『オズのトト』




           第三幕  空からマンチキンの国に

 出発の朝です、ムシノスケ教授はとてもうきうきとしている様子で共に冒険に行くカエルマンに言いました。
「いや、楽しみで仕方がないよ」
「おや、これはまた随分とお洒落をして」
 カエルマンはムシノスケのタキシードとシルクハットを見てすぐに気付きました。一見するといつもと同じですが。
「新しい服だね」
「うん、そうだよ」
「ピカピカじゃないか」
「そう言う君もね」
「そう、実はね」
 カエルマンもにこにことして言うのでした。
「僕もだよ」
「新しい服だね」
「そうなんだ」
 いつもの黄色のタキシードとシルクハット、それに靴ですがどれも確かにピカピカのものです。
「久し振りの冒険だからね」
「どうしてもだね」
「お洒落をしたくて仕方なくて」
 だからだというのです。
「おろしたんだ」
「そうだね」
「オジョのところまですぐだけれど」
 それでもというのです。
「冒険は久し振りだから」
「本当に楽しみだね」
「全くだよ」
「二人共お洒落し過ぎよ」
 ドロシーはそんな二人にくすりと笑って言いました、見ればこの娘はいつもの冒険の時の服です。
「冒険だから動き回るのに」
「いやいや、わかっているけれどね」
「それでもだよ」
 二人はドロシーにもにこにことしてお話します、
「着飾っていないと」
「久し振りって思うとね」
「だからだよ」
「こうして着飾ったんだ」
「楽しみで仕方なくて」
「そうなのね」
「それもいいんじゃないかな」
 トトはドロシーの傍から言ってきました。
「お洒落をして出てもね」
「冒険にも」
「そう、楽しみものだし」
「私は言うなら普段着だけれど」
「それはドロシーはいつもだからね」
「特に意識していないのね」
「お洒落はね」
 本当にドロシーにとってはいつものことです。
「王宮の時だけだよね、ドロシーは」
「ドレスを着てね」
「本当に冒険の時は動きやすい感じで」
「昔からよ」
 カンサスにいた時そのままの服装です。
「冒険の時の服装の感じは同じよ」
「そうだね」
「この服装が一番動きやすいから」
 今着ているそれがというのです。
「だからね」
「この服装でだね」
「今回も冒険に出るわ」
「そういうことだね」
「後ですね」
 ジョージは赤い上着です、下はジーンズです。
「僕達はこんな感じです」
「普段着ですね」
 神宝は青い上着です、下はスラックスです。
「外の世界で着ていたのと同じですね」
「冒険はこうした服が一番楽ですね」
 カルロスは黄色い服でにこにことしています、三人共服は長ズボンで靴も動きやすい感じです。
「ラフで動きやすいのが」
「私はこうした服だけれど」
 ナターシャも普段の服装です、黒のゴスロリファッションは健在です。
「一番動きやすいわ」
「私もね」 
 最後の恵梨香はピンクの膝までのスカートのワンピースです。
「こうした感じの服が一番いいわ」
「結局オズの国の冒険はね」
 トトが言うにはです。
「それぞれが着たい服を着て行くといいんだよ」
「特にこだわらずに」
「そうしてね」
 そのうえでというのです。
「行って楽しめばいいんだ」
「そうなのね、そういえば」
「どうしたのかな」
「ええ、オズの国ってミニスカートはないわね」
 恵梨香はこのことに気付きました。
「そういえば」
「短くても膝までだね」
「そうよね」
「どうしてかしら」
「オズの国は同じ時代のアメリカが反映されるけれどね」
「服装はね」
 それはというのです。
「オズの国の服よね」
「基本ね、君達は外の世界から来ているから違うけれど」
「それでもよね」
「オズの国の服装はオズの国のものだよ」
 そこはアメリカと違うというのです。
「だからミニスートもないんだよ」
「そうなのね」
