『オズのハンク』




               第九幕  隼の目の神様

 トロット達はピラミッドの中をさらに進んでいきます、その中でハンクはこんなことを言ったのでした。
「何か僕達いい匂いするね」
「それは当然だよ」
 カエルマンがハンクに笑って答えました。
「何しろ神々の祭壇に行く度にだよ」
「沐浴してだね」
「身体を洗っているからね」
 だからだというのです。
「身体が奇麗になって」
「それでだね」
「体臭もね」
 それもというのです。
「悪い匂いはなくなって」
「それでだね」
「そう、いい匂いになって」
 体臭がそうなってというのです。
「そしてね」
「それでだね」
「今の私達はいい匂いがするんだよ」
「そういうことだね」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「それは当然のことだよ」
「それで納得していいね」
「そう、それとね」
「それと?」
「さらにだよ」
「僕達はこれからもだね」
「身体を奇麗にして」
 そしてというのです。
「いい匂いになっていくよ」
「そういうことだね」
「一日何回も沐浴をして」
「奇麗にしていこうね」
「これからもね」
「そういうことでね」
「ええ、まさかね」
 トロットも笑顔で言います。
「こんなにお風呂に入るなんてね」
「思わなかったね」
「普通冒険はね」
 これに出ている時はというのです。
「お池や川で身体を奇麗にするけれど」
「それでもだよね」
「そう、お風呂にはね」
「そうそう入らないね」
「ええ、だから」
 それでというのです。
「今回みたいにね」
「何度も入ることは」
「珍しいわ」
「そうだね」
「その分気持ちいいわ」
「全くだね、ではね」
「次の祭壇でも」
 そこでもというのです。
「沐浴をしましょう」
「それじゃあね」
 こうしたお話をしてです、そのうえでなのでした。
 皆でさらに先に進んでいきます、そしてお昼は皆でピザにグラタンそしてパスタといったイタリア料理を出しました。生ハムが入ったサラダにタルトもあります。
 パスタはスパゲティカルボナーラとネーロの二つのスパゲティです、ボタンはそのスパゲティを見てこんなことを言いました。
「白黒だね」
「そうね、モノクロね」
 ポリクロームが応えました、見れば飲みものは葡萄のジュースです。カエルマンには赤ワインが出されています。
「スパゲティは」
「そうだよね」
「ピザは赤で」
「スパゲティは白と黒ね」
「それでグラタンは白だけれど」
「ワインは赤で」
「奇麗な色合いね」
「三色でね」
「ええ、今回は色を考えて」 
 それでとです、トロットが二人に答えました。
「それでなの」
「このメニューにしたんだね」
「そうなの」
「イタリア料理ですね」
 クッキーはにこりとしてお話しました。
「メニューのジャンルは」
「そうしたの」
「生ハムもありますね」
「サラダも用意したけれど」
「こちらはですね」
「生ハムでね、それでピザにはね」
「トマトとソーセージですね」
「あとグラタンはマカロニを沢山入れて」
 見れば沢山のマカロニが入っています。
「そしてどのメニューにも大蒜を入れたの」
「そういえば」
 見ればスパゲティにもピザにもスライスされたガーリックが入っています、そしてです。そのうえでさらにです。
 グラタンにもサラダにも入っています、サラダに入っているのはよく焼かれて細切れにしたものが入っています。
 その大蒜を見てです、クッキーは言うのでした。
「イタリア料理は大蒜を沢山使いますね」
「それが美味しさを引き立てていますね」
「そう、だからね」
「大蒜もですか」
「沢山使ったけれど」
「だから美味しいですね」
「それに大蒜は身体にもいいし」
 このこともあってというのです。
「入れたのよ」
「そういえばね」
 ハンクが言ってきました。
「古代エジプトでも大蒜を食べていたんだったね」
「それでここでもね」
「よく食べてるよね、皆」
「それも見てなの」
 トロットはハンクに笑顔で答えました。
「大蒜をね」
「沢山使ったんだね」
「イタリア料理ということもあってね」
