『オズのトロット』




               第三幕  恐竜達の場所

 一行は一日歩いてでした、そして。
 遂にです、トロットは今自分達がいる場所を見回してそうしてでした、カルロス達に笑顔で言いました。
「ここがよ」
「恐竜の世界ですか」
「恐竜がいる場所なんですね」
「そう、ここがね」
 まさにというのです。
「恐竜のいる場所よ」
「そうですか、ここがなんですね」
「恐竜がいる場所ですか」
「これまでドラゴンや色々な生きものを見てきましたけれど」
「もう外の世界にいない生きものも」
「それで恐竜もですね」
「そう、この道を出てね」
 黄色い煉瓦の道をです。
「それでよ」
「左手だよ」
 キャプテンは五人にそちらだとお話しました。
「左手に恐竜達がいるからね」
「今からそちらに行こう」
 モジャボロは自分から足をそちらに入れました。
「彼等の世界にね」
「少し歩くと彼等に会えるからね」
 最後に教授が言ってきました。
「今から行こう」
「はい、それじゃあ」
「今からですね」
「恐竜のいる場所に行って」
「恐竜を見ましょう」
「早く行きましょう」
「焦らないでね」
 トロットは五人ににこりと笑って言いました、そして彼等を恐竜がいる場所に案内するのでした、それで左手の方を歩くとです。
 すぐにでした、まずは首の長い青と灰色が混ざった色の二十メートル以上の身体を持っている恐竜が出てきました。しっかりした四本の足に長い尻尾もあり首の先にある頭は小さくて穏やかな表情です。
 その恐竜を見てです、カルロスが言いました。
「ブロントサウルスだよね」
「うん、そうだね」
 神宝がカルロスに答えました。
「この恐竜は」
「雷竜だったね」
 ジョージはまだ少し遠くにいるその巨大な恐竜を見ながら言いました。
「あの恐竜は」
「離れていてもかなり大きく見えるわ」
 ナターシャはその大きさに驚いています。
「本当に大きいわね」
「そうね、ブロントサウルス以外にね」
 最後に恵梨香が言いました。
「色々な種類の恐竜がいるわね」
「あれはトリケラトプスだね」
 カルロスは三本の角を持っている四本足の恐竜も見付けました。
「あの恐竜も大きいね」
「あそこにはトラコドンがいるよ」
 モジャボロはこの恐竜を発見しました。
「そしてアンキロサウルスもいるしね」
「お空にはプテラノドンがいるよ」
 教授はお空にいる彼等に気付きました。
「グライダーみたいに飛んでいるよ」
「あそこにいるのは手ィラノサウルスだね」
 キャプテンは最も有名な恐竜に気付きました。
「本当に色々な恐竜がいるよ」
「湖もあるけれど」
 トロットは平原の左手にあるそれに気付きました。
「あそこの近くに大きな亀がいるでしょ」
「ウミガメですね」
 その大きなものとです、カルロスもその亀を見て言いました。
「あれはアーケロンですね」
「ええ、そうね」
「亀とは思えない大きさですね」
「そうよね」
「あの恐竜もいるなんて」
「驚いたかしら」
「いえ、見られて」
 それでとです、カルロスはトロットに身体を震わせながら答えました。
「感激しています」
「そこまでなのね」
「はい、この目でこれだけ沢山の恐竜達を見られて」 
 外の世界にはもういない彼等をです。
「本当にです」
「嬉しいのね」
「はい」
 その通りだというのです。
「本当に幸せです」
「恐竜をこの目で見られるなんて」
「しかも動いて生きている恐竜を」
「それもこんなに沢山ですから」
「私達とても嬉しいです」
 四人も言います。
「近くに寄ってです」
「それで見てみたいです」
「そうしてもいいですか?」
「今から」
「ええ、最初からそのつもりだったし」
 トロットは四人に笑顔で答えました。
「今からね」
「はい、恐竜達の近くに寄って」
「そうしてですね」
「近くでじっくり見るんですね」
「そうしてですね」
「楽しむんですね」
「そう、そしてね」
 キャプテンも笑顔でお話します。
「彼等ともお話をしようね」
「あっ、オズの国の生きものなので」
「そう、恐竜ともね」
