『オズのトト』




   第十一幕  双子山

 一行は朝御飯の後で新しい山に入る為に飛行船を動かしました。その飛行船の上からです。
 これから入る山を見てでした、カエルマンが言いました。
「二つの山が連なっている感じだね」
「そうだね」
 ボタンがそのカエルマンに応えます。
「上から見ると」
「そうだね、あれではね」
「あれでは?」
「双子みたいだよ」
 こう言ったのでした。
「ああして連なっていくと」
「そうだね、双子だね」
「しかもだよ」
 ムシノスケ教授も言います、その双子山を見ながら。
「それぞれの山で木々が違うね」
「あっ、そうだね」 
 トトも双子山を見て言いました。
「何かね」
「一方は沖縄の木で」
 そしてというのです。
「もう一方は北海道だね」
「ということは」
 このことから言ったトトでした。
「あの二つの山に」
「そう、昨日北海道の生きものの皆が話してくれた」
「コロポックルにだね」
「シーザー達がいるね」
「そうなんだね」
「ではあの双子山に降りて」
「そして今日も」
「フィールドワークをしよう」
 教授が笑顔で言ってでした、皆は山の中に入りました。そして山の中に入るとすぐにでした。
 小さな、背の高さはトト位の白地で不思議な模様が入っている竹の長い上着とズボンの人達が来ました。恵梨香がその人達を見て言いました。
「この人達が」
「コロボックスなのかな」
「そうよ」
 こうトトに答えるのでした。
「北海道にいたっていう小人の人達なの」
「ふうん、本当に小さいね」
 トトは自分と同じ位の高さの彼等をじっと見ながら言いました。
「僕位の大きさじゃない」
「そうね、アイヌの人達の古いお友達だったの」
「そうだったんだ」
「この服は何なの?」
 ボタンはコロボックル達の服を見て首を傾げさせました。
「何か変わった服だね」
「アットゥシだよ」
 教授がボタンに答えました。
「アイヌの民族衣装でね」
「コロボックルの人達も着ているんだ」
「アイヌと一緒に住んでいるからね」
「それでなんだ」
「そうだよ」
 実際にというのです。
「この人達も着ているんだ」
「そうなんだね」
「そう、そしてね」
「そして?」
「コロボックル達はアイヌの伝承で結構出て来るんだ」
「お話に?」
「そう、かなり面白い存在なんだ」 
 こうボタンに言うのでした。
「彼等はね」
「オズの国には小人さん達も多いけれど」
 ジョージはコロボックル達を見ながらこう言いました。
「日本にもいたんだね」
「そうだね、何か他の小人さん達よりも」 
 神宝もじっと見ています。
「人に近い感じがするかな」
「全然人と変わらない?」 
 こう言ったのはカルロスでした。
「そう見えるけれど」
「そうね、何か大きさが違うだけで」
 ナターシャも皆と同じことを感じていました。
「私達と一緒ね」
「うん、そうだよ」
「僕達は小人ってだけでね」
「他は皆と変わらないの」
「お家だってあるし」
「普通にこの山の中で木の実とかを食べて暮らしてて」
「皆と変わらないのよ」
 身体も暮らしもというのです。
「全然ね」
「何も変わらないよ」
「そういえば」
 ここで恵梨香が言いました。
「北海道から来たお友達が言ってたけれど」
「何てかな」
「ええ、コロボックルさん達はね」 
 その彼等はといいますと。
「私達と同じで」
「何も変わらないんだ」
「そうした暮らしをしてるってね」
「そうなんだ」
「自然の中でね」
「本当に大きさが違うだけなんだ」
「魔法とかは使わないって」
 そうだというのです。
「そうしてアイヌの人達のお友達だったってね」
「そのアイヌの人達だけれど」
 トトは恵梨香にその人達のことも聞きました。
「北海道の人達だよね」
「昔から住んでるね」
「その人達がなんだ」
 トトはコロボックルの人達を見つつ言うのでした。
「このアットゥシって服を着てて」
「そして自然の中で暮らしていたの」
「今もいるよね、アイヌの人達って」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「アットゥシは殆ど着ていないわよ」
 今コロボックルの人達が着ているその服はというのです。
