『オズのガラスの猫』




                第四幕  樵達のアドバイス

 オズマ達一行はウィンキーの国に入りました、そしてそこでまたお食事となりましたが今回はです。
 河豚のお刺身に唐揚げ、それに天婦羅に白子といったものでした。そういったものを御飯と一緒に食べています。
 その河豚のお刺身を食べてです、オズマは言いました。
「お刺身も本当にね」
「美味しいですね」
 ナターシャがオズマに言いました。
「恵梨香の言った通りに」
「ええ、とてもね」
「唐揚げも美味しくて」
 ナターシャは今はこちらを食べています。
「河豚って本当にいいですね」
「こんなに美味しいお魚はね」
「そうそうないですね」
「一番かしら」
 こうまで言うオズマでした。
「河豚はお魚の中でね」
「一番美味しいかも知れないですね」
「そう思ったわ」
「皆のお顔を見ているとね」
 ガラスの猫も食べないがらも言います。
「そうした風に見えるわ」
「美味しさがお顔に出てなのね」
「ええ、そういう風にね」
 ガラスの猫はナターシャに答えました。
「見えるわよ」
「そうなのね」
「お魚も色々よね」
「もう数えきれないだけの種類がいるわよ」
「あんた達も食べてるけれど」
 その色々な種類のお魚達をです。
「その中を河豚を食べている時がね」
「一番いいお顔になってるのね」
「美味しさでね」
「あたしもそう思うわ」 
 つぎはぎ娘も言います。
「あんた達美味しいものを食べる中でもね」
「特になのね」
「いいお顔になってるわよ」
「だって本当に凄く美味しいから」
 ナターシャはつぎはぎ娘にも答えました。
「そうしたお顔になるのもね」
「当然なのね」
「そうなのね」
「私日本に来てお寿司もお刺身もお鍋も大好きになったわ」
 そういった日本のお魚のお料理がというのです。
「天婦羅だってね、お魚の種類でいうと」
「そちらでも言うのね」
「ええ、鮭や鱒だけじゃなくてね」
 ナターシャはガラスの猫にロシアでも食べられているお魚の種類からお話しました。
「鮪や秋刀魚や鰯、平目や鰈だってね」
「そうしたお魚もなのね」
「美味しいってわかったわ、海老や貝だって」
 お魚以外の海の幸のお話もするのでした。
「色々あって美味しいけれど」
「その中でもなのね」
「河豚はね」
「一番美味しいのね」
「そうなの、本当にね」
「あとオコゼも美味しいよ」
 ここで言ったのはカルロスでした。
「この前恵梨香のお家で皆で食べたけれど」
「あと鮟鱇もだね」
 ジョージはこのお魚のことを言いました。
「あのお魚も美味しいね」
「クエもいいよね」
 神宝はこのお魚をお話に出しました。
「独特の味で」
「そうなのよね。外見が怖いお魚もね」
 実はどのお魚も恵梨香が皆をお家に呼んで食べてもらったものです、それで皆もそうしたお魚の味を知っています。当然ナターシャもです。
「美味しいのよね」
「鮟鱇ってあれよね」 
 つぎはぎ娘はこのお魚の名前を聞いて言いました。
「大きなお口で頭に灯りがある」
「そう、あのお魚よ」
「あのお魚食べられるの」
「食べられてしかもね」
「美味しいのね」
「そうなの」
 ナターシャはつぎはぎ娘に答えました。
「お鍋にしたら。あと肝もね」
「肝臓ね」
「凄く美味しいの」
「あんな不細工なお魚が美味しいのね」
「それも凄くね」
「それは意外ね」
「そうでしょ、河豚だって外見は不細工かも知れないけれど」
 見る人によってはです。
「美味しいし」
「不細工なお魚もなのね」
「美味しいのよ」
「そういえばエリカもね」
 ガラスの猫は自分と同じ猫である彼女のお話をしました。
「色々なお魚食べていてね」
「ええ、鮟鱇とかオコゼもね」
「美味しく食べてるわね」
「恵梨香が出したのをね」
「そうしてたわね」
「実際に美味しいからよ」
 ナターシャはガラスの猫とつぎはぎ娘に答えました。
「エリカも食べてるのよ」