 オズの国の他の生きもの達と同じ様にというのです。
「お話が出来るからね」
「今からですね」
「恐竜達に近くに行って」
「そしてですね」
「恐竜ともお話をする」
「そうするんですね」
「そうしようね」
 こう五人にお話をして実際にでした、皆は恐竜達の近くに来ました、そうしてトロットが彼等に挨拶をしました。
「皆こんにちは」
「あっ、トロット王女」
「王女さんお久し振り」
「キャプテンも教授もモジャボロさんもいるね」
「皆元気そうだね」
「ええ、それで今日はね」
 トロットは自分達のところに来た恐竜達にさらにお話しました、見れば本当に沢山の種類の恐竜達がいます。
「オズの名誉市民の子達も連れて来たわ」
「その子供達だね」
「五人いるね」
「噂には聞いてたよ」
「オズの国の名誉市民の子達だね」
「オズマ姫のお友達の」
「そうなの、今回はこの子達と一緒に冒険をしているの」
 トロットは恐竜達ににこりと笑って答えました。
「イッソス王国にまで行くのよ」
「ふうん、イッソス王国ね」
 そう聞いてです、ブラキオサウルスが言うことはといいますと。
「随分先だね」
「うん、ここから相当に歩くよ」 
 ステゴサウルスもこう言います。
「長旅になるね」
「まあ長旅だから面白いのかな」
 プテラノドンはこう考えました。
「王女達にしてみれば」
「それでその子達もなんだね」
 ゴロザウルスはカルロス達を見下ろしてトロットに尋ねました。
「一緒にイッソス王国に行くんだね」
「そうよ」
 トロットはゴロザウルスにすぐに答えました。
「皆で行くのよ」
「ううん、じゃあ長旅を楽しむんだね」
 マメンチサウルスはトロットの返事を聞いて納得しました、湖ではプレシオサウルスやエラスモサウルス、ティロサウルス達がお顔をしてこちらを見ていてイクチオザウルスも水面の上に跳び跳ねて出ながらこちらを見ています。
「そうするんだね」
「ええ、皆でね」
 また応えたトロットでした。
「そうするから」
「それでその途中にだね」
「こっちに寄ったんだね」
「僕達がいるこの場所に」
「そうなのね」
「そうなの、この子達に恐竜のお話をしたらね」
 カルロス達を見ながら恐竜達にお話をします。
「皆ここに来たいって言ったから」
「成程ね」
「その子達は私達を見たことがなかったから」
「だから会いに来てくれたんだ」
「旅の途中に」
「うん、そうなんだ」
 カルロスが五人を代表して恐竜達に答えました。
「外の世界ではもう恐竜はいないって言われていてね」
「そう聞いたけれど」
 アロサウルスがカルロスに言ってきました。
「トロット王女達も見たっていう人いるっていうけれど」
「うん、そうしたお話もあるよ」
「それでもなのかしら」
 イグアノドンはカルロスの返事に首を傾げさせました。
「いないのかしら」
「はっきりいるって証拠は見つかっていないから」
 だからと答えたカルロスでした。
「絶滅したってなっているんだ」
「外の世界ではね」 
 キャプテンも恐竜達にお話します。
「そうなっているよ、ただ海ではね」
「昔からそうしたお話が多いわね」
 トロットは今度はキャプテンに応えました。
「海は特に」
「そう、シー=サーペントのお話がね」
「クラーケンとは別に」
「その話があるんだ」
 キャプテンは元々海の人です、それで海のそうしたお話はよく聞いていてとても詳しいのです。何しろ船長だったのですから。
「巨大なウミヘビだけれど」
「実はよね」
「恐竜だってよく言われているんだ」
「そうなのね」
「見たっていう人の話を聞いてると」
 実際にです。
「恐竜に近い場合も多いんだ」
「今湖にいる」
「そう、まさにね」 
 湖の方にいる彼等を見ての返事でした。
「ああしてね、ただね」
「ただ?」
「恐竜とは限らないから」
 シー=サーペントの正体はというのです。
「実際にはね」
「海には他にも沢山の生きものがいるから」
「鯨や大きなお魚かも知れないし」
「鯨ね」
「鯨も色々でね」
 一口にそうだと言ってもというのです。
「昔の鯨は身体が細長いけれど」
「あっ、それじゃあ」