「私達と同じ服を着ているわ」
「同じ服なんだ」
「そうなの、それに食べるものも」
 そちらもというのです。
「私達と同じよ」
「完全に同じになってるんだ」
「結婚もするし」
 日本の人達と、というのです。
「一緒に暮らしてるの」
「完全に一緒になっているんだ」
「そうよ」
「そこは何か」
 ここまで聞いてこう言ったトトでした。
「ネイティブの人達と違うね」
「あっ、オズの国にも集落あるわね」
「オズの国でもネイティブの人達はね」
「独自でなのね」
「暮らしてるから」
 それでというのです。
「そこは違うね」
「そうね、言われてみれば」
 恵梨香もトトのそのお話に頷きます。
「日本は皆一緒になることが多いのね」
「日本の人達もアイヌの人達も」
「同じ日本人だし」
「日本人だからなんだ」
「一緒になるの、それに日本人じゃなくても」
 恵梨香はいつも一緒にいる神宝達も見て笑顔でトトにお話しました。
「皆とも一緒じゃない」
「そうだね、言われてみれば」
「ええ、そういうことはこだわらないから」
「そうなんだ」
「日本ではね」
「成程ね」
「あとね」 
 さらにお話した恵梨香でした。
「オズの国でもね」
「僕達とだね」
「一緒にいるから」
「そうしたことにはだね」
「こだわらないの」 
 日本人、恵梨香もというのです。こうしたお話をしていた恵梨香にコロボックルの人達が聞いてきました。
「それでどうしたの?」
「どうしてこの山に来たの?」
「この二つの山に」
「何かご用?」
「この山を調べに来たの」
 ドロシーが答えました。
「この山がどういった山で誰がいるのかを調べにね」
「ああ、それでなんだ」
「それでこの山に来たんだ」
「そうだったの」
「そうなの、皆でね」
 コロボックルの人達に笑顔でお話するのでした。
「エメラルドの都から」
「そう言う貴女はドロシー王女?」 
 コロボックルの中の若い女の人が言ってきました。
「ひょっとして」
「あら、わかるの?」
「噂で聞いていたのと同じお姿だから」
 それでというのです。
「わかったわ」
「そうなのね」
「オズノ国でドロシー王女を知らないなんて」
 それこそというのです。
「いないから」
「じゃあ他の皆も」
「ええ、お会いしたのは今がはじめてだけれど」
 それでもというのです。
「知ってるわ」
「それは何よりね」
「ムシノスケ教授にカエルマンさんにボタン=ブライトにトトに」
 まずはオズの国の名士の皆でした。
「それに五人の子供達」
「私達も知ってるのね」
「勿論よ」
 コロボックルの女の人は恵梨香ににこりと笑って答えました。
「貴女達も有名人だから」
「コロボックルさん達も知ってるの」
「そうよ、シーザーさん達もね」
「あっ、そのシーザーさん達は」
 恵梨香はコロボックルの女の人の今の言葉に気付いて言いました。
「何処にいるのかしら」
「今すぐに呼ぶよ」
「会いたいならね」
「連なってる山にいるから」
「一緒にね」
 だからというのです。
「呼べばすぐに来てくれるよ」
「ここまでね」
「それじゃあ」
 ドロシーはそのお話を聞いて言いました。
「お願い出来るかしら」
「うん、じゃあね」
「今から呼ぶね」
「本当にすぐに来てくれるから」
「楽しみにしておいてね」
「わかったわ」
 笑顔でお願いしてでした、そしてです。
 コロボックルの人達が呼ぶとです、日本の狛犬によく似ている大きさもそれ位の犬達が来ました。
 その犬を見てです、恵梨香が皆にお話しました。
「沖縄で見たわ」
「うん、シーザーだね」
「本で見た通りだね」
「沖縄の狛犬だね」
「まさにね」
「ええ、来てくれたのね」
 恵梨香は四人に応えつつシーザー達を見て頷いていました。
「ここに」
「あっ、ドロシ―王女?」
「はじめまして」
「トトもいるし他の皆もいるね」
「豪華な顔触れだね」
「実はね」
 コロボックルの人達がドロシー達がどうしてこの山に来たのかお話しました、するとでした。
 シーザー達も頷いてです、こう言いました。
「ああ、そうなんだ」
「この山を調べに来たんだ」
「どうしてここに来たのかって思ったら」
「そうした事情だったの」
「そうだよ」
