『オズのハンク』




               第三幕  スフィンクス

 一行は中南米のピラミッドでの儀式と宴を楽しんでから次の日の朝に出発しました。神官さんやインディオの人達とは朝ご飯の後で笑顔で別れました。
 それから黄色い煉瓦の道をまた進んで行きますがカエルマンは軽い足取りで歩きっつつ皆に言いました。
「やはり朝に泳ぐといいね」
「日の出と一緒に泳いでいたわね」
「うん、プールでね」
 こうベッツイに答えます。
「そうしていたよ」
「それですっきりしたみたいね」
「身体を動かすことにもなったし」
 スポーツが出来てというのです。
「そしてだよ」
「お酒も抜けたのね」
「うん、お水の中にいてね」
 それでというのです。
「そのお陰もあってね」
「二日酔いだったのね」
「それが完全にね」
「すっきりして」
「今はこの通りだよ」 
 軽い足取りで歩ける位だというのです。
「有り難いことにね」
「それはいいことね」
「うん、ではね」
「これからもね」
「そう、ピラミッドに向かおうね」
「このままね」
「今日中に着くね」
「そろそろ見えてくる頃よ」
 ベッツイは地図を開いてそれを観つつカエルマンに答えます、勿論その足は止まっていません。これは他の皆も同じです。
「ピラミッドが」
「そうだね、ではね」
 カエルマンはその丸くて大きな目を動かしながら言いました。
「楽しみしているよ」
「ピラミッドが見えてくることを」
「是非ね」
「今度のピラミッドも凄いんだよね」
 ボタンはベッツイに尋ねました。
「中身が迷路になっていて」
「そうなの、昨日のピラミッドよりずっと大きくて」 
 ベッツイはボタンの問いに答えました。
「それで中にも入ることが出来て」
「中が迷路だよね」
「そうなの、しかもその迷路が」
 さらにお話します。
「何層も重なっていて」
「余計に凄いんだ」
「しかも中に色々な人が住んでいるのよ」
「そのことも凄いね」
「そうした場所だから」 
 それでというのです。
「楽しめるから」
「じゃあ是非ね」
「ボタンもその中に入ったら」
「楽しむよ」 
 こう言ってそうしてでした。
 ボタンも軽い足取りで進んでいきます、そして実際にピラミッドが見えてくると皆目を輝かせました。
 ポリクロームもです、その黄土色がかかった感じの黄色い三角形の石で出来たそれを観て目を輝かせています。
 そしてです、こうしたことを言いました。
「同じピラミッドでも」
「全く違うでしょ」
「ええ、中南米のピラミッドとは」
 昨日観たそれとはというのです。
「またね」
「あのピラミッドは完全な三角形でね」
「しかも大きさも」
「そう、あちらの方がね」
「遠くにあるのにあの大きさだと」
「どれだけ大きいかわかるでしょ」
「ええ」
 ベッツイに目と同じ感じの声で答えました。
「物凄く大きいわね」
「私達はこれからあの中に入ってね」
「そうしてよね」
「冒険を楽しむのよ」
 そうするというのです。
「今回は」
「そうなのね。ピラミッドの中は迷路だっていうけれど」
「どういった迷路か楽しみね」
「凄くね」
 ポリクロームの声は期待しているもののままです。
「ではこのまま」
「行くわよ」
「そうさせてもらうわ」
「ピラミッドの中には不思議な力もあると聞いてるけれど」
 クッキーはこうしたことを言いました。
「本当かしら」
「ピラミッドパワーだね」
 カエルマンがクッキーに応えます。
「あの力だね」
「本当のことでしょうか」
「オズの世界では本当だよ」
「オズの国がお伽の国だからですね」
「ものが長持ちしたり中にいると」 
 ピラミッドのそこにというのです。
「いつもの様に元気になって色々な力もね」
「備わるんですね」
「そうみたいだよ、だからね」
「ピラミッドの中にいたら」
「ピラミッドパワーのお陰でね」
 まさにその力によってというのです。
「色々いいみたいだよ」
「そうですか、じゃあ」
「早くピラミッドの中に入って」
「そしてね」
