『オズのハンク』
第二幕 最初のピラミッド
ベッツイ達はエメラルドの都の道を進んでいきました、黄色い煉瓦の道の左右に緑色の草原と緑の家に家畜達がいます。
働いている人達も服は緑色です、ポリクロームはその緑の世界を見てハンクに言いました。
「やっぱりね」
「この緑の世界にいるとだね」
「エメラルドの都にいるってね」
その様にというのです。
「思えるわ」
「そうだね、僕もね」
ハンクはポリクロームに笑顔で応えました。
「この緑色の世界にいると」
「エメラルドの都ね」
「この国にいると思うよ」
「実感するわね」
「とてもね」
ひらひらと踊るみたいに歩いているポリクロームに言います。
「思えるよ」
「オズの国の中心にいるとね」
「その国にね」
「そうだね、けれどね」
カエルマンが言うことはといいますと。
「エメラルドの都でのね」
「冒険はだね」
「本当にはじめてだよ」
こうハンクに言うのでした。
「私も」
「僕だよ、案外ね」
「この国はオズの国の中心だけれどね」
「冒険のはじまりにはなっても」
それでもというのです。
「この国の中での冒険となると」
「ないね」
「うん、けれど実はね」
「冒険の場所はあるね」
「そうだよ、色々な場所があるから」
エメラルドの都にもというのです。
「だからね」
「それでだね」
「そう、今回はね」
「エメラルドの都でだね」
「冒険だよ」
それを楽しむというのです。
「ピラミッドの中をね」
「そうだね、エメラルドの都の中のはじめての冒険を」
まさにとです、カエルマンは言いました。
「オズの国の神々が与えられた機会としてね」
「楽しむんだね」
「そうさせてもらうよ」
「オズの国の神々と」
クッキーも言います。
「エジプトの神々に感謝かしら」
「もう一つない?」
ボタンがクッキーに言ってきました。
「神様達は」
「あっ、中南米のピラミッドにも行くから」
「マヤだったかな」
「確かそうね」
「そちらの神様達にもね」
彼等にもというのです。
「感謝するのかな」
「そうね、それじゃあね」
クッキーはボタンの言葉に頷きました、そしてです。
皆でさらに進んでいきます、そうしてでした。遂に真ん中に階段があってその左右にドラゴンの様な頭の石像が並んでいるピラミッドがありました。
そのピラミッドを見てです、カルロス達五人がお話しました。
「ここだね」
「うん、中南米のピラミッドだね」
「マヤだったかな」
「そちらのピラミッドね」
「そうよね」
「うん、メキシコにあってね」
カルロスが四人にお話します。
「マヤ文明にあるんだ」
「そういえば中南米といっても色々で」
神宝はカルロスのお話を聞いて言いました。
「文明も幾つかあるね」
「マヤだけじゃなくてアステカとかインカとか」
ジョージはマヤ文明以外の中南米の文明の名前を出しました。
「地域も広いしね」
「カルロスのお国はブラジルだけれど」
ナターシャはそのカルロスの国のお話をします。
「ブラジルだけでもないし」
「ブラジル以外にも沢山の国があって」
最後に恵梨香が言いました。
「メキシコやペルーに昔の文明があったわね」
「私も詳しくないけれど」
ベッツイも言いました。
「中南米といっても広いのよね」
「はい、それで僕の国ブラジル以外にも」
カルロスはベッツイにもお話しました。
「それでなんです」
「メキシコやペルーによね」
「中南米の古代文明があって」
「このピラミッドはマヤね」
「メキシコにあったんです」
こうベッツイにお話しました。
「それでこうしたピラミッドをです」
「築いてよね」
「アメリカにはメキシコ系の人も多くて」
「メキシコの文明も入って」
「このピラミッドもあるんですね」
「そういうことね」
ベッツイはカルロスの言葉に頷きました。
「世界中から人が来るアメリカならではね」
「そうですね、ただ」
「ただ?」
「僕は同じ中南米なんですが」
ブラジル人だけれどというのです。
「古代文明には縁がないんですよね」
「ブラジルはそうなの」
「はい、むしろアマゾンですね」
「あのジャングルね」
