『オズのエリカ』




               第十二幕  育っていく国

 アン達は夕方までエリカと一緒に彼女の国にいましたが一旦ドロシーの魔法で一瞬でエメラルドの都に戻りました。
 そしてそこでオズマと晩御飯を食べつつエリカのことそして奥の状況をお話しました、するとでした。
 全部聞き終えてからです、オズマはこう言いました。
「いい感じね」
「オズマはそう思うのね」
「ええ、そう思ったわ」
 オズマはこうドロシーに答えました。
「聞いていて」
「そうなのね」
「渡井が思っていた以上にね」
「いい感じっていうのね」
「ええ、そう思っているわ」
 実際にというのです。
「これはね」
「そうね、どうもね」
「エリカはそうした才能があったのかしら」
「国家元首のね」
「そうなのかしら」
「そうかもね、というかね」
 ドロシーは晩御飯のメニューの一つ野菜スティックを食べつつオズマにお話しました、棒に切られた人参も美味しいです。
「エリカはずっと考えていたらしいから」
「このエメラルドの都を見て」
「ええ、猫が一番住みやすい形はってね」
「それでふと国を築こうと思いついたけれど」
「そうして考えていっていたことがね」
 まさにそのことがというのです。
「実現したから」
「これまでのことが蓄積されていたのね」
「それでみたいよ」
「そういうことね、そういえばエリカもね」
 オズマは考える顔になって言いました。
「オズの国に来てかなり長いわね」
「私のすぐ後位だから」
「だからね」
「その間よく考えていたから」
 猫が一番墨やすい国はどういった感じかということをです。
「だからね」
「ああしてなのね」
「猫が一番住みやすい感じの国になって」
 そしてというのです。
「治めていけるのよ」
「そういうことね」
「これまでの蓄積は大事ってことね」
 ここでこう言ったのはアンでした。
「国を築いてやっていくことも」
「そうね、本当に」
「私もこのことがわかったわ」
 言いつつです、アンはラムチョップを食べました。今日のメニューはとても大きなこのお料理なのです。
「今回のことでね」
「そうなのね、貴女も」
「ええ、勉強したり考えたり」
「そうしていったら」
「ここぞっていう時に生きるのね」
「あっ、努力はね」
 オズマはそう考えました、その蓄積は何かということを。
「それはね」
「生きていくわよね」
「そういうことね」
「そう、蓄積は努力ね」
「努力は本当にね」
 まあにというのです。
「生きるわ」
「そうよね、何かと」
「サッカーも練習をしないと」
 カルロスはこう考えました、スポーツ大好きな彼らしく。
「駄目だしね」
「そうそう、勉強はするだけよくなるよ」
 神宝は五人で一番成績がいいせいかこちらを出しました。
「どんどんね」
「何でもやればやるだけね」
 ナターシャも言います。
「よくなるわね」
「そうよね、努力は裏切らない」
 恵梨香の言葉です、尚ジョージも含めて三人は勉強もスポーツも出来る方です。ただ恵梨香は三人の中ではちょっと運動の得意不得意が激しいです。
「そう言うし」
「うん、何でもね」
 まさにと言ったジョージでした。
「努力していくべきだね」
「そうだね、ただエリカってね」
「努力するタイプかっていうと」
 臆病ライオンと腹ペコタイガーは食パンを何枚も食べつつ言います、パンにはバターがたっぷりと塗られています。
「そうは思わないけれど」
「ずっと考えていたことが努力」
「そうなっていたんだね」
「意識しない間に」
「そう、努力は意識せずともね」
 かかしが言ってきました。
「行う場合もあるね」
「そうだね、今回のエリカはそうだね」
 樵も言いました、二人は今も場の雰囲気を心で食べて楽しんでいます。
「ずっと考えていた、それが努力になっていたね」
「そうだね、エリカ自身意識しないうちに」
「何時の間にか」
「そしてそれがね」
「建てた国に役立った」
「そうなるね」
「そうね、エリカは完全な思いつきタイプで」
 ドロシーもこのことはよくわかっています、彼女ともお付き合いが長いだけに。
「急に決めて動くけれど」
「それでもだね」
 トトがドロシーに応えました。
「それまで考えていたことが」
「努力であって」
「それで生きているんだね」
「そういうことね」
