『オズのキャプテン船長』




               第五幕  アマゾン

 氷の島で寒い場所の生きもの達と出会ってお話をしてでした、船長達はその島の生きもの達と笑顔でお別れして船に乗り込んで次の島に向かいました。
 船はどんどん進んでいきます、その中で船長は皆に言いました。
「今度も面白い場所だよ」
「それではだね
「そう、今から期待して」
 こうモジャボロに言うのでした。
「そしてね」
「実際にその島に入ってだね」
「楽しもうね」
「期待してそして実際に楽しむ」
「そうであってこそだね」
「冒険だしね」
 モジャボロは笑顔でお話しました。
「その通りだね」
「うん、それではね」
「次の島に行こうね」
「そうしようね」
 二人でお話してです、そしてでした。
 皆で、でした。船に乗ってそうして次の島に向かいますが船の周りの景色はとても奇麗でしかもです。
 船の近くに鯨が見えましたが今度の鯨はといいますと。
「細長い形してるわね」
「何処か恐竜みたいだね」
「そうだね」
「海豚とはまた違う鯨だね」
「シャチとも違うわ」
「そういえば」 
 ここで恵梨香は言いました。
「前にもあの姿の鯨観たわね」
「そうだね、確か昔鯨だったね」
 ジョージも言います。
「その種類の鯨だったね」
「あの種類の鯨もね」
 まさにと言う神宝でした。
「オズの国にいるのがいいね」
「外の世界にはいない生きものもいる」
 ここで言ったのはカルロスでした。
「オズの国ならではだね」
「あの鯨はゼウグロドンだったかしら」
 ナターシャは鯨の種類の名前を出しました。
「バシロサウルスだったかしら」
「ゼウグロドンはバシロサウルスの別称だよ」
 教授がお話します。
「だから同じだよ」
「そうなんですね」
「じゃああの鯨はゼウグロドンって呼んでいいんですね」
「それでバシロサウルスとも呼んでいいですか」
「どっちの意味でもいいですか」
「そう、いいんだよ」
 教授は五人に笑顔でお話しました。
「どちらで呼んでもね」
「そうなんですね」
「そうだよ、それでああした鯨達もね」
「オズの国にいて」
「見られるんだよ」
「そうですね」
「そしてね」
 さらに言う教授でした。
「次の島はどの島か私はまだわからないけれど」
「それでもですね」
「その島でも楽しめるから」
 だからだというのです。
「期待していようね、船長さんの言う通り」
「そうですね、けれどあの鯨は」 
 そのゼウグロドンを見て恵梨香は言いました。
「恐竜というかシーサーペントにも見えますね」
「というかそのものじゃないかな」
「うん、外の世界の海にいるっていうね」
「シーサーペントって恐竜って噂あるけれど」
「あの鯨もそう見えるわね」
「ああ、シーサーペントは恐竜以外の生きものという説があるよ」
 船長が五人にお話しました。
「実はね」
「そうなんですね」
「実は、ですか」
「恐竜以外の生きものの場合もあるんですか」
「じゃああの鯨もですか」
「まだ外の世界にいるんですね」
「そうした話はわしも聞いたよ」
 船長自身もというのです。
「恐竜、あの鯨、大きな魚、烏賊や蛸とね」
「色々言われてるんですね」
「シーサーペントの正体については」
「恐竜だけかと思っていたら」
「色々言われてるんですね」
「その辺りは」
「うん、わしも色々聞いたよ」
 外の世界で船に乗って世界中を旅しているその中で、です。
「シーサーペントについては」
「私も恐竜かしらって思っていたけれど」
 トロットも船長に言います。
「そこは違うのね」
「そうだよ、では明日には島に着くから」
「ええ、島に入る用意もね」
「していよう」
 こう言ってでした、そのうえで皆で泳ぐゼウグロドンを観ながらです。
 夜は寝てそうしてでした、朝にその島に到着しました。その島はといいますと。
 一面ジャングルに覆われていました、ビリーナはそのジャングルを見ていいました。
「ううんと、このジャングルは」
「アマゾンだね」