「ここぞとばかりに入れたんだね」
「今回の冒険も歩いてばかりだけれど」
 それでもというのです。
「こうしてね」
「元気が出るものを食べていると」
「その分頑張れるでしょ」
「うん、実際にね」
「だからこのお昼もね」
「しっかりと食べて」
「そしてね」 
 そのうえでというのです。
「頑張っていきましょう」
「それじゃあね」
「それと」
 こうも言ったトロットでした。
「スパゲティにはね」
「あっ、チーズだね」
「これは忘れないでおきましょう」
「そうだよね、チーズが入るとね」
「スパゲティは余計に美味しいでしょ」
「大蒜が入ってね」
「チーズも入っていると」
 見ればメニューの中にしっかりと粉チーズが入った壺もあります、そこにはスプーンも添えられています。
「余計に美味しいから」
「だからだね」
「用意したから」
 それでというのです。
「ふんだんにね」
「スパゲティの上にかけてだね」
「食べましょう」
「それじゃあね」
「あれですよね」
 ここで神宝が言ってきました。
「古代エジプトではピラミッドを建設する時に食べていて」
「それで力をつけて働いていたんだったね」
 ジョージは神宝に応えました。
「ピラミッドの作業を」
「暑いエジプトで肉体労働は大変だったと思うけれど」
 それでもと思うナターシャでした。
「大蒜を食べて頑張っていたのね」
「あの建設作業は農作業がない時にするもので」
 それでと言った恵梨香でした。
「ファラオが用意してくれたものだったね」
「それ有名だよね」
 カルロスが応えました。
「無理に働かせていなくて」
「そうみたいだね」
 その通りとです、カエルマンが五人に答えました。
「外の世界のピラミッドの作業は」
「エジプトは農業をしていましたが」
「ナイル川を使ってね」
「それで文明も発展したんですが」
「農業は外の世界ではずっと一年中出来なかったね」
「冬はやっぱり」
 この季節はというのです。
「僕のお国には冬はないですが」
「ブラジルではだね」
「はい、ですが他の国にはありまして」
 カルロスは恵梨香達四人を見つつお話します。
「そしてですね」
「そうですよね」
「はい、ですが」 
 それでもというのです。
「外の世界では大抵の国にあって」
「それで、だね」
「冬は寒いので作物が育たなくて」
「それはエジプトもなるのかな」
「あそこは麦が採れない時期で」
 気候の関係でなくというのです。
「冬がなくても」
「それでも農業が出来ない時があって」
「エジプトでは」
 まさにというのです。
「その時期にピラミッドを建築して」
「失業対策にもしていたね」
「そうなんですよね」
「そこが面白いね、ただね」
 ここでハンクが言うことはといいますと。
「オズの国はね」
「そうそう、まず冬がなくてね」
「常春の国でね」
「農作物もね」
「何時でも育って採れるからね」
「麦もお米もね」
「そして他の作物もね」
 穀物だけでなくです。
「だからね」
「働けないって時はないね」
「農家の人達もね」
「そうだよね」
「そう、そして」
 それにというのです。
「ピラミッドもね」
「最初からあるね」
「この通りね」
「そうだよね」
「しかもかなり大きいし」
「多分だけれど」
 ハンクはカルロスに言います、皆食べはじめていてそれぞれスパゲティやピザを楽しく食べています。
「外の世界、エジプトのね」
「どのピラミッドよりもだね」
「凄く大きいと思うよ」
「そうよね」
「そう、それで」
 それでというのです。
「中もだよ」
「こうして色々な神様や人が生きものがいるね」
「迷宮になっているんだ」
「エジプトのピラミッドは王様のお墓だから」
「ファラオのだね」
「そこもね」
 どうにもというのです。
「違うね」
「そうだよね」
「そう、だから」
 それでというのです。
「外の世界のピラミッドとはね」
「本当に違うね」
「オズの国のピラミッドだから」
 今自分達がいるそこはというのです。
「そのことはね」
「しっかり覚えておいて」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「冒険を続けていこうね」
