『オズのトロット』
楽しい日本人街
トロット達はイッソスのイクシー女王と笑顔でお別れしてです、そのうえで遂にエメラルドの都への帰路につきました。
皆で南に進んでギリキンの国に入りました、そうしてギリキンの国でも南に進んでいると。
道の標識を見てです、トロットは言いました。
「あら、近くに日本人街があるわね」
「そうだね」
キャプテンもその標識を見て言いました。
「この道ははじめて通るから知らなかったよ」
「ええ、けれどね」
「日本人街があるならね」
「行ってみようか」
「皆はどう思うかしら」
ここで他の皆に尋ねたトロットでした。
「日本人街に行ってみたい?」
「お願いします」
最初に応えたのは日本人の恵梨香でした。
「オズの国の中の日本も見てみたいです」
「私もです」
次にナターシャがトロットに答えました。
「宜しくお願いします」
「僕も行きたいです」
神宝もトロットに申し出ます。
「オズの国の日本人街がどんなのか興味があります」
「行きましょう、絶対に」
ジョージの考えも決まっていました。
「それで見てみましょう」
「一体どんな街なのか楽しみです」
カルロスもかなり乗り気です。
「オズの国の中の日本がどんなのか」
「うん、僕も行ってみたいね」
「私もだよ」
モジャボロと教授も賛成でした。
「オズの国の日本人街にはここ暫く入ってなかったしね」
「行って見てみたいよ」
「だから是非ね」
「ここは行ってみよう」
「よし、それじゃあね」
皆の意見を聞いて笑顔で頷いたトロットでした、言うまでもなくトロット自身の考えは決まっていました。
そうして皆で標識の方に行ってみました、すると暫く歩いてです。ある大きな街に着いたのですがその街はです。
川と橋がとても多くてです、何階建てもあるビルがその川を挟んで沢山並んでいてその周りには賑やかな感じの家々が立ち並んでいます。
ビル街の中はとても変わっていました。赤と白の縦縞の服と三角帽を被ったおじさんや大きな蟹、河豚のお人形がそれぞれのお店に飾られていてです。
頑固そうな寿司商人のおじさんのお顔が描かれた看板があったりお笑い芸人の舞台があって色々な食べもののお店があります。その食べのお店を見てカルロス達五人はびっくりしました。
「お好み焼きにたこ焼きのお店があって」
「串カツのお店もあるね」
「豚骨のラーメンの屋台にきつねうどん」
「それと最初から御飯とルーを混ぜてあるカレーね」
「二つ一緒に出す善哉に御飯の中に鰻がある鰻丼ね」
「何か凄い不思議な街ね」
トロットも街の中を見て驚いています、人が凄く多くてその人達が常に賑やかな感じでお喋りをしています。
「この日本人街は」
「ここが大阪です」
カルロスはその先生に答ました。
「まさに」
「そうなの」
「はい、大阪です」
こう言うのでした。
「この街は」
「この街が大阪なのね」
「川も橋も多いですし」
「ええ、凄く多いわね」
川の左右はちゃんとコンクリートで整えられています。
「実際に」
「これも大阪なんです」
「大阪は川が多いの」
「そして橋も」
「こんな感じで」
「凄く多いんです、もう街のあちこちにあります」
「そうなのね」
「それでお家はです」
そちらはどうかといいますと。
「色々入り組んだ感じなんです」
「他の街みたいに碁盤みたいな道でそれぞれの街で決まった形や色の街ではないのね」
「元々日本人街ってそうだと思いますけれど」
「ええ、その中でもなのね」
「大阪の街はごちゃごちゃしています」
住宅地はというのです。
「こうして」
「そうなんですね」
「はい、そして」
さらにお話するカルロスでした。
「食べものが美味しくて」
「色々な食べものがあるわね」
「たこ焼きとかお好み焼きとか」
「豚饅もあるわね」
トロットは中華料理のお店を見ました。
「餃子も有名なお店なのね」
「はい、そこはそうです」
「このお店でも美味しいものを食べられそうね」
「あそこの豚饅も他のお料理も美味しいですよ」
「そうなのね」
「アイスキャンデーも美味しそうだね」
キャプテンはそのお店を見ています。
「何か色々あってね」