「楽しむべきですね」
「ピラミッドパワーを受けることからもね」
「あの力は外の世界ですと」
 ジョージが言ってきました。
「ないって人もいます」
「それは気のせいとか言って」
 恵梨香も言います。
「否定する人がいますね」
「そうした力って他にもありますけれど」
 神宝はピラミッドパワー以外の力にも言及します。
「超能力とか魔法もそうですね」
「何でも科学って人もいます」
 ナターシャはそうした人のお話をしました。
「それで何でも説明出来るとか」
「実際どうかわからないですけれど」
 外の世界ではとです、カルロスも言いました。
「オズの国では違いますね」
「オズの国にいるとわかるよね」
「はい」
 カルロスはカエルマンの言葉に頷きました。
「そうしたことは」
「オズの国ではちゃんとね」
「魔法があって」
「色々な力もあるね」
「そうですよね」
「超能力だってね」
 今お話に出たその力もというのです。
「色々な神秘的な力がね」
「ちゃんとありますね」
「そうだよ、お伽の国だから」
「科学だけじゃないですね」
「そうだよ、というかこの世に万能のものなぞ神様の力だけなのに」
 こうも言うカエルマンでした。
「科学も神様の力の一部でしかないのにね」
「科学が万能かはだね」
 ハンクがカエルマンに言いました。
「そうはだね」
「そう、言えない筈だよ」
「外の世界でもだね」
「私はそう思うよ」
 カエルマンはハンクに真剣な声でお話しました。
「科学はね」
「万能じゃないね」
「そう、そしてね」
「オズの国だとね」
「科学も魔法も。超能力も」
「ピラミッドパワーも」
「全部ね」
 あらゆる力がというのです。
「あって共ね」
「オズの国を豊かにしているね」
「そうだよ」
 カエルマンはハンクに陽気な声でお話しました。
「まさにそれがね」
「オズの国で」
「そのオズの国にいてピラミッドもね」
「その力を実感する」
「そうしようね、しかし外の世界で科学こそ最高で絶対と言ったら」 
 カエルマンは腕を組んでこんなことも言いました。
「よくないよ」
「あれだね、何でも最高で絶対としたら」
「他のことを否定してね」
「認めないことにもなるね」
「そうしたことにもなりかねないから」
 だからだというのです。
「科学にしてもね」
「絶対視はだね」
「外の世界でもよくないよ」
「外の世界ではキリスト教を絶対とする人がいたけれど」
「よくないことになったね」
「うん、何かとね」
「いいことはいいと認めて」
 そしてというのです。
「そしてそれは自分の信じるもの以外にも」
「その他の認めて」
「否定しないことだよ」
「それが大事だね」
「そう、そしてね」
 さらにというのでした。
「ピラミッドパワーもね」
「オカルトって言う人がいます」
 カルロスが言ってきました。
「まやかしとか空想みたいな響で」
「否定するんだね」
「実際にはない力だと」
 その様にというのです。
「言って」
「そして否定してだね」
「認めない人もいます」
「だから何度も言うけれど科学もね」
「神様の力の一部ですね」
「その神様もキリスト教だけじゃないから」
 それでというのです。
「色々なことを理解して否定しない」
「そのことが大事ですね」
「そう、科学だけを絶対視したら見えなくなって」
「他のいいものを」
「否定してね、そこから先にもね」
「行けなくなりますか」
「そう思うよ」
「そういえば君達言ってたね」
 ハンクもカルロスにお顔を向けて言ってきました、そうしてお話をしている間にも皆は歩いていってピラミッドは次第に大きくなってきています。
「漫画やアニメのことを科学で否定する人がいるって」
「うん、今の時代の科学でね」
「今の科学って絶対じゃないよね」
「常に進歩するものだよね」
「どんな学問でもそうだってね」
 カルロスにです、ハンクは言いました。
「教授さんも言ってるよ」
「だからあの人はいつも学問に励んでいるね」
「そうしているんだ」
「そう、学問は立ち止まることはないよ」
