『オズのキャプテン船長』
第七幕 愉快な海賊達
皆は船長が動かしている船での航海の旅を続けていました、その中でトロットは船長にこんなことを言いました。
「ねえ、この辺りの海はね」
「何が出るかだね」
「周りに島は見えないけれど」
「そうだよ、島に辿り着くのはね」
船長もトロットに答えます。
「まだ先だよ」
「そうよね」
「二日先だよ」
それ位先だというのです。
「次の島に着くのは」
「そうなのね」
「そう、それでね」
そのうえでと言う船長でした。
「この辺りにはね」
「何もないのね」
「暫くは景色を観て楽しもう」
「そうね、食べたり飲むのもいいし」
トロットは船長のお話を聞いて頷きました。
「お風呂に入ってもいいいし」
「船の中のね」
「色々と楽しみましょう」
「何ならね」
ビリーナも船長に言ってきました。
「船の底を透明にして」
「そうして海の中を観てもいいわね」
「楽しみは幾らでもあるでしょ」
「船の中にいてもね」
「それならよ」
それこそというのです。
「退屈に思うことはないわよ」
「ええ、退屈に思うことはね」
トロットはビリーナにすぐに答えました。
「オズの国ではないことだから」
「だからよね」
「それは私もね」
トロットにしてもというのです。
「考えていないわ」
「何をして楽しむかよね」
「そのことを考えて」
そうしてというのです。
「今こうして皆とお話してるのよ」
「そうなんだ」
「それとね」
「それと?」
「これから朝ご飯だけれど」
今度はこちらのお話をするトロットでした。
「何を食べようかしら」
「うん、それもね」
モジャボロが笑顔で言ってきました。
「ここはね」
「楽しく考えていくべきよね」
「そうだよ、じゃあね」
「さて、この旅でも朝食を楽しんでいるけれど」
教授も言ってきました。
「今日は何がいいかな」
「今考えだしているわ」
「色々なメニューがあるけれどね」
「トーストやサンドイッチでもいいし」
トロットはまずはそういったものを出しました。
「オートミールやお粥でもね」
「お粥いいですよね」
恵梨香が笑顔で言ってきました。
「朝には」
「うん、中国のお粥でも日本のお粥でもね」
神宝も言います。
「朝にはいいよね」
「オートミールもいいよ」
ジョージが言うのはこちらでした。
「朝には特にね」
「朝から思いきり食べて」
五人の中で一番元気なカルロスは朝からたっぷり食べます。
「元気よくいこうね」
「じゃあ今日の朝ご飯は」
最後にナターシャが言いました。
「何がいいかしら」
「そうね、中国のお粥にしましょう」
トロットはこれだと決めました。
「それにしましょう」
「中国のお粥ですか」
「ええ、そちらにね」
恵梨香にも答えました。
「しましょう」
「中国のお粥、中華粥ですね」
「それも及第粥ね」
「豚の内臓を入れたお粥ですね」
「最近あのお粥食べていなかったから」
だからだというのです。
「それにしましょう」
「それじゃあ」
「早速出すわね」
トロットはすぐにでした、テーブル掛けを出してそうしてでした。早速及第粥を出しました。そうしてです。
皆でそのお粥を食べます、すると恵梨香達五人は言いました。
「美味しいわね」
「そうだね」
「朝はこれだね」
「朝のお粥は最高だよ」
「凄く美味しいわ」
「そうでしょ、朝のお粥かオートミールは」
まさにとです、トロットも五人に笑顔でお話しました。
「特に美味しいのよ」
「そうですよね、何ていいますか」
恵梨香も及第粥を食べています、そのうえでの言葉です。
「食べやすくて」
「そして起きたては喉が渇いているから」
「寝ている間ずっとお水を飲んでいなくて」
「それでよ」
その為にというのです。
「朝のこうしたお料理は凄く美味しいのよ」
「お粥もオートミールも水分が多いから」
「余計にね、それと中国のお粥は」
「日本のお粥とまた違いますよね」
「作り方がね」
「同じお粥でも」
お粥はお粥でもです。
「また違ていて」
「これはこれで、ですね」
「美味しいわよね」
「本当にそうですよね」
「豚の内臓を入れることは」
その及第粥のことも言います。
「私最初はどうかと思っていたけれど」
「食べてみるとですね」
「凄くね」
まさにというのです。
「美味しくて」
「いいですよね」
「これを食べて」
そしてというのです。
「今日も楽しく過ごしましょう」
「わかりました」
恵梨香も頷きます、そうしてでした。
