『オズのガラスの猫』
第七幕 ジュースの泉とホビット達
一行は黄色い煉瓦の道を進んでいきました、そしてです。
その中で、です。オズマはこの日のお昼御飯であるアクアパッツァ、鯛のそれを食べつつこんなことを言いました。
「ううん、このお料理もね」
「美味しいですよね」
「ええ、白ワインとオリーブオイルそれにね」
「大蒜とトマトも利いていて」
「美味しいわ」
こうナターシャに言いました。
「本当にね」
「そうですね」
「そう、そしてね」
アクアパッツァと共にスパゲティも出しています、この日のスパゲティはペスカトーレ海の幸のそれです。
「ペスカトーレもね」
「美味しいですね」
「イタリア料理は海の幸もいいから」
美味しいからというのです。
「最高にね」
「そうですよね」
「イタリアっていうと」
オズマはこうも言いました。
「とにかくオリーブと大蒜、そしてトマトだけれど」
「この三つがですね」
「ええ、今も使われているわね」
「お魚のお料理にも」
「それがまた素敵な味なのよ」
「大蒜は香辛料でもありますけれど」
ナターシャはペスカトーレをフォークで丁寧に取って食べつつ言いました。今回の冒険の目的であるそれのことを。
「こうした使い方もあるんですね、アクアパッツァみたいな」
「そうよね」
「イタリア人も面白い使い方しますね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「河豚に合うかしら」
オズマは大蒜と河豚はと思うのでした。
「どうかしら」
「それはちょっと」
ここで恵梨香が言ってきました。
「本当に想像したことないです」
「貴女もなのね」
「どうも」
「日本では河豚を食べるけれど」
ジョージもアクアパッツァを食べつつ言います。
「それでもお鍋とかお刺身でね」
「イタリア料理とかには使わないね」
見れば神宝もアクアパッツァを食べています。
「そういえば」
「そうそう、フライにはするかも知れないけれど」
カルロスハアクアパッツァのスープを美味しく楽しんでいます。
「それでもね」
「ええ、洋食系にはあまりね」
恵梨香は三人の男の子にもお話しました。
「調理しないから」
「大蒜と組み合わせることも」
ナターシャも恵梨香に言いました。
「ないわね」
「ちょっと聞かないわ」
「そうよね」
「聞かないならやってみればいいのよ」
ここで言ったのはガラスの猫でした。
「自分達でね」
「貴女はそうした考えなのね」
「そうよ、聞かない見たことがないならね」
それならとです、ガラスの猫は自分のお顔を洗いながらナターシャにも言いました。
「それなら自分達でよ」
「やればいいのね」
「ものは試しでね。違うかしら」
「そう言われると」
ナターシャにしてもでした。
「そうね」
「そうでしょ?だからね」
「ここはなのね」
「やってみることよ」
自分達でというのです。
「河豚のアクアパッツァ作ればいいのよ」
「そうなるのね」
「大蒜も使ってね」
「トマトやオリーブオイルも」
「ええ、そうよ」
まさにというのです。
「それだけのことよ」
「何かそう言われると」
オズマにしてもでした。
「そう思えるわ」
「そうでしょ、やったことがないからしないとかね」
「よくないわね」
「オズマもそういうことはしないでしょ」
「ええ、それで立ち止まっていたらね」
それこそとです、オズマもガラスの猫ににこりと笑って答えました。今食べているペスカトーレもとても美味しいです。
「何もならないから」
「だったらね」
「ええ、やってみることね」
「そうしてみたらいいのよ」
「河豚は癖がないですし」
ナターシャも言ってきました。
「多分ですけれど」
「アクアパッツァにしても」
「いいと思います」
「大蒜とトマトにも合うわね」
「はい、きっと」
「しかも毒もないんでしょ」
つぎはぎ娘も言ってきました、今は皆と一緒に座っていますがそれでも身体はくるくると踊っています。
「それじゃあ余計にね」
「そうね、河豚の問題は毒だけれど」
ナターシャはつぎはぎ娘にも応えました。
「それでもね」
「毒がないならね」
「安心してね」
「色々なお料理に試せるわね」
「そうよね」
「それにーーです」
チクタクも知恵を出してきました、ゼンマイが動いている間のチクタクの頭脳はいつも勤勉かつ的確です。
