『オズのエリカ』
第八幕 まさに即決
エリカ達は朝御飯の後でグリンダの宮殿の会議室に入りました、ですが宮殿の主のグリンダはといいますと。
「カドリングの政治があるからね」
「だからいないのね」
「ええ、グリンダさんは建国を許可してくれたから」
アンは会議室のテーブルの上にちょこんと座っているエリカにお話しました、アンとジョージ達はそれぞれの席に座っていて臆病ライオンと腹ペコタイガーはテーブルの傍に座っています。
「それで終わりよ」
「この件については」
「ええ、そうよ」
「それで私達だけでなのね」
「お話をするのよ」
そうなっているというのです。
「それでね」
「ええ、今からよね」
「お話するけれど」
それでもと言うアンでした。
「まずは地図を開くわね」
「それでその地図を見てよね」
「ええ、どの場所に国を置くか」
エリカが女王になるという猫の国です。
「決めましょう」
「わかったわ、じゃあカドリングの地図を開いて」
「そうしましょう」
こうお話してです、そうしてでした。
アンが地図を出してテーブルの上に開きました、その地図はカドリングの隅から隅までを描いています。
その地図のエメラルドの都に近くて平野部になっている近くに陶器の国やジグゾーパズルの国がある場所をでした。
エリカは見てです、すぐに指差して言いました。
「ここがいいわ」
「えっ、もう決めたんだ」
「早いね」
エリカのその言葉にです、臆病ライオンも腹ペコタイガーも驚きました。
「地図見てすぐに決めたね」
「一瞬じゃない」
「悪いの?一瞬で」
エリカは彼等に平然とした顔で言葉を返しました。
「即断即決が私じゃない」
「そうだけれどね」
「一瞬だったからね」
「それでいいのって思ったよ」
「もう少し考えない?」
「何で?平野だし」
それにとです、やっぱり平然として応えたエリカでした。
「しかも近くに大きなお池もあるから」
「ああ、あるね」
「そうだね」
「そこも見て決めたんだ」
「お池、つまりお水まで」
「そうよ、しかも森まであるじゃない」
お池の近くにはです。
「景色もいいしね」
「だからなんだ」
「もうここでいいんだ」
「後はキャットフードがあれば」
それでというのです。
「万全ね」
「じゃあキャットフードの畑を作ればいいわね」
このことはアンが言ってきました。
「それで万全ね」
「ええ、じゃあ後はね」
「国を開くのね」
「そうするわね」
「凄いね」
国を置く場所が決まってです、カルロスは思わず唸りました。
「一瞬で決まったよ」
「エリカは決断が早いけれど」
神宝も唸りつつ言いました。
「今回は特に早いね」
「こんなに早くて大丈夫かしら」
恵梨香は不安を感じています。
「他にいい場所探してもいいんじゃ」
「そうね、現地も見て」
ナターシャもどうかというお顔になっています。
「それで決めるべきじゃないかしら」
「そうだよね、もっとね」
最後にジョージが言いました。
「考えて見てもいいんじゃないかな」
「いいのよ、私の直感はね」
まさにとです、エリカは五人にも言いました。
「ここでって言ってるから」
「いいんだ」
「そうよ、しかもこの場所なら」
地図のその場所をさらに見つつこうも言ったのでした。
「私何度も言ってわかるし」
「知っているんだ」
「そうよ、よくね」
実にというのです。
「現場のこともわかってるし」
「そのこともあってなんだ」
「ここにしようって言ったの」
「そうだったのね」
「私もオズの国中を冒険してきたから」
ドロシー達と一緒にです、エリカもオズの国に長い間いてすっかりオズの国全体について詳しくなっているのです。
「それでなのよ」
「この辺りにも行ったことがあってなんだ」
「何度も行ってよ」
それこそというのです。
「よく知ってるわ」
「それで現地調査も」
「既に何度もしているのと同じよ」
まさにというのです。
「私はね」
「そのこともあってなんだ」
「わかったのよ、じゃあね」