 教授が答えました。
「あのジャングルは」
「そちらのジャングルね」
「ジャングルも色々でね」
「そういえばそうね」
「オズの国にも幾つかジャングルがあるけれど」
「その中でなのね」
「あれはアマゾンのジャングルだよ」
 教授はさらにお話しました。
「木を見ればわかるよ」
「木をなのね」
「うん、アマゾンはとにかく雨が多くてお水も多くて」
 それでというのです。
「独自の木が生い茂っていて」 
「ああした感じなのね」
「そうなんだ、中にいる生きものもね」
 彼等もというのです。
「他のジャングルと違うんだ」
「じゃあその中に」
「今から入るね」
「そうしようね」
 船長も言ってでした、皆で今度はアマゾンの島に入りました。そうして島の中を観て回ると、でした。
 鬱蒼と生い茂っていてお空さえ見えないジャングルの木々の間には色々な蔦がかかっていたりしていてです。
 手足と尻尾が細長いお猿さんや小さい豹を思わせる柄のネコ科の獣達がその上を走り回っています、そして緑色の蛇がボールみたいになって木の枝にいます。
 その中を観て恵梨香達は言いました。
「アマゾンよね」
「そうだね」
「まさにね」
「ここはアマゾンだね」
「外の世界の」
「あのジャングルね」
「そう、ここはアマゾンだよ」
 船長も五人にその通りだと答えます。
「この中にいる生きもの達もね」
「全部ですね」
「アマゾンの生きものなんですね」
「そういえば動物園でも観ました」
「あのお猿さんはクモザルで」
「ネコ科の獣はオセロットですね」
「そしてあの蛇はエメラルドボアだよ」
 船長は蛇の名前を言いました、そして赤と緑や黒とピンクのとても奇麗な小さな蛙や黒と白、赤のストライブの蛇も観て言いました。
「ヤドクガエルにサンゴヘビだね」
「何時見ても奇麗ですね」
「外の世界じゃ毒がありますけれどね」
「蛙も蛇も」
「けれど奇麗ですね」
「もう観ていてうっとりします」
「こうした生きもの達もいて」
 今度は、でした。
 赤茶色の毛のバクにです、首輪を思わせる白い模様がある焦げ茶色の毛の豚に似た生きものも観て言いました。
「アメリカバクにクビワペッカリーもいるね」
「そうですね」
「あの生きもの達もアマゾンにいて」
「それで、ですね」
「この島にもいて」
「こうして観られるんですね」
「そうだよ、そしてお池を観るんだ」
 すぐ近くにありました、そこには鰐がいて岸辺にやけに胴長の犬に似た獣と大きな鼠がいました。
「メガネカイマン、ヤブイヌ、カピバラだよ」
「まさにアマゾンですね」
「どの生きものもアマゾンにいますけれど」
「その生きもの達もですね」
「この島にいるんですね」
「ちゃんと」
「そうなんだ、あとこの島には人もいるよ」
 獣達だけでなくというのです。
「ちゃんとね」
「そうなんですね」
「氷の島にもいたけれど」
 実はとです、船長は恵梨香にお話しました。
「あの島の人とは会ってないね」
「そういえば」
「この島に比べて住んでいる人も少ないし」
「それで会えなかったんですか」
「そう、一人だけだしね」
 氷の島に住んでいる人はです。
「イヌイットの人が管理人みたいにいるんだ」
「そうなんですね」
「そしてこの島はね」
 船長は丁度傍を通りがかったジャガーに手を出して挨拶をしました、そうしつつ恵梨香達に言うのでした。
「もっと人が沢山住んでいるよ」
「一人だけじゃないですか」
「うん、二十人位いるよ」
「そうですか」
「そしてね」
 それにと言うのでした。
「この人達とも会って」
「そしてですか」
「アマゾンのお池の中に入る潜水艦も貸してもらうから」
「お池の中ですか」
「外の世界のアマゾンは凄く大きな川が流れているけれど」
 アマゾン川です、密林の中を流れているとんでもなく大きな川で外の世界では恵梨香達子供達も知っている位有名です。
「この島はお池なんだ」
「そうですか」
「そう、そしてね」
「そのお池にですね」
「島の人達に会ってね」
