『オズのトト』
第十幕 蝦夷の山
一行は沖縄の生きもの達の山を回ってから次の日に別の山に入りました。その山に入ってです。
ムシノスケ教授は皆にです、こんなことを言いました。
「この山ともう一つ回ったらね」
「もうなのね」
「時間かな」
こうドロシーに答えました。
「それ位でね」
「それが終わったらオジョに事情を詳しくお話して」
「携帯で連絡はしてるね」
「ええ、オジョにもオズマにもね」
王宮にいる彼女にもというのです。
「そうしてるわ」
「それじゃあね」
「いいのね」
「合格だよ、じゃあオジョもオズマ姫も安心しているね」
「メールでよかったって言ってくれてるわ」
実際にそのメールを見せてです、ドロシーは教授に笑顔でお話しました。
「この通りね」
「それは何よりだよ」
「こうした時はよく連絡しておかないと」
「相手が心配するからね」
「そう思ってね」
ドロシーも連絡をしていたのです。
「いつも通りしていたけれど」
「よかったね」
「本当にね」
「それでだけれど」
連絡のお話が終わったところで、です。今度はカエルマンが皆が今いる山の中を見回して言いました。
「この山は本土の山と木々が似ているね」
「草もかな」
トトは自分の周りを見ています、そのうえでの言葉です。
「本土の山に近いかな」
「そうだね、微妙に違う感じだけれど」
「かなり似ているね」
「沖縄の感じではないのは確かだよ」
「そうだね」
「じゃあ生きものもかな」
ボタンはカエルマンとトトのやり取りを聞いてこう考えました。
「本土の生きものと同じなの?」
「そうかもね」
カエルマンはボタンに考えているお顔で答えました。
「ひょっとしてだけれど」
「そうなんだ」
「うん、この草木の感じだとね」
植物の状況を見て言うのでした。
「似ているからね」
「生きものもだね」
「植物が似ているとそこにいる生きものも似るんだ」
「どうしてなの?」
「環境が似るからだよ」
だからだというのです。
「自然とそうなるんだ」
「そうなの」
「うん、オズの国もそうだよ。ただ」
「ただ?」
「オズの国はそこだけにいるって十人も多いからね」
外の世界にはいない個性的な身体を持った人達がです。
「クルマー、トンカチヘッド、瀬戸物の人達と多いね」
「うん、そうした人達もいるってことはだね」
「オズの国ならではみたいだよ」
こうボタンにお話するのでした。
「どうもね」
「そうなんだね」
「カエルマンさんのお話通りに」
今度は恵梨香が言いました。
「確かに植物が同じだとそこにいる生きものも同じね」
「うん、日本でも本州と四国、九州は同じ植物だからね」
ジョージは自分達が今いるお国のことをお話しました。
「同じ生きものがいるね」
「狐や狸、猪がいて」
神宝は具体的にそうした生きものをお話に出しました。
「鹿や熊もね」
「広い場所でも植物が同じなら」
カルロスはお国のとても広いジャングルであるアマゾンを思い出しました、とはいってもカルロス自身は殆ど入ったことがない場所です。
「蛇や鰐もだね」
「気候と植物ね」
ナターシャも言いました。
「そこにいる生きものを決めるのは」
「そうだね、その二つだね」
カエルマンは五人にも応えました。
「そこにいる生きものを決めるのは」
「気候と草木」
「その二つで住む生きものも決まる」
「その生きものが勝手に住むんじゃなくて」
「その二つで決まる」
「そういうことですね」
「そうね、オズの国は気候は何処も過ごしやすいけれど」
ドロシーは外の世界のことをお話しました。
「外の世界は気温も様々でむしろそこからね」
「植物も決まるね」
「そうなのよね」
こうトトにお話しました。
「外の世界だとね」
「そうだよね」
「つまり気候ね」
「そこにいる生きものを決めるのは」
「砂漠には砂漠の生きものがいて」
「森には森の生きものだね」
「そうなるわね、それじゃあ」
ここでまた言ったドロシーでした。
「外の世界は気候ね」
「それが大事だね」
「第一はね。そしてオズの国は」
「植物だね」
「気候が同じだから」
それでというのです。
「そうなるわね」
「そういうことだね」
「それじゃあこの山にいるのは」