「あそこが有名ですが」
それでもというのです。
「古代文明は」
「メキシコやペルーで」
「あまり、ですね」
「そうなのね」
「まだアルゼンチンの方がありますね」
この国の方がというのです。
「どうも」
「そうなのね」
「実際ブラジルのイメージは」
「そのアマゾンとね」
ハンクがカルロスに答えました。
「サンバとね」
「サッカーだね」
「そうした感じで」
「古代文明についてはだよね」
「あまりね」
カルロスに考えるお顔で言います。
「縁がない感じだよね」
「そうだね」
「あとオズの国でお話する言葉は一つだけれど」
英語です、オズの国に来た人達は皆この国全体にかかっている魔法のお陰で自然に英語が喋れて書けてやり取りが出来るのです。
「ブラジルは中南米の中で言葉違うね」
「ブラジルはポルトガル語だよ」
この国の言葉だというのです。
「それで他の国はスペイン語だよ」
「実際違うね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「スペイン語とポルトガル語は近いんだ」
「そうなんだ」
「これはイタリア語やフランス語もだけれど」
こうしたお国の言葉もというのです。
「近くてね」
「それでなのね」
「そう、それでね」
そのうえでというのです。
「普通にやり取りが出来るんだ」
「スペイン語とポルトガル語でも」
「そうなんだ、だから僕がメキシコに行っても」
マヤ文明そしてスペイン語の国でもというのです。
「言葉は通じるんだ、読んでもわかるしね」
「そうなんだね」
「そう、もうその違いは」
そういったものかといいますと。
「方言位なんだ」
「もうあまり変わらないんだね」
「ポルトガルとスペインは同じ国だった時期もあるし」
それでというのです。
「言葉は通じるんだ」
「読んでもわかるし」
「そう、ごく普通にね」
「そうなんだね」
「だから僕は中南米の何処でも言葉でゃ不自由しないんだ」
「それはいいことだね」
「さっきアルゼンチンの名前を出したけれど」
この国をというのです。
「この国からキューバとかに行っても」
「随分離れてない?」
「離れていてもね」
それでもというのです。
「言葉はね」
「普通に通じるんだね」
「何の問題もなくね」
「ううん、中南米はそうなんだね」
「他のところじゃそうはいかないかな」
「中国は広いけれど」
中国人の神宝が言います。
「中南米みたいに沢山の国の人が喋る言語じゃないかもね」
「英語にもね」
アメリカ人で英語を使うジョージもです。
「スペイン語は負けてないかもね」
「スペイン語って凄いわね」
日本人の恵梨香は素直に驚いています。
「何億人にも通じるのね」
「ロシア語以上ね」
ロシア人のナターシャも素直に認めます。
「使う人の数と国では」
「大体そうね」
ベッツイが言うことはといいますと。
「英語、中国語、スペイン語はね」
「使う人多いですね」
「そうね、あとね」
「あと?」
「オズの国はまだアラビア系の人は少ないけれど」
それでもというのです。
「アラビア語も多いかもね」
「そちらを使う人も」
「ええ、世界の言葉ではね」
「そうですね、アラビア系の人も多いですから」
「そうよね」
「オズの国ではまだ少ないですが」
カルロスもこう言います。
「それでも」
「ええ、外の世界ではね」
「多いですね、ただね」
「ただ?」
「僕達が通っている学校では少ないですね」
アラビア語を使う人はというのです。
「中国とかアジアやアメリカとかアメリカ大陸や欧州の人が多くて」
「そうなのね」
「はい、半分位が日本人で」
それでというのです。
「後の半分の人が日本以外の人ですが」
「その半分の中で」
「アラビア系の人は少ないね」
「アフリカの人は多いね」
「オセアニアの人も多いけれど」
恵梨香達四人も言います。
「アラブからの人は」
「どうしても」
「少ないね」
「学校では」
「そういえば君達もだね」
カエルマンが言いました。
「アラビア系の子はいないね」
「そうね、ブラジル、アメリカ、中国、ロシア、そして日本で」
