『オズのキャプテン船長』




                第八幕  遺跡の島

 一行を乗せた船は海賊船と楽しい時間を過ごした後も海の冒険の旅を続けていきます、その中ででした。
 一行は次の面白い島に着きました、その島はといいますと。
 他件の面長で耳が長く四角い感じのお顔の石像が沢山ありました、恵梨香達はその像が何なのかすぐにわかりました。
「モアイね」
「うん、そうだね」
「あの石像だね」
「オズの国にもあったんだ」
「私見たのはじめてよ」
「そう、外に世界ではイースター島という島にあるね」
 教授が五人に答えました。
「それがだよ」
「こうしてですね」
「オズの国にもあって」
「それで、ですね」
「こうして見ることが出来るんですね」
「この島に来たら」
「そうだよ、この島はね」
 まさにとです、教授はさらにお話します。
「オズの国のイースター島だよ」
「名前も一緒ですね」
 恵梨香は島の名前を聞いて笑顔で言いました。
「イースター島なら」
「そうだよね、イースター島はね」
 カルロスも言います。
「外の世界ではそのことで有名で」
「今じゃ殆ど人はいないけれど」
 ジョージもイースター島について言います。
「昔はそれだけのものを造れたっていうね」
「ポリネシアの遺跡だったね」
 神宝も言ってきました。
「中南米じゃなくて」
「まあ中南米からも行けるらしいけれど」
 最後にナターシャが言います。
「実は南洋の文化だっていうわね」
「そしてオズの国では」
 まさにと言った教授でした。
「今も人が沢山いるんだ」
「そうした島ですか」
「そうだよ」
 こう恵梨香に答えました。
「オズの国のイースター島はね」
「木が多いね」
 ここで言ったのはモジャボロでした。
「ちゃんと切った後は植えているのがわかるよ」
「オズマはそうしたことを忘れないから」
 トロットがお話します。
「だからね」
「それでだね」
「この島もね」
 オズの国のイースター島でもです。
「ちゃんとね」
「木を切った後は新しい木を植えているね」
「さもないとね」
「木はすぐになるからね」
「そう、外のイースター島で何故人がいなくなったか」
 このことを言うのは船長でした。
「木がなくなったからだからね」
「木は暮らしに欠かせないから」
「そうだね」
「外の世界のイースター島も」
「人が暮らせなくなって」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「寂れてしまったけれど」
「オズの国のイースター島だと」
「しっかりとね」
 まさにというのです。
「植林もしているから」
「この通りよ」
 まさにというのです。
「木が豊かでね」
「人も暮らせるね」
「そうなのよね」
「島は」
 ここで言ったのは恵梨香でした。
「周りに何もないから」
「そうよ、木を切っていって」
「そしてよね」
「木がなくなっても」
「島に木がなくなったら」
「もう他の島に移るしかなくなるから」
「だからイースター島でも」
 外の世界のこの島はというのです。
「人が暮らせなくなったんですね」
「そうなのよ」
「それでオズマ姫はですね」
「木を切った後はね」
「植えることを忘れていないんですね」
「そうよ」
「それもですね」 
 さらに言う恵梨香でした。
「ちゃんと南洋の木を植えていますね」
「そうよね」
「日本だと杉が多くて」
 植える木はというのです。
「花粉症の人は春に困ったりします」
「日本は凄い植林をする国よね」
「はい、ですがそれが」
「杉だとなのね」
「物凄く植えた結果」
 まさにというのです。
「春に困ったことになってます」
「日本の春っていうと」
 トロットはすぐに言いました。
「梅に桃、何といっても桜ね」
「はい、そうです」
「そうそう、オズの国でもね」
 ビリーナも言ってきました。
「日系人の人はね」
「桜を植えるのが好きよね」
「木を植えること自体が好きで」 
 それでというのです。
「お花が咲く木となると」
「桜よ」
「そうよね、それで春にはね」
「桜を観て楽しむの」
「日本人の楽しみの一つね」
「若し春に桜が咲かなかったら」