「テーブル掛けーーをーー使えば」
「最初からね」
「調理ーーされてーー出まーーす」
「すぐに食べて確かめられるわね」
「そうーーです」
こうナターシャに言うのでした。
「問題ーーありまーーせん」
「その通りね」
「じゃあ今から出すわね」
こう言って実際にでした、オズマはテーブル掛けにもう一品出しました、それはその河豚のアクアパッツァでした。
そのアクアパッツァを出してです、オズマは皆に言いました。
「それじゃあ今からね」
「はい、河豚のアクアパッツァをですね」
「皆で食べて」
「そうしてですね」
「美味しいかどうか」
「それを確かめるんですね」
「そうしましょう」
五人の子供達に笑顔で言うのでした。
「そうしましょう」
「わかりました」
「それじゃあ今からです」
「こちらのアクアパッツァも頂きます」
「鯛のアクアパッツァにペスカトーレに」
「こちらも」
「そうしましょう」
こうしてです、食べられる面々で河豚のアクアパッツァも食べてみました。それぞれ一匹の河豚を分け合って食べますが。
皆がそれぞれ一口食べたところで、です。ガラスの猫はオズマを含めた六人に尋ねました。
「それでどうかしら」
「ええ、美味しいわ」
「とてもね」
「癖がなくて」
「大蒜にもトマトにも合っていて」
「オリーブオイルやワインとの相性もいいよ」
「鯛に負けていないよ」
六人共こうガラスの猫に答えました。
そして特にです、ナターシャが言いました。
「匂いもいいし」
「河豚自体の?」
「ええ、オリーブやワインの匂いとも合わさってね」
そうしてというのです。
「とてもいい匂いよ」
「そうね、あたしもわかるわ」
ガラスの猫はお鼻をくんくんとさせてナターシャに応えました。
「確かにね」
「いい匂いよね」
「とてもね」
実際にというのです。
「そうよね」
「ええ、ただね」
「貴女はね」
「食べないからね」
その身体の仕組みからそうなのです。
「味わうことはしないわ」
「出来ないっていうか」
「もう興味がないの」
食べること自体にというのです。
「同じ猫でもエリカとは違ってね」
「エリカは普通の身体だからね」
「そう、あたしはガラスだから」
その透き通った奇麗な身体で言うのでした。
「だからね」
「食べることはしないで」
「そう、それでね」
そのうえでというのです。
「匂いだけを楽しむわ」
「それが貴女の食事の楽しみ方ね」
「それとあんた達が食べて楽しむ笑顔を見てね」
「楽しむのね」
「心の栄養にさせてもらうわ」
「心のなのね」
「そうよ」
まさにというのです。
「そうさせてもらうわ」
「そういうことよね」
「ええ、ただあたしが意識を持った頃は」
ガラスの猫はつぎはぎ娘と一緒にそうなった時のことを思い出しました、今となっては遠い昔の懐かしい思い出です。
「オズの国では誰も河豚は食べなかったわ」
「ええ、そうよね」
「お魚自体あまり食べなくて」
「河豚なんてね」
「そんなお魚存在の時点でね」
食べるどころかというのです。
「いるなんてね」
「知らなかったのね」
「そうよ、それで最初見て思ったことは」
「何だったの?」
「不格好なお魚だってね」
「思ったのね」
「あと食べてもこれはね」
食べられなくても言うガラスの猫でした。
「どうにもってね」
「美味しくないってよね」
「思ったわ」
こう想像したというのです。
「本当に」
「確かに見てると美味しくなさそうよね」
ナターシャもこのことは同意でした。
「しかも毒もあるし」
「外の世界ではね」
「それで食べるとか」
「訳がわからなかったわ、他にもお魚はあるのに」
食べられるそれがです。
「こんなの食べてどうするのって」
「日本だけじゃなくて中国でも食べていたんだよ」
神宝はガラスの猫にこのことをお話しました、その河豚のアクアパッツァをとても美味しく食べながらです。
「唐代や宋代にはね」
「食べると下手したら死ぬのに」
「それだけ美味しいってことだね」
ジョージはこう納得しました。
「実際に物凄く美味しいし」
「不格好でもいざ食べてみるとね」
「この美味しさなら当然だよ」
カルロスはこうまで言いました。
「アマゾンにもいるけれどね、河豚は」
「外の世界でも川に河豚がいるのね」