クッキーは五人の国籍をお話しました。
「アラブの国の人はね」
「いないね」
「そうよね」
「それも縁ね、それでだけれど」
また言うベッツイでした。
「当時のマヤ文明のものではないけれど」
「これからですね」
「中南米のピラミッドに行って」
「そうしてですね」
「どんなものか観て」
「それで楽しむんですね」
「そうしましょう」
こう五人にも行ってでした、皆で中南米のピラミッドの方に向かいました。するとすぐに昔の中南米の神官さんの服、虹色に配色された白いお肌に長い黒いお鬚の人が皆の前に来て笑顔で挨拶をしてから尋ねてきました。
「皆何しに来たのかな」
「ここがどんな場所か観に来たんだ」
ボタンが神官さんに答えました。
「それで来たんだ」
「このピラミッドがだね」
「うん、神様を祀っている祭壇だって聞いたけれど」
「そうだよ」
曽於通りだとです、神官さんも答えました。
「このピラミッドもね」
「やっぱりそうなんだ」
「そう、神様にお祈りを捧げたりしてね」
「神様を祀ってるんだね」
「そうなんだ、ただね」
「ただ?」
「食べものは捧げるけれど」
それでもというのです。
「他にはね」
「何もしないんだ」
「そうだよ」
「そういえば」
カルロスがここで言いました。
「中南米は生贄があったんだ」
「生贄なんてことは」
そう聞いてです、ポリクロームは驚きの言葉をあげました。
「オズの国では」
「間違ってもだよね」
「ないわ」
こうカルロスに答えました。
「私もそれが何かが聞いたことはあるけれど」
「けれどオズの国ではね」
「そんなことはね」
とてもというのです。
「ないわ」
「そうだよね、オズの国では」
「そんなことしたら」
それこそというのです。
「とんでもないことになるわ」
「そもそもオズの国では誰も死なないよ」
カエルマンも言います。
「それで生贄なんて」
「とてもですね」
「しないし」
それにというのです。
「オズマ姫もね」
「絶対に許されないですね」
「発想すらないよ」
オズマにはというのです。
「とてもね」
「そうですよね、オズマ姫なら」
「そんなことはしないから」
何があってもというのです。
「オズの国ではね」
「中南米のピラミッドでも」
「そこに中南米の神々がいてもね」
それでもというのです。
「絶対にないよ」
「それじゃあ捧げるものは」
「玉蜀黍とか作物とかね」
神官さんがお話します。
「お肉とかだよ」
「お肉ですか」
「そういうものを捧げてね」
そうしてというのです。
「後で私達が食べるんだ」
「その作物やお肉を」
「そうしているよ。例えば牛の心臓を捧げて」
ピラミッドにおいてというのです。
「その心臓を食べるんだ」
「美味しそうですね」
「そう、実際に美味しくね」
神官さんはカルロスに笑顔で答えました。
「食べているよ」
「捧げた時は」
「生贄なんてとんでもない」
神官さんにしてもです。
「そんなことをしても意味はないしね」
「そうよね、生贄を捧げても」
ベッツイも言います。
「それで神様が喜ぶか」
「人の命を捧げてね」
「気持ちを受け取るものよね」
「だから食べる前のものをね」
「収穫をなのね」
「そして食べられる喜び、その命を頂く」
食べるもののそれをというのです。
「その為の捧げもので」
「生贄はね」
「私達もしていないよ」
「そうよね」
「ちなみに今からね」
「今から?」
「捧げものをして」
今お話しているそれをというのです。
「この神殿の周りの村の人達で食べるんだ」
「そうするのね」
「玉蜀黍やお肉、ジャガイモも捧げて」
そしてというのです。
「そのうえでね」
「皆で食べるのね」
「そしてお酒も飲むよ」
こちらも楽しむというのです。
「皆でね」
「お酒もなのね」
「リュウゼツランで造ったお酒をね」
「テキーラだね」
そのお酒は何か、カエルマンが言いました。
「それをだね」
「そうだよ、君達もどうかな」
「その前に」
ベッツイが神官さんに答えました。
「私達もね」
「捧げものを行う儀式にかな」
「参加していいかしら」
「是非共」