 潜水艦を借りてというのです。
「入ろうね」
「そうね、この島はお池の中も凄いからね」
 トロットも船長のお話を聞いて頷きました。
「色々な生きものが沢山いて」
「アマゾンは密林だけじゃないからね」
「お池の中もでしょ」
「外の世界じゃ川の中ね」
「その中もだから」 
 それでというのです。
「今度はね」
「恵梨香達を連れて」
「そしてね」
「お池の中を観るのね」
「そうしよう」
 是非にと言ってでした、船長は今度は皆をでした。
 島の中にある村に案内しました、そこには二十人位のシャツと膝までのズボンを着た褐色の肌の人達がいました。
 その人達は一行を見て笑顔で挨拶をしてからでした。そのうえで恵梨香達に笑顔でこう言いました。
「やあ、君達がオズの国の名誉市民の子達だね」
「噂が聞いてるよ」
「遂にこの島に来てくれたね」
「何時来てくれるかなって思っていたけれど」
「今日来てくれたね」
「はい、これから宜しくお願いします」
 五人でアマゾンの人達に挨拶をしました。
「今日も」
「こちらこそね」
「それでだけれど」
 船長島の人達に言いました。
「潜水艦を貸してくれるかな」
「ああ、これからなんだ」
「うん、お池の中に入ってね」
 潜水艦を使ってというのです。
「この子達にこの島のお池の中を見せてあげたいんだ」
「それはいいことだね」
「じゃあいいかな」
「遠慮は無用だよ」
 これが島の人達の返事でした。
「船長達ならね」
「それじゃあね」
「うん、今から潜水艦を貸すね」
「それじゃあね」
 こうしてでした、皆は潜水艦を貸してもらうことになりました。そうして皆で潜水艦のところに行くとです。
 村の傍にあるお池のほとりに二十人乗れる位の大きさの潜水艦がありました、船長は皆に潜水艦だけでなく他の船が停泊している木の波止場で言いました。
「じゃあこれからね」
「その潜水艦に乗り込んで、ですね」
「そう、お池の中に入るんだよ」
「そうするんですね」
「そうするよ、そしてこの島のお池はね」
 そのお池のこともです、船長は恵梨香達にお話しました。
「幾つもある様で実は違うんだ」
「一つですか」
「そうなんだ、中でつながっているんだ」
「それで一つですか」
「そうなっているんだ」
「それでそのお池の中にですね」
「今から入ってね」
 そうしてというのです。
「お池の中を観ていくよ」
「わかりました」
「じゃあ中に入ろうね」
 そのお池の中にというのです。
 こうお話してです、皆で潜水艦の中に入って船長が操船を行って潜航をしてからお池の中を進みはじめました。
 船長は操縦席の傍にあるボタンの一つを押しました、すると潜水艦の中が三百六十度透明になってです。 
 お池の中が観える様になりました、するとでした。
 ピラニアにピラルク、アロワナにガー達が観えました。
「うわ、凄いわ」
「アマゾンの色々なお魚達が泳いでいるよ」
「ピラニアもピラルクもいるよ」
「ピラルクは相変わらず大きいわね」
「三メートル位の鯰もいるし」
「この島の底全体がなんだよ」
 船長は船を操縦しつつ五人にお話します、
「お池なんだ」
「そうなんですね」
「それでこの広さですね」
「何か海にもつながっていそうな」
「そこまでの広さですね」
「海にはつながっていなくて地下の川からね」
 それを伝ってというのです。
「地下の湖につながっているんだ」
「オズの国の地下のですか」
「ノームやドワーフやダークエルフの人達がいる」
「あそこの湖にですか」
「つながっているんだ」
 海ではなく、というのです。
「そちらにめ」
「そうした場所なんですね」
「ここはそうしたお池なんですね」
「島の下全体につながっていて」
「そうした場所ですか」
「じゃあここから地下の世界にも行けますか」
「行けるよ。時々そこからノームの人達も来るよ」
 そうしたこともあるというのです。
「それで島の人達と一緒の遊んでいるよ」
「つながってるんですね」
 恵梨香も今そのことを実感しました。