「あの川は特別だから」
恵梨香はガラスの猫にアマゾン川のお話をしました。
「もう海みたいに大きな川だから」
「それで河豚もいるのね」
「アマゾン川っていうと」
オズマは聞いている外の世界の川のことを言いました、とても広い熱帯雨林の中を流れているその川のことを。
「秘境だっていうけれど」
「オズの国みたいに不思議な場所?」
「そうーー聞いていますーーが」
つぎはぎ娘とチクタクも言いました。
「オズのーー国にもーージャングルはーーありますーーが」
「あんな感じかしらね」
「もっともっと凄い場所かも知れないわね」
オズマはこう二人に答えました。
「あそこは」
「あら、オズの国のジャングルよりもなの」
「ええ、どうもね」
「あそこよりも木々が深くて色々な生きものがいるの」
「そうかも知れないわね」
実際にというのです。
「あそこは」
「一体どんな場所かしら」
「まあ色々な生きものがいるのはわかったわ」
ガラスの猫は寝そべってから応えました。
「アマゾンって場所にはね」
「ええ、けれどシベリアと違ってね」
「あんたのお国の場所ね」
「シベリアはとても寒いけれど」
「アマゾンは違うのね」
「とても暑いらしいの」
こうガラスの猫にお話しました。
「あそこはね」
「それで海みたいに大きな川も流れていて」
「河豚だっているのよ、あとエイとか海豚もいて」
「オズの国の大きな川みたいに」
「あんな感じでね。大蛇も鰐も他の大きなお魚もいて」
「それでジャングルにはよね」
「川に負けない位色々な生きものがいるの」
そうした場所だというのです。
「あそこはね」
「そうなのね」
「それでね」
さらにお話するナターシャでした。
「迷路みたいに入るともうわからなくなる場所なの」
「それは凄いわね」
「オズの国にはそこまでの場所はないわよね」
「ジャングルはあるけれどね」
それでもというのです。
「果たしてアマゾン位かというと」
「違うのね」
「そうかも知れないわね、森は多いけれどね」
「そのお陰で空気はとても奇麗ね」
「そうでしょ、オズの国は空気がとても奇麗でしょ」
「ええ、このことも嬉しいわ」
ナターシャはガラスの猫に微笑んで答えました。
「本当にね」
「そうでしょ、そうした場所なのよ」
「オズの国は」
「空気も奇麗なのよ」
「お水も奇麗で」
「飲んでも美味しいでしょ」
「色々な川があってね、そうそう」
ここでふとです、ガラスの猫は思い出した様にこんなことを言いました。
「この先に面白い場所があるわよ」
「面白い場所?」
「そうよ、川から思い出したけれど」
「川からなの」
「お水、そしてお水から泉とね」
「連想していったの」
「ええ、この頭がね」
右の前足で頭にある赤い宝石の脳味噌を指し示して言いました。
「そこまで連想したのよ」
「そうだったの」
「それでその泉が面白いのよ」
「どんなの泉なの?」
「幾つかあって全部ジュースが湧き出てるの」
「ジュースがなの」
「そうよ、オレンジや林檎や葡萄のね」
そうした果物達のというのです。
「ジュースが湧き出ている泉なの」
「面白い泉もあるものね」
「そうでしょ、だったらね」
「その泉になのね」
「行く?どうかしら」
「あの泉は通り道にあるし」
ここで言ったのはオズマでした。
「煉瓦の道のね」
「あっ、そうなんですか」
「道から少し離れた場所にあるけれど」
それでもというのです。
「煉瓦の道を歩いて進めるから」
「それで、ですね」
「いい感じにね」
まさにというのです。
「進めるから」
「だからですね」
「食べ終わって進んでいけば」
「そうすればですか」
「三時前には着くわ」
その泉にというのです。
「だからね」
「それで、ですね」
「ガラスの猫もお話に出したし」
「それならですね」
「泉に行きましょう」
そのジュースが湧き出る泉にというのです。
「そうしましょう」
「わかりました」
ナターシャが頷いてです、他の四人の子達も頷いてでした。そうして。
一行はアクアパッツァとペスカトーレを食べてです、それから。
皆で再び旅をはじめました、そうして皆で泉に向かいますと実際に三時前にです。
皆はオズマの案内で煉瓦の道から少し離れた場所に入りました、そこは少し高い山の麓にあってです。
そしてです、その麓に確かに幾つかの泉がありどれもジュースでした。