「そうだよ、そういえば君達もミニスカートじゃないね」
 トトは恵梨香だけでなくナターシャにも言いました。
「いつも」
「冷え性で脚出したら寒いから」
「私はあまり好きではないから」
 恵梨香とナターシャはこうトトに答えました。
「だからなの」
「この服装なの」
「そうなんだね、じゃあね」
「ええ、飛行船に乗って」 
 恵梨香はまたドロシーに応えました。
「オジョさんのところにね」
「行こうね」
「飛行船の用意が出来ました」
 ジュリアがここでドロシーに言ってきました。
「それでは」
「ええ、朝御飯はもう食べたしね」
「出発されますね」
「そうさせてもらうわ」
「では道中安全に気をつけてね」
 見送りに来ているオズマも言ってきました、後ろには王宮に残る人達が揃っています。
「そうしてね」
「ええ、何かあってもね」
「皆で乗り越えて」
「そうしていってね」
「わかったわ」
 笑顔で頷いてです、そのうえで。
 皆で笑顔で手を振り合って一時のお別れをしてです、ドロシー達は飛行繊に乗り込みました。そしてです。
 皆でお空に飛び立ちました、そこで。 
 お空から下を見てです、五人は笑顔で絵お話しました。
「こうして上から見る景色がいいんだよね」
「そうそう、お空に上がった時の醍醐味だね」
「こうした景色を見るのも楽しみだよ」
「飛行機でも楽しめるけれど」
「飛行船でもいいわね」
「そうだね、空の旅もいいものだよ」 
 ムシノスケも飛行船を動かしつつ五人に笑顔で応えました。
「オズの国ではお空も不思議だけれどね」
「お魚や鳥が飛んでいて」
「島が浮かんでいたりその島や雲の上にお家があって」
「それでお城やポリクローム達がいて」
「楽しいですよね」
「まさに不思議の国のお空ですね」
「だから研究対象としても」
 教授は学者さんとして五人にお話しました。
「実にいい場所だよ」
「よくお空の上にお城があることは考える人がいるけれど」
 恵梨香はそうしたアニメのことを思い出して言いました。
「お魚まで泳いでいるのは」
「ないね」
「はい」 
 今度はカエルマンに答えました。
「そうしたことは」
「外の世界ではそうだけれど」
「オズの国ではですね」
「それも普通なんだよ」
「鳥だけでなくお魚が泳いでいても」
「普通なんだよ」
「そうしたお空ってことですね」
 恵梨香も納得しました、見れば飛行船の周りには様々な鳥やお魚がいます。皆でその鳥やお魚達も見ています。
 そしてです、恵梨香はまた言いました。
「オズの国のお空は」
「不思議なことが実際に起こる国だからね」
「こうしたこともですね」
「あるんだ」
「そしてその不思議をですね」
「楽しめばいいんだ」
 そうすればというのです。
「僕達はね」
「そうですか」
「そう、それと着くのはお昼だよ」
「お昼ですか」
「御飯を食べる前にね」
 まさにその前にというのです。
「着くよ」
「本当に速いですね」
「全速で向かっているからね」
 だからだというのです。
「お昼にはだよ」
「そうですか」
「ではね」
「はい、お昼に着いたら」
「その時はね」 
 まさにというのです。
「オジョのところに行って」
「そうしてですね」
「彼から話を聞こうね」
「今オジョからメールが来たわ」 
 ドロシーが言ってきました。
「今から行くって言ったらね」
「あっ、そうなんだ」
「そう、それでね」 
 ドロシーはトトにお話します。
「待ってるって返事してくれたわ」
「そうなんだね」
「そう、それとね」
「それと?」
「本当に森はね」
 解決を依頼されているそこはとういうのです。
「大変みたいよ」
「そんなになんだ」
「そうみたいよ」
「じゃあ急がないとね」
「本当にそうね」
 こう言うのでした。
「だから飛行船で行ったのは正解ね」
「全くだね」
「それも全速でね」
「急ぐ時は急がないとね」