「実際にね、ただエリカ自身が努力って自覚しているか」
 このことはといいますと。
「多分ね」
「自覚していないのね」
「努力とかを意識するタイプじゃないよね」
「ええ、それはないわね」
「だからね」
 それでというのです。
「あの娘にこのことを聞いても」
「どう答えるかっていうと」
「別に何でもないってね」
「そんな感じなのね」
「そうだと思うよ」
 こう言うのでした。
「あの娘はね」
「そうでしょうね、あと焦っていないわね」
 オズマは今度はエリカのこのことを言いました。
「猫、国民になる子達も徐々に集まる」
「それでいいと思っていますね」
 ジョージがオズマに応えました。
「完全に」
「ええ、そうよね」
「オズの国中から集まるもので」
「それは徐々にで」
 実際エリカが考えていることを言うのでした。
「一瞬で集まるものでもない」
「そう考えていて」
「全然焦っていなくて」
「待っていますよね」
「寝ながらね」
「あの娘は焦ることはしないのよね」
 また言ったドロシーでした。
「絶対に」
「そう、焦らないで」
 オズマがドロシーに応えます。
「ことをやっていくわね」
「寝たりしながら」
「いつもそうなのよね」
「じゃあまた行くのね」
 アンはドロシーに再び猫の国に行くことを尋ねました。
「そうするのね」
「ええ、そうしましょう」
 ドロシーもこう答えます。
「是非ね」
「それじゃあね」
「そう、ただ明日すぐに行くかというと」
「それはないのね」
「あの娘も戻って来るかも知れないし」
 それでというのです。
「だからね」
「時間を置くのね」
「そうしましょう」
「そうね、じゃあ暫くはね」
「オズの国にいましょう」
「それじゃあね」
 二人でお話してです、他の皆も頷いてでした。とりあえず皆はエメラルドの都で楽しく遊んで過ごしていました。
 そして数日後です、エリカは気球でオズの国に戻ってきてそうして皆に対してこんなことを言いました。
「私の予想以上のことになったわ」
「それはいいことで?悪いことで?」
「いいことでよ」
 こうアンに答えました。
「それでよ」
「そうなの」
「そう、国民がもう三千匹になったのよ」
「建国してから一週間位なのにね」
「十日で三千匹って思っていたわね」
「それがね」
 エリカはアンににこにことして言います。
「一週間よ」
「そう、一週間でね」
 まさにというのです。
「三千匹になったのよ」
「思ったより早いわね」
「そう、早くて」
 それでというのです。
「嬉しいわ、これからも国民は増えていくでしょうけれど」
「まずはなのね」
「三千匹になって」
 それでというのです。
「よかったわ」
「そうなのね」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「私気が向いたから」
「またそう言うのね」
「今から暫く都にいてね」
「ここで過ごしたいのね」
「そしてね」 
 そのうえでというのです。
「今はゆっくりと寝るわ」
「寝るの」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「御飯も食べるわ」
「そうするの、ただお国のことは」
「あっ、もう留守番役の総理大臣決めたから」
「その猫がなの」
「そう、シャム猫でこれはっていう子がいるから」
 それでというのです。
「その子を総理大臣にしたの」
「そうなのね」
「そう、それで私はね」
 まさにというのです。
「ここに安心して戻ってきたのよ」
「そうなのね」
「そう、そしてね」
「お国は安心してやっていけるの」
「そうよ、まあ気が向いたら戻るし」
 ここでも気が向いたらでした。
「今はこの都にいるわ」
「何でも気が向いたらなの」
「猫だからね」
 言いつつです、エリカは右の後ろ足で自分の耳の後ろを掻きつつ言いました。その目はもう眠そうです。
「そうするのよ」
「貴女本当に何でも気が向いたらよね」
「そうよ、じゃあ今はね」
「寝るのね」
「ええ。その場所は」
 エリカは今自分達がいる宮殿のお部屋の中を見回しました、それでお部屋の端のテーブルを見て言いました。
「あそこがいいわね」
「そのテーブルでなの」
「上に寝るわ」
「そうするのね」
「そうするわ、じゃあね」
「今からよね」
「寝るわ」