「今度は現地に移ってなんだ」
「建国に入りましょう」
実際のそれにというのです。
「そうしましょう」
「ううん、もうそこまで決まるなんて」
「何言ってるの、これからよ」
「大変なのは」
「違うわ、楽しいのよ」
大変ではなくとです、ジョージのその言葉ははっきりと訂正したエリカでした。
「これからのこともね」
「ああ、建国はだね」
「そう、楽しいものよ」
「そうなるんだ」
「そうよ、大変って何が大変よ」
それこそというのです。
「全然よ」
「そう言う根拠は何かな」
「私がそう思っているからよ」
だからだというのです。
「楽しいのよ」
「エリカがそう思うかなんだ」
「私が楽しいと思えば楽しくてね」
エリカは丁度自分のまん前に座っているジョージに前足を動かさせつつそうしてさらにお話しました。
「面倒臭いと思えば面倒臭くて」
「大変だって思えばなんだ」
「大変よ、けれど私は楽しんでるから」
「それでだね」
「そうよ、楽しんで」
「そうして建国していくんだ」
「そうするわ、じゃあ早速現地に行きましょう」
エリカはジョージだけでなく皆にも言いました。
「そうしましょう」
「わかったわ、じゃあ今からね」
アンがエリカに応えました。
「かかしさんと樵さんに連絡するわね」
「現地で落ち合うのね」
「ええ、そうなる様にするわ」
こう言ってでした、アンは携帯を出してかかしと樵に連絡をしました。するとすぐにメールが帰ってきました。
「あっ、これは」
「どうかしたの?」
「かかしさん達は気球で来るって言ってるわ」
「お空からなの」
「メールでのお返事でそうきたわ」
「じゃあすぐに来るわね」
それならとです、エリカも応えます。
「ここまで」
「ええ、そうなるわ」
「それじゃあ私達は歩いて行くから」
「かかしさん達を待たせてしまうわね」
「ここは急いで行かないと駄目ね」
「そうね」
それならと応えたアンでした、それですぐにグリンダのところに行ってすぐに出るということを告げるとです。
グリンダはすぐにです、一行に言いました。
「じゃあヘリコプターを出すわ」
「オズの国のなの」
「ええ、それに乗ってね」
そうしてというのです。
「すぐに国を建てる場所に行って」
「そうしていいんですか」
「ええ、ヘリなら気球より速く進めるわね」
「はい、そうですね」
「だからむしろね」
「かかしさんと樵さんよりもですね」
「現地に行って」
グリンダはアンにさらにお話しました。
「そのうえでね」
「かかしさん達をお迎えすればいいですね」
「そうしましょう」
是非にとです、こう言ってでした。
グリンダは一行を宮殿のお庭に案内しました、するとそこにはもう前後にヘリローターがある長い形の赤いヘリコプターがありました。
そのヘリコプターを見てです、ジョージが言いました。
「アメリカにこうしたヘリがありますね」
「そうよね」
「大勢の人を乗せる為のものですね」
「何十人も乗せられるヘリなの」
「だから僕達もですね」
「そう、楽に乗せられてね」
「現地まですぐですね」
「そうよ、それで現地に着いたら」
それでというのです。
「その場所に降りてね」
「後はかかしさんと樵さんを待つだけですね」
「そうなるわ」
「じゃあ待つ間はね」
エリカがここで言うことはといいますと。
「御飯食べて寝ていればいいのね」
「現地調査はしないの?」
「一切不要よ」
エリカはアンにすぐに言いました。
「もうわかっているから」
「やっぱりそう言うのね」
「わかっていることでそこから何をわかれっていうのよ」
「もう不要っていうのね」
「それもよくわかっているのよ」
普通にわかっているだけでないというのです。
「だったら見て回る必要ないでしょ」
「それで食べて寝るのね」
「あんた達は適当にやっておいて」
「適当になの」
「そう、やっておいて」
「ううん、じゃあ僕達は」
ここで言ったのはジョージでした。
「現地を見て回ろうかな」