ドロシーも自分達の周りを見ました、自分達が歩いているその山の中を。
「本土の山と同じか似ているか」
「どちらかになるのかな」
「そうね、じゃあ今から」
「皆でね」
「調べましょう」
こうお話してです、皆でまずは山の中にいる生きものを探しました。するとすぐにでした。
一匹の鹿が皆の前に出て来ましたが恵梨香がすぐに言いました。
「あれっ、大きいわ」
「あの鹿が?」
「ええ、奈良や広島で見る鹿よりも」
こうトトに答えました。
「大きいわ」
「そうなんだ」
「ふむ、あの鹿はエゾシカだね」
教授はその奈良や広島の鹿よりも大きな鹿を見て言いました、外見はそちらの鹿ととてもよく似ていますが大きさが違うのです。
「日本の北海道の鹿だよ」
「そうなんですか」
「うん、あの鹿はね」
「北海道の鹿で」
「多分ここにいる生きもの達はね」
「北海道の生きものなんですね」
「日本のね」
まさにその場所のというのです。
「そうだよ」
「じゃあこの山は」
「北海道の生きもの達がいる山だね」
まさにその山だというのです。
「そこだね」
「それじゃあ」
「うん、他の生きもの達も見ていこう」
「わかりました」
恵梨香が皆を代表して頷いてです、そのうえで。
皆で山の中を歩いてそこにいる生きるもの達を見て回りました、そして巡り会った生きもの達はといいますと。
「沢山いるわね」
「そうだね、鹿だけじゃなくてね」
「狐に狸、栗鼠もいて」
「クロテンもいて」
「本土に似ている様でまた違うわね」
「あと」
恵梨香は今自分達の前にいるとても小さな鼠に似た哺乳類を見て言いました。
「この小さな鼠さんみたいな生きものは」
「ナキウサギだね」
「ナキウサギですか」
「あの生きものはね」
「北海道にいる生きものですか」
「本土だと青森辺りにもいるね」
その辺りにというのです。
「そして北海道にもね」
「いてそれで、ですね」
「この山にもいるんだよ」
「そうなんですね」
「北海道は寒冷だね」
「はい、寒いです」
「だから寒い場所の生きものがいるんだ」
「そういえば」
ここでナターシャが言いました。
「シベリア辺りの生きものがいるわ」
「あっ、シマリスとかクロテンは」
ジョージはそうした生きものことをお話しました。
「そっちの生きものだね」
「中国でも北の方にいるよね」
神宝もそうした生きものについて言いました。
「アメリカでもそうだね」
「まああれだね」
カルロスが言うことはといいますと。
「寒い場所同士ってことだね」
「そうね、日本だけれど寒い場所だから」
恵梨香はナキウサギの近くに来てじと見ながら言うのでした。
「クロテンやこうした生きものもいるのね」
「そうだね」
「それで、ですね」
恵梨香は教授に応えながらこの生きものの名前を出しました。
「ヒグマも」
「北海道といえばかな」
「何といいましても」
実際にと答える恵梨香でした。
「あの熊さんですね」
「そうみたいだね」
「あの狐は」
今度は近くに狐を見て言いました。
「キタキツネで」
「熊はだね」
「ヒグマです、それで」
「それで?」
「本土の熊よりずっと大きいんですよね」
「ツキノワグマだね」
「あの熊は結構小さくて」
動物園で見てこのことは知っているのです。
「ヒグマはとにかく大きいです」
「そしてそのヒグマも」
「この山にいますね」
「きっとね」
「そうなんですね」
「絶対に会えるよ」
そのヒグマにもというのです。
「楽しみにしておいてね」
「わかりました」
恵梨香はナキウサギやキタキツネを見つつ教授に応えました、そしてそうしたお話をしてです。
山を回っていると実際にでした、黒に近いダークブラウンの毛のとても大きな熊が皆の前に出てきました。ボタンがその熊を見て言いました。
「うわ、大きいね」
「ええ、この熊がね」
「ヒグマなんだね」
「そうだと思うわ」
恵梨香はすぐにボタンに答えました。
「この熊がね」
「そうなんだね」
「ここは北海道の山だから」
「ええ、そうよ」
その熊が答えてきました、かなり大人な感じの女の人の声です。
「私はヒグマよ」
「そうなのね、やっぱり」
「この山に住んでいるのよ」