「あっ、本当にですね」
「ジュースの泉でしょ」
「はい」
こうオズマに答えました、見ればです。
オレンジ、林檎、葡萄、桃、苺、パイナップル、グレープフルーツと様々な果物のジュースがあります。他には牛乳やカルピスもあります。
そのジュース達を見てです、五人は思わず笑顔になりました。
「これは凄いですね」
「本当にジュース達が湧き出ていますね」
「流石オズの国ですね」
「いい匂いがしますし」
「とても美味しそうです」
「山の木々にはお菓子や果物が一杯実っているから」
オズマは五人にこのこともお話しました。
「そちらも楽しんでね、私もね」
「オズマ姫もですね」
「楽しまれるんですね」
「今からジュースを飲んで」
「お菓子や果物も食べて」
「そうされるんですね」
「そうするわ、紅茶やコーヒーもあるし」
見ればそうした泉もあります、本当に色々な泉があります。
「よかったらそちらも飲んで楽しんでね」
「わかりました」
「今からそうさせてもらいます」
「ジュースを飲んで」
「お菓子や果物も食べて」
「そうさせてもらいます」
「是非ね」
オズマも笑顔で応えてでした、そのうえで。
一行は近くにあったコップが実る草からそのコップをそれぞれ取ってそうしてでした、山のお菓子や果物を食べてです。
それぞれ飲みたいジュースを飲んで楽しみだしました、すると一行のところにです。
黄色いジャケットとブラウス、ズボンに裸足の巻いた栗毛の子供達が出てきました、子供達は一行を見て言いました。
「あれっ、オズマ姫じゃない」
「ガラスの猫につぎはぎ娘もいるよ」
「チクタクもね」
ひょっこりとお顔を出して身振りを入れつつ言うのでした。
「それに五人の子供達がいるね」
「ひょっとして噂のオズの名誉市民の?」
「その子達かな」
「そうじゃないかな」
「ええ、そうよ」
オズマは子供達ににこりと笑って答えました。
「この子達がオズの名誉市民のね」
「五人の子供達だね」
「最近話題の」
「その子達なんだね」
「ええ、そうよ。そして私達はね」
オズマは子供達に自分達の今の旅のことをお話しました、そしてです。
オズマは今度はナターシャ達五人に子供達のことをお話しました。
「この子達はホビットよ」
「あっ、物語によく出て来る」
「あの小さい人達ですか」
「とても陽気で人懐っこいっていう」
「人気のある種族ですよね」
「好奇心も旺盛で」
「そうだよ」
そのホビットの一人が五人に答えました。
「僕達がそのホビットだよ」
「そうなのね」
ナターシャがそのホビットに応えました。
「オズの国にはホビットもいるのね」
「そうだよ、色々な人達がいてね」
「ホビットの人達もなのね」
「こうしているんだ」
ナターシャに陽気にお話するのでした。
「この通りね」
「そうなのね」
「そして今ここに来たのはね」
「ジュースを飲みに来たのね」
「そしてお菓子や果物を食べにね」
そうする為にというのです。
「来たんだ」
「私達と同じ理由ね」
「僕達は甘いものが大好きでね」
ホビットはナターシャににこにこと身振りを交えてお話をします、周りには皆が集まってお話を聞いています。
「それで毎日ここに来ているんだ」
「そうなの」
「ここは皆の場所でね」
この辺りに住んでいる人達のというのです。
「僕達も来てね」
「そうしてなのね」
「いつも飲んで食べてね」
「楽しんでいるのね」
「そうなんだ」
実際にというのです。
「そうしているんだ」
「成程ね」
「それでね」
さらにお話をするホビットでした。
「君達も一緒ならね」
「それならっていうのね」
「一緒に飲んで食べて楽しもう」
こう提案するのでした。
「そうしようね」
「ええ、そうしましょう」
オズマもにこりと笑って応えました。
「ここはね」
「皆が一緒になったならね」
「それならね」
「ここで会ったのも縁だし」
「縁は大切にしないといけないから」
「是非ね」
それならというのです。
「ここはね」
「皆で飲んで食べて楽しもう」
こうお話してでした。
皆は実際にジュースを飲んでお菓子も果物も食べてでした、楽しくお喋りもしました。するとホビット達は本当にです。
明るくて人懐っこくて楽しい種族でした、それでナターシャも笑顔で言いました。