「それがいいね」
「僕達はエリカ程知らないし、あの辺りは」
「言ったことはあるけれど」
「何度でもないから」
「そう、だからね」
それでとです、ジョージは他の子供達にも言いました。
「見て回ろうね」
「それがいいね」
「どんな場所なのか」
「そうしてね」
「建国を考える為に見て回りましょう」
「うん、そうしたらいいと思うよ」
「君達はまだあの辺りは詳しくないと思っているならね」
臆病ライオンと腹ペコタイガーが応えました。
「それならね」
「見て回った方がいいよ」
「そうするね、是非」
ジョージは二匹の獣達にも応えました。
「見て回らせてもらうよ」
「それじゃあ僕達も同行するね」
「そうさせてもらうね」
臆病ライオンと腹ペコタイガーもこう応えました。
「ボディーガードも兼ねて」
「一緒に見て回らせてもらうよ」
「そうして楽しんでいればいいのよ」
エリカは今度は左の後ろ足で耳の後ろを掻きつつジョージ達にお話しました。
「私は寝るから」
「寝るんだ」
「そう、何度も言うけれど」
「何度も行った見たからよく知っているから」
「寝ているわ」
そうするというのです。
「楽しくね」
「ううん、本当にエリカは猫だね」
「どの猫よりも猫らしい猫でしょ」
「今の言葉は心から思ったよ」
エリカがどの猫よりも猫らしい猫だということをです。
「本当にね」
「じゃあそういうことでね」
「今からヘリに乗って」
「現地に行こうね」
「ヘリは皆を送ったらこちらに戻るから」
グリンダがまたお話してきました。
「パイロットがそうしてくれるわ」
「だから私達はなのね」
「ええ、そうしたことは気にしないでね」
そうしてとです、グリンダはエリカにお話しました。
「行って来てね」
「そうさせてもらうわね」
「是非ね」
グリンダは皆を笑顔で送りました、そうしてです。
一行はヘリに乗ってエリカがここに猫の国を置くと言ったその場所にあっという間に着きました。そこは近くにお池や森がある平野でした。
その平野を見回してです、アンは遠くに自分達を乗せてくれたヘリがグリンダの宮殿の方に戻っていくのを見送りつつ言いました。
「ここは確かにね」
「国を置くのにいいでしょ」
「ええ、おあつらえ向きの場所よ」
「ここに壁に囲まれた国を置くのね」
「そう考えているわ、ただね」
「ただ?」
「前にお話が出た日本のお城ね」
エリカはアンに寝る用意をする為に丸くなりつつお話しました。
「あれも捨て難いわね」
「城下町もなの」
「ええ、真ん中に砦みたいなお城があってね」
「そのお城を囲むみたいに街があるのも」
「いいわね」
こうも言うのでした。
「それもね」
「じゃあそうしたお城にするの?」
「いえ、私そうしたお城も街も詳しくないから」
それでというのです。
「ここはオーソドックスなね」
「オズの国によくある」
「街が壁に囲まれたお城にするわ」
「そっちにするのね」
「四角い街並みでね」
そうしてというのです。
「そうした感じにしたいわ」
「四角くなの」
「ここなら正方形か長方形の見事な街が出来るでしょ」
街、ここで言う国がです。
「そうでしょ」
「だからなのね」
「ええ、そうした国にして」
「形は四角くなのね」
「長方形でいいわね」
そちらの四角だというのです。
「ここはね」
「長方形なの」
「そちらの形の街の方が多いし形としてもいいと思うから」
だからというのです。
「そちらにするわ」
「わかったわ、じゃあね」
「ええ、すぐにね」
「街を築く用意に入るのね」
「かかしさん達が来たらね、それまでは」
「寝るのね」
「お昼になったら起きるわ」
御飯を食べる時になればというのです。
「そうするわ、じゃあお休みなさい」
「それまで私はどうしようかしら」
ジョージ達五人は臆病ライオン、腹ペコタイガーと一緒に周りを歩いてここがどういう場所かを確かめています、けれどアンはです。