「この山が北海道の山だから」
「そうよ」
四つん這いの姿勢で皆の前にいてそこから言うのでした。
「だからこの山にいるのよ」
「そうなのね」
「それでね」
ヒグマは恵梨香にさらに言ってきました。
「あんた達はこの山にどうして来たのかしら」
「この山に誰がいるのか、どんな山か調べに来たの」
ドロシーが答えました。
「それで来たの」
「そうだったのね」
「ええ、そうなの」
「そう言うあんたはドロシー王女じゃない」
ヒグマはここでドロシーに気付きました。
「王宮から来たのね」
「そうよ」
ドロシーは微笑んでヒグマに答えました。
「飛行船でね」
「成程、そうだったのね」
「別に悪気はないから」
「そうよね、それならね」
「それなら?」
「これからもね」
ヒグマは明るい声になってドロシーにお話しました。
「回っていってね」
「そうしていいのね」
「是非ね」
笑顔で言うのでした。
「楽しんでそうしてね」
「ええ、わかったわ」
ドロシーはヒグマの言葉にこりと笑って応えました。
「それじゃあそうさせてもらうわね」
「そうしてね、じゃあ私はこれでね」
「何処に行くの?」
「美味しい山菜が一杯ある場所があるから」
それでというのです。
「そこに子供達を連れて行くの」
「それで家族で食べるのね」
「旦那は岩魚や鮭を見付けてるから」
「そちらもなのね」
「一緒に食べるわ」
そうするというのです。
「家族皆でね」
「仲良くなのね」
「そうするわ、じゃあね」
「ええ、またね」
「会いましょう」
こうお話してです、そしてでした。
ヒグマは皆の前から去ってでした、そのうえで。
ドロシーはヒグマを見送った後で、です。皆にこんなことを言いました。
「一旦ティータイムを取って」
「それで、ですね」
「あらためてですね」
「そう、また回りましょう」
山の中をというのです。
「そうしましょう」
「わかりました、それじゃあ」
「そうしましょう」
皆も応えてそうしてでした。
実際にティータイムの時間を取ってからあらためて山の中を回りました。そこで皆は山の中にある湖を見ましたが。
その湖を見てです、恵梨香がこんなことを言いました。
「クッシーいるかしら」
「クッシー?」
「あの北海道にいるっていう恐竜?」
「その恐竜がこの湖にいるか」
「そう思ったの」
「そうなの、まあね」
ナターシャ達に応えて少し笑顔で言った恵梨香でした。
「いないわよね」
「ううん、どうかな」
教授は少し考えてから恵梨香に応えました。
「ここはオズの国だからね」
「いるかも知れないですか」
「恐竜もいる国だからね」
「はい、そうですよね」
「他にも不思議な生きものが一杯いるし」
「そう、だからね」
それでというのです。
「ひょっとしたらね」
「この湖にも」
「いるかも知れないね」
そのクッシーがというのです。
「あくまで若しかしたらだけれど」
「いるかも知れないですか」
「そしていないかも知れない」
「どちらの可能性もありますか」
「それを言ったら本土の山でもだね」
あちらの山でもというのです。
「未確認の生きものがいるかも知れないから」
「日本では」
「中々言えないよ」
「ツチノコはいましたけれど」
恵梨香はこの蛇を思い出しました。
「オズの国に」
「そうだったね」
「それじゃあクッシーも」
「ひょっとしたら」
可能性としてはというのです。
「いるかも知れないですね」
「そうだよ」
「可能性の問題ですか」
「この湖にはいないかも知れないけれど調べてみようか」
「はい」
恵梨香は教授に頷いて答えました、そしてです。
湖に近付いてです、教授は懐から掌サイズの潜水艦を出してそのうえでこう皆に言いました。
「この潜水艦にはカメラがあってね」
「そのカメラで、ですね」
「湖の中を見られる」
「そうなんですね」
「これでお水の中を見られるんだ」
湖の中もというのです。
「だからね」
「そのカメラを使って」
「そして、ですね」
「クッシーがいるかどうか調べる」
「そうされますか」
「他の生きもの達もだよ」
つまり湖の中全てをというのです。
「そうするよ」
「わかりました」
「それじゃあですね」
「今から湖の中に」
