『オズのガラスの猫』
第五幕 黄色い動物園
オズマ達はまずは香辛料を手に入れる為オズの国で一番いい香辛料を栽培しているお百姓さんのところに向かいました。
その道中にです、オズマは五人の子供達に尋ねました。
「問題はどの種類の香辛料よ」
「河豚に合うですね」
「そうした香辛料が何か」
「それが問題ですよね」
「一口に香辛料といっても色々で」
「どのお魚にも合う合わないがありますね」
「そうよね、例えばお肉だと胡椒でしょ」
オズマは香辛料の代表のそれを出しました。
「それよね」
「はい、お肉はやっぱりです」
神宝が答えました。
「胡椒です」
「他にも色々あるけれどね」
ここでまた言ったオズマでした。
「お肉には胡椒でね」
「他にも香辛料っていいますと」
次に言ったのはジョージでした。
「唐辛子とかシナモンとか一杯ありますね」
「うん、ただね」
カルロスは考える顔になってこう言いました。
「問題は河豚鍋とかの河豚料理にどんな香辛料が合うかだよ」
「それなのよね」
ナターシャは考えるお顔になっています、皆黄色い煉瓦の道を歩きつつそのうえで考えています。歩きながら考えているのです。
「どの香辛料がいいかしら」
「和食で使う唐辛子だから」
恵梨香も考え込んでいます。
「限られるわね」
「けれどここはね」
ナターシャはその恵梨香に言いました。
「やっぱり貴女よ」
「日本人なのね」
「ええ、そうよ」
まさにというのでした。
「貴女が一番わかってる筈だから」
「それでよね」
「どの香辛料がいいかわかるかしら」
「そうね、お刺身ならね」
まずはこのお料理から考える恵梨香でした。
「やっぱり山葵かしら」
「あれなのね」
「それか生姜。ぽん酢で食べるなら紅葉おろしね」
「そういえば恵梨香前ぽん酢で食べてたね」
「それと紅葉おろしでね」
「美味しそうに食べてたね」
男の子三人がこのことを言いました。
「僕達お醤油で食べてたけれど」
「山葵をちょっと付けてね」
「そうして食べてたけれど」
「あの時はそうして食べてたの」
実際にというのです。
「それで食べたいって思ってね」
「じゃあ紅葉おろしもいいんだね」
「山葵以外にも」
「あれで食べても」
「いいのよ、それとね」
さらにお話する恵梨香でした。
「天婦羅の時もおつゆに紅葉おろしはいいし」
「紅葉おろしね」
オズマはこの香辛料には考えるお顔で言いました。
「ちょっとね」
「馴染みがないですか」
「ええ、和食を食べる時もね」
こう恵梨香に答えました。
「どうもね」
「そうなんですね」
「あまりね」
これといってというのです。
「山葵や生姜は知ってるけれど」
「ですがこちらもです」
「河豚には合うのね」
「はい、河豚鍋を食べる時も」
「あの時はぽん酢で食べるわね」
「はい、ぽん酢に生姜かです」
「紅葉おろしをなのね」
河豚鍋を食べる時はというのです。
「入れてもいいのね」
「これが結構合います、それと生姜も」
「あちらもなのね」
「いいんですよ、あと少し入れるなら」
さらにお話する恵梨香でした。
「柚子なんかも」
「柑橘類ね」
「はい、こちらもいいです」
今度はこちらをお話に出した恵梨香でした。
「美味しいだけじゃなくて香りも出て」
「香りなのね」
「はい、そちらもです」
まさにというのです。
「凄く美味しいです」
「そうなのね」
「だからです」
それでというのです。
「こちらもお勧めです」
「じゃあ柚子もね」
「あればですね」
「貰いたいわ」
そのお百姓さんにというのです。
「是非ね」
「それじゃあ」
「ええ、山葵と生姜と紅葉おろしと」
「後は柚子ですね」
「その四つね」
今回貰う香辛料はです。
「そうしたいわ」
「わかりました」
「そういうことでね」
「さて、どの香辛料かは決まったわね」
ガラスの猫はオズマと五人のお話が終わったところでまた言いました。
「良き哉良き哉よ」
「まだ考えただけよ、あとね」
「あと?」
「河豚鍋は筆頭候補でも正式には決まってないでしょ」
ガラスの猫はナターシャに尋ねました。
「このことはね」
「そうよね、じゃあね」
「お昼や晩にね」
「魚介類を食べていくのね」
「そうなるわ」
「そうね、じゃあ今日の晩は何を食べるのかしら」
「そう言われると」