自分はここでどうしようかまでは考えていませんでした、それでエリカとやり取りをした後で思うのでした。
「一体」
「そうした時はやることは二つあるわ」
「二つ?」
「ジョージ達と一緒に周りを見回るか」
一つはこれでした。
「もう一つはね」
「何なの?」
「寝ることよ」
これだというのです。
「私と一緒にね」
「寝ることなの」
「何もしないなら寝て」
そしてというのです。
「休めばいいのよ」
「そうなの」
「二つに一つよ。どうするの?」
「私はこの辺り貴女程詳しくないし」
普段は自分のお国にいます、冒険に出ることも今みたいにありますがエリカ達程多くはありません。それでこの辺りもよく知っているかというとそうでもありません。
「それじゃあね」
「見て回るのね」
「そうするわ」
これがアンの決定でした。
「ジョージ達と一緒にね」
「わかったわ、じゃあ私はね」
「寝るのね」
「そうするわ」
この選択肢は変わりませんでした。
「これからそうさせてもらうわ」
「わかったわ、それじゃあね」
「そうしてね」
さらに言うのでした。
「お昼まで夢を見て楽しむわ」
「夢ね」
「これから建国される国で女王になっている夢をね」
「どんな女王様になってるのかしら」
「皆の前に君臨している女王様よ」
それがエリカが思う猫の国の女王でした。
「それで美味しいもの食べて遊びたいだけ遊んでいるのよ」
「そうしているの」
「それで好きなだけ寝ているの」
「それっていつもの貴女じゃない」
「あら、そうかしら」
「聞く限りではね」
「じゃあ私は女王になってもね」
それからもというのです。
「このままね」
「振る舞うのね」
「そうするわ」
「つもりでもないのね」
「だってこれでどう変えろっていうのよ」
エリカはアンに逆に問い返しました。
「私らしくない態度をしろっていうの?」
「貴女らしくない態度ね」
「そうよ、私そんな態度取れないわよ」
このことを最初から言うのでした。
「だからよ」
「そうした態度は取らないで」
「ありのままの私でいるわ」
「女王になってもそうなのね」
「そのうえで国を治めていくわ」
エリカはエリカのままでというのです。
「そうしていくから」
「ううん、大丈夫かしら」
「大丈夫も何もね」
「他にどうしようもないっていうのね」
「そうよ、どうするっていうのよ」
またアンに問い返すのでした。
「そもそもね」
「そう言われると」
「そうでしょ、だったらね」
「寝るのね」
「そうするわ、気持ちよくね」
もう丸くなって言うエリカでした。
「そうするわ」
「そうなのね」
「ええ、お昼になったら起こしてね」
こう言って寝はじめたエリカでした、そしてです。
エリカは寝はじめましたがアンはそのエリカを見て言いました。
「この娘はいつも通りね」
「うん、自分の思うままにする」
「そんな娘だね」
臆病ライオンと腹ペコタイガーが応えます、二匹はジョージ達五人と一緒に周りを見て回っていますがアンが加わったところで彼女に応えたのです。
「寝たいなら寝る」
「周りは気にしないね」
「私達は見て回っているのに」
それでもと言うアンでした。
「それがね」
「自分が寝たいからね」
「それで寝るんだよね」
「それがエリカだね」
「本当にそうだね」
「ええ、けれどそれでいいわね」
今度は微笑んで言ったアンでした。
「あの娘は」
「逆にエリカが他の誰かに合わせるとかね」
「そんなこと考えられないから」
「あれでいいね」
「エリカはエリカだよ」
「そうしましょう、では私達はこの辺りを見て回って」
そうしてというのでした。
「どういった国を建国するのか考えていきましょう」
「そうだね、僕達なりにね」
「そうしていこうね」
「後でかかしさんと樵さんが来るけれど」
「そうして色々と知恵や力を貸してくれるけれどね」
自分達もというのです。
「僕達でもやっていこうね」
「そうしていこうね」
こうお話してそしてでした。