「全く、何かね」
 アンはどうにもという顔でまた言いました。
「貴女は自分のペースを崩さないわね」
「ええ、絶対にね」
「そうよね」
「もうそういうことはね」
「崩さないのね」
「気が向くままにね」
「何でもしていくのね」
「食べて寝て遊んで」
 そして、でした。
「政治もするわ」
「それも気が向いてなの」
「猫だからね」
「本当に猫らしいわ、じゃあ」
「暫く寝るから」
 それでというのでした。
「何かあったら起こしてね」
「そうするわね」
「ええ、じゃあね」
 こうしてでした、エメラルドの都に戻って来たエリカはまずは楽しく寝ました。ここで皆はエリカは暫く都に留まると思っていました。
 ですがそれでもです、エリカは次の日の朝こう言いました。
「国に行くわ」
「えっ、今日なの」
「ええ、そうするわ」
 自分の言葉に驚いているドロシーにあっさりと答えました。
「これからね」
「そうするの」
「そう、本当にね」
「あの、ちょっと」
「ちょっとって?」
「昨日都に戻ってきたのよね」
 ドロシーはエリカにこのことを尋ねました。
「そうよね」
「ええ、そうよ」
「それで今日なの」
「あっちに戻るのよ」
「あの、何ていうか」
「思いついたからね」
 それでというのです。
「戻るのよ」
「そうするのね」
「そう、じゃあ私は行くけれど」
「私達もどうかっていうのね」
「どうかしら。歓迎するわよ」
 ドロシー達が来ればというのです。
「私の国に来たらね」
「そうしてくれるの」
「ええ、だからどうかしら」
「貴女と一緒になのね」
「私の国に行く?」
「そうね、それじゃあね」
 ドロシーが頷いて他の面々も行くことにしました、今回はオズマもこう言いました。
「今は時間があるから」
「それでなのね」
「ええ、私もお邪魔させて欲しいけれど」
「勿論いいわよ」
 エリカは笑ってオズマに答えました。
「私の国は来る者は拒まずよ」
「そうよね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「是非ね」
「貴女の国に来て」
「そうしてね」
 そのうえでというのです。
「楽しんでね」
「ええ、観てそうさせてもらうわ」
「それじゃあね」
 オズマも頷いてでした、エリカの国に行くことになりました。
 一行はオズマの魔法で一瞬でエリカの国に行きました、エリカが乗ってきた車も一緒でした。そしてです。
 オズマはその猫の国を見てまずはこう言いました。
「確かにね」
「いい感じでしょ」
「よくまとまっているわね」
 その国を実際に見ての言葉です。
「猫のサイズに合わせてね」
「そうでしょ」
「それで猫の過ごしやすい様になっているわね」
「猫が考えた猫の国なのよ」
 エリカはオズマの足元から彼女に顔を向けて言います。
「だからね」
「それでなのね」
「この通りね」
「猫の過ごしやすい国なのね」
「そういうことよ、それでね」
「それで?」
「宮殿の中もね」
 そこもというのです。
「猫の為の宮殿よ」
「そのことは聞いているけれど」
「そう、地下は人間用でね」
「他の場所は猫用ね」
「そうなっているのよ」
「サイズとかもよね」
「全部ね」
 そうなっているとです、エリカはオズマにお話しました。
「そうなっているから」
「だからなのね」
「その中も案内させてもらうわ」
「ええ、じゃあお願いするわ」
「是非ね、それとね」
「それと?」
「いえ、色々な種類の猫がいるわね」
 国の中にいる猫達を見てです、オズマは言いました。
「本当に」
「ええ、そうでしょ」
「ペルシャ猫もいるしアメリカンショートヘアもいるし」
「他にもでしょ」
「色々な猫がいるわね」
 見ればオズマのすぐ近くで白地に黒や灰色の模様が入っている垂れ耳のスコティッシュフォールドが人間のおじさんみたいな感じで座っています、所謂スコ座りです。
「オズの国のあらゆる種類の猫がいる感じね」
「だってオズの国中から猫が集まるから」
「そうよね」
「猫の種類もね」
 まさにそれもというのです。
「こうしてね」
「かなりいるのね」
「そうなのよ」
「成程ね」
「それでこれからもね」
 さらに言うエリカでした。
「国民が増えていくから」
「猫の種類も」
「そう、増えてね」
 それでというのです。
「賑やかになるわよ」
「そうなっていくのね」