首を傾げさせてでした、ナターシャは国を傾げさせて応えました。
「何かしら」
「まだ決めてなかったのね」
「ちょっとね」
「じゃあ今から決めればいいのよ」
それならとです、ガラスの猫はすぐにこう言いました。
「お昼に何を食べるのか」
「今からなのね」
「そうすればいいのよ」
「決めてないならこれから決める」
「それだけよ」
「相変わらずの考えね」
「あたしらしいでしょ」
胸を張って言うガラスの猫でした。
「こうした考えが」
「ええ、そう思ってね」
「今言ったのね」
「そうよ、けれどその貴女の考えはね」
まさにとです、ナターシャはガラスの猫に微笑んで言いました。
「いいわね」
「じゃあ今から考えましょう」
「そういうことでね」
「じゃあ何を食べるか今から考えるってことで」
つぎはぎ娘がくるくる踊って歩きつつ言ってきました。
「そうしていきましょう」
「そうね、ふと今思ったお料理は」
ナターシャが思ったそのお料理はといいますと。
「鱒のフライかしら」
「フライなの」
「そのお料理なの」
「ええ、それかしらって思ったわ」
脳裏に浮かんだというのです。
「ふとね」
「僕は鯉を揚げてあんをかけたのかな」
神宝はこちらのお料理でした。
「揚げたのならね」
「鱈のムニエルはどうかな」
ジョージはこちらのお料理でした。
「それかな」
「ううん、鮭のカルパッチョはどうかな」
カルロスはこちらのお料理でした。
「日本に来て生魚の美味しさを知ったしね」
「私はブイヤベースかしら」
恵梨香はこのお料理を思い浮かべました。
「皆のお料理聞いてたらスープもって思って」
「シーフードサラダがあれば最高ね」
オズマは五人のお話を聞いて笑顔でこちらのお料理を出しました。
「じゃあもう全部出しましょう」
「全部ですか?」
「そう、全部出してね」
そしてとです、オズマはナターシャに笑顔で応えました。
「そうしてね」
「皆で、ですね」
「食べましょう」
「それじゃあね」
笑顔で言ってでした、そのうえで。
皆がそれぞれお話に出したお料理を楽しんで食べることになりました、そのテーブルを見てでした。
ガラスの猫は神妙なお顔になってこんなことを言いました。
「お魚尽くしっていいわね」
「そうでしょ、お肉もいいけれどね」
「ええ、お魚もね」
ナターシャにも応えて言いました。
「いいわね」
「貝や海老もね」
「あるしね」
見ればそブイヤベースの中にあります。
「いいわね」
「食べなくてもそう思うでしょ」
「いい匂いだからね、ただあたしは身体の構造自体でね」
全身ガラスだからというのです。
「最初から食欲がね」
「ないのね」
「だから食べたいと思わないの」
「あたし達もよ」
つぎはぎ娘もでした。
「だって舌も内臓もないのよ」
「食べるものに必要なものが」
「本当に何もないから」
そうした身体の仕組みだからというのです。
「もう食欲もね」
「ないのね」
「最初からね」
そうだというのです。
「食べる必要がないことと同じでね」
「食欲自体がないのね」
「だから食べたいと思ったことはね」
それこそというのです。
「一度もないわよ」
「これはいつも言っている通りでね」
ガラスの猫がまた言ってきました。
「もうね」
「私達が食べられることについて何も思わないのね」
「全くね」
「そういうことなのね」
「あたし達はあたし達で満足しているから」
食べる必要がないことについてです。
「別にいいのよ」
「そういうことなのね」
「そうよ、それじゃあどんどん食べてね」
澄ましたお顔で、です。ガラスの猫はナターシャに言いました。
「魚介類のお料理をね」
「そうさせてもらうわね」
「ええ、ただ魚介類のお料理もね」
こんなことも言ったガラスの猫でした。
「色々あるわね」
「そうなのよね、私もそう思うわ」
オズマはムニエルを美味しく食べつつガラスの猫の言葉に頷きました。
「ムニエルにフライに揚げてあんをかけて揚げたものに」
「サラダにね」
「カルパッチョにブイヤベースとね」
「本当に色々あるわね」
「食べられるお魚もね」
こちらもというのです。
「色々よね」
「そうよね」
「お肉もいいけれど」
「魚介類もね」
「いいわね、あとフライを食べて思ったけれど」