「さもないと困っている人を助けられないから」
 だからだとです、ドロシーは言いました。
「本当にね」
「その通りだね」
「ええ、じゃあお昼はね」
「オジョのところに着いて」
「皆で一緒に食べましょう」
「是非ね」
「さて、そのお昼は」
 ドロシーはお昼御飯のお話もしました。
「何を食べようかしら」
「そうだね、お魚を観てるとね」
 トトは飛行船の外を泳いでいるそのお魚達を見て言いました。
「フライとかムニエルとかね」
「食べたくなったのね」
「どうかな」
「そうね、お魚もいいわね」
「そうだよね」
「じゃあ今日はね」
 ドロシーはトトのお話を聞いて決めました。
「お魚料理にしましょう」
「オジョと一緒に食べるんだね」
「オジョが別のって言ったら別のお料理にするけれど」
 それでもというのです。
「今の考えはね」
「お魚だね」
「フライにムニエル、あとカルパッチョがいいわね」
「生のお魚もだね」
「食べましょう」
「カルパッチョっていいですよね」 
 恵梨香はこのお料理を聞いてドロシーに言ってきました。
「要するにお刺身ですよね」
「欧州のね」
「生のシーフードを味付けした」
「恵梨香ってお魚生で食べるの好きよね」
「大好きです」
 実際にという返事でした。
「お刺身もカルパッチョも」
「お寿司もよね」
「そちらも大好きです」
「日本人の特徴みたいね」
「オズの国の日系人の人達もだからね」
 トトも言ってきました。
「生魚が好きなのは」
「そうよね」
「新鮮なもの限定ですが」
「オズの国なら何でも新鮮ね」
「はい、食べられます」
 笑顔での返事でした。
「何時でも」
「だからお昼もなのね」
「楽しみです」
「わかったわ、じゃあオジョとお話をしてね」
「そうしてですね」
「今日のお昼は魚料理にしましょう」
「ムニエルいいですね」
 ジョージはこちらに関心を向けています。
「僕はそちらに」
「僕はフライを」
 神宝も洋食を食べるのでこちらも好きなのです。
「楽しみにしています」
「アヒージョがいいですね」
 カルロスはこれが好きみたいです。
「それ楽しみにしています」
「あとシーフードパエリアも出しますよね」
「そちらも出すわ」
 ドロシーはナターシャに答えました。
「今言われて思いついたわ」
「わかりました」
「アヒージョとパエリアにはお野菜もたっぷり入れるし」
 ドロシーはお野菜のお話もしました。
「皆で楽しみましょう」
「はい、お昼は」
「そうして食べましょう」
「オジョさんと一緒に」
「楽しくですね」
「お話もしながら」
「そうしましょう、オジョは何でも食べるから」
 彼に好き嫌いはないというのです。
「多分お魚でもいいわ」
「そうだね、オジョって何でも美味しく食べるからね」
 トトもドロシーに言います。
「だからね」
「今日のお昼はね」
「お魚料理よ」
 イタリアやスペインのです、そうしたお話をしつつオジョのところに向かってそしてでした。
 実際にお昼前にオジョのお家のところまで着きました、飛行船は程なく広く平らなところに降りました。
 そしてです、ドロシー達はすぐにオジョのお家に向かいました。するとそこではオジョが待っていてです。
 皆が来ると笑顔で迎えてこう言ってきました。
「ようこそ」
「ええ、お話は聞いてるわ」
 ドロシーがオジョに応えます。
「山によね」
「そう、山自体が森になっているけれどね」
「そこによね」
「鳥が一杯来てね」
 オジョは実際にとドロシーにお話します、見れば小柄なマンチキンの少年でその服も似合っています。
「もうね」
「聞いてる通りね、それは」
「メールでも連絡したけれど」
「そんなに大変なの」
「鳥となると」
 ここでムシノスケ教授が言うことはといいますt。
「飛べる種類が多いね」
「あっ、気付いてくれたね」