「徐々にね、そしてそうなっていくことがね」
「楽しいのね」
「そうよ」
 実際にという返事でした。
「私としてはね」
「楽しんでいるのね」
「この通りね、それとね」
「それと?」
「もうそろそろ畑を耕しはじめているから」
「お国の外で」
「そう、キャットフードの畑があるから」
「そこで採れたキャットフードを食べていくのね」
「そうよ、色々なキャットフードを作っているから」
 エリカは楽しそうにお話するのでした。
「もうね」
「どんな種類のキャットフードも食べられる」
「そうもなっていくのよ、そしてね」
 さらに言うエリカでした。
「国の傍の湖で漁業を行ってね」
「森でもよね」
「そう、林業もするし」
 それにというのです。
「森の幸も貰って」
「国を動かしていくのね」
「そうするわ」
 まさにというのです。
「これからは」
「そうして国を治めていくのね」
「そうよ、あとお巡りさんも決めたから」
 それでというのです。
「兵隊さんもね」
「街で何かあってもね」
「大丈夫よ。オズの国は悪い奴はいないけれど」
「ええ、それでも迷子とかあるでしょ」
「こうした時にお巡りさんは必要だし」
 さらに言うエリカでした。
「儀礼とか門番で兵隊さんも必要だから」
「決めたのね」
「それをお仕事にする猫達もね」
「そこもちゃんと考えているのね」
「勿論よ、さもないとね」
 それこそというのです。
「国はやっていけないから」
「だからなのね」
「そう、ちゃんとね」
 それこそというのです。
「治めていける様にするわ」
「ううん、何かね」
 ここまで聞いて言ったのはアンでした、ウーガブーの国の王族である彼女が。
「エリカって自分が治めるより治める仕組みを考えていっていたのね」
「それがどうしたの?」
「いえ、意外だから」
「だって私猫で猫の国を建国したのよ」
「それがなの」
「そう、こう考えるね」
 まさにというのです。
「基になったのよ」
「ええと、この場合は」
「猫は気まぐれで寝ることが大好きでやりたいことをやるでしょ」
「貴女にしてもね」
「そんな猫達の国なのよ」
「だからなの」
「気まぐれでもやりたいことをやっても国が治まる様にするなら」
 そうするならというのです。
「私が治めるよりもね」
「仕組みで治めるのね」
「国のね、その方がいいってずっと思っていたの」
「猫が中心になったら」
 そうした国ならというのです。
「どうすればいいかって思っていて」
「考えていってなの」
「決めたのよ」
「考えていってそのうえで」
「治める仕組み第一にしたの」
「じゃあ貴女が寝ていても都にいても冒険に出ていても」
「そう、無事にね」
 それこそというのです。
「治まっていくわよ」
「その仕組みで」
「そうよ、もっともオズの国を治める仕組みを当てはめただけよ」
 こうも言ったエリカでした。
「別に私のオリジナルじゃないわよ」
「そうね、この国の治める仕組みを聞く限りだと」
 そのオズの国全体を治めるオズマの言葉です。
「この猫の国もね」
「そうでしょ」
「ええ、オズの国の治める仕組みを当てはめた」
「そうした国でしょ」
「そのことがわかるわ」
「オズの国の治める仕組みはとてもしっかりしているから」
 そのうえでオズマがいるのです、だからオズの国はいつも無事に治まって誰もが幸せに過ごせるのです。
「それを当てはめるとね」
「どんな国でも治まると思ってね」
「貴女も取り入れたのね」
「そう、だからこの国もね」
「貴女がいなくても」
「サインをする人がいてくれたら」
 それでというのです。
「治まるわ」
「そうなっていくのね」
「ええ、そしてね」
 さらに言うエリカでした。
「私がいない時の代理の猫も決めたから」
「もうなの」
「そう、首相の猫がそうしてくれるわ」
「つまりその首相の猫は私みたいな猫なので」
 オズマが都にいない時は代理をするドロシーの言葉です。
「そういうことね」
「そうなるわね」
 エリカも否定せずに返しました。
「実際首相はあんたをモデルにしてね」
「置いたのね」
「あんた言うならオズの国の首相でしょ」
「ううん、そうなるのね」
「ええ、私はそう思うわよ」
「あっ、確かに」
 ここでエリカの言葉に頷いたのは恵梨香でした。
「ドロシーさんはオズの国の王女でオズマ姫の代理でもあるし」