オズマは今はムニエルを食べていましたがさっきはフライを食べていました、それでフライのことも言うのです。
「牡蠣フライもね」
「いいですよね、あのフライも」
ナターシャは牡蠣フライと聞いて笑顔で言いました。
「あのお料理も」
「そうそう、牡蠣フライもね」
「凄く美味しいよね」
「幾らでも食べられるよ」
男の子三人も牡蠣フライについてこう言います。
「牡蠣自体が美味しいんだよね」
「食べやすいよね」
「しかも栄養がかなりあるんだよね」
「あれも食べたくなったわ」
オズマはこう言うのでした。
「今回の旅の中でね」
「じゃあ今度のお昼はですね」
ナターシャはオズマにすぐにこう言いました、鮭のカルパッチョを食べながら。
「牡蠣フライですね」
「ええ、あれにしましょう」
「是非ですね」
「他のお料理も出すけれど」
「牡蠣フライもですね」
「出しましょう」
「わかりました」
ナターシャはオズマの言葉に笑顔で頷きました、そしてです。
皆はこの日の晩御飯も楽しみました、デザートは苺やオレンジ、葡萄に桃とフルーツ類を沢山食べました。
そしてその後で、です。皆順番で近くの川で身体を奇麗にして寝ようというところでチクタクが言いました。
「明日ーーお昼位にーーです」
「このまま歩くとね」
「はいーー動物園にーー着きますーーね」
もうパジャマに着替えているオズマに答えました、五人の子供達もそれぞれパジャマに着替えています。
「ウィンキーの国ーーがーー運営ーーしている」
「そうね、そこに着くから」
「動物園をーーですーーね」
「見学しましょう」
そうしようというのです。
「明日はね」
「動物園ね」
「ええ、明日はあそこに行きましょう」
オズマはガラスの猫にも答えました。
「そうしましょう」
「わかったわ、動物園ね」
「貴女も行くわね」
「そういえばここはあの動物園に行く道ね」
ガラスの猫は気付いた感じのお顔でオズマに応えました。
「そうだったね」
「ええ、だからこの道に行くって決めてからね」
「オズマはあそこに行くことになのね」
「決めていたの」
オズマはガラスの猫に微笑んで答えました。
「そのこともね」
「いいことね、あたし達はあの動物園は知ってるけれど」
「この子達は行ったことがないと思うから」
ナターシャ達も見て言うオズマでした。
「案内するわ」
「そうするのね」
「是非ね」
「それはいいことね、じゃあね」
「ええ、明日はね」
「お昼は牡蠣フライを食べて」
「それからね」
まさにそれからというのです。
「あの動物園に行きましょう」
「わかったわ、じゃあ明日はね」
「そうするということで」
お話を決めました、そしてでした。
寝られる人はぐっすりと寝てです、次の日も朝早く起きて朝御飯を食べてでした。十時のティータイムもお昼の牡蠣フライも楽しんでです。
皆お昼御飯を食べてすぐにでした、その動物園に入りました。動物園にいる生きもの達は皆オズの国にいる生きもの達ですが。
その生きもの達を見てです、ナターシャ達は言いました。
「あっ、ウィンキーの国だから」
「それでだね」
「皆色が黄色いね」
「像も熊もね」
「他の生きものも皆」
「そう、皆ウィンキーの生きものだから」
オズマは五人に笑顔でお話しました。
「それでなの」
「皆黄色いんですね」
「毛や皮膚が」
「ウィンキーの色なんですね」
「陸にいる生きものも空にいる生きものも」
「お水の中にいる生きものも」
「そうよ、皆ね」
まさにというのです。
「黄色いのよ」
「虎は変わってないですね」
ナターシャはこの生きものを見ました、見ると黒と黄色の縦縞のままです。
「見たところ」
「いえ、よく見て」
「あっ、色が奇麗な黄色ですね」
「黄色は黄色でもね」
「虎本来の黄色じゃなくて」
外の世界のです。
「ウィンキーの黄色ですね」
「そうでしょ」
「はい」
まさにと答えたナターシャでした。
「黄色は黄色でも」
「腹ペコタイガーや普通の虎の黄色じゃなくてね」
「普通の虎の黄色は」
ナターシャも知っています、虎のその黄色は。
「茶色がかなり入っていますね」
「そうでしょ、けれどここの虎達の黄色はね」
「完全に黄色ですね」
「他の色が入っていないね」
茶色やそうした他の色がです。
「純粋な黄色でしょ」