「無論だよ、鳥は飛べるがね」
 しかしというのです。
「飛べる種類ばかりと限らない」
「そう、今来ている鳥はね」
「飛べない種類だね」
「そればかりだよ」
 まさにというのです。
「そうした種類のね」
「やはりそうか」
「うん、飛べる種類だったら」
「そう、空にも行ける筈だ」
 オズの国ならというのです。
「そこで生きていける筈なんだ」
「そう、それがね」
「飛べないからだね」
「山に入ってね」
 そうしてというのです。
「暮らす様になったけれど」
「それがだね」
「はじめから山にいる生きもの達がいてね」
「揉めているんだね」
「うん、お互いの縄張りとかでね」
「よくある話だね」
 教授もお話を聞いて頷きました。
「どうしてもね」
「人間の世界でもね」
「そう、お家を建てる時はね」
「村でもあったりするね」
「町でもだよ、引っ越しの際は気をつけないとね」
「そうだよね、それで僕が間に入ってくれって山の生きもの達の長老さんに頼まれたんだけれど」
 オジョはこのこともお話しました。
「これがね」
「どうにもなんだね」
「うん、たまたま近所に住んでいた人間ってことで頼まれたんだけれど」
 オジョはトトにもお話しました。
「これがね」
「どうにもなんだね」
「僕一人じゃ手に負えなくて」
「それで僕達を呼んだんだね」
「そうなんだ、それで来てもらったけれど」
「ええ、じゃあね」
 それならとです、ドロシーがオジョに微笑んで応えました。
「何とかさせてもらうわ」
「それじゃあね」
「さて、まずはね」
 ドロシーはオジョに約束してからです、少し考えるお顔になってそのうえで彼に言うのでした。
「お互いのお話を聞きたいけれど」
「うん、そうする?」
「ただお昼を食べていいかしら」
「あっ、お昼御飯の時間だね」
「ええ、だからいいかしら」
「じゃあ何か作るよ」
「それはいいわ」
 ドロシーはまた微笑んでオジョに答えました。
「私が出すから」
「あのテーブル掛けで」
「そうするから」
「それじゃあ」
「ここに来るまでにお魚のお料理を食べようって話してたけれど」
「お魚だね」
「オジョはそれでいいかしら」
 飛行船でお話した通りオジョに尋ねました。
「お魚でも」
「いいよ、僕は嫌いな食べものないからね」
 その飛行船でのお話通りのことでした。
「それじゃあね」
「今から出すわね」
「そして皆でだね」
「今から食べましょう」
「わかったよ」 
 オジョはドロシーににこりとして応えました、そしてです。
 早速テーブル掛けが出されてでした、そこに沢山の魚料理が出されて皆でそれを食べていくのですが。
 鱈の大きなムニエルを食べてです、恵梨香が笑顔で言いました。
「このムニエル凄く美味しいわ」
「そうだね」
 ジョージもそのムニエルを食べて恵梨香に応えます。
「いい感じで焼かれててね」
「スパイスとお塩も上手に使ってるね」
 神宝はムニエルのこのことを指摘しました。
「だから美味しいんだね」
「うん、ムニエルも美味しいしフライもね」
 カルロスはそちらも食べています。
「いいね」
「この鮭のカルパッチョもいいわよ」
 ナターシャはそちらを食べて笑顔になっています、
「幾らでも食べられる感じよ」
「アヒージョもいいね」 
 カエルマンはアヒージョの海老だけでなく茸やガーリックも食べてそのうえでにこにことしています。
「オリーブオイルが最高だよ」
「うん、このパエリアも」
 教授は実際にその黄色い御飯のお料理を食べています。
「幾らでも食べられるよ」
「ええ、何もかもが美味しくて」
 ドロシーはムニエルもパエリアも食べています。
「出してよかったわ」
「そうだね、あとね」
 ここでオジョが言うことはといいますと。
「海のお魚ばかりっていうのがいいね」
「海の?」
「うん、僕海のお魚が好きだからね」