 どうかとです、恵梨香は眉を曇らせて言いました。
「もう春じゃないわ」
「日本人としてはそうなのね」
「ええ」
 本当にというのです。
「もう春なんて思えないわ」
「そこまで桜が好きな国もね」 
 それこそと言うビリーナでした。
「他にないわね」
「そうみたいね」
「恵梨香もわかってるのね」
「だって他の国の皆に言われるから」
 ナターシャ達を見てです、恵梨香はビリーナに答えました。
「日本人は桜が大好きだって」
「実際に言われるのね」
「そうなの」
「実際にそうだしね」
「日本人って桜大好きだよね」
「もう春は桜がないと春じゃないっていうか」
「そんな風だし」
 四人も実際に言ってきます。
「春って他にもあると思うけれど」
「そうだからね」
「桜がないと春じゃない」
「まさにそんな風だから」
「勿論春は他にも色々なものがあるわよ」
 恵梨香は四人にもお話します。
「色々な生きものが冬眠から出て来てつくしやクローバーが出て来て」
「梅や桃もね」
「出て来てね」
「暖かくなって」
「過ごしやすくなって」
「それで春って実感するわ」 
 そうしたことは確かに感じるというのです。
 ですがここでやっぱりこう言う恵梨香でした。
「それでもね」
「桜がないと」
「それで春じゃないね」
「日本人としては」
「やっぱりそうよね」
「そう言われるとそうだし」
 恵梨香も否定しませんでした。
「桜がないと春じゃなくて」
「一年のはじまりじゃない」
「学校もはじまらない」
「お正月はあっても」
「むしろお正月よりもはじまりみたいな感じで」
「その象徴がね」
 本当にというのです。
「桜だけれど」
「わしは昔の日本に行ったことがあるよ」
 ここで船長も恵梨香に言ってきました。
「十九世紀の終わりに二十世紀のはじまりのね」
「その頃の日本にですね」
「うん、その頃の日本もね」
 まさにというのです。
「春は桜がないとね」
「春じゃないですか」
「そんな感じだったよ」
「そこまで桜が好きだと」
 ビリーナはこうも言いました。
「この島にも桜を植えるかしら」
「イースター島にも」
「そうするかしら」
「植えられたら」
 その場合はとです、恵梨香はビリーナに答えました。
「多分ね」
「植えるのね」
「そうするかも知れないわ」
「やっぱり日本人は桜がないとなのね」
「駄目みたいね」
「春が来ても春って気がしないのね」
「そうだと思うわ」 
 実際にというのです。
「私にしても」
「やっぱりそうなのね」
「それでね」
「この島にもなのね」
「植えられたら」
「植えて」
「春に楽しむわ」
 そうなるというのです。
「絶対にね」
「春はね」
 アメリカ人のトロットが言うことはといいますと。
「桜だけじゃないというのがね」
「他の人の意識ですよね」
「他の国の人のね」
「そうですよね」
「日本人もそうですけれど」
「桜の比重が大き過ぎるのがね」
「日本人ですか」
「あんまりにもね、それでここはね」
 オズの国のイースター島はといいますと。
「南洋だから」
「南洋の植物、木を植えていますね」
「お花もね」
 こちらもというのです。
「ちゃんとね」
「南洋のものですね」
「そうなっているわ」
「そしてモアイ像があって」
「そしてね」
「島の人達もおられるんですね」
「そうなの、じゃあこの島でもね」
 是非にと言うのでした。
「楽しみましょう」
「それじゃあ」
 恵梨香も頷いてでした、そしてです。
 皆で一緒に島の中を巡っていきました、そんな中でモジャボロはモアイ像を観つつこんなことも言いました。
「あまりにもよく出来ているからね」
「だからですね」
「お口が開いたりね」 
 その真一文字のお口がというのです。
「目が開いたりとか」
「そうしそうですか」
「そう思わないかい?」
「それってお父さんが言っていたゲームみたいですね」
「ゲーム?」
「日本のコンピューターゲームであったんです」
 恵梨香はモジャボロにこうお話しました。
「お口が開いて丸い輪っかをかなり出す」
「そんなゲームがあるんだ」
「はい、そのゲームみたいですね」
「そんなゲームがあるんだね」
「そうなんです」