「ウミヘビの大きなものにも見えるね」
「そうよね」
「そうだったかも知れないしね」
 恐竜ではなく、というのです。
「色々考えられるんだ、けれどね」
「シー=サーペントの中に恐竜もいる」
「その可能性もあるから」
「そうなの」
「そう、やっぱりこちらもね」
「可能性があるのね」
「そうなんだ」
 こうトロットにお話をするのでした。
「一口にシー=サーペントといってもね」
「色々な可能性がある」
「そういうことなんだ」
「よくわかったわ」
「まあ恐竜はね」
「まだいるかも知れないのね」
「外の世界もね」
 キャプテンは海のことからトロットに答えました。
「そうだよ」
「成程ね」
「有名なのはネス湖だけれどね」
「あっ、イギリスのですね」
 カルロスはネス湖と聞いてすぐにキャプテンに言いました。
「スコットランドの」
「うん、あそこの湖にね」
「いるって言われていますね」
「俗に恐竜だって言われているね」
「今も出たりしますね」
「そうらしいね」
「インターネットでも有名です」
 カルロスはグーグルの人工衛星での写真を見たことがあります、それでその写真のことからキャプテン達にお話するのです。
「写真もあって」
「よくいないと言われるけれどね」
「実際はですか」
「いるかも知れないね」
 そのネス湖にとです、キャプテンはカルロスに答えました。
「ネッシーは」
「いますか」
「見たって人も多いしね」
「凄く多いですよね」
「その話を全部嘘や間違いというのは」
 そう言って終わらせることはというのです。
「流石に無理があるからね」
「だからですね」
「流木や生きものの死体を間違えたにしても」 
 実はそうしたことも多かったにしてもというのです。
「それでもね」
「その全部はですね」
「とてもね」
「嘘や間違いとはですね」
「出来ないからね」
 それでというのです。
「わしもネッシーはね」
「いるとですか」
「思っているよ」
「キャプテンもですね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「ネッシーは恐竜か」
 多くの人がそうであって欲しいと思うこのことはといいますと。
「このことはわからないよ」
「色々言われてますね」
「そうだね」
「はい、実際はどうなのかは」
 ネッシーが本当にいるにしてもです。
「色々言われていますね」
「さっき流木や動物の死骸を言ったけれどね」
「その場合もですね」
「あるしね」
 そうしたものの見間違いということもです。
「アザラシや魚かも知れないし」
「その場合もありますか」
「海からネス湖に入ってね」
「そういえばネス湖って大きな生きものが沢山いられない湖って聞きました」
「そのこともあるしね」
「ネッシーは恐竜とは限らないんですね」
「いつもネス湖にいるともね」
「まあ外の世界のことはね」
 トロットがカルロス達に言いました。
「正直よくわからないわ、オズの国でもね」
「恐竜のこともですね」
「実際どうなのか」
「まだいるかどうか」
「そのことはですね」
「わからないんですね」
「ええ、人間の知識はね」
 これはといいますと。
「ほんの小さなものだから」
「あっ、そう言われていますね」
「実際に」
「人間の知識は本当に少ない」
「大海の中のスプーン一杯」
「その程度だって」
「オズの国のことだってそうなのよ」
 今皆がいるこの国もというのです。
「知られていることは僅かよ」
「そう、オズの国きってのもの知りと言われている私でもだよ」
 その教授がカルロス達に言うのでした。
「僅かなのだよ」
「教授でもですか」
「オズの国のことをですか」
「ほんの少ししか知らない」
「そうなんですね」
「王立大学の学長さんでも」
「そうなのだよ、この国は本当に謎が多いね」
 不思議なことばかりのお国であるだけにです。
「しかも広い、だからね」
「教授みたいな人でも」
「いつも本を読まれていても」
「そして冒険で見て回っていても」
「それでもですか」
「ご存知のことはほんの少しですか」
「そうだよ、本当にね」 
 実際にというのです。