 教授はシーザー達にも答えました。
「別に悪いことはないから」
「というかこの山のことはあまり?」
「都では知られてない?」
「そうなの?」
「オズの国は広くてね」
 教授はいぶかしんだシーザー達にまた答えましおた。
「私達もまだまだ知らない、行っていない場所があってね」
「それでなんだ」
「ここははじめて来てくれた」
「そうなのね」
「そうだよ。本当にね」
 実際にというのでした。
「私達が来たのははじめてだよ」
「成程ね」
「オズの国は広いからね、確かに」
「その中にも沢山の国もあるしね」
「色々な人達も住んでいて」
「そうした中にいるから」
 だからというのです。
「まだまだ行っていない場所もまだまだあるよ」
「そういえば私達も」
 恵梨香も教授のお話を聞いて言うのでした。
「これまでオズの国で何度も冒険に出て色々な場所を巡ったけれど」
「まだまだだよね」
「行っていない場所も多いよ」
「一体そんな場所がどれだけあるか」
「わからない位よ」
「そうなのよね」
「私だってね」
 オズの国一の冒険家のドロシーもでした。
「まだまだよ」
「ドロシーさんもですか」
「行っていない場所が沢山あるの」
「そうなんですね」
「本当にね」
 実際にというのです。
「まだまだよ」
「そうですか」
「これからもどんどん冒険していくけれど」
 そしてオズの国の色々な場所に行くのですが。
「多分ずっとね」
「オズの国の全てを見られることは」
「ないわ」
 そうだというのです。
「この国は果てしない国なのよ」
「不思議な場所が幾らでもあって」
「知らないものも幾らでもある世界なのよ」
「だからこそ面白い国なんだよね」
 トトはいつもこう言っている教授を見つつドロシーに応えました。
「そうだよね」
「そうよ、何といってもね」
「全部知ってしまうと」
「それで終わりってところがあるわね」
「うん、それでね」
「終わりがないってことはね」
「ずっと楽しめるってことだね」
 トトもこの辺りのことはわかっています。
「そうだね」
「ええ、そうよ」
「じゃあオズの国にいれば」
「ずっと楽しめるのよ」
「冒険も」
「そう、だから私は冒険が好きなの」
 オズの国のあちこちを回っているというのです。
「いつもね」
「そうだよね」
「そしてね」
「そして?」
「今こうしてコロボックルさんやシーザーさん達に会って」
 それが出来てというのです。
「本当によかったわ」
「そうだよね」
「じゃあ」
「それじゃあ後は」
 トトから言いました。
「皆とお話して双子の山を回って」
「お昼もね」
「楽しもうね」
「お昼御飯なら」
「僕達はね」
 コロボックルとシーザーの皆が言うには。
「私達が狩猟した木の実とか」
「そんなものだね」
「大きさがドロシーさん達に合うかしら」
「それが心配ね」
「あっ、心配しないで」
 ドロシーはにこりと笑って皆に答えました。
「私達はもう自分達の食べるものがあるから」
「あっ、そうなんだ」
「ドロシーさん達の方で」
「だからいいんだ」
「そうなんだね」
「ええ、だから気を使ってもらわなくてもね」
 それでもというのです。
「いいわ」
「それじゃあね」
「ドロシーさん達はドロシーさん達でだね」
「お昼を楽しむ」
「そうするんだね」
「そうするから」
 だからだというのです。
「気にしないでね」
「うん、じゃあね」
「お昼はそうするってことで」
「楽しんでね」
「そうさせてもらうわ、あとこの山は」
 ドロシーは双子山のお話をさらにしました。
「片方が沖縄でもう片方は北海道よね」
「うん、そうだよ」
「僕達はそれぞれの山に住んでいるんだ」
「そしていつもお互いの山に遊びに行ってね」
「そうして遊んでるよ」
「クッシーさんも来てくれるしね」
「そのお話は聞いたよ」
 クッシーと聞いてトトが応えました。
「もうね」
「あっ、そうなんだ」
「クッシーさん自身から?」
「そうなのかな」
「そうだよ」
 その通りという返事でした。
「もう周りの他の山は巡ったり」
「それでなんだ」
「クッシーさんとお話をして」
「それで知ってるのね」
「うん、メロン好きだって言ってたよ」
 このことをお話するのでした。
