『オズのガラスの猫』
第二幕 いざ出発
オズマは夕食の時にナターシャ達五人と会いました、その場で五人に対して笑顔でこう言いました。
「じゃあ今度の冒険ではね」
「オズマ姫がご一緒ですね」
「それでウィンキーの国まで行くんですね」
「ウィンキーの西にある猫の国に」
「あそこまで行くんですね」
「チクタクも一緒で」
「そうよ、チクタクも一緒よ」
見ればチクタクも夕食の場にいます、とはいってもチクタクは何も食べる必要がないので席に座っているだけです。
「ガラスの猫、つぎはぎ娘もでね」
「そうーーなります」
チクタクも五人にお話します。
「宜しくーーお願いーーしまーーす」
「こちらこそ」
ナターシャが五人を代表して笑顔で応えます。
「今回も楽しい旅をね」
「しまーーしょう」
「そうしましょう」
「はい、それーーとーーですーーが」
チクタクはナターシャにさらにお話しました。
「出発はーー明後日にーーなりーーます」
「明日は引き継ぎをするの」
一緒に夕食を食べているドロシーが応えました。
「それがあるから」
「それが済んでですね」
「明後日になってね」
こうナターシャにお話するドロシーでした。
「出発になるわ」
「その予定よ」
オズマも言ってきました。
「だから明日はね」
「私達はですね」
「この都で遊んでね」
そうしてというのです。
「過ごしてね」
「わかりました」
ナターシャはオズマに笑顔で答えました。
「そうさせてもらいます」
「この夕食も楽しんで」
「今日の晩御飯もいいですね」
ジョージは大好きなステーキ、それもとても大きな牛肉のレアを食べながらオズマに言ってきました。
「ステーキもこれまでのサラダもスープも美味しくて」
「焼き加減が絶妙なんですよね」
神宝もステーキを食べつつ言います。
「王宮のお料理はどれもそうで」
「前の鮭のムニエルと鱒のフライも美味しかったですし」
カルロスはステーキの前に出たそちらの味も思い出しています。
「美味しいものが続いて」
「それにパンもですね」
恵梨香は今はパンを食べています、これはいつも食卓に出ています。
「美味しいです」
「そうでしょ、オズの王宮のシェフはとても優秀だから」
オズマが子供達に笑顔で応えます、勿論オズマもステーキを食べています。
「だからね」
「こうしてですね」
「いつも美味しいお料理が食べられるんですね」
「ステーキだけじゃなくて」
「他のものも」
「そうよ、デザートも出るから」
ここで甘いワインと同じ味の葡萄ジュースを飲んだオズマでした。
「そちらも楽しみにしておいてね」
「はい」
「そうさせてもらいます」
「ステーキの後のデザートも」
「そちらも」
「今日はパイよ」
オズマはデザートのメニューのお話もしました。
「すぐりや苺、ブルーベリーが沢山入ったね」
「あら、それなの」
ドロシーはオズマが言ったパイに目を輝かせました。
「あのパイなの」
「そうなの、ドロシーが好きだから」
それでというのです。
「シェフにお話してね」
「作ってもらったのね」
「そうなの、かく言う私も好きだしね」
かく言うオズマもというのです。
「それにこの子達にもね」
「是非になのね」
「食べて欲しいから」
ナターシャ達五人も見てドロシーにお話するオズマでした。
「だからね」
「シェフの人に作ってもらって」
「皆で食べましょう」
「わかったわ」
ドロシーはオズマに笑顔で応えました。
「そうさせてもらうわ」
「そういうことでね」
「あのパイはね」
すぐりや苺、ブルーベリーが入ったパイはといいますと。
「何ていうかね」
「中にある果物の色々な味があってね」
「凄く美味しいわ」
「そうよね、だからね」
「私も大好きで」
「私も大好きなのよ」
「どんなパイか楽しみです」
ナターシャがオズの国の二人の王女に笑顔で応えました。
「この夕食の最後の最後の楽しみですね」
「そうよ、じゃあね」
「このステーキを食べた後で」
「それを食べてね」
「そうさせてもらいます」
こう言ってでした、そのうえで。
皆でステーキを食べてそうしてからそのパイを食べました、すると五人は目を驚かせてそれぞれ言いました。
「確かにこれは」
「美味しいです」