「オズマ姫を助けて政治も見ているし」
 神宝もこう言います。
「首相だね」
「そうだね、強いて言うなら」
 カルロスが見てもそうでした。
「ドロシーさんはオズの国の首相になるね」
「王女さんでね」
 そしてと言ったのはナターシャでした。
「オズマ姫を助けて政治をして代理もするなら」
「アメリカで言うと副大統領だね」
 ジョージはこう考えました。
「我が国では首相いないけれどまあそうなるかな」
「私は副大統領なの」
「はい、アメリカで言いますと」
「オズマが大統領、国の主で」
「ドロシーさんは代理のお仕事もされてオズマ姫をいつも傍で助けていますから」
「副大統領なのね」
 ドロシーはまた言いました。
「私のオズの国での位置は」
「そうかと。あとです」
「あと?」
「エリカが首相って言ったことも」
「頷けるの、貴方も」
「日本を見ていたら何となくでも」
 今自分達がいるお国いればというのです。
「そんな気がします」
「そうなのね」
「そう、私がオズマで首相がドロシー」
 エリカ自身こう言います。
「あと大臣達がベッツイやトロットそしてかかしさんや樵さんね」
「あっ、僕達もいるんだ」
「この国にはいるんだね」
「勿論猫でよ」
 かかしと樵本人にも言いました。
「そうした位置で大臣達も決めたし」
「その大臣達の力でもだね」
「この国を治めていくんだね」
「そうよ、そこまで決めたから」
 だからというのです。
「この国はかなり順調に治まっていくわよ」
「いや、エリカは考えているんだね」
「それも凄くね」 
 臆病ライオンも腹ペコタイガーも感心することでした。
「オズの国をよく見ているね」
「それで仕組みで治めていくなんてね」
「猫だからね、猫の目は何でも見てね」
 そうしてとです、エリカは二匹の獣達にも言いました。
「見落とすことはないから」
「国の仕組みも見ている」
「そして見落とさないんだね」
「そうよ、じゃあこれからね」
 ここまで意気揚々とお話してそしてこうも言ったエリカでした。
「畑や湖、森も見ていきましょう」
「国の外にある、だね」
「そう、この国を支える場所にね」
 エリカは今度はトトに答えました。
「行きましょう」
「本当に国の全部を見るんだね」
「そうよ、そしてね」
 さらに言うエリカでした。
「楽しむわよ」
「見てだね」
「そうしましょう」
 こうお話してです、そしてでした。
 一行はエリカの言う通りに国を出て湖や森を見ました、国を出てすぐに湖があってその周りに森や畑があります。
 畑では沢山の猫達が畑仕事を楽しんでいて湖では漁をしていてです。森でも猫達が働いています、その状況を見てです。
 オズマもです、感心して言いました。
「まるでエメラルドの都にいるみたいな」
「そんな感じでしょ」
「素敵な風景ね」
「猫でもね」
 それでもというのです。
「こうしてね」
「国として治まっていくっていうのね」
「そうよ、仕組みがあれば」
 国を治めるそれがです。
「こうしてね」
「治まっていくのね」
「はじまりからそうでこれからもね」
「無事に治まっていくのね」
「そう、そしてね」 
 エリカはオズマにさらにお話しました。
「私はここにいたりね」
「都にいたり」
「冒険もするわ」
「つまりこれまでとすることは変わらないのね」
「ええ、そうね」
 その通りだとです、エリカはまた答えました。
「私は私でね」
「気の赴くままね」
「猫なんだから」
「これまで通り生きていくのね」
「そうよ、それでだから」 
 その畑や森を見つつ言うエリカでした。
「それは変わらないわ」
「そういうことね」
「そう、それで今晩はね」
「今夜は?」
「とりあえず三千匹到達したし」
 国民の数がというのです。
「目標のね、だからそのことをお祝いしたいけれど」
「パーティーをなの」
「そう、開こうと思っているの」
「私達の間じゃないわね」
「国全体でよ、美味しいお魚やキャットフードやミルクを出して」
 猫の大好物をです。
「そうしてね」
「皆で楽しむのね」
「そうしましょう、それで私達もね」
「美味しいものを飲んで食べて楽しむのね」
「そうしましょう」
「その美味しいものが問題だね」
 ここで言ってきたのはトトでした。
「何といっても」
「ええ、それでそのご馳走はね」