 それでというのです。
「嬉しいよ、よく食べてるよ」
「そうなのね」
「だから余計に嬉しいよ」
「オズの国だからすぐに送ってもらえるんですか」
「そう、山の中でもね」
「お空から」
「そうだよ、鳥やドラゴンで送ってくれるんだ」
 そうして送ってくれるというのです。
「海からね」
「オズの国ならではですね」
「それでよく食べてるけれど」
「今もですか」
「うん、特に美味しいね」
 こう笑顔で言うのでした。
「どれもね、いや本当に美味しいよ」
「そうだね、テーブル掛けから出されるお料理はどれも美味しいよ」
 トトは今はカルパッチョを食べています、そのうえでオジョに対して尻尾をぱたぱたとさせつつ言うのでした。
「だから冒険の時のお食事はね」
「こうしてだね」
「最高に美味しいんだ」
「そういえば僕も冒険の時は」
「テーブル掛けから出たの食べてるね」
「そうだったよ」
 オジョは笑ってトトに応えました。
「最近冒険に出ていないから忘れたよ」
「そういえばそうだね」
「うん、どうもね」
「ここにいてだね」
「ずっと暮らしてるから」
 穏やかな生活を楽しんでいるのです。
「だからね」
「そうだね、そういえば僕もオジョとはね」
「暫く会ってなかったね」
「そうだったよ」
「そしてテーブル掛けのお料理を食べるのもね」
「それもね」
 まさにというのです。
「久し振りだね」
「そして久し振りに食べたら」
「美味しいんだね」
「全くだよ」
 オジョはにこにことしつつトトに応えました。
「これはね、あとね」
「あと?」
「いや、恵梨香がいるけれど」
 オジョは恵梨香を見て言うのでした。
「日本人だから」
「はい、お魚は大好きです」
「日本人はお魚好きな人多いからね」
「それで私もなんです」
「そうだよね、じゃあお寿司も」
「大好きです」
 恵梨香はにこりと笑ってオジョに答えました。
「お寿司もお刺身も」
「そうだね、じゃあ今度はね」
「お寿司ですか」
「是非食べようね」
「それじゃあ」
 こうお話してです、そしてでした。
 オジョはパンも食べました、そこからデザートになりますが。
 苺のケーキを食べてです、今度はトトが言いました。
「最後のケーキもいいね」
「そうだよね、コーヒーもね」
 オジョはコーヒーを飲んでいます。
「いいね」
「あっ、コーヒー飲んでるんだ」
「甘いものには紅茶かね」
「コーヒーだね」
「そう、だからね」
「オジョは今はコーヒーなんだ」
「紅茶かどっちかにしようかって思ったけれど」
 そして考えてというのです。
「こっちにしたんだ」
「結構迷ったのかな」
「うん、実は紅茶かコーヒーでね」
「よく悩むんだ」
「僕はね」
「オジョってそうしたタイプだったんだ」
「最後に何を飲むかってなると」
 これがというのです。
「迷うんだ、どっちを飲んでも大して変わらないのにね」
「ううん、僕は迷わないな」
「あれっ、トトはそうなんだ」
「もうね」 
 それこそというのです。
「棒を立たせてね」
「あっ、どっちに倒れたかで」
「決めたりしているから」
「成程、そういうことをしたらね」
「簡単に決まるよね」
「そうだね」
 その通りだとです、オジョも頷きます。
「じゃあ僕もそうするよ、今度から」
「迷ったらね」
「棒を立ててだね」
「どっちに倒れたかでね」
「決めるといいね」
「それもまたね」
 まさにというのです、そしてです。
 恵梨香がです、オジョとトトにこんなことをお話しました。
「賽子で決めるやり方もありますね」
「賽子で?」
「はい、賽子を投げて」
 そうしてというのです。
「今のオジョさんの場合ですと偶数ならコーヒー、奇数なら紅茶とか」
「そうした感じでだね」
「決めてもいいですし」
 それもあるというのです。
「賽子でも」
「そうだね、賽子を投げるっていうと」
「賽は投げられたです」