「素敵な味ですね」
「色々な果物の味が入っていて」
「目が覚めるみたいな味です」
「そうでしょ、だから私達は大好きなの」
オズマもそのパイを食べつつ五人に応えました。
「このパイがね」
「ここまで美味しいと」
それこそと言うナターシャでした。
「当然ですね」
「そうでしょ、じゃあね」
「はい、このパイをですね」
「全部食べてね」
「それで今日の晩御飯は終わりですね」
「そうよ、そしてね」
さらにお話するオズマでした。
「後はお風呂ね」
「そちらも楽しむんですね」
「サウナもあるわよ」
ロシア人のナターシャが大好きなそれもというのです。
「勿論お湯のお風呂もね」
「そちらもですね」
「あるから」
それでというのです。
「思う存分楽しんでね」
「そうさせてもらいます」
「そしてね」
さらにお話するオズマでした。
「今日は葡萄ジュース飲んでるでしょ」
「あっ、まさか」
「この葡萄ジュースワインの味なんですよね」
「このジュースの味は」
「というと」
「今日のお風呂には」
「ワイン風呂もあるわよ」
普通のお風呂とは別にというのです。
「そちらも楽しんでね」
「わかりました」
「じゃあワイン風呂にも入らせてもらいます」
「サウナにもお湯のお風呂にも入らせてもらって」
「そちらのお風呂にもです」
「入らせてもらいます」
「そうしてね、私も入るし」
お話をするオズマ自身もというのです。
「心ゆくまで楽しむわ」
「オズマってお風呂好きよね」
ドロシーは自分の隣の席、オズの国の主の席にいるオズマににこりと笑って言いました。
「そうよね」
「ええ、実際にね」
「大好きよね」
「そうよ、身体も奇麗になるしね」
それにでした。
「心もすっきりするし」
「だからよね」
「大好きよ、何か魔法使いさんが言うには」
今は夕食の席にいないこの人はといいますと。実は魔法使いはモジャボロやムシノスケ教授と一緒に大学にいたので今は都に向かっている最中で明日の朝に都に到着する予定なのです。
「お風呂に入っているとね」
「肩凝りや腰痛にもよね」
「いいっていうのよね」
「何か魔法使いさん外の世界にいた時は」
その時はといいますと。
「随分とそうしたものに悩まされていたそうね」
「そう言ってたわね」
「それでお風呂に入って」
「時々でもね」
「そうしたものを癒していたそうね」
「そうらしいわね」
魔法使い自身のお話によるとです。
「そうしていたそうね」
「オズの国ではそうした悩みもないけれど」
病気なぞもない国だからです。
「それでもね」
「外の世界にいた時はね」
どうしてもだったのです。
「そうしたお身体のことにも悩んで」
「お風呂に入っていたそうね」
「ええ、けれど今はね」
「あの人も純粋にね」
「お風呂を楽しんでいるわ」
肩凝りや腰痛を癒す為ではなくです。
「サウナやお湯をね」
「そうよね」
「お風呂はそうしたものを癒す以外でも楽しいって」
「そうお話してね」
「うちのお祖父ちゃんも言ってます」
恵梨香が言ってきました。
「お風呂に入ると腰にいいって」
「そうよね」
「はい、いつも」
「お風呂で温まるからね」
だからとです、オズマは恵梨香に応えて言いました。
「だからね」
「腰にいいんですね」
「肩とかにもね」
「身体のそうしたところに」
「それでお歳を召した人はね」
外のそうした人達はです。
「お風呂に入るのが好きね」
「そうなんですね」
「身体を奇麗にして気持ちをすっきりさせる以外にも」
「身体を癒す為にもですね」
「入るのよ。あと汗をかくでしょ」
「はい、特にサウナで」
「あれで身体の中の悪いものも出せるし」
汗からです。
「この意味でもね」
「お風呂はいいんですね」
「そうよ、だから余計にすっきりするのよ」
「そういうことですね」
「だから今夜はね」
「お風呂に入って」
「すっきりして」
そしてというのです。
「そうして寝てね」
「また明日ですね」
「そうなりましょう」
「わかりました」
確かな声で、でる。恵梨香はオズマに笑顔で答えました。そうしてデザートのパイを食べてジュースの残りも飲んでです。
そのお風呂にも入ってそれからベッドに入って寝ました。その翌朝でした。