「どれを食べていいか迷うわね」
「じゃあここはね」
キャプテンはトロットに提案しました、その提案はといいますと。
「全部食べよう」
「この街の名物をなのね」
「そう、全部食べよう」
そうしようというのです。
「是非ね」
「御飯とルーを混ぜたカレーも屋台の豚骨ラーメンもなのね」
「全部ね」
まさにというのです。
「そうしたらどうかな」
「そうね、何かもうどれかにするとね」
「後悔するよ」
そうなるからというのです。
「だからね」
「ここは全部食べるのね」
「そうしよう、あとお笑いもね」
そちらも忘れていないキャプテンでした。
「観ようね」
「そうね、笑うのもいいことだから」
「ここは観よう」
そのお笑いをもというのです。
「是非ね」
「じゃあ食べてお笑いも観てね」
そしてというのです。
「楽しみましょう」
「じゃあね、しかしお笑いの劇場はね」
「あそこも凄いわね」
「入口から面白そうだったね」
「ええ、そこでお笑いを観つつ」
「食べていこう」
「大阪の名物を全部ね」
こうしたことをお話してです、皆で一緒に街の名物を食べていきました。もう近くにあるお店に皆に入ってです。
名物を一つ一つ食べていきます、その中で河豚鍋と河豚のお刺身を食べてびっくりしたのは教授でした。
「河豚は食べたことがあってもね」
「それでもなのね」
「ここの河豚は物凄く美味しいね」
「そうね、お刺身も鍋もね」
皆でお箸を使って河豚のお刺身も鍋も食べながらお話をします、その他には唐揚げもあってそちらも楽しんでいます。
「最高に美味しいわ」
「そうだね、こんな美味しい河豚ははじめてだよ」
「これが大阪の河豚なのね」
「看板も面白いしね」
「あの大きな河豚の模型がね」
とてもというのです。
「愛嬌もあってね」
「よかったわ」
「さっき蟹のお店に入ったけれどね」
「あそこの看板もよかったわね」
トロットは笑顔で言いました。
「大きな動く蟹のね」
「うん、あの看板もいいね」
「面白いわよね」
「蟹も美味しかったしね」
「楽しめたね、あそこも」
「そうよね、あと食べるものが多くてね」
「蟹と河豚を食べてね」
「今はお腹一杯だよ」
「じゃあ河豚を食べたらね」
その後はといいますと。
「お笑いの劇場に行きましょう」
「そうしようね」
「それと食べたいものがあまりにも多くて」
少し苦笑いになって言ったトロットでした。
「一食や二食じゃ食べきれないから」
「ここに何日もいるかしら」
「そうなるね」
実際にと答えた教授でした。
「これは」
「それもいいね。オズマ姫には連絡しておいて」
モジャボロが言いました。
「ここにいるから帰るのが遅くなるってね」
「そうしてよね」
「ここに何日か留まってね」
「何日か食べていきましょう」
「そうしようね」
「それはいいですね」
カルロスもそう聞いて笑顔でお話に入りました。
「それじゃあ今夜も明日もですね」
「ええ、皆で食べましょう」
是非にというのでした、トロットも。
「この街の名物もね」
「本当にオズの国に大阪があるなんて」
「驚いたわよね」
「お話した時はまさかと思っていました」
カルロスにしてもです。
「けれど本当にあって」
「しかも美味しい食べものもね」
「全部あるんですから」
それでというのです。
「凄く嬉しいです」
「そうよね、ただ大阪ってね」
河豚鍋の中の河豚を食べつつ言うトロットでした。
「他の日本人の街より入り組んで賑やかね」
「そうですよね」
「ええ、そう思ったけれどね」
「実際にこんな感じなんですよ」
「お家も道も」
「整然とはしていないです」
「それで人も賑やかなのね」
人のお話もするトロットでした。
「いつもお喋りして笑って」
「そうなんです」
「あとお城もね」
そちらもお話もするトロットでした。
「あるしね」
「大阪城ですね」
「高い天守閣ね、青緑の瓦で」
「あれ何でもですね」
大阪城の天守閣についてです、カルロスはトロットにお話しました。
「黒い壁と金色の瓦だったそうよ」
「あら、とても目立ちそうね」
「そうだったらしいんですよ」
「それは初耳ね」
「そうですよね」