 カエルマンはぴしっとした物腰でお話しました。
「いつも動いていてね」
「進歩していて」
「そしてね」 
 そのうえでというのです。
「今の科学はね」
「絶対じゃなくて」
「それで漫画やアニメのことをだよ」
「何でも今の科学に当てはめて否定することは」
「何の意味もないよ」
 そうしたものだというのです。
「その人は夢も希望も信じない人だね、進歩もね」
「進歩もですか」
「そう、この世で一番下らないことの一つに必死になっている」
 これ以上はない否定を込めてです、カエルマンは言うのでした。
「この世で一番下らないタイプの一つだよ」
「そうした人ですか」
「オズの国にそんな人は」
「います?」
「オズの国にも同じ様なタイプの人がいたいみたいね」
「そういえばトロットさんがオズの国に来た時にお会いした」
「島にいた人だね」
「お年寄りでおられましたね」 
 カルロスはその人のことを今思い出しました。
「そういえば」
「そう、その人は今は改心しているけれど」
「かつてはですね」
「その人みたいなね」
「この世で、ですね」
「一番下らないね」
 またこう言うのでした。
「本当にね」
「そうしたタイプの一つでしたか」
「そうだったんだ、間違ってもどんな学問でも今の時点の知識だけで全部を決めつけて否定したりしない」
 カエルマンは強い声で言いました。
「それは学問でもないよ」
「じゃあ何でしょうか」
「また言うけれど下らないことだよ」
 こう言うしかないことだというのです。
「この世で最もね」
「何かそんなことに必死になっていたら」
「人生も面白くないね」
「そうですよね」
「一体その人は何をしたいのか」  
 それこそといのです。
「私には理解出来ないよ」
「そんなことしてもピラミッドについても」
 ハンクはこれから自分達が行く神秘の塊を観ました、本当にどんどん大きくなっていて雄姿と言っていい位です。
「何もわからないね」
「そう、無駄にしかならないよ」
「そうだよね、科学も進歩するから」
「今の科学を絶対視して何もかも否定しても」
 アニメや漫画のことをです。
「何も生み出さないし」
「全く楽しくなさそうだね」
「僕もそう思うよ」
 ここからという言葉でした。
「何がしたいのかな」
「それが面白いと思ってるのなら」
 ベッツイも言ってきました。
「お笑いの才能もなさそうね」
「というか絶対にないね」
「そうよね」
「そんな本を読んでもね」
「オズの世界ではないわね」
「子供の夢を壊すんじゃなくて」
「純粋の何の為にもならなくて」
 それこそ世の中の誰の役にも何の進歩にも貢献しないこれ以上はないまでに無駄なものだというのです。
「無駄でしかないから」
「オズの国ではないね」
「オズの国はお伽の国だけれど」
 それでもというのです。
「全く何の誰の役にも立たない」
「無駄なことはね」
「ない国だから」
「無駄の国じゃないからね」
「お伽の国であってね」
 お伽の国と無駄の国は違うというのです。
「そんなこの世で一番下らないことの一つで」
「無駄でしかないものは」
「ないわよ」
「そうだよね」
「外の世界には変な人もいるわね」
「漫画やアニメのことだってね」
「今の世界では実現出来ないだけで」
 今の科学技術ではというのです。
「やがてはね」
「出来たりするね」
「そうなるでしょ、スマホだって」 
 ベッツイは実際にスマートフォンを出しました、そうしてハンクにお話します。
「百年前どころか三十年前だとね」
「夢みたいな、それこそ」
「空想科学だってでしょ」
「それが今ではね」
「普通のものになってるのよ」
「それだったらね」
「そう、巨大ロボットでも頭にプロペラを付けただけで飛ぶことも」
 そうした科学もというのです。
「やがてはね」
「実現するかも知れないね」
「それを今の科学技術と知識だけで出来ない、無理とか言うだけでは」
「本当に何も生み出さなくて」
「この世で最も無駄なことよ」