「私の知識は僅かだよ」
「オズマもグリンダも魔法使いさんもよ」
 オズの国で偉大な賢者とされる彼等もとです、トロットはお話しました。
「三人共自分で言ってるから」
「オズの国で知っていることは少し」
「そうなんですね」
「オズマ姫でもですか」
「オズの国の国家元首でも」
「それで魔法も使えるのに」
「そうなの、それでね」
 さらにお話するトロットでした。
「外の世界も同じでしょ」
「人間の知識はほんの少しですね」
「ええ、人間の力は小さいから」
「その知識もですね」
「本当に少しでしかないから」
「神様とは違うんですね」
 カルロスはしみじみとして言いました。
「本当に」
「勿論よ、私達も人間よ」
 他ならないそうした存在だというのです。
「それならね」
「恐竜のこともですか」
「知らなくて当然よ」
「しかしそれはね」
 知らないということはとです、こうもお話したモジャボロでした。
「今の時点であって」
「調べていけばですね」
「わかるんですね」
「そうしていけば」
「今は知らないことでも」
「それでもですね」
「そう、人は完成されていないしね」
 まだまだです。
「どんどん学べるね」
「だからね」
 また言うトロットでした。
「人は知らないならね」
「そこからですね」
「学んでいく」
「そうして知識を増やしていく」
「そうするといいんですね」
「知らないことを恥とか思わないで」
「そうよ、知らないなら学べばいいだけよ」
 そうすればというのです。
「それだけのことだから」
「だから私も学び続けているのだよ」
 教授のお言葉です。
「今もそしてこれからも」
「そうなんですね、教授も」
「そうだよ、彼等のこともね」
 恐竜も見つつカルロスに答えました。
「学び続けているよ」
「僕達で学ぶことなんてあるかな」
「ないよね」
「特にこれといって」
「別にね」
「僕達のことなんか」
「いやいや、君達もあらゆる生きものがね」
 教授は自分達について学ぶことなんてないと言う恐竜達に笑って返しました。
「学ぶ対象だよ、人間もね」
「人間もなんだ」
「つまり教授ご自身もそうなんだ」
「学ぶ対象なの」
「そうなの」
「そう、例えば人体のことも」
 身体のこともというのです。
「そうだよ。人間は実は自分達自身のこともまだ全部はわかっていないんだ」
「そうなの?」
「自分自身のことについても」
「全部知らないの」
「そうなんだ」
「そう、脳だってね」
 自分の頭を指差して言う教授でした。
「そうだしね」
「頭もなんだ」
「まだわかっていないの」
「そうなんだ」
「全部わかっていないの」
「そう、何か日本の漫画であったらしいけれど」
 ここでこも行った教授でした。
「脳に何か刺さって吸血姫になるとかね」
「そんなお話あるの?」
「以前恵梨香君から聞いたよ」 
 その日本人の恵梨香を見つつトロットにお話します。
「そうした漫画があるってね」
「日本には」
「石の仮面を被るとそこから出た針が脳に刺さってね」
「かなり痛そうね」
「けれどそれがね、脳にあるツボを刺激するらしくて」
 それでというのです。
「吸血姫になるらしいよ」
「本当かしら」
「日本の漫画の話だけれどね」
「オズの国の図書館にもその漫画あるかしら」
「王立大学にあったかな」
「じゃあ今度読んでみるわね」
 トロットは考える顔になって教授に答えました。
「そうしてみるわね」
「うん、じゃあ今度王立大学に来たらね」
「図書館でよね」
「読むといいわ」
「そうさせてもらうわね」
「そうしたらいいよ、けれど人間の身体も」 
 ここでこう言った教授でした。
「わかっていないことがまだまだあるんだよ」
「それがわかれば医学にも役立つね」
「その通りだよ、まあオズの国では誰も病気にならないけれどね」
 そして死ぬこともありません。
「けれど学ぶことはね」
「いいことよね」
「そのこと自体はね」
「じゃあ僕もだね」
 ここでティラノサウルスが言ってきました。
「まだまだ自分のことを知らないんだね」
「そうなるよ」
「そういえば自分の頭の後ろを見ることは出来ないから」