「一緒にいてとても楽しい人達ね」
「そうでしょ」
そのナターシャにガラスの猫が応えます。
「この人達はこうした人達なのよ」
「明るくて楽しくて」
「人懐っこい人達なのよ」
「そうなのね」
「物語に出て来るホビット達もそうでしょ」
「ええ」
その通りとです、ナターシャはガラスの猫に答えました。
「同じよ、裸足なのもね」
「ああ、裸足なのはね」
ホビットの一人がここで応えました。
「僕達はいつもだよ」
「そうよね」
「この通りね」
ホビットが足の裏を見せるとです、そこには濃い毛が生えていました。その毛を見せながらナターシャ達にお話するのでした。
「毛があってね、僕達の足の裏には」
「それでよね」
「ちゃんと足の裏が守られているからね」
「靴は履かないのね」
「履くことも出来るけれど」
それでもというのです。
「今はね」
「履いていないのね」
「その方が快適だからね」
「そうなのね」
「けれど今言ったけれど履くこともあるよ」
靴をというのです。
「その方が安全だからね、それにお洒落だし」
「あっ、その意味もあるのね」
「そうだよ、僕達はお洒落も好きだから」
ホビットはナターシャに笑ってお話しました。
「服だけじゃなくて靴もね」
「お洒落をする為に」
「履くことも好きだよ」
「そうなのね」
「見れば君達もそれぞれお洒落な靴を履いてるね」
ナターシャ達五人もというのです。
「そうだね、特に君はね」
「私の靴がなの」
「うん、とてもいい靴だね」
黒くてフリルが一杯付いている可愛らしい靴です、ホビットはナターシャのゴスロリの服に合わせた靴を見て言うのです。
「可愛いよ」
「有り難う、私も靴が好きだし」
「それで凝ってるんだね」
「そうしてるの、ただね」
「ただ?」
「私はロシア生まれだけれど」
お国のこともお話するのでした。
「ロシアはとても寒いからこうした靴はね」
「履けないんだ」
「ロシアのいる時はそれこそ」
「分厚い靴を履くんだ」
「暖かいね、服もそうだし」
「その黒い可愛いドレスじゃないんだ」
「そうなの」
ゴスロリではないというのです、見れば髪の毛も首もアクセサリー達で奇麗で可愛く飾っています。
「寒いから」
「ううん、君のお国はそんなに寒いんだ」
「今私は日本に住んでいるけれど」
「その日本よりもだね」
「寒いの」
そうだというのです。
「ずっとね」
「だからなんだ」
「靴も服もね」
「今みたいなのじゃないの」
「そうなの」
実際にというのです。
「こうした服や靴だと寒くて仕方がないから」
「ううん、お洒落で靴を履けないんだ」
「お洒落は出来ても」
「そうした靴はだね」
「履けないの」
「それは困るね」
「分厚くて暖かい」
そうしたというのです。
「靴を履いてるのよ」
「僕達はね、そんな寒い場所にいないから」
それでと言うホビットでした。
「お洒落で履くけれど」
「それでもよね」
「暖かい為には履かないね」
ここでその場にいるホビット達で言うのでした、皆今は楽しく飲んで食べてそうしながらそれぞれのジュースの泉の中に囲まれています。
「そうそう、僕達はね」
「安全の為には履くけれど」
「足の甲や指や爪を守る為に」
「何といってもお洒落の為にね」
「履くけれど」
それでもというのです。
「寒いから履くっていうのは」
「ちょっとね」
「履かないね」
「そうしたことはわからないよ」
どうにもとです、ホビット達はお互いにお顔を見合わせてお話をします。
そしてです、ホビット達はここで自分達の靴を出しました。見ればその靴は黄色くてとても可愛い木の靴でした。
その靴達を履いてです、それでナターシャ達に言うのでした。
「ほら、いいよね」
「お洒落だよね」
「この靴いいよね」
「いい靴だよね」
「ええ、ただね」
それでもとです、またお話したナターシャでした。
「ロシアでは寒さ対策でもあるの。靴下もね」
「ああ、靴下ね」
「それも履くんだね」
「僕達も靴下履くよ」
「けれどやっぱりお洒落だよ」
「その為に履いてるよ」
そうしているというのです、靴下も。
「けれどなんだ」
「ロシアじゃ寒いからなんだ」
「お洒落以外にも」
「それが目的なんだ」
「基本そうなの、足が寒いから」
本当にそうだからだというのです。
「ロシアじゃ靴下も履くの」
「成程ね」