「大きな神社もあるしね」
「あれは住吉大社ですね」
神社のことも答えたカルロスでした。
「あそこには凄いアーチになった木製の橋があるんですよ」
「じゃあその橋にも行ってみたいですね」
「そうですよね」
「ええ、じゃあね」
「その神社にも行ってみます?」
「大阪城にもね」
こちらのことも忘れないトロットでした。
「そうしましょう」
「何か本当に何日もかかってですね」
「この街を楽しむことになりそうね」
「そうですよね」
「何かね」
さらに言うトロットでした。
「この街にいると楽しいことばかりね」
「オズの国の中でも」
「そう思ったわ」
「実際に大阪は楽しい場所でして」
「こうしてなのね」
「美味しいものにお笑いに」
それにというのです。
「大阪城と住吉さんもありますよ」
「そうなのね」
トロットはカルロスの言葉に笑顔で応えました、そしてです。
皆で河豚を食べた後でお笑いの劇場に行ってそれからです、晩御飯にお好み焼きやたこ焼きを食べに行くところで。
ふとです、トロット達は高い鉄筋の塔の前に来ました。そしてそこにあるお猿さんに似たお顔の金色の像を見てでした。トロットは首を傾げさせました。
「この塔と像は何かしら」
「通天閣とビリケンさんですね」
「ビリケンさん?」
「幸運の神様なんですよ、大阪の」
「幸運のなの」
「足の裏を?くとですね」
見れば足の裏を出して座っています。
「ご利益があるって言われています」
「それじゃあ私達も足の裏を掻くと」
「何かいいことがあるかも知れないですね」
「じゃあ掻いてみるわね」
早速です、トロットはビリケンさんの足の裏を掻いてみました。そうしてからカルロス達に言いました。
「これで何かいいことがあればね」
「嬉しいですよね」
「ええ、それならね」
カルロスに笑顔で応えました。
「本当に」
「そうですよね」
「そう、そしてね」
「そして?」
「これで何かあれば」
その時はといいますと。
「ビリケンさんに感謝しましょう」
「それじゃあね」
「しかしこの像はあれだね」
キャプテンはビリケンさんを観つつ思いました。
「タフト大統領に似てるね」
「そういえばそうね」
トロットも言われて思いました。
「よく見れば」
「それでいてアジア系の顔立ちだね」
「あと座り方はアフリカ系ね」
「そんな風だね」
「不思議な像ね」
「この上にもありますよ」
カルロスは二人に通天閣を指差してさらにお話しました。
「ビリケンさんの像は」
「あら、そうなの」
「塔の中に入ってみますか?」
「それじゃあね」
そう聞いてでした、トロットも好奇心をくすぐられてです。
皆で通天閣の中にも入ってそこの五階のビリケンさんの像も見てです、トロットはそのビリケンさんの足の裏も掻きました。そうしてからたこ焼きとお好み焼きを食べたのですがその両方についてです。
モジャボロはビールを飲みつつ満面の笑顔で言いました。
「こんな美味しいたこ焼きとお好み焼きがあるなんて」
「信じられないわよね」
「最高の美味しさだよ」
トロットにも言います。
「おソースと鰹節、マヨネーズの味も合わさってね」
「本当にそうよね」
「これはいいものだよ」
心から言うモジャボロでした。
「どちらもね」
「たこ焼きがね」
トロットは舟の上にあるたこ焼きを爪楊枝で食べつつ言いました、食べながらその熱さに思わずはふはふとなっています。
「形も可愛くて」
「それでいて美味しい」
「中のたこもね」
「いい感じだよね」
「塩味も利いていておソースもね」
「いいね、幾らでも食べられそうだよ」
「お好み焼きと一緒にね」
「これもいいよ」
焼きそばもあります、キャプテンは今そちらを食べています。
「濃厚な味でね」
「大阪は焼きそばも名物なのね」
「そうみたいだね、こっちもね」
「素敵な美味しさね」
「だからトロット達も食べてみるといいよ」
「それじゃあ次はね」
トロットはキャプテンに約束しました。
「そちらを食べるわね」
「そうするんだね」
「絶対にね」
笑顔で約束してでした、そのうえで。
トロットは実際に焼きそばも食べてみました、おソースで黒くなっていて上に鰹節や紅生姜、青海苔をかけたそれの味はといいますと。