「そういうことね」
「ええ、それも美味しくね」
「あたしはそういうのは実感としてないけれどね」
 ガラスの猫はくつろいだ姿勢でナターシャに応えました。
「エリカもそうよね」
「美味しそうでしょ」
「そうでしょ、そしてね」
「そして?」
「私達もなのよ」
 ナターシャ達もというのです。
「日本に来てそうしたお魚の味を知ったのよ」
「そういうことね」
「そうよ、それで河豚だけれど」
「河豚のお刺身と唐揚げもなの」
「凄く美味しいわ」
 心からの言葉でした。
「これならね」
「ええ、お刺身も唐揚げもね」
 オズマはお箸を上手に使って食べつつナターシャに応えました。
「楽しく食べられるわね」
「犬の国の人達も」
「それは間違いないわね」
「そうですよね、これなら」
「お魚のよさもわかってもらえるわ」
「そうですよね」
「犬もお魚を食べるから」
 オズマはトトのことから言いました。
「安心していいわ」
「じゃあ犬の国の人達は」
「多分食わず嫌いだったのよ」
「食べないで、ですか」
「お魚出されて食べられないって怒って」
「それでなんですね」
「猫の国の人達と喧嘩になったのよ」 
 これがオズマの予想でした。
「だからね」
「それをですね」
「収めるのが私達の今回のお仕事だから」
「河豚を出せばいいわね」
 ガラスの猫が横から言ってきました。
「お鍋だけじゃなくてお刺身や唐揚げまで美味しいなら」
「そうーー思いーーます」
 チクタクもここで言いました。
「私ーーも」
「そうでしょ、もうね」
「河豚でーーですーーね」
「決まりよ」
 まさにというのです。
「あたしが思うにね」
「いえ、まだ色々なお魚を食べてね」
 オズマは決定事項にしようとするガラスの猫とチクタクにあえて言いました。
「決めていくわよ」
「河豚以外のお魚もなの」
「ええ、鮟鱇だって食べてね」 
 今お話に出たこのお魚もというのです。
「そうしてね」
「決めていくのね」
「お寿司も候補だし」
「あれは皆好きよね」
「あれも途中食べて」
「そしてなのね」
「決めたいわ」
 こうお話するのでした。
「どうせならね」
「成程ね、色々とお魚を食べてから」
「その種類もお料理もね」
「決めるのね」
「選んでいってね」
「そうするのね、何かね」
 ガラスの猫はここまで聞いて思いました。
「そうして慎重に決めていくのはオズマらしいわね」
「私らしいの」
「ええ、とてもね」 
 そうだというのです。
「そう思ったわ、実際にね」
「まあね、私はね」
「慎重によね」
「ものごとを考えて決める様にしているわ」
「そうよね」
 ただしその決断は早いです、オズマは慎重に考えてそれからすぐに決断を下す女の子なのです。
「だからなのね」
「今回もね」
「慎重に色々食べて」
「考えていってね」
「決めるのね」
「そうするわ」
 オズマはガラスの猫に答えました。
「猫の国に着くまでね」
「そのことわかったわ、じゃあね」
「次もお魚料理ね」
「それを食べましょう」
 実際にこう言ったオズマでした。
「天婦羅もいいし」
「天婦羅ですと」
 そう聞いてです、ナターシャが言うことはといいますと。
「海老や蛸、烏賊にです」
「お魚も美味しいのがあるわね」
「はい、鱚や鰯ですね」
 こうしたお魚がというのです。
「天婦羅にしたら美味しいです」
「そうよね、そうしたものも食べながら」
「考えていくんですね」
「何を出すかをね」
「魚介類尽くしですね」
「今回の旅ではね」
 出す食べものはというのです。
「そうなるわ」
「それも面白いですね」
「じゃああたしは魚介類を食べて笑顔になるあんた達を見てね」
 ここでまた言ったガラスの猫でした。
「楽しませてもらうわね」
「そうするのね」
「いつも通りね、ただ普段はお肉も食べるけれど」
 むしろこちらの方が多いです。
「今回はお魚メインね」
「そうなるわね」