 ベッツイは心から否定しました。
「むしろどうしたら出来るか、どうしたらいいのか」
「そう考えてこそだね」
「何かを生み出して」
 そしてというのです。
「世の中はよくなっていくのよ」
「そうした人は進歩もしないね」
「何一つとしてね」
「そう思うと本当に」
「そんな人位下らない人もいなくて」
「下らないこともないね」
「私は心から思うわ、そんな人がピラミッドを観ても中に入っても」
 今目の前にあるそこにです。
「何も学べないわね」
「また下らないこと言って下らないこと書くんだね」
「そうなるわ」
「僕も生きていてそんな人になりたくないですね」
 カルロスも心から思うことでした。
「本当に」
「全くよね」
「そんなことして意味があるのかな」
「何もないとしか思えないよね」
「本当に無駄なことね」
 恵梨香達四人も思い言うことでした。
「今の科学の知識だけで漫画やアニメの設定を否定しても」
「何も生み出さないし」
「何の進歩もしない」
「そんなものだね」
「夢みたいな設定があったら」
 漫画やアニメでとです、カルロスはまた言いました。
「それをどうしたら実現出来るか」
「そう考えるならいいね」
「それならね」
「そこから素晴らしいものが生まれる可能性があるから」
「スマホみたいなものも生まれるから」
「テレビとか電話も」
 ハンクはこうしたものについてから考えました。
「昔の技術じゃ夢みたいなものだったけれど」
「今は普通にあるわよね」
「そうだよね」
「通信だってそうよ」
 ベッツイはこの技術のことについて思いました。
「私達がボームさんと通信していた」
「そうそう、僕達のことを知ってもらう為にね」
「その技術だってそうでしょ」
「魔法というかね」
「空想みたいなものだったのに」
「オズの国でも外の世界でも実現しているから」
「若し否定していたら」 
 当時の知識で、です。科学であっても。
「私達はオズの国のことを知ってもらえなかったわよ」
「ボームさんを通じて皆にね」
「そのことも無理だったから」
「何でも否定してもね」
「何にもならないわ」
「全くだね」
「本当に科学も万能でも絶対でもないよ」
 カエルマンはまた言いました。
「今の科学がどれだけ高度と思っていても」
「それでも絶対じゃないんだね」
「神のお力の一つであって」
 そしてとです、ハンクにお話するのでした。
「どんどんね」
「進歩していくよね」
「今の時点で正しいと思われていたことも」
 科学知識でそういうものがあってもです。
「後で間違いだったとかね」
「わかることもだね」
「多いし気付いていないことだって」
「一杯あるね」
「本当に知識や知恵は無限だよ」
「オズの国がそうで」
「外の世界でも間違いないね」
 知識や知恵は無限だというのです。
「この世界の知識や知恵は大海原で私達が知っていることは」
「確かスプーン一杯だね」
「そんなものでしかないから」
「そのスプーン一杯で大海原を理解するとか」
「とんでもないことだね」
「理解出来る筈がないね」
「だからそうした人やそうした行いがどれだけ下らないか」
 それこそというのです。
「わかるね」
「確かにそうだね」
「そんな下らないことに必死になったら」
「無駄だね」
「私は心から思うよ」
「そんな人がオズの国に来たらどうかな」
「さてね。私にはわからないよ」
 これがカエルマンの返事でした。
「オズの国に来ることはね」
「運命だね」
「そう、運命によるものだから」 
 その人のというのです。
「それは私にはわからないよ」
「運命は本人でもわからないからね」
「全ては神々の決めていることだから」
 それ故にというのです。
「私にはわからないよ」
「オズの神々の」
「そうだよ、けれどそんな無駄なことに人生のかなりを費やしているとしたら」
 またそうした人について思うカエルマンでした。
「その人の人生もね」
「相当に無駄なものだね」
「今の時点の科学の知識だけで何もかも否定して夢を潰して回っているのなら」