神官さんはベッツイの申し出に笑顔で答えました。
「参加してくれるかな」
「いいのね」
「来る者は拒まずだよ」
だからだというのです。
「私達の教えではね」
「だからいいのね」
「外の世界の信仰は知らないけれど」
「オズの国ではね」
「私達は来る者は拒まずで」
それでというのです。
「誰でもね」
「来るなら」
「そう、いいよ」
「それで神様に捧げものをして」
「お祈りをして」
そしてというのです。
「後の食事にもね」
「参加していいのね」
「こちらも是非だよ」
こう返事をするのでした。
「来る者は拒まず、それにね」
「それに?」
「大勢いた方がね」
その方がというのです。
「楽しいからね」
「だからなのね」
「そうだよ、皆で食べてね」
「それじゃあね」
「チョコレートも出るから」
「デザートで」
「そう、我々はチョコレートを飲むことが多くてね」
こちらをというのです。
「今は固めたお菓子としてもね」
「食べるわよね」
「そう、けれど最初は飲んでいたんだ」
「確かあれですね」
カルロスが神官さんに尋ねます。
「目を覚まさせる為や神様の儀式の時に」
「そうした目的でだよ」
「飲まれていましたね」
「コーヒーと同じだね」
神官さんはカルロスに笑って答えました。
「それは」
「そうですよね」
「だから飲んでいてね」
「今もですね」
「飲んでいてしかもね」
「食べることもですね」
「今はしているよ」
お菓子としてというのです。
「だからこちらもね」
「楽しめばいいですね」
「是非共ね。では今から我々の神々に捧げものをするよ」
「それでどんな神様達かな」
今度はハンクが神官さんに尋ねました。
「一体」
「そのことだね」
「うん、中南米の神様達は」
「沢山の神様がいるけれどね」
「少し挙げてくれるかな」
「ケツアルコアトルだね、一番の神様は」
こうハンクにお話しました。
「やはり」
「どんな神様かな」
「緑色の鱗を持っていて身体の左右に一対の翼を持つ蛇の姿をしていて農業や学問、技術を司っているんだ」
「そうした神様なんだ」
「そう、この神様がね」
「中南米の神様達の中でだね」
「一番尊い神様だよ」
そうだというのです。
「中南米の神様ではね、他にもテスカトリポカやクマゾッツやコアトリクエと色々な神様がいるんだ」
「何か発音が独特だね」
「そうだね、時差氏にね」
「発音はだね」
「独特だよ、オズの国の言葉とはね」
「英語とはだね」
「また違った言葉だったから」
中南米の神様の名前に使われている言葉はというのです。
「発音もだよ」
「独特なんだね」
「そういうことだよ」
こうハンクにお話するのでした。
「そして中南米の神様はまだまだいるからね」
「かなり多いんだね」
「そうだよ、ただね」
「ただ?」
「日本の神様よりは流石に少ないね」
神官さんはハンクに笑ってこうも言いました。
「八百万もいないからね」
「そういえば日本の神様って多いわね」
ポリクロームもそのお話を聞いて言います。
「物凄く」
「本当に八百万いるかな」
ボタンはその数が本当なのかと思いました。
「だとしたら物凄く多いけれど」
「神様が八百万もいたら」
「あちらこちら神様だらけだよね」
ボタンはポリクロームに言いました。
「もうそれこそ」
「そうよね」
「何か妖精みたいね」
クッキーはこう考えました。
「そこまであちらこちらに神様がいると」
「確かに。神様というよりは」
カエルマンはクッキーの言葉に頷きました。
「それに近い気がするね」
「そうですよね」
「そこまで神様の数が多いと」
「どうも」
「八百万よりも多いかも知れないわ」
その日本人の恵梨香が言いました。
「人も死んで祀られたら神様になるし」
「あっ、豊臣秀吉さんもだったね」
「神様になっているね」
ジョージと神宝はこの人のことを思い出しました。
「大阪城であの人の神社あったね」
「豊国神社だったね」
「僕達遠足で大阪城に行ったことあるけれど」
「あの人の神社もあったし」
「織田信長さんや上杉謙信さんもだったわね」
「そうだったね」