やっぱり素敵で、です。トロットはにこりと笑って言いました。
「お昼もお腹一杯食べたけれど」
「夜もだね」
「お腹一杯食べそうよ」
「うん、どうも大阪にいるとね」
「お腹一杯ね」
「食べてしまうみたいだね」
「美味しいものが多過ぎて」
そのせいでというのです。
「そうなりそうね」
「恐ろしい街だね」
「そう考えるとね、しかもこれだけ食べても」
「まだまだ名物があるから」
「本当に恐ろしい街よ」
「こんな街が外の世界には本当にあるんだね」
「日本には」
カルロス達が今いるその国にというのです。
「そうなのね」
「そしてその大阪もね」
「こうしてオズの国にあるのね」
「そうなったんだね」
「そのことが嬉しいわね」
「そうだね、本当に」
「じゃあ明日もね」
まさにと言うトロットでした。
「大阪を楽しみましょう」
「皆でね」
「それで晩御飯の後はね」
それからのこともお話するトロットでした。
「ホテルに泊まるけれど」
「どのホテルですか?」
「この近くにあるホテルの一つだけれど」
「日本の旅館みたいな感じでしょうか」
「いえ、そうしたホテルじゃなくてね」
こうカルロスにお話します。
「西洋風の現代のホテルよ」
「そちらのホテルですか」
「何かそうした旅館はね」
「大阪にはないんでしょうか」
「そのせいと思うけれど」
「旅館じゃなくて」
「ホテルに泊まるわ」
今夜はというのです。
「ただその前にとても素敵なお風呂屋さんも見付けたから」
「お風呂はですね」
「そこに入りましょう、サウナもあるわよ」
「そういえば日本はサウナも多いね」
モジャボロがにこにことしてお風呂のお話に入ってきました。
「温泉の文化があってね」
「そうよね、日本人街に入るとね」
「そこも素敵だよね」
「本当にね」
「じゃあ今夜はだね」
「お風呂、サウナにも入って」
「身体も奇麗にして」
そしてと言うモジャボロでした。
「すっきりとして」
「寝ましょう」
そうして休もうというのです。
「そちらも楽しんで」
「いいね、それもまた」
「ええ、あとね」
「あと?」
「今思ったけれど」
トロットに素晴らしい考えが出たのです、その素晴らしい考えは一体どういったものかといいますと。
「オズマもドロシーも他の皆も呼ばない?」
「この街にだね」
「そしてドウ一世もイッソスの女王もね」
「勿論他の人達もだね」
「そう、バド一世とフラフ王女とメリーランドの女王もね」
この人達もというのです。
「そうしましょう」
「それはいいことだね、それじゃあね」
「すぐにオズマ達に連絡するわね」
こうしてです、トロットは携帯を出してまずオズマに尋ねました。するとオズマは電話の向こうからトロットに笑顔で言ってきました。
「ギリキンの北の日本人街ね」
「オズマは知ってるのね」
「私はこの国の国家元首だから」
だからというのです。
「そこには行ったことがないけれど」
「鏡で見ていて」
「それでね」
あのオズの国の何処でも見られる鏡の力でというのです。
「貴女達が今いる街のことも知ってたわ」
「そうなのね」
「ええ、けれどまだ行ったことはなかったの」
「それじゃあ」
「今日はもう遅いからね」
「明日なのね」
「明日のうちに数日分のお仕事を終わらせるから」
そのうえでというのです。
「そちらに行かせてもらうわ」
「それじゃあね」
「実は丁度ドロシー達も戻ってきてたの」
「あら、そうなの」
「今王宮にオズの国の名士が揃ってるわよ」
そうなっているというのです。
「かかしさんに樵さん、ジャックにつぎはぎ娘にね」
「臆病ライオンに腹ペコタイガーも」
「そうよ、魔法使いさんもビリーナもガラスの猫もエリカもいるわよ」
まさにオズの名士達が勢揃いです。
「グリンダとカエルマンはそれぞれの場所にいるけれど」
「その人達はなのね」
「残念ながら今は都にいないけれど」
「かなりの人が揃ってるわね」
「あっ、今ベッツィとハンクと木挽きの馬が戻ったわ」
この人達もというのです。
「それじゃあね」
「ええ、明日になのね」