「それも自己満足?」
 ハンクはこうも思いました。
「今の時点の科学だから」
「科学はどんどん進歩するからね」
「それで未来の創作の技術を否定するとか」
「本当に自己満足でしかないし」
「何の意味もない」
「そう、最高に下らない種類の自己満足に浸っているめ」
「これ以上はない位に下らない人生だね」
「そう思うよ、そんな人生を送っても」
 それこそというのです。
「私には何が楽しいのかわからないよ」
「夢は実現させるものだね」
「どうしたら実現出来るかね」 
 そう考えてというのです。
「考えて努力して頑張って」
「そうしてこそだよね」
「意味があるからね」
 だからだというのです。
「それをあれこれ屁理屈みたいに現代の科学だけで全部言うなら」
「何の意味もないね」
「そんな本を読んでも」
「学問にもならないね」
「何よりも下らない本に違いないし」
「読んでも意味がないね」
「まさに時間の無駄だと思うよ、特にオズの国では」
 お伽の国であるこの国ではというのです。
「夢はね」
「実現させるものでね」
「必ず実現出来るからね」
 だからだというのです。
「そんなことを必死に考えて言う人はね」
「何にもならないね」
「そうだよ、この世界に来ることも」
「外の世界から」
「ないだろうね」
 そんな夢を否定する人はというのです、そしてカルロスも言います。
「アニメや特撮の技術も実際にですよね」
「実現していってるね」
「その時は夢の技術でも」
「スマートフォンにしてもだね」
「はい、テレビや電話だってそうですよね」
「その通りだよ」
「それで潜水艦とかも。僕海底二万マイル好きなんですが」 
 この小説がというのです。
「この小説もですよね」
「今は実現しているね」
「それに八十日間世界一周も」
 これも外の世界の小説です。
「外の世界のお話ですが」
「今じゃ八十日どころか」
 ナターシャが言ってきました。
「飛行機を使ったら色々回って一周しても一週間?」
「世界を回るだけなら数時間だよ」
 ジョージはこう言いました。
「それこそね」
「その頃は八十日でなんてとてもだったけれど」
 神宝はその小説が書かれた頃の世界のことを言います。
「今じゃね」
「もう全然違うわね」
 恵梨香も言いました。
「それこそ」
「若し十九世紀の科学知識で今の科学を語っても」
「全然説明出来ないね」
「別ものみたいに進歩してるし」
「それと同じことよね」
「そうよね、私達だってね」 
 ベッツイも言います。
「オズの国がどう変わるか見てきたけれど」
「ベッツイさんが来られた時よりもですよね」
「オズの国は変わってますよね」
「別ものって言っていい位に」
「そうですよね」
「オズの国にしても」
「本当に全く違うわよ」
 実際にというのです。
「スマートフォンどころかテレビいえラジオもなかったのに」
「ドロシーさんが最初に来られた時と比べても」
「カエルマンさんが最初にボームさんに紹介された時と比べたら」
「もう全然違いますしね」
「オズの国も」
「そう考えたら」
「本当に今の知識を絶対にして言っても」
 それでもというのです。
「何の意味もないわ」
「そうですよね」
「そんなことをしても」
「科学はどんどん進歩しますから」
「今の科学の知識でアニメや漫画の技術をあれこれ言っても」
「意味ないですね」
「そんなことをして必死にあれこれ言って本を書いているとしたら」
 その人はといいますと。
「本当に何よりも下らなくて無意味な人生を送っている人ね」
「そんなことをするよりも?」
 ボタンが言うことはといいますと。
「寝てる方がまし?」
「僕もそう思うよ」
 ハンクはボタンのその言葉に頷きました。
「寝ていると気持ちがいいからね」
「そうだよね」
「ボタンや僕みたいによく寝て」
 そしてというのです。
「そうしている方がね」
「ずっといいよね」
「本当にそうだよ」
「そうね。それか踊る方が」
 今度はポリクロームが言いました。
「いいわね」