「二つの世界が」
「オズの国の中にあるね」
「そういうことですね」
「そうだよ、あとアマゾンといえば」
 船長は皆にさらに言いました。
「アナコンダだね」
「あの大蛇ですね」
「そうだよ、アナコンダは基本お水の中にいるのは知ってるね」
「はい、あまりにも身体が大きくて」
 恵梨香は船長に答えました。
「それで、ですよね」
「基本水棲なんだ」
「そうでしたね」
「だからこのお池の中にもいるよ」
「それじゃあ」
「これからその姿を観られるよ」
 船長がこう言うとです、ビリーナは真上に気配を感じてすぐに見上げました、そうして船長に言いました。
「お目当ての相手がいたわよ」
「今のわし等の上にだね」
「ええ、だからね」
「このまま上に上がれば」
「会えるけれどどうするの?」
「答えは一つだよ」
 これが船長の返事でした。
「それならね」
「そうよね、それじゃあね」
「今から潜水艦を浮上させるよ」
「わかったわ」
 ビリーナは操縦席の横にいてそこから船長に応えました、船長はすぐに浮上のボタンを押しました、するとです。
 潜水艦は垂直に浮上しました、そしてです。
 水面に出るとそこにでした、二十五メートルはある胴回りもとんでもない太さの緑色の鱗に黒い斑点模様がある大蛇がいました。
 船長は皆と一緒に潜水艦の中にいたまま言いました。
「あれがだよ」
「アナコンダですよね」
「動物園のアナコンダよりずっと大きいですね」
「二十メートル以上は普通にありますね」
「もうとんでもない大きさですよ」
「ドラゴンより大きいですよ」
「外の世界では半分伝説だね」
 船長はここでこう言いました。
「あそこまで大きなアナコンダはね」
「実際にいるんですか?」
 恵梨香はアナコンダのことをです、船長に尋ねました。
「あそこまで大きなアナコンダは」
「いるという話はあるよ」
「けれどですか」
「今わしが言った通りにね」
「伝説ですか」
「実際はいるかどうかね」
 半分そうしたお話でというのです。
「わからないよ」
「そうですか」
「ただ。アマゾンはね」
 この場所はというのです。
「今もよくわかっていない場所だからね」
「実際にいてもですね」
「おかしくないよ」
「そうなんですね」
「一応言われているのはだよ」
 ここで教授もお話します。
「最大で十メートル程度だね」
「アナコンダの大きさは」
「ティタノボアという昔の蛇は十三メートルだったんだよ」
 それだけの大きさだったというのです。
「オズの国にもいるけれどね」
「十三メートルというと」
「あのアナコンダの半分程度だね」
 それ位の大きさだというのだ。
「おおよそね」
「そうですよね」
「けれどこの国はお伽の国だよ」
 だからだというのです。
「それでだよ」
「ここにいるんですね」
「そうなんですか」
「そしてね」
 教授は恵梨香達にさらに言いました。
「彼ともお話出来るよ」
「それもオズの国だからですね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「何ならお話をするかい?」
「それじゃあ」
「しかもね」
 トロットも言ってきました。
「丁度お昼ご飯の時間よ」
「あっ、そうなんですね」
「朝に島に着いてです」
「ずっと色々な生きものを観てきましたけれど」
「もうお昼ですか」
「お昼になったんですね」
「そうよ、だから潜水艦を出て」
 そうしてというのです。
「お昼を食べない?アナコンダとお話ししながら」
「はい、それじゃあ」
「教授もそう言っておられますし」
「それならですね」
「今から潜水艦を出て」
「そうして」
「食べながらね」
 アナコンダと話をしようと言ってでした、実際にです。
 船長は潜水艦を岸辺の方にやってでした、そうしてそこで停泊させてそのうえで皆を潜水艦の外に出させてです。
 お昼ご飯の用意に入ってそこでアナコンダに声をかけました。
「おおい、起きてるかい?」
「あっ、その声は」