 実際にとです、ナターシャも答えました。そうしつつ河豚のお刺身や唐揚げと一緒に出されているほうれん草のおひたしや海草の酢のものを食べています。
「やっぱり」
「そうよね」
「ええ、けれどそれもまたね」
「いいっていうのね」
「そう思うわ。魚介類もね」
 こちらもというので。
「沢山あるから」
「飽きないってことね」
「食べる私達もそうで」
「見るあたし達にしても」
「飽きないみたいね」
 ガラスの猫とつぎはぎ娘が言いました。
「じゃあね」
「ええ、実際にね」
「その笑顔を見て楽しませてもらいましょう」
「そうしましょう」
「私もーーです」
 チクタクも言いました。
「魚介類のーーお料理をーー楽しむーー皆さんをーー見てーーです」
「そのうえでよね、あんたも」
「楽しませてーーもらいーーます」
 こうガラスの猫に答えるのでした。
「是非ーー共」
「あたし達の栄養は笑顔だからね」
「私達が食べるのを見てなのね」
「楽しませてもらうわ」
 こうナターシャに言いました。
「心の栄養にさせてもらってね」
「そうするのね」
「そうよ、それとね」
「それと?」
「これはオズの国の皆がそうよ」
 オズの国の食べる必要のない人達はというのです。
「笑顔が栄養なのよ」
「笑顔を見て元気になるのね」
「そうなの、だからどんどん美味しいものを食べてね」
「そうさせてもらうわね」
「是非共ね」
 実際にガラスの猫達はこの時も美味しいものを食べる皆の笑顔を見て楽しみました、デザートのフルーツの盛り合わせを食べる時まで。
 皆はお腹一杯食べてです、それから暫く歩いてブリキの樵のお城に着きました。そのお城は今もでした。
 ピカピカで磨かれたブリキで出来ていてです、そのうえで。
 オズの国の名士達、城の主である樵のお友達達の像も噴水もお花も何もかもがブリキで造られています。そのお城の前に来るとです。
 すぐにです、油でピカピカに磨かれている樵と綿を詰め替えたばかりのかかし、それに新品の頭のジャックが出てきて皆を出迎えてくれました。
「やあ、来たね」
「待っていたよ」
「皆が来る時をね」
「有り難う、皆元気そうね」
 オズマが一行を代表して三人に応えました。
「今日もね」
「見ての通りだよ」
 樵は両手を広げてオズマに答えました。
「僕達はいつも通りにね」
「元気なのね」
「とてもね」
 実際にそうだというのです。
「皆の笑顔を見てね」
「それは何よりね」
「そう、そしてね」
「ええ、今からね」
「猫の国と犬の国のことだね」
 樵から言ってきました。
「あの二国の喧嘩のことでだね」
「相談に乗って欲しくてお邪魔したの」
 その猫の国に行く前にというのです。
「そうしたけれど」
「実は僕達もどうしようかって考えていたんだ」
 かかしがオズマにお話しました。
「何しろオズの国、特に僕達が今住んでいるウィンキーの国のことだから」
「それでよね」
「どうしたものかと考えていたんだ」
「けれど僕達今凄く忙しいんだ」
 ジャックが残念そうに言いました。
「ウィンキーの国は今橋や道をどんどん造っていてね」
「そちらのことで大変なんだ」
 樵も言います。
「だからどうしてもね」
「猫の国と犬の国のことはなの」
「もっと大変なことになったら行くつもりだったけれど」
 仲裁、そして和解をしてもらう為にです。
「今はね」
「そちらに忙しくてなのね」
「手が回らない状況でね」
「そこでよね」
「オズマ達が行ってくれるならね」
「有り難いってことでなのね」
「お願いしたいところだったんだ」
 樵達にしてもというのです。
「今本当にウィンキー全体にね」
「しっかりとした道と橋を造って」
「皆の行き来を楽にしたいから」
 それでというのです。
「そっちにかかりっきりなんだ」
「だからね、猫の国のことは気になっていても」
 かかしも頭の中に入れてはいるのです、この国と犬の国のことを。
「手が回らなくて困っていたんだ」
「カエルマンさんやアン王女も今それぞれの場所で忙しいんだ」