「それがウィンキーの虎の黄色ですね」
「ここにいるね」
「何ていいますか」
実にという口調になって言うナターシャでした。
「ウィンキーの虎ということですね」
「オズの国の中にね」
「だからそうした黄色なんですね」
「黄色は黄色でもね」
黄色の中身が違うというのです。
「黄色だって色々でね」
「純粋な黄色ですね」
「そうよ、あとウィンキーはその純粋な黄色以外にね」
オズマは虎のコーナー、外の世界の動物園よりもずっと広いその場所でくつろいでいる彼等を見つつナターシャにさらにお話しました。
「色々な黄色があるでしょ」
「はい、本当に」
「レモンイエローもあるしね」
「明るい黄色ですね」
「少しだけ青や赤が入った黄色もあって」
「茶色が入った黄色もありますね」
「その虎の黄色ね」
その黄色もあるのです。
「色々な黄色があるでしょ」
「一口に黄色といっても」
「純粋な黄色がウィンキーの黄色とされていてもね」
それと共にというのです。
「そうした黄色もあってね」
「それでなんですね」
「どの黄色もあるから」
それでというのだ。
「楽しめるのよ」
「そうなるんですね」
「そうよ、あと他の国もね」
ウィンキー以外のオズの国もというのです。
「そうでしょ」
「はい、それぞれの基本の色があっても」
マンチキンは青、カドリングは赤、ギリキンは紫、そしてエメラルドの都は緑と確かにそれぞれの色があります。
「それと一緒にです」
「それぞれの色々な色があるわね」
「エメラルドの都もそうですし」
「純粋な緑が基本でね」
そのエメラルドの都の主でもあるオズマの言葉です。
「ダークグリーンもあればね」
「エメラルドグリーンもあって」
「ブルーグリーン、イエローグリーンもね」
日本語で言う青緑や黄緑もです。
「色々あるでしょ」
「そうですよね」
「そしてその全ての色をね」
まさにというのです。
「オズの国は入れているのよ」
「そうですね」
「あと白や黒が入る場合も」
そうした色のことも話すオズマでした。
「それぞれの中にあるから」
「ライトグリーンやさっき出たダークグリーンですね」
「ええ、そうした色もね」
まさにというのです。
「あるでしょ」
「はい、確かに」
「赤、青、黄色、緑、紫でもう大抵の色は系列にあるから」
「オズの国には全部の色があるんですね」
「色々な人や生きもの達と一緒にね」
「色もですね」
「あるの」
「そうなんすね」
「そう、そしてね」
さらにお話したオズマでした。
「金色や銀色はね」
「そうした色は」
「純粋な白や黒もそうだけれど」
そうした色も含めてお話するオズマでした。
「それぞれの色に入っていないそうした色はオズの全ての国のものなの」
「そうなるんですね」
「だから金色や銀色はどの国にもあるの」
「白や黒もですね」
「そうなのよ」
「成程、そうなんですね」
「ええ、このこともわかってくれたわね」
「はい、よく」
ナターシャはオズマに微笑んで答えました。
「わかりました」
「そういうことでね」
「オズの国はそうした国なのよ」
オズマは今度はライオン達を見ていました、虎のコーナーの横でのんびりとくつろいで寝たりしています。
「何でも受け入れられるのよ」
「色もですね」
「そして人もですね」
「そうなのよ」
「成程、金色や銀色はですね」
恵梨香も応えて言いました。
「オズの国全ての色なんですね」
「そういえばどの国でも見ますね」
カルロスも言います。
「そうした色は」
「白や黒もね」
神宝はこうした色をお話に出しました。
「そうだし」
「どんな色もオズの国では受け入れられる」
ジョージの言葉はしみじみとしたものでした。
「そして人も生きものも」
「だからあたしだっているのよ」
ガラスの猫はそのガラスの身体で五人に言いました。
「外の世界では絶対にいないわね」
「あたしだってね」
つぎはぎ娘は今もくるくる動いています、そうしながらあちこちの生きものを見てもいます。
「外の世界にはいないわね」
「オズの国ーーではーーです」
チクタクが言うことはといいますと。
「受け入れーーられないーーものはーーありまーーせん」
「そうそう、魔法も科学も錬金術もね」
ガラスの猫は外の世界ではお伽の話とされるものも含めてお話します。