「嬉しそうにね」
「そうそう、クッシーさんはメロンが大好きで」
「他の木の実もね」
「それで特にメロンが好きなんだ」
「本当にね」
「うん、君達とも仲がよさそうだね」
 トトはコロボックルとシーザー達にこのこともお話しました。
「どうやら」
「凄く仲がいいよ」
「他の生きもの達とはそんなに交流ないけれど」
「それでもね」
「クッシーさんとは仲がいいよ」
「それは何よりだね、ただね」
 ここでこうも言ったトトでした。
「君達クッシーさん以外に他の山の人達とは交流がないんだ」
「うん、そうだよ」
「これといってね」
「お付き合いないわよ」
「別にね」
「そうみたいだね、それはね」 
 どうもと言うトトでした。
「僕達も考えていて」
「考え?」
「っていうと?」
「この山々の真ん中に特に大きな山があるね」
 その山のことからお話するのでした。
「あの山は誰もいなくて色々な木もあって食べものも豊富だから」
 それでというのです。
「あそこをこの辺りの山々の皆の共通の憩いの場所にってね」
「するの?」
「そうしようって考えてるの?」
「ひょっとして」
「あの山を」
「そうなの」 
 ドロシーが笑顔で山の皆にお話しました。
「実はね」
「そうだったんだ」
「あの山を憩いの場所になんだ」
「皆の」
「そう考えているんだ」
「ええ、それで貴方達にも聞きたいの」
 ドロシーは笑顔でコロボックルとシーザー達に尋ねました。
「どうかしら」
「ううん、どうかな」
「僕達この山でも満足してるけれど」
「充分にね」
「けれどクッシーさん以外の人達との交流もね」
「悪くなさそう」
「楽しそうだね」
 こうお話するのでした。
「それもね」
「別に悪い感じしないし」
「それじゃあだね」
「ドロシーさん達のお誘いに乗る?」
「そうする?」
「そういえばまだ他の山の人達にはお話していないね」
 ここカエルマンはこんことに気付きました。
「僕達は」
「そうだったわね」 
 ドロシーもカエルマンのその言葉に頷きました。
「言われてみれば」
「それでどうするかだね」
「それじゃあ他の山の皆にもお手紙を送って」 
 そしてと言うドロシーでした。
「後はね」
「どうするのかな」
「真ん中の山で待ちましょう」
「皆が来るのを」
「それじゃあ今から連絡をしようね」
「そのつもりよ」
 ドロシーはすぐに携帯を出してそれぞれの山のお友達にメールを送りました、するとすぐにでした。
 返事が来てです、ドロシーはにこりと笑って言いました。
「皆いいって言ってるわ」
「そうなんだ」
「真ん中の山に集まるってことでね」
 それでというのです。
「決まったわ」
「それは何よりだね」
「それで貴方達もなのね」
 ドロシーはトトに応えてからコロボックスとシーザー達に尋ねました。
「真ん中の山に来てくれるのね」
「うん、それじゃあね」
「別に何も悪いことはなさそうだし」
「それじゃあね」
「皆で行かせてもらうわ」
「奏させてもらうね」
「これで決まりね、明日にね」
 早速というのです。
「皆に来てもらって」
「明日は真ん中の山でパーティーだね」
 教授が言ってきました。
「そうなるね」
「そうね、楽しみだわ」
「日本の動物に妖怪達が集まって」
「そして日本の食べものを食べて」
 そしてというのでした。
「楽しもうね」
「是非ね」
「そうなろう」
 こうお話してでした、皆が明日に真ん中の山に集まってそうしてパーティーを開くことになりました、その話が決まってからです。
 ドロシー達はまた双子山の中を歩き回ってその中を確かめました。そしてお昼になのでした。
 沖縄と北海道の両方のお料理を食べてです、ドロシーは言いました。
「全然違うわね」
「北と南で、ですね」
「見事な位にね」
 ドロシーは北海道のスープカレーと沖縄のタコライスを食べてから恵梨香に言いました。しみじみとした口調で。
「違うわね」
「そうなんですよね、御飯のお料理も」
「カレーは日本で凄くよく食べるけれど」
 ジョージはスープカレーを食べつつ言います。
「このカレーはまた独特だね」
「うん、他の日本のカレーより汁気が多いね」
 神宝も言います。
「このカレーは」