「何かそのゲームを観てみたいね」
「物凄く難しいシューティングみたいです」
 恵梨香はゲームのジャンルのお話もしました。
「敵が強くて」
「若しかしてモアイもかな」
「はい、敵としては強くて」
「その沢山出す丸い輪っかにあたるとだね」
「やられちゃいまして」
 そうなるというのです。
「それで、です」
「モアイは強くてだね」
「お口を開いた時に自分の機体の分身をぶつけて」
 そうしてというのです。
「やっつけるらしいんですが」
「そうしないとだね」
「結構苦戦するらしいです」
「モアイが敵なんてね」
「そうしたゲームもあるんです」
 実際にというのです。
「結構シリーズ化してるらしいですよ」
「人気もあるんだね」
「確かに難しいですが」
 それでもというのです。
「面白いらしくて」
「そうなんだね、しかもモアイが敵なのは」
 モジャボロはこのことについてはこう言いました。
「僕としてはね」
「お嫌ですか」
「そう思うよ。モアイは観ているとね」
 実際に観つつ言うモジャボロでした。
「不思議と親しみが持てるからね」
「そういえば」
 恵梨香も言われてでした。
「嫌いになれないです」
「そうだね」
「はい、どうも」
 観ていると、というのです。
「それだけで」
「敵であってもだね」
「実は人気のある敵で」
「愛されているんだ」
「強敵は強敵みたいですけれど」
 それでもというのです。
「人気はあるみたいです、同じ会社の色々なゲームにも出ていまして」
「敵としてだね」
「かなり愛されています」
「それはいいね」
「一時期この会社のマスコットみたいだったとか」
「それは随分な愛され方だね」
「そうですよね」
「そこまで愛するとなると」
 それこそとです、モジャボロはついつい笑顔になって言いました。
「モアイを造っている人達も幸せだね」
「そうですよね」
「うん、それじゃあ今から」
「そう、島の奥に入って」
 船長がモジャボロに応えました。
「この島の人達に会おう」
「村の人達にね」
「是非そうしようね」
「今からね」
「そういえばモアイはね」
 ビリーナは船長に言ってきました。
「前から気になっていたけれど」
「何かな」
「人のね、人間のお顔にしてはね」
「少し変わっているっていうんだね」
「こんな極端に長くて四角くて彫のあるお顔は」
「そうそうないね」
「結構以上に独特のお顔よね」
 ビリーナはこう指摘しました。
「そうよね」
「デフォルメしているにしても」
 恵梨香も言ってきました。
「少しね」
「独特よね」
「どうもね」
「そうよね、外の世界ではよね」
「独特のお顔立ちで」
「あまり見ない感じね」
「そう思うけれど」
 どうにもお話するのでした、そしてです。
 ここで、です。トロットも言いました。
「中南米の遺跡でもね」
「うん、アステカやマヤのだね」
「ああしたお顔の人がいるのか」
「そう思うね」
「丸い目と唇のね」
 それもかなり目立つ感じのです。
「ああしたお顔の人いるかしら」
「そう言うとね」
「やっぱりデフォルメかしら」
「そうじゃないかな、人それぞれで絵柄があるね」
「人によって全く違うわ」
 絵を描いてもです、例えばトロットとドロシーが同じ人を描いてもその絵柄は全く違っています。ベッツイやオズマでも同じです。
「それはね」
「そうだね、だからね」
「モアイも中南米もね」
「そうした作風なのね」
「それぞれの文化のね、それを言ったらオズの国だってそうだね」
「ええ、今のアメリカの風よ。それに」
 ここでトロットは恵梨香を観て言いました。
「日本だと」
「漫画やアニメですね」
 その恵梨香が応えました。
「そうだっていうんですね」
「可愛い絵が多いわよね」
「はい」
 その通りだとです、恵梨香も答えました。
「凄く激しい感じの絵もあります」
「あれね、漫画である」
 激しい感じの絵と聞いてトロットも言いました。
「スタンドが出て来る漫画ね」
「はい、あの漫画はそうですし」
「あの絵は凄いわね」
「そうですよね」
「キャラクターのポーズも独特で」
 その漫画はというのです。
「ストーリーも凄くて」
「読んでいると男の子も女の子も」