皆でお昼まで辺りを見て回りました、それからエリカを起こしてお昼御飯となりましたがそのお昼はといいますと。
スパゲティとサラダ、そして鶏肉のグリルにパン、デザートに小さく切った果物を入れたヨーグルトでしたがエリカはそのスパゲティを見て言いました。
「このカルボナーラいいわね」
「カルボナーラはね」
ジョージがエリカに応えました。
「イタリアのスパゲティだけれどね」
「外の世界のね」
「その国で生まれたんだけれど」
「何かあるのね」
「実はアメリカが関係しているんだ」
ジョージの祖国でオズの国に常に影響を与えているその国がというのです。
「そうなんだ」
「あら、そうだったの」
「アメリカの兵隊さん達がイタリアに行った時にね」
まさにその時二というのです。
「イタリアの人達に自分達の食材を使って何か作ってくれって言って」
「スパゲティをなの」
「それでベーコンと生クリーム、卵を使って」
そうしてというのです。
「出来上がったんだ」
「それがカルボナーラなのね」
「うん、黒胡椒もかけてね」
「私はそれはあまりいらないわ」
黒胡椒についてはこう言ったエリカでした。
「別にね」
「刺激があるからかな」
「そうよ、胡椒だけじゃなくてスパイスの系列はね」
そういったものはというのです。
「猫には強過ぎるから」
「だからだね」
「あまりいらないの」
こうジョージに言うのでした、
「正直なところね」
「そうなのね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「大蒜も多少ならいいしね」
見ればこのカルボナーラにも入っています、そしてオリーブオイルが絡められています。
「あくまで多かったら駄目ってことよ」
「それでこのカルボナーラもだね」
「大丈夫よ、じゃあ食べましょう」
「うん、このお野菜もいいしね」
神宝はサラダの山盛りのお野菜を見ています。
「こっちも食べようね」
「あとグリルもね」
カルロスは鶏のそれを見ています。
「かなり大きい食べでがあるね」
「パンにはジャムをたっぷり塗って」
ナターシャは白くて大きなパンにそうしようと考えています。
「食べましょう」
「デザートもあるし」
恵梨香は色々なスライスされた果物が入っているヨーグルトに注目しています。
「こちらも楽しみね」
「皆今日も楽しく食べてね」
アンもこう言います。
「カルボナーラも何でもね」
「そうさせてもらうわね、じゃあまずは」
エリカはアンに応えました。
「カルボナーラ食べるわ」
「最初はそれなのね」
「だってスパゲティだから」
このお料理だからというのです。
「時間置いたらのびるから」
「だからなのね」
「そう、最初に食べて」
そしてというのです。
「楽しむわ」
「そうするのね」
「今からね」
「よし、じゃあね」
「僕達もまずはカルボナーラを食べるよ」
臆病ライオンと腹ペコタイガーもでした。
「スパゲティね」
「そうさせてもらうよ」
「じゃあ私も」
アンもでした、フォークを右手に持ってです。
そうしてカルボナーラを食べます、そのうえでこう言いました。
「この濃厚な味がいいのよね」
「そうですよね」
「生クリームも卵もね」
「それにベーコンも」
ジョージも笑顔で応えます。
「何ていうか如何にもアメリカですね」
「そんな感じね」
「僕このカルボナーラ好きなんです」
「それも大好きよね」
「はい、この濃厚な味がいいですよね」
「本当にね」
「そうね、カルボナーラは確かに美味しいわ」
また言うエリカでした。
「お腹空いていたし余計にね」
「えっ、お腹空いていたんだ」
ジョージはエリカの今の言葉に少し驚きました。
「そうだったんだ」
「何か不思議そうに言うわね」
「だってあれだよ」
まさにというのです。
「エリカずっと寝ていたから」
「それでっていうのね」
「それでお腹空いたとか」
「実際に空いてるから仕方ないじゃない」
「身体を動かしてもないのに」
「寝るまで身体動かしてたでしょ」
