『オズのファイター大尉』




               第七幕  世界樹の前に来て

 一行は遂に世界樹が見えてきて今度は世界樹の方にひたすら進んでいきます、その中でドロシーはこんなことを言いました。
「あと少しでね」
「うん、見えてきたしね」
 かかしがドロシーに応えます。
「それならだよ」
「三日位歩いたら」
「世界樹の前に来られるね」
「そうなるわね」
「だからね」
 それでとです、かかしはドロシーに応えてそのうえで神宝達にも言うのでした。
「皆で頑張って歩いていこうね」
「あと三日で、ですか」
「僕達世界樹の前に出て」
「それで中に入られるんですね」
「世界樹の中にも」
「それも出来るんですね」
「そうだよ、あと世界樹の昇り降りはね」
 このこともお話するかかしでした。
「中に階段や梯子があるからそれを使ってだよ」
「これは最初に世界樹に来た人達が用意したんだ」
 樵もお話します。
「皆が行き来しやすい様にね」
「ううん、そうですか」
「そうした気配りをしてくれたんですね」
「後に来る人達が世界樹の中を移動した様に」
「その様にですね」
「してくれたんですね」
「そうだよ、だから移動はね」
 それはというのです。
「スムーズに行けるよ」
「それで中には色々な果物が実っていてね」
 ジャックは世界樹の中のお話をしました。
「色々な人も住んでいて」
「とても賑やかで」
「もうクリスマスツリーみたいで」
「とても楽しい場所で」
「中に入っても楽しい」
「そうした場所なんだ」
「お空の世界から妖精さん達も遊びに来たりするしね」
 そうしたこともあるというのです。
「天空のお城も見えるしね」
「ああ、あの」
「僕達が前に行った」
「騎士団の人達がいる」
「あのお城ですね」
「あのお城も見えるんですね」
「そうだよ、景色もいいんだ」
 そちらのお城もというのです。
「世界樹はね」
「とても高いしね」
 トトも五人に言ってきました。
「頂上まで登るのも楽しいよ」
「それは山登りみたいだね」
「それか塔か」
「そうしたみたいだね」
「じゃあ頂上まで登るのも楽しむ」
「そちらのこともなのね」
「うん、楽しもうね」
 まさにと言ったトトでした。
「そちらもね」
「ううん、早く行きたくなったよ」
「本当にね」
「三日と言わず今すぐにでもね」
「行きたくなったわ」
「もうそれこそ」
「そこは焦ったら駄目だよ」
 大尉は逸りだした皆に応えました。
「じっくりと三日間ね」
「歩いてですね」
「そうしてですね」
「世界樹に近付くのを楽しむ」
「そちらの楽しみもあるから」
「焦らないことですね」
「そう、そうするべきだよ」
 是非にというのです。
「いいね」
「そうですね、どうせならですね」
「世界樹に行くことも楽しむ」
「そうすべきですね」
「道中も楽しんで」
「そうしていくのがオズの国だからですね」
「そう、皆で楽しんでいこうね」
 こう言うのでした、そしてです。
 一行は世界樹の方に歩いていきます、黄色い煉瓦の道をひたすらです。
 その中で、です。ドロシーは皆に言いました。
「お昼になったから」
「お昼御飯ですね」
 神宝が応えました。
「そうですね」
「そうよ」
 その通りとです、ドロシーが応えました。
「これから皆で食べましょう」
「そう言われるとお腹が空きましたね」
 五人の中で一番の食いしん坊のカルロスも言いました。
「今日も朝御飯の後ずっと歩いていますし」
「歩いているとお腹が空きますしね」
 運動になるからとです、ジョージも言います。
「それならですね」
「これからお昼御飯ですね」
 ナターシャも楽しみみたいです。
「煉瓦の道の横で」
「さて、今日のお昼は何を食べるか」
 このことについて考える恵梨香でした。
「考えますか」
「そうね、今日はね」
 今日のお昼はと言うドロシーでした。
「フォンデュがいいかしら」
「チーズフォンデュですね」