 ジャックは頼れる彼等のことをお話に出しました。
「ラベンダー熊さんのところにクッキーさんも一緒に行ってね」
「あら、あそこでも何かあるの」
「うん、あそこに凄く大きな林檎園と湖を造ることになって」
 それでとです、ジャックはガラスの猫に答えました。
「それでね」
「あの人達も忙しくて」
「猫の国の方に行けないんだ」
「ウィンキーの皆も忙しいのね」
「それぞれね」
「忙しいのが政治だからね」
 つぎはぎ娘はここでこの真実を言いました。
「だから幾ら人手があっても足りないのよ」
「それでなのよ」
 オズマはそのつぎはぎ娘に言いました。
「今回はね」
「あたし達が行ってなのね」
「問題を解決するの」
「手が空いているからってことね」
「手が空いてるんじゃなくてカバーね」
 そちらになるというのです。
「そうなるわ」
「人手があったらなんだ」
「その人手がカバーするものでしょ」
 こうつぎはぎ娘に言うのでした。
「そうでしょ」
「それでなのね」
「エメラルドの都はドロシー達がいるからね」
「そこは任せてね」
「そうしてなの」
「私達が猫の国に行くのよ」
「人手でカバーしていく」
「それも政治だから」
「そういうことだね、悪いね」
 そのお話を聞いてです、樵はオズマに考える顔でお礼を述べました。
「今回も」
「気にしないで、こうした時はお互い様だし」
 さらにお話したオズマでした。
「樵さん達にはいつも助けてもらってるから」
「だからなんだ」
「気にしないで、それでね」
「今からだね」
「猫の国に行くわ」
 そうするというのです。
「ウィンキーの国を横断してね」
「そういうことだね、じゃあね」
「じゃあ?」
「問題はあの国の騒動をどう解決するかだね」 
 このことも言う樵でした。
「犬の国と喧嘩しているそれを」
「彼等は最初は普通に付き合っていたんだ」
 かかしもお話します。
「別に何もなくね、ただね」
「猫の国の人達がパーティーの時によね」
 つぎはぎ娘がかかしに応えて言いました。
「あの人達がお魚を出してよね」
「そうなんだ、犬の国の人達が食べられないって言ってね」
「それでだったわね」
「言い合いになってそれからね」
「喧嘩してるのね」
「そうなんだ、もうたまたま出会ってもツンと顔を背け合う」
「そんな状況ね」
 つぎはぎ娘もこの辺りのことはもう知っていて言います。
「今は」
「そうなんだ」
「そうそう、それで解決する方法はね」
 ここでガラスの猫が言いました。
「もうこれ以上はない位に美味しいお魚を出して」
「そうしてだね」
「お魚の美味しさを知ってもらって」
 そうしてというのです。
「問題を解決してもらおうってね」
「考えているんだね」
「そうよ、これでいいわね」
「そうだね、けれどね」
 かかしはガラスの猫の言葉を聞いてです、考えるお顔になってオズマ達に答えました。
「どんな美味しいお魚を出してもね」
「問題があるのね」
「うん、果たしてその出されたお魚をね」
 それをというのです。
「犬の国の人達が食べるか」
「それが問題なのね」
「そう、そのことだけれど」
「犬の国の人達は犬だから」
 ナターシャが言いました。
「お鼻がいいわね」
「そう、もうお魚の匂いでね」
「お魚っていうだけでなの」
「食べないよ」
 そうなるというのです。
「例え目隠しをしてもね」
「難しいわね」
「そこだね、どうしたものかだけれど」
「そこをーーです」
 ここで言ったのはチクタクでした。
「かかしさん達ーーに知恵ーーを拝借ーーしたくーーて」
「知恵だね」
「はいーー知恵ーーです」
 それだというのです。
「お願いーー出来ますーーか」
「そうだね、ここはもう最高の匂いをね」
 まさにそれをというのでした。
「犬の国の人達に出せばね」
「美味しい匂いね」
 オズマははっとしました。
「それを出して」
「そうすればどうかな」
 かかしは考える顔になってオズマにお話しました。