「それじゃあね」
「それとね」
 さらにというのです。
「もう一つあるよね」
「私達の冒険はね」
 トロットはカルボナーラを食べつつ応えました、白いスパゲティの中にある黒胡椒が実によく生えています。
「目的があるから」
「メジェド神を見付けるっていう」
「それがあるから」
 だからだというのです。
「しっかりとね」
「探していこうね」
「これからもね、ひょっとして」
 こうも言ったトロットでした。
「こうして食べてお話をしている時も」
「メジェド神がふらりとね」
「ここを通るかも知れないわね」
「そうだよね」
 ハンクはサラダを食べつつトロットに応えました。
「ひょっとしたらだけれど」
「それでもね」
「その若しかしたらもだね」
「オズの国ではよくあるから」
 それでというのです。
「楽しみにしておきましょう」
「それじゃあね」
「何ていうか」
 カルロスはネーロ、イカ墨のスパゲティを食べています。イカ墨がまるでインクみたいにスパゲティを真っ黒にしています。
「ここもオズの国なんだなって」
「思うよね」
「うん、若しかしたらがね」
「実際に起こるのが」
「そうしたこともね」
「オズの国だね」
「それで」
 さらに言うトロットでした。
「そこから何かあるのもね」
「オズの国だね」
「きっかけが大きなことになって」
「楽しい冒険になったりするね」
「だからね」
 それでというのです。
「それもまたお伽の国なんだよ」
「ふとしたことから楽しい冒険がはじまる」
「それがね」
「思えば私達も」
 ここでトロットも言います、ピザを食べた後でとても濃い紫色の葡萄ジュースを飲むととてもよく合っています。
「オズの国に来たのは」
「漂流してだったけれどね」
「九死に一生を得たけれど」
「それもだよね」
「お伽の国だから」
「あったことだね」
「そうね、今思うと」
 本当にというのです。
「私達にしても」
「そうだよね」
「それとね」
 トロットはさらにお話しました。
「今私達ピラミッドの結構上の方にいるけれど」
「思えばかなり進んでるね」
「ええ、それで後は祭壇も」
「残り少ないね」
「主な神様だと」
 古代エジプトのです。
「ホルス神とラー神よ」
「あと二柱だね」
「そうなってきたわ」
「思えば結構進んだね」
「ええ、それで神様も」
 主な神様はというのです。
「残り二柱になったら」
「そうだね」
「それとね」
 さらに言うのです。
「先にホルス神のところに行きましょう」
「そちらの神様の方が近いからだね」
「ええ、あと少しだから」
 だからだというのです。
「それでね」
「先にホルス神のところに行って」
「そしてね」
 そうしてというのです。
「お参りしましょう」
「それじゃあね」
「そして最後は」
「ラー神だね」
「若し最後までメジェド神にお会い出来なかったら」 
 その時はというのです。
「本当にね」
「その時はだね」
「ラー神にお願いして」
 そうしてというのです。
「そうしてね」
「それから」
「後はね」
「ピラミッドの冒険も終わるから」
「都に戻って」
「そこでもだね」
「楽しく過ごしましょう」
 都の宮殿の中でというのです。
「そうしましょう」
「それではね」
「それとね」
 さらにお話したトロットでした。
「今のデザートはタルトだけれど」
「それがどうかしたのかな」
「いえ、それはね」
 皆でピザもパスタもどんどん食べてあと少しで全部なくなります。そうした中でハンクに言うのでした。
「もう一つね」
「デザートが欲しいってだね」
「思ったけれど」
「イタリア料理だと」
 ハンクはこのことから答えました。
「ジェラートかな」
「それがいいかしらね」
「そう思ったけれどどうかな」
「そうね」
 少し考えてからです、ハンクは答えました。
「それならね」
「ジェラートをだね」
「出すわね」
 こう言ってすぐにでした、トロットはそのジェラートも出しました。
 そのジェラートを見てです、カルロスはこう言いました。
「イタリア料理っていいますと」
「ジェラートよね」