皆でお粥を食べてです、それからも船旅は続いてお風呂に入ったり船底を透明にして海の中を観てでした。
お昼まで楽しんでいましたがふとでした。船長は遠くにあるものを見てそれで皆に笑顔で言いました。
「面白いものが来たよ」
「面白いもの?」
「ほら、あそこを見るんだ」
船長はトロットに答えて船の北北東の方角を指差しました、するとです。
そこに点が見えました、トロットはその点を見て言いました。
「あれがなのね」
「そう、望遠鏡で見ればわかるよ」
船長はこう言ってです、ご自身が持っていた望遠鏡をトロットに渡しました。それで実際にその点を見ますと。
そこに一隻の船がありました。マストが三本ある帆船でした。しかもです。
真ん中のマストの旗に黒い髑髏とその下に交差した骨がありました、トロットはそのマークを見てわかりました。
「海賊船ね」
「そうだよ」
「素敵な船を見付けたわね」
「じゃああちらに行ってみるか」
「ええ、そうしましょう」
「海賊船って」
恵梨香はそう聞いてです、不安なお顔になって言いました。
「近寄ったら駄目なんじゃないですか?」
「外の世界ではそうよね」
「はい、若し近寄ったら」
それこそと言う恵梨香でした。
「何をされるかね」
「わからないわよね」
「はい、本当に」
それこそというのです。
「海賊は悪い人達ですから」
「それは外の世界のことでね」
「オズの国の海賊は違いますか」
「そうよ、悪いことはしないわよ」
そうだというのです。
「別にね」
「そうですか」
「お宝は海の底や島を冒険して手に入れるから」
「船は襲わないですか」
「そうしたことはしないの」
全く、というのです。
「だからね」
「安心してですか」
「そう、近寄ってね」
「お話していいですか」
「そうよ、楽しい人達よ」
オズの国の海賊達はというのです。
「だからね」
「安心してですか」
「会いに行きましょう」
「それじゃあね」
二人でこう話してでした、そのうえで。
トロットは船長に笑顔で言いました。
「じゃあ今からね」
「海賊船の方に行くんだね」
「そうしましょう」
是非にと言うのでした。
「これから」
「それじゃあね」
「ええ、そしてね」
「お話をするんだね」
「そうしましょう」
トロットが決断を下してでした、船は北北東の海賊船の方に行きました。するとその海賊船の方もです。
一行の船のところに来ました、そうしてすぐに合流してです。
二隻の船は接舷し合ってそのうえで皆で、でした。海賊船を観ようと甲板に集まりました。海賊船は皆が乗っている船と同じ位の大きさで海賊の人達も甲板に集まっていましたが三十人位います。皆青と白の横縞のシャツにズボン、頭に赤いバンダナという恰好です。
そして船長はです、フック船長みたいな恰好で口元や顎のお鬚をポマードで固めています、面長で精悍な顔立ちです。
海賊船の船長は一行に笑顔で海軍の敬礼をしてから挨拶をしました。
「キャプテン=チェーチである」
「チェーチ船長ね」
「そうである」
ビリーナの言葉に笑顔で答えるのでした。
「かく言う貴殿はビリーナ殿であるな」
「ええ、そうよ」
その通りだとです、ビリーナは答えました。
「はじめて会うわね」
「そうであるな」
「海賊船には何度か会っているけれど」
「吾輩は貴殿とははじめて会ったである」
「でははじめましてね」
「そうであるな」
「わしは一度会っているよ」
「私もよ」
船長とトロットはでした。
「この海でね」
「そうだったね」
「久し振りであるな」
チェーチ船長も二人にはにこりと笑って応えました。
「二人共元気そうで何よりである」
「ええ、チェーチ船長もね」
「全くであるな」
「そうよね、それで今は何をしてるのかしら」
「うむ、ここから南西の島に行ってである」
そうしてとです、チェーチ船長はトロットに答えました。
「島の密林の奥にある財宝を手に入れるである」
「その為に船を出しているのね」
「そうである」
船長はトロットに明るく笑って答えました。
「今から楽しみである」
「何か」
恵梨香はチェーチ船長のお話を聞いて思いました。
「海賊というよりは」
「冒険者だよね」
ジョージもこう言いました。
「そうだよね」
「うん、海賊は船や街を襲ってお金とか食べものを奪うけれど」
カルロスは外の世界のお話をしました。
「それがね」
「この世界の海賊の人達は」
神宝はオズの国の海賊のお話をします。
「冒険をして財宝を手に入れるみたいだね」
「それなら」
最後にナターシャが言いました。
「本当に冒険者ね」