カルロスはナターシャの言葉に頷きました。
「神社に祀られているから」
「神様になっているわね」
「人も祀られたら神様になる」
「日本だとそうだね」
「だからね、神様はどんどん増えるし」
恵梨香はさらに言いました。
「他の国から入った神様も祀られるから」
「だから本当に八百万いるかも知れないんだ」
「文字通りに」
「ひょっとしたら八百万より多いかしら」
「その可能性もあるね」
「その日本と比べたらだよ」
神官さんは子供達に笑ってお話しました。
「流石に少ないよ」
「日本は別格だね」
「そうだよ、神様の数ではね」
本当にというのです。
「日本は仏様もいるしね」
「ああ、仏教の」
「そう、こちらの存在もあるから」
「ううん、流石に日本と比べたら」
ハンクも言うことでした。
「違うね」
「そうなんだね」
「そのことも言っておくよ、そして」
神官さんはさらに言いました。
「これから儀式を行うから」
「私達も」
「そう、一緒にね」
「参加して」
「楽しんでくれ給え」
神官さんはベッツイにも言いました、そうしてでした。
一行も招いて儀式をはじめました、ピラミッドの周りの中南米のインディオの人達に大勢の神様に仕える人達が姿を現してです。
そのうえでピラミッドの頂上、平たい祭壇になっているそこで神官さん達が独特の儀式を行い神様達を讃える言葉を捧げてです。
農作物や食べものも捧げました、それが終わった夕刻にです。
赤くなった太陽から差し込める光がピラミッドを照らしますと。
ピラミッドの階段のところに階段の段々が影になって蛇の姿になってでした。その先端にある石像の頭がです。
そのまま蛇の頭になりました、カルロスはその様子を見て思わず言いました。
「これは神様だね」
「うん、そうだね」
ハンクがカルロスに応えました。
「これは」
「蛇の神様がね」
「姿を現したね」
「そうだね、ピラミッドに」
「そうなったね」
「階段の影が身体で」
「先端が頭で」
「そしてね」
それにというのです。
「ピラミッドの左右がね」
「翼だね」
「つまりこれは」
「翼が生えた蛇の神様」
「ケツアルコアトルだね」
「その神様の姿だね」
「そうじゃよ」
皆の傍にいたインディオのお婆さんが優しい笑顔で言ってきました。
「儀式の時にはのう」
「こうしてですか」
「夕方になったら」
「その夕陽がピラミッドを照らしてな」
そうしてというのです。
「ケツアルコアトル神を映し出してくれるのじゃ」
「そうなんですね」
「儀式の時に」
「夕刻に儀式が終わる」
「そしてその時に」
「蛇の神様が降臨するんだね」
「左様じゃ、これがわし等のピラミッドじゃよ」
中南米、インディオの人達のというのです。
「中々のものじゃな」
「中々どころか」
カルロスはお婆さんに目を輝かせて言いました、他の皆も同じです。
「こんな凄いものを見られるなんて」
「よかったか」
「はい、これもオズの国ですね」
「うむ、お伽の国でな」
「こうした不思議もあるんですね」
「そういうことじゃな」
まさにとです、お婆さんも答えます。
「要するに」
「そうですね、素晴しいです」
「そして儀式が終わったらな」
「後は宴ですね」
「そうじゃ」
それでというのです。
「神々に捧げたお肉や野菜をじゃ」
「皆で、ですね」
「たらふく食べるのじゃよ」
「それも楽しみですね」
「オズの国ではいつも美味しいものを皆お腹一杯食べておるが」
それでもと言うお婆さんでした。
「しかしな」
「宴の時のご馳走はですね」
「また格別じゃからな」
「だからですね」
「これからじゃ」
まさにというのです。
「食べような」
「皆で」
「是非な」
こうしたお話もしてでした、そのうえで。
皆は今度は宴に参加しました、夜に松明の灯りで照らされたその中でお料理したお肉やお野菜、そしてチョコレート等が出されます。
そうしたものを皆で食べながらです、カルロスは玉蜀黍を食べながら皆にこんなことを言いました。
「玉蜀黍とかジャガイモとかトマトはね」
「ええ、アメリカ大陸からよね」
「出ていますね」
「あとカボチャもね」