「日本のカレーとしては少し変わってるけれど」
 カルロスもスープカレーを食べています、鶏肉のカレーです。
「これも美味しいね」
「ルーがスープみたいで」
 ナターシャはカレーを食べつつにこりとなっています。
「面白いわ」
「それでタコライスは」 
 ジョージは今度はタコライスを食べています。
「アメリカのタコスかな」
「お肉とトマトと玉葱がいいね」
 神宝もカレーの次はこちらでした。
「挽肉と細かく刻んだお野菜がね」
「メキシコのタコスが元だね」
 こう指摘したのはカルロスでした。
「それが御飯になったんだね」
「面白い発想ね」 
 タコライスを食べてもにこりとなっているナターシャでした。
「タコスを御飯にするなんて」
「この二つを食べ比べると」
 恵梨香も言います。
「本当に同じ国の料理とは違うみたい」
「そもそもカレーもタコスも」
 ドロシーがその恵梨香に応えます。
「元々は日本のお料理じゃないわね」
「はい」
 そうだとです、恵梨香はドロシーに答えました。
「そうです」
「カレーはインドからで」
 この国からで、です。
「イギリスに入って」
「そこから日本でしたね」
「そうなって」 
 そしてというのです。
「こうしたカレーライスになったのね」
「はい、そうです」
「そして」
 そのうえでと言った恵梨香でした。
「アレンジされていっカツカレーとかは」
「ドロシーさんもお好きですよね」
「あれはカツとカレーを一緒に食べようと思って」
「はい、それからみたいですね」
「ある野球選手が考えたって聞いてるわ」
「そうなんです」
 実際にというのです。
「面白いですよね」
「そうよね」
「あれも日本のお料理になりますか」
「私から見ればね」
「僕もそう思うよ」
 ボタンも言ってきました、スープカレーを食べつつ。
「カツカレーもね」
「そうなのね」
「そう、そしてね」
「タコライスも?」
「そっちもね」
 今は食べていませんがさっきまで食べていたそれもというのです。
「日本の食べものだよ」
「そう思ってるのね」
「どうもね」
「そう言われること多いわね」
「日本人はだね」
「どうもね」
「だって他の国から入っても」
 それでもというのです。
「日本で変わっていってるよね」
「だから日本のものなのね」
「そう思うよ、僕も」
「スープカレーもタコライスも」
「どっちもね」 
 まさにというのです。
「そうじゃないかな」
「北海道のお料理、沖縄のお料理」
「どっちも日本の中のね」
「そう思いますと」
 恵梨香は今はタコライスを食べています、食べながらとても美味しいと思っています。お肉もお野菜も御飯とよく合って。
「日本のお料理って多いんですね」
「とてもね」
「そうなんですね」
「ええ、それと明日は」
「はい、明日はですね」
「明日はもう本当に色々と出して」
 そしてというのです。
「皆で食べましょう」
「お料理をですか」
「もう海の幸も山の幸も出して」
 そうしてというのです。
「凄いことになるわ」
「そうですか」
「あとオジョもね」
「あの人もですか」
「呼ぼうかしら」
 こうも言うのでした。
「問題は解決してるし」
「鳥さんのことが」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「あの子も呼んでね」
「皆で、ですか」
「楽しもうかしら」
「じゃあ飛行船で迎えに行って」
「そう、そしてね」 
 実際にというのです。
「来てもらいましょう」
「じゃあオジョさんにも」
「食べ終わったらね」
 そうしたらというのです。
「すぐに連絡するわ」
「メールで」
「ええ、携帯からね」
「オズの国にも携帯があって」
「そうなの、すぐに連絡が出来て」
 そしてとです、ドロシーは恵梨香に笑顔でお話します。
「返事も貰えるから」
「凄く便利なんですね」
「昔はなかったわ」
「オズの国にも」
「そうしたものはね」
 お伽の国でもです。
「その分本当に便利になったわ」
「連絡をするにもですね」
「凄いものが出来たわ」
 携帯のことを言うのでした。
「お陰で凄く便利になったわ」
「そういえばドロシーさん達も最初の頃は」
「携帯とかなかったね」
「テレビもなかったし」