 性別に関係なくです。
「好きになってしまいますね」
「そうね、それで可愛い絵がね」
「日本の絵って感じですか」
「流石にあのスタンドの漫画の絵は」
 そちらはといいますと。
「癖が強いわね」
「癖が強いことは」
「恵梨香も否定出来ないわね」
「はい」 
 実際にとです、恵梨香も答えました。
「私もそう思いますし」
「漫画の作品世界もね」
「かなり個性が強くて」
 それでというのだ。
「面白いですが」
「その癖については」
「かなりですね」
 恵梨香も言うことでした。
「あの人達は」
「そうなのよね、あと吸血鬼出ているわね」
「はい、あの漫画は」
「オズの国にも吸血鬼はいるけれど」
「ああした風ではないですね」
「また違うわ」
 トロットは恵梨香にこのこともお話しました。
「ドラキュラ伯爵だけれど」
「怖い人じゃなくて」
「面白い人ですか」
「そうよ」
 実際にというのです。
「だから怖がらなくていいわ」
「あの漫画の吸血鬼の人みたいにですね」
「そのことは安心してね」
「はい、ただ」
 ここでまた言った恵梨香でした。
「この島には」
「ええ、吸血鬼はいないわ」
 実際にというのです。
「この島にはね」
「南洋の人達がいますか」
「そうよ、だからね」
 それでというのです。
「今からその人達に会いにいきましょう」
「モアイ像を造っている人達にですね」
「そうしましょう」
 こうお話してでした、そのうえで。
 一行は島の密林の中に入りました、すると暫く歩いて一つの村に入りました。するとそこはといいますと。
 村に辿り着きました、その村にはラフなシャツと半ズボンの格好の人達がいて皆に挨拶をしてきました。
「やあ久し振り」
「よく来てくれたね」
「はじめての子達もいるね」
「この人達がだよ」
 船長が恵梨香達にお話しました。
「モアイ像を造っている人達だよ」
「そうなんですね」
「この人達がですね」
「モアイ像を造っている」
「その人達ですね」
「この人達が」
「そうだよ」 
 その通りだというのです。
「モアイの造り方も知ってるよ」
「モアイの造り方は」
 ここで言ったのは神宝でした。
「僕達も不思議に思っていました」
「どうして運ぶのか」
 ジョージも言います。
「それも気になりますね」
「そのことを教えてもらえれば」
 カルロスの目はきらきらとしています。
「嬉しいですね」
「じゃあ今から」
 是非にと言ったナターシャでした。
「教えてもらえれば」
「うん、それじゃあね」
 村の人達の中からでした。若くて爽やかな感じの褐色の肌の男の人が出てきました。ポリネシアの人達のお顔です。
「これからね」
「お話してくれますか」
「そうさせてもらうよ、僕の名前はね」
 恵梨香に答えて言うのでした。
「ムカラ=アバルっていうんだ」
「アバルさんですか」
「ムカラでいいよ」
 こう恵梨香に答えました。
「それでね」
「じゃあムカラさん」
 恵梨香はお名前を呼んであらためてお話をしました。
「モアイはどうして造るんですか?」
「外の世界ではわからないけれどね」 
 まずはこう前置きするのでした。
「こちらの世界では皆で彫っていくんだよ」
「この村の皆で、ですか」
「そう、この島の周りの海には大きな石が一杯あってね」
「その石を引き揚げるんですか」
「皆でね」
 海の上までというのです。
「それで後はピラミッドの石みたいに丘の上まで運ぶんだ」
「丸太を並べて」
「その上を進ませていくんだ、そしてね」
「モアイ像が一杯ある丘の上で」
「他の場所でもね」
 まさにというのです。
「置く場所まで持って行って」
「そしてですか」
「そこで皆で錐とかを使って」
「彫っていくんですか」
「そうだよ、一つずつね」
 そうしていっているというのです。
「ちゃんとね」
「そうなんですね」
「結構手間暇かけてるよ」
「そうですか、あと」
 恵梨香はムカラさんにさらに尋ねました。
「モアイはどうしてあのお顔なんですか?」
「うん、島で崇めている神様なんだ」
「神様のお顔ですか」
「伝えられているね」
「その神様のお顔を再現したものですか」
「そうだよ、そして造る目的はね」