 船長の声を聞いてでした。
 アナコンドは水面に出していた頭を起こして船長達の方にお顔を向けて言いました。
「船長じゃないか」
「そう、わしだよ」
 船長も笑顔で応えます。
「久し振りだね」
「そうだね、元気そうだね」
「この通りな」
 船長はアナコンダに笑顔で応えました、見ればアナコンダの頭はそこだけで船長の身体の半分位はありそうです。
「元気だよ」
「それは何よりだね」
「うん、それで今からわし等はお昼を食べるが」
「そうなんだ、僕はもう食べたよ」
「そうなのか」
「さっきね、それで食後の睡眠を楽しんでいたんだ」
「起こして悪かったね」
 船長はアナコンダにそのことを謝罪しました。
「それだったら」
「いいよ、君達がそこで食べるなら場所を変えるよ」
「お喋りをしないかい?」
「今はそれよりも寝たいんだ」
「食後だからかい」
「食べた後はしっかりと寝る」
 笑顔で言うアナコンダでした。
「それが一番気持ちいいからね」
「だからだね」
「今はね」
「寝るんだ」
「そうするよ、じゃあね」
「まただね」
「お話しようね、それとね」 
 ここでアナコンダは恵梨香達を見てこうも言いました。
「君達ともね」
「ええ、またなのね」
「機会があったらね」
「お喋りもね」
「楽しもうね」
「それじゃあね」
 恵梨香達にも言ってです、そしてでした。
 アナコンダはジャングルの方に巨大な身体を持って行ってそうしてでした、これはという場所に入ってお昼寝をするのでした。そうしてです。
 一行はお昼ご飯となりました、今日のお昼はといいますと。
 お好み焼きやたこ焼き、そして焼きそばを出しました。ビリーナはそうしたものを観て言いました。
「大阪ね」
「ええ、今日はね」
「日本のあの街の食べものにしたのね」
「今ふと思い出したの」
 トロットはビリーナに笑顔で答えました。
「オズの国の日本人街のうちの一つに大阪があるでしょ」
「あの街を思い出したの」
「それでね」
「今日はそれを出したのね」
「そうなの、それで飲みものはね」
 そちらはといいますと。
「コーラやサイダー、あとビールもね」
「大人の人にはビールね」
「そういったものを出して」 
 そしてというのです。
「皆で食べるから」
「何か色々出て来てるわね」
「おや、モダン焼きもあるね」
 モジャボロはお皿の上のそのお料理を見て嬉しそうに言いました。
「僕はこれが好きでね」
「おお、広島のお好み焼きもあるじゃないか」
 教授は笑顔でそちらのお好み焼きを見ました。
「こちらも美味しいからね」
「色々出してみたの」
 トロットは二人にこう答えました。
「大阪のだけじゃなくてね」
「そうなのね」
「わしはどれも好きだが」
 船長が見ているものはといいますと。
「焼きそばが一番好きかな」
「私はたこ焼きかしら」 
 トロットはそちらを見ています。
「どれが一番かっていうと」
「トロットはたこ焼き好きだね」
「ええ、はじめて食べた時からね」
「好きになったんだね」
「よくこんな美味しいものがあるなってね」
「思ってだね」
「今もよく食べてるの」
 そうしているというのです。
「そして今もよ」
「食べるんだね」
「じゃあ皆で食べましょう」
「お好み焼きも焼きそばも好きだけれど」
 ナターシャはテーブル掛けの上に出されているそうしたものを観ながらそのうえでこう言いました。
「今食べるとなると」
「ジャングルの中でお好み焼きはね」
 神宝は想像出来ないといったお顔です。
「普通はないからね」
「今は外の世界でも出来るかな」
 首傾げさせつつです、カルロスは言いました。
「どうかな」
「それでもこんな普通に食べられないよ」
 ジョージが思うにです。
「今みたいにね」
「そうよね、そもそもお好み焼きはね」
 ここで言ったのは恵梨香でした。
「鉄板に燃料が必要だから」
「勿論食材もよね」
「小麦粉に卵、キャベツにだよ」
「あと豚肉とか海老とか烏賊とかの食材に」