「その通りである」
まさにとです、チェーチ船長も五人の子供達に答えます。
「我等は言うならば海の冒険者である」
「やっぱりそうなんですね」
「船や街は襲わないである」
決してという口調でした。
「オズの法律で盗みは禁止されているからである」
「それに悪いことをしたらいけないからね」
船長以外の海賊の人達も言ってきました。
「だからね」
「僕達はそんなことはしないよ」
「オズの国の住人だからね」
「昔この辺りの島にとても悪い人達がいたけれどね」
「僕達は違うから」
「ああ、そういえばいたね」
モジャボロは海賊の人達のお話に頷きました。
「昔ね」
「そう、リンキティンク王も関わったお話だったよ」
教授がモジャボロに答えました。
「因果応報で報いを受けたけれどね」
「あの頃はオズの国は大陸全土でなくて」
「外の海もオズの国ではなかったからね」
「悪い人達もいたね」
「そうだったからだよ」
「吾輩達はあの様な者達とは違うである」
チェーチ船長もこう言います。
「決してである」
「だからなんですね」
「そんなことはしないである」
チェーチ船長は恵梨香にきっぱりと答えました。
「航海とその途中の食事とお酒を楽しみ」
「お宝を手に入れるんですね」
「そうしているである」
「他の人から奪ったりせずに」
「そうである」
まさにというのです。
「冒険で手に入れるである」
「それで海の底にも入ってですか」
「お宝を手に入れるである」
「じゃあ海の底で大蛸と巡り合ったりとか」
「あるである」
実際にとです、チェーチ船長は答えました。
「それもまた」
「やっぱりそうですか」
「うむ、しかしである」
「しかしといいますと」
「戦いにはならないである」
冒険の途中でよくあるそれはないというのです。
「それどころか吾輩達は大蛸と仲良しである」
「そうなんですか」
「そうである」
まさにというのです。
「だから喧嘩することなくである」
「お宝を手に入れていますか」
「それに蛸はお宝に興味がないである」
蛸のこのこともお話するのでした。
「だから安心である」
「そういえばそうですね」
「ドラゴンは別であるが」
「あっ、ドラゴンはお宝好きですよね」
「むしろ人間以上にである、しかしオズの国のお宝は無限である」
それこそ幾らでもあるというのです。
「だからである」
「ドラゴンのお宝を奪ったりはですか」
「だから他の人のものは奪わないである」
オズの国の決まりでそうなっているからです。
「だからである」
「されないですか」
「そうである」
そこは絶対にというのです。
「誰も手に入れていないお宝だけである」
「探し求めて手に入れるのは」
「そうである」
「喧嘩までして何かを手に入れるなんてね」
ここでまた海賊達が言います、何時しか海賊達は一行の船に来てソーセージやパン、ザワークラフトにライムを絞ってそのお汁を入れたラム酒を出してきて皆に振る舞います。勿論トロットもテーブル掛けで食べものを出しています。
その中で、です。海賊達は恵梨香達に笑顔でお話するのです。皆大柄でいかつい顔立ちですがとても気さくで鷹揚な感じです。
「オズの国では絶対に駄目だから」
「そんなことはしないよ」
「絶対にね」
「僕達だってね」
そこはというのです。
「それは言うよ」
「そんなことは絶対にしたら駄目だってね」
「他の人からものを奪ったらいけないよ」
「誰のものじゃないといいけれどね」
「オズの国の海賊はそうだよ」
「そこはしっかりと守っているよ」
「それは山賊もだからね」
モジェボロは皆に彼等のお話をしました、教授や船長と一緒にライムのお汁が入っているラム酒を飲みながら。
「冒険をしてお宝を手に入れても」
「それでもですね」
「他の誰かから奪うことはね」
「しないんですね」
「オズの国の人達だからね」
それでというのです。
「そうしたことはね」
「しないですか」
「うん、絶対にね」
それこそというのです。
「悪いことをしたらいけないからね」
「だからですね」
「そうしたことはしないから」
絶対にというのです。
「そうしたことは」
「そうなんですね」
恵梨香は納得しました、そして皆と一緒に海賊達が出してくれたパンやソーセージ、ザワークラフト等を食べますが。
パンはビスケットみたいに固めのものです、むしろ本当にビスケットと言っていい位です。そしてザワークラフトやソーセージを食べてです。
そうしてです、五人共言いました。
「保存食ね」
「うん、そうだね」