「ここは」
「美味しそうな匂いならね」
 ジャックも言ってきました。
「ウィンキーに最高の香辛料を栽培している人がいるよ」
「匂いならなのね」
 ナターシャもここで言いました。
「香辛料で」
「うん、もう香辛料ならね」
 それこそというのです。
「その人が何でも栽培しているから」
「お魚のお料理に合う香辛料もあって」
「それを持って行ってね」
「お料理を出して」
「そう、そうすれば」
 まさにというのです。
「犬の国の人達も食べると思うよ」
「そうね、最高の匂いでも犬の人達を虜にして」
 オズマも決めました。
「そうして犬の国の人達に出せば」
「きっと食べるよ」
 かかしがオズマに答えました。
「犬の国の人達はお鼻がいい、だったらね」
「匂いで虜にすればね」
「むしろ普通の人達よりもね」
「食べるわね、じゃあ」
「うん、まずはだね」
「その人のところに行くわ」
 とても美味しい香りを出す香辛料を栽培してくれている人のところにというのです。
「そうしてね」
「それからだね」
「猫の国の人達のところに行くわ」
 オズマは樵に笑顔で答えました。
「そう決めたわ」
「うん、じゃあそういうことでね」
「ただ美味しいものを出してもね」
「僕は食べないからよく言えないけれど」
 提案者のかかしの言葉です。
「匂いも大事だっていうからね」
「だからなのね」
「あえて出したけれど」
「それでいくわね」
「そういうことでね」
「やっぱりここに来てよかったわ」
 オズマはにこりとして言いました。
「かかしさん達なら知恵を出してくれるって思っていたけれど」
「こうしたものでいいかな」
「ええ、河豚は美味しいけれど」
 それでもというのです。
「そこに香辛料の匂いが加わったら」
「それじゃあね」
「余計にいいわ」
「それじゃあね、香辛料も出して」
「やっていくよ」
 是非と言ってです、そうしてでした。
 オズマ達は相談に乗ってくれたかかし達にお礼の言葉を述べました、それから後はでした。
 すぐに出発しようとしたオズマ達にです、樵が笑ってこう言いました。
「ちょっとこのお城に留まってくれるかな」
「あら、何かあるのかしら」
「うん、実は面白いものが完成したんだ」
 こうオズマに言うのでした。
「このお城でね」
「というと」
「ブリキの芸術品でね」
 ブリキの樵のお城ならではのというのです。
「それが出来たからね」
「私達になのね」
「見て欲しいんだ」
「どういったものかしら」
「実はね、僕達のブリキの像はあったけれど」
 それでもというのです、ここで樵はナターシャ達を見て言うのでした。
「この子達のものはなかったね」
「そういえばそうね」
 ここで言ったのはガラスの猫でした、この猫のブリキの像もちゃんとあります。
「これまではね」
「うん。けれどごの子達もね」
 樵は五人を見つつガラスの猫にもお話します。
「是非にって思ってね」
「造ったのね」
「そうなんだ、その像をね」
 ブリキのそれをというのです。
「造ってもらったんだ」
「僕達三人でお話してね」
 ジャックも言ってきます。
「それでね」
「造ろうってことになってね」
 かかしもジャックに続きます。
「ウィンキーのブリキ職人の中でも一番腕のいい人に造ってもらったんだよ」
「僕達の像までなんて」
 カルロスは信じられないというお顔になっていました。
「まさか」
「オズの国の名士の人達と一緒にですか」
 次に言ったのは神宝でした。
「僕達の像もなんですね」
「正直驚いています」
 実際に驚いているお顔になっているジョージでした。
「まさか。そんなものまで」
「いや、本当にだよ」
 樵は三人の少年達に笑顔で応えました。
「君達五人の像を造ったんだ」
「そしてその像をですね」
 恵梨香も信じられないといったお顔で言うのでした。
「私達にですか」
「見て欲しいんだ」
 是非にとです、樵は恵梨香にも答えました。
「今からね」