五人は日の出と共に起きてです、それぞれパジャマから着替えて王宮の食堂に出ると御飯の用意はまだでした。
「朝御飯は六時だったわね」
「そうだったね」
「今は五時にもなってないし」
「まだ一時間以上時間あるね」
「結構時間あるわね」
「だったらね」
ジュリア=ジャムが五人にこう提案しました。
「皆で王宮の中を見て回ったらいいわ」
「そうですね」
「王宮の中はとても広いですし」
「色々と見て回る場所も多いですし」
「見て回って飽きないですから」
「丁度いいですね」
「そう、六時になったらベルが鳴るから」
朝御飯の時間だと知らせるそれがです。
「それまではね」
「王宮の中を見て回っています」
「そうしています」
「朝御飯の時まで」
「そうしています」
「六時になったらここに戻ります」
「そうしてね、じゃあ六時になったら鳴らすわね」
ベルをとです、ジュリアは五人に笑顔でこのことを伝えました。そして五人を笑顔で送り出したのでした。
朝の王宮の中の散策をはじめた五人ですがすぐにでした、王宮の中を歩いていたガラスの猫に会いました。
するとです、ガラスの猫から五人に言ってきました。
「あら、早いわね」
「ええ、日の出と共に起きたの」
「ぐっすりと寝たよ」
「それで朝御飯まで時間があるからね」
「今は五人で王宮の中をお散歩してね」
「それで時間を潰すつもりなの」
「そうなのね、あたしはね」
また自分から言うガラスの猫でした、緑の大理石や宝石で飾られた王宮の中にいるガラスの身体は緑が透けて見えて独特の奇麗さになっています。
「寝る必要がないでしょ」
「休む必要もね」
「だからね」
それでとナターシャに答えるのでした。
「いつもこうしてね」
「夜はなのね」
「王宮のあちこち、気が向けばお外にも出て」
「そしてよね」
「あちこち回ったり寝る必要がない人達と遊んだり」
「そうしてよね」
「夜を過ごしてね」
そうしてというのです。
「朝までよ」
「楽しんでいるのね」
「お喋りもしてるし」
そちらもというのです。
「だからね」
「今もなのね」
「王宮の中をお散歩してたけれど」
「そこで私達と会ったの」
「そうよ、それじゃあね」
「ええ、今からね」
「あんた達も時間あるでしょ」
このことをです、ガラスの猫はナターシャ達に確認しました。
「そうでしょ」
「六時まではね」
「じゃあそれまではね」
一時間少しある時間をというのです。
「王宮の中をお散歩するのはあたしもだし」
「それまでの時間は」
「一緒に過ごさない?」
こうナターシャ達に提案するのでした。
「そうしない?」
「それじゃあね」
ナターシャは五人を代表してガラスの猫に笑顔で答えました。
「そうさせてもらうわ」
「ええ、じゃあね」
「そうしてね、それとね」
「それと?」
「あんた達が行ける場所だけ行くから」
このことも言うガラスの猫でした。
「そうするわね」
「あっ、猫と人間だとね」
「大きさが違うでしょ」
「それも全くね」
「しかも身のこなしもよ」
それもというのです。
「違うでしょ」
「全くね」
「だからね」
「私達が行けるところをなの」
「一緒に歩いてあげるわ」
ガラスの猫は少し気取った感じでナターシャ達に言うのでした。
「そうさせてもらうわ、よかったら朝御飯の後もね」
「私達がまだお散歩をするのなら」
「そうさせてもらうわ」
「そうしてくれるの」
「それが楽しそうだし」
そう思うからというのです。
「だからね」
「それが今貴女が楽しいと思うことなのね」
「そうよ」
まさにというのです。
「だからよ」
「成程ね」
「気が向いたらね」
こうも言ったガラスの猫でした。
「それが楽しいからよ」
「それはまさに猫ね」
「うん、猫ならではの考えだよね」
「気が向いたそのことが楽しいって」
「もうした考えがね」
「猫ね」
五人で思って言うのでした、そしてガラスの猫自身こう言います。もう五人とガラスの猫は一緒に歩きはじめています。ガラスの身体から王宮の緑が見えていてとても奇麗です。
「気まぐれっていうか」
「気の向くまま?」
「そうして動くから」
「まさに猫だね」
「ガラスの猫にしてもね」
「そうよ、あたしはガラスの身体を持つ猫よ」