 それになるというのです。
「外の世界での言葉です」
「カエサルっていう凄い人がしたの」
 まさにとです、ドロシーがお話しました。勿論ドロシーもケーキを食べていますがこの娘はレモンティーを飲んでいます。
「賽子を投げて決断したのよ」
「そのカエサルって人がだね」
「そう、迷っていた時にね」
「賽子を投げて」
「決めたの、だからね」
 それでというのです。
「オジョもそうしたらいいわ」
「カエサルさんみたいにだね」
「ええ、そういしったら?」
「そうだね、けれどカエサルさんって凄い人だよね」
「オズの国じゃオズマみたいな人よ」
「うわ、それは凄いね」
 オズの国家元首であるその人と同じだけ、というのです。それでこうしてお話するのでした。
「オズマ姫位って」
「そう、私もカンサスにいた時にちょっと聞いただけだけれど」
「オズマ姫みたいな人なんだね」
「頭がよくて凄く魅力的で決断力もあってね」
「そうした人だったんだ」
「そうだったの」
「カエサルさんは確かに凄いね」
「そうだね」
 ジョージと神宝がお話しました、勿論五人も教授もカエルマンもケーキと飲みものを楽しんでいます。この二人はレモンティーを飲んでいます。
「痛快っていうかね」
「そんな人だね」
「何か借金が凄かったらしいけれど」
「そこは困りものね」 
 カルロスとナターシャはカエサルさんのその困ったところをお話しました。二人が飲んでいるのはミルクティーです。
「どうもね」
「そうしたところはね」
「借金、オズの国にはない概念だね」
「そうだね」
 教授とカエルマンはコーヒーを飲みつつお話しています。
「お金自体がないから」
「外の世界とは違ってね」
「だから僕達は借金については」
「わからないね」 
「物凄い借金があったらしいんです」
 恵梨香はその二人にお話しました。
「何でも」
「そうだったんだね、その借金が」
「とんでもなかったんだ」
「そうです、ただ」
 ここでまた言った恵梨香でした。
「普通外の世界では借金ってない方がいいんです」
「ふむ、そうしたものなのか」
「よくないものなんだね」
「けれどカエサルさんは平気でどんどん借金をしていったとか」
「そのお話信じられないよ」
 トトは横で恵梨香のお話を聞いて首を傾げさせました。
「ドロシーのお家はその借金でね」
「そう、カンサスのお家をどうしようかってなっていたから」
 ドロシーも言います。
「借金が怖くないとか」
「信じられないよね」
「全くよ」
「カエサルさんって本当に凄い人だね」
「そうした意味でもね」
 ドロシーはカエサルさんの借金のことは知らなかったですがそれでもこうして言うのでした。
 そしてです、トトはこうも言いました。
「オズの国は借金もないからね」
「そのこともいいことね」
「全くだよ、お陰でお家を売らないといけないって時もないから」
「オズの国はこのことでも最高よ」
「その通りだよ」
 借金のことをよく知っている彼等は心から思うことでした、オジョはそんな彼等のお話を聞いて思うのでした。
「借金はないに越したことはないんだね」
「そうなんだ」
 トトが応えます。
「本当にね」
「外の世界も面白いっていうけれど」
「借金のことはね」
「困るんだね」
「僕達本当にそれで困ってたから」 
 その借金でというのです。
「余計にそう思うよ」
「トト達も苦労したんだね」
「危なかったからね、どうなっていたか」
「そうよね、けれど今はね」
 どうかとです、ドロシーが言うことはといいますと。
 ここで、こう言ったのでした。
「借金がないからね」
「お金自体がないからね」
「幸せよ、そういえば外の世界での私って」
 その時はどうだったかとです、ドロシーは思い出して言うのでした。
「何か叔父さんと叔母さんが困っている場面ばかり見ていたわ」