「それは誰でもじゃないかな」
 カルロスは自分の頭の後ろを見られないと言ったティラノサウルスに笑って言いました。
「自分の頭の後ろについては」
「それは普通にしたら無理だよ」
 ジョージもティラノサウルスに言います。
「絶対にね」
「合わせ鏡をしたら見られるけれどね」
 神宝はその見方をお話しました。
「そうしたら」
「けれど普通にしたらね」
 どうもと言ったナターシャでした。
「絶対に出来ないわね」
「頭を回すみたいに振り回したら一瞬見られるっていうけれど」
 最後に恵梨香が言いました。
「それは気のせいよね」
「多分ね、それは漫画の演出だと思うよ」
 キャプテンはこう言いました。
「流石にね」
「まあ自分の頭の後ろについてね」
 モジャボロは笑って皆にお話しました。
「見られる生きものはいないよ」
「そうなんだ」
「うん、けれど他のことでもね」
「僕達もだね」
「君達自身を全部しているかというと」 
 こうティラノサウルスにお話するのでした。
「やっぱりね」
「知らないんだ」
「僕達にしてもね」
「そんなものなんだね」
「そうだよ、神様でないとね」
 それこそというのです。
「全部を知っている筈がないよ」
「そういえばオズの国の神様は」
 ここでふと気付いたカルロスでした。
「キリスト教の神様とはまた違いますね」
「ええ、そうよ」
 その通りとです、トロットはカルロスに答えました。
「それも一柱じゃないわよ」
「キリスト教と違って」
「そうなの、それぞれのものに司っている神様がおられるのよ」
「何でもですか」
「そうなの」
「それじゃあ恐竜の神様も」
「いるわよ」
 そうだというのです。
「ちゃんとね」
「そうなんですね」
「そう、恐竜の神様もおられるから」
「そう言われるとどうも」
 ここで、です。カルロスはこんなことを言ったのでした。
「日本の神道みたいですね」
「日本の宗教ね」
「神道って物凄く沢山の神様がいるんです」
「私もお話は聞いてるけれど」
「それで本当にあらゆるものにです」
「司っている神様がいて」
「それと同じですね」  
 神道と、というのです。
「オズの国の神様は」
「そうなるかしら、本当にキリスト教とは全然違うから」
 宗教の在り方はというのです。
「その辺りも面白いわよ」
「そうなんですね」
「そう、それとね」
「それと?」
「神様の数が多過ぎて」
 少し笑って言うトロットでした。
「どれだけの神様がいるかわからない位よ」
「これもまたオズの国の特色だよ」
 キャプテンもこうお話します。
「神様の数が多いこともね」
「このこともですね」
「うん、そうなの」
「それも日本の神道と同じですね」
「あれっ、そうなの」
「はい、これが」
「そこまで一緒なんて」
 意外といったお顔になって言うトロットでした。
「凄いわね」
「あと中国の道教もですし」
 カルロスは今度はジョージを見てトロットにお話しました、その次にジョージも見てさらにお話しました。
「ネイティブの人達の宗教もです」
「全部なのね」
「はい、神様は一柱じゃないです」
「そのことは面白いわね」
「キリスト教とはまた違って」
「私ずっとキリスト教しか知らなかったの」
 トロットはそうだったのです。
「キャプテンもモジャボロさんもそうだったと思うわ」
「わしは海から他の国を巡って知っていたけれどね」
「僕もだよ」
「けれど信仰はキリスト教だったよ」
「アメリカにいる間はね」
「それが今はね」
 オズの国に入ってというのです。
「オズの国の神々も認めているよ」
「存在するものだってね」
「そうなんですね。僕はキリスト教徒ですが」
 カルロスはそうだとです、キャプテン達にお話しました。
「他の宗教を認められる様になりました」
「オズの国に来てからですか」
「いえ、日本に来てから」
 それからというのです。
「そうなりました」
「沢山の神様がいる国に来てなのね」
「そうなったです、ただ」
「ただ?」
「日本の神様って人もなるんですよね」
「人もなの」
 トロットはカルロスの言葉を受けて皆を見回しました。