まさにとです、ガラスの猫自身子供達に顔を向けて答えます。
「最高に奇麗で素敵な身体を持つね」
「そう言うのもね」
ナターシャはそのガラスの猫に微笑んで答えました。
「猫ならではね」
「エリカもそう言ってるっていうのよね」
「そうよ、あの娘はあの娘でね」
「自分が最高だって」
「一番だってね」
ガラスの猫の言葉を借りるとこうなります。
「言ってるわ」
「そうなのね」
「それで貴女はそう聞いてもよね」
「別に何とも思わないわ」
これといってというのです。
「本当にね」
「そうよね」
「だって誰がそう言ってもね」
エリカなり他の猫がそう言ってもです。
「あたしが一番なのは変わりがないから」
「絶対のことなのね」
「あたしがそう思ってるのよ」
王宮の中をナターシャ達と一緒に歩きながら言うのでした。
「それならね」
「そのことがなのね」
「絶対のことだから」
それでというのです。
「エリカがどう思ってもね」
「構わないのね」
「そうよ、あたしがそう思っているのなら」
それならというのです。
「それが真実でしょ」
「それが猫の考えなのね」
「そうでしょうね、猫はね」
「他の人がどう思ってるのかは」
「どうでもいいのよ」
正直言ってというのです。
「エリカにしてもあんた達にしてもよ」
「他の人や猫がどう思っていても」
「あたしがそう思っているのならね」
「よくてなの」
「気にならないわ」
それも全くというのです。
「何一つとしてね」
「だから貴女は一番で」
「それはね」
まさにというのです。
「自明の理だからよ」
「あんたの中で揺らがないから」
「そう、いいのよ」
他の誰かがどう考えてもというのです。
「あたしにとってはね」
「そうなのね」
「そうよ、それでもあたしも悪人じゃないから」
「悪猫ね」
「そうね、悪猫じゃないから」
そこは訂正してお話したガラスの猫でした。
「皆が困っていたら、今回の旅でもね」
「助けてくれるっていうのね」
「そうするわ、だから何かあったらね」
ピンチの時はというのです。
「何でもあたしに言いなさい」
「あたしに出来ないことならっていうのね」
「そうよ、何とかしてあげるわ」
「まああたしもね」
「あんたもっていうの」
「だってあんたと同じで寝る必要も食べる必要もないのよ」
このことをお話するつぎはぎ娘でした。
「だったらね」
「困ったことがあっても」
「何とか出来るわよ」
今回の旅でもというのです。
「それにあたしこの身体だし」
「つぎはぎのぬいぐるみのね」
「だからね」
「大丈夫なのね」
「そうよ、あたしがいればね」
「あたしがいるからって訂正して」
「だってあんた猫じゃない」
このことから言うつぎはぎ娘でした。
「だったら出来ることなんて限られてるわよ」
「あら、そう言うのだ」
「だってあんた小さいしね」
「小さくても素早くて遠くのものまではっきり見聞き出来るのよ」
猫だからです。
「だから大丈夫よ」
「そうかしら」
「実際これまでの旅でもあたしが力になったことあるでしょ」
「それはそうね」
「そうしたことあるし」
「今回の旅でピンチになっても」
「そうよ、あたしに任せるのよ」
皆の前を歩きつつ胸を張って言うガラスの猫でした。
「あんた達はね」
「何か自信満々だけれど」
ナターシャはガラスの猫の言葉を聞いて思うのでした。
「それも猫だからかしら」
「猫ってこうだからね」
ジョージも言います。
「いつもどの猫もね」
「だからだね」
神宝もこう言いました。
「ガラスの猫もこう言うんだね」
「まあ猫がこう言わないとね」
それこそと言ったのはカルロスでした。
「何か猫っぽくないね」
「そうね、エリカもオズの国の他の猫達も」
最後に恵梨香が言いました。
「こうでないとね」
「そうそう、じゃあそのガラスの猫とね」
まさにとです、つぎはぎ娘は五人にお話しました。
「今回はね」
「一緒にね」
「楽しく冒険して」
「そうしてね」
「今度は猫の国に」
「それまでも色々なものを見ていくのね」
「そうしましょう」
まさにと言ってでした、皆で朝御飯前の王宮の中でのお散歩をしました。王宮のお庭に入ってその景色も見ているとでした。
ベルが鳴りました、そしてです。