「僕もだよ」
 ずっと一緒にいるトトも同じでした。
「何かね」
「お金だけじゃなくて収穫とか」
「あとお水がないとかね」
「竜巻もあったし」
「困ることだらけだったね」
「色々と」
「大変だったんだね」 
 オジョはドロシー達のお話を聞いてしみじみと思いました。
「ドロシーさん達は」
「ええ、楽しいこともあったけれど」
「困ったことが多かったよ」
「それで今のオズの国での暮らしがね」
「天国みたいだよ」
「若しもね」 
 ここでこうも言ったオジョでした。
「ドロシーさんがオズの国にいなかったら」
「そうだったら?」
「ちょっとオズの国は考えられないかな」
「あら、そうなの」
「うん、トトもね」
 勿論彼もというのです。
「いないとね」
「オズの国じゃないんだね」
 トトもオジョに聞きました。
「僕達はそこまでなんだ」
「オズの国には欠かせないよ」
「別にそこまでとは思わないけれど」
「いやいや、ドロシーさんにトトにね」
 それにというのです。
「オズマ姫にかかしさんや樵さん、勿論ムシノスケ教授やカエルマンさんもだよ」
「つまりオズの国の名士の人達は」
「そう、皆ね」
「オズの国には欠かせないんだね」
「僕はそう思うよ」
「そうですよね」
 恵梨香もオジョのその言葉に頷きます。
「若しドロシーさん達がオズの国にいなかったら」
「この国は普通の楽しい国だよね」
「言うならテーマパークですね」
「そうした場所も面白いけれど」
「普通に面白いだけで」
「こんなにはね」
 とてもというのです。
「面白くて楽しい国じゃないよ」
「ドロシーさん達がいてこそ」
「最高に楽しい国になっているんだ」
「場所だけじゃないですね」
「そう、人もだよ」
 つまりドロシーやオズマ達もというのです。
「必要なんだよ」
「最高に楽しい国になる為には」
「若しも以前のラゲドーさんや妖魔達がいたら」
「オズの国もですね」
「こんなに楽しい国じゃないよ」
「そうですね」
「前のラゲドーさん、ロークワットさんといった時もね」
 かつてドロシー達と戦って敗れていた時のこの人はとにかく酷い人でした。オズの国を攻め取ろうとさえしていました。
「いい人じゃなかったから」
「若しあの時のあの人が王様になっていたら」
「とんでもなかったよ」
「そうなってなくてよかったですね」
「全くだよ」 
 オジョはコーヒーを飲みつつ恵梨香に言いました。
「考えると怖いね」
「人も大事ですよね」
「そう、だからドロシーさん達もね」
 その彼等もというのです。
「オズの国には欠かせないよ」
「そうした人達ですね」
「全くだよ、今回だって」
「若しドロシーさん達がいてくれなかったら」
「僕はどうしていたか」
「わからなかったですか」
「途方に暮れていたと思うよ」
 そうなっていたというのです。
「だってお互い凄く険悪になってるから」
「森に前いた生きものさん達と新しく来た鳥さん達が」
「何かとね」
「森の長老さんに頼まれたんですよね」
「何とかして欲しいって、けれどあまりにも言い合っていて」
「オジョさんお一人ではですか」
「どうしようもなくなっていてね」
 それでというのです。
「ドロシーさん達に来てもらったんだ」
「そのことはね」 
 どうかとです、トトがdロシーのすぐ隣から言ってきました。
「お話しようね」
「テーブル掛けをなおしたらね」
 そのドロシーもオジョに言ってきます。
「森に行きましょう」
「現場にだね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「まずはどんな状況かね」
「その目で見るんだね」
「まず見ることが大事だから」
 それでというのです。
「最初はね」
「見てそして」
「そのうえでだね」
「お互いのお話を聞いて」 
 それでというのです。