「全部ある国だしね」
「じゃあ超能力も?」
「あるわよ、あと仙術とかもね」
中国のそうした力もというのです。
「あるし」
「そうなのね」
「ええ、仙人さんもいるから」
ナターシャにお話するのでした。
「中国のね」
「ああ、今のアメリカには中国も入っているから」
「陰陽術もあるし」
「日本もあって」
「陰陽師の人もいて忍者もいるわよ」
「忍術もあるのね」
恵梨香は興味深そうに述べました。
「そちらも」
「そうよ、忍者の人もいるからね」
「本当にどんなものもあるのね」
「その通りよ、まあ忍者の人はね」
笑ってお話するガラスの猫でした。
「もう妖術使いみたいなものよ」
「っていうと」
忍者が妖術使いと聞いてナターシャはあることがわかりました、そのわかったことは一体何かといいますと。
「妖術使いの人もオズの国にはいるのね」
「中国のね」
「それでオズの国の忍術も」
「蝦蟇を使ったり変身したりしてね」
「そうしてなの」
「楽しんでいるのよ」
そうした忍術を使ってというのです。
「いつもね」
「そうなのね」
「私は忍術は使えないけれど」
オズマも忍術そして忍者についてお話します。
「面白い術よね」
「その妖術みたいな忍術も」
「本来の忍術もね」
そちらもというのです。
「面白いわね」
「手裏剣やマキビシを使って跳んだり隠れたり」
「そうした術もね」
「面白いですか」
「こうした術は魔法じゃないけれど」
忍術や陰陽術、妖術や仙術はです。
「やっぱり悪用したら駄目だから」
「使う人についてはですね」
「制限をしてるの」
「忍術は忍者の人達だけですか」
「ええ、使える様にしているの」
オズの国の法律でそうしているというのです。
「ああした術は使うと危ないでしょ」
「悪用しますと」
「だからそこはちゃんとしてるの」
「仙人も悪いことすると大変ですからね」
中国人の神宝はこのことがよくわかっています。
「小説とかでも凄いですから」
「妖術使いでもそうだね」
ジョージは前に読んだ中国の本を思い出していました。
「もう大暴れだから」
「陰陽師同士の対決なんて」
カルロスが思い出したのは日本の陰陽師の映画です。
「もう大戦争だったし」
「魔法と一緒ね」
まさにとです、恵梨香も言います。
「危険な術ね、悪用すると」
「オズの国には悪人はいなくても」
それでもと言ったガラスの猫でした。
「悪人が入ってきたりもしたでしょ」
「ラゲドー王ね」
ナターシャはガラスの猫の言葉にすぐにこの人を思い出しました。
「確かにあの人はね」
「悪人だったわね」
「何度もオズの国に攻めようとしたわね」
「ああした人が来ることもあるから」
それでというのです。
「そうした人が下手に学び取って悪用しない為にも」
「そうした術は制限しているのね」
「そうなの」
まさにというのです。
「オズの国ではね」
「そういうことなのね」
「そう、そしてね」
さらにお話したガラスの猫でした。
「平和が保たれているのよ」
「オズの国の平和が」
「そうなってるのよ」
「そのこともわかったわ」
「さて、じゃあね」
つぎはぎ娘が皆に言ってきました。
「今度はどの生きものを見に行くの?」
「イルカはどうかしら」
オズマは少し考えてからつぎはぎ娘に答えました。
「あの生きものは」
「イルカね」
「ええ、この動物園にもいるでしょ」
「だからよね」
「イルカ達を見ましょう」
「それじゃあね」
つぎはぎ娘も頷いて他の皆も同じでした、そうしてです。
皆はイルカのコーナーに行きました、すると背中は見事な黄色でお腹のところは白いイルカ達がいました。ですが。
そのイルカ達を見てです、五人はすぐにこう言いました。
「あれっ、何か」
「普通のイルカと違うね」
「頭のところが大きくて」
「お口がかなり先に出ていて」
「海のイルカじゃないわ」
「カワイルカよ」
オズマは五人ににこりと笑って説明しました。
「貴女達も知ってると思うけれど」
「はい、それは」
「川にもイルカがいたりしますね」
「外の世界でも大きな川にいます」
「アザラシもいたりします」
「それで、ですか」
「ウィンキーの川にいるイルカ達でね」
イルカのコーナー、プールの中で元気に泳いでいる彼等はというのです。プールは水槽になっていてその中がよく見えます。