食堂に行くともうオズマもドロシーもいました、オズマは五人ににこりと笑って挨拶をしました。
「おはよう」
「はい、おはようございます」
まずは挨拶からでした、その後でです。
五人は席に着きました、つぎはぎ娘とガラスの猫は食べる必要はありませんが食事の楽しい雰囲気を楽しむ為に皆と一緒に席に着きました。そうしてです。
皆で頂きますをしてから食べます、この朝のメニューはトーストにレタスとトマト、セロリにブロッコリーのサラダにとても大きなオムレツでした。飲みものは牛乳です。
そのオムレツを見てです、ドロシーが笑顔で言いました。
「今日のオムレツも素敵ね」
「そうよね」
オズマが応えました。
「とても美味しそうね」
「そうね、じゃあね」
「ええ、このオムレツも食べて」
「そしてね」
「トーストも食べて」
「今日も一日楽しく過ごしましょう」
「そうしましょう、それでね」
オズマからドロシーに言いました。
「今日はね」
「ええ、引き継ぎね」
「それをしましょう」
こうドロシーに言うのでした。
「私が旅に出るから」
「その間は私が留守を守るから」
「その間のことをお願いするから」
だからというのです。
「引き継ぎをしましょう」
「そうしましょうね」
「ええ、ただ貴女はよく私と一緒にいるから」
「何をすべきかはね」
「よくわかってるわよね」
「そのつもりよ、私もオズの国の王女だから」
「オズの国全体のことに詳しいし」
このことはドロシーがよく冒険の旅にも出ているからです、本当にオズの国のことはよく知っています。
「だからね」
「引き継ぎをするにも」
「短く済むかも知れないわね」
「その後はね」
「旅の準備だけれど」
「もうテーブル掛けとね」
広げればそこから食べたいものが幾らでも出るあの魔法のテーブル掛けとです。
「あとテントがあれば」
「もう充分だし」
それでというのです。
「すぐ終わるわね」
「それじゃあ後は政治をして」
「今日の分のね」
「それで終わりね」
「後は自由時間ね」
「そうなるわね、じゃあ今日の自由時間は」
何をするかとです、オズマはサラダを食べながらドロシーに応えました。お野菜がたっぷりと入っていてオニオンのドレッシングは胡椒も効いていてとても美味しいです。
「何をするかもね」
「今から考えるのね」
「そうしましょう、さて何をしようかしら」
「この娘達と一緒に」
ドロシーはナターシャ達五人を見つつオズマにお話しました。
「何をして遊ぶね」
「そうね、色々遊べるけれど」
「何をしても楽しいわね」
「色々あり過ぎて」
遊ぶそのことがです。
「困るわね」
「かえってね」
「こうした時はあれですね」
ナターシャは大きなお皿に一杯のそれこそオムライスみたいなオムレツを食べながらオズマ達に応えました。オムレツは中は挽肉が一杯入っていてそちらにも火がよく通っていてとても美味しいです。
「くじ引きかじゃんけんかコインか」
「そういうので決めるといいわね」
「そうすれば迷わないわね」
「日本だとあみだくじもありますよ」
ナターシャは恵梨香を見つつ彼女の祖国で今自分達がいるお国のこともお話しました。
「そちらも」
「あれもいいわね」
オズマも恵梨香に教えてもらってあみだくじは知っています。
「面白くね」
「決められますね」
「そうね、じゃあね」
「あみだくじにされますか?」
「今回はそうしようかしら」
何をして遊ぶのかをというのです。
「あみだくじをしてね」
「あみだくじ自体も楽しいし」
ドロシーも言ってきました。
「それじゃあね」
「ええ、そうしましょう」
こうしてです、引き継ぎと政治が終わった後はまずはあみだくじをしてそれで今日何をして遊ぶのかを決めることになりました。
そうしてまずは楽しく朝御飯を食べてでした、オズマはドロシーに自分がいない間何をするかお話しました。ナターシャ達はつぎはぎ娘そしてガラスの猫と一緒に王宮の中のお散歩を再開して皆で歩きました。
「魔法使いさん達の助言を聞きながら」
「オズの国の難しいことはね」
「考えてそうしてね」
「私がどうするかを決める」
「そうしてね、貴女の決断ならね」
それならともお話するオズマでした。