「その潜水艦を入れますか」
「そうするよ」
こう言ってでした、そのうえで。
教授は潜水艦を湖の中に入れようとしました、けれどその前に湖の水面が大きく揺れてでした。
首の長い大きな恐竜が出てきました、恵梨香はその恐竜を見て目を丸くさせて言いました。
「あっ、この恐竜が」
「クッシーだよね」
「ええ、そうよ」
こうトトに答えました。
「まさか本当にいるなんて」
「オズの国だからね」
「いるのね」
「恐竜もいる国じゃない」
さっきお話した通りにというのです。
「だからだよ」
「恐竜もいて」
「クッシーもいるんだ」
「そうなのね」
「うん、よかったね」
「ええ、クッシーを観ることがね」
恵梨香はトトに目を輝かせて答えました。
「私の夢の一つだったの」
「そうだったんだね」
「そしてその夢が適ったわ」
「それは何よりだね」
「ええ、だからね」
笑顔で言う恵梨香でした。
「私この時のことを忘れないわ」
「それは何よりだね」
「夢が適ったのはいいことよ」
ドロシーは恵梨香ににこりと笑って応えました。
「とてもね。ただね」
「ただ?」
「一つ適ってもね」
その夢がというのです。
「それで終わりじゃないわよ」
「夢が一つ適っても」
「そう、また夢が出来るから」
寝ている時に見る夢とはまた別の夢がです、ドロシーはクッシーを観られて感激していおる恵梨香に言うのでした。
「その夢を適えるのよ」
「秘湯の梅が適えば」
「また一つの夢をね。そして夢はね」
さらにお話したドロシーでした。
「ずっと見られるのよ」
「ずっとですか」
「大人になってもね」
「私達が大人になっても」
「子供の時の心を失わないと」
そうであればというのです。
「出来るのよ」
「そういえば」
ここで、です。恵梨香は教授とカエルマンにお顔を向けました。オズの国の大人である彼等を。
そしてです、こうも言いました。
「魔法使いさん、キャプテン=ビルも」
「あの人達がそうね」
「はい、大人になりましても」
「子供の時の心を忘れていないわね」
「はい」
その通りだとです、恵梨香はドロシーに答えました。
「ボームさんもそうですし」
「その心を忘れていないとね」
「夢はですね」
「また出来るから」
「一つ適えて」
「また一つ適えるのよ」
こう恵梨香に言うのでした。
「新しい夢をね」
「そうすればいいんですね」
「そうよ、クッシーを観たらね」
「また次の夢を適える」
「そうしていくものよ」
「子供の心を忘れないことですね」
「そのことが大事なの」
大人になってもというのです。
「まずはね」
「そうなんですね」
「そう、そしてね」
「そして?」
「ええ、クッシーと会ってね」
そしてというのでした。
「お話してみたくない?」
「オズの国の生きものだから」
「そう、お話出来るわよ」
ドロシーは恵梨香にこのこともお話しました。
「してみる?」
「はい」
恵梨香はドロシーにすぐに答えました。
「それじゃあ」
「ええ、じゃあね」
「今からですね」
「クッシーとお話しましょう」
こうしてです、一行はクッシーとお話をすることになりましたが皆で声をかけてみるとです。
クッシーは気さくに応じてです、こう言ってきました。
「僕に何の用かな」
「うん、ここの暮らしはどうかとね」
「聞きに来たのかな」
「そうなのだよ」
教授は自分にお顔を近付けてきたクッシーに答えました。
「いい暮らしかな」
「実に快適だよ」
クッシーは教授に気さくな笑顔のまま答えました。
「適度に広くて湖だからね」
「それは何よりだね」
「確かにね」
カエルマンはその湖のお水を見て言いました。
「このお水はいいお水だね」
「流石はカエルマンさん、よくわかるね」
「お水といえばね」
今度はカエルマンが気さくに応えました。
「僕だね」
「そうなるね」
「少なくともお水のことはわかるよ」
カエルマンはクッシーにあらためて答えました。
「本当にね」
「そうだね」
「うん、それでこの湖のお水もね」
実際に見てみてというのです。
「わかったよ」
「そうだね」
「うん、それとね」
さらに言うカエルマンでした。
「一つ思ったことは」
「何かな」
「うん、君はどういった恐竜なのかな」