「それじゃあ」
 ナターシャも言いました。
「今からお願いします」
「こっちだよ」
 樵はかかし、ジャックと一緒に皆をお城のお庭の片隅に案内しました。するとそこには本当に五人のブリキの像がありました。
 そのピカピカの像を見てです、五人は言いました。
「うわ、これは」
「そっくりだよ」
「僕達にね」
「ブリキだけれど」
「今にも動きそう」
「ははは、精巧に造ってもらったんだ」
 樵は自分達そっくりの像に目を瞠る五人に笑って言いました。
「そうしたらだね」
「はい、びっくりしました」
「この目で見て」
「本当に」
「何ていいますか」
「私達自身みたいで」
「気に入ってもらったみたいで何よりだよ」
 樵にもこのことはよくわかりました。
「僕も嬉しいよ」
「この像は皆の像のところに一緒に飾るからね」
 かかしも笑顔で五人にお話します。
「今からそこに移すよ」
「その移す時も見ていてね」
 ここで言ったのはジャックでした。
「そしてそれからね」
「出発ね」
「そうしてくれると嬉しいよ」
「わかったわ」
 オズマは樵達に笑顔で応えました。
「そうさせてもらうわ」
「それじゃあね」
「ううん、こうしたことはね」
「まさによね」
 ガラスの猫とつぎはぎ娘もそのブリキの像達を見つつお話をします。
「樵さんならではね」
「そうした配慮よね、あたしだったらね」
 ここで、です。ガラスの猫は像達を見つつこうしたことを言いました。
「ガラスの像にするわね」
「あたしだったらぬいぐるみね」
 つぎはぎ娘はこちらでした。
「そうなるわ」
「そうよね、けれどね」
「ブリキならね」
「樵さんね」
「やっぱりそうよね」
「そのーーブリキのーー像はーーです」
 チクタクはしみじみとした口調になっていました。
「素晴らしいーーです」
「全くよ、じゃああたしも今度ね」 
 ガラスの猫はまた言いました。
「五人、いえ皆のガラスの像を造ってもらおうかしら」
「私達のなの」
「ええ、あんた達にね」
 こうナターシャに答えるのでした、自分の横に来た彼女に。
「そうしてね」
「そのうえでなの」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「あたしの像も他の皆の像もよ」
「そうするのね」
「そう思ったわ、ただね」
 ここでこんなことも言ったガラスの猫でした。
「あたしのガラスの像は動かないわよ」
「動くのは貴女だけね」
「そうよ、あくまでね」
 そこはというのです。
「あたしだけよ、あたしは魔法の粉をかけられて動く様になったから」
「あたしと一緒にだったわね」
 つぎはぎ娘も言ってきます。
「思えばその時からの付き合いね」
「そうなのよね、あたし達はね」
「長い付き合いよね」
「意識を持った時からだからね」
「そう思うと」
 さらに言うつぎはぎ娘でした。
「あたし達は友達同士ね」
「そうね、第一のね」
「まさにね」
「何かガラスの猫が友達とか言うなんて」 
 ちょっと意外に思うナターシャでした。
「最初の頃と違うわね」
「意識を持ってすぐの頃ね」
「あの時の貴女はね」
「お友達とかはね」
「意識してなかったわよね」
「ええ、もうね」
 それこそというのです。
「そうしたことはね」
「考えないでね」
「あたしはあたしでね」
「そうした風だったわね」
「猫だしね」
 それにというのです。
「だからよ」
「そうよね、猫はね」
「お友達とかじゃなくてね」
「まず自分よね」
「自分がどうかじゃない」
「そのことは変わってないけれど」
「お友達を意識する様になったわ」 
 このことはというのです。
「そうなったわ」
「そうなのね」
「そう、つぎはぎ娘だけじゃなくて」
 お友達と思うのはというのです。
「オズマもチクタクも他の皆もね」
「かかしさんや樵さん達もなの」
「勿論よ」 
 ガラスの猫はナターシャに胸を張って答えました。
「皆私の友達よ、あんた達もよ」