 神宝はフォンデュと聞いてすぐに応えました、
「それをですね」
「お昼に食べましょう」
 こう言ったのでした。
「是非ね」
「うん、後はね」
「後は?」
「そう、それとね」
 まさにというのです。
「デザートはね」
「あっ、デザートもですね」
「ええ、これを忘れてはならないわ」
 これはというのです。
「だからね」
「それで、ですか」
「そう、そのデザートは」
「何を出されるんでしょうか」
「苺を考えているわ」
 これがドロシーの考えているデザートでした。
「それをね」
「あっ、苺ですか」
「そう、それをね」
「出してくれますか」
「そうしましょう」
 是非にと言ってでした、そのうえで。
 ドロシーは食べられる人全員でチーズフォンデュを食べはじめました、そこにはトトも一緒にいてです。
 お鍋の中で溶けてそのチーズの中に入れられたパンやソーセージ、ベーコンを食べてドロシーに言いました。
「うん、チーズフォンデュもね」
「美味しいよね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「このお料理もね」
 トトは前足を器用に使って自分でパンやソーセージをチーズの中に入れてそうして食べつつ言うのでした。
「昔はオズの国になかったね」
「そうなのよね」
「それがね」
「今はね」
 まさにというのです。
「食べられるのがね」
「これもオズの国の変化だね」
「チーズはね」
 これ自体はと言うドロシーでした。
「昔から食べていたけれど」
「オズの国でもカンサスでもね」
「けれどね」
「チーズフォンデュとなると」
「なかったわ」
「こんな美味しいお料理があるなんてね」
「本当にね、けれどね」
「食べてみると」
 これがというのです。
「本当にね」
「美味しくて」
「皆で食べると余計にね」
「ええ、美味しいわ」
「チーズは」
 神宝が言ってきました、勿論この子も他の子達も楽しく食べています。
「中国では最近まで食べてなかったんですよね」
「牛乳もよね」
「飲みませんでした」
 そうだったというのです。
「本当に」
「そうだったわね」
「はい」
 その通りだというのです。
「色々食べる国ですが」
「それでもなのね」
「牛乳は飲まなくて」
「乳製品もなのね」
「モンゴルでは食べますけれど」
 中国の北にあるこの国ではです。
「馬乳ですけれど」
「そうよね」
「それで中国にいるモンゴルの人達は食べますけれど」
「馬乳も飲むわね」
「けれど他の中国人は長い間」
 中国の何千年もの歴史の中で、です。
「殆ど食べなかったんです」
「そうなのね」
「一応乳製品もあったんですが」
「殆ど食べなかったのね」
「はい、蘇とか醍醐とかありましても」
「それ日本でもあるわ」 
 蘇や醍醐と聞いて恵梨香も言ってきました。
「酪もね。私蘇を食べたことがあるけれどチーズだったわ」
「昔の中国や日本のチーズかしら」
 ナターシャは二人のお話を聞いて思いました。
「要するに」
「そうだね、けれど殆ど食べる人がいなくて」
 ジョージは茸を串に刺してお鍋に入れつつ述べました。
「定着はしてなかったんだね」
「牛乳を飲む人も少なくて」
 カルロスはベーコンをお鍋に入れています。
「殆ど知られていなかったんだね」
「うん、凄く偉くてお金のある人達だけがね」
 神宝はジョージ達にもお話しました。
「食べて飲んでいたみたいだね」
「それで最近までなのね」
 ドロシーが神宝に尋ねました。
「食べる人も飲む人もいなかったのね」
「はい、けれど最近は」
「中国でもなのね」
「食べますし」
 チーズ等乳製品をです。
「飲みます」
「変わったのね」
「僕もチーズ好きですし」
 小さく切っているパンを串に刺してお鍋の中に入れてチーズで覆って食べます、すると物凄く美味しかったです。
「こうしてです」
「楽しんでよね」
「食べられますけれど」
「美味しいし中国の人達は何でも食べるのに」