恐竜は恐竜でもというのです。
「一体」
「うん、ブロントサウルスだよ」
「ブロントサウルスっていうと」
その恐竜と聞いてです、ジョージが言いました。
「雷竜だね」
「草食性の恐竜だね」
神宝もその雷竜について言いました。
「だから大人しいって聞いてるよ」
「首長竜に似ているけれどね」
水面に出ている限りはとです、カルロスはこのことを言いました。
「雷竜だと大人しいね」
「そうね、そういえば首長竜は海にいて肉食で」
ナターシャも恐竜について言いました。
「首長竜は川や湖のところにいて草食ね」
「雷竜といっても色々で」
クッシーも言ってきました。
「僕はお水の中にいなくてもいいけれど」
「よくなのね」
「お水の中にいるんだ」
こうドロシーに答えました。
「この中にいるのが好きだからね」
「それで泳いだりしているのね」
「そうだよ」
実際にというのです。
「そうしているよ」
「そうなのね」
「じゃあ日本のクッシーも」
ここで恵梨香は北海道のクッシーについてお話しました。
「ブロントサウルスなのかしら」
「それはどうかな」
クッシーは恵梨香の今の言葉には微妙なお顔になって返しました。
「わからないよ」
「外の世界は外の世界なのね」
「あちらのクッシーはどうかな」
「ブロントサウルスとも限らないのね」
「そう思うよ」
「じゃあ首長竜なのかしら」
「恐竜とは限らないしね」
「そういえば」
クッシーのその指摘にです、恵梨香は気付いたお顔になって言うのでした。
「ネッシーも色々言われているわね」
「そうなの?」
「ええ、実はね」
ボタンにも答えました。
「お魚とかアザラシとか色々言われているの」
「そうだったんだ」
「流木とか牛さんの死骸とか」
「何でもあるんだね」
「そうなの、本当はネス湖にいなくて」
ネス湖にいるからネッシーだけれどです。
「川や地下の水脈を伝って海から来ているとかね」
「そうも言われてるの」
「そうなんだ」
「だからネッシーは恐竜じゃないかも知れないし」
「クッシーもだね」
「ひょっとしたら」
可能性として、というのです。
「恐竜じゃないかも」
「外の世界だと」
「いないかも知れないし」
「いなかったら残念だね」
「ええ、本当にね」
それは恵梨香にしてもです、お顔にそうであった場合のことを考えると残念だという言葉も出ています。
「そうね」
「そうだよね、いなかったら」
「そしていてもね」
「恐竜とは限らないし」
「どの恐竜ともね」
「わからないんだね」
「そうなの」
こうボタンにお話するのでした。
「これがね」
「何かと複雑な事情があるんだね」
「そうなの、けれどオズの国だと」
今いるこの国ではといいますと。
「この通りね」
「いてくれるんだね」
「そうよ」
笑顔で応えた恵梨香でした、そしてです。
あらためてクッシーとお話をしますがクッシーは気さくなままドロシー達にお話をしました。
「その辺りにある草や果物を食べていてね」
「果物も食べてるの?」
「そうなんだ、山菜もね」
そちらもというのです。
「食べているよ、特にね」
「特に?」
「お隣の山まで行って」
そこでというのです。
「コロボックルさん達と遊んでね」
「コロボックル?」
教授はその名前を聞いてすぐに言いました。
「日本の北海道にいる小人だね」
「うん、シーザーさん達も一緒だよ」
「沖縄の狛犬だね」
教授はまた言いました。
「彼等もオズの国にいるんだ」
「シーザーさん達はコロボックルさんの山の隣の山に住んでいて」
「そして彼等とだね」
「一緒に遊んでね」
そしてというのです。
「あの人達が作っている果物をご馳走になっているんだ」
「成程、そうなのか」
「僕は果物が好きだから」
それでとです、クッシーはまた教授にお話しました。
「よくご馳走になっているんだ」
「北海道や沖縄の果物を」
「メロンとかね、あとマンゴーとかもね」
クッシーはお話をしながら楽しそうに舌なめずりもしました。
「本当に美味しいよ」
「北海道っていうとメロンで」
恵梨香も言います。
「これが凄く美味しくて」
「そうそう、北海道のメロンって別格だよ」
「日本のメロンで一番美味しいね」