「エリカは何を考えているのかな」
「すき焼きはどうかしら」
「日本の肉料理だね」
「ええ、これはどうかしら」
 こう言うのでした。
「今夜はね」
「すき焼きね。あれは確かにいいわね」
 アンも頷きます。
「素敵な肉料理よ」
「そうよね。だからね」
「今夜はなのね」
「すき焼きを出して」
「それを皆で食べて」
「楽しみましょう」
「エリカも色々なお料理知ってるね」
 ジョージはそのエリカを見て言いました。
「すき焼きも知ってるなんて」
「だってジョージ達も時々食べてるでしょ」
「オズの国でっていうんだね」
「色々なもの食べてるけれどね」
「すき焼きも食べているから」
「それでなんだ」
「知っているから」
 それでというのです。
「これはどうかって言ったのよ」
「成程ね」
「お刺身とかも考えたけれど」
 それでもというのです。
「今一番食べたいものは何か」
「すき焼きね」
「そう、すき焼きを食べて」
 それでというのです。
「皆で楽しみましょう」
「それじゃあね」
 ジョージも他の皆も頷いてです、そしてでした。
 その夜実際にエリカは国全体をイルミネーションで飾って花火も挙げてでした。そのうえ皆でお祝いしてです。
 そのうえで、です。オズマ達と一緒にすき焼きも出してでした。
 すき焼きのお肉やお葱、お豆腐を食べつつです。こんなことを言いました。
「すき焼きっていいわね」
「お肉の鍋の中でもね」
「一番美味しいものの一つね」
「そうよね」
 アンもお肉を食べています、そうしつつエリカに応えました。
「本当に」
「ええ、お野菜も美味しいし」
「お葱とか春菊とかね」
「あと茸もあるし」
 しらたきにしめじも入っています、それもたっぷりと。
「あと欠かせないものはね」
「それは何かしら」
「糸蒟蒻よ」
 それだというのです。
「これがないとね」
「駄目なのね」
「そうでしょ、すき焼きは」
「お肉がないとすき焼きじゃないけれど」
「お肉と同じだけね」
 まさにというのです。
「糸蒟蒻も必要よ」
「そうなのね」
「私としてはね、だからね」
 エリカはその糸蒟蒻も食べつつ言います。
「糸蒟蒻も沢山食べましょう」
「それもなのね」
「美味しくね」
「いや、すき焼きもいいけれど」
 トトは自分達が今いる湖のほとりから国を見て言いました。
「イルミネーションで輝いていてね」
「奇麗でしょ」
「うん、とてもね」
 本当にとです、その七色の光で輝いている猫の国を見つつエリカに応えたのでした。
「花火も打ち上げられているし」
「お祝いだからね」
「イルミネーションも花火もなんだ」
「用意したのよ」
 そうしたというのです。
「ちらもね」
「そうなのね」
「そう、そしてね」
「そして?」
「これからも時々ね」
「こうしたお祝いをするんだ」
「祝日にはね」
 その日にはというのです。
「こうしてね」
「イルミネーションで国を飾って花火をどんどん打ち上げて」
 お空には花火が打ち上げられています、次々と打ち上げられて夜空に大輪のお花を咲かせています。
「そうしてね」
「楽しむんだね」
「そうするわ」
 まさにと言うのでした。
「これからもね、後ね」
「今度は何かな」
「一つ思うことは」
 それはといいますと。
「この湖と森にね」
「イルミネーションがないとか」
「そう思ったけれど」
「じゃあそちらにもイルミネーション飾る?」
 ドロシーがエリカに提案しました。
「そうする?」
「そうね、けれど」
「けれど?」
「お国をイルミネーション、夜空は花火で飾ったのよ」
「それならなの」
「そう、別のもので飾りたいと思ったけれど」
 その様にというのです。
「今ね」
「別のものね」
「何かないかしら」
「その心配は無用よ」
 ここで、でした。オズマはすき焼きを食べつつエリカに笑顔で言いました。
「それも全くね」
「あら、今は私が心配していたのかしら」
「心配というより願いね」
 そちらになるというのです。
「この場合は」
「そうなのね」
「ええ、それでね」
 あらためてお話するオズマでした。
「湖も森も別にね」
「飾ることで考えることはないの」
「ついでに言うと畑の上もね」
 そちらもというのです。
「全く考えることはないわよ」
「というとどうなるのかしら」
「ほら、見て」 
 オズマはまずは湖の方を指し示しました、するとそこには蛍達がいました。