 ドロシーも不思議に思うことでした。
「乳製品食べなかったのね」
「そうなんです」
「中華料理って本当に色々なもの食べるよね」
 大尉も言ってきました。
「私も見ていて凄いと思ってるよ」
「はい、四本足だと机や椅子以外は」
「全部食べるね」
「お空を飛んでいるものは」
「飛行機以外はだね」
「食べます、お水のものは船以外」 
 まさに全てというのです。
「お野菜や果物も毒がないと」
「全部食べているね」
「そうなんですが」
「乳製品にはだね」
「ずっと疎かったんです」
「成程ね」
「中国でも食べないものがあるってことだね」
 ジャックが言ってきました。
「そうだね」
「うん、そうだよね」
「そういえば中華料理は牛乳とかチーズ使わないね」
「うん、もう殆どね」
「和食もそうだけれど縁がないね」
「牛乳は欧州のお料理ね」
 まさにと言ったドロシーでした、ドロシーは今はソーセージをチーズに包んでそれで食べています。
「まさに」
「そうですよね」
「凄く身体にいいし美味しいし」
「飲んでもいいですよね」
「乳製品もね」
 チーズ等もというのです。
「食べてね」
「悪くないですね」
「ええ、けれどね」
 それでもというのです。
「食べない国もあって」
「中国もそうだってことですね」
「そうね、けれど今はなのね」
「食べて飲んでいます」
 今の中国ではというのです。
「それで日本でもです」
「食べてるのね」
「はい、今僕は日本にいますが」
 それでもというのです。
「いつも楽しんでいます」
「それでオズの国でも」
「そうしています」
 まさにというのです。
「それも楽しく」
「それもわかったわ、じゃあね」
「フォンデュをですね」
「楽しんでね」
「そうしてます」
 実際にという返事でした、ドロシーとトトそして神宝達五人の子供達はチーズフォンデュを心ゆくまで楽しみました。
 その後で、です。苺を食べますが大尉はドロシーが出した苺を見て思わず目を瞠ってしまいました。
「これはまた」
「どうかしら」
「素晴らしいね」
 見れば赤い苺だけではありません、青に黄色に紫に緑とです。オズの国それぞれの色の苺がお皿の上に奇麗に山盛りにされています。
「これは」
「どうせ出すならね」
「オズの五国の苺をね」
「出そうと思って」
 それでというのです。
「出したけれど」
「うん、正解だね」
 大尉も太鼓判を押します。
「本当にね」
「ええ、じゃあね」
「皆でね」
「デザートも食べましょう」
 その苺をというのです。
「そうしましょう、あと大尉もね」
「私も?」
「私との喋り方がお友達のものにね」
「完全になったかな」
「これでね」
 砕けた方が得意なドロシーとしてはです。
「気兼ねなくお喋りが出来るわね」
「ドロシー王女は形式ばったことはしないね」
「王女だけれど」
 オズの国のです。
「元々カンサスで農家だったから」
「だからなんだ」
「格式や形式に五月蠅いことはね」
「あまり、だね」
「出来ることは出来ても」
 ドロシーも王女です、それでこうしたことも出来る様にはなっています。
「私の地じゃないのよ」
「ドロシー王女の地はやっぱり」
「ええ、農家の娘でね」
「そして冒険者だね」
「そうよ」
 それがドロシーの地だというのです。
「だからね」
「格式や形式ばった喋り方は」
「されるとどうもね」
「苦手でだね」
「砕けた口調で話してくれたらね」
 それでというのです。
「私はお話しやすいのよ」
「だからだね」
「大尉もそうしてお話してくれたら」
 それでというのです。
「有り難いわ」
「そういうことだね」
「そうよ。ただ」
 ここでドロシーは神宝達五人にオズの国それぞれの色になっている苺達を差し出してからこうも言いました。
「貴方達は、よね」
「年上の人ですから」
「ドロシーさん大体中学生位ですよね」
「それに何かと教えてもらってばかりですから」
「だからです」