「この子達もこの動物園にはいるの」
「そうなんですね」
「カワイルカですか」
「海のイルカじゃなくて」
「こちらのイルカもですか」
「この動物園にはいるんですね」
「そうよ、海のイルカもいるけれど」
今皆で見ている様なというのです。
「カワイルカもいるの」
「まさかカワイルカもいるなんて」
ナターシャは意外といったお顔でオズマに応えました。
「少し驚きました」
「だからオズの国はね」
「どんな生きものもいるんですね」
「そうよ、だからカワイルカもいるの」
「そうなんですね」
「この子達はとても大人しいから」
見れば海のイルカ達みたいにお水の上まで元気に跳ねたりはしません、元気ですが泳ぎ方は静かな感じです。
「見ていて和やかでしょ」
「確かにそうですね」
「海のイルカの子達よりも」
「何か静かで」
「落ち着いた感じですね」
「泳ぐのもゆっくりで」
「そうだよ、ゆっくりしていてね」
そしてというのです。
「どちらかというと底の方を泳ぐのよ」
「あたしこの子達大好きなの」
つぎはぎ娘が言いました。
「和やかだから」
「そうよね、この子達はね」
ガラスの猫もカワイルカ達を見ながら言います。
「見ていて和むわね」
「そうよね」
「海のイルカは見ていて楽しくてね」
「川のイルカは和むわね」
「どうにもね」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
水槽の向こうからです、一匹の黄色と白のカワイルカが言ってきました。
「僕達を見ていて和むならね」
「そうなの」
「そう、僕達も穏やかなつもりだし」
「それでなのね」
「その僕達を見ていて和むならね」
それならというのです。
「僕達も嬉しいよ」
「それは何よりね」
「いつも穏やかに暮らしてね」
「平和に暮らして」
「そしてその僕達を見てね」
「和むのなら」
「嬉しいよ、どんどん和んでね」
ガラスの猫に言うのでした。
「そうしてね」
「それじゃあね」
ガラスの猫も応えました。
「そうさせてもらうわ」
「是非ね」
「それじゃあ」
二人でお話します、そしてでした。
皆でカワイルカを見て次に海のイルカ達も見ました、すると今度は見ていて楽しくなりました。そうしてです。
オズマは皆に今度はこう言いました。
「そうそう、忘れてたわ」
「忘れてた?」
「っていいますと」
「まだ見ていない生きものいました?」
「この動物園で」
「そうだったんですか」
「そうなの、触れ合いコーナーがあって」
五人にこのコーナーのお話をするのでした。
「そこに兎や栗鼠、犬や猫や羊達がいるの」
「普通に触ったり出来る生きものがですか」
「いるんですね」
「じゃあその触れ合いコーナーにですか」
「今から行って」
「そこで楽しむんですね」
「そうしましょう」
是非にというのでした。
「これからね」
「わかりました」
ナターシャが五人を代表して答えてでした、そのうえで。
皆はその触れ合いコーナーに行きました、すると黄色い兎や栗鼠、犬や猫それに羊や山羊達がいました。皆はその生きもの達と楽しく遊んだりお喋りをしますが。
ガラスの猫はつんとしてです、お高く止まった仕草で言うのでした。
「皆可愛いけれど奇麗なのはあたしね」
「ここでまたあんたらしい子おt場が出たわね」
「そうでしょ」
「ええ、とてもあんたらしいわ」
つぎはぎ娘はそのガラスの猫に言いました。
「今聞いてそう思ったわ」
「そうでしょ」
「本当にあんたは何処でもあんたね」
「そうよ、あたしはあたしでね」
「それでなのね」
「ここでもそう思うわ」
この気持ちを隠さず言うのでした。
「あたしが一番よ」
「奇麗だっていうのね」
「可愛いのは縁がないけれど」
それでもというのです。
「あたしがこのコーナーでもこの動物園でもね」
「一番奇麗なのね」
「本当に思うわ、あとね」
さらに言うガラスの猫でした。
「オズの国でもよ」
「一番奇麗なのね」
「このガラスの身体と宝石の脳味噌とハートはね」
「それでそう思ってなのね」
「今ここにいるのよ」
「そしてそのことを誇りに思ってもいるのね」
「心からね、それで今他の子達とお話したけれど」
さっきまで猫達と色々とお話しました。