「おソース、マヨネーズ、紅生姜とかね」
「そうした食材が全部必要だから」
 それでと言う恵梨香でした。
「ジャングルではそう食べられないわね」
「これがシェラスコとかだとね」
 船長が五人に言います。
「かえって簡単だね」
「お肉と火があれば」
「それで出来ますからね」
「だからですね」
「お好み焼きの方がですね」
「いいですね」
「そうだね、けれどお好み焼きになると」
 これがというのです。
「そうもいかないね」
「はい、確かに」
「今僕達で話したみたいに」
「色々必要ですね」
「食材も調味料も」
「何かと」
「だからこうした場所でお好み焼きを食べられることも」
 それもとです、船長はお箸を取りつつ言います、見れば他の皆もそれぞれ手にお箸を取っていっています。
「不思議だね」
「そうですよね」
「そうしたこともですよね」
「これもテーブル掛けがあるからですね」
「何時でも何処でも好きなものが食べられる」
「これも素晴らしい魔法の道具ですよね」
「そうだよ、じゃあその魔法に感謝して」
 そうしてというのです。
「今から食べようね」
「足りなかったらどんどん出すから」 
 トロットもお箸を取って笑顔で言います。
「言ってね」
「そうさせてもらいます」
 五人はトロットの言葉に笑顔で応えました、そうしてです。
 皆でいただきますをしてから食べはじめます、お好み焼きも焼きそばもたこ焼きも熱くていい焼き加減でおソースやマヨネーズとも合っています。
 それであまりにも美味しくてモジャボロはモダン焼きを食べながら満面の笑顔でこんなことを言いました。
「これは何枚でも食べられるよ」
「全くだよ、広島風の次は」
 教授も広島風のお好み焼きを食べつつ言います。
「何を食べようかな」
「もう好きなの食べましょう」
 トロットはたこ焼きをはふはふと食べています。
「そうしましょう」
「そうだね、じゃあね」
「そうして食べていこうね」
「是非共ね」
「あっ、見て」
 恵梨香は海老玉を食べつつナターシャ達四人に言いました。
「ハチドリがいるわ」
「あっ、そうね」
「お花の蜜を吸ってるね」
「ハチドリもアマゾンにいるからね」
「それでこうして観ることが出来るね」
「しかも」
 お池の方にでした、
 オオアルマジロとオオナマケモノがのそっと出て来て恵梨香はまた言いました。
「もう外の世界にはいない生きものも出て来たわ」
「いや、大きいね」
「そうだよね」
「普通のアルマジロやナマケモノよりも」
「ずっとね」
「本当に大きいわね」
「うん、彼等もこの島にいてね」
 船長が五人にお話します。
「お話出来るんだよ」
「そうなんですね」
「よかったらお話してみるといいよ」
 恵梨香達にこうも言うのでした。
「よかったらね」
「そうさせてもらおうかしら」
「そうね、いい機会だし」
「外の世界じゃいない生きものだしね」
「しかもお話出来るなら」
「それならですね」
「うん、ではね」
 それならと言ってでした、今回も船長が声をかけました。するとオオアルマジロもオオナマケモノもです。
 彼等の方に来てこう言ってきました。
「やあ、船長じゃないか」
「トロットさんもいるね」
「モジャボロさんに教授、ビリーナもいて」
「そして」
 ここで彼等は恵梨香達五人も見ました。
「その子達がだね」
「オズの国の名誉市民の子達かな」
「聞いた話の外見だけれど」
「どうなのかな」
「そうだよ」
 船長は二匹にその通りだと答えました。
「この子達がオズの国の名誉市民の子達だよ」
「いや、珍しい子達に出会えたね」
「何時か会えたらって思っていたけれど」
「ここで会えるとはね」
「神様に感謝しないとね」
「感謝するのは私達よ」
 恵梨香が二匹にそれはというお顔で応えました。
「貴方達みたいに珍しい生きもの達に出会えたから」
「あれっ、僕達が珍しい?」
「そうなんだ」
「僕達普通にこの島にいるし」
「オズの国にもいるよ」
「だから珍しくないよ」
「特にね」