 このことはムカラさんからお話しました。
「神様を讃えてなんだ」
「つまりモアイ像は神様の石像なんですね」
「そのお顔のね」
「そうだったんですか」
「それで僕達は今もね」
「モアイ像を造っているんですね」
「そうだよ」
 その通りだというのです。
「今もね」
「そうですか」
「これでわかってくれたかな」
「はい、そうした理由なんですね」
「オズの国のモアイ像はね」
 どうして造るのか、どういった目的で造っているのか。恵梨香達にお話しました。
「そうなんだよ」
「わかりました」
 五人共ムカラさんに答えました。
「そういうことですか」
「どうしてかなって思うことばかりでしたけれど」
「そういうことなんですね」
「いや、よくわかりました」
「神様の石像で」
「神様を讃えるものだったんですね」
「そうだよ、後ね」
 さらに言うムカラさんでした。
「僕達はモアイ像をとても大事にしているんだ」
「そういえばね」
 ビリーナが言ってきました。
「どの像も奇麗なままね」
「そうだね」
「いつも手入れしているのね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「どのモアイ像も奇麗なんだよ」
「石像だから滅多にどうにかならないけれどね」
「手入れは楽だよ、けれどね」
「その楽なことでもよね」
「怠るとね」
 全く何もしないと、というのです。
「やっぱり汚れたりするからね」
「だからよね」
「ちゃんと毎日ね」
「チェックしてなのね」
「手入れもしてるよ」
「そうなのね」
「それはいいことだね」
 教授もムカラさんのお話を聞いて頷きました。
「本だってそうだしね」
「たまには手入れしないとですね」
「うん、質が悪くなるよ」
 そうなるというのです。
「図書館の本でもね」
「だからですね」
「たまにはチェックをしたりして」
 そうしてというのです。
「手入れもしないとね」
「駄目ですね」
「そうだよ、そのことと同じだね」
「そうなりますね」
「そう、そして」
 教授はさらに言いました。
「それを続けることもね」
「大切ですね」
「何でも続けることが一番大事だね」
 モジャボロはこのことについて言いました。
「そういうことだね」
「モアイ像も造り続けていて」
 それでとです、ムカラさんはモジャボロにもお話しました。
「そうしてなんですよ」
「手入れもだね」
「毎日少しずつでも村人全員で」
「村人全員でだね」
「はい、それこそです」
「毎日手入れをして」
「奇麗にしています」
 モジャボロにもお話するのでした。
「そうしています」
「じゃあね」
 ビリーナもムカラさんのお話を聞いて頷きました。
「私が上に乗ったら駄目ね」
「うん、出来たらね」
「そうよね、気をつけるわね」
「というか君は上に乗ったことあるかな」
「ないわよ」
 そこははっきりと答えるビリーナでした。
「まだね」
「まだなのに言うんだ」
「これから気をつけるからよ」
 そうするからというのです。
「それでよ」
「それで言ったんだ」
「ええ、それとね」
「それと?」
「君は飛べないから」
「モアイ像の上にはっていうのね」
 ビリーナはムカラさんの言いたいことを察して応えました。
「行くことは出来ないかもっていうのね」
「そうじゃないかな」
「いえ、出来るわよ」
「飛べるのかな」
「跳ぶことは出来るわよ、ここからちょっとした木の上に跳ぶ位はね」
 それは出来るからというのです。
「モアイ像の上位にはね」
「行けるんだ」
「そう、けれどね」
 それでもというのです。
「行くことはしないわ」
「じゃあこれからね」
「気をつけるわね」
 モアイ像の上に行く様なことはしないというのです。
「そうしたことは」
「神様の像だからね、ただね」
「ただ?」
「普通に小鳥が像の頭の上にいたりするけれどね」
「そうした光景はよく見るね」 
 今度は船長が言ってきました。
「実際に」
「そうですよね」
「この島ではね」
「ですが」
 それでもとです、ムカラさんは船長にもお話しました。
「僕達が見に行くとです」
「小鳥君達も行ってしまうね」
「そうしますし」