「その方がね」
「そんな無駄なことをしても」
「全くだよ、そして一番いいのは」
 そのことはとです、ハンクがここで言うことはといいますと。
「今は冒険かな」
「そうね、ピラミッドがいよいよ近くに来たけれど」 
 ベッツイが笑顔で言ってきました。
「スフィンクスもあるわね」
「あっ、ピラミッドの傍にね」
「ちゃんとあるわね」
「スフィンクスも大きいわね」
 巨大な石から造られた像があります、身体は悠然と寝そべっているライオンでお顔は古代エジプトのものです。
 そのスフィンクスを見てです、ベッツイは言いました。
「スフィンクスも大きいわね」
「そうだね」
 ハンクはスフィンクスの言葉に頷きました。
「ピラミッドよりは流石にだけれど」
「それでもね」
「こちらも大きいね」
「ええ、それに」
 ベッツイはそのスフィンクスを見上げて言いました、一行は今はスフィンクスの正面に来ています。本当に物凄い大きさです。
「今にも動きそうね」
「そうだね」
「ああ、動くことも出来るよ」
 スフィンクスのお口が開いてです、そのうえで喋ってきました。大人の男の人の声で低くしっかりしたものです。
「私はね」
「あっ、喋ったわね」
「そう、喋ることも出来るよ」
 スフィンクスはベッツイに答えました。
「こうしてね」
「そうなのね」
「ここはオズの国だからね」
 だからだというのです。
「こうしてね」
「喋ることも出来るのね」
「私もね、そしてだよ」
「そして?」
「スフィンクスがすることもするんだよ」
 ベッツイにさらに言うのでした。
「私はね」
「あっ、ひょっとして」
「そう、ひょっとしてだよ」
 スフィンクスは今度はハンクに答えました。
「謎々を出すよ」
「そうだよね、スフィンクスは」
「そしてその謎々はね」
「朝は四本足、昼は二本足でだね」
「夜は三本足の生きものだけれど」
「人間だね」
 ハンクは笑顔で言いました。
「外の世界の」
「そうだよ、わかるね」
「うん、スフィンクスの謎々はね」
「そう、オズの国ではね」
「皆歳を取らないからね」
「本人が歳を取りたいと思わないとね」
 そう思わない限りはです。
「歳を取らないからね」
「だからずっとだね」
「二本でいたいと思うならね」
「二本だね」
「そうだけれど謎々としてね」
 スフィンクスのそれでというのです。
「絶対にね」
「言うんだね」
「けれど謎々に答えらなくても」
「食べたりしないね」
「私はそんなことはしないよ」
 絶対にという返事でした。
「答えられなくてもね」
「それで終わりだね」
「そうだよ、残念でしたでね」
「それで終わりだね」
「そうだよ、けれど君は答えたから」
「何かあるのかな」
「私がおめでとうと言ってね」
 それでというのです。
「終わりだよ」
「そうなんだね」
「まあ只の挨拶みたいなものだから」
 スフィンクスの謎々はというのです。
「そう思っていてね」
「足の謎々はだね」
「そうだよ、それにこの謎々は」
 足のそれはというのです。
「実は私自身が言ったのではないのだよ」
「あっ、あれはギリシア神話だったね」
 カルロスがここで言いました、
「そうだったね」
「そうだよ、あちらのスフィンクスもオズの国にいるけれど」
「この謎々を出すんだ」
「それで食べることもしないから」
 謎々に答えられなかったり外れてもというのです。
「安心していいよ」
「それは何よりだよ」
「まして私は石の身体だから」
 スフィンクスは自分のこんこともお話しました。
「だからね」
「ああ、食べる必要がないね」
「何もね。飲む必要も寝る必要も」
 そうしたこともというのです。
「一切必要ないんだ」
「あれね」
 ここで言ったのはベッツイでした。
「かかしさんや樵さんと同じね」
「そうだよ、あの人達と一緒でね」
 実査にとです、スフィンクスはベッツイにも答えます。
「私もだよ」
「そうしたことがいらないのね」
「だからもうここでね」
「ピラミッドに来る人に謎々を出してなの」