「飛行船とかもね」
「潜水艦も最初なくて」
「今と全然違っていたわ」
 五人で言うのでした。
「あの頃のオズの国は」
「魔法使いさんの危急はあったけれど」
「携帯とかとても」
「コンピューターだって」
「もう何もかもが」
「そう、あの頃と比べたら」
 それこそとです、ドロシー自身言うのでした。
「オズの国はかなり変わったわ」
「そして携帯とメールで」
「あっという間にやり取りが出来るから」
 例え離れていてもと言ったドロシーでした、
「便利になったわ」
「そうですよね」
「凄く便利になって」
 ドロシーは恵梨香に笑顔でお話しました。
「こうしてオジョにもね」
「すぐに行けますね」
「そうよ、それとね」
「それと?」
「私達がここまで来るのに乗って来た飛行船を使って」
「あっ、お空も飛べて」
「オズの国のお空も冒険出来る様になったわね」
 ドロシーにとっても驚くべきことだったのです、オズの国のお空は。
「鳥さん達だけでなくお魚も泳いでて」
「飛ぶみたいにして」
「フェニックスもいたしね」
「雲の上に精霊さん達の宮殿があって」
「天使のお城もね」
 まさに天空の城です、オズの国のお空には他にも竜に乗った郵便局員の人達もいて皆の為に働いてくれています。
「あるでしょ」
「はい、それこそですね」
「そうした国に行ける様にもなったから」
 だからというのです。
「余計に凄いと思うわ」
「今のオズの国は」
「これからもっと凄くなるわよ」
「そうですよね」
「ええ、じゃあ明日はね」
「はい、その飛行船でオジョさんのところに行って」
「皆でパーティーを楽しみましょう」
 その真ん中の高い山でというのです。
「そうしましょう」
「わかりました」
「皆が集まるから」
 それでと言ったトトでした。
「本当に凄いパーティーになるね」
「お祭りかしら」
 恵梨香はトトにくすりと笑って言いました。
「そちらになるかしら」
「お祭り?」
「そう、それにね」
 またトトに言うのでした。
「明日は」
「ああ、そっちになるんだ」
「だって皆が揃うから」
 だからというのです。
「賑やかに遊んでだから」
「集まる数も多いから」
「盆踊りみたいなね」
「日本のお祭りかな」
「夏のね」
 恵梨香はトトに盆踊りのこともお話しました。
「太鼓の音に合わせて踊るの」
「日本の踊りをだね」
「そうなの、浴衣を着てね」
「浴衣って何かな」
「日本の夏に着る着物なの」
「そんなのもあるんだ」
 トトもそれを知ったというお顔で頷きます。
「面白いね」
「そうでしょ」
「あっ、それじゃあ」
 ドロシーは恵梨香のそのお話を聞いて言いました。
「皆で浴衣を着てね」
「そしてですか」
「明日は楽しまない?」
「浴衣ですか」
「何かお話を聞いていたら面白そうだから」
 だからというのです。
「皆で浴衣を着ましょう」
「ドロシーさん浴衣持っておられるんですか」
「飛行船のクローゼットに服が一杯あって」
 そしてというのです。
「その中に日本の着物も一杯あってね」
「それで、ですか」
「浴衣もあるの。実は私も持ってるから」
「それは知りませんでした」
「だからアメリカにも日系人の人がいてね」
 このことからというのです。
「オズの国にも反映されるからよ」
「だからですか」
「オズの国にも浴衣があって」
 そしてというのです。
「私もオズマも浴衣を持ってるのよ」
「それは知りませんでした」
「何なら今度見せてあげるわね」
 オズマの浴衣姿もというのです。
「よかったわね」
「わかりました、ただ」
「驚いたみたいね」
「はい、浴衣まであるなんて」
 オズの国にはです、本当にドロシーはそこまでとは考えていませんでした。この国がそこまで多彩とはです。
「思いませんでした」
「他にも色々な服持ってるから」
「浴衣以外にも」
「ええ、民族衣装とかもね」
 恵梨香ににこりと笑ってお話します。
「一杯持ってるわよ」
「今みたいな冒険用の服やドレス以外にも」
「持ってるのよ」
 実際にというのです。
「一杯ね」
「いいですね」
「そうでしょ、何着持ってるか」
 その服はといいますと。
「私もわからない位よ」
「そんなに持っておられるんですか」