「そちらに行かせてもらうわ」
「魔法でここに来るのかしら」
「列車で行くつもりよ」
そちらでというのです。
「オズの国のね」
「あれでなのね」
「だから待っていてね」
「それで今回訪問した国の人達もお呼びしたいけれど」
「それはいいことね、それじゃあね」
「ええ、皆もね」
「呼んでね」
そしてというのです。
「皆で大阪を楽しみましょう」
「そうしましょう」
こうしてです、オズマと今回訪問した国々の皆もこの街に呼ぶことになりました。そうしてなのでした。
トロット達はこの日はお風呂にも入ってじっくりと休んでです。次の日も朝から楽しんだのですが皆がお昼御飯の御飯とルーが最初から混ぜられているカレーや濃厚な豚骨ラーメンでお昼を食べた後にです。
お空から蒸気機関車が何台もの車両を引っ張ってやってきました、カルロスはその列車を見て思わず言いました。
「うわ、アニメみたいな光景だね」
「日本のアニメみたいだね」
ジョージはその列車を見てこう言いました。
「これは」
「線路を使わずお空を飛んで進むなんてね」
神宝が言うにはです。
「流石オズの国だね」
「オズの国の列車はああなのね」
ナターシャは何処か納得している感じです。
「お空を飛んで来るのね」
「夜に走ったら銀河鉄道ね」
こう言ったのは恵梨香です。
「こんな素敵なものはないわ」
「そうよ、オズの国の列車はお空も海の上も中も進めるのよ」
トロットが驚く五人にお話しました。
「ああしてね」
「そうなんですね」
「そうよ、そしてあの中にね」
「オズマ姫やドロシーさん達がですね」
「乗ってるわよ、じゃあオズマ達ともね」
「オズの国の中にある大阪をですね」
「楽しみましょう」
「わかりました」
カルロスが笑顔で頷きました、そしてです。
列車は皆が今いる場所、住吉大社の前に停まってです。そうしてでした。
そこからオズマとオズの国の名士達が揃って出てきました、まずはドロシーがトトを抱いたまま街の中を見回して言いました。
「日本のお家が一杯あるけれど」
「他の日本人街とは違う感じがするわね」
「何かね」
こうオズマに答えるドロシーでした。
「人の匂いが強いっていうか」
「人情というかね」
「そんな感じが強いわね」
「そうよね」
「これが大阪なのね」
「ええ、私も鏡では見て知っていたけれど」
「実際に中に入ると」
「肌で感じるわ」
大阪のその色をというのです。
「はっきりとね」
「凄く親しみやすい街ね」
「そうよね、ほら見て」
ここでオズマは街を行く人達を見てドロシーに言いました。
「皆賑やかにお話してるわね」
「そうよね」
「ええ、あとキャップ棒だけれど」
オズマは街を行き来する人達の中から一人の男の子を見付けてドロシーにこうも言いました。
「あの白と黒の縦縞の」
「前にティーとエイチが合わさったマークがあるわね」
「あれはこの街で人気がある野球チームの帽子なの」
「あら、そうなの」
「阪神タイガースっていうのよ」
「あっ、この世界にも阪神あるんですか」
「ええ、あるわよ」
オズマはカルロスににこりと笑って答えました。
「それぞれの日本人街に野球チームがあってね」
「この街の野球チームはですか」
「そう、阪神なのよ」
「そうですか、この世界にも阪神があるんですね」
「それで凄く人気があるのよ」
「この街ではですね」
「日本人街全体でファンの人が多いわよ」
阪神はそうだというのです。
「そしてね」
「この街では特にですね」
「阪神は人気があるのよ、他にはドラゴンズ、カープ、スワローズ、ベイスターズ、ホークス、ライオンズ、バファローズ、ブレーブス、イーグルス、ファイターズ、マリーンズってあるの」
「大体外の世界の日本と同じですね」
「チームがない街もあるけれどね」
「それでもですね」
「日本人街のチームもあるのよ。サッカーのチームもあるし」
「サッカーもあるんですね」
「ええ、ここだとガンバ大阪とかね」
この日本人街のサッカーのチームのお話もするオズマでした。
「カルロスもよかったら観戦してね」
「そうさせてもらいます」
「あとね」
さらにお話するオズマでした。