 蛍達は湖の上を飛んでいます、そして彼等は森にも畑の上にも飛んでいてその辺りも照らしています。
 その風景を見てです、エリカは思わずこう言いました。
「お国の外はね」
「蛍達が飾ってくれているでしょ」
「ええ、凄く素敵よ」
 こうオズマに言いました。
「本当にね」
「そうでしょ。だからね」
「考える必要なかったのね」
「ええ、ただ貴女は蛍のことは」
「知らなかったわ」
 そうだったというのです。
「今までね」
「そうだったのね」
「湖に蛍がいるなんて」
 しみじみとして言ったエリカでした。
「そこまではね」
「思わなかったのね」
「見たのははじめてだし」
 エリカはオズマにこうも言いました。
「夜はずっと寝ていたし」
「そうだったの」
「そう、私は基本日中に起きてるでしょ」
「そうね、それで夜はね」
「基本寝ているでしょ」
「貴女は夜に寝る猫よね」
「皆が寝てるし」
 オズの国の皆がそうしているからだというのです。
「それでね」
「貴女も寝て」
「夜はそうして楽しむ様にしているから」
 だからだというのです。
「蛍のことも知らなかったわ」
「そうだったのね」
「いや、これからは夜も起きておくべきかしら」
「そこまでは思わないけれど」
「それでもなのね」
「時々はね」
 こうした祝日はというのです。
「起きて見るのもいいと思うわ」
「そういうことなのね」
「ええ、時々でいいの」
「夜起きているのは」
「それで見ればいいのよ」
「そういうことね」
「成程ね」
 エリカも納得した顔で頷きました。
 そしてです、こうも言ったエリカでした。
「じゃあこれからはね」
「祝日の時は」
「起きてね」
「蛍を見るのね」
「そうするわね」
 オズマに笑顔で答えました。
「これからは」
「それじゃあね」
「すき焼きも食べて」
 さらに言ったエリカでした。
「今夜は楽しむわ」
「そうするのね」
「糸蒟蒻も食べて」
「何かエリカってお肉よりそっちの方が好きなのかな」
 ジョージはまた糸蒟蒻を食べだしたエリカに尋ねました。
「ひょっとして」
「実際に好きよ」
「そうなんだ」
「だからさっき言ったでしょ」
「糸蒟蒻がないとだね」
「お肉がないすき焼きと一緒よ」
 こちらがないすき焼きもというのです。
「それもね」
「そうなんだね」
「あんたもそう思うでしょ」
 エリカはジョージを見て彼に尋ねました。
「すき焼きはね」
「糸蒟蒻もないと」
「そう、すき焼きじゃないって」
「そこまでは思わないかな」
「そうなの」
「僕はね」
 こうエリカに答えました。
「そこまではね」
「そうなのね」
「うん、けれど糸蒟蒻もいいね」
 ジョージも糸蒟蒻の味自体は否定しませんでした。
「お醤油やお砂糖の味が染み込んでいてね」
「そうよね」
「かなり濃い味にもなっていてね」
「そうそう、その味がいいのよ」
 エリカもこう言います。
「私もね」
「それですき焼きには欠かせないっていうんだね」
「そうよ、それに今のすき焼きは」
 ここで周りを見回したエリカでした、今もイルミネーションと花火そして蛍達が夜の猫の国とその周りを飾っています。
 その全てを見てです、エリカはあらためて言いました。
「場所が場所だけにね」
「いつもよりだね」
「美味しく感じるわ、そしてね」
「そして?」
「これからも何かがあれば」
 その時はというのです。
「またこうして国を飾っていきたいわ」
「そう考えているんだね」
「そしてその飾りに相応しい国にね」
 こうも言うエリカでした。
「治めていくわよ、仕組みも整えて」
「そうしてだね」
「やっていくわ、じゃあ今はお祝いしましょう」
「君の国がとりあえずの目標に達して」
「そう、そのことをお祝いする為に」
「楽しむんだね」
「今のこの華やかさもご馳走もね」
 満面の笑顔で言ったエリカでした、そうしてすき焼きを心から楽しんで食べるのでした。皆もそのすき焼きを食べて満足してでした。夜の猫の国の華やかな様子を見て皆で楽しんでそのうえで気持ちよく寝て翌朝都に戻りました。


オズのエリカ   完


                    2018・7・11








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