こうジョージに言いました。
「それもずっと」
「だからなのかな」
「しかも寝ていてもね」
「そうしていてもなんだ」
「お腹が空くから」
「だからなんだ」
「今お腹空いていて」
「余計に食べられるんだね」
「しかも美味しくね」
そうだというのです。
「だからどんどん食べられるのよ」
「そうなんだ」
「あんた達みたいにね」
「そういえばエリカが食欲なかったことはないわね」
アンもこう言いました。
「いつも食欲あるわね」
「そうでしょ」
「ちゃんと食べてるわね」
アンもカルボナーラを食べています、スパゲティはアルデンテでしかもソースの味がとてもいい具合です。
「三食」
「ええ、だからね」
「それでなのね」
「今だってね」
「さっきまで寝ていても」
「気持ちよく食べられているのよ」
「寝ているとかじゃないのね」
「だから寝ていてもよ」
アンにも言うのでした。
「お腹が空くし。しかも私は起きたらすぐにいつもの調子になるでしょ」
「寝起き物凄くいいわね」
「このこともあってなのよ」
「起きても普通に食欲あるのね」
「そうよ、じゃあね」
「今からもね」
「どんどん食べるわ」
こう言って実際にでした、エリカはカルボナーラだけでなくドレッシングもグリルもパンも食べました。そして最後のヨーグルトを食べてです。
お口の周りをペロリと嘗め回してから毛づくろいをしつつ言いました。
「もうお腹一杯よ」
「満足したかしら」
「凄くね」
本当にというのです。
「そうなったわ」
「それは何よりね」
「それじゃあね」
さらに言うエリカでした。
「私はこれでね」
「満足したから」
「また寝るわ」
「そうするのね」
「かかしさんと樵さんが来たら教えて」
アンにこうも言いました。
「そうしてね」
「その時になの」
「ええ、そうしてくれるかしら」
「本当に寝る時は寝るわね」
「私の生きがいだからよ」
寝ること、それ自体がというのです。
「だからよ」
「たっぷりと寝るのね」
「そうしてね」
そのうえでというのです。
「また起きてね」
「そうしてなのね」
「かかしさん達が来たら」
「いよいよ建国ね」
「そうするわよ、ただもう私の頭の中にね」
「貴女の?」
「国は出来上がっているわ」
こうアンに言うのでした。
「既にね」
「もうなの」
「そう、もうよ」
今の時点でというのです。
「出来上がっているわ」
「早いわね」
「どういった国の形にして何を何処に置くか」
「全部なの」
「もう決まってるの」
「何時の間に決めたのよ」
「決まってるじゃない、寝ている時に決まったのよ」
その時にというのです。
「寝ていてね」
「寝ている時に決まるって」
「夢を見たのよ」
「夢っていうと」
「そう、私夢の中で女王になっていたの」
猫の国の、です。言うまでもなく。
「そうしてもう何処に何があるかそしてどんな国の形にするか」
「決まっていたのね」
「後はね」
まさにというのです。
「その国を造り上げるだけよ」
「ううん、何か貴女だけでどんどん進んでいくわね」
アンはエリカの言葉に腕を組みどういったものかというお顔で述べました、もう皆食べ終わっていてアンもテーブル掛けは畳んで皆と一緒に憩いの一時を過ごしています。
「決まっていって」
「だって私が女王になる国だから」
「それでなの」
「そう、頭の中でね」
「決まっていっているのね」
「何もかもがね」
アンに毛づくろいを終えて右の前足を差し出しつつ言いました。
「そうなっていっているのよ」
「その決断の速さで」
「あと思考も速いでしょ」
「そちらも速いわね」
「もう一瞬でね」
それこそ瞬きする間にです、エリカは考えてしまいます。人間も速いですが猫も速くエリカも然りなのです。
「考えてね」
「決めるのね」
「人間も猫も考えるのは一瞬だけれど」
「貴女もってことね」
「そして私は決めるのも一瞬でしょ」
「迷ったことはないわよね」
「そうなった覚えはないわね」
