからね」
それでというのです。
「そうしましょう」
「そこは貴女にお任せします」
女王蟻はオズマに丁寧な口調で答えました、オズマはオズの国全体の国家元首なので女王蟻にとっても元首にあたるので敬意を払っているのです。
「是非」
「それではね」
「はい、それでは」
「貴方達がピラミッドに入ったらね」
その時はというのです。
「是非ね」
「中庭にですね」
「ピラミッドを運ぶわ」
「そうしますか」
「ええ、そうするわ」
こう言ってです、そしてでした。
皆でピラミッドを中庭に置いてでした、それから皆で蟻達を見ますと普通の蟻達より動きがいいです。最初にこのことに気付いたのはハンクでした。
「何か蟻達が元気だね」
「これはピラミッドパワーだね」
魔法使いが笑顔で答えました。
「どうやら」
「ピラミッドパワー?」
「そう、ピラミッドパワーだよ」
まさにというのです。
「これはね」
「ええと、その力は」
「ピラミッドには不思議な力が宿っているんだ」
魔法使いはハンクにお話しました。
「それで中に入れたものが長持ちしたり人が入ると本来の力が発揮されたりね」
「そうした力があるんだ」
「そうも言われていてね」
それでというのです。
「蟻達もね」
「元気なんだね」
「そうなっているんだ」
「成程ね」
「そういえば僕達も」
ここでカルロスが言いました。
「ピラミッドの中では随分とね」
「いつも以上にだね」
「元気で」
それでとです、カルロスはハンクに答えました。
「よく動けたね」
「そうだったね」
「そう、そしてそれは」
「僕達がピラミッドの中にいたからだね」
「そうだったんだね」
「ピラミッドパワーね」
オズマもそのお話を聞いて言いました。
「その力ね」
「オズマ姫はご存知なんですか」
「ええ、これも魔法のうちだから」
それでとです、オズマはカルロスに答えました。
「私も知っているわ」
「そうなんですね」
「こうしたものも魔法なのよ」
「ピラミッドも」
「あれ自体がね、古代エジプトでは魔法の研究も盛んだったから」
オズマはこのお話もしました。
「ピラミッドのこともわかっていたのよ」
「不思議な力があることが」
「そうよ、ピラミッドは高度な数学の知識があって」
それでというのです。
「魔法もよ」
「使われているんですね」
「そちらもね」
「そうだったんですね」
「ただ神々もいるだけじゃないのよ」
「そうですか」
「そうした場所なのよ。けれど」
オズマはこうも言いました。
「古代エジプトは本当にね」
「そうしたことからもですね」
「かなり凄かったわね」
「古代なのにですね」
「数学の知識があってね」
「魔法もですね」
「他にも農業や天文の地理も豊富だったのよ」
そちらの学問も発達していたというのです。
「古代エジプトは」
「そうだったんですね」
「そう、そしてその知識はね」
それはといいますと。
「オズのお国にそのまま入っているわよ」
「そうなんですね」
「もう今の外の世界には伝わっていない知識もね」
「オズの国ではですね」
「伝わっているのよ」
「そうなんですね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「私達も学んでいるのよ」
「そうですか」
「そして魔法を使っているのよ」
「何か凄いですね」
「オズの国は外の世界にないものもあるわね」
「それも沢山ありますね」
「そのうちの一つなのよ」
古代エジプトの知識もというのです。
「実はね」
「そう、そして私達もね」
魔法使いもカルロスにお話します。
「ちゃんとね」
「そうした知識をですね」
「学んでね」
「備えておられるんですね」
「オズの王立退学の図書館にもあるしね」
「書物に収められているんですね」
「そうだよ」
実際にというのです。
「そうなっているからね」
「だからですね」
「オズの国で魔法を使える人は限られているけれどね」
オズマとこの魔法使い、そしてグリンダの三人だけです。
「それでもだよ」
「知識はですね」
「オズの国にはあってね」
「学べるんですね」
「そうだよ、古代エジプト語も」
言語もというのです。
「残っているからね」
「何かそういうものも」
「ちゃんとあるから」
だからだというのです。
「学ぶといいよ、興味があるものはね」
「何でもですね」
「何時でも学んでいいことがね」
「オズの国なんですね」
「おかしな知識はね、自然とね」
そうしたものはといいますと。
「オズの国に入る時にね」
「外されるんですか」
「濾過されるからね」
そうされるというのです。
「自然とね」
「オズの国に入る時に」
「そうなるからね」