「問題はないわ」
「そうなの」
「貴女はしっかりした人だから」
オズマも他のオズの国の名士達もよく知っていることです、ドロシーがどういった女の子であるかということは。
「だから問題ないわ、それにね」
「魔法使いさん達の助言があるから」
「あの人達はとても頭がいいかね」
「知識があるか思いやりがあるから」
「だからね」
「間違ったことは言わないわね」
「ええ、だからね」
それでというのです。
「いい助言があって貴女も人のお話を聞く人だから」
「それで決断するから」
「間違いはないわ、あと書類へのサインはね」
「それはなのね」
「もう貴女の名前を書いていいわ」
ドロシーのそのお名前をというのです。
「ドロシー=ゲイルとね」
「貴女の名前でなくていいのね」
「だって貴女もオズの国の王女だから」
それ故にというのです。
「私がいない時は代理でね」
「これまでもそうだったし」
「そうよ、サインしていた時と同じで」
「サインをすればいいのね」
「そうよ、これまで通りね」
「わかったわ、それじゃあね」
「サインもお願いね」
書類へのそれもというのです。
「貴女のお名前で」
「そうさせてもらうわ」
「それじゃあね」
「それで誰かが来たら」
この場合のことはドロシーからお話しました。
「その時はね」
「私はオズの国の王女として」
「私の代理ということでね」
「お会いしておもてなしすればね」
「いいのね」
「このこともこれまで通りね」
ドロシーが留守を守っていたこれまでの時の様にというのです。
「そうしてね」
「わかったわ」
「じゃあね」
「ええ、これで引き継ぎはね」
「終わりよ」
「今回もすぐに終わったわね」
「ドロシーがよくわかっているからよ」
留守を守っている間何をすべきかということをです。
「だからね」
「オズマがお話することもなのね」
「あまりないから」
それでというのです。
「いつもすぐに終わるのよ」
「それで今回もね」
「こうしてすぐに終わったのよ、じゃあね」
「ええ、貴女達が帰った時は」
「再会の時を楽しみましょう」
「そうしましょう」
二人でお話します、そしてでした。
オズマはこの後は政治をしてです、すぐに旅支度も整えてでした。ドロシーと一緒にあみだくじを作って。
あみだくじで今日は何をして遊ぶのかを決めました、それで決まった遊びは一体何かといいますと。
「スケートになったわね」
「そうね」
「じゃあね」
「ええ、今日は皆でね」
「王宮にアイススケート場に入って」
そしてというのでした。
「アイススケートを楽しみましょう」
「そうしましょう」
二人でお話をしてです、皆でお昼を食べている時にナターシャ達にお話しました。
「今日はアイススケートをしましょう」
「えっ、アイススケートですか?」
「今日はそれをするんですか」
「そうなんですね」
ジョージ、神宝、カルロスの男の子三人はオズマの言葉に少し驚きました。今日のお昼はスパゲティカルボナーラとトマトと鶏肉のパエリアそして野菜ジュースです。
「それはまた」
「意外っていうか」
「それになるとは思いませんでした」
「あみだくじで決まったの」
オズマは男の子三人に笑顔でお話しました。
「それでなのよ」
「だからですか」
「あみだくじでアイススケートになって」
「それでなんですね」
「そうよ、出来ないなら見ているだけでいいし」
そうしても楽しめるというのです。
「それでいいかしら」
「はい、それじゃあ」
「アイススケートをしましょう」
「少し意外ですけれど」
男の子三人は反対はしませんでした、ですが。
あえてです、こうオズマに言うのでした。
「アイススケートナターシャが凄いんですよ」
「僕達五人の中で一番上手なんです」
「もうダントツなんです」
「だってロシアって何時でも何処でも出来るし」
そのナターシャも言います。
「バレエもあるし」
「だからなのね」
「そうなの、私も三つの時からしていてね」
ナターシャは恵梨香に答えました。
「それでなの」
「アイス得意なのね」
「もう滑れる時はね」
それこそお池や川に氷が張ればというのです。
「いつも滑ってきたから」
「ロシアにいた時は」
「そう考えるとね」
「慣れてるのね」