「敬語で喋らせてもらってます」
「そうよね、貴方達はね」
 本当にと言うドロシーでした。
「そうなるわね」
「はい、これからもです」
 まさにと言う神宝でした。
「敬語でお話させてもらいます」
「それじゃあね」
「はい、宜しくお願いします」
「貴方達はそういうことでね」
 ドロシーも納得しました、そうしてです。
 皆でデザートの苺も楽しみました、そのうえで皆で楽しく食べてそうしてまた冒険の旅を再開してです。 
 三日程歩くとでした、遂に。
 皆は世界樹の前まで来ました、世界樹はとてつもない大きさで直径はもう街位ありました。そしてその高さは。
「見上げても頂上が見えないよ」
「とんでもない高さだね」
「頂上は雲にかかっていたけれど」
「一体どれだけの高さか」
「こんな木があるのもオズの国ならではね」
「この木にね」 
 紗大尉は神宝達五人にお話しました。
「これから入って登ってね」
「そうしてですね」
 ジョージが応えました。
「世界樹の葉を手に入れるんですね」
「そしてその葉を持って」
 次に言うのはカルロスでした。
「ヘンリーおじさんとエムおばさんのところに戻って」
「それでワインに入れる」
 次に言ったのはナターシャでした。
「そうして最高に美味しいワインを造ってもらう」
「その為に登るのね」
 恵梨香も言いました。
「これから」
「そうよ、ただもう夕方近いから」
 それでと言ったドロシーでした。
「中に入るのは明日にしましょう」
「明日ですか」
「明日に入ってですか」
「そうしてですか」
「登っていくんですね」
「明日の朝からですね」
「そうしましょう、近くにね」
 ここでこうも言ったドロシーでした。
「見ての通りよ」
「世界樹の周りには人が集まってね」
 そうしてと言ったのはトトでした。
「街になっているんだ」
「最初は村だったんだ」
 かかしも皆にお話します。
「それが徐々に大きくなって」
「今は街になっているんだよ」
 樵も皆に気さくにお話します。
「人が多くなってね」
「森だからエルフの人達が多いんだ」
 見れば見事な金髪と緑の切れ長の目に白い肌そして先が尖った耳を持っているすらりとした奇麗な人達が皆の周りを歩いています、ジャックがお話することです。
「この通りね」
「そういえばオズの国にはエルフの人達もいるね」
 神宝がジャックの言葉に気付いた風に言いました。
「それでなんだ」
「うん、ここで言うエルフの人達は森エルフでね」
「森だからだね」
「世界樹の近くにもね」
「住んでいるんだね」
「人間もいるけれど」
 見れば人間の人達も多いです。
「あとホビットやフェアリーの人達も多いね」
「そうだね」
 神宝はジャックのその言葉にも頷きました。
「オズの国だね、ここも」
「そういうことだよ」
 まさにと答えたジャックでした。
「世界樹の麓の街もね」
「それでだけれど」
 ドロシーがここで言ってきました。
「今日はここに泊まりましょう」
「この街にもいいホテルがあるんだ」
 大尉もお話します。
「だからね」
「そのホテルに泊まって」
 ドロシーがまた皆に言います。
「楽しい夜を過ごしましょう」
「ホテルの夜もいいしね」
 トトはもう尻尾を左右にぱたぱたとさせています。
「皆で楽しく過ごそうね」
「エルフのホテルだから」
 ドロシーはそのホテルのお話をさらにしました。
「エルフのお料理も出るわよ」
「ええと、エルフのお料理って」
「一体どんなものか」
「ちょっと知らないですけれど」
「どんなものか」
「私達も」
「美味しいわよ」
 まずはこうお話したドロシーでした。
「その前に温泉にも入られるしね」
「ホテルの大浴場が温泉なんだ」
 トトも皆に説明します。
「だからね」
「お風呂にも入って」
「それですっきりもして」
「そのうえでだね」
「エルフのお料理も食べる」
「そうするのね」
「そうだよ、じゃあまずはそのホテルに行こうね」