「そうなの」
「はい、英雄や偉い人達がです」
「神様になるの」
「神社に祀られて」
「聖人みたいなものかしら」
 キリスト教の彼等を思うトロットでした。
「それは」
「そうですね、そんな感じでです」
「祀られてなの」
「神様になります」
 そうなるというのです。
「日本では」
「それはオズの国にはないわね」
「そうですよね」
「ええ、日本独自ね」
 まさにというのです。
「それは」
「じゃあ僕達も神様になるとか」
「そういうのもあるかな」
「日本だとね」
「若しかして」
 恐竜の皆はカルロスの日本の神道のお話を聞いてこう思ったのでした。
「そうなるかな」
「神様になるのかしら」
「偉いことをしたら」
「そうしたら」
「犬も猫も祀られているからね」
 だからと答えたカルロスでした。
「恐竜だってね」
「ううん、僕達が神様って」
「そうなれる国があるなんて」
「物凄い国もあるのね」
「外の世界には」
「とても不思議な国なんだ」
 日本はというのです。
「僕達が見てもね」
「そんな国があるのだったら」
 ここで言ったのはマメンチサウルスでした。
「一回見てみたいね」
「カドリングに日本の生きものや妖怪が集まっている山がああるよ」
「じゃあカドリングに行けばだね」
「オズの国にいても日本を知ることが出来るよ」
 こうマメンチサウルスにお話しました。
「あと日本文化もオズの国には沢山あるしね」
「例えばお料理とかね」
 トロットは恐竜達に笑顔でお話しました。
「和風の建物もあるし」
「そういえば僕日本の名前が自分の名前に入ってるんだよね」
 ここでこう言ってきたのはニッポノサウルスでした。
「あとフタバスズキリュウ君も日本と関係あるね」
「僕だよ」
 湖の方から一匹の首長竜が言ってきました。
「僕がフタバスズキリュウだよ」
「日本に関係のある恐竜もいるのね」
 その日本人の恵梨香が言いました。
「そうだったの」
「あと私はソレデスっていうけれど」
 プテラノドンとはまた違った翼竜が言ってきました、お口には鋭い歯が一杯あって頭や尻尾の形もプテラノドンとは違います。
「ソ連、今はロシアね」
「ロシアに関係がある恐竜もいるなんて」
 ナターシャはソレデスに目を瞬かせて応えました、
「意外だったわ」
「そういえばマメンチサウルス君は中国で見付かったんだよね」 
 化石がと言う神宝でした。
「中国でも最近恐竜の化石が沢山見付かっているし」
「アメリカだとユタ州でだったね」
 最後にジョージが言いました。
「あそこで凄く見付かってるんだよ」
「ブラジルでもかな」
 カルロスは自分の国のことを思いました、四人のお話を聞いて。
「海の方でエラスモサウルスを見たって話があるけれど」
「生きた恐竜位アマゾンにいそうだよね」
「あそこはね」
「物凄い生きものが一杯いるし」
「恐竜位は」
 四人はカルロスのお国のアマゾンのことを思いました。
「あそこだったらね」
「恐竜位いても不思議じゃないんじゃ」
「あそこだと」
「森か川の中に」
「そうかも知れないね」 
 カルロス自身否定しませんでした。
「あそこは凄いからね」
「そんな場所が外の世界にあるんだ」
 ウルトラサウルスは五人のお話に少し小戸悪露いて言いました。
「恐竜がいる場所が」
「いそうなだよ」
「いや、いそうでもね」
「いるっていうんだ」
「その可能性がある場所が結構多いみたいだし」
 ネス湖や海だけでなくというのです。
「外の世界も面白いね」
「うん、アマゾンは特に凄い場所でね」
 それでというのです。
「かなり危ないけれど」
「それでもだね」
「面白い場所なのは確かだよ」
 このことはその通りだというのです。
「だから沢山の学者さんや探検家が今も入っているんだ」
「教授みたいな人がだね」
「そうだよ」 
 その通りだというのです。
「沢山入って研究や探検をしているんだ」
「冒険もね、ただあそこは本当に危険だから」
 トロットも言います。
「オズの国の冒険の様にはいかないね」
「そうだね、わしはあそこには行ったことがないけれど」