「それを楽しみにしてね」
「過ごしているのね」
「気が向いたら時々散歩もするしね」
 そうもするというのです。
「それでだよ」
「楽しく過ごしているのね」
「そうなんだ、悪い生活じゃないよ」
「それは何よりね」
「うん、それじゃあ今からだね」
「ええ、ピラミッドにね」
 ベッツイはスフィンクスに笑顔で答えました。
「今から入るわ」
「そうだね、じゃあ楽しくね」
「中に入って」
「そして楽しむといいよ」
「そうさせてもらうわね」
「私は元々ピラミッドの番人なんだ」
 スフィンクスは自分のお仕事の役目もお話しました。
「ここにずっといてね」
「そうしてよね」
「番をしているんだ」
「スフィンクスのお仕事は」
 それはとです、ハンクも言います。
「番人だったね」
「私はそうだよ、ただギリシアのスフィンクスは」
 こちらといいますと。
「門番ではないよ」
「普通に暮らしているのね」
「山にいて山に入った人にね」
「謎々を出してなのね」
「楽しく過ごしているだけだよ」
「それだけなのね」
「そう、だから彼女も人を食べたりしないから」
 だからだというのです。
「それで答えられなかったり外れてもね」
「残念でしたで」
「それで終わりだよ」
「そういえば今彼女って言ったね」
 ハンクはこのことを指摘しました。
「あちらのスフィンクスは」
「如何にも。生身の身体でね」
「性別は女性なんだね」
「そうだよ、私は男性でね」
 それでというのです。
「彼女はね」
「女性なんだね」
「そうだよ」
「そうなっているんだ」
「ライオンの身体に翼があって顔はね」
「人だね」
「そうした身体なんだ」
 ギリシアのスフィンクスはというのです。
「彼女はね」
「成程ね」
「同じスフィンクスでも全く違うよ」
「というか」
 ここで言ったのはボタンでした、穏やかですが考えているお顔です。
「同じスフィンクスとはね」
「思えないというのだね」
「うん、身体の仕組みも違うしね」
「私は石だしね」
「本当に別の生きものみたいだよ」
「そうだね、けれどね」
「名前はスフィンクスで同じなんだ」
 ボタンは少し納得したお顔になって言いました。
「そうなんだね」
「そうだよ、けれど全く違うね」
「そうだね」
「私達はそうした間柄なんだ」
「不思議な間柄だね」 
 ボタンはこうも思いました。
「スフィンクスさんとギリシアのスフィンクスさんは」
「言われてみればそうだね」
「僕はそう思ったよ、そして」
「それでだね」
「今からピラミッドの中を進んでね」
「僕も楽しむといいね」
「是非共そうして欲しいよ」 
 スフィンクスにしてみてもです。
「今からね」
「ではね」
「うん、行って来てね」
 スフィンクスは笑顔で言ってでした、皆を見送りました。一行はスフィンクスに皆で手を振って一旦別れました。
 そしてピラミッドの前に来るとでした、そこでハンクがベッツイに言いました。
「じゃあ今からね」
「中に入るわよ」
 ベッツイはそのハンクに微笑んで答えました。
「そうするわよ」
「ええ、じゃあね」
「そしてだね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「冒険をするわよ」
「そうだね、しかしね」
「しかし?」
「いや、僕達はテーブル掛けとテントがあるから」
 この二つがあるからだというのです。
「食べたり寝ることも大丈夫だね」
「そうよ、普通にね」
 お昼も夜もというのです。
「安心出来るわ」
「そうだね」
「問題はお風呂位ね」
「それは流石にないかな」
「どうかしらね。私はピラミッドに入るのははじめてだから」
 それでというのです。
「お風呂があるかも」
「知らないね」
「あればいいけれど」
「なかったら」
「その時は我慢するしかないわね」
「そうなるね」
「それに昔の冒険だとね」
「身体を奇麗にすることも」
「そう、このこともね」
 どうしてもというのです。
「出来なかったわね」
「時々身体を洗うことが出来ても」