「状況も調べて」
「それからだね」
「問題を解決していきましょう」
「ううん、慣れた感じだね」
「私もこうした経験が多いから」
 オズの国の王女の一人です、それだけにドロシーはオズの国の問題の解決にあたることが多いのです。
 その中にはこうしたこともあるので、です。ドロシーはオジョにいつも通りのお顔で応えることが出来ているのです。
「だからね」
「慣れた感じなんだ」
「ええ、ただね」
「油断はだね」
「したらいけないから」
 油断大敵というのです。
「冒険もそうだから」
「あっ、少しの油断がだね」
「とんでもないことを引き起こすから」
「それでだね」
「いつも気を付けてるの」
「成程ね」
「だからね」 
 それでというのです。
「私は絶対に油断はしない様にしているの」
「じゃあ今回も」
「最後の最後までね」
「気を引き締めてだね」
「やっていくわ」
 まさにというのです。
「そうしてね」
「問題を解決してくれるんだね」
「そうさせてもらうわ、じゃあ」
「もうそろそろだね」
 オジョは皆が食べているのを見つつ言いました。
「皆食べ終わるね」
「そうだね」
 トトが応えました。
「僕もそうだし」
「そうだね」
「そもそも食べないとね」
「腹が減ってはっていうね」
「そうそう、オズの国じゃよく言うね」
「まずは食べること」
 何かをする前にです。
「そう言うからね」
「それで今実際に食べたし」
「これで力がついたから」
「頑張れるね」
「そうよ、食べてこそなのよ」
 ここでこう言ったのはドロシーでした。
「頑張れるのよ」
「そうだよね」
 トトはドロシーのその言葉に応えました。
「何といってもね」
「そう、だから今はね」
「皆で頑張れるね」
「そうよ、シーフード料理美味しかったし」
「デザートもね」
「私も元気が出たから」
「ドロシーに元気が出たら」 
 それこそといういうのです。
「違うからね」
「そうそう、ドロシーさんが元気だと」
 オジョも言います。
「雰囲気とかも違うしね」
「ムードメーカーでもあるからね」
「いつも明るいけれど」
 そして前向きです、ドロシーの性格的な長所です。トトはいつも一緒にいるからよくわかっています。
「食べた後はね」
「特になんだよね」
「その前向きさを活かして」
 そしてというのです。
「やっていこうね」
「私が軸なのね」
「当然だよ、ドロシーだから」
 もうドロシーがいると、というのです。
「オズの国ではそうなるよ」
「そう、何といってもドロシ―王女がいないと」
「はじまらないことも多いしね」
 教授とカエルマンも言います。
「ましてやそこドロシ―王女がいたら」
「それだけで軸になるのだよ」
「私ってそうした人だったのね」
「うん、オズマと並んでね」
 トトも言います。
「オズの国の名士だから」
「それでなのね」
「そう、いればそれで軸になるんだよ」
「そうした人だったのね」
「実際ドロシーがどれだけの騒動を解決してきたか」
 トトはこのことも言います。
「オズの国で」
「そう、だからドロシーさんが来てくれてね」
 オジョはコーヒーの最後の一杯を飲みました、これでこの子のお昼御飯は完全に終わりました。
「僕も百人力だよ」
「騒動を解決するっていうのね、私が」
「絶対にね」
 こう確信しているというのです。
「だから嬉しいよ」
「じゃあご期待にね」
 是非にと答えたドロシーでした。
「添う様にするわ」
「お願いするね」
 笑顔で言うオジョでした、そのうえで皆で森に向かうのでした。



空から今度は森へ。
美姫 「森の中だと飛んでは無理ね」
だろうな。さて、どんな解決策が出てくるか。
美姫 「次回も待っていますね」
ではでは。



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