 こうお話してです、ドロシーが皆をエルフのホテルに案内しました。するとそこは大きな世界樹程ではありませんがかなり高い木をそのままホテルにしたものでした。そのホテルの中に入ってまずはでした。
 皆お風呂に入りました、すると。
 そのお風呂からは木の香りがしてしかもとても気持ちがいい湯舟だったので神宝達はお風呂の後でドロシーに言いました。
「不思議なお風呂でした」
「何か森の中にいるみたいな」
「お湯の中にいたのに」
「森の香りもして」
「凄くいい気持ちでした」
「木の樹液が温泉になったの」 
 ドロシーもお風呂に入ってすっきりした状態になっています、そのうえで神宝達にその温泉のことをお話するのでした。
「身体にも凄くいいしね」
「香りもよくて」
「森の中にいるみたいな感じになるんですね」
「日光浴っていうか」
「周りに枝や葉も一杯あったし」
「だからですね」
「そうよ、このホテルは木をそのままホテルにしたのよ」
 壁も床も天井も全て木製であちこちに枝や葉があります、蔦もお花もあってそういったものが絡み合って一つの建物になっている感じです。緑や茶色、そうした色がまさに木であることを示しています。
「だからね」
「樹液も出て」
「その樹液が温泉になっているんですね」
「そんな不思議なお風呂なんですね」
「このホテルのお風呂は」
「他にはない温泉ですね」
「そうなの。木の温もりがお湯にもなってるし」
 温泉のそれにです。
「だからね」
「そこに入ると、ですね」
「あんなに気持ちいいんですね」
「今僕達とてもすっきりしてますけれど」
「それもですね」
「樹液の温泉だからですか」
「そうなの、じゃあお風呂にも入ったし」
 ドロシーは今もトトを抱いています、ただトトは神宝とジョージ、カルロスと一緒に男湯に入ってドロシーはナターシャ、恵梨香と一緒に女湯に入っています。大尉とかかし、樵、ジャックはお風呂に入る必要がないのでホテルのロビーでお喋りをしたりトランプで遊んだりして楽しく過ごしていました。
「これからエルフ料理を食べましょう」
「僕達は今回も見させてもらうよ」
 大尉も皆に言います。
「皆が美味しいものを食べてそうなる笑顔をね」
「それが大尉さん達の栄養だからですね」
「そうだよ」
 大尉は神宝ににこりと笑って答えました。
「だからね」
「それで、ですね」
「今からご馳走になるよ」
 皆の笑顔をです、こうお話してでした。
 一行はホテルのレストランに入りました、そうして出て来たメニューは野菜や果物を使ったお料理にジュースといったものでした。パスタやピザもあります。
 見ればお魚やお肉は使われていません、チーズやヨーグルトといった乳製品はありますがそれでもです。
 お魚もお肉もないので五人はドロシーに尋ねました。
「あの、エルフの人達は菜食主義者ですか?」
「お魚もお肉も食べないんですか?」
「乳製品はありますけれど」
「お野菜や果物ばかりで」
「そうしたものはないですね」
「食べない訳ではありません」
 シェフの服を着た凄く奇麗なすらりとしたスタイルの女の人が言ってきました、エルフらしく見事な金髪と緑の切れ長の目そして先が尖った耳を持っています。
「ですがあまりです」
「お好きでないんですか」
「お魚やお肉は」
「そうなんですか」
「エルフの人は」
「お肉系統は苦手ですか」
「そうです、それで基本です」
 エルフ料理はというのです。
「菜食主義です」
「だからスパゲティもピザもなの」
 ドロシーはそうしたお料理のお話をしました。
「大蒜は使っていてもね」
「あれっ、唐辛子や胡椒はあまり使ってないですね」
「香辛料はあまり多く使っていないですね」
「生姜もあまり使ってないですね」
「サフランとかは使っていても」
「刺激の強い香辛料は」
「エルフ族は刺激の強い香辛料もあまり使わないです」
 そうだというのです。
「ですからこうしたお料理になります」