「そうした意味もあるんだね」
「僕達にとっては大発見だよ」
「お洒落以外の目的で履くのはね」
「そうよね、けれど今はね」
オズの国ではというのです。
「完全にね」
「お洒落だね」
「その為に履いているんだね」
「そうなの」
こうホビット達にお話しました。
「冬は寒いから暖かいものを履くけれど日本の冬はロシア程じゃないし」
「その寒さもだね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「今はお洒落を基本に考えているわ」
「君もそうなんだね、じゃあお洒落でね」
「靴を履いていくのね」
「僕達はこれからもね、こうしてね」
早速その木靴を履いたホビットでした、他のホビット達もそうしました。
そしてです、警戒にダンスを踊って言うのでした。
「楽しくお洒落で履くよ」
「靴を」
「そうしていくよ、昔は僕達も靴は履かなかったけれど」
「今は違うのね」
「そうしたお洒落も知ったからね」
ナターシャに笑顔で言うのでした。
「そうしていくよ」
「そうなのね」
「うん、ホビットが靴を履かないことは」
それはといいますと。
「もう昔のことでね」
「今はお洒落で履くのね」
「そうなんだ、履くとね」
これがというのです。
「本当にお洒落だよね」
「ホビットはお洒落好きな種族なのね」
「そうだよ、もの凄く好きでね」
お洒落がというのです。
「服全体に気を使ってるんだ」
「ウィンキーの色のその服もね」
「そうなんだ、じゃああらためてジュースを飲んで」
「お菓子や果物を食べて」
「楽しもうね」
「それじゃあね」
ナターシャが笑顔で応えてでした、そのうえで。
一行はホビット達と一緒に泉で楽しみました、そうしてそこで晩御飯も食べてでした。
ホビット達と別れた後で寝る用意に入りましたがここでオズマが皆にこうしたことを言いました。
「靴はいいものよね」
「そうですよね」
「お洒落で足を守ってくれて」
「服と同じ位大事ですよ」
「旅には欠かせないです」
「もう絶対に必要なものですよね」
「本当にね。私も靴には気をつけてるわ」
オズマ自身もというのです。
「いい靴を履いてね」
「そうしてですね」
「冒険にも出られてるんですね」
「長く歩けてしかもお洒落な」
「そうした靴ですよね」
「王宮の時はドレスに合わせて」
「そうして履いているの。お洒落で履きやすい靴をね」
まさにいつもというのです。
「選んで履いているわ」
「そうよね、オズマ姫はお洒落だけれど」
ガラスの猫も言います。
「靴にも気を使っているわね」
「はい、そうしています」
「そうよね、あたしはそのこともわからないけれど」
「貴女はそうよね」
「ええ、この足がね」
ガラスの四本の足がというのです。
「それ自体が最高の靴だから」
「それでよね」
「そう、靴を履くことはね」
「ないわね」
「その必要はないわ」
それも一切というのです。
「この足があればね」
「貴女はそうよね」
「私はーー足自体がーーです」
チクタクの場合はといいますと。
「靴ーーですーーから」
「そうよね、あんたは」
「はいーー履くーーことはーーありません」
こうガラスの猫に答えます。
「必要がーーないーーです」
「かかしさんや樵さんと一緒ね」
「そうーーなりーーます」
「そうよね、それであんたね」
「この靴よ」
つぎはぎ娘は自分の足をガラスの猫の前に出しました、見れば服と一緒で身体と一緒になっています。
「これがね」
「あんたの靴よね」
「もう最初からあたしの身体に付いてるわよ」
「そうした靴でね」
「もう何もね」
それこそというのです。
「履き替える必要も選ぶ必要もない」
「最初から最高の靴を履いているっていうのね」
「そうよ、あたしはこれで満足よ」
「それはいいことね、あんたはあんたで最高で」
「あんたもよね」
「このガラスの足が最高の靴だから」
またこういうガラスの猫でした。
「満足しているわ」
「そうよね」
「ええ、じゃああたし達とチクタクは朝までお喋りをするけれど」
「私達はこれでね」
オズマが応えました。
「寝るわ」
「そうよね、それじゃあ」
「お休みなさい」
もう近くの湖で身体も奇麗にしていたので何の問題もなくでした、オズマ達は気持ちよく寝て明日の旅に備えるのでした。