だからだというのです。
「安心してね」
「それでは」
「さて、皆宮殿まで帰ったけれど」
それでもと言うハンクでした。
「これからどうしようかな」
「それぞれの場所に帰る人もいるけれど」
それでもとです、トロットはハンクに応えました。
「まずは皆が宮殿に帰られたお祝いにね」
「それでなんだ」
「パーティーを開かない?」
「そこで飲んで食べてだね」
「歌やダンスも楽しんで」
そうしてというのです。
「お祝いをしましょう」
「そうだね、こうした時はね」
「いつもよね」
「パーティーを開くね」
ハンクもそうしたパーティーはよく経験しています、オズの国もパーティーはいつものことなのです。
だからとです、ハンクも頷きました。
「それじゃあ」
「これからね」
「まずはパーティーだね」
「それを開きましょう」
「いいことね」
パーティーと聞いてです、オズマはにこりと笑って答えました。
「そうしましょう」
「そうね、こうした時はね」
まさにとです、ドロシーも応えました。
「パーティーよね」
「トロットもわかっているわね」
「だっていつもでしょ」
トロットはドロシーににこりと笑って言葉を返しました。
「こうした時はね」
「冒険から帰ったら」
「皆そのことをお祝いしてるわね」
「パーティーを開くから」
「だからね」
それでというのです。
「ここはね」
「冒険が終わったことを祝って」
「パーティーにしましょう」
「じゃあどんなパーティーにしようか」
カエルマンは笑顔で言ってきました。
「一体」
「そうね、ここはね」
オズマはカエルマンの言葉に考えるお顔になって答えました。
「お茶やジュース、お菓子や果物を沢山出して」
「そうしてだね」
「甘いものを飲んで食べる」
「そうしたパーティーだね」
「それでどうかしら」
こう提案するのでした。
「今回のパーティーは」
「それではね」
「それとね」
オズマはさらに言いました。
「今回はこの中庭で楽しみましょう」
「場所はここだね」
「ええ、ここでね」
まさにというのです。
「楽しみましょう」
「そうするんだね」
「テーブルや椅子も持ってきて」
そうしたものも用意してというのです。
「そしてね」
「楽しめばいいね」
「じゃあ早速用意しましょう」
トロットもお話に入ってこう言います。
「テーブルや椅子を出して」
「食べものや飲みものもね」
「そうしてね」
「そのうえでね」
「すぐにね」
用意出来たらというのです。
「そうしましょう」
「是非ね」
「ええ、そして」
それでというのです。
「その後でね」
「それぞれのお家にね」
「帰りましょう」
「僕も自分のお家に戻るよ」
「僕もそうするよ」
かかしと樵が言ってきました。
「あのブリキのお城にね」
「懐かしいウィンキーの我が家にね」
「私達も村に帰えるよ」
「そうさせてもらいます」
今度はカエルマンとクッキーがお話します。
「パーティーの後で」
「黄色い煉瓦を歩いていってね」
「帰りますね」
「そうさせてもらうよ」
「私は虹を出してお空に戻って」
ポリクロームも言います。
「そうしてね」
「貴女のお家に戻るわね」
「そうするわ、そうしてね」
そのうえでというのだ。
「またね」
「こちらに来てくれるのね」
「そうさせてもらうわ」
こうトロットに答えました。
「いつも通りね」
「ではね」
「そうさせてもらうわ」
「僕はまた起きた時に他の場所にいたら」
ボタンは自分のその体質からお話します。
「そこからね」
「他のところに行っているから」
「その時まで宮殿にいていいかな」
「貴女はそれでいいわ」
トロットはボタンににこりと笑って答えました。
「そうした子だから」
「だからだね」
「ええ、じゃあ暫くここにいてね」
「そうさせてもらうね」
「僕達は」
カルロスは五人を代表して言いました。
「このパーティーの後はね」
「あの渦を通ってね」
「そうしてだね」
「私達の世界に戻りましょう」
「そうしましょう」
「そうしてくれるね、だったらね」
それならとです、ハンクがカルロスに笑顔で応えました。
「またすぐに来てくれるね」
「オズの国に行きたくなったらね」
「そうだね、じゃあその時にね」
「まただね」
「一緒に遊んだり冒険してね」
そうしてとです、ハンクはカルロスに笑顔で答えました。
「そのうえでね」
「楽しい思いをだね」
「しようね」
「うん、じゃあね」
「その時にまた会おうね」
ハンクはカルロス達に笑顔で言いました、そうして今はほんの一時のお別れの前のパーティーを楽しみました。そのパーティーもとても楽しいものでした。
オズのハンク 完
2019・7・11