 二匹は恵梨香の言葉に鳩が豆鉄砲を喰らった様なお顔になって返しました。ですが恵梨香はその彼等に言うのでした。
「貴方達はもう外の世界にいないからよ」
「そう言うんだ」
「そうなんだね」
「ドードー鳥もステラーカイギュウもオオウミガラスもゼウグロドンもそうで」
 そしてというのです。
「貴方達もそうだからよ」
「そう言うんだ」
「それでなんだ」
「そうなの、こんなことは」
 それこそというのです。
「オズの国ならではよ」
「ううん、そう言われるとね」
「納得出来るね」
「そういうことならね」
「僕達もわかるよ」
「ええ、貴方達に出会えることは」
 外の世界にはいない彼等と、というのです。
「本当に神様に感謝すべきことよ」
「オズの国の神々にだね」
「そうするんだね」
「そうね、オズの国の神様は」
 ここでこのことにも気付いた恵梨香でした。
「外の世界の神様とは違ったわ」
「うん、そうだよ」
「実はそうなんだよね」
「外の世界の宗教とはまた違うよ」
「オズの国はね」
「オズの国を創造した神様達がいて」
 そうしてなのです。
「信仰されているのよね」
「キリスト教も他の宗教も存在しているけれど」
 船長も言ってきます。
「何といってもね」
「オズの国の信仰は、ですね」
「オズの国の神々へのものだよ」
「そうですよね」
「だから今もね」
「感謝すべきはですね」
「オズの国の神々だよ」
 彼等に対するものだというのです。
「君達をこの世界に導いてくれてね」
「そして色々な出会いや体験をさせてくれる」
「神々に感謝するんだよ」
「そうですよね」
「一緒に感謝しようね」
 オオアルマジロが恵梨香達に言ってきました、小さめの象位の大きさの身体で。
「ここは」
「オズの国の神々にね」
 オオナマケモノも笑顔です、その大きさはゴリラの倍はあるでしょうか。
「そうしようね」
「そうよね、それじゃあね」
 恵梨香達も彼等の言葉に笑顔で応えました、そうして皆でオズの国の神々に心から感謝しました。そうしてです。
 二匹の生きもの達は船長にあらためて尋ねました。
「今が冒険中かな」
「そうなのかな」
「うん、そうなんだ」
 実際にとです、船長は二匹に答えました。
「今はね」
「それじゃあだね」
「この島での冒険を続けていくんだね」
「そしてね」 
 さらにというのです。
「他の島も回っていくつもりだよ」
「大冒険だね」
「幾つもの島を巡るなんて」
「うん、海を進んでいってね」
 そうしてというのです。
「楽しんでくるよ」
「それは何よりだよ」
「じゃあ心から楽しんでね」
「そうさせてもらうよ」
「じゃあ僕達はここでお水を飲んでね」
「それで別の場所に行くよ」
「今日のお昼も沢山ご飯を食べたし」
「後はお水を飲むよ」
「食べてそして飲む」
 笑顔で言った船長でした。
「その二つこそが第一歩だね」
「幸せのね」
「そうだよね」
「うん、だからね」
 それでというのです。
「わし等も今飲んで食べてるんだよ」
「じゃあお腹一杯食べてね」
「楽しい思いをしてね」
「そうさせてもらうよ」
 こう言ってそうしてでした。
 オオアルマジロとオオナマケモノを見送ってからも皆はお好み焼きや焼きそばを食べました。そうしてでした。
 ふとです、トロットはこんなことを言いました。
「日本のお料理の中で大阪のは独特よね」
「ああ、何かが違うね」
「このたこ焼きもお好み焼きもね」
 見ればトロットは今もたこ焼きを食べています、そのうえで船長に応えてさらにこんなことを言うのでした。
「おソースにマヨネーズを使っていてね」
「濃厚な味だね」
「そうよね、しかもね」
 さらに言うのでした。
「癖になってね」
「ついつい食べるね」
「そしてね」
 それにというのでした。
「カレーライスもラーメンも豚まんもね」
「色々あるね」
「私あのカレー好きなの」
「ご飯とルーが混ざっている」
「そのカレーがね」
 まさにというのです。
「好きなのよ」
「あのカレーはわしも好きだよ」