胸を張って言うエリカでした。
「本当にね」
「そうよね」
「しかも決めたら動くから」
その次の瞬間にはです。
「余計に早いのよ」
「だから今にしても」
「そう、どんどん進んでいくのよ」
「そうなっていっているのね」
「じゃあかかしさんと樵さんが来たらね」
またこう言うエリカでした。
「次はね」
「建国ね」
「それを実行に移すわよ」
「そうしていくのね」
「さて、じゃあ今からね」
今度は欠伸をしたエリカでした、そのお口が大きく開きました。
「また寝るわ」
「寝ている間にお話が動くなんて」
「だからそれが私ってことよ」
「夢を見ても気付くのね」
「というか夢を見て」
それでもというのです。
「そこからもわかるのよ」
「そうして起きて」
「そう、夢で見たものを実行に移すのよ」
「それは凄い才能ね、ただね」
「ただ。何かしら」
「そこも貴女らしいわね」
「感覚でそのまま動くから」
「それが貴女ってことね、じゃあ」
「ええ、今から寝るわ」
またしても丸くなったエリカでした、そうしてです。
エリカは実際に寝てしまいました、皆は少しくつろいでからそのうえでまた自分達が今いるア場所を見て回ろうとしました、ですが。
ここで、です。気球が皆のところに来ました。そうしてその気球が降り立ってそこから出て来た人達は。
かかしと樵でした、二人は皆に笑顔で挨拶をしました。
「やあ、暫く振り」
「皆元気そうで何よりだね」
「はい、お久し振りです」
アンが一行を代表して二人に挨拶を返しました。
「それで今回は」
「お話はもう聞いているよ」
「オズマとグリンダからね」
「だからね」
「僕達も早速協力させてもらうよ」
「宜しくお願いします」
アンは二人に笑顔で応えます、ですが。
ここで、です。かかしは寝ているエリカを見てこう言いました。
「さて、動くのは彼女が起きてからだね」
「そうだね」
樵はかかしのその言葉に頷きました。
「それからだね」
「じゃあ今はね」
「僕達は待っていようか」
「起こしてもいいんじゃないですか?」
アンはその二人に怪訝な顔で言いました。
「別に」
「いやいや、気持ちよさそうに寝ているからね」
「それは止めておこう」
「まずは彼女にじっくり寝てもらって」
「気持ちよく起きてからお話をしよう」
「そして僕達はそれまではね」
「この辺りを一度じっくり見て回るよ」
そうするというのです。
「そうしてね」
「エリカが起きたら彼女ともお話をするよ」
「その時まではね」
「歩いて回ろうね」
「エリカは遅くとも三時には起きるよ」
「ティータイムにはね」
これが二人の見立てでした。
「だから焦らずにね」
「待っていればいいよ」
「だからですか」
ジョージが二人のその言葉を聞いて言いました。
「お二人は落ち着いておられるんですか」
「うん、エリカを起こしもしないんだ」
「待つことにしているんだよ」
「エリカは食いしん坊でもあるからね」
「その時間には絶対に起きるからね」
このことがわかっているからだというのです。
「だから今はね」
「僕達も見て回るよ」
「それに多分ね」
かかしはエリカを見つつです、楽しそうに笑ってこうも言いました。
「もうどんな国の形にするかエリカは決めているね」
「はい、寝る前にそう言っていました」
「そうだよね、エリカは思考も決断も速いから」
このことはかかしもわかっているからです。
「だからね」
「もう決めているとですか」
「思っていたけれど」
「実際そうだったっていうんですね」
「うん、まさにね」
こう笑顔で言うかかしでした。
「僕の予想通りだったね」
「それではですね」
「僕達はエリカが起きたらね」
「そのお話を聞いてですか」
「国を造る助けをしていくよ」
「明日はグリンダが来てくれるそうだよ」
今度は樵が言ってきました。
「それで魔法や魔法の道具を使ってね」
「エリカが考えている国をですね」
「一瞬で築いてくれるよ」
「そうなりますか」