「もうすぐしたらドウ一世達も来るわよ」
「この街にですね」
「あの人達も列車で来るわよ」
オズの国のそれでというのです。
「だから楽しみにしておいてね」
「それじゃあ」
「ノーム王も来てくれるっていうし」
「あの人もですか」
「そうよ、皆が来てくれるからね」
だからだというのです。
「楽しみにしておいてね」
「わかりました」
笑顔で応えたカルロスでした、そして皆で住吉大社の中を歩いていますとそこにドウ一世とチック、ブルーインが来てです。
メリーランドの女王とキャンディマンが来てバド王とフラフ王女、イクシー女王も来てくれてでした。最後にノームのカリフ王も来ました。教授は勢揃いした彼等と再会出来て他の皆と一緒に喜びました。
「いや、嬉しい再会だよ」
「ははは、そう言ってくれるんだ」
「また会えると思っていたけれどね」
こうノーム王に答えるのでした。
「それでもね」
「こんなに早い再会はだね」
「思わなかったしこんなに楽しい場所での再会だからね」
それでというのです。
「本当に嬉しいよ」
「そうなんだね」
「では今からね」
「皆を大阪を楽しもうか」
「そうしよう」
こうお話してです、皆で今度は野球場に行きました。そこでは丁度タイガースがマリーンズと試合をしていましたが。
一塁側で観戦しつつです、ドロシーはマウンドにいる阪神のピッチャーの人を見てこんなことを言いました。
「あの村山って人の投げ方凄いわね」
「もう全力で投げているわね」
メリーランドの女王がドロシーに応えました。
「身体全体を使って」
「一球一球に全力を込めていて」
「凄い投げ方ね」
「本当にね」
「彼は外の世界でもああして投げていたらしいね」
教授が二人にお話しました。
「ザトペック投法といって一切手を抜かないね」
「一球一球全力でなのね」
「投げるピッチングなのね」
「そうなんだ、外の世界でもその野球への情熱が凄くてね」
「ああしてなのね」
「投げ続けていたのね」
「そしてオズの国でもだよ」
この世界に来てもというのです。
「全力で投げているんだ」
「そんな凄い人までオズの国に来てくれてるなんて」
「素敵よね」
「全くだね、あとね」
今度はモジャボロが言いました。
「応援が凄いね、どっちも」
「阪神もマリーンズもですね」
「うん、どちらもね」
阪神も凄いですが三塁側のマリーンズも凄い、モジャボロはカルロスに言いました。
「かなり熱いね」
「阪神は外の世界でもこうした応援でして」
「マリーンズもだね」
「そうなんです、あと外の世界ではこの二チーム因縁がありまして」
「因縁?」
「三十三対四っていいますか」
「何かありそうだね」
モジャボロもそのことは感じ取りました。
「只の数字のことではないね」
「これ言うと阪神ファンの人はすぐに言い返すんです」
「阪神ファンにとってはいい思い出じゃないんだ」
「そうなんです」
「詳しいことは聞かないけれど」
「阪神タイガースと千葉ロッテマリーンズは因縁があるんです
「その因縁がオズの国にも影響しているんだね」
モジャボロは応援だけでなく試合も観つつ言いました。
「それでお互いに応援合戦もしてるんだね」
「そうだと思います」
「成程ね」
「何か熱気が凄くてね」
キャンディマンが笑って言ってきました。
「油断しているとね」
「溶けますか?」
「いやいや、粉砂糖をかけるのを忘れてしまいそうだよ」
こうカルロスに答えました。
「オズの国だから溶けることはないよ」
「キャンディでもですね」
「けれどそれでもね」
「あまりにも熱気が凄くてね」
「その熱気に飲まれて」
「応援に夢中になってね」
そうしてというのです。
「粉砂糖をかけるのを忘れてしまいそうだよ」
「そこまで凄いっていうんですね」
「あの村山ってピッチャーも凄いしね」
「もう全部のピッチングに必死だね」
チックも見てびっくりしています。
「命を込めているみたいだよ」
「うん、それだけ野球に必死ということだね」
ドウ一世がチックに応えて言いました。
「君が遊びに必死なのと同じだけに」
「そうなるね」
「うん、そしてね」
「そして?」