「はい、これがないと」
 どうしてもというのです。
「何か違うって」
「そうも思いますね」
「だからね」 
 それでというのです。
「出したの」
「そうなんですね」
「タルトもいいけれど」
 それだけでなくというのです。
「こちらもね」
「そういうことですね」
「オズの国にはイタリア系の人もいるけれど」
「外の世界のアメリカが反映されるから」
「その人達もジェラートが大好きなのよ」
「だからいつも食べてるんですね」
「そうなの」
 実際にというのです。
「これをお昼の時に食べないと午後動けないって言う人もいるから」
「そこまでなんですね」
「それで今回も出したけれど」
「よかったですね」
「ええ、じゃあね」
「皆で、ですね」
「食べましょう」
 こうお話してです、そしてです。
 皆でデザートにタルトだけでなくジェラートも食べました、それが終わってからそのうえでなのでした。
 皆は冒険を再開してホルス神の祭壇に入りました、沐浴の後で祭壇の中でホルス神にお会いするとでした。
 隼の頭に強い光を放つ目に若い男の人の身体を持っている神様がいました、この神様が名乗ってきました。
「僕がホルス神だよ」
「貴方がなのね」
「そう、言うならラー神の補佐役だね」
「そうなっているのね」
「そう、古代エジプトではラー神の後の太陽神だけれど」
「オズの国ではラー神はそのままおられるから
「だからだよ」
 こうトロットにお話するのでした。
「僕はそのラー神を補佐する」
「そうした立場なのね」
「そうなんだ、そして裁判もね」
 こちらもというのです。
「司っているよ」
「あっ、ラー神の補佐役だから」
「そちらもなんだ」
「そうなのね」
「それでお父さんがオシリス神だったね」
 ハンクがホルス神にこのことを尋ねました。
「お母さんがイシス女神で」
「そうだよ、父上は植物と冥界の神様で」
「イシス女神は、ええと」
「結婚や家庭をだよ」
「そういったものを司る神様だね」
「そうだよ、そして僕はね」
 少年の様な明るい声で言います。
「偉大なるラー神の補佐役で」
「そしてだね」
「裁判も司っているんだ」
「そうだね」
「それで君達はこのピラミッドにはじめて来たね」
「そうなんだ」
 その通りだとです、ハンクはホルス神に正直に答えました。
「僕達は」
「それはいい時に来たね」
 ホルス神はハンクの返事を聞いてにこりと笑ってこう言いました。
「とても」
「っていうと?」
「明日ピラミッドで神々がラー神の祭壇に集まってね」
「何かあるのかな」
「お祭りをするから」
「あっ、そのお祭りにだね」
「参加出来るから」
 だからだというのです。
「丁度よかったね」
「ああ、そういうことなんだ」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「本当に運がよかったね」
「成程ね、そういうことなんだ」
「そうだよ、だからね」
「明日だね」
「お祭りに参加するといいよ」
「それじゃあね」
 ハンクはホルス神の言葉に笑顔で応えました、そして今度はボタンがホルス神にあどけない調子で言ってきました。
「ここにメジェド神は来なかったかな」
「あの神がかい?」
「うん、どうなのかな」
「来ていないよ」
 ホルス神はボタンにすぐに答えました。
「これといってね」
「そうなんだ」
「そう言う君はボタン=ブライトじゃないか」
 ホルス神は彼の姿をよく見て言いました。
「この前僕の祭壇、ここで朝寝ていたね」
「そうだったかな」
「起きたら何処かに行ってたけれど」
「わかんなーーい」
「いや、わからないって言われても」
 それでもというのです。
「君は確かにここにいたよ」
「そうだったんだ」
「オズの国には色々な人がいるけれど」
 ホルス神はボタンに考える顔でお話しました。
「君の噂は聞いてたよ」
「僕の噂?」
「寝ている間のオズの国の何処かに瞬間移動している子がいるってね」
「それが僕だってなんだ」
「聞いていたけれど」
「その僕になんだ」
「実際に会って見ていて」
 それでというのです。
「本当なんだって思ったよ」
「貴方にはよくあることね」