「それと乳製品もいいんだよね」
「北海道の食べもののお話はよく聞くわ」
ジョージ達四人も恵梨香に応えて言います、それもにこにことして。
「本当にね」
「ジャガイモもあるし海の幸も」
「ラーメンもあるし」
「ジンギスカン鍋も」
何でもというのです、そしてです。
ドロシーも彼等のお話を聞いて言いました。
「じゃあ」
「今日のお昼はだね」
「北海道の食べものでいきましょう」
こうトトにも答えました。
「そうしましょう」
「ラーメンとかも出すんだね」
「あと海の幸だけれど」
北海道のそれはといいますと。
「蟹に烏賊、鮭にってね」
「一杯あるね」
「あり過ぎてわからない位よ」
「あとジンギスカン鍋だね」
「羊ね」
「そして乳製品とね」
「メロンもね」
最後の二つも忘れていませんでした。
「あるわね」
「本当に一杯あるわね」
「沖縄料理と同じだけね、そしてね」
さらに言うドロシーでした、
「ジンギスカン鍋は晩御飯にして」
「お昼は」
「他のお料理にしましょう」
「そちらの方にだね」
「しましょう」
是非にというのです。
「ラーメンと海の幸は」
「そちらはお寿司かな」
「ううん、ラーメンには合わないかしら」
「じゃあどうするのかな」
「そうね、ラーメンはジンギスカン鍋と一緒に晩御飯にして」
そしてというのでした、考えを変えて。
「お昼はお寿司かしら」
「その海の幸を使った」
「蟹や烏賊、鮭の他にもね」
北海道の海の幸をというのです。
「ふんだんに使った」
「それ凄く美味しそうだね」
「そうよね、蟹はお鍋もあるけれど」
「今回はだね」
「お寿司ね」
そちらだというのです。
「そちらにしましょう」
「何か凄いお昼になりそうだね」
北海道の海の幸を使ったお寿司と聞いてです、トトは言うのでした。
「今日のお昼もかな、あとね」
「あと?」
「デザートは」
「メロンか乳製品だけれど」
「どっちかな」
「メロンかしら」
そちらだというのです。
「最初にお話に出たし」
「先着順だね」
「それでね」
「ううん、何かいい感じになってきたね」
「じゃあお寿司とメロンね」
「その二つだね」
「これでいきましょう、皆もこれでどうかしら」
ドロシーはトトのお話の後で恵梨香達に尋ねました。
「お昼はお寿司とメロン、晩はジンギスカン鍋とラーメンでね」
「デザートは乳製品ですね」
「そちらよ」
恵梨香の質問に答えました。
「そのついもりよ」
「それじゃあ」
「そう、お昼も晩も北海道のご馳走よ」
それを食べてというのです。
「楽しみましょう、どうかしら」
「異議なしです」
皆すぐにドロシーに答えました。
「それにしましょう」
「今日のお昼と晩は」
「北海道尽くしってことで」
「お寿司もメロンも楽しんで」
「ジンギスカン鍋とラーメンも乳製品も」
「最高の献立だね」
「全くだよ」
教授とカエルマンも異存はありませんでした、二人でお顔を見合わせて頷き合ってからドロシーに応えます。
「北海道の生きものの山を調べているし」
「丁度いいよ」
「僕もいいと思うよ」
最後にボタンが応えました。
「それでね」
「決まりね」
ドロシーは皆の賛成の言葉を聞いてから笑顔で応えました。
「じゃあ今日のお昼と晩は」
「北海道のお料理ですね」
「そうしましょう」
「僕はお寿司とかは食べないけれど」
クッシーがここでまた言ってきました。
「皆楽しそうだね」
「ええ、お話をしているだけでね」
「そんなに美味しいんだね」
「お寿司もラーメンもね」
そうだとです、恵梨香はクッシーに笑顔で答えました。
「凄く美味しいのよ」
「そこまでなんだ」
「私も大好きだし」
「他の皆もだね」
「大好きなの」
北海道のお料理がというのです。
「本当にね」
「じゃあ皆でだね」
「これから楽しんでね」
「食べるんだね。じゃあそうしてね」
「是非ね」
「さて、それでだけれど」
教授はまたクッシーに言いました。
「この湖を調べさせてもらっていいかな」
「ああ、さっき潜水艦でと言ってたね」
「聞こえていたんだね」
「お水の中からね」
そうだったというのです。
「聞いていたよ」
「それでどうかな」
「うん、いいよ」