「可愛いけれど奇麗じゃないわね」
「奇麗なのはまた別ね」
「奇麗なのはあたしのことを言うのよ」
「じゃああんたは可愛くないのね」
「そう見えるかしら」
つぎはぎ娘に逆に聞き返しました。
「あたしが」
「そう言われると違うわね」
それはとです、つぎはぎ娘も思ったことを答えます。
「全く」
「そうでしょ、可愛くはないでしょ」
「その態度は全く可愛い気はないわ」
「あら、態度がなの」
「だって思いきりツンとすましてるからよ」
だからだというのです。
「気取った仕草で人に親し気にもしないし」
「あたしはそうしたことはしないわ」
「だからね」
「あたしは可愛くはないのね」
「全くね、けれど奇麗なのは確かよ」
「だったらそれでいいわ」
奇麗ならというのです。
「この身体がね」
「可愛いと言われなくてもいいのね」
「そっちには最初から全く興味もないし」
それでというのです。
「本当にね」
「どうでもいいのね」
「そうなのよ」
「もうあんたの中では決まってるのね」
「あたしが一番奇麗でね」
このことは何があっても揺るがなくてです。
「他の子達は可愛いのよ」
「それならいいのね」
「ええ、あと他の誰が一番奇麗って言われても」
「羨まないのね」
「それでどうしたのよ」
もう何でもないというのです。
「あたしはあたしが一番奇麗って確信してるから」
「もうそれでよね」
「動かないから」
「いいのね」
「そうよ、絶対に不変だから」
この考えはというのです。
「いいのよ」
「成程ね」
「あたしはあたしでね」
「変わらなくて」
「それでいいの、あとね」
「あと?」
「いや、皆触れ合ってるわね」
見ればオズマ達もそうで生きもの達も自分達からです。
語り掛けてお話をしてそうしてです、楽しい時間を過ごしています。ガラスの猫はその彼等も見て言うのです。
「何かと」
「そうね、あんたと違ってね」
「ああしてお互いにお話するのを楽しむ子達もいるのよね」
「あんたはそういうのはしないけれどね」
「ええ、自分からお話をしたりするのもね」
「あまりしないわね」
「気が向けばするけれど」
それでもというのです。
「積極的にはしないわね」
「それもあんたね」
「そうよ、自分は自分でね」
「自分からお話することもね」
「あまりしないわ、けれど声をかけられたら」
その時はというのです。
「あたしは絶対に応えるわ」
「無視はしないわね」
「絶対にしないわ」
そうしたこともというのです。
「何があってもね」
「そうよね、あんたは」
「無視する様な下らないことはしないわ」
ここでも誇りを持って言うガラスの猫でした。
「あたしはね」
「あんたも無視されたら怒る?」
「いえ、怒らないわ」
「あら、そうなの」
「だから無視なんて下らないでしょ」
そうした行いだというのです。
「どうしても合わない人にそうする人はいても」
「あんたが合わない人はね」
「いないわ、もっともオズの国に攻めてくる相手とは戦うけれど」
このことはするというのです。
「それでもよ」
「無視する様な下らない人に怒っても」
「余計に下らないから」
だからだというのです。
「あたしは怒らないわ」
「そうなのね」
「だってあたしは一番奇麗な猫なのよ」
「一番偉いし」
「オズマは別だけれどね」
そのオズマを見つつの言葉です。
「そんなあたしが下らないことしてどうするのよ」
「そういう理屈ね」
「そうよ、あたしは誰も羨むこともないし」
「下らないこともしない」
「それがあたしなのよ」
ガラスの猫だというのです。
「そうなのよ」
「あんたのその性格よくわかったわ」
つぎはぎ娘はガラスの猫に言いました。
「あんたらしくてしかもわかりやすくて」
「はっきりした性格でしょ」
「本当にね、じゃあもっとね」
「ええ、動物園の生きもの達をね」
「見ていきましょう」
「今度は蝙蝠を見に行きましょう」
オズマはここで皆に言いました。
「そうしましょう」
「はい、それじゃあ」
「今度は蝙蝠を見に行きましょう」
「ウィンキーの黄色い蝙蝠を」
ナターシャ達五人の子供達が応えてでした、そのうえで。
皆は今度は蝙蝠達を見に行きました、他の生きもの達も見てそうしてです。動物園でも楽しい時間を過ごしたのでした。