「そうそうね」
「かつての冒険では違ったね」
「今は毎晩奇麗に出来るけれど」
 オズの国は川やお池、湖がとても多いです。しかもそうした場所の傍に絶対にシャンプーやボディーソープの実が成る草や木があるのです。それでオズの国では旅の時でも身体を奇麗に出来るのです。
「昔はね」
「違ったね」
「このことも変わったことね」
「そうだね、科学じゃないけれどね」
「やっぱり今の時点でね」
「未来はわからないね」
「そうよね、人ではね」
 到底と言うベッツイでした。
「わかる筈がないのよ」
「というか今の時点で何でもわかるというのは」
「傲慢ね」
「アニメや漫画でもよ」
「わかる筈がないね」
「かえすがえすそうしたことを考えて言う人は」
「何ていうのかな、空想科学?」
 ハンクは不意にこの言葉を出しました。
「そう呼ぶのかな」
「空想科学ね」
「そう、そう言っても」
「空想でも何でもないわね」
「夢を壊しているつもりでも」
「壊してもいないわ」
「だって今の時点じゃ未来はわからないからね」
 到底とです、ハンクはまた言いました。
「ましてや科学だけでは」
「今の時点の科学だと」
「何もわからないよ、そしてわかったつもりで」
「あれこれ言って書いて」
「それで子供の夢を潰せるか」
「子供の夢も大きいわよ」
 ベッツイははっきりと言い切りました。
「そんな下らないことでよ」
「潰れないね」
「本当にそうした人がしていることは」
「この世で最も無駄なことだね」
「そんなことに人生の貴重な時間を費やすなんて」
「本当にその人の人生何なのかな」
「オズの国の人生は限りがないけれどね」
 それでもと言うベッツイでした。
「そんな下らないことにはよ」
「誰も時間を使おうとしないね」
「外の国でもそうだけれど夢が実現する国よ」
 オズの国はというのです。
「それでどうしてね」
「そんな夢を潰す様なことをするのか」
「それも潰せていない」
「こんなに無駄なことはないのに」
「そんなことに時間を潰すと」
「本当に無駄よ」
「いや、何が無駄かわかりました」
 カルロスはここでしみじみとした口調で言ってきました。
「僕も」
「そうでしょ、私もよ」
「ベッツイさんもですね」
「ええ、こうしたことはね」
「何よりも無駄ですね」
「そんな下らない人になったら駄目ね」
「本当にそうですよね」
 カルロスも強く思うことでした。
「間違っても」
「悪いことをすることも駄目でね」
「そうした人になってもですね」
「いけないわ、他の人も面白くないし」
「自分自身もですね」
「何のプラスにもならないし」
「自分も面白くないですね」
 本当にと思うカルロスでした。
「自分は面白いと思っても」
「何もね」
 何一つとしてというのです。
「だからね」
「夢を実現することを目指すべきで」
「潰すことはですね」
「それで潰れもしないし」
「しないことですね」
「そうよ」
 だからというのです。
「何よりも下らないことよ」
「夢を潰すつもりで潰せていないので」
「そのこともあってね」
「そしてオズの国ではですね」
「そんなことはないから」
 夢を潰される様なことはというのです。
「外の世界でもそうでしょ」
「そうですね、今お話した通り」
「夢は消えてもすぐにまた別の夢が出て来ればね」
「それでいいですか」
「そうよ、人は夢があってそれを実現させられる」
「そして潰れない」
「そうしたものであることはわかって」
 そしてというのです。
「オズの国でもね」
「やっていけばいいですね」
「そういうことよ、じゃあね」
「はい、今からもですね」
「ピラミッドに入ってね」
「中での冒険を堪能して」
「そして最後の最後まで楽しみましょう」
 こう言ってでした、皆でピラミッドの中に入りました。夢のお話をしてそれからスフィンクスともお話をしていよいよその中に入るのでした。








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