 ポリクロームはボタンとホルス神のやり取りを聞いてボタンに言いました。
「朝起きたら本当に何処にいるかわからないから」
「だからなんだね」
「ええ、ピラミッドの中にもいたのね」
「僕知らないよ」
「知らなくてもよ」 
 ボタン自身がそうでもというのです。
「貴方はね」
「ここに来たことがあるんだね」
「ホルス神の言う通りにね」
「オズの国で嘘を吐く人はいませんよ」
 クッキーは笑ってこのことをお話しました。
「それならですよ」
「ホルス神の言う通りになんだ」
「貴方はここにいたのです」
 このホルス神の祭壇にというのです。
「そして朝に起きた時は」
「また別の場所にいたんだ」
「そうだったのです」
「これは君の特殊な能力だからね」
 寝ている間の瞬間移動はというのです、カエルマンもボタンに対して笑顔でこうしたことを言いました。
「だからね」
「ここに来たことがあってもなんだ」
「考えてみれば当然だね」
「他の人達のことも聞いていたよ」
 ホルス神は今度は他の人達のことにも言及しました。
「オズの国の名士達だからね」
「そうだったんだね」
「君のことも聞いていたし」
 ハンクに笑顔で答えます。
「そして他の皆のこともね」
「そうなんだね」
「君達のこともだよ」
 今度はカルロス達五人に声をかけました。
「聞いてるよ」
「僕達のことも」
「外の世界から遊びに来るオズの国の名誉市民の子達だね」
 まさにその通りでした。
「君達は」
「そうだったんですか」
「会うのははじめてだけれど」
 それでもというのです。
「聞いていたよ」
「ううん、どうも」
 カルロスはホルス神のお話を聞いて考える顔で言いました。
「僕達は本当に有名だね」
「そうだね、どうもね」
 ジョージはカルロスのその言葉に頷きました。
「僕達は僕達が思っている以上に有名だね」
「少なくともオズの国ではそうだね」
 神宝も頷きました。
「僕達を知らない人はいない位みたいだよ」
「私達が有名とか」
 恵梨香はこのことが信じられないといった感じです。
「まさかね」
「けれど実際によく知られているわよ」
 ナターシャは皆のリーダー役として言いました。
「これまでのオズの国でのことを思うと
「確かにそうだよね」
 カルロスはナターシャのその言葉に頷きました。
「僕達はピラミッドでもよく知られているしね」
「オズの国の名誉市民でオズマ姫達とお友達なら」
 それならとです、またホルス神がお話してくれました。
「知らない人はいないよ」
「そうなんですね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「僕達以外にもね」
「知っている人はですか」
「多いよ、というか」
「知らない人はですか」
「いないよ」
 そこまでだというのです。
「本当にね」
「そうなんですね」
「それで僕も知っていて」
「他の人達もですね」
「神々もだよ」
 このピラミッドの中にいる、というのです。
「そういうことだよ」
「そうなんですね」
「君達が探しているメジェド神にしてもね」
 この神様もというのです。
「君達のことを知っているよ」
「そうなんですね」
「また言うけれど君達は本当に有名人だから」
 それでというのです。
「本当にね」
「オズの国で知らない人はいなくて」
「メジェド神もね」
「ご存知なんですね」
「そうだよ」
「僕達はピラミッドに来るまでメジェド神のこと知らなかったですが」
「自分は知らなくても相手は自分のことを知っている」
 ホルス神は笑ってこうも言いました。
「こうしたこともあるからね」
「それで、ですか」
「メジェド神も知っているんだよ」
「そういうことですね」
「そう、そして」
 それにというのです。
「メジェド神にどうしても会いたいなら」
「ラー神にですね」
「お願いすればね」
 そうすればというのです。
「会えるよ」
「そう言われていますね」
「だからね」
「どうしてもお会いしたいならですね」
「ラー神のところに行くといいよ」
「そうさせてもらいますね」
「そうすればいいから、しかし僕も」