 キャプテンはトロットに続きました。
「凄い場所だからね」
「生半可な気持ちでは行けないわね」
「とてもね」
「ここは安全だけれどね」
 笑ってお話したトリケラトプスでした。
「皆仲良くやっているよ」
「いや、僕達は小さいから」
 カルロスはそのトリケラトプスに笑って返したカルロスでした。
「踏まれない様に気をつけないとね」
「あっ、大きさが違うからね」
「そこはね」
 気をつけないと、というのです。
「大変なことになるよ」
「そうだったね、僕達から見たらね」
「僕達は凄く小さいから」
 こう答えたカルロスでした、本当にどの恐竜も人間から見れば驚く位大きいです、見上げる種類もかなりです。
「危ないところもあるよ」
「じゃあ気をつけておくね」
「そうしてね、あとね」
 カルロスは空を飛ぶ鳥を見てまた言いました。
「ここの鳥は始祖鳥なんだ」
「あの鳥だね」
 黄色い羽根に青緑も入っているお口が嘴ではなく恐竜の様に歯になっている鳥を見てです、ブロントサウルスが答えました。
「そうだよ、始祖鳥君だよ」
「やっぱりそうなんだね」
「あと湖には三葉虫君もいるよ」
「本当にここは恐竜の場所だね」
「植物だってね」 
 恐竜の皆が食べるそれもです。
「そうだよ、お肉が実る木もあってね」
「そっちは僕達の御飯なんだ」 
 こうお話したティラノサウルスでした。
「いつもそこで食べてるよ」
「ここも知れば知る程面白いね」
 こう言ったカルロスでした。
「トロットさんに案内してもらってよかったよ」
「有り難う、そう言ってくれるのね」
「はい、本当に」
「僕もそう思ってます」
「僕もです」
「この目で恐竜も見られましたし」
「本当によかったです」
 四人もこう言います、そうしてでした。
 トロットは皆の言葉を受けて微笑んでこう返したのでした。
「じゃあまたね」
「はい、またですね」
「ここに案内してくれるんですね」
「ギリキンに来る機会があれば」
「その時はまた」
「今みたいにですね」
「そうさせてもらうわね。皆気に入ってくれたから」
 だからというのです。
「またね」
「はい、じゃあ三葉虫も見たいんですが」
「この虫だね」
 キャプテンはその足元のかさかさと動き回る長い触覚と沢山の足と節を持っている虫を見てカルロスに答えました。
「それは」
「あっ、その虫です」
 まさにと答えたカルロスでした。
「三葉虫は」
「そうだね」
「この虫もなんです」
「今はこの世界にいないね」
「はい、そうなんです」 
 目を輝かせて言うカルロスでした。
「この虫も、ただ虫かといいますと」
「違うね」
「虫の身体の構造は決まっているよ」
 教授がお話してきました。
「頭、胸、腹の三つに分かれていてね」
「足が六本ですね」
「そう決まっているからね」
「三葉虫は虫じゃないですね」
「そうだよ」
 その通りだというのです。
「この虫はね」
「そうですよね」
「また別の種類だよ」
 虫とは違うというのです。
「虫という名前が入っていても」
「そうした生きものも多いですね」
「そうなんだ、けれど三葉虫も見られてだね」
「はい、嬉しいです」
 にこりと笑って答えたカルロスでした、勿論恵梨香達もです。
「とても」
「それは何よりだよ、それとね」
「それとですか」
「湖の中にはアンモナイトもいるよ」
「あの生きものもですか」
「そう、いるよ」
 そうだというのです。
「見たいよね」
「はい」
 五人同時に答えました。
「見られるなら」
「それならね」
 トロットは五人の返事を聞いてすぐに応えました、そうしてその湖のところに行くと実際にでした、
 アンモナイト達が泳いでいるのが湖の岸からも見えます、五人は湖の中で泳いでいる彼等を見てまた言いました。
「アンモナイトも見られるなんて」
「水族館にオウムガイがいるけれどね」
「アンモナイトそっくりだけれど」
「アンモナイトはまた違うわね」
「また別の種類の生きものよね」
「そう、オウムガイとは似ているけれどね」
 教授がまた五人にお話してくれました。
「君達が言う通りまた違う種類だよ」
「そうですよね」