ベッツイは自分から言いました。
「アメリカ大陸からね」
「欧州とかに伝わっていますよね」
「そうなのよね、玉蜀黍とかジャガイモとか」
「ないと困りますよね」
「こういったものがない生活なんてね」
それこそというのです。
「想像も出来ないわ」
「そうですよね」
「トマトやカボチャだって」
こうしたお野菜もというです、ベッツイはそのカボチャをお料理したものを美味しく食べながら言います。
「ないとね」
「困りますよね」
「もう想像も出来ないわ、トマトをね」
このお野菜をというのです。
「パスタやスープに使うと」
「物凄く美味しくて」
「ラザニアなんか」
ベッツイはこのお料理の名前も出しました。
「トマトとチーズをたっぷり入れて」
「あの美味しさですよね」
「だからね」
「トマトもですね」
「ない献立なんて」
とてもというのです。
「考えられないわ」
「こちらもですよね」
「実際に美味しいしね」
見ればボタンはそのトマトを沢山使ったお料理を食べています。
「トマトって」
「そうよね」
「僕も大好きだよ」
見ればボタンのお顔はにこにことしています。
「だからね」
「沢山食べるわよね」
「今夜もね。勿論玉蜀黍やカボチャもね」
こちらもというのです。
「ジャガイモだってね」
「ボタンも何でも食べるね」
ハンクは皮を剥いてふかしてその上にチーズをたっぷりと乗せたジャガイモを食べながらボタンに言いました。
「お野菜だって」
「うん、甘いものが一番好きだけれど」
「何でもだよね」
「美味しいものならね」
それならというのです。
「幾らでもね」
「食べるね」
「そう、そしてデザートにね」
「チョコレートもよね」
「食べるよ」
ボタンはこちらも忘れていません。
「沢山ね」
「そうするね」
「是非ね」
「そしてヂョコレートと一緒にだね」
ハンクはさらに言いました。
「飲みものもだね」
「楽しむよ」
「そうだね」
「ミルクをね」
ボタンが飲みたいのはこちらでした。
「飲むよ」
「そうするね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「牛乳はない感じだね」
「山羊でいいかな」
神官さんが皆のところに来て言ってきました。
「そちらのミルクで」
「山羊なんだ」
「そちらでいいかな」
「うん、いいよ」
ボタンは神官さんにすぐに答えました。
「そちらもね」
「ならいいよ」
「何かこのお水は」
ポリクロームは今もそちらを飲んでいます、お花のそれを。
「美味しくて」
「お水気に入ってくれたかな」
「ええ、とても」
ポリクロームは神官さんに答えました。
「美味しいわ」
「それなら何よりだよ。そういえば君は」
「ええ、虹の妖精だから」
それでというのだ。
「普通のものを飲んだり食べたりしなくても」
「いいんだったね」
「それでこうしてね」
「露をだね」
「いただいているの」
そちらを飲んでいるというのです。
「こうしてね」
「そうだね、ではそのお露をね」
「楽しんでいいのね」
「是非ね」
こうポリクロームに言うのでした。
「そうしてね」
「それじゃあ」
ポリクロームは神官さんの言葉に頷いてでした、そしてです。
他の皆と同じ様に飲んでいきます、それはカエルマンも同じで彼は一行で唯一の大人としてテキーラも飲んでいます。
そのテキーラを飲んで神官さんに言うのでした。
「このテキーラもね」
「美味しいね」
「とてもね」
こう神官さんにお話しつつ飲みます。
「飲みやすいしそして強くて」
「よく酔えるね」
「とてもね」
「いいものだよ、ただね」
ここでこうも言った神官さんでした。
「テキーラは強いから」
「だからだね」
「そう、凄く強いから」
だからだというのです。
「飲み過ぎには注意してね」
「そうだね、酔い過ぎたら」
「次の日の朝二日酔いになったら」
「その時はね」
是非にというのでした。
「お風呂かプールに入って」
「どちらもあるよ」
「用意がいいね」
「いや、最初からあるんだ」
お風呂もプールもというのです。