 ホルス神はここで腕を組みました、そうしてこんなことを言いました。
「メジェド神には最近お会いしていないね」
「そうなんですね」
「気まぐれで風来坊な神様だからね」
 それでというのです、ホルス神も。
「この祭壇にもふらりと来てね」
「そうしてですか」
「帰るんだ」
 こうカルロスに答えます、後ろの壁にとても大きな太陽と月がホルス神の目の様に描かれた祭壇の中で。
「気の赴くままにね」
「そして来ない時もですね」
「多いというか」
「あくまで全部きまぐれですね」
「そんな風だからね」
「本当に何時会えるのか」
「わかったものじゃないよ」
 そうだというのです。
「僕もね」
「それ他の神様も言ってたし」
 それでとです、ハンクも言ってきました。
「メジェド神が風来坊な神様だってことはわかったよ」
「そうした神様もいるわね」
 トロットも言いました。
「中には」
「うん、ギリシアだとヘルメス神とかパン神とかね」
「北欧のロキ神とか」
「こうした神様は風来坊だね」
「気まぐれなところもあったりして」
「そうした神様のうちになんだ」
 ホルス神はハンクとトロットにお話しました。
「メジェド神も入っていてね」
「何時会えるかってことは」
「ちょっとわからないのね」
「そうだよ、まあそれでも」
「どうしても会いたいなら」
「ラー神のところに行けばいいのね」
「そのことはもう他の神様から聞いてると思うけれど」
 それでもというのです。
「君達もね」
「そうしてだね」
「会えばいいのね」
「そうだよ、そして」
 それでというのです。
「君達もね」
「これからラー神の祭壇にも行くつもりだし」
「それなら」
「オズの国では無理かと思わない」
 こうもです、ホルス神は言いました。
「そうだね」
「ええ、オズの国で不可能なことはないわ」
 トロットはホルス神ににこりと笑って答えました。
「不可能が可能にもなる」
「それも不思議なことだね」
「その不思議なことはピラミッドの中でも同じね」
「そう、だからね」
「不可能なことはないね」
「だから無理とか思わない」
「そもそも思う必要がないね」
 こうトロットに尋ねるホルス神でした。
「そうだね」
「確かにね」
「だからね」
 それでというのです。
「これからも」
「希望は忘れないで」
「オズの国では誰の傍にも一緒にいるから」
 それでというのです。
「メジェド神にもね」
「絶対に会えるね」
「じゃあラー神のところにもね」
「行くね」
「最初からその考えだったけれど」
 それでもというのです。
「これからね」
「行ってくるね」
「そうさせてもらうわ」
「わかったよ、じゃあ明日にまたね」
「お祭りの時によね」
「再会を楽しみにしているよ」
「それではね」
 笑顔でお話をしてです、そしてでした。
 一行はホルス神とお互い笑顔で別れてでした、そのうえで。
 皆で次の場所に向かいます、その次の場所こそいよいよです。
「ラー神の祭壇だね」
「ええ、このピラミッドの最上階にあるね」
 トロットはハンクに答えました。
「そこにね」
「行くことになるね」
「このピラミッドの中の主神とお会いして」
「メジェド神にもだね」
「お会い出来るわね」
「いよいよだね」
「そうね、ちょっとした擦れ違いもあったけれど」
 スフィンクスに言われたことも思い出します。
「けれどね」
「それでもだね」
「やっぱりオズの国だから」
「願いは適うね」
「神様にお会いしたいと思えば」
 そう願えばというのです。
「絶対にね」
「会えるね」
「そう、だからね」
 それでとです、トロットはハンクに笑顔でお話しました。
「これからもね」
「先にだね」
「進んでいきましょう」
 是非にと言うのでした。
「そうしましょう」
「それじゃあね」
「ええ、それと」
「それとだね」
「後はね」
「お祭りのことだね」
「今はじめて聞いたけれど」
 それでもとです、トロットは笑顔で言うのでした。
「面白そうだから」
「お祭りにもだね」
「参加させてもらいましょう」
「もうお祭りだとね」
「是非共ね」
 それこそとです、トロットは言うのでした。
「参加させてもらわないとね」