「アンモナイトとオウムガイは」
「また違う種類で」
「外の世界じゃもういないですね」
「オズの国だからいるんですね」
「そうだよ」
 その通りだというのです。
「この国だからだよ」
「ううん、オウムガイまで見られるなんて」 
 カルロスは唸って言いました。
「本当に何て言っていいのか」
「わからないかな」
「はい、一度にこれだけ色々なものを見られて」
 恐竜以外にもというのです。
「言葉もないです」
「そうなんだね、けれどね」
「それでもですか」
「これがオズの国だからね」
「それで、ですか」
「そこまで驚くことはないよ」
 恐竜達がカルロス達に笑って言いました。
「別にん」
「このことはね」
「そんなに気にしないで」
「僕達がいても」
「オズの国だからね」
「そうなんだね、じゃあ僕達もね」
 カルロスも恐竜達のお話を聞いて応えました。
「そう考えさせてもらうね」
「そうそう、じゃあここのことを楽しんでね」
「ゆっくりしていっていいよ」
「それで僕達を見てね」
「心ゆくまでね」
「またここに来たいけれど」 
 それでもと言うカルロスでした。
「今はね」
「うん、ここにじっくりといたいね」
「それで恐竜の皆を見てお話したいよ」
「始祖鳥も三葉虫も見たいわ」
「こんな機会滅多にないから」 
 四人もカルロスと同じ考えでした、そしてです。
 五人はトロット達と一緒に恐竜達とお話をして一緒に遊んで外の世界では絶対に味わえない楽しみを満喫しました。そしてです。
 そのうえで、です。夕方に彼等を笑顔でお別れをして旅に戻りました。その時にカルロスは煉瓦の道を歩きつつトロットに言いました。
「いや、最高でした」
「恐竜の皆を見てお話が出来て」
「はい、本当に」
 物凄く明るいお顔で言うのでした。
「夢みたいです」
「外の世界ではね、けれどね」
「オズの国だからこそ」
「こうしたことも普通よ」
「外の世界では夢みたいなことが現実になる」
「それがオズの国だから」
 それでというのです。
「こうしたこともよ」
「普通ですか」
「そうよ」
 まさにというのです。
「だから気にしないで」
「そうなんですね」
「ええ、けれどそこまで喜んでくれてるのなら」
 今も喜びのあまり足取りがうきうきとしている五人を見てです、トロットは笑顔になって言うのでした。
「私も案内してよかったわ」
「全くだよ、君達は今回特に喜んでいるね」
 キャプテンが見てもそうです。
「だとしたらわし等も凄く嬉しいよ」
「人がいいことで喜んでいる姿を見るのもまた楽しいからね」 
 モジャボロもキャプテンと同じ意見です。
「あそこに行って本当によかったよ」
「私達も楽しめたしね」
 教授も学者として恐竜達を見られてまだうきうきとしています。
「最高だったよ」
「じゃあその最高の気持ちのまま夜になったら休みましょう」
 トロットはここでこのお話をしました。
「そしてね」
「はい、そうしてですね」
「近くの川やお池で身体を奇麗にして」
「美味しい晩御飯を食べて」
「そうして寝るんですね」
「朝までぐっすりと」
「そうしましょう」 
 是非にというのです。
「今日もね」
「今日の晩御飯も楽しみですね」
 カルロスは今もうきうきとしています。
「一体どんなご馳走なのか」
「ええ、じゃあそのことも楽しみにしてね」
「夜を迎えればいいですね」
「その通りよ」
 見ればトロットも足取りがいつも以上に軽いです、カルロス達と一緒に恐竜を見られて彼等の笑顔も見られたからです。
 それで笑顔で皆と一緒に寄るまで歩いてそうして夜は美味しいものを食べて休みました。この日も楽しい一日でした。



色んな恐竜が。
美姫 「良いわね。ちょっと見てみたいわね」
だよな。絶滅した生き物もいるなんて、本当にオズは凄いな。
美姫 「本当ね。次は何があるかしら」
次回も待っています。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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