「五人共なの」
「そうよ、あんた達五人共ね」
 それこそというのです。
「あたしの友達よ」
「そうなのね」
「ええ、だから今回も一緒に冒険してるのよ」
「そういうことね」
「そしてお友達としてあたしがいるから」
 それこそとです、こんなことも言ったガラスの猫でした。
「今回の冒険は大船に乗ったつもりでいなさい」
「ガラスの船かしら」
「そうよ」
 笑って応えたガラスの猫でした。
「あたしの身体はガラスだからね」
「乗る大船もなの」
「ガラスの船よ」
 そうなるというのです。
「奇麗でしょ」
「そうね、ただね」
「ただ?」
「何か割れそうな感じがするわね」
 ガラスの船ならと言ったナターシャでした。
「そこは」
「それはあんた達の世界ならでしょ?」
「オズの国ならなのね」
「そうそう割れないわよ、特にあたしはね」
「貴女は絶対に割れないガラスね」
「その身体だからよ、しかも磨けば磨く程輝く」
 そうした身体だからだというのです。
「最高の身体でしょ」
「そこでそう言うのが貴女ね」
「その最高の身体のあたしが言うのよ」
 まさにというのです。
「今回の旅はね」
「大船に乗ったつもりでなの」
「壊れないガラスの船にね」
 こう言い加えたガラスの猫でした。
「乗ったつもりでいなさい」
「そういうことね」
「例え何があってもよ」
「貴女がいれば」
「万全なのね」
「そういうことよ、それにしてもこの像は」
 またブリキの像、五人のそれを見て言ったガラスの猫でした。
「よく出来てるわよね」
「服の細かいところまで丁寧に造っていて」
「あんた達のそれぞれの服のね」
「これで色まで着いたらね」
 ブリキの銀色でピカピカです、そこは違います。
「私達でもね」
「ガラスに映る自分を見るみたいによね」
「そう思うわね」
「そうなのね」
「そうよ、いや本当にね」
 しみじみとです、ナターシャは他の四人と一緒に五人の像を見つつ言うのでした。
「私達みたいよ」
「ブリキのあんた達ね」
「そう思ったわ」
「あたしはブリキのあたしの像を見てもね」
「特になのね」
「凄くよく出来てるとは思っても」
 それでもというのです。
「動くとかは思わないわ」
「それガラスの貴女の像を造ってもよね」
「ええ、思わないわ」
 全く、という口調で言うのでした。
「それはね」
「それはどうしてかしら」
「だって動くのはあたしだけよ」
 どんな精巧な像でもというのです。
「あたしはあたしでね」
「貴女だけが動くから」
「そうよ、動くものはね」
 それこそというのです。
「あたしだけだから、意識があるのもね」
「つまり魂があるのも」
「あたしだけだから」
「それがはっきりしてるから」
「若しその像が意識があってもあたしじゃないのよ」
「貴女は貴女ね」
「この世に一人だけいるね」
 そうしたものだというのです。
「あたしなのよ」
「そこは確かってことね」
「そうよ、この世で一番確かなことよ」
 それこそというのです。
「あたしがあたしであるってことはね」
「それじゃああたしもあたしね」
 つぎはぎ娘も言ってきました。
「あたし自身があたしだから」
「そうよ、あんたもね」
「あたしなのね」
「このことは確かよ」
「真実なのね」
「そうよ、真実よ」
 まさにそれはというのです。
「あんたはあんたよ」
「あたしそっくりに造った像が魂を持っても」
「あんたなのよ」
 あくまでというのです。
「そこはね」
「成程ね」
「だからあたしはナターシャみたいには考えないの」
「像が動いたら自分が自分かわからなくなるとか」
「全くね、むしろ何でそう考えるかね」
 それがとです、ガラスの猫はここでは首を傾げさせて言うのでした。
「あたしはわからないわ」
「むしろなのね」
「その方がわからないわ」
 そうだというのです。
「あたしとしてはね」
「そう言われてもね」
 どうかと返したナターシャでした。
「私は実際にそう思うから」