「そうだよね、僕達の場合はね」
「お祭りに参加させてもらわないと」
「駄目だね」
「いい機会だし」
 それでというのです。
「どんなお祭りかも知りたいし」
「それならだよね」
「何があってもね」
「明日はだね」
「お祭りに参加させてもらうわ」
「そういうことだね」
「あとね」
 ここでこうも言ったトロットでした、見れば携帯を取り出してそれで時間をチェックしてからの言葉です。
「もう三時だから」
「お茶の時間だね」
「ええ、そちらにしましょう」
「それじゃあね」
 こうしてでした、皆で迷路の端に移ってそこに車座に座ってトロットが出したテーブル掛けの上にティーセットを出してです。
 そうしてです、皆で飲みますが今回のお茶はといいますと。
「中国茶となんだ」
「そう、マンゴープリンにね」
 トロットはカエルマンに笑顔で答えました。
「杏仁豆腐にね」
「それとごま団子だね」
「このセットにしたのよ」
「中国のティーセットだね」
「そうよ、それにしたの」 
 そうだったというのです。
「今日は」
「そうだね、こちらもいいね」
「中国もお茶の国だし」
「お菓子も充実しているね」
「お茶がコーヒーがあると」
 それでとです、トロットはさらに言いました。
「お菓子ってよくなるよね」
「というかお菓子がないと」
 それこそとです、ここで言ったのは恵梨香でした。
「お茶やコーヒーはね」
「それだけになるから」
「だからですね」
「お菓子も必要だから」
「こうしてですね」
「お菓子も出されているのよ、それじゃあね」
「今からですね」
「楽しみましょう」
 その中国のティ―セットをというのです。
「これから」
「わかりました」
「いや、お茶を飲むと」
 ハンクもお茶を見て目を微笑まさせてお話します。
「幸せな気持ちになれるよね」
「それだけでな」
「そこにお菓子もあったら」
「余計にでしょ」
「幸せな気持ちになれるね」
「だからいつもティータイムにはね」
「両方出すんだね」
「そうしているの」
 実際にというのです。
「いつもね」
「それで他の皆もだね」
「そうしてるのよ」
 オズマやドロシーもというのです、勿論ベッツイもです。
「確かな決まりはないけれど」
「美味しい組み合わせだからだね」
「お茶とお菓子は同時に出してるの」
 ティータイム、この時はというのです。
「そうしてるのよ」
「そういうことだね」
「そうよ、ではね」
「飲んで食べて」
「そうしてね」
「また歩いていくね」
「そうしましょう、それと今夜は」
 トロットは晩ご飯のお話もしました。
「何がいいかしらね」
「ビーフシチューとかどうですか?」
 カルロスは晩ご飯についてこのお料理を出しました。
「こちらは」
「ビーフシチューね」
「それと日本で食べた」
 カルロスはトロットにさらに言いました。
「オムライスとか」
「ああ、あれね」
「オムライスもご存知ですか」
「オズの国にもあるわよ」
 オムライスはとです、トロットは笑顔で答えました。
「あのお料理はね」
「そうなんですね」
「オズの国にも日系人の人がいてね」
「オムライスは日本の食べものだから」
「そう、日本の洋食でしょ」
 このうちの一つだからというのです。
「それなら日系人の人がいるとね」
「オムライスもですね」
「あるから」
 それでというのです。
「私もオムライス好きよ」
「そうなんですね」
「じゃあ晩ご飯はビーフシチューとね」
「オムライスですね」
「あとお野菜のソテーを出して」
 こちらもというのです。
「デザートはその時に考えて。飲みものも」
「何にするかは」
「こちらはそれぞれが好きなものをね」
 そういったものをというのです。
「言ってくれたらね」
「テーブル掛けから出すね」
「そうすればいいわ、じゃあ」
「夜はだね」
「そうしていきましょう」
 こうお話してでした、そのうえで。
 今はティータイムの中国のティーセットを楽しみました、お茶もお菓子もどれも素晴らしい味でした。








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