「日曜に朝から夕方まで滑っていた時もあるわ」
「それは凄いわね」
「そう思うとね」
それこそとです、ナターシャは恵梨香にお話しました。
「やってる時間が長くて」
「上手なのね」
「そうなるかしら」
「僕達ローラスケートはよくするけれど」
「あとスケボーとかもね」
「けれどアイスの方はね」
どうしてもと言う男の子三人でした。
「ナターシャ程凄くないから」
「もうナターシャは別格?」
「一緒に滑るのが恥ずかしい位腕前が違うからね」
「そんなの気にすることないわよ」
ガラスの猫は男の子達にはっきりと言い切りました。
「自分は自分でしょ」
「あっ、だからなんだ」
「ガラスの猫がいつも言ってるけれど」
「こうしたことでもなんだ」
「他の子が上手で自分が下手でもそれをしないならね」
そう思うならというのです。
「楽しめばいいのよ」
「それだけなんだ」
「自分が好きでするのが楽しいなら」
「すればいいんだ」
「そうよ、そうすればいいのよ」
こう三人に言うのでした。
「それで自分が楽しんで上手になればいいでしょ」
「それもそうだね」
「じゃあナターシャはナターシャで」
「僕達は僕達で楽しめばいいんだね」
「そういうことよ、あたしも楽しむし」
アイススケートをというのです。
「猫用のそれもあたし専用のね」
「あのガラスのスケート靴を履くのね」
「そうして遊ぶわよ」
こうドロシーに答えました。
「そうするわ」
「そうよね」
「今から楽しみよ、あたしもスケート得意だしね」
「貴女身のこなしが軽やかだからね」
「猫だからね」
それ故にというのです。
「ナターシャがどれだけ凄いか知らないけれど」
「貴女が一番なのね」
「そうに決まってるわ」
ガラスの猫は豪語しました、そしてです。
お昼御飯の後で皆で王宮のアイススケート場に行ってそこで滑りはじめました。するとやっぱりナターシャは凄い上手です。ですがガラスの猫もです。
二本の後ろ足で見事に滑っています、チクタクはそのガラスの猫を見て言いました。
「確かにーーですーーね」
「上手でしょ、あたし」
「はいーー軽やかーーです」
「この通りなのよ」
「アイススケートはーーですーーね」
「あたし大得意なのよ」
軽やかにフィギュアスケート選手みたいに滑りつつ言うのでした。
「この通りね」
「猫だからーーこそ」
「猫がスケート出来たら」
今のガラスの猫みたいにです。
「この通りよ」
「お見事ーーなのーーですーーね」
「そういうことよ」
「確かに私も自信があるけれど」
ナターシャもこう言うのでした。
「貴女には負けるわね」
「そうでしょ」
「ええ、だから貴女みたいに上手になる為に」
微笑んで言うナターシャでした。
「もっと滑るわ」
「あら、あたしに勝とうっていうの」
「そうしてみせるわ」
「あたしには勝てないわよ」
まるで女王様みたいに言うガラスの猫でした。
「このガラスの身体の奇麗さもあってね」
「そこでそう言うの?」
「言うわよ、何といってもあたしの自慢だから」
それ故にというのです。
「ここでも言うわよ」
「そうなのね」
「それでよ」
さらに言うガラスの猫でした。
「あたしは疲れることもないから」
「何時までも滑っていられるのね」
「どんな激しく滑ってもね」
例えそうしてもというのです。
「平気なのよ」
「そこは私は無理ね」
「ガラスの身体あってこそよ」
「そうそう、ガラスの身体もそうでね」
ここでつぎはぎ娘が言ってきました。
「あたしもなのよ」
「あら、あんたはどうなの?」
「こうよ」
つぎはぎ娘も滑りました、するとです。
物凄い動きでした、軽やかに高々と跳んで。
何回転もしてトリッキーに動きます、ですがナターシャ達は驚かずにこう言いました。
「ぬいぐるみだから」
「身体がね」
「だからだね」
「ああして軽やかに動ける」
「そういうことね」
「そうなの、つぎはぎ娘はね」
まさにとです、オズマがお話しました。
「木綿の生地のお肌で中身は綿でしょ」
「だからですよね」
「動きにしても」
「凄く軽やかで」
「ああした風にですね」
「自由自在に動けるんですね」
「そうよ、こけそうになっても」
例えそうなってもです。