「真ん中に生卵が入っててね」
「あれは最初驚いたね」
「卵を生でなんて」
「あれっ、それは」
 恵梨香は大阪のカレーライスのお話をしていてその中で生卵を食べるというお話を聞いて少し驚いて言いました。
「アメリカでは普通じゃないんですか?」
「あっ、普通じゃないんだ」
「そうなんですか」
「うん、アメリカでも他の国でもね」
「日本以外の国ではですか」
「卵も他のものもあまりね」
「生で食べないですか」
 恵梨香は驚いたお顔のまま答えました。
「そうなんですか」
「お刺身とかのお話は知ってるね」
「もう四人から言われまして」
 ナターシャ達を見つつ船長にお話します。
「お刺身とかは日本だけで」
「大抵の国ではだよ」
「あまり生ものは食べないんですね」
「そして卵もそうでね」
 それでというのです。
「あのカレーライスに生卵はね」
「驚かれたんですね」
「そうなんだよ、最初はね」
「アメリカも生卵を食べると思っていました」
「そう思った根拠は何かな」
「映画でありまして」
「ああ、あの映画だね」
 船長もお話を聞いてどの映画かわかりました。
「ボクサーの映画だね」
「はい、あのシリーズの最初の作品観て」
「朝に生卵を飲んでるね」
「何個も一気に。それで走ってますね」
「あの時にだね」
「アメリカ人もって思いましたけれど」
「それは違っていてね」
 映画でそうしたシーンがあってもというのです。
「実はね」
「アメリカでもですか」
「卵料理はよく食べるにしても」
 それでもというのです。
「生卵はね」
「食べないんですね」
「これまでお話した通りにね」
「あの映画は特別ですか」
「映画の演出もあるだろうけれどね」
「そうだったんですね」
「逆に生ものが好きな日本人はね」 
 まさにというのでした。
「カレーにまでって思ってね」
「驚かれたんですね」
「まさかと思ったからね」
「そうですか」
「けれど食べるとね」
「あれのカレー美味しいですね」
「素敵な味だよ」
 本当にというのでした。
「本当にね」
「あときつねうどん、デザートは」
 トロットはそちらのお話もしました。
「お碗が二つの善哉がアイスキャンデーね」
「アイスキャンデーですか」
「ペンギンのね」
「あのお店北極って言ってますけれど」
「ペンギンは南極よね」
「そこはなんですよね」
「それでも北極っていうのは」
 どうにもというのでした。
「矛盾してるわね」
「というか間違えている感じが」
「あと寒いところで冷たいものを食べると」 
 船長が言うにはです。
「余計に寒くなってね」
「よくないですよね」
「寒いところでは熱いものだよ」
 それを食べるといいというのです。
「そちらがいいよ」
「やっぱりそうですよね」
「これが逆だと」
 どうにもというのです。
「よくないよ」
「本当にそうですよね」
「冷たいものはね」
 具体的に言うとアイスキャンデーもです。
「暖かい場所で食べるものだよ」
「それか暑い時にですね」
「適度に体温も冷やしてくれるしね」
「身体は冷やしてはいけないですけれど」
「熱くなり過ぎても駄目だからね」
「程々がいいんですね」
「そう、体温調整の為にもね」
「暑い場所にいたりしたらですね」
「冷たいものを食べたり飲んだりすることもいいから」
 それでというのです。
「それがいいんだよ」
「じゃあ今は、ですね」
「ここは暑いからね」
 ジャングルの中です、ジャングルの中は暑いものです。
「最後はそちらもいいよ」
「アイスキャンデーも」
「善哉も出すつもりだけれど」
 それでもと言うトロットでした。
「アイスキャンデーも出すわね」
「そうしてだね」
「皆で食べましょう」
 笑顔で言ってでした、そのうえで。
 デザートも楽しみました、善哉だけでなくアイスキャンデーもとても美味しくて大阪の味がしました。








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