微笑んで、です。クッシーは教授に答えました。
「ここは僕のお家じゃないしね」
「君のお家は」
「そう、別のところにあるから」
「この山にだね」
「湖のすぐ近くに洞窟があってね」
「そこで暮らしているのか」
「凄く広くて大きな場所だから」
だからというのです。
「そこで暮らしているんだ」
「成程、そうなのか」
「うん、だからね」
「この湖はだね」
「僕に許可を得なくてもね」
それでもというのです。
「いいよ」
「では今から」
教授はクッシーに応えてそしてでした、潜水艦を湖の中に入れてその中を調べるのでした。そしてお昼御飯の時にです。
お寿司を食べつつです、皆にその湖のことをお話しました。
「鮭や岩魚がいてね」
「そうしてですか」
「生態系は中々よかったよ」
こうお話するのでした。
「調べていてね。ただね」
「ただ?」
「本土の山とはまた違っていたよ」
その生態系はというのです。
「独特だったよ」
「北海道だからですか」
「それでね」
教授は恵梨香に答えました。
「それでね」
「やっぱりそうですか」
「うん、やっぱりね」
さらに言う教授でした、いくら巻きを食べながら。
「北海道だね」
「湖の中も」
「本土とは違っていたよ」
そうだったというのです。
「それも私にとっては面白かったよ」
「同じ日本でも違うから」
「日本の国土は君達のお国の中では一番狭いね」
教授は今度は恵梨香達五人を見て言いました。
「面積では」
「はい、それは」
「そう、普通国の面積が狭いと」
教授は国の面積の大小を良し悪しとは考えず言うのでした。
「生態系も限られるけれど」
「日本はですか」
「多彩になってるね」
「本土と北海道、沖縄で」
「そうだね」
「それがですか」
「かなり独特で」
それでというのです。
「実に興味深いよ」
「教授としましては」
「実にね。出来れば」
こうも言った教授でした。
「私もね」
「実際に日本に行って」
「調べてみたいとさえ思うよ」
恵梨香に言うのでした。
「フィールドワークとしてね」
「その目で見ることですね」
「その場所に行ってね」
そしてというのです。
「そうしたいものだよ、けれど」
「それは、ですよね」
「うん、出来ないよ」
少し苦笑いになって答えた教授でした。
「この外見は目立つからね」
「外の世界では」
「うん、だからね」
それでというのです。
「それは出来ないよ」
「そうですよね」
「オズの国の住人は外に出たら」
どうなるかといいますと。
「特撮扱いだよ」
「着ぐるみですか」
「そうなるよ、着ぐるみ扱いはね」
苦笑いの度合いが強まりました。
「私も嫌だし」
「目立って皆が注目して」
「フィールドワークどころでもなくなろだろうし」
このことについても言うのでした。
「無理だね」
「実際に日本に行くのは」
「残念だけれどね」
「オズの国にいたら」
どうかとです、ドロシーも言いました。
「どうしても外の世界には行けなくなるね」
「どうしてもね」
「そうよね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「私はここで学ぶよ」
「そうするのね」
「最高で八条学園に出て」
恵梨香達の学校で彼女達がかかし達を見たその場所です。
「仮装大会に参加する位かな」
「そうなるわね」
「うん、まあそれで我慢するよ」
「外の世界に出る時は」
「それでいいよ、じゃあね」
「ええ、外の世界のことは」
「これ位ってことで。午後も回って」
山の中をです。
「見ていって」
「そしてね」
「後はね」
まさにというのです。
「晩御飯を食べて」
「そして明日もね」
「明日はまた別の山に入ろう」
「そうしましょう」
二人で笑顔で話してでした、そのうえで。
一緒に楽しくお寿司を食べました、北海道の海の幸のお寿司は舌がとろける位に美味しかったです。
ヒグマにクッシーか。
美姫 「オズならではって感じよね」
だよな。普通にヒグマが出たら逃げるからな。
美姫 「クッシーは見てみたいけれどね」
良いな、オズの国。
美姫 「今回も楽しそうね」
ああ。次回はどうなるのか。
美姫 「待っていますね〜」
待っています。