「この試合を最後まで見終わったら」
その時のこともお話するドウ一世でした。
「私とブルーイン、メリーランドの女王は食べないけれどね」
「それでもだね」
「皆は食べる時間だね」
「夜だね」
「そう、その時間になるね」
こう言うのでした。
「その時に」
「僕も食べないよ」
「あたしもよ」
「僕もね」
ジャックとつぎはぎ娘、木挽きの馬もでした。
「食べることはしないよ」
「皆が食べる笑顔を見るわね」
「そうさせてもらうよ」
「私もーーです」
チクタクもいます。
「食べないーーです」
「そして私もだね」
「僕もね」
かかしと樵もでした。
「食べないね」
「笑顔を見て楽しむね」
「こうしてみますと」
カルロスは皆のお話を聞いて言うのでした、その言うことはといいますと。
「オズの国は食べる必要がない人も多いですね」
「僕には想像も出来ないことだよ」
食いしん坊の腹ペコタイガーの言葉です。
「今から大阪の名物を食べたくて仕方がないのにね」
「そうだよね、君は特にね」
「食べることがないなんてね」
それこそというのです。
「どうして生きたらいいか」
「わからないね」
「本当にね」
それこそというのです。
「楽しみのどれだけがなくなるか」
「そして今からだね」
「何を食べようかって考えているんだ」
大阪名物をというのです。
「必死にね」
「大阪城に行ってね」
オズマがここでお話しました。
「もう大阪の名物を集めてね」
「そしてなんだ」
「腹ペコタイガーには全部食べてもらうわよ」
「うわ、それは素敵だね」
腹ペコタイガーはそのお話に笑顔になりました。
「じゃあ楽しみにしてるね」
「是非ね」
「食べてそして」
そのうえでと言う腹ペコタイガーでした。
「その後は」
「天守閣に登るわよ」
「大阪城の」
「皆でそうするわね」
「それもいいね、それに実はね」
「実は?」
「虎だからね」
だからとも言う原ペコタイガーでした。
「僕阪神が大好きになったよ」
「同じ虎だからだね」
「うん、応援も村山さんのピッチングも素敵だし」
このこともあってというのです。
「大好きになったよ」
「僕はライオンズになるかな」
こう言ったのは臆病ライオンでした。
「同じライオンだしね」
「じゃあタイガースとライオンズの試合の時はね」
「お互いに応援し合おうね」
「そうしようね」
こうしたお話もしてでした、そのうえで。
皆で阪神の試合と応援を見て楽しんででした。それから。
今度はその大阪城に行きました。皆は天守閣の前に集まってです。大きなテーブルの上に大阪の名物を全部でした。
出してそのうえで食べます、そしてそれを食べるとです。どれも美味しくてカルロスは大阪のいか焼きを食べていいました。
「このいか焼き美味しいよ」
「普通いか焼きっていうと」
トロットがカルロスに応えました、見ればこの娘も卵と小麦粉で作ってソースを塗った生地の中に烏賊が入っているそれを食べています。
「烏賊をそのまま焼いてるけれど」
「それがですよね」
「大阪だとこうなのね」
「こっちのいか焼きもあるんですよね」
「それでこれもね」
こちらのいか焼きもというのです。
「美味しいわね」
「そうなんですよね」
「たこ焼きもいか焼きもある」
「素敵な街ですね、大阪は」
「そうよね」
こう二人でお話するのでした。
「いか焼きについても」
「面白くて」
「うん、そもそも蛸も烏賊もこれだけ食べるのはね」
キャプテンはたこ焼きを食べています。
「大阪ならではかな」
「そうみたいです、特に蛸はです」
「大阪ではよく食べるね」
「そうなんです」
そのたこ焼きで、です。
「美味しいですから」
「だからですね」
「はい、本当に」
実際にというのです。
「僕も大好きですし」
「じゃあいか焼きの次は」
「たこ焼きを食べます」
「他のものも食べましょう」
ドロシーはきつねうどんを食べています、薄揚げとうどんの麺とおつゆが合わさっていてとても美味しいです。
「きつねうとんにしてもね」
「そのおうどんも美味しいんですよね」
「そうなのよね」
「河豚も蟹もあって」
オズマはそうしたお鍋を見ています、今食べているのは蟹です。