「穏やかな味でね」
 ドロシーがまた五人にお話します。
「自然の味を大事にしているのよ」
「トマトと茄子のソースのスパゲティだね」
 大尉はそのパスタを見て言いました。
「ピザはチーズとトマト、それに玉葱とピーマンを使った」
「デザートは」
 神宝はそちらを見ました。
「ヨーグルトにジャム。それと」
「パイだね」
 大尉はそのパイも見ています。
「すぐりの」
「美味しそうですね」
「サラダもあるしね」
「本当に菜食主義ですね」
「それがエルフ料理なんだね」
「そうです、ではです」
 またエルフのシェフの人が言ってきました。
「お召し上がり下さい」
「わかったわ」
 ドロシーが皆を代表してにこりと応えてでした。
 実際に皆でエルフ料理を食べました、サラダにパスタにピザそして茄子やサボテンのステーキ、南瓜のフライに野菜シチューに人参やトマト、葡萄のジュースそれに牛乳やチーズにヨーグルト、パイを食べます。
 どのお料理も食材の自然の味を見事に活かしていて美味しいです、それで五人も目を丸くさせて言いました。
「うわっ、本当にね」
「これは美味しいよ」
「こんなお料理もいいね」
「パスタもピザも美味しいわ」
「ジュースもね」
「そうでしょ、エルフ料理もね」
 ドロシーは今はチーズを飲みつつ皆にお話します。
「美味しいのよ」
「この街の名物料理なんだ」
 トトも食べつつ皆にお話します。
「エルフ料理はね」
「何か」
 神宝はピザを食べつつトトに応えました。
「自然な感じで」
「食材本来のね」
「味がするっていうか」
「それがいいよね」
「和食とも違うね」
「和食は香りがね」
 大尉がまた言ってきました。
「お醤油だね」
「はい、和食も素材の味を活かしてまうけれど」
「何といってもね」
「お醤油ですね」
「それがあってこそだね」
「和食ですね」
「けれどエルフ料理の香りは」
 大尉が感じるそれはといいますと。
「それぞれの食材のね」
「香りですね」
「調味料は使っていても」
 オイルはオリーブオイルが主流です、そちらの香りもします。
「それでもね」
「それぞれの素材の味と香りをですね」
「活かしている感じだね」
「香りでもわかるんですね」
「僕達は食べる必要はないけれど」
 お口はあくまでお話をする為のものです。
「それでもね」
「香りは感じるんですね」
「お鼻があるからね」 
 大尉だけでなくかかし、樵、そしてジャックもです。
「だからね」
「感じますね」
「ありのままね」
「それでその香りが」
「素材を活かしたね」
「そうしたものなんですね」
「それがわかるよ、それでそうしたお料理も」
 さらにお話する大尉でした。
「僕達は食べないけれどね」
「美味しいとですか」
「思えるよ」
「実際に美味しいです」 
 神宝は食べて答えました。
「本当に」
「素材を活かしているお料理も」
「いいです、ただ調味料や大蒜、あとオリーブオイルは」
 あまり使っていないですが刺激の強い香辛料もです。
「ちゃんと生きていますね」
「それもエルフ料理です」
 シェフの人が神宝に答えました。
「ですから」
「そうしたものの味もですか」
「活かす様にしています」
 ちゃんと、というのです。
「そうしています」
「そうですか」
「はい、そして」
 シェフの人はさらにお話しました。
「乳製品もです」
「うん、このチーズはね」
 トトは今それを食べています。
「素敵な味だね」
「ウォッシュチーズね」
 ドロシーはトトが今食べているそのチーズを見ました、見れば確かにそのチーズはウォッシュチーズでした、
「トトはそのチーズを食べているのね」
「うん、こうしたチーズもあるから」
「食べてるのね」
「これも美味しいよ」
「そういえば」 
 ドロシーはそのウォッシュチーズを見てこうも言いました。
「色々な種類のチーズがあるわね」
「出してもらってるね」
「カマンベールもあるし」
「モジャボロさんやムシノスケ教授は」 