「僕もだよ」
「見ていてそう思ったよ」
「実際にね」
「そう思いながら見ていたわ」
 四人もこうガラスの猫に言います。
「どうにもね」
「あんまりにも細かいところまでよく出来てるから」
「ひょっとしたら動くかもって」
「それで動いたらって」
「そういうものかしらね」
「あたしはね」
「ううん、貴女は本当に自分がどうかなのね」
 ナターシャはガラスの猫のその性格をここでも再認識しました。
「自分がどう思うかで」
「そうよ、あくまであたしはね」
「自分がどう思うか、どうしているのかで」
「他の人がどうかはね」
「一切気にならないのね」
「だから羨むこともないしね」
「自分が自分かを疑うこともないのね」
 ナターシャはこのことは自分から言いました。
「そういうことね」
「そうよ、そもそもあたしみたいな猫が他にいる筈ないわ」
 それこそというのです。
「ガラスの身体の猫なんてね」
「他にガラスの猫がいても」
「こんな脳味噌と心臓の猫はいないわ」
 赤い宝石のそれをというのです。
「ガラスの身体だってここまで奇麗なのはね」
「そのこともなの」
「ないわ、だからね」
「疑うこともないのね」
「何一つとしてね、ではね」
「ええ、かかしさん達からのアドバイス通りにね」
「香辛料のところに行きましょう」
 是非にというのでした。
「そうしましょう」
「それじゃあね」
 樵がここで笑顔で言ってきました。
「吉報を待っているよ」
「楽しい旅をね」
「是非してきてね」
 かかしとジャックも樵に続いて言ってきました。
「僕達はここでお仕事をするけれど」
「いい旅をしてきてね」
「そうしてくるわね」
 笑顔で、です。オズマが三人に応えました。
「私達も」
「それじゃあね」
「いい旅をしてきてね」
「そうして問題を解決してきてね」
「そうしてくるわね」
 笑顔で言ってです、そのうえでなのでした。
 一行は樵達と手を振り合って別れてでした、そうして一緒にでした。
 皆で旅を再開しました、オズマは樵達と別れてすぐに皆に言いました。
「じゃあこれからね」
「その香辛料を貰いによね」
「お百姓さんのところに行くのよね」
「そうするわ」
 ガラスの猫とつぎはぎ娘に答えました。
「これからね」
「よし、それじゃあね」
「その人のところに行きましょう」
「その人のお家はね」
 オズマは笑顔でそのお百姓さんのことをお話しました。
「さっき樵さんとかかしさんに聞いたわ」
「あら、何時の間に」
「ナターシャ達がブリキの像を見ている間にね」
 まさにその間にです。
「聞いてね」
「それでなの」
「もう場所はわかってるの」
「そう、全部わかったから」
 それでというのです。
「そちらに行くわ」
「そしてその人から香辛料を貰って」
「それからよね」
「猫の国に行くのね」
「そうするのね」
「そうするわ」
 まさにというのです、オズマは地図を開きました。その地図はウィンキーの地図でその人のお家と思われるところには赤い丸が入れられています。
 その赤い丸を見つつです、またお話したオズマでした。
「目的地はちゃんとわかってるしね」
「それじゃあね」
「今から行きましょう」
「そうしましょう、途中色々あってもね」
 そうしたことも頭にしっかりと入れているオズマです、こうしたところに冒険への慣れが出ているのでしょうか。
「皆で乗り越えていきましょう」
「はいーーそうしまーーしょう」 
 チクタクがオズマに応えました。
「私達ーー皆ーーで」
「そうしてね」
「苦難もーーですーーね」
「乗り越えてね」
「進んでーーいきーーましょう」
 チクタクが言ってでした、そのうえで。
 皆でまずは香辛料を栽培しているお百姓さんのところに向かうのでした、冒険の旅は途中寄り道をしましたがそれでもそれは必要な寄り道でした。








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