「やっぱり長い船旅をするから」
「それでだね」
「こうした食べものなのね」
「そうなんだよ、船で長い旅をするとなると」
教授が五人にお話します。
「保存と栄養を考えないといけないね」
「外の世界ではそうですね」
「オズの国ではそうでなくても」
「船旅は大変で」
「それで、ですね」
「両方を考えないといけなくて」
「そう、それでね」
教授はザワークラフトを食べつつ言いました。
「このザワークラフトもそうだよ」
「野菜と食べないとである」
チェーチ船長も言ってきました、見れば船長もザワークラフトを食べています。そしてソーセージとラム酒も楽しんでいます。
「身体によくないであるからな」
「だからですね」
「そうである」
それでというのです。
「それでザワークラフトも食べてである」
「このお酒もだよ」
船長はラム酒を飲みつつお話しました。
「ライムのお汁を入れてね」
「飲むこともですか」
「そのうちの一つですか」
「身体の為ですか」
「ただお酒を飲むだけじゃなくて」
「そうした意味もありますか」
「そうだよ、ザワークラフトと一緒で」
それでというのです。
「ビタミン補給なんだ」
「お野菜と果物ですか」
「どっちもちゃんと食べてですね」
「栄養もしっかりと考えて」
「そしてですね」
「そのうえで」
「そうだよ、しっかりと食べて」
それでというのです。
「飲んで健康を守っていたんだ」
「パンもである」
チェーチ船長はこの主食については顔を顰めさせて言います。
「吾輩は知らないであるが」
「どうしたんですか?」
「何かあったんですか?」
「パンについて」
「一体何が」
「パンといよりビスケットですけれど」
「昔の外の世界での海賊のパンはである」
これはチェーチ船長が聞いたお話です、それでご自身はその目で見た訳ではないです。それでも言うのです。
「航海中で石みたいに固くなってである」
「石みたいにですか」
「パンがですか」
「そうなるんですか」
「それって凄いですね」
「パンが石みたいになるって」
「それはまた」
「そしてである」
まさにというのです。
「パンに蛆が涌くというである」
「そんなの食べられないですよ」
「蛆まで涌くなんて」
「もう捨てるしかないです」
「それはないですよ」
「どれだけ不潔か」
「他に食べるものがなくてである」
それでというのです。
「仕方なくである、魚を釣ってもである」
「そちらにもですか」
「蛆が涌くんですか」
「そうなってもですか」
「食べるしかないんですね」
「そうしたものでも」
「そうだったと聞いているである、だからこの船ではである」
海賊船ではというのです。
「ちゃんと船の中で保存しているである」
「だからビスケットですね」
「そうなんですね」
「そうしたパンじゃなくて」
「蛆が涌くものじゃなくて」
「そうしたものですか」
「そうである、あと塩漬けの肉も食べていたであるが」
見れはソーセージ以外にも塩漬けのお肉もあります、確かに塩辛いですが味は普通に美味しいです。
「とんでもない辛さだったというである」
「そうだったんですね」
「そちらも酷い辛さで」
「それで、ですか」
「食べられないですか」
「それでも食べない位だったんですね」
「それでも食べなくて仕方なくてである」
さらに言うチェーチ船長でした。
「食べていたというである」
「海賊も大変だったんですね」
「というか昔の船乗り自体がそうだったんだ」
船長が恵梨香にお話しました。
「これがね」
「そうだったんですか」
「そう、そしてね」
それでというのです。
「食べることでも物凄く苦労していたんだ」
「そんなパンやお魚やお肉ばかりで」
「本当に辛いものだったんだよ」
「今の航海とは全く違っていたんですね」
「オズの国のそれともね」
「そうですか」
「それがクック船長みたいな立派な船長さんが出て」
船長は外の世界で世界一周もした偉大な船長であり冒険家でもあった人のお話もしました。
「ザワークラフトや果物を食べるといいとね」
「わかったんですか」
「色々調べてね」
そうしてというのです。
「そうしたものがいいってね」
「わかってそうして」
「それからなんだ」
「外の世界で、ですね」
「航海の時にこうしたものを食べる様になったんだ」
船長はザワークラフトを食べてお酒を飲んで言いました。
「飲むことについてもね」
「そうですか」
「そしてね」
「航海が楽になったんですね」
「食べる分でもね」
実際にというのです。