 トトはこの人達のお話もしました。
「チーズを食べながらね」
「ワイン飲んでるわね」
「赤ワインをね」
「私達にはね」
 どうにもと言うドロシーでした。
「赤ワインはね」
「子供だとね」
「飲まないからわからないわ」
「チーズとワインの組み合わせはね」
「それは凄く美味しいっていうけれど」
「そんなに美味しいのかしら」
「わからないよね」
「ヘンリーおじさんも好きで」
 チーズを食べつつ赤ワインを飲むことがです。
「よく楽しんでるけれど」
「美味しいのかしら」
「そこわからないよね」
「どうもね」
「大人の方にはです」 
 シェフの人はドロシー達にもお話しました。
「ワインもです」
「出せるのね」
「はい」
 その通りというのです。
「そちらも。ですが」
「今回は子供とね」
「食べない人ばかりだからね」
 大尉がドロシーに応えました。
「だからだね」
「ワインはないわね」
「ワインは大人の人の飲みものです」 
 お酒だからとです、シェフの人がお話しました。
「ですからお出ししていません。ですが」
「それでもなのね」
「アルコールのないワインなら」
 そうしたワインならというのです。
「出せますが」
「どうしようかしら」
 ドロシーはシェフの人のお話を聞いてどうかと考えました、ですがトトも五人もこうドロシーに言いました。
「ジュース色々あるしね」
「ワインでしたら葡萄ジュースもありますよ」
「牛乳もあります」
「飲みもの一杯ありますから」
「アルコールのないワインがあっても」
「他の飲みものがこれだけあったら」
 それならというのです。
「もういいです」
「遠慮させてもらいます」
「牛乳とジュースがありますから」
「そちらを飲みます」
「実際かなり飲んでいますし」
「もうこれで充分だよ」
「そうなのね、私もね」
 ドロシーにしてもでした。
「もうこれで充分だから」
「だからですね」
「ええ、ワインはね」
 アルコールのないそれはというのです。
「遠慮させてもらうわ」
「わかりました」
 シェフの人はドロシーに応えて頷きました。
「それでは」
「そういうことでね」
「何かね」
 ここで大尉はレストランの別の席を見ました、見ればです。 
 他のお客さん達もお食事を楽しんでいて大人の人達がです。
 ワインを飲んでいます、それで大尉は言うのでした。
「このホテルはワインも人気なんだね」
「はい」
 シェフの人は大尉にも答えました。
「そうなのです」
「そうなのね、じゃあね」
 ドロシーはシェフの人のお話を聞いて言いました。
「モジャボロさんやムシノスケ先生にお話しておくわ」
「あの人達はワインを飲めるしね」
 大尉がドロシーに応えました。
「大人だから」
「ええ、だからね」
 それでというのです。
「そうね」
「お話しておくんだね」
「そうしておくわ、じゃあ最後はね」
「デザートだね」
「このデザートも」
 ヨーグルトやパイを見ての言葉です。
「自然の味を活かしていてね」
「とても美味しそうだね」
 トトも笑顔でそのデザート達を見ています。
「それじゃあね」
「今からね」
「食べましょう」
「デザートもね」
「デザートは何か」
 神宝はそのすぐりのパイを見つつドロシーに言いました。
「果物が宝石みたいですね」
「奇麗に飾ってるわね」
「はい、本当に」
「それだけに美味しそうね」
「じゃあ今から」
「皆で食べましょう」
 笑顔でお話してでした、そしてです。
 実際にデザートも食べましたがこちらも食材の自然の味を活かしていてです、そうしてそのうえでなのでした。
 この日はホテルのベッドで気持ちよく寝て休みました、そのうえで朝日と共に起きてホテルの朝御飯のオートミールや目玉焼きを食べてでした。いよいよ世界樹に向かうのでした。








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