「美味しいものだらけでお笑いも野球もあって」
「大阪最高だよね」
「お邪魔してよかったわ」
バド王とフラフ王女も蟹を食べています、蟹鍋の中にある蟹はとても美味しくて食べていて飽きません。
「本当に」
「全くだね」
「この街もオズの国に入ってね」
モジャボロは河豚のお刺身をとても美味しく食べています」
「オズの国はさらに楽しい国になったかな」
「日本も他の国も入って」
トロットはモジャボロに応えて言います、いか焼きを食べて次は豚まんを食べています。隣ではキャプテンが御飯とルーが最初から混ざってあるカレーを食べようとしています。カレーの上には生卵があります。
「オズの国はさらによくなったわね」
「アメリカに色々な人達が多くなったからだね」
キャプテンはカレーを卵ことかき混ぜました、そこにおソースを入れることも忘れていないことが大事でしょうか。
「日本の人達もね」
「そうよね、やっぱり」
「中華街も出来てね」
「あとタコスも食べられる様になって」
「アメリカがそうした国になってね」
「オズの国も変わったわね」
「本当にね」
こうトロットにお話するのでした。
「私達が来た時よりも素敵な国になったわ」
「楽しくてね」
「そう思うとね」
「よかったね」
「ええ、大阪もあるし」
日本のこの街もです。
「本当に嬉しいわ」
「あのお城もいいしね」
キャプテンは上を見上げました、大阪城の天守閣をです。
「立派なお城だね」
「青緑の瓦も奇麗でね」
「夜だけれど」
それでもです。
「ライトアップされてね」
「夜の中に浮かび上がっていて」
「とても奇麗だよ」
「本当にね」
「何かこのお城を見ていると」
イクシー女王が言うことはといいますと。
「普通に一番上まで登ってね」
「そしてよね」
「大阪の街を見回したくなるわ」
メリーランドの女王がイクシー女王に応えました。
「本当にね」
「そうよね」
「今からね」
「そう思ったわ」
「ええ、食べ終わったらね」
それからとです、オズマは二人の女王に答えました。
「皆で登りましょう」
「大阪城の天守閣に」
「その最上階に」
「そうしてね」
そのうえでというのです。
「大阪の街を観ましょう」
「わかりました、何か今回の旅も」
カルロスは串カツを食べつつオズマに言いました。
「色々な不思議な場所を見て素敵な人達にお会いして」
「楽しかったわね」
「最高でした」
こう笑顔で言うのでした。
「本当に」
「そう言ってくれるのなら何よりよ、じゃあ都に戻ったらね」
「また外の世界に戻りますけれど」
「また来てね」
「はい、すぐに」
「そして来たらね」
その時のことにも言及するオズマでした。
「また楽しい思いをしてね」
「そうさせてもらいます」
「本当に今回も素敵だったわ」
笑顔で言うトロットでした。
「色々な場所にも行けたし」
「そうだね、オズの国ならではだったよ」
キャプテンはトロットに豚まんを手渡します。
「今回の旅も」
「そうだったわね、それでだけれど」
「それで?」
「食べ終わって天守閣に登る時にはね」
キャプテンにその時のことをお話するトロットでした、豚まんを受け取ってそのうえで食べながらです。
「皆で一緒にアイスキャンデーを食べない?」
「ああ、デザートの」
「そうしない?」
「皆でアイスキャンデーを食べながらだね」
「大阪の景色を観ない?」
「それはよさそうだね、じゃあね」
「その時はね」
天守閣に登る時はというのです。
「皆でアイスキャンデーを舐めながらね」
「大阪を観ようね」
笑顔でこうしたことをお話しながらでした、トロットはオズの国の色々な人達と一緒にオズの国の中で大阪を楽しみました。旅の最後も最高に素敵なものになったことを心から喜びながらそうしたのです。
オズのトロット 完
2017・11・10
最後は日本人街というか、大阪。
美姫 「皆も呼んで」
本当に楽しそうで何より。
美姫 「今回はあちこち回って、結構な長旅になったわね」
その分、パーティーやお祭りと各地で楽しめたようだしな。
美姫 「今回も投稿ありがとうございました」
ありがとうございます。