「そうなの」
 どうにもというのです。
「何か色々貰って」
「オズの国の人達から」
「そうなってね」
 そしてというのです。
「もう何百着あるか」
「わからない位ですか」
「そうなの」
「王女様になるとそうなりますか」
「色々な人がくれて」
 服をプレゼントにです。
「そうなったの」
「ううん、それで何百もですか」
「千あるかも知れないわ」 
「いいですね」
「それで浴衣もなの」 
 この服もというのです。
「持ってるのよ」
「それで飛行船のクローゼットには浴衣が」
「皆の分があるわ」
「それは何よりですね」
「じゃあ皆は明日はね」
「それぞれの浴衣を着て」
 恵梨香は笑顔で応えました。
「そうしてお祭りに出るんですね」
「そうしましょう」
 是非にというのでした。
「皆でね」
「わかりました」
 笑顔で頷いた五人でした、そして。
 そのお話の後で、です。また冒険をしてでした。その中でカエルマンは双子山についてこんなことを言いました。
「沖縄と北海道を一瞬で行き来出来るか」
「それは無理だね」
「うん、日本のことはよく知らなくても」
 教授に応えてさらに言います。
「それはね」
「無理だね」
「距離の問題でね。けれどこの山にいたら」
「すぐに行き来出来る」
「贅沢な山だね」
「そうだね」
「そして真ん中の山で」 
 そこで、なのでした。
「明日は」
「お祭りだね」
「そうなるね」
「では私達もね」
「服は奇麗にしよう」
「いつも以上にね」
「お二人はいつもタキシードですね」
 恵梨香は二人に言いました。
「そうですよね」
「そう、観た通りにね」
「我々はいつもタキシードだよ」
「勿論明日もだよ」
「タキシードだよ」
 二人はこの服だというのです。
「この服は正装だからね」
「何処に着て行っても通用する」
「だからだよ」
「この服で行くよ」
「わかったわ、じゃあ二人はタキシードで」
 ドロシーが頷きました。
「ボタンはどうかしら」
「僕はいつも通りでいいよ」
「水兵さんの服で?」
「うん」
 こうドロシーに答えるのでした。
「僕の服は兵隊さんの軍服だよね」
「ええ、そうよ」
 その通りだとです、ドロシーも答えます。
「その服はね」
「そうだよね、じゃあね」
「その服でいいの」
「奇麗だったらね」 
 それでというのです。
「いいよ」
「そうなの」
「だからお祭りの前は奇麗にするけれど」 
 それでもというのです。
「別にいいよ」
「わかったわ。ボタンがそう言うのなら」
 ドロシーはボタンの意見を尊重して言いました。
「それでいいわ」
「そうするね」
「けれど気が向いたらね」
「浴衣を着たいと思ったらだね」
「何時でも言ってね」
 ボタンににこりと笑って言うのでした。
「その時はね」
「うん、わかったよ」
 ボタンもドロシーの優しさと気遣いを察して頷きます。
「若しそう思ったらね」
「そういうことでね」
「お願いするね」
「ええ、その時はね」 
 ドロシーはにこりと笑ってボタンに応えました、そしてです。最後にトトにお顔を向けて言いました。
「トトは新しい奇麗な首輪に替えて」
「そしてだね」
「お風呂に入って」
「ちゃんと洗って」
 トトもにこりとして応えます。
「そうしてだね」
「ブラッシングもしてね」
 お風呂で洗った毛をというのです。
「そうしてね」
「お祭りに出るんだね」
「そうしましょう、いいわね」
「うん、わかったよ」
 トトは笑顔でドロシーに応えました。
「それじゃあね」
「その時はね」
「そうして奇麗にしてからね」
「お祭りに行きましょう」
 お互いに笑顔でお話をしてそうしてでした、皆で明日のことを決めました。そのうえでその明日に思いを馳せるのでした。



双子山、面白いな。
美姫 「確かにね。日本の北と南が隣合っているなんてね」
さて、今回の旅の調査はお終いって事かな。
美姫 「そうね。次はお祭りかしら」
それはまた楽しそうだな。
美姫 「出店とかも出るのかしらね」
どんな感じになるのか。
美姫 「次回も待っていますね」
待っています。



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