「そうなったんだ」
「そうでしたか」
「食べもののことはね」
何といってもというのです。
「この世で一番大事なことだね」
「はい、何といっても」
恵梨香もその通りだと頷きます。
「そちらがよくないとですね」
「航海もままならないからね」
「中国ではである」
チェーチ船長は今度は神宝のお国のお話をしました。
「鄭和の船団は甲板の上に畑を作っていたそうである」
「その畑で野菜を栽培してですか」
「食べていたと聞いているである」
「それに島から島に移ってだったからね」
教授も鄭和の船団のお話に入ってきました。
「確かな案内役もいてね」
「安全な航海だったんですね」
「欧州の海賊船やマゼラン船長の世界一周よりはね」
ずっと、というのです。
「そうだったんだよ」
「野菜を栽培していて確かな案内の人もいて」
「島から島にね」
移っていっていたからだというのです。
「よかったんだよ、それに大船団だったしね」
「それもよかったですね」
「そう、国によって航海はね」
それはというのです。
「違っていたよ」
「中国と欧州で」
「そこは覚えておいてね」
「同じ船に乗り出しても」
「大航海もしてね」
「大航海時代ね」
トロットは船長の大航海という言葉を聞いて述べました。
「そうね」
「そうだよ、欧州でも大公開時代があってね」
「中国でもね」
「大航海時代があったんだよ」
「鄭和って人のね」
「この人もオズの国にいるから」
こうも思った船長でした。
「ひょっとしたら。クック船長も」
「その人も」
「オズの国は冒険の国でもあるから」
それでというのです。
「それでね」
「ここにもなのね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「来るかもね」
「鄭和さんやクック船長も」
「他の人達もね」
「そう思うと素敵ですね」
そのお話を聞いてです、恵梨香は言いました。
「オズの国は」
「そうだね」
「それじゃあその人達にお会いすることも期待して」
「そのうえでね」
「これからもオズの国にいればいいですね」
「僕もそう思うよ、あとね」
「あと?」
「それとね」
ここでこうも言った船長でした。
「オズの国に来るのは冒険者だけじゃないからね」
「他の人達もですね」
「来てくれるんだ」
そうだというのです。
「何しろお伽の国だからね」
「それで、ですね」
「それこそね」
「色々な人達が来てくれて」
「素晴らしい国になっているんだ」
「そうした人達にもお会いすることを楽しみにして」
本当に笑顔で言う恵梨香でした。
「これからもです」
「オズの国にだね」
「来させてもらいたいです」
「君達のことは聞いている」
ここでだ、また言ってきたチェエーチ船長でした。
「外の世界から来ているな」
「はい、そうなんです」
「時々このオズの国に来て」
「楽しませてもらっています」
オズの国の全てをというのだ。
「そうさせてもらっています」
「それならだ」
チェーチ船長は恵梨香達ににこりと笑って言ってきました。
「思う存分楽しくことだ」
「オズの国に来た時は」
「今もな」
「楽しめばいいんですね」
「ここはそういう国である」
だからこそというのです。
「いいな」
「そうさせてもらいますね」
「思う存分な、では吾輩達はだ」
チェーチ船長はまた言いました。
「ここで楽しんでだ」
「そうしてだね」
「夕方になればだ」
その時はといいますと。
「諸君等に別れを告げてだ」
「航海に戻ってだね」
「お宝を手に入れに行く」
こう船長にお話するのでした。
「そうする」
「それではね」
「機会があればだ」
その時にというのです。
「また会おう」
「ではな」
「そしてだ」
さらに言うチェーチ船長でした。
「こうして飲んで食べてだ」
「楽しもうね」
「そうしよう、そして君達は宝探しは」
「そういえばしないね」
船長はチェーチ船長にこう答えました。
「わし等は」
「そうだな」
「冒険をしていて見付けることはあっても」
「自分達から探してはな」
「その為にしたことはないよ」
これまでの冒険を思い出してです、船長はお話しました。
「とうもね」
「そうであるな」
「色々なね」
「他の目的に為にだな」
「冒険をしているよ」
そうだというのです。
「わし等は」
「そうだな、ではだ」
「海賊さん達は財宝を探す冒険をして」
「諸君達はな」
「わし等の旅をしていくよ」
笑顔で応える船長でした、そうしてその自由な旅を続けていくのでした。