「すぐにバランスを戻せるから」
「それでかえってですね」
ナターシャがオズマに応えました。
「トリッキーな動きになるんですね」
「バランスを戻してね」
身体のそれをです。
「そうしてね」
「跳ねたり飛んだりの感じになって」
「いいのよ」
「そうそう、もう身体のバランスを戻すこともね」
まさにとです、つぎはぎ娘自身も言います。本当に物凄く軽やかに動いていてまるでお空を飛んでいるみたいです。
「あたしは楽だから」
「それでなのね」
「こうした動きが出来るのよ」
「やるじゃない」
ガラスの猫もつぎはぎ娘を見て言います。
「あんたもね」
「あら、そう言うの」
「ええ、あたしも凄いけれどね」
「あんたもなの」
「そうよ、まああたし程じゃないわね」
「あたしはあんた以上と思ってるけれど」
「あんたはね、けれどあたしはね」
ガラスの猫の考えではです。
「そう考えているのよ」
「そうなの」
「そうよ、あんたが凄くてもね」
「あんたが一番なのね」
「それが絶対よ」
まさにというのです。
「だからこのままね」
「遊ぶのね」
「そうするわ、じゃあね」
さらにお話するガラスの猫でした。
「もっともっと遊びましょう」
「スケートをね」
「そうよ、そして気分のいいままね」
「明日からはね」
「旅に出ましょう」
是非にというのでした。
「そうしましょう」
「それじゃあね、ただね」
「ただ?」
「いや、あんたって本当に誰も羨まないのね」
「今もね」
スケートの時もつぎはぎ娘が素晴らしい滑りを見せてもです。
「そうよ」
「そうよね」
「ええ、しかもね」
「しかも?」
「あたしは充分楽しんでるから」
つぎはぎ娘を羨むこともなくというのです。
「それで満足よ」
「成程ね」
「何も問題はないわ」
「それじゃあね」
頷いて応えたつぎはぎ娘でした、そのうえで。
皆でスケートを日が暮れるまで楽しみました、それが終わってから晩御飯ですが今日の晩御飯はハンバーグが出ていまして。
そのハンバーグを食べてです、オズマは笑顔で言いました。ハンバーグまでに生ハムと生野菜のオードブルにホワイトシチュー、カルパッチョが出てです。
ハンバーグでした、オズマはそのハンバーグを食べつつ言うのでした。
「このハンバーグは上に目玉焼きが乗せられているけれど」
「これがね」
「ええ、凄くいいのよね」
ドロシーに笑顔で応えます。
「本当にね」
「そうよね」
「ハンバーグと目玉焼きの組み合わせはね」
「最高の組み合わせの一つよね」
「チーズも合うけれど」
それと共にです。
「目玉焼きもなのよね」
「そうなのよね」
「この組み合わせを食べると」
「オズマは幸せな気持ちになるのよね」
「そうよ、これも美味しいから」
それでというのです。
「私大好きよ」
「私もよ」
ドロシーも笑顔で応えます。
「上に目玉焼きを乗せたハンバーグはね」
「大好きよね」
「とても美味しい組み合わせだから」
それでというのです。
「大好きよ」
「しかもこのハンバーグ美味しいですよ」
「とても大きいですし」
「焼き加減も凄くよくて」
「中のお肉と人参、玉葱もバランスがいいですし」
「肉汁も多くて」
「そうでしょ、王宮のシェフの得意料理の一つでね」
ドロシーは五人ににこりと笑って言いました。
「皆大好きなのよ、じゃあね」
「はい、このハンバーグをですね」
「今夜は楽しんで」
「そしてですね」
「明日はいよいよですね」
「出発ですね」
「そうなるわ、あと今夜のデザートはね」
そちらのお話はオズマがしました。
「メロンよ」
「あっ、メロンですか」
「それも楽しみです」
「ハンバーグの後はメロン」
「それも食べてですね」
「お腹一杯になって」
「お風呂に入って寝ましょう」
是非にと言ってです、オズマは皆と一緒にハンバーグもその後のメロンも食べてでした。お風呂にも入って明日からのことを楽しみにしつつベッドでぐっすりと寝ました。
早速、出発かと思いきや。
美姫 「今回はすぐに出発とはならなかったわね」
だな。遊んで食べてと楽しんで。
美姫 「良いわね〜。本当に楽しそう」
次回はいよいよ旅立ちかな。
美姫 「どうなるかしらね」
次回も待っています。
美姫 「待っていますね〜」