 それでというのです。
「特に怒ったりしません」
「そうなんだね」
「だって彼等はそうしたものですから」
 小鳥達はというのです。
「普通に何処かに止まりますね」
「飛んでいない時はね」
「木の上に止まらないと」
 その時はというのです。
「そうしたところにもです」
「止まるからだね」
「僕達もです」
「怒らないんだね」
「見廻りに来た時に飛び去れば」 
 それでというのです。
「いいんです」
「それだけだね」
「はい」
 本当にというのです。
「僕達は」
「平和的にだね」
「それでいいです」
「そのことよくわかったよ」
「そういえば」
 恵梨香はムカラさんと船長のやり取り、そこでムカラさんが言ったことから考えるお顔になって言いました。
「モアイ像って見ていて落ち着く様な」
「そんな感じよね」
「はい、何処か」
 トロットにも答えました。
「そうですよね」
「そう思うとね」
「小鳥が上に止まっていても」
「本当はあまりよくなくてもね」
「絵になりますね」
「そうよね」
「そのこともあって」
 ムカラさんがまたお話します。
「その時は」
「怒らないんですね」
「僕達もね」
 また恵梨香にお話するムカラさんでした。
「絶対にね」
「そういうことですね」
「それとね」
「それと?」
「ここに来てくれたから」
 それでというのです。
「今から何か食べるかい?」
「この島のお料理ですか」
「うん、豚肉を焼いて果物にね」
 それにというのです。
「周りの海で釣れたお魚をね」
「これからですか」
「お料理するけれど」
「そのお料理をですか」
「君達もどうかな」
 こう言って勧めるのでした。
「美味しいよ」
「そうね、折角のお誘いだし」
 トロットが笑顔で応えました。
「それならね」
「オズの国ではね」
「おもてなしは笑顔で受ける」
「それが決まりですからね」
「今の私達もね」
「是非共」
 まさにと言うムカラさんでした。
「受けて下さい」
「そうさせてもらうわね」
 トロットは笑顔で応えてでした、皆も一緒にイースター島の人達と一緒にお昼を食べました。そうしてです。 
 そのお昼は村の広場で食べましたがそこで、でした。
 皆は広場の紂王にあるモアイ像を見ましたがそのモアイ像は他のモアイ像よりももっと大きくてでした。
 その像を観てです、船長はこんなことを言いました。
「こうしてモアイ像を囲んで食べて飲むことも」
「いいものね」
「そうだよね」
 こうトロットにも応えます。
「本当に」
「そうね、面白いわね」
「そして神聖な感じもしてね」
「いいわね」
 トロットも笑顔で言います。
「お料理も美味しいし」
「うん、わしとしては」
 ある飲みものを飲んで言いました。
「このね」
「ココナッツのジュースね」
「これが一番いいかな」
「南洋の島では沢山あるけれど」
「こうしたところに来た時は」
 まさにというのです。
「やっぱりね」
「一度っていうのね」
「ココナッツのジュースを飲みたくなるよ」
「そして今実際に飲んでいるわね」
「今回の冒険でしたかったことが」
「また一つね」
「適ったよ」
 自分と同じものを飲んでいるトロットに言うのでした。
「有り難いことにね」
「そうよね」
「それでだけれど」
 さらに言う船長でした。
「イースター島のお料理は」
「外の世界では有名かしら」
「モアイ像は有名ですけれど」 
 恵梨香が答えました、五人で村の人達と一緒に豚肉やお魚を焼いたものに果物を食べています。そこにモジャボロと教授もいます。
「それでも」
「お料理はだね」
「聞かないですね」
「モアイ像が有名過ぎて」
「島の人もいなくて」
「それで、ですね」
「お料理は聞かないです」
 四人も言うことでした。
「ちょっと」
「イースター島のお料理は」
「むしろ人がいないとか言われていて」
「聞いていませんでした」
「そうなんだね、けれどね」
 船長は食べている五人に笑顔でお話します。
「オズの国のイースター島では違うからね」
「この通りですね」
「美味しいお料理が一杯あるんですね」
「この通り」
「豚肉もお魚も美味しくて」
「果物もあるんですね」
「そうだよ、これもだよ」