「僕達はその手助けをするっていうことでね」
樵はジョージに明るく言いました。
「ここにいるよ」
「そうなんですね」
「さて、ではエリカが起きてから彼女のお話を聞こうね」
「わかりました」
ジョージも頷きました、そしてです。
かかしと樵も皆と一緒に辺りを歩きもして見て回りました、そうして三時になると実際になのでした。
エリカは目を開いてまずは欠伸をしてです、身体を起こして思いきり背伸びをしてから自分の目の前で歩いて周りを見ている皆に言いました。
「もう三時よね」
「あっ、起きたのね」
「ええ、今ね」
こうアンにも言いました。
「それでかかしさんと樵さんも来たのね」
「そうよ」
「そうよね、三時になったから」
それでと言うエリカでした。
「今からティータイムよね」
「そうするけれどよく三時になったってわかったわね」
「だってお腹の空き具合がそんな感じだから」
「三時ってわかるの」
「そうよ」
「それで時間もわかるのね」
「私はそうなのよ」
エリカは皆と一緒に自分のところに来たアンに答えました。
「いつも通りね」
「そうなのね」
「それじゃあいいわね」
「ええ、今からティータイムにするわ」
「それでだけれど」
エリカはアンにさらに尋ねました。
「今日のティータイムは何かしら」
「アップルティーとね」
まずは飲みものから答えたアンでした。
「アップルパイ、アップルケーキ、干し林檎よ」
「あら、林檎尽くしね」
「そうだけれどどうかしら」
「アンらしい組み合わせね」
その林檎尽くしはと言うエリカでした。
「林檎が好きだから」
「そうでしょ、それじゃあね」
「今からよね」
「林檎のティーセット出すわね」
「わかったわ」
エリカも頷きました、そしてです。
アンはテーブル掛けを出してその上に林檎のティーセットを出しました。ただかかしと樵は食べる必要がないので見ているだけです。
その林檎たちを見つつです、エリカは言いました。
「林檎は素敵よね」
「素晴らしい果物でしょ」
「味もいいけれど香りもいいのよ」
その香りに笑顔になっての言葉です。
「これがね。この香りだけでね」
「だけて?」
「香水みたいよ」
「そんなにいい香りだっていうのね」
「私はそう思うわ」
「そう言う位に好きなのね」
「苺の香りも好きよ」
こちらもというのです。
「オレンジとかは苦手だけれどね」
「特に皮のお汁がよね」
「蜜柑とかそういう皮のお汁は駄目なの」
「柑橘類はなの」
「そう、顔の近くにかけられたりしたら」
それこそというのです。
「物凄く嫌な顔になるわよ」
「そうなるのね」
「そう、だからね」
「蜜柑とかオレンジは嫌いなの」
「皮はね、中身を食べるのは大丈夫よ」
そちらはというのです。
「全然ね」
「そうなのね」
「ええ、じゃあそういうことで」
「ティーセットを楽しんだ後は」
「そう、その後はね」
まさにというのです。
「建国をはじめましょう」
「考えないのね」
「だってもうね」
それこそというのでした。
「私の中では全部決まっているから」
「どんな国の形にするか」
「もう何から何までね」
「産業とかも」
「全部決まってるから」
それでというのです。
「もう考える必要はないわ」
「エリカは一旦決めたら考えを変えないね」
かかしがエリカのこのことを言ってきました。
「そうだよね」
「ええ、考えるのも決めるのも速くてね」
「それでだね」
「決めたらね」
そうしたらというのです。
「もうね」
「絶対にだね」
「変えないわ、後でくよくよ考えて変えても」
その考えをというのです。
「よくないから」
「だからだね」
「絶対に変えないのよ」
「決めたことは」
「そうしてやっていくのよ」
「それがエリカだね」
樵も言ってきました。
「それじゃあだね」
「そうよ、建国していくわよ」
「その建国を手伝わせてもらうよ」
樵も言ってでした、まずはティータイムを楽しみました。林檎尽くしのそれもとても美味しいものでした。