「沐浴も大事だからね、それと儀式にも使うから」
「お風呂は」
「身体を清める為にも。かく言う私も今日はね」
「儀式の前にだね」
「沐浴をして」
そうしてというのです。
「身体を清めてだよ」
「儀式に向かったんだ」
「そうだったからね」
だからというのです。
「いつもあるんだ」
「そうなんだね」
「儀式で使う以外にも皆身体を奇麗にしたり温まる為に」
「お風呂を用意しているんだ」
「そしてプールは楽しむ為に」
こちらもというのです。
「用意しているんだ」
「成程ね」
「それで君も明日の朝に」
「二日酔いならだね」
「是非ね」
その時はというのです。
「楽しんでね」
「それじゃあ」
カエルマンも頷いてでした、そうして。
またテキーラを飲みます、カエルマンはテキーラをかなり飲みましたが上機嫌になっても乱れることはありませんでした。
ですがそれでもでした、彼はハンクに笑って言いました。
「私は翌朝絶対に二日酔いだよ」
「そうなるんだ」
「そう、だからね」
それでというのです。
「明日の朝はお風呂かプールか」
「どちらかだね」
「お世話になるよ」
「そうなるんだね」
「自分でもわかるよ、かなり飲んでいるから」
そのテキーラをというのです。
「だからね」
「明日の朝は」
「起きたらすぐにね」
「どっちかに入って」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「酔いを醒ますよ」
「そうするんだね」
「絶対にね。それと」
「それと?」
「まだ食べるよ」
言いつつ鶏肉を焼いたものを食べます。
「そちらも楽しむよ」
「というかむしろだよね」
「そちらの方がね」
食べる方がというのです。
「メインだね」
「テキーラを飲んでもね」
「本当にね」
どちらがメインかというと、というのです。
「そちらだよ」
「そうだね」
「最後のデザートも」
「チョコレートだね」
「そちらも食べるし」
今はお肉を食べていますがそちらもというのです。
「楽しむよ、いやピラミッドの儀式をはじめて体験したけれど」
「いいものだったね」
「これもまたオズの国だよ」
こうも言うのでした。
「本当にね」
「オズの国はお伽の国で」
「不思議なことが一杯あるけれど」
「今日のこともね」
「凄く神秘的で」
「本当にね」
「いい経験だったね」
「そう思うよ、オズの国の住人でいると」
カエルマンはハンクににこにことしてお話します。
「色々な不思議な経験が出来て多くのものを知ることが出来る」
「このことがだね」
「凄くいいね」
「カエルマンさんの楽しみの一つだね」
「そうだよ、しかも幾ら知ってもまだまだ知られる」
これもというのです。
「いいことだね」
「幾らでも知識が得られるからだね」
「そして知恵もね」
こちらもというのです。
「宝が無限にある様なものだよ」
「そう聞くとカエルマンさんは」
ハンクはカエルマンのその言葉を聞いて言いました。
「かかしさんと教授さんを合わせて二で割った感じかな」
「かかしさんが知恵でだね」
「教授さんが知識だからね」
「そうかもね、ただ私はね」
「私は?」
「カエルマンだから」
このことをハンクに言うのでした。
「あくまでね」
「カエルマンさんはカエルマンさんかな」
「そう、だからね」
「お二人とはだね」
「また違うよ。ちなみに知識と知恵と同じだけ」
カエルマンはこうも言いました。
「お洒落にはね」
「気を使ってるんだね」
「この服もね」
黄色のスーツもというのです。
「いつも手入れしているしね」
「そういえばいつも着てね」
「奇麗だね」
「靴も丁寧に磨かれていてね」
「そしてこの片眼鏡だよ」
モノクルのそれもというのです。
「いつもお手入れをしてね」
「奇麗にしているんだね」
「そうだよ、知識に知恵に」
それにというのです。
「お洒落はね」
「カエルマンさんの宝だね」
「そうだよ、では今日は」
「お酒もご馳走も」
「両方楽しんでいこうね」
こう言ってです、皆と一緒にピラミッドの儀式の後の宴を楽しむのでした。そうしてこの日も満足しました。