 こう言ってです、船長はサツマイモやパンの木の実も出しました。そうして五人に勧めて言うのでした。
「食べるといいよ」
「はい、それじゃあ」
「今からですね」
「楽しく食べさせてもらいます」
「サツマイモもパンの木の実も」
「そうさせてもらいます」
 五人は船長に笑顔で応えてでした。
 サツマイモ等を受け取ってそちらも食べました。そのうえで言うのでした。
「こちらも美味しいですね」
「お芋もパンの木の実も」
「南洋の食べものって感じで」
「素敵な味ですね」
「幾らでも食べられそうです」
「若しもだよ」
 ここでまたムカラさんが言いました。
「僕達が外の世界にいたら」
「その時は、ですか」
「うん、いつも美味しいものをお腹一杯食べているから」
 だからだというのです。
「太っているだろうね」
「オズの国では誰も太らないですね」
 恵梨香がムカラさんに応えました。
「だからですね」
「そう、それでね」
 そのせいでというのです。
「若しもだよ」
「外の世界だと」
「僕達は皆どれだけ太っていたか」
「わからないですか」
「毎日三度だよ」
 朝昼晩と、というのです。
「これだけ食べていたら」
「もう、ですか」
「太ってしまって」
 それでというのです。
「ダイエットが必要だったね」
「そうでしたか」
「うん、太ったら」 
 その時はといいますと。
「痩せないといけないっていうしね」
「それでダイエットですね」
「そちらにね」
 まさにというのです。
「集中しないといけなかっただろうね」
「じゃあ若しダイエットしないといけなくなったら」
「泳いでいたね」
 笑いながら恵梨香にお話しました。
「外の海で」
「そうされていましたか」
「今も毎日泳いでいるけれど」
 それでもというのです。
「ダイエットを意識してね」
「そのうえで、ですね」
「泳いでいただろうね」
「そうでしたか」
「何でもね」
 ムカラさんはこうも言いました。
「外の世界では南洋の島の人達は太っている人が多いそうだね」
「あっ、そうみたいですね」
 恵梨香はムカラさんの今のお話に頷きました。
「聞いたところによりますと」
「そうだね」
「食べものの姦計みたいで」
「果物が多いからかな」
「それにお肉もよく食べますし」
「だからだね」
「お魚はあまり太らないですが」
 カロリーの少ない食べものです。
「ですが海に行けば」
「幾らでもいるしね」
「食べものが恵まれているせいか」
「太っている人が多いらしいね」
「お友達にです」
 そこにというのです。
「トンガやフィジーの子達がいまして」
「彼等から聞いているんだね」
「はい」
 そうなるというのです。
「それで運動が大事だって」
「そういうことだね」
「最近太っていることが問題になっている国が多いのが」
「外の世界だね
「そうなんです」
「それでだよ、僕も思うんだ」
 外の世界にいればというのです。
「ダイエットしなくちゃとかね」
「そうなんですね」
「普通に食べていたら問題ないと思うけれど」
 それでもというのです。
「外の世界だとね、いつもこんなに食べていたら」
「太りますか」
「そう思うからね」
「それで今も言われたんですね」
「そうだよ、まあここはオズの国だから」
「太らないので」
「安心して食べられるよ」
 こう言ってです、ムカラさんは実際にです。
 とても大きな豚肉を焼いたものにかぶりついてです、美味しそうに食べながら恵梨香達に言うのでした。
「だから君達もね」
「オズの国にいる時はですね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「今もだよ」
「食べるといいんですね」
「そうしてくれると僕達も嬉しいし」
 おもてなしするイースター島の人達としてもというのです。
「是非ね」
「それじゃあ」
 皆も頷いてです、そうしてでした。
 一行はイースター島でモアイ像を観るだけでなくお食事も楽しみました、一行の楽